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【発明の名称】 熱処理装置
【発明者】 【氏名】山野 隆男

【氏名】河村 博

【要約】 【課題】加熱されたエンジニアリングプラスチック(以下、エンプラという。)を100℃以上の温度差のある温度まで急冷することができる熱処理装置を提供するものである。

【解決手段】エンプラを、予熱を行う予熱室12、360℃まで加熱して延伸する第1熱処理室14、緩衝室16、200℃で熱固定を行う第2熱処理室18に搬送し、緩衝室16において、第1熱処理室14の上下ノズル42a,44bからの360℃の熱風と、第2熱処理室18の上下ノズル60a,62aからの200℃の熱風が流れ込み、緩衝室16の内部温度は第1熱処理室14側が360℃であり、それから次第に下がり、第2熱処理室18近傍では200℃となる。そして、この温度を滑らかに下げて、緩衝室16を通過するエンプラを次第に冷却する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】熱セットが必要なエンジニアリングプラスチック、フィルム、繊維布、不織布などのウエブを拡布状態で搬送して熱処理を行う熱処理装置において、前記ウエブへT1℃の熱風を吹き出しノズルから吹き付ける第1熱処理室と、前記第1熱処理室で熱処理された前記ウエブへT2℃(T2<T1)の熱風を吹き出しノズルから吹き付ける第2熱処理室と、前記第1熱処理室と、前記第2熱処理室の間に設けた緩衝室とよりなり、前記緩衝室に吸い込みノズルを設け、前記緩衝室へ前記第1熱処理室及び前記第2熱処理室から熱風をそれぞれ流すことにより、前記緩衝室の内部温度が、前記第1熱処理室から前記第2熱処理室に近づくほどT1℃からT2℃へ下がるようにしたことを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】前記緩衝室の吸い込みノズルで吸い込んだ熱風を前記第2熱処理室へ送ることを特徴とする請求項1記載の熱処理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】熱セットが必要なエンジニアリングプラスチック(以下、エンプラという)、フィルム、繊維布、不織布等のウエブの熱処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エンプラには、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリプロチレンレテフタレートおよび変性ポリフェニレンオキサイド等の連続使用可能温度が約150℃までの汎用エンプラと、常用温度が200℃を超えるスーパーエンプラがある。
【0003】そして、高温でのエンプラの横延伸(TD方向のフィルム延伸)を行う場合には、エンプラの融点近くまで加熱してから引張って延伸するが、その延伸されたエンプラはできるだけ均一にかつ迅速に冷却し、熱セットを行う必要がある。
【0004】この急冷する場合に、従来、各熱処理間の温度差は50℃〜100℃程度が限界であり、これ以上の温度差を設けることは困難であった。
【0005】この理由は、エンプラを横延伸状態で搬送させるために、テンタレールを必要とし、各熱処理装置間の開口面積が大きく、各熱処理装置間に熱風の流れて、高温側の熱処理装置から低温側への熱処理装置への熱量の移動が発生し、低温側の熱処理装置における内部温度の制御が困難であるからであった。
【0006】そこで、本発明は上記問題点に鑑み、延伸した状態でウエブを熱風で加熱した後、急激に冷却することが可能な熱処理装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の熱処理装置は、熱セットが必要なエンジニアリングプラスチック、フィルム、繊維布、不織布などのウエブを拡布状態で搬送して熱処理を行う熱処理装置において、前記ウエブへT1℃の熱風を吹き出しノズルから吹き付ける第1熱処理室と、前記第1熱処理室で熱処理された前記ウエブへT2℃(T2<T1)の熱風を吹き出しノズルから吹き付ける第2熱処理室と、前記第1熱処理室と、前記第2熱処理室の間に設けた緩衝室とよりなり、前記緩衝室に吸い込みノズルを設け、前記緩衝室へ前記第1熱処理室及び前記第2熱処理室から熱風をそれぞれ流すことにより、前記緩衝室の内部温度が、前記第1熱処理室から前記第2熱処理室に近づくほどT1℃からT2℃へ下がるようにしたものである。
