| 【発明の名称】 |
挿入体を備えた坩堝装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】根橋 清
【氏名】勝俣 和彦
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| 【要約】 |
【課題】湯面が低下しても適切に加熱できることを目的とする。さらに坩堝を適切に予熱できることを目的とする。
【解決手段】外側周囲に誘導加熱コイル6を巻かれた坩堝1と、この坩堝内に挿入可能な挿入体2と、この挿入体2を坩堝内で昇降する昇降装置3と、を備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外側周囲に誘導加熱コイルを巻かれた坩堝と、この坩堝内に挿入可能な挿入体と、この挿入体を坩堝内で昇降する昇降装置と、を備えたことを特徴とする挿入体を備えた坩堝装置。 【請求項2】 前記坩堝の底にはノズルが設けられており、前記挿入体を坩堝底部に近接または押付ることによりノズルからの出湯量を調整しまたは停止させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の挿入体を備えた坩堝装置。 【請求項3】 前記挿入体の少なくても一部は導電体で構成されており、坩堝の誘導加熱コイルに通電することにより発熱するようになっていることを特徴とする請求項1記載の挿入体を備えた坩堝装置。 【請求項4】 前記挿入体の表面は耐火物で構成され、内部は導電体で構成されていることを特徴とする請求項3記載の挿入体を備えた坩堝装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、坩堝内に挿入体を挿入して湯面調整などを行なう坩堝装置に関する。 【0002】 【従来の技術】坩堝は原料を入れて溶解し溶湯にして次工程に供給したり、他の坩堝から溶湯を供給され保熱して次工程に供給するというように用いられる。坩堝内の溶湯の加熱や保熱用として、坩堝周囲に誘導加熱コイルを巻いて誘導加熱する方式のものがよく用いられる。坩堝の湯面は通常は一定レベルで用いられることが多いため、誘導加熱コイルはそのレベル面に合せた高さまで巻かれている。 【0003】坩堝からの出湯は、坩堝を傾斜させて行なう。または坩堝底面に設けたノズルから出湯する。ノズルから出湯する場合は、最初に坩堝に一杯に注湯し、ノズルが閉塞しない限りそのまま全量ノズルより出湯される。また、坩堝の予熱が必要な場合は、別途の加熱手段(ヒータ、バーナ等)からの輻射熱により坩堝を予熱している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】■ 通常坩堝の湯面はほぼ一定であるため、その湯面に合わせて誘導加熱コイルの巻きつけ範囲は決められている。しかし、坩堝の底部から出湯する場合や、坩堝に入れる溶湯の量が変動する場合で、かつ坩堝内の溶湯を加熱あるいは保熱する場合、湯面高さが変動すると湯のある位置のコイルしか加熱に寄与せず、湯のない位置のコイルは遊んでしまうので、効率よく加熱や保熱ができなくなる。特に湯面が極端に低下した場合は加熱や保熱が殆どできなくなる。 ■ 湯面が低下した場合は溶湯が保有している熱量が少ないにもかかわらず、坩堝からの熱放散は相対的に多いため、湯温の一層の低下をもたらし、坩堝底面のノズルから出湯する場合はノズルの部分で詰まりやすくなったり、坩堝からモールド(鋳型)に鋳込む場合、温度低下により湯流れが悪くなるという不具合が生じていた。また、湯温変化により、鋳込まれた成品の特性が変化する欠点もあった。 【0005】■ 坩堝の下面ノズルから出湯する場合、坩堝およびノズルを予熱しておいても、材料の溶解温度が高い場合(例えば鉄系で1550℃)、坩堝及びノズルを同温度まで予熱することは困難である。従って、坩堝に注湯するとき、少しづづ注湯すると、湯温が急激に低下し、ノズルが詰まる問題があった。 ■ この対策として、温度低下分を見越して、溶湯温度を予め高い温度に設定しておくことも可能であるが、a)最初に出湯するものは高温すぎて鋳込みに不適当である。 b)蒸発し易い成分を含む場合、高温で蒸発してしまい成分が変わる。 c)坩堝の耐火物を傷める。 という問題がある。 