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【発明の名称】 ロータリーキルンの監視方法
【発明者】 【氏名】鉄山 一州

【要約】 【課題】ロータリーキルンの操業中に耐火材層の検査を行うことのできるロータリーキルンの監視方法を提供すること。

【解決手段】ロータリーキルン10におけるレンガ壁11の少なくとも1箇所の壁中及び壁外にそれぞれ第1、第2の温度センサを設ける。ロータリーキルンには更に第1、第2の温度センサからの温度検出信号を無線で送信する送信装置23を設け、送信装置で送信された温度検出信号を受信する受信装置31をロータリーキルンとは別の場所に設ける。受信装置で受信された温度検出信号を用いてレンガ壁の損耗状況やロータリーキルンの内部状況の監視を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロータリーキルンにおける耐火材層の少なくとも1箇所の層中及び層外にそれぞれ第1、第2の温度センサを設け、該ロータリーキルンには更に前記第1、第2の温度センサからの温度検出信号を無線で送信する送信部を設け、該送信部で送信された温度検出信号を受信する受信部を前記ロータリーキルンとは別の場所に設け、該受信部で受信された温度検出信号を用いて前記耐火材層の厚さ、ロータリーキルンの内部状況の少なくとも一方の監視を行うことを特徴とするロータリーキルンの監視方法。
【請求項2】 請求項1記載の監視方法において、前記送信部は、前記第1、第2の温度センサからの温度検出信号の送信タイミングを決める手段として、前記ロータリーキルンの回転角度が所定の角度になると作動する傾斜スイッチを有することにより、前記ロータリーキルンの回転に合わせて温度検出信号が送信されることを特徴とするロータリーキルンの監視方法。
【請求項3】 請求項1あるいは2記載の監視方法において、前記受信部で受信された温度検出信号を用いて前記ロータリーキルンの放熱量を算出し、予め得られた放熱量の算出値と比較して前記耐火材層の損耗量を算出することを特徴とするロータリーキルンの監視方法。
【請求項4】 請求項3記載の監視方法において、算出された前記耐火材層の損耗量に対して予め定められた計算により得られる耐火材層内壁温度の短期的な変化を監視することにより、ロータリーキルン内への可燃物の投入量の増加の有無や、耐火材層内壁への付着物の増加の有無を推定することを特徴とするロータリーキルンの監視方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一端部から投入された被処理物を他端側に向けて移動させつつ溶融して他端部からスラグや排ガスを排出するタイプのロータリーキルンに関し、特にその監視方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のロータリーキルンには、ゴミ処理場などの焼却灰や製鉄所における有価金属を含むダスト等を溶融処理するものや、高炉から産出された鉄材を溶融処理して鋳鉄用の溶湯を得るもの等が知られている。
【0003】ロータリーキルン内は高温となるため、内壁は耐火レンガ等の耐火材層で構成されている。しかしながら、耐火材とは言え、長時間にわたる操業の結果、あるいは局部的に高温となる場合がある等の種々の原因で耐火材層には正常あるいは異常の損耗が発生することは避けられない。この耐火材層の損耗、殊に異常損耗がすすむと事故の発生につながるため、損耗状態の検査をする必要がある。
【0004】これまで、耐火材層の損耗状態の検査は、定期的にロータリーキルンの操業を停止し、内部に人が入って目視やボーリングによる残厚測定により行うのが普通であった。しかしながら、このような検査は、内部温度が十分に低下した後でなければ行うことができず、長時間の操業停止が必要となる。そして、長時間の操業停止は、操業損が増加することを意味する。
【0005】これに対し、上記の問題点を解決するために、以下に述べるような検査方法が提案されている。この検査方法では、円筒状の耐火材層を有して間欠回転または連続回転する回転溶融炉体の端部開口から炉内に挿入された長尺状の支持体を炉体の軸心と平行に移動させ、支持体の先端部に装備された距離検出部により耐火材層の内周面までの距離を検出し、この距離に基づいて耐火材層の厚さを求めるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の検査方法によれば、炉内に人が入らずにすむ利点があるが、操業を停止した状態で行うことに変わりはない。
