| 【発明の名称】 |
熱処理方法及びそれに用いる熱処理装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡本 朗
【氏名】河原 隆彦
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| 【要約】 |
【課題】所望のタイミングで、さや蓋の開閉を行うことが可能で、封止状態で、あるいは封止解除状態で熱処理や冷却を行うことが可能で、被熱処理物を効率よく熱処理することが可能な熱処理装置及び熱処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】熱処理さや1が所定の経路で焼成炉6内を移動する際の所定の区間B,Dにおいては、さや蓋3を支持してさや本体2から浮き上がらせることができるように、さや本体2との位置関係において高さが高くなり、他の区間A,Cにおいては、さや蓋3を支持せず、さや本体2がさや蓋3により封止された状態となるようにさや本体2との位置関係において高さが低くなるように構成されたさや蓋支持レール8を備えた構成とし、任意の区間では熱処理さや1を非封止状態とし、前記所定の区間以外の他の区間では熱処理さや1を封止状態として熱処理を行えるようにする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】被熱処理物を熱処理さやに収容し、熱処理炉を通過させることにより、被熱処理物の熱処理を行うための熱処理装置であって、熱処理炉と、上部が開口したさや本体と、さや本体の開口部を覆うさや蓋とを備えてなり、かつ、さや本体及びさや蓋の一方には少なくとも他方と係合する凹部又は凸部からなる係合部(一方側係合部)が形成され、かつ、さや本体及びさや蓋の他方には、少なくとも前記一方側係合部と係合する凹部又は凸部からなる係合部(他方側係合部)が形成された熱処理さやと、前記熱処理さやを所定の経路で移動させて前記熱処理炉を通過させるための搬送手段と、少なくとも一部が前記熱処理炉内に位置するように設けられ、前記熱処理さやが所定の経路で移動する際の所定の区間では、さや蓋を支持してさや本体から浮き上がらせ、前記所定の区間以外の他の区間では、さや蓋を支持せず、さや本体がさや蓋により封止された状態となるように、前記所定の区間では、さや本体との位置関係において高さが高くなり、前記所定の区間以外の他の区間では、さや本体との位置関係において高さが低くなるように配設されたさや蓋支持レールとを具備することを特徴とする熱処理装置。 【請求項2】前記所定の区間が複数あることを特徴とする請求項1記載の熱処理装置。 【請求項3】前記所定の区間の前後の少なくとも一方において、さや蓋支持レールに所定の傾斜を設けることにより、さや本体との位置関係において高さが徐々に変化するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の熱処理装置。 【請求項4】前記さや蓋の、前記さや蓋支持レールの上り傾斜部又は下り傾斜部に当接することになる、移動方向の先端側及び後端側の下端部に丸みを持たせたことを特徴とする請求項3記載の熱処理装置。 【請求項5】前記さや蓋に一方側係合部として貫通穴を形成し、前記さや本体に他方側係合部として、前記さや蓋の貫通穴に嵌入し、前記所定の区間において、さや蓋がさや本体から浮き上がった状態になったときにも前記貫通穴にその一部が嵌入した状態が維持されるような高さの突起を形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱処理装置。 