| 【発明の名称】 |
多段窯業用窯 |
| 【発明者】 |
【氏名】小林 義人
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| 【要約】 |
【課題】本焼きと素焼きを同時に行う多段窯業用窯を実現する。
【解決手段】本発明の多段窯業用窯の外壁は、耐火煉瓦13を積み上げた第1層39と、この第1層39の周囲を取り巻く高温耐火繊維15の第2層41と、外観の美観を高める装飾外壁材17からなる第3層43とで構成される。そして、多段窯業用窯内室が、下から第1燃焼室57、第2燃焼室59、本焼き室67、素焼き室89と4室に分けられている。しかも、本焼き室67の熱気が本焼き室67側部に立設した仕切板91で作られる煙路109を迂回しつつ素焼き室89内へ導かれる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃焼室上方の窯内室を上方室及び下方室に分割すると共に、該下方室の底面より所定の高さに設置される分割手段と、この下方室のほぼ下方に設けられ、燃焼のための熱を発生して上記下方室へ供給する発熱手段と、上記分割手段のほぼ下方に立設され、上記下方室内での燃焼によって熱量の奪われた気体を上記上方室へ導く導熱路手段とを備えることを特徴とする多段窯業用窯。 【請求項2】 耐火煉瓦または断熱煉瓦を積み上げた第1層と、高温耐火繊維又は耐火断熱煉瓦で構成する第2層と、装飾材で作られた第3層とで構成された壁で窯の壁面が作られており、これら第1層と第2層の間または第2層と第3層との間にはスペーサーを介して空気層が形成され、この空気層は断熱効果があることを特徴とする請求項1記載の多段窯業用窯。 【請求項3】 上記第1層の周囲壁を、上記耐火煉瓦を予め構築した部分壁面を接合して組み上げると共に、上記高温耐火繊維を裏面に固定した上記第3層を部分壁面で分割構成し、該第3層の部分壁面で上記第1層を取り囲んで構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の多段窯業用窯。 【請求項4】 上記上方室は素焼き室であり、上記下方室は本焼き室であり、上記上方室、下方室又は、発熱手段の温度を計測する計温手段を備え、上方室の温度は下方室の温度より低く、上方室の上方には上記上方室での燃焼によって熱量の奪われた気体を排出する排熱手段を備え、上記導熱路手段が、上部及び下部にのみ開口部を有する筒か又は、上記分割手段の面に穿設した微小穴であり、この微小穴の面積又は大きさによって上記下方室から上方室へ送られる熱量が制御され、上記発熱手段は上下2段となっていて、下段にはガスまたは石油など燃焼による発熱手段が設けられ、上段には煤などの噴出体を発する炭火などの燃焼による発熱手段が設けられ、この煤によって燃焼物の表面に変化を及ぼすことを特徴とする請求項1、2又は3記載の多段窯業用窯。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、陶磁器などの焼き物を焼成するための窯に関し、特に、小型で、しかも素焼きと本焼きとを同時に行える窯に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、陶磁器などの焼き物は、焼成中にひびが入ったり、割れたりするのを防ぐため、焼成前に十分な空気乾燥が行われる。そして、焼き物の素地が十分に乾燥した後、施釉に耐えるように焼き固める素焼きが行われる。この素焼きは、650〜800度ほどの低火度で行われる。この素焼き作業の後、選択的に彩色が施された後、釉薬液中に器が沈められる等して、表面に釉薬が塗られる。こうして釉薬が塗られると、次に本焼きが行われる。この釉薬は、陶器の吸水性を阻害したり、素地の色を強めたりするために用いられる。 【0003】このような陶磁器の焼成に用いられる小型の窯は、窯内部の上方に器が収納され、窯の下方で発生された炎で、それらの器が焼かれる構造が一般的である。つまり、燃焼室の上方に一つの器収納室が設けられた構造の窯であって、しかも、器の焼成と冷却が交互に行われる、いわゆる断続窯が用いられている。 【0004】よって、一つの窯で素焼きと本焼きとが行われる場合、それぞれ別工程であるので、それぞれ独立した作業として行われている。