【0007】そこで、本発明の課題は、ロータリーキルンの操業中にも耐火材層の検査を行うことのできるロータリーキルンの監視方法を提供することにある。
【0008】本発明の他の課題は、ロータリーキルンの操業中にキルン内部の状況を推定することのできるロータリーキルンの監視方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によるロータリーキルンの監視方法は、ロータリーキルンにおける耐火材層の少なくとも1箇所の層中及び層外にそれぞれ第1、第2の温度センサを設け、該ロータリーキルンには更に前記第1、第2の温度センサからの温度検出信号を無線で送信する送信部を設け、該送信部で送信された温度検出信号を受信する受信部を前記ロータリーキルンとは別の場所に設け、該受信部で受信された温度検出信号を用いて前記耐火材層の厚さ、ロータリーキルンの内部状況の少なくとも一方の監視を行うことを特徴とする。
【0010】前記第1、第2の温度センサからの温度検出信号の送信タイミングを決める手段として、前記送信部に、前記ロータリーキルンの回転角度が所定の角度になると作動する傾斜スイッチを備えることにより、前記ロータリーキルンの回転に合わせて温度検出信号が送信されるようにすることができる。
【0011】前記受信部で受信された温度検出信号を用いて前記ロータリーキルンの放熱量を算出し、操業初期に得られた放熱量の算出値と比較して前記耐火材層の損耗量を算出することができる。
【0012】また、算出された前記耐火材層の損耗量に対して予め定められた計算により得られる耐火材層内壁温度の短期的な変化を監視することにより、ロータリーキルン内への可燃物の投入量の増加の有無や、耐火材層内壁への付着物の増加の有無を推定することができる。
【0013】
【作用】本発明は、ロータリーキルンが回転体であるがために、これまで操業中には連続的に測温できなかったものを、温度情報を電波で送受信することで操業中の連続測温を可能にしている。このことにより、長期的な温度変化を記録できると共に、短期的な変化も操作室で監視できるようになり、操業状態の情報としても利用可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1を参照して、本発明によるロータリーキルンの監視方法の実施の形態について説明する。図1において、ロータリーキルン10における耐火材層、すなわちレンガ壁11の少なくとも1箇所の層中(壁の厚さ方向の中間部)及び層外(壁の外表面)にそれぞれ、第1、第2の温度センサ21、22が設けられる。ロータリーキルン10には更に、第1、第2の温度センサ21、22からの温度検出信号を受けてこれらの温度検出信号を増幅したうえで無線で送信する送信装置23を設けている。送信装置23は、操業中はロータリーキルン10と一体に回転するものであり、ロータリーキルン10からの放熱の影響を受けない場所に設置されるのが望ましい。
【0015】送信装置23に必要な構成要素としては、増幅器、送信用のアンテナを含む送信機、電源としての電池がある。温度検出信号は、ロータリーキルン10の操業中、連続して送信されても良いが、この場合には、送信用のアンテナをロータリーキルン10の周方向に間隔をおいて複数個配置する必要がある。これは、ロータリーキルン10の回転により、送信用のアンテナが受信装置に対して影になる回転角度位置にくると、電波が遮断されて受信装置での受信が困難になるからである。このために、本形態では間欠的に送信するようにしている。これは、温度検出信号の送信タイミングを決める手段として、送信機内に、ロータリーキルン10の回転角度が所定の角度になるとオンとなる傾斜スイッチを備えることで実現できる。このような傾斜スイッチを使用することにより、ロータリーキルン10の1回転当たり、少なくとも1回、温度検出信号が送信されるようにすることができる。このような傾斜スイッチは、フロート式のレベルスイッチ等に使用されているものと同じ原理で動作するものが用いられる。
【0016】一方、送信装置23から送信された温度検出信号を受信する受信装置31は、ロータリーキルン10とは別の場所に固定設置される。受信用のアンテナを通して受信装置31で受信された信号は、変換器32により温度情報を示す信号に変換され、操作室(コントロールルーム)33内の制御装置(図示せず)に入力される。