【請求項6】請求項1〜5記載の熱処理装置を用いて、被熱処理物を熱処理する方法であって、前記熱処理さやに被熱処理物を収容し、前記搬送手段により、前記熱処理さやを、所定の経路で移動させて熱処理炉を通過させ、前記所定の区間においては、さや蓋がさや蓋支持レールにより支持されてさや蓋がさや本体から浮き上がり、熱処理さやが非封止状態となり、前記所定の区間以外の他の区間においては、さや蓋支持レールによりさや蓋が支持されず、さや本体にさや蓋が施されて、熱処理さやが封止状態となるようにして被熱処理物の熱処理を行うことを特徴とする熱処理方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本願発明は、熱処理装置及び熱処理方法に関し、詳しくは、被熱処理物を蓋付きの熱処理さやに収容して熱処理する場合に用いられる熱処理装置及び熱処理方法に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】正特性サーミスタ(PTC)素子などのセラミック電子部品は、通常、セラミック成形体(PTC素体)を所定の条件で熱処理する工程を経て製造されている。 【0003】そして、従来の熱処理(焼成)工程では、通常、成形助剤として添加されている有機系のバインダーを所定の温度に加熱して燃焼、分解させて脱バインダーを行った後、さらに加熱、昇温してセラミックを焼結させるようにしている。なお、セラミックを焼結させる前に脱バインダーを行うようにしているのは、セラミックの焼結温度にまでただちに加熱、昇温すると、急激な分解ガスの発生により被熱処理物(セラミック成形体)に損傷や変形が生じる場合があり、また、バインダーの分解ガスや燃焼ガスが多量に存在する雰囲気で熱処理を行うと、製品の特性に悪影響を与えたりする場合があることによる。 【0004】ところで、複数個の被熱処理物を同時に焼成する場合、例えば図6に示すように、上面が開口した浅い箱形のさや本体52と、平板状のさや蓋53からなる熱処理さや51を用い、複数の被熱処理物54を、さや本体52に収納して熱処理する方法がある。そして、この方法で被熱処理物の熱処理(焼成)を行う場合、通常は、まず、脱バインダーを行った後、さらに温度を上げて本焼成を行っている。 【0005】ところで、脱バインダーは、通常、熱処理さやが封止されていない状態で行うほうが、分解ガスや燃焼ガスを速やかに排出させることができて望ましい。そこで、従来は、バインダーの分解ガスや燃焼ガスが除去されやすいように、まず、さや本体52がさや蓋53により封止されていない状態で脱バインダーを行い、その後、さや本体52の開口部がさや蓋53により封止された状態で安定した熱処理を行うことができるように、例えば、図7に示すように、さや本体52とさや蓋53との間に、スペーサとしてカーボン片55を挟み込んで熱処理を行っている。 【0006】この方法によれば、脱バインダーが行われる温度(例えば500℃程度)では、カーボン片55によりさや本体52とさや蓋53との間に形成された隙間からバインダーの分解ガスや燃焼ガスが効率よく排出され、その後熱処理温度を、例えば1000℃程度にまで上昇させると、カーボン片55が燃焼して消失し、さや本体52の開口部がさや蓋53により封止され、その状態で熱処理が行われることになる。その結果、上方からの異物の落下や組成成分の揮散などを抑制しつつ熱処理を行うことが可能になる。 【0007】しかし、上述の方法では、例えば、セラミック成形体中のバインダーが抜けにくいような場合に、厚みの大きいカーボン片(スペーサ)55を用いて、さや本体52とさや蓋53の間隔を大きくとることが必要となることがあり、そのような場合、カーボン片(スペーサ)55の厚みが大きくなると焼成中に、積み崩れが生じ、さや蓋53の一部がさや本体52内に落下してしまうおそれがあり、信頼性が低いという問題点がある。 【0008】また、さや蓋53でさや本体52を封止した状態で焼成した場合、冷却に要する時間が長くなり、それが被熱処理物の特性に悪影響を与えて、目的とする特性が得られなくなったり、生産効率が低下したりするという問題点がある。 