例えば、素焼きを行う場合は、窯内部の火度を低く押さえるべく、本焼きに比べ、使用する木炭等の量を少なくしたり、バーナの火力が低く設定されたり、燃焼時間が短くされるなどされていた。 【0005】また、本焼きでは、十分な火度(1200〜1300度、望ましくは1230度前後)を得るべく、素焼き工程より多くの木炭が用いられたり、ガスバーナの火力が強くされていた。このように、素焼きと、本焼きは、一つの窯で、異なる火力を使用して別作業として行われている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、素焼きと本焼きとは、用いられる火度が相違するだけで、木炭などの燃焼による窯内の高温化は同じである。したがって、焼成対象の器の窯入れから取り出しまでは、ほぼ同じ様な作業が行われている。例えば、器の窯入れ作業の後、ガス(灯油、重油)バーナ又は木炭などの燃焼によって窯内に納められた器に必要な炎と熱とが加えられる。その燃焼工程が所定時間継続された後、窯の温度を低下させるべく、所定時間、窯が自然冷却される。この自然冷却によって、窯内部の温度が十分に低下した時点で、収納された器が取り出される窯出し作業が行われる。 【0007】つまり、器の窯入れ、燃焼、自然冷却、窯出し、といった一連の作業は、素焼きでも本焼きでも同じである。したがって、素焼きと本焼きとを行う場合、木炭、灯油、重油、ガスなどの燃料がそれぞれの工程で独立して必要とされる。結果、素焼きと本焼きを行う場合、窯に収容できる最大数以上の器があった場合、本焼きと素焼きという二つの作業を別々に行わねばならず、必ずしも燃料消費効率が良いものではなかった。つまり、経済効率が良いものではなかった。 【0008】本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、本焼きと素焼きとを同時に行える窯であって、しかも移設若しくは設置等が容易な多段窯業用窯を提供する。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、窯室内を下方室(本焼き室)と上方室(素焼き室)という、上下二つの室に分割手段(第3棚69)で分割した。しかも、それら二つの室を、ボックス型の通気路である導熱路手段で繋ぎ、下の室に充満する高熱気体(煙、熱気等)をその導熱路手段を迂回するように上の室へと導くことで、その高熱気体の熱量を所定量失わせる。しかも、窯の壁面は、複数の壁で囲む構造である共に、各壁を耐火煉瓦及び高温耐火繊維と装飾外壁からなる三層構造とした。さらに、各壁を一つのブロック体として予め製造しておき、第2層と第3層とを1つの壁部材として一体的に製造すると共に、壁同士を比較的簡易な手段で結合して窯を構成した。 【0010】これにより、本焼きと素焼きとを同時に行うので、燃料消費効率が改善される。しかも窯内部は高温にもかかわらず、窯外壁面を十分に温度を低く保つという高い遮熱性を実現できる。さらに、窯本体を比較的容易に移設又は設置できる。 【0011】 【発明の実施の形態】2.構成図1及び図2には、本発明の多段窯業用窯の外観が示されている。本発明の多段窯業用窯は大きく分けて、窯本体1と、この窯本体1室内に炎を噴射するオイルバーナ5と、このオイルバーナ5への燃料が貯蔵される燃料タンク3とから構成される。このオイルバーナ5は石油を燃焼して発熱するが、ガス、電気を燃焼して発熱してもよい。また、窯本体1の側壁11には、窯内部の温度を計測するための温度計7(測温手段)が挿入されている。 【0012】また、図3には、窯本体1の垂直断面の様子が示されている。図4には、窯本体1の水平断面の様子が示されている。なお、図4の断面は、図3において、I−I’方向に見た断面の様子である。本発明の多段窯業用窯である窯本体1は、四方を垂直な壁面に囲まれた中空の長方体形状であり、その高さ9は、約1200ミリに作られている。しかも、側壁11の横幅は約750ミリで、窯本体1を上方より瞰下した場合、ほぼ正方形の形状に作られている。 【0013】窯本体1の壁面下部には、ノズル用開口部47と開口部49とが内部空間まで完全に貫通するように設けられている(図2参照)。