【0006】本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、湯面が低下しても適切に加熱できることを目的とする。さらに坩堝を適切に予熱できることを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため請求項1の発明では、外側周囲に誘導加熱コイルを巻かれた坩堝と、この坩堝内に挿入可能な挿入体と、この挿入体を坩堝内で昇降する昇降装置と、を備える。 【0008】坩堝の湯面が低下したとき、挿入体を坩堝に挿入することにより、湯面を誘導加熱コイルがほぼ全て有効に働く位置に保持することができる。これにより誘導加熱コイルによる加熱は適切に行われ、温度低下や効率低下を防止できる。 【0009】請求項2の発明では、前記坩堝の底にはノズルが設けられており、前記挿入体を坩堝底部に近接または押付ることによりノズルからの出湯量を調整しまたは停止させるようにする。 【0010】坩堝の底にノズルが設けられている場合、挿入体を坩堝の底近傍に移動することにより、ノズルからの出湯量を調整することができる。また底に挿入体を押付ることにより、ノズルからの出湯を停止することができる。 【0011】請求項3の発明では、前記挿入体の少なくても一部は導電体で構成されており、坩堝の誘導加熱コイルに通電することにより発熱するようになっている。 【0012】挿入体を坩堝に入れた状態で坩堝の誘導加熱コイルに通電することにより、挿入体を加熱でき、この輻射熱により坩堝を予熱したり、坩堝内に湯がある場合はこの湯を加熱や保熱することができる。なお、坩堝の予熱により坩堝に湯を注ぐときの熱衝撃を緩和して割れ等の発生を防止できる。 【0013】請求項4の発明では、前記挿入体の表面は耐火物で構成され、内部は導電体で構成されている。 【0014】表面に耐火物を設けることにより導電体を保護することができる。また導電体が湯と反応する材質の場合これを防止することができる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態を示す挿入体を備えた坩堝装置の構成を示す。坩堝装置は、坩堝1と、この坩堝1内に挿入される挿入体2と、挿入体2を坩堝1に出し入れする昇降装置3と、坩堝1の湯面の位置を検出するレベル計4から構成される。なお、本実施形態の坩堝1は、他の坩堝から供給された溶湯や原料を溶解して得た溶湯を底部に設けられたノズルから次工程に出湯するものである。 【0016】坩堝1は円筒形で底部を有し、耐火物で構成され、側外面に誘導加熱コイル6がほぼ高さ全体にわたり巻かれている。底部には小さな開口(例えば直径0.5〜1mm)のノズル7が多数設けられている。挿入体2は坩堝1の内径よりも幾分小さな外径を有する円筒である。昇降装置3は挿入体2を坩堝1内に昇降させそのレベルを制御するもので、湯面5のレベルを検出するレベル計4の計測値に基づき制御する。昇降装置3にはラックピニヨンやボールネジを用いた機構が用いられる。レベル計4はレーザを用いた距離計などが用いられる。 【0017】挿入体2は、単に坩堝1の湯面5を調整するものであれば、耐火物で構成される。挿入体2を発熱させ坩堝1の予熱や溶湯を加熱、保熱する場合は導電体を含む材質で構成する。図5は挿入体2を導電体である黒鉛8で構成した図を示す。また図6は挿入体2を導電体と耐火物で構成した図を示す。図6において、中心は導電体の黒鉛8で構成し、外面は耐火物のアルミナ9で構成する。外面に耐火物を設けることにより、導電体を溶湯から保護し、また導電体が溶湯と反応するような場合、これを防止する。なお、中心部の導電体と外側の耐火物の熱膨張差が大きい場合は、クッション性を持つ材料を中間に入れて、3重あるいはそれ以上の構成とするとよい。 【0018】次に動作にづいて説明する。坩堝1のノズル7は底部の下側にある図示しない装置により開閉されるものとする。挿入体2は図5、6に示した導電体を含むもので、先ず、湯の入っていない状態で、挿入体2を坩堝1の底まで挿入する。この状態で坩堝1の誘導加熱コイル6に通電すると、挿入体2は加熱される。この輻射熱で坩堝1を予熱する。このようにして坩堝1を予熱した後、挿入体2を上昇させて坩堝1より取り出し、別の坩堝から溶湯を坩堝1に供給する。