【0009】本願発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、所望のタイミングで、さや蓋の開閉を行うことが可能で、封止状態で、あるいは封止解除状態で熱処理や冷却を行うことが可能で、被熱処理物を効率よく熱処理することが可能な熱処理装置及び熱処理方法を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本願発明の熱処理装置は、被熱処理物を熱処理さやに収容し、熱処理炉を通過させることにより、被熱処理物の熱処理を行うための熱処理装置であって、熱処理炉と、上部が開口したさや本体と、さや本体の開口部を覆うさや蓋とを備えてなり、かつ、さや本体及びさや蓋の一方には少なくとも他方と係合する凹部又は凸部からなる係合部(一方側係合部)が形成され、かつ、さや本体及びさや蓋の他方には、少なくとも前記一方側係合部と係合する凹部又は凸部からなる係合部(他方側係合部)が形成された熱処理さやと、前記熱処理さやを所定の経路で移動させて前記熱処理炉を通過させるための搬送手段と、少なくとも一部が前記熱処理炉内に位置するように設けられ、前記熱処理さやが所定の経路で移動する際の所定の区間では、さや蓋を支持してさや本体から浮き上がらせ、前記所定の区間以外の他の区間では、さや蓋を支持せず、さや本体がさや蓋により封止された状態となるように、前記所定の区間では、さや本体との位置関係において高さが高くなり、前記所定の区間以外の他の区間では、さや本体との位置関係において高さが低くなるように配設されたさや蓋支持レールとを具備することを特徴としている。 【0011】少なくとも一部が前記熱処理炉内に位置するように設けられ、熱処理さやが所定の経路で移動する際の所定の区間では、さや蓋を支持してさや本体から浮き上がらせ、前記所定の区間以外の他の区間では、さや蓋を支持せず、さや本体がさや蓋により封止された状態となるように、前記所定の区間では、さや本体との位置関係において高さが高くなり、前記所定の区間以外の他の区間では、さや本体との位置関係において高さが低くなるように配設されたさや蓋支持レールを備えた構成とすることにより、所定の区間ではさや蓋をさや蓋支持レールにより支持して熱処理さやを非封止状態とし、所定の区間以外の他の区間においては、さや蓋をさや蓋支持レールにより支持せず、熱処理さやを封止状態として、所望の条件で被熱処理物の熱処理することが可能になる。すなわち、本願発明によれば任意の区間では熱処理さやを非封止状態とし、他の区間では熱処理さやを封止状態として、焼成条件を制御することが可能になり、所望の特性を備えた焼成体を得ることができるようになる。 【0012】また、請求項2の熱処理装置は、前記所定の区間が複数あることを特徴としている。 【0013】本願発明においては、さや蓋がさや本体から浮き上がって熱処理さやが非封止状態となる区間を複数設けることも可能である。このように、被熱処理物を熱処理する場合に熱処理条件(温度プロファイルや熱処理雰囲気条件など)に応じて、複数の区間で熱処理さやが非封止状態となるようにすることにより、焼成条件をさらに細かく制御することが可能になり、所望の特性を備えた焼成体を得ることができるようになる。なお、上記の所定の区間は、熱処理炉内に限らず、熱処理炉の入口側及び出口側にも設けることも可能である。 【0014】また、請求項3の熱処理装置は、前記所定の区間の前後の少なくとも一方において、さや蓋支持レールに所定の傾斜を設けることにより、さや本体との位置関係において高さが徐々に変化するようにしたことを特徴としている。 【0015】所定の区間の前後の少なくとも一方の区間で、さや蓋支持レールに所定の傾斜をつけることにより、さや本体との位置関係において高さが徐々に変化するようにした場合、熱処理さや及び熱処理さや内に収容された被熱処理物に加わる衝撃を抑制して、熱処理さや内の被処理物の積み崩れを抑制、防止し、信頼性を向上させることが可能になる。 【0016】また、請求項4の熱処理装置は、前記さや蓋の、前記さや蓋支持レールの上り傾斜部又は下り傾斜部に当接することになる、移動方向の先端側及び後端側の下端部に丸みを持たせたことを特徴としている。 【0017】さや蓋の移動方向の先端側及び後端側の下端部に丸みを持たせることにより、さや蓋が、さや蓋支持レールの上りの傾斜部に当接して上方に押し上げられ、あるいは下りの傾斜に沿って下降する際の動作を円滑にするとともに、衝撃を抑制することが可能になり、熱処理さや内の被処理物の積み崩れを抑制、防止し、信頼性を向上させることが可能になる。 