このノズル用開口部47には、上記オイルバーナ5(発熱手段)の炎が噴射する噴射ノズル45が差し込まれる。さらに、開口部49は、炎の状態を監視したり、この開口部49より木炭等(発熱手段)の燃料を窯本体1内部へ投入するために利用される。なお、このノズル用開口部47及び開口部49は、必要に応じて、耐火煉瓦等で作られた着脱式の密閉栓(図示せず)で閉じられる。 【0014】窯本体1の側壁11は、3層構造であり、第1層39に耐火煉瓦(または断熱煉瓦)13が、第2層41に高温耐火繊維15が、第3層43として石膏ボード等の装飾外壁材17が用いられている(図3参照)。また、窯本体1の炉床19は、第1層39に用いられる耐火煉瓦13と同じ耐火煉瓦が地面上に、タイル状に並べられている。この炉床19は、上観したとき、ほぼ正方形の形に形成されている。 【0015】この炉床19の四辺それぞれに、耐火煉瓦13が、鉛直方向に規則正しく積み上げられて、窯本体1の第1層39が作られる。この第1層39及び炉床19に使用される耐火煉瓦13は、厚みのある長方体形状で、かつ長尺なブロック体であり、酸化アルミ、酸化珪素等を主原料に作られている。このような耐火煉瓦13が、炉床19の四辺に井桁状に積み上げられている。 【0016】図5に、耐火煉瓦13が積み上げられた第1層39の外観の様子が示されている。耐火煉瓦13の一つの段25は、耐火煉瓦13の長尺面29(煉瓦ブロックの最も広い面積の面)が窯本体1の外面方向に表出されて積み上げられると共に、その長尺面29の隣に、隣接して積まれる耐火煉瓦13の短面27(煉瓦ブロックの最も狭い面積の面)が接するように組み上げられる。そして、段25の直上段31は、短面27の直上に耐火煉瓦13の長尺面29が位置するように積み上げられる。 【0017】このように、窯本体1の一つの壁面を見たとき、耐火煉瓦13の短面27と長尺面29とが下から上に向けて交互に並べて積み上げられている。これにより、窯本体1の隣り合う二つの壁面同士の接着性が高まり、第1層39全体の崩壊が防止される。なお、炉床19及びこの第1層目を構成する各耐火煉瓦13同士は、適度な耐火度を持ったモルタルで接着される。このモルタルは、耐火煉瓦13とほぼ同じ材質で作られており、水等の添加物と共に用いて、粘性液状の状態で各煉瓦の接着に使用される。 【0018】モルタルを利用して積み上げられた耐火煉瓦13からなる第1層39の外回りを、高温耐火繊維15で覆うように取り囲んで第2層41が構成される。この高温耐火繊維15には、ロックウール、石綿、断熱性の高いセラミックファイバ等が使用される。特に、本発明に用いる高温耐火繊維15は、アルミナ、シリカ、酸化第二鉄、ジルコニアなどの原材料を溶融した後、高速の空気流で空中に飛散させて繊維状に形成させた耐火繊維が用いられている。 【0019】こうして高温耐火繊維15で形成された窯本体1の第2層41の周囲を、装飾外壁材17で取り囲むことで高温耐火繊維15が固定されると共に、窯本体1の外壁面の美観が高められる。高温耐火繊維15を囲う装飾外壁材17同士は、L字型の座金21とビス(又はボルト)23とを用いて固定される。すなわち、隣りあう装飾外壁材17が辺で密着されると共に、その接続部分の裏側に、この二つの装飾外壁材17の背面に沿ってL字型に屈曲された座金21が付着される。そして、各装飾外壁材17の外周面から背面に貫通されたビス23が、その座金21に螺合される。 【0020】つまり、L字型の座金21の各腕の部分に、装飾外壁材17を貫通したビス23がねじ込まれる。結果、座金21によって二つの隣り合う装飾外壁材17が接合される。そして、装飾外壁材17によって筒状に囲まれた内側に、高温耐火繊維15が固定されることになる。なお、装飾外壁材17の固定の際、高温耐火繊維15を装飾外壁材17の背面又は耐火煉瓦13の表面に錨止めされても良い。 【0021】装飾外壁材17は、石膏ボードなどの表面に耐候性塗料などが塗布されたものや、アルミ、大理石、鉄、亜鉛鉄板、銅などで作られた装飾板が用いられる。 【0022】また、窯本体1の第2層41及び第3層43の上部には、上記高温耐火繊維15及び装飾外壁材17に代えて、耐火断熱煉瓦33が積み上げられている。