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【発明の名称】 ロープ状布帛の乾燥装置
【発明者】 【氏名】山下 浩

【要約】 【課題】ロープ状布帛を広げることなくそのまま乾燥させることができ、作業の簡易化及び作業時間の短縮化を図ることができるロープ状布帛の乾燥装置を提供する。

【解決手段】乾燥装置を構成する移送管11の入口端には空気噴射部13が接続されるとともに、この空気噴射部13には加熱器15を有するブロアー16が接続されている。ブロアー16内に取り込まれた空気はその途中で加熱器15により加熱され、熱風となって空気噴射部13内へ供給されている。空気噴射部13内に供給された熱風が噴射口18から移送管11の出口側へ向かって噴射されることにより布帛12は移送管11の入口端から出口端へと移送されると同時に、乾燥されるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロープ状をなす布帛を移送する移送管を備え、この移送管には布帛に対し加熱した空気を噴射して布帛の乾燥を行うとともに、その噴射された空気により布帛を移送管の入口端から出口端へと送り出す空気噴射部を設けたロープ状布帛の乾燥装置。
【請求項2】 前記移送管を布帛が連続して移送されるように複数個配設するとともに、各移送管の間にはそれぞれの移送管内に供給される布帛を一時的に滞留する滞留槽を設けた請求項1に記載のロープ状布帛の乾燥装置。
【請求項3】 前記移送管の入口端には移送管内に送り込まれた布帛に対し、その移送方向と逆方向に抵抗力を加えて布帛の移送を制動する制動部を設けた請求項1又は請求項2に記載のロープ状布帛の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はロープ状布帛を加熱された空気とともに装置内を移送することにより乾燥処理を行うためのロープ状布帛の乾燥装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、布帛は染色装置による染色前又は染色後に各種の処理液を使用して精錬処理、還元洗浄処理等といった処理が行われる。このため、布帛は染色前又は染色後に含浸された処理液又は染色液を除去するために洗浄され、乾燥された後、次の処理が行われるようになっている。このような布帛の乾燥を行う乾燥装置としては次のようなものが挙げられる。
【0003】すなわち、乾燥装置の入口端側には一対のローラが互いの間に若干の間隙を有する状態で同じ方向に延びるように回転可能に支持されており、これらローラ間に一枚の帯状をなす布帛が投入され、乾燥装置内へと送り込まれる。乾燥装置内には円筒状をなすドラムが回転可能に支持されるとともに、このドラムは加熱器によってその内周面側から加熱されるようになっている。そして、乾燥装置内へ送り込まれた布帛はドラムの外周面に1周分だけ巻き付けられ、ドラムの表面上で加熱乾燥されながら出口端へと移送され、出口端に設けられたローラにより乾燥装置外へと引き出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、布帛は染色装置を使用して染色処理される際、染色装置内で1本のロープ状をなすようにして処理される。このため、布帛を前記乾燥装置から染色装置へ移動するときには布帛を絞り、ロープ状にする作業が、染色装置から乾燥装置へ移動するときには布帛を広げ、帯状にする作業が必要となる。このとき、布帛は染色液が含浸された状態にあるためこれら作業がしづらく、煩雑で作業時間が長くなるという問題があった。
【0005】この発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、ロープ状布帛を広げることなくそのまま乾燥させることができ、作業の簡易化及び作業時間の短縮化を図ることができるロープ状布帛の乾燥装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に記載のロープ状布帛の乾燥装置の発明は、ロープ状をなす布帛を移送する移送管を備え、この移送管には布帛に対し加熱した空気を噴射して布帛の乾燥を行うとともに、その噴射された空気により布帛を移送管の入口端から出口端へと送り出す空気噴射部を設けたものである。
【0007】請求項2に記載のロープ状布帛の乾燥装置の発明は、請求項1に記載の発明において、前記移送管を布帛が連続して移送されるように複数個配設するとともに、各移送管の間にはそれぞれの移送管内に供給される布帛を一時的に滞留する滞留槽を設けたものである。