【0017】制御装置では、変換器32からの温度情報、すなわちレンガ壁11の厚さ方向の中間部における温度とレンガ壁11の外表面の温度とを用いて、予め定められた計算によりロータリーキルン10の放熱量を算出する。制御装置はまた、算出された放熱量を、基準値あるいは操業初期に算出された放熱量と比較してレンガ壁11の損耗量を算出する。
【0018】制御装置は更に、算出された損耗量を参照しながら変換器32からの温度情報を用いてレンガ壁11の短期的な放熱量を監視し、ロータリーキルン10内への可燃物の投入量の増加の有無や、レンガ壁11内壁への付着物の増加の有無を推定する。上記の温度情報や損耗量の算出結果は逐次、操作室内において表示装置に表示されたり、記録装置により記録される。操作室内のオペレータは、表示結果や記録結果を見ながら、補修時期を判断したり、炉内状況を判断する。
【0019】以下に、操業中における監視方法の動作説明を行う。
【0020】■ロータリーキルン10の回転が所定の場所に達する毎に、送信装置23内の傾斜スイッチが作動して温度検出信号が送信される。
【0021】■送信された温度検出信号は受信装置31で受信され、変換器32を介して温度情報が操作室に送られる。
【0022】■操作室では、制御装置が温度情報に基づいてロータリーキルン10の放熱量を算出し、基準値あるいは操業初期の算出値と比較することでレンガ壁11の損耗量を算出する。但し、この場合、レンガ内壁温度は一定と仮定して計算が行われる。
【0023】■その時の算出されたレンガ壁損耗量に対してレンガ内壁温度(計算値)の短期的な変化により炉内状況を推測する。例えば、放熱量が上がれば、可燃物の投入量が増加したと推測される。一方、放熱量が低下すれば可燃物の投入量が減少した、またはレンガ壁内壁への付着物が増加したと推測される。
【0024】以上、第1、第2の温度センサ21、22をレンガ壁11の1箇所に設置する場合について説明したが、対をなす第1、第2の温度センサ21、22は、ロータリーキルン10の長手方向に間隔をおいた複数箇所、あるいはまた周方向に間隔をおいた複数箇所に設置されるのが望ましい。このようにすれば、ロータリーキルン10の全域にわたる損耗量を推定することができる。この場合、送信装置を、第1、第2の温度センサ21、22の組み合わせ数に応じて用意し、それぞれの組の温度検出信号を異なる送信周波数で送信する。あるいはまた、1台の送信装置であっても、各組の温度検出信号を順番に時分割的に受け取り、受け取った温度検出信号に設置場所を示すID情報を付加して送信することで、操作室側ではどこに設置された温度センサからの温度情報であるかの識別を行うことができる。
【0025】以上説明した本形態による監視方法によれば、ロータリーキルンの温度情報をケーブル無しに外部に伝達して、耐火レンガの損耗量の監視を行うことにより、安全な操業を行うと共に、耐火レンガ交換(補修)時期の推測を行うことで、操業損の最小化を図ることができる。また、操業中は視認が難しい炉内燃焼状態の推測を行い、操業条件を適切な条件に変更してより良い燃焼状態を管理することができる。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、ロータリーキルンの放熱量(温度)を継続的に監視することにより、長期的には耐火材層の損耗状況の推測を行うことができ、短期的には炉内の状況の変化(内壁への付着物の状況、燃焼状態)の推測を行うことができ、過損耗による耐火材の脱落を防止すると共に、キルン内を適切な状態に維持管理することを容易にすることができる。
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【出願日】 平成11年6月23日(1999.6.23)
【代理人】 【識別番号】100071272
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 洋介 (外1名)
【公開番号】 特開2001−4283(P2001−4283A)
【公開日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【出願番号】 特願平11−177467