このように、耐火煉瓦13、耐火断熱煉瓦33、高温耐火繊維15及び装飾外壁材17で作られた側壁11の上部開口部に、上記耐火煉瓦製または上記高温耐火繊維製の上蓋35と開閉蓋37とが載置されている。この上蓋35と開閉蓋37とは鉄製平板状であってもよい。この開閉蓋37は上蓋35に蝶番を介して連結され開閉可能となっている。 【0023】上蓋35は、耐火煉瓦13中に埋め込んだボルト等によって第1層39上部に固定されているが、開閉蓋37は、上部に設けられた二つのコの字型の取手39によって着脱可能とされている。さらに、上蓋35には、煙突113(排熱手段)が立設されている。この煙突113は、窯本体1内の排煙に用いられる。 【0024】次に、窯本体1内部の構造について説明する。窯本体1内部の空間は、3つの棚板によって上下4室に仕切られている。第1棚51は、窯本体1側面に貫通されたノズル用開口部47の直上に水平設置される。すなわち、第1層39内壁の対向する二つの面の下部で、しかもノズル用開口部47の直上の面に、長尺な棚爪53が水平に埋め込まれている。つまり、第1層39の内壁面の対向する二つの面それぞれに、1つの棚爪53が埋設されている。 【0025】そして、この二つの棚爪53を橋渡すように第1棚51が水平に載置されている。この第1棚51によって、窯本体1内の最下部に第1燃焼室57が形成される。なお、棚爪53は、幅の狭い長尺平板であって、上下に積み上げられた第1層39の耐火煉瓦13の間に挟むように埋設して固定されている。 【0026】また、第1棚51は、鉄製の格子板か又は、陶器製の板(セラミックスのボード、又はムライト)などで形成されている。なお、本発明で使うムライトとは、酸化アルミと酸化珪素とを主要成分とする板であって、高い耐火性を有する。図6には、この第1棚51を上観した様子が示されている。セラミックス(ムライト)の板で第1棚51が作られた場合、棚板全体に複数の微小穴55が設けられている。この微小穴55は、オイルバーナ5の噴射ノズル45より噴射された炎や、この炎によって熱せられた気体が、第1燃焼室57から第1棚51直上の第2燃焼室59へと、円滑に上昇されるために作られている。 【0027】さらに、窯本体1側面の開口部49直上に、第2棚63が水平に設置されている。この第2棚63も、第1棚51と同様、二つの棚爪61によって支えられている。すなわち、第1層39の対向する二つの内壁面それぞれに、棚爪53と同様な長尺平板状の棚爪61が1個ずつ埋設されている。そして、この二つの棚爪61を橋渡すように第2棚63が載置されている。この第2棚63は、陶器製の板(セラミックスのボード、ムライト)などで形成されている。 【0028】図7には、この第2棚63を上観した様子が示されている。この第2棚63も、第1棚51と同様に、板全体に微小穴65が複数個開けられている。ただし、微小穴65は、第2棚63の中央部分にのみ設けられており、第2棚63の周辺部分には、この微小穴65がない部分が設けられている。 【0029】この第2棚63の直上の空間が、本焼き室67(下方室)であり、この第2棚63上に、本焼きの器が置かれる。また、本焼き室67室内には、窯本体1の外壁面より温度計7が貫通されている。この温度計7は、熱電対などの温度測定素子が用いられている。なお、第1棚51から第2棚63までの上下間隔は、約195ミリに作られている。 【0030】さらに、第2棚63の上方に、第3棚69(分割手段)が水平に設けられている。図8には、この第3棚69の上観した様子が示されている。この第3棚69は、4つの頂点73、75、77、79それぞれを一つの棚爪71(図4参照)で支えられている。この棚爪71は、小さな平板であり、第1層39の内周面の四隅に一個ずつ埋設されている。 【0031】また、第3棚69は、対向する二つの辺81、83それぞれに、長方形の開口部85、87が設けられている。つまり、開口部85、87によって、第3棚69の上下方向に自由に空気が流れるように作られている。なお、この第3棚69は、他の第1棚51、第2棚63と異なり、微小穴は設けられていない。第3棚69は、陶器製の板(セラミックスのボード、ムライト)などで形成されている。この第3棚69で仕切られた窯本体1内部の最上室が、素焼き室89(上方室)である。