【0018】また、請求項5の熱処理装置は、前記さや蓋に一方側係合部として貫通穴を形成し、前記さや本体に他方側係合部として、前記さや蓋の貫通穴に嵌入し、前記所定の区間において、さや蓋がさや本体から浮き上がった状態になったときにも前記貫通穴にその一部が嵌入した状態が維持されるような高さの突起を形成したことを特徴としている。 【0019】さや蓋に一方側係合部として貫通穴を形成し、さや本体に他方側係合部として、さや蓋の貫通穴に嵌入し、所定の区間において、さや蓋がさや本体から浮き上がった状態になったときにも貫通穴にその一部が嵌入した状態が維持されるような高さの突起を形成した構成とすることにより、さや蓋の昇降(開閉)を確実に行わせることが可能で、かつ、さや蓋がさや本体から浮き上がった状態になった場合にも、両者が確実に係合した状態を維持することが可能になり、本願発明をより実効あらしめることが可能になる。 【0020】また、本願発明(請求項6)の熱処理方法は、請求項1〜5記載の熱処理装置を用いて、被熱処理物を熱処理する方法であって、前記熱処理さやに被熱処理物を収容し、前記搬送手段により、前記熱処理さやを、所定の経路で移動させて熱処理炉を通過させ、前記所定の区間においては、さや蓋がさや蓋支持レールにより支持されてさや蓋がさや本体から浮き上がり、熱処理さやが非封止状態となり、前記所定の区間以外の他の区間においては、さや蓋支持レールによりさや蓋が支持されず、さや本体にさや蓋が施されて、熱処理さやが封止状態となるようにして被熱処理物の熱処理を行うことを特徴としている。 【0021】上述の本願発明の熱処理装置を用いることにより、任意の区間では熱処理さやを非封止状態とし、前記所定の区間以外の他の区間では熱処理さやを封止状態として熱処理を行うことが可能になり、焼成条件を任意に制御して、所望の特性を有する焼成体を得ることが可能になる。 【0022】 【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態を示してその特徴とするところをさらに詳しく説明する。 【0023】図1は、本願発明の一実施形態にかかる熱処理装置の概略構成を示す図、図2はその要部構成を示す図、図3は本願発明の一実施形態にかかる熱処理装置を構成する熱処理さやを示す図であり、(a)はさや蓋を施す前の状態、(b)はさや蓋を施した後の状態を示す斜視図である。この実施形態の熱処理装置は、図3(a),(b)に示すように、被熱処理物(この実施形態ではPTC素体となるセラミック成形体)4を熱処理さや1に収容し、熱処理炉6を通過させることにより、被熱処理物4の熱処理を行うための熱処理装置であって、図1及び図2に示すように、熱処理炉6と、上部が開口したさや本体2と、さや本体2の開口部を覆うさや蓋3からなる熱処理さや1と、熱処理さや1を支持するとともに、所定の経路で移動させて熱処理炉6を通過させるための搬送手段(ここでは、多数の回転ローラを並べて配設してなる回転ローラ式の搬送手段)7と、少なくとも一部が熱処理炉6内に位置するように、搬送手段7の上方に搬送手段7と略平行に配設されたさや蓋支持レール8とを備えている。 【0024】さや蓋支持レール8は、熱処理さや1が所定の経路で移動する際の所定の区間(この実施形態では、区間B及びD)においては、さや蓋3を押し上げて、さや本体2から浮き上がらせることができるように、搬送手段7との高さ方向の距離が大きくなり(すなわち、さや本体2との位置関係において高さが高くなり)、また、上記の区間B及びD以外の他の区間(すなわち、上記区間Bの上流側の区間Aと、上記の区間Bの下流側の区間C)においては、さや蓋3を押し上げることがなく、さや蓋3がさや本体2上に載り、さや本体2がさや蓋3により封止された状態となるように、搬送手段7との高さ方向の距離が小さくなるように(すなわち、さや本体2との位置関係において高さが低くなるように)構成されている。 