【0008】請求項2の熱処理装置は、請求項1のものにおいて、前記緩衝室の吸い込みノズルで吸い込んだ熱風を前記第2熱処理室へ送るものである。
【0009】請求項1の熱処理装置であると、第1熱処理室の内部温度がT1温度であり、第2熱処理室の内部温度がT2温度であっても、緩衝室が存在するため、第2熱処理室の内部温度を調整することができる。また、緩衝室に吸い込みノズルが設けられ、この緩衝室へ両熱処理装置から熱風をそれぞれ流すことにより、緩衝室の内部温度が第1熱処理室から第2熱処理室に近づくほどT1℃からT2℃へ下がるようになり、ウエブを安定よくT1温度からT2温度へ冷却することができる。
【0010】請求項2の熱処理装置であると、緩衝室で吸い込んだ熱風は第2熱処理室に送られ、この熱風が第2熱処理室の内部温度を上昇させるため、省エネルギーとなる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図1〜図5に基づいて説明する。
【0012】図1は本発明の一実施例を示すエンプラ1を熱セットするための熱処理装置10の全体図である。
【0013】この熱処理装置10は、エンプラ1を横延伸させるために、エンプラ1の両耳部をテンタクリップ76、76ではさみ、テンタレールに沿ってエンプラ1を前後方向に搬送する。そして、このエンプラ1は図1の左側から予熱室12、第1熱処理室14、緩衝室16、第2熱処理室18を経て熱処理が完了する。
【0014】(予熱室)予熱室12は、エンプラ1を延伸させる前に予め加熱する行程であり、エンプラ1の搬送路の上下にそれぞれ熱風を吹き出すための上下ノズル20,22が前後方向に複数設けられている。
【0015】この上下ノズル20,22は、バーナなどよりなる加熱部24によって加熱された空気を送風ファン26によって上下ノズル20,22を連結する上下ダクト28,30に送る。なお、上下ノズル20,22の熱風の吹き出し口は、エンプラ1の幅方向に沿ってスリット状の開口部となっている。
【0016】そして、上下ノズル20,22から搬送されるエンプラ1に向かって熱風が吹き出され、予熱を行って、そのリターンエアーは予熱室12内部からフィルタ32を経て加熱部24に循環する。
【0017】(第1熱処理室)第1熱処理室14は、予熱室12で予熱されたエンプラ1を約360℃に加熱して、延伸を行う。
【0018】この第1熱処理室14も予熱室12と同様に、加熱部34によって加熱された空気(熱風)を送風ファン36が上下ダクト38,40に送り、上下ノズル42,44から搬送されるエンプラ1に吹き付ける。この吹き付けられる熱風の温度は360℃であり、これによってエンプラ1は延伸される。そして、このリターンエアーはフィルタ46を経て加熱部34に循環する。なお、上下ノズル42,44の熱風の吹き出し口は、エンプラ1の幅方向に沿ってスリット状の開口部となっている。
【0019】ところで、この前後方向に配列された上下ノズル42,44のうち、緩衝室16に最も近い上下ノズル42a,44aにのみ、図2に示すように熱風を、真下または真上を走るエンプラ1に吹き付けるのでなく、緩衝室16内部に送り込むための案内板48,50が設けられている。この案内板48,50があることにより、上下ノズル42a,44aから吹き付けられた熱風は、第1熱処理室14の搬出口から緩衝室16に入り、緩衝室16の内部温度を上昇させる。
【0020】緩衝室16は、エンプラ1を360℃から200℃まで急冷するが、これについては後から詳しく述べる。
【0021】(第2熱処理室)次に、第2熱処理室18においては、緩衝室16によって360℃から200℃まで冷却されたエンプラ1を200℃で熱固定を行うゾーンである。
【0022】この第2熱処理室18も、予熱室12と同様に、加熱部52で加熱された空気(熱風)を送風ファン54によって上下ダクト56,58に送り、上下ノズル60,62からエンプラ1に吹き付ける。このエンプラ1からのリターンエアーはフィルタ64を経て加熱部52に循環する。なお、上下ノズル60,62の熱風の吹き出し口は、エンプラ1の幅方向に沿ってスリット状の開口部となっている。
【0023】この上下ノズル60,62のうち最も緩衝室16に近い上下ノズル60a,62aには、図2に示すようにそれぞれ案内板66,67が設けられており、上下ノズル60a,62aから吹き出された熱風は第2熱処理室18の搬入口を経て緩衝室16に流れ込む。
【0024】(緩衝室)緩衝室16について説明する。