なお、第2棚63と第3棚69との上下間隔、すなわち本焼き室67の高さは、約325ミリに設定されている。 【0032】第2棚63上面の両脇(図7の二点鎖線93、95)には、仕切板91が垂直に立設されている。図9には、この仕切板91の様子が示されている。この仕切板91は平板であって、しかもその底辺部分97に、長方形に開けた開口部99が設けられている。この底辺部分97が、第2棚63の二点鎖線93、95部分上に配置される。 【0033】仕切板91が第2棚63上に立設されたとき、仕切板91の上辺101は、第3棚69の開口部85、87に隣接される。この上辺101が第3棚69に当接する部分は、図8の二点鎖線103、105で示されている。なお、この仕切板91は、鉄若しくは、陶器製の板(セラミックスのボード、ムライト)などで形成されている。 【0034】図10には、窯本体1内部における第1棚51、第2棚63及び第3棚69と、二枚の仕切板91との位置関係が示されている。仕切板91の上辺101は、完全に第3棚69の下面に接すると共に、仕切板91の底辺部分97は第2棚63の上面に密着されている。しかも、第3棚69を支える棚爪71の側面に立て掛ける様に仕切板91は密着されている。この仕切板91は、第2棚63と、第3棚69を支える棚爪71とに、モルタル等で接着されてもよいし、棚爪71に立て掛けて支持されてもよい。ただし、第3棚69とは接着されていない。 【0035】これにより、第3棚69は、棚爪71上から自由に、上方に向けて持ち上げて外すことができる。しかも、第3棚69が外されたとき、各仕切板91は、棚爪71に立て掛ける様に固定されているので、本焼き室67内へ向けて倒れることはない。なお、この仕切板91の固定方法については、他の手段を用いても良い。例えば、仕切板91の側辺107部分(図9参照)が第1層39の内壁面にモルタル等で完全に固定されても良い。 【0036】この仕切板91と第1層39の内壁面とで囲まれて形成される煙路109(=導熱路手段)は、仕切板91の開口部99(図9参照)から流入する、煙を含む高熱気体を素焼き室89(上方室)へ導くのに用いられる。つまり、二つの仕切板91と第3棚69で囲まれる本焼き室67に、オイルバーナ5の炎で加熱された気体が充満される。そして、本焼き室67内から、仕切板91下部の開口部99、煙路109及び第3棚69の開口部85、87を経て、その高熱気体が素焼き室89(上方室)内へと導かれる(図3の二点鎖線111参照)。この素焼き室89内へ導かれた高熱気体によって、素焼き室89内の器の素焼きが行われる。 【0037】次に、本発明の多段窯業用窯の使用方法について説明する。初めに、窯本体1上部の開閉蓋37が開放される共に、第3棚69が取り除かれる。そして、第2棚63上に本焼きされる器が置かれる。こうして、第2棚63上の本焼き室67内に、目的の器が納められると、第3棚69が棚爪71上に乗せられる。さらに、この第3棚69上に、素焼きされる器が置かれる。なお、この素焼きの器は、第3棚69の開口部85、87部分をふさぐことがないように載置される。 【0038】この後、開閉蓋37が閉じられると共に、ノズル用開口部47に差し込まれたオイルバーナ5によって、窯本体1内部に炎が供給される。なお、オイルバーナ5が使用されるときは、窯本体1側面の開口部49が密閉栓で完全に閉じられる。第1燃焼室57にオイルバーナ5によって送り込まれた炎と、この炎によって熱せられた高熱気体(煙を含む)は、第1棚51の微小穴55及び、第2棚63の微小穴65を経て、本焼き室67内へと上昇する。 【0039】本焼き室67内へ流入した炎及び高熱気体によって、本焼き室67内の器が焼成される。また、本焼き室67内へ流れ込んだ高熱気体は、仕切板91の下部にある開口部99から、仕切板91で作られる煙路109内へ流入する。さらに、煙路109から第3棚69の開口部85、87を経て素焼き室89内へとその高熱気体が流される。 【0040】ところで、オイルバーナ5の炎によって加熱された高熱気体は、本焼き室67内の器を焼成することによって、その熱が奪われる。さらに、煙路109等を迂回しつつ本焼き室67から素焼き室89へと流入することにより、耐火煉瓦13等に熱が奪われる。 