【0025】また、さや蓋支持レール8には、搬送手段7との高さ方向の距離が変化する領域(各区間A,B,C,Dの境界部)に、上りまたは下りの傾斜(部)10が設けられており、これによって、搬送手段7との高さ方向の距離が徐々に変化するように構成されている。 【0026】また、上記の熱処理さや1を構成するさや本体2は、ムライトやアルミナなどの耐熱性材料で構成されており、対向する一対の側壁上端部には、さや蓋3との係合用の凸部(一方側係合部である突起)2a,2bが形成されている。また、さや蓋3も、ムライトやアルミナなどの耐熱性材料で構成されており、その両端側には、さや本体2の凸部2a,2bが嵌入する係合用の凹部(他方側係合部である貫通穴)3a,3bが形成されている。なお、突起2a,2bは、上記の所定の区間B,Dにおいて、さや蓋3がさや本体2から浮き上がった状態になったときにも貫通穴3a,3bに、さや本体2の突起2a,2bの一部が嵌入して、さや本体2とさや蓋3とが係合した状態が維持されるような高さを有している。 【0027】さらに、さや蓋3の移動方向の先端側及び後端側の下端部11には所定の丸み(R)が付与されており、さや蓋3が、さや蓋支持レール8の上りの傾斜(部)10に当接して上方に押し上げられ、あるいは下りの傾斜(部)10に沿って下降する際の動作が円滑になるとともに、その際の衝撃を抑制することができるように構成されている。なお、この実施形態の熱処理装置においては、熱処理さや1は、炭化ケイ素からなる台板9に載置された状態で搬送手段7により熱処理炉を移動するように構成されている。 【0028】次に、上記のように構成された熱処理装置を用いて被熱処理物を熱処理する際の動作について説明する。 ■まず、図3(a)に示すように、さや本体2の内部に被熱処理物4を収容し、図3(b)に示すようにさや蓋3を施す。 【0029】■それから、図1に示すように、被熱処理物4が内部に収容された熱処理さや1を搬送手段7上に載置し、矢印Y方向に搬送して、所定の経路で熱処理炉6を通過させる。このとき、熱処理さや1が区間Aを通過する際においては、さや蓋支持レール8がさや本体2の高さより低い位置にあることから、さや蓋3はさや本体2上に載った状態、すなわち、さや本体2がさや蓋3により封止された状態で矢印Yの方向に搬送される。 【0030】■そして、熱処理さや1が区間B(この実施形態では脱バインダー領域)に搬送されてくると、その途中でさや蓋3がさや蓋支持レール8の上りの傾斜に沿って上方に押し上げられ、さや本体2から浮き上がって熱処理さや1(さや本体2)の封止状態が解除される。すなわち、区間(脱バインダー領域)Bでは、図2に示すように、さや蓋支持レール8がさや本体2の高さより高い位置にあるため、さや蓋3がさや蓋支持レール8によって上方に押し上げられ、さや本体2から浮き上がった状態となり、さや本体2とさや蓋3の間に隙間G(図1及び図2)が形成され、熱処理さや1が非封止状態となり、バインダーの分解ガスや燃焼ガスが速やかに外部に排出される。なお、さや蓋3がさや本体2から浮き上がった状態でも、さや蓋3の貫通穴3a,3bに、さや本体2の突起2a,2bの一部が嵌入し、さや本体2とさや蓋3とが係合した状態が維持されるため、さや本体2とさや蓋3はともに、矢印Yの方向に搬送される。 【0031】■このようにして、区間Bにおいて脱バインダーが行われた後、熱処理さや1が区間C(この実施形態では本焼成領域)に搬送されると、その過程で、さや蓋3が、さや蓋支持レール8の下りの傾斜(部)10に沿って下降し、さや本体3がさや本体2上に載った状態(熱処理さや1(さや本体2)が封止された状態)となる。すなわち、区間(本焼成領域)Cでは、さや蓋支持レール8がさや本体2の高さより低い位置にあるため、さや蓋3がさや本体2に載った状態となり、熱処理さや1が封止状態となって、上方からの異物の落下や組成成分の揮散などを抑制、防止しつつ熱処理(本焼成)が行われる。 【0032】■上述のようにして本焼成が行われた後、熱処理さや1が区間D(この実施形態では冷却領域)に搬送されると、その過程でさや蓋3がさや蓋支持レール8の上りの傾斜に沿って上方に押し上げられ、さや本体2から浮き上がって、さや本体2とさや蓋3の間に隙間G(図1及び図2)が形成され、熱処理さや1(さや本体2)の封止状態が解除される。