なお、原料から溶湯を作る場合は原料を入れて誘導加熱コイル6で加熱する。溶湯の冷却を防ぐため、誘導加熱コイル6に通電を持続し保熱する。この状態でノズル7を開放し、溶湯を次工程に出湯する。 【0019】図2は別の坩堝から溶湯を坩堝1に供給する、または原料から溶湯を作り、坩堝に湯が十分入り、挿入体2を坩堝1に入れない状態を示す。この状態でノズル7より放出を続けると、図3に示すように湯面5は低下してしまう。このように低下してしまうと湯面5より上にある誘導加熱コイル6の磁束は溶湯と交差しなくなるため、溶湯を加熱することができなくなる。このため図1に示すように、湯面5をレベル計4で監視しながらその低下に合わせて、昇降装置3により挿入体2を坩堝1に挿入してゆき、湯面5を出来るだけ高いほぼ一定の高さに保持する。これにより溶湯は誘導加熱コイル6により、および誘導加熱コイル6により加熱される挿入体2からの輻射熱により保熱され、ノズル7から出湯することができる。 【0020】図4は挿入体2を坩堝1の底部に押付け、ノズル7を閉塞した状態を示す。挿入体2を挿入してノズル7を閉塞した状態にし、溶湯の条件(温度、成分等)が所定の条件になったところで、挿入体2を引き上げ、ノズル7から出湯するとともに、坩堝1に溶湯を注入してゆくこともできる。また何らかの理由により不都合な条件になった場合、ノズル7からの出湯を任意に停止することができる。また挿入体2と坩堝1の底面の距離を調整することにより、ノズル7からの出湯量を制御することができる。 【0021】従来、湯面が大幅に低下した場合、溶湯が保有している熱量が少ないにもかかわらず、坩堝からの熱放射は相対的に多いため、湯温の一層の低下をもたらし、坩堝底面のノズルから出湯する場合は、ノズルの部分で詰まり易くなったり、ときには凝固してしまい、歩留まりが低下していた。しかし、挿入体2を用い、湯面高さを一定の高い位置に保持することにより、溶湯が最後の極小量になるまで加熱(保熱)を維持でき、歩留まりの大幅な向上が図れる。なお、挿入体2を入れた場合も、最後は湯面低下し、誘導加熱コイル6による加熱量が減少するが、挿入体2に導電体を用いていれば、挿入体2は誘導加熱コイル6により、湯面と関係なく加熱されるので、この輻射熱により溶湯の凝固を防止し、溶湯をノズル7からほぼ全量出湯することができる。これにより坩堝1の底部に残留する凝固物が極めて少くなる。 【0022】 【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明は以下の効果を奏する。 ■ 坩堝の底部から出湯する場合や、坩堝に入れる溶湯が所定量より少ない場合でも、挿入体を坩堝に挿入することにより、湯面を所定高さに維持でき、効率よく必要な加熱や保熱を行なうことができる。 ■ 湯量が少くなっても加熱できるため、凝固物が少くなり、歩留りが向上する。凝固物が少ないのでこれを除去する保守作業が少くなり、作業時間やコストを大幅に削減することができる。また坩堝やノズルの損耗量も少くなり、コストを一層低下できる。 ■ 湯量が少くなっても一定の湯面を維持して十分に加熱できるので、出湯の温度を一定に保持でき、温度低下による鋳込みの不具合を防止できる。 ■ 挿入体を用いて坩堝の予熱が容易にできるので、溶湯を坩堝に注ぐ際の熱衝撃を少くでき、注いだ湯の温度低下を防止できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000099 【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年6月18日(1999.6.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097515 【弁理士】 【氏名又は名称】堀田 実 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−4284(P2001−4284A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月12日(2001.1.12) |
| 【出願番号】 |
特願平11−172510 |
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