【0041】これにより、素焼き室89内の室内温度が、本焼き室67内に比べ、数百度低下し、素焼きに適した温度にされる。つまり、仕切板91と第1層39の内壁面で作られた煙路109を経て、高熱気体が本焼き室67から素焼き室89内へ流れることによって、その高熱気体の温度を所定温度だけ下げることができる。この結果、素焼き室89の器の素焼きが良好に行われる。これは、煙路109を高熱気体が通過することで、その気体の持つ熱エネルギが第1層39の耐火煉瓦13や仕切板91等に奪われるためである。 【0042】また、本焼き室67内で陶磁器の本焼きが行われる際、この本焼き室67内は、約1230度にされる。これは、窯本体1の外壁面から本焼き室67内へ差し込まれて固定されている温度計7を用いて測定され、その温度に応じてオイルバーナ5の出力が調整される。 【0043】こうして、本焼き室67内温度が1230度前後にされると、煙路109の作用で、素焼き室89内の温度は、約700〜800度前後に保たれる。これは、上述されたように、本焼き室67内の高熱気体が、仕切板91の開口部99や煙路109を迂回して流れ、素焼き室89内へ導かれることによる。特に、煙路109の路長、つまり仕切板91の高さ(=本焼き室67室内の高さ)が約325ミリ前後に設定されていることによる。 【0044】また、窯本体1の第2燃焼室59内に木炭(炭、コークス、又は薪等の炭素燃料)を投入し、その木炭等を燃焼させることで、本焼き室67内の器を焼成させることができる。この場合、窯本体1側面の開口部49から第2燃焼室59内に木炭等を投入し、その木炭等が燃焼されることになる。この開口部49は、木炭の燃焼開始後に、必要に応じて密閉栓で閉じられる。この木炭が燃焼する時に出る煤(噴出体)は、燃焼物(陶磁器、焼き物)の表面に付着して色の微妙な変化を起こして焼色に影響を及ぼす。 【0045】さらに、開口部49が密閉栓で閉じられた状態で、この開口部49の下にあるノズル用開口部47を部分的に閉じることにより、還元炎を作ることができる。つまり、ノズル用開口部47を開放して、第2燃焼室59内の木炭の燃焼に十分な酸素が供給されれば、酸化炎が生成され、ノズル用開口部47の一部を閉じ、供給される酸素の量が削減されれば、還元炎が生成される。これにより、本焼き室67内の器の焼成具合を変えることができる。 【0046】そして、素焼き室89における素焼きを伴う、本焼き室67における器の本焼きが所定時間行われると、オイルバーナ5等による燃焼が停止される。さらに、窯本体1内部の温度が所定値以下に低下するまで、窯本体1全体の自然冷却が行われる。そうして、窯本体1内部が所定温度以下になると、開閉蓋37が開放されて、素焼き室89内の素焼き対象の器が取り出される。素焼き室89内の器が取り出された後、第3棚69が外されて、本焼き室67内で本焼きされた器が取り出される。このようにして、素焼き室89及び本焼き室67における器の素焼きと本焼きとが完了される。 【0047】ところで、本焼き室67内が約1230度前後の高温にされて、本焼き室67内にある器が焼成されるとき、窯本体1の装飾外壁材17の表面は、人手で触れる温度に保たれている。これは、第1層39の耐火煉瓦13と、第2層41の高温耐火繊維15とによる高い遮熱性による。結果、窯本体1で焼成作業が行われていても、窯本体1の周囲環境にある物体を焦がす(発火させる)等の輻射熱の影響を極めて小さくできる。ただし、煙突113から排出される高温の排煙については考慮される必要がある。 【0048】本発明は上記実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、第3棚69(分割手段)に代えて、多数の微小穴65を有する第2棚63と同じ棚板が用いられもよい。すなわち、仕切板91を省くと共に、仕切板91で作られた煙路109に代えて、新たな第3棚板に貫設した多数の微小穴(導熱路手段)によって、本焼き室67(下方室)内の高熱気体を素焼き室89(上方室)に流入させて素焼きを行わせてもよい。 【0049】なお、この多数の微小穴を備える棚板を第3棚69(分割手段)として用いる場合、その微小穴の数量と各穴の大きさは、図7に示される第2棚63に比して、少なく且つ小さな穴径とする必要がある。