すなわち、区間(冷却領域)Dでは、さや蓋支持レール8がさや本体2の高さより高い位置にあるため、さや蓋3がさや蓋支持レール8によって押し上げられてさや本体2から浮き上がった状態となり、熱処理さや1が非封止状態となって、速やかに冷却が行われる。その結果、冷却工程に要する時間を短くすることが可能になり、生産効率の向上を図ることが可能になる。 【0033】なお、この冷却工程において、熱処理さや1を非封止状態としたり、封止状態にしたり、あるいは、非封止状態と封止状態を所定の時間割合で組み合わせたりすることにより、目的の特性(例えば抵抗など)をコントロールすることが可能になる。例えば、熱処理さや1を非封止状態として冷却工程を行えば、被熱処理物(PTC素体)4の酸化が進行して低抵抗品を得ることが可能になり、また、熱処理さや1を封止状態として冷却工程を行えば、被熱処理物(PTC素体)4の酸化を抑制して、高抵抗品を得ることが可能になる。 【0034】なお、本願発明においては、冷却工程に限らず、熱処理工程の全体において、さや蓋支持レールの高さを調整することにより、熱処理さやの開閉状態を任意に制御して、所望の条件及び雰囲気で熱処理を行うことが可能である。 【0035】なお、上記実施形態では、被熱処理物がPTC素体となるセラミック成形体である場合を例にとって説明したが、本願発明は、誘電体セラミック、圧電体セラミック、磁性体セラミック、その他種々の被熱処理物を熱処理する場合に広く適用することが可能である。 【0036】また、上記実施形態では、搬送手段として、回転ローラ式の搬送手段を用いた場合について説明したが、搬送手段はこれに限られるものではなく、ベルトコンベア式のものなど、他の構成のものを用いることも可能である。 【0037】また、図4は、本願発明の熱処理装置の変形例を示す図である。この熱処理装置においては、さや蓋3を支えるさや蓋支持レールとして、間隔G1の大きい一対のさや蓋支持レール(幅広支持レール)8aと、間隔G2の小さい一対のさや蓋支持レール(幅狭支持レール)8bの2つのさや蓋支持レールが設けられており、かつ、各さや蓋支持レール8a,8bごとに、任意にその高さが設定されている。 【0038】このように間隔の異なる複数のさや蓋支持レール8a,8bを備えた構成とした場合、図5に模式的に示すように、幅広支持レール8aの間隔G1より幅の広いさや蓋13aと、幅狭支持レール8bの間隔G2より幅が広くかつ、幅広支持レール8aの間隔G1より幅の狭いさや蓋13bの2種類のさや蓋を用いることにより、熱処理さやの開閉条件(焼成条件)を容易に変更することが可能になる。すなわち、幅の広いさや蓋13aを用いた場合には、幅広支持レール8aによりさや蓋13aの開閉が行われ、幅の狭いさや蓋13bを用いた場合には、幅狭支持レール8bによりさや蓋13bの開閉が行われることになり、幅の異なるさや蓋を用意するだけで、焼成条件を容易に変更することが可能になる。なお、図4及び図5において、図2と同一符号を付した部分は、同一又は相当部分を示している。 【0039】なお、この変形例の場合においても、さや蓋13a、13bの開閉条件は、脱バインダー領域、本焼成領域、冷却領域の各領域において、任意に設定することが可能であり、さや蓋13a、13bの開閉間隔や、開閉回数を任意に設定することにより、熱処理工程の全体において、熱処理さやの開閉状態を任意に制御して、所望の条件及び雰囲気で熱処理を行うことが可能になる。 【0040】本願発明はさらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、熱処理さやを構成するさや本体及びさや蓋の具体的な形状、構成材料、被熱処理物の熱処理さやへの収容態様などに関して、発明の要旨の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。 