【0025】緩衝室16は図1〜図3に示すように、エンプラ1の搬送路の上下にそれぞれ3個の上吸込みノズル68、下吸込みノズル70が設けられている。各上下吸込みノズル68,70の空気吸込みパイプ71にはそれぞれ風量を調整するためのバルブ72が設けられ、このバルブ72の先に吸い込みファン74が設けられている。吸込みファン72によって、各上下吸込みノズル68,70から吸い込まれた熱風は、第2熱処理室18に送風される。なお、上下吸込みノズル68,70の吸い込み口は、図3の断面図に示すように、エンプラ1の幅方向に沿って複数の孔が開口している。
【0026】そして、上下吸込みノズル68,70から吸い込まれる熱風の量はバルブ72を調整することによって行うことができる。
【0027】(動作状態)上記構成の熱処理装置10の動作状態について説明する。
【0028】テンタクリップ76、76によって両耳を挟まれたエンプラ1は予熱室12に搬入され、上下ノズル20,22から熱風を吹き付けられて予熱が行われる。そして、第1熱処理室14に搬入される。
【0029】第1熱処理室14では所定の延伸幅にテンタクリップ76,76を横方向へ移動させるとともに、エンプラ1に向かって上下ノズル42,44から360℃の熱風を吹き付け、延伸を行う。
【0030】緩衝室16においては、第1熱処理室14の上下ノズル42a,44bからの360℃の熱風が案内板48,50によって流れ込み、第2熱処理室18の上下ノズル60a,62aからの200℃の熱風が案内板66,67によって流れ込む。そのために、緩衝室16の内部温度は第1熱処理室14側が360℃であり、それから次第に下がり、第2熱処理室18近傍では200℃となっている。
【0031】そして、緩衝室16を通過するエンプラ1を次第に、かつ、急速に冷却するために、その緩衝室16の内部温度の状態を図5に示す実線のようにする。これによって緩衝室16を通過するエンプラ1の温度は360℃から200℃に滑らかに、かつ、急速に冷却することができる。
【0032】なお、この内部温度の変化の状態は複数のバルブ72を調整することによって、各位置での熱風の吸い込み量を調整して図5に示す二点鎖線のようにさらに緩やかに冷却する場合と、点線で示すように急激に冷却することなど色々な設定を行うことが可能である。
【0033】第2熱処理室18では、200℃に冷却されたエンプラ1を熱固定するために、上下ノズル60,62から200℃の熱風を吹き付ける。この場合に、緩衝室16から吸い込まれた熱風が第2熱処理室18に送り込まれるため、この熱を利用して、第2熱処理室18の熱量を省エネルギー化することができる。
【0034】以上により、緩衝室16を設けることにより、第1熱処理室14では360℃のエンプラ1が第2熱処理室18に入るときには200℃まで冷却することができ、融点が高いエンプラ1でも延伸処理を行うことができる。
【0035】(変更例)なお、上記実施例ではエンプラ1を用いて説明したが、これに限らず熱セットが必要なフィルム、繊維布、不織布においても本実施例の熱処理装置10を使用することができる。
【0036】さらに、本実施例では緩衝室16に3つの上吸込みノズル68,70をそれぞれ設けたがこれに代えて、上吸込みノズル68,下吸込みノズル70の数をさらに増加させれば、図5に示す緩衝室16における内部温度の冷却状態をさらに細かく設定することが可能となる。
【0037】なお、上記実施例では、360℃から200℃まで温度を下げる場合(すなわと、温度差160℃)を説明したが、これは一例であり、本発明では50℃以上の150℃から200℃の温度差がある急冷を行うことができる。例えば、300℃から400℃の温度から200度以下、または、400℃から500℃の温度から300℃以下に急冷できる。
【0038】
【発明の効果】以上により本発明の熱処理装置であると、加熱されたウエブを、急激に冷却することが可能となり、融点の高いエンプラ等にも熱処理が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000240341
【氏名又は名称】株式会社ヒラノテクシード
【出願日】 平成11年9月20日(1999.9.20)
【代理人】 【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子 (外3名)
【公開番号】 特開2001−91162(P2001−91162A)
【公開日】 平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願番号】 特願平11−265565