なぜなら、微小穴の穴径もしくは穴の個数が多いと、本焼き室67から素焼き室89内へ流入する高熱気体の熱量が十分に失われない場合があり、結果的に、素焼き室89内の温度が素焼きに適した温度に下がらないことがあるからである。 【0050】よって、微小穴を設けた棚板を第3棚板にする場合、その微小穴の個数及び穴径は、その穴径の総和が、図8に示された第3棚69の二つの開口部85、87より小さな面積にする必要がある。 【0051】また、窯本体1外壁面に設けた開口部49及びノズル用開口部47に開閉自在な扉を具備させてもよい。ただし、各扉は、熱伝導率の極力低い材質か、又は厚手の鉄板等で作る必要がある。さらに、本焼き室67の窯本体1の側壁面に開閉扉を設け、その開閉扉によって、器の出し入れが行われてもよい。 【0052】さらにまた、第1層39を構成する耐火煉瓦13及び第2層41の高温耐火繊維15についても、すべてを耐火煉瓦又は耐火断熱煉瓦で組み上げてもよい。つまり、第1層39及び第2層41を耐火煉瓦又は耐火断熱煉瓦を二重にして積み上げられて構成されてもよい。いずれにせよ、本焼き室67内の高い熱エネルギが窯本体1の外周面に伝搬しないように第1層39及び第2層41を構成すればよく、いかなる構造のものでもよい。 【0053】さらに、オイルバーナ5についても、灯油バーナ、ガスバーナ等(発熱手段)、所定の熱量の火炎を発生させることができるものならば如何なるものでもよく、本発明は特に限定するものではない。また、仕切板91及び窯本体1の内壁面で囲まれて構成され、本焼き室67から素焼き室89内へ高熱気体を導く煙路109(=導熱路手段)についても、断面が円形の筒状のものを本焼き室67内に立設してもよく、本発明は、その導熱路手段の外形状を特に限定するものではない。 【0054】さらにまた、素焼き室89内へ温度計7と同じ熱電対などの測温手段を窯本体1の外壁面から差し込み、その温度計で素焼き室89内部の温度が測定され、その温度によってオイルバーナ5の火力が調整されても良い。加えて、第1燃焼室57若しくは第2燃焼室59の室内に温度計7と同様な測温手段が外壁面から挿入され、それら第1燃焼室57若しくは第2燃焼室59室内の温度が測定されて、オイルバーナ5又は木炭等の燃料の燃焼度(火力)が調整されてもよい。 【0055】また、上記実施例では、第2層41及び第3層43の上部に耐火断熱煉瓦33を、耐火煉瓦13を囲うように積み上げたが、この耐火断熱煉瓦33に代えて第2層41及び第3層43の高温耐火繊維15及び装飾外壁材17が使用されても良い。つまり、第1層39の耐火煉瓦13の回りを全て高温耐火繊維15と装飾外壁材17とで覆うように構成されてもよい。さらに、高温耐火繊維15を装飾外壁材17の裏面に錨止めし、高温耐火繊維15と装飾外壁材17とが一体的に作られてもよい。そして、窯本体1を囲う4つの壁面となる装飾外壁材17同士を脱着式のストッパで固定可能とする。 【0056】加えて、第1層39の各壁面を複数の耐火煉瓦13で積み上げて1壁面ずつ製造する。そして、第1層39の各壁同士が接する辺部分に、ほぞとほぞ穴を形成し、そのほぞとほぞ穴によって、第1層39の各壁同士を結合させて第1層を形成させる。これにより、窯本体1を第1層39を構成する耐火煉瓦13で作られた4つの壁と、第1層39の回りを囲う高温耐火繊維15が裏打ちされた装飾外壁材17から作られた4つの外壁とで構成することができる。 【0057】つまり、第1層39の各壁と、装飾外壁材17等で形成される4つの外壁とを予め分割して作成しておき、窯本体1設置作業場所において、炉床19の上にそれら第1層39及び装飾外壁材17の外壁を組み上げることで、迅速に窯本体1を構築する。これにより、窯本体1の設置時間の短縮と作業の簡便化が図られる。ただし、第1層39の4つの壁同士は、ほぞとほぞ穴と結合されるが、その隙間を充填すべく上記実施例と同じ、耐火性のモルタルが利用される。つまり、本発明の多段窯業用窯を4つの壁部分で構成し、各壁を設置場所で組み上げることで、移築及び設置等が比較的容易に行える、簡易移設型の窯とすることができる。 【0058】また、上記実施例では、窯全体を箱形の長方体形状としたが、ドラム缶などの円柱状の形状でもよく、本発明はその外形を特に限定しない。