【0041】 【発明の効果】上述のように、本願発明の熱処理装置は、熱処理さやが所定の経路で移動する際の所定の区間では、さや蓋を支持してさや本体から浮き上がらせ、所定の区間以外の他の区間では、さや蓋を支持せず、さや本体がさや蓋により封止された状態となるように、所定の区間では、さや本体との位置関係において高さが高くなり、所定の区間以外の他の区間では、さや本体との位置関係において高さが低くなるように配設されたさや蓋支持レールを備えた構成としているので、所定の区間ではさや蓋をさや蓋支持レールにより支持して熱処理さやを非封止状態とし、所定の区間以外の他の区間においては、さや蓋をさや蓋支持レールにより支持せず、熱処理さやを封止状態として、所望の条件で被熱処理物の熱処理することが可能になる。すなわち、本願発明によれば任意の区間では熱処理さやを非封止状態とし、他の区間では熱処理さやを封止状態として、焼成条件を制御することが可能になり、所望の特性を備えた焼成体を得ることができるようになる。 【0042】また、請求項2の熱処理装置のように、さや蓋がさや本体から浮き上がって熱処理さやが非封止状態となる区間を複数設けることにより、焼成条件をさらに細かく制御することが可能になり、所望の特性を備えた焼成体を得ることができるようになる。 【0043】また、請求項3の熱処理装置のように、所定の区間の前後の少なくとも一方の区間で、さや蓋支持レールに所定の傾斜をつけることにより、さや本体との位置関係において高さが徐々に変化するようにした場合、熱処理さや及び熱処理さや内に収容された被熱処理物に加わる衝撃を抑制して、熱処理さや内の被処理物の積み崩れを抑制、防止し、信頼性を向上させることができるようになる。 【0044】また、請求項4の熱処理装置のように、さや蓋の移動方向の先端側及び後端側の下端部に丸みを持たせることにより、さや蓋が、さや蓋支持レールの上りの傾斜部に当接して上方に押し上げられ、あるいは下りの傾斜に沿って下降する際の動作を円滑にするとともに、衝撃を抑制することが可能になり、熱処理さや内の被処理物の積み崩れを抑制、防止し、信頼性を向上させることが可能になる。 【0045】また、請求項5の熱処理装置のように、さや蓋に一方側係合部として貫通穴を形成し、さや本体に他方側係合部として、さや蓋の貫通穴に嵌入し、所定の区間において、さや蓋がさや本体から浮き上がった状態になったときにも貫通穴にその一部が嵌入した状態が維持されるような高さの突起を形成した構成とすることにより、さや蓋の昇降(開閉)を確実に行わせることが可能で、かつ、さや蓋がさや本体から浮き上がった状態になった場合にも、両者が確実に係合した状態を維持することが可能になり、本願発明をより実効あらしめることができる。 【0046】また、本願発明(請求項6)の熱処理方法のように、上述の本願発明の熱処理装置を用いることにより、任意の区間では熱処理さやを非封止状態とし、前記所定の区間以外の他の区間では熱処理さやを封止状態として熱処理を行うことが可能になり、焼成条件を任意に制御して、所望の特性を焼成体を得ることが可能になる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006231 【氏名又は名称】株式会社村田製作所
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| 【出願日】 |
平成11年9月16日(1999.9.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092071 【弁理士】 【氏名又は名称】西澤 均
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| 【公開番号】 |
特開2001−82881(P2001−82881A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月30日(2001.3.30) |
| 【出願番号】 |
特願平11−261471 |
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