しかも、本焼き室67と素焼き室89との2段構成でなく、窯本体1内部を上下に、それ以上(3段以上)の複数空間に分割してもよいし、本焼き室67と素焼き室89とは斜め上下に配置されてもよい。特に、素焼き室89の上に設けた室温の低い空間で、作りたての器の乾燥が行われても良い。 【0059】さらに、第1層の耐火煉瓦13、第2層の高温耐火繊維15、第3層の装飾外壁材17のうち、第1層と第2層の間または第2層と第3層との間にはスペーサーを介して空気層が形成されてもよい。この空気層は断熱効果があり、高熱が窯の外にまで伝達されるのを防止できる。 【0060】上記オイルバーナ5は、第2燃焼室59に設置されてもよい。この場合、開口部49からオイルバーナ5が挿入され、ノズル用開口部47から空気(酸素)が取り入れられる。そして、第2棚63が省略されてもよい。これにより燃焼の炎が直接本焼き室67に入り込み、効率の良く燃焼される。さらに、本焼き室67の高さはもっと低くて扁平であってもよい。これにより、燃焼の炎が本焼き室67全体にくまなく行き渡り、均一な本焼きが達成される。 【0061】本発明の多段窯業用窯は、ゴミの焼却炉としても使用できる。この場合、第3棚69が省略され、本焼き室67と素焼き室89が一体化される。また、素焼き室89をゴミの焼却炉とし、本焼き室67で陶磁器を焼いてもよい。素焼き室89は本焼き室67の真上ではなく、斜め上に設けられてもよい。この場合にも本焼き室67の熱は素焼き室に送られる。 【0062】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明の多段窯業用窯は、窯業用の小型窯室内を本焼き室と素焼き室という、上下二つの室に分割した。しかも、それら二つの室を、導熱路手段で繋ぎ、下の室に充満する高温気体をその導熱路手段を介して上の室へと導くことで、その高温気体の温度を所定量下げることができる。結果、本焼き室内は、十分に高い温度に保持されるにも関わらず、上方の素焼き室内はその素焼きに適した温度に下げることができる。つまり、本焼きと素焼きとを1度の作業で同時に行うことができる。結果、燃料の効率的な使用が図れ、省エネルギに貢献できる。しかも、従来別々に行われていた本焼きと素焼きと、一回の作業で行うので、結果的に二酸化炭素の排出量を削減でき、環境汚染をより少なくした多段窯業用窯とすることができる。 【0063】しかも、本発明の多段窯業用窯の壁面は、耐火煉瓦及び高温耐火繊維と装飾外壁からなる三層構造としたので、窯内部は、高温にもかかわらず、窯外壁面は十分に温度が低いという、高い遮熱性を持った多段窯業用窯とすることができる。したがって、本発明の多段窯業用窯を、高層住宅などのベランダ等、比較的狭い場所に本発明の多段窯業用窯を設置しても、周囲へ与える輻射熱を心配する必要がない。 【0064】さらに、各壁面を一つのブロックとして製造し、第2層と第3層とを1つの壁面として一体的に製造することで、比較的容易に移設・設置ができる多段窯業用窯とすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】399042856 【氏名又は名称】小林 義人
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| 【出願日】 |
平成11年9月24日(1999.9.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092130 【弁理士】 【氏名又は名称】若原 誠一
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| 【公開番号】 |
特開2001−91163(P2001−91163A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月6日(2001.4.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−271413 |
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