【0008】請求項3に記載のロープ状布帛の乾燥装置の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記移送管の入口端には移送管内に送り込まれた布帛に対し、その移送方向と逆方向に抵抗力を加えて布帛の移送を制動する制動部を設けたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1及び図4(a),(b)に示すように、乾燥装置を構成する移送管11は横置きに配設されるとともに、図中で左端部が入口とされ、右端部が出口とされている。移送管11の入口端部は入口端に向かうほど拡径するテーパ状をなしている。ここで、ロープ状布帛とは一枚の帯状をなす布帛をその幅方向に丸め、一本の長縄状とした布帛のことを指し、これ以降は単に布帛12と記載する。
【0010】移送管11の入口端には四角筒状をなす空気噴射部13が接続されるとともに、この空気噴射部13の下面には供給管14を介して加熱器15を有するブロアー16が接続されている。図1の矢印方向からブロアー16内に取り込まれた空気はその途中で加熱器15により100〜120℃に加熱され、熱風となって空気噴射部13内へ供給される。空気の温度が100℃未満の場合、布帛12に対する乾燥能力が低下し、120℃よりも高いと布帛12が縮んだり、皺が形成される。
【0011】空気噴射部13の内部には布帛投入筒17が収容され、この布帛投入筒17は四角錐台状をなしている。これ以降、空気噴射部13及び布帛投入筒17の両側面の開口部のうち、図1及び図4中で左側の開口部をそれぞれ入口13a,17aとし、右側の開口部をそれぞれ出口13b,17bとして記載する。空気噴射部13の出口13bは入口13aと比べて狭くなるように形成されている。布帛投入筒17の入口17aは空気噴射部13の入口13aとほぼ同じ大きさに、出口17bは空気噴射部13の出口13bよりも小さくなるように形成されている。空気噴射部13及び布帛投入筒17において、それぞれの入口13a,17aの間は閉塞されるとともに、それぞれの出口13b,17bの間には間隙が設けられることにより噴射口18が形成されている。そして、空気噴射部13内に供給された熱風が噴射口18から移送管11の出口側へ向かって噴射されることにより布帛12が移送管11の入口端から出口端へと移送される。
【0012】空気噴射部13の入口13aよりも上流側には引上げローラ19aが配設され、この引上げローラ19aによって下方位置の布帛12が上方位置の空気噴射部13まで引き上げられる。液体が含浸された状態にある布帛12は引上げローラ19aにより引き上げられる際、その自重により若干潰れて扁平状となる。引上げローラ19aの上方位置には、この引上げローラ19aよりも直径の小さい押さえローラ19bが対向して配置されている。この押さえローラ19bは引上げローラ19aの周面に布帛12を押し付け、さらに扁平状となるように押圧している。上記の引上げローラ19a及び押さえローラ19bにより制動部19が構成されている。この制動部19は引上げローラ19a及び押さえローラ19bの間に布帛12を挟み込み、その移送方向と逆方向に抵抗力を加えることにより空気の噴射力に対して抑制力を加えて、布帛12の移送を制動する。
【0013】移送管11の出口には移送管11内の布帛12を外部へ排出するための排出筒20が移送管11の延びる方向と直交する上下方向に延びるように取付けられている。この排出筒20はその下端部に布帛12を排出する排出口21を有するとともに、その上端部に移送管11の出口を越えてさらに上方に突出形成された排気口22を有している。そして、移送管11内を移送された布帛12が排出口21から排出されるとともに、熱風が排気口22から排気される。
【0014】排出口21の下方には上方に開口する有底四角箱状をなす滞留槽23が設置され、排出された布帛12を受け止めるようになっている。滞留槽23の底部には複数の通液孔24aが貫設された多孔性巣板24が設けられ、この多孔性巣板24上に載せられた布帛12はまだ布帛12中に含浸されている液体と分離されるようになっている。また、滞留槽23内の多孔性巣板24はその上流側の側壁が排出口21側に向かうほど高くなるように傾斜された傾斜部24bとなっており、この傾斜部24b上を自重によりずり落ちた布帛12は下流側寄りに案内され、滞留される。
【0015】上記した移送管11、空気噴射部13、加熱器15、ブロアー16、布帛投入筒17、制動部19、排出筒20、滞留槽23等により1つの乾燥ユニット10が構成されている。この乾燥ユニット10が布帛12の流れに沿って3基設置されることにより乾燥装置は構成されている。各乾燥ユニット10のうち最も下流側となる乾燥ユニット10において、滞留槽23の上方には取出ロール25が配設されており、乾燥処理された布帛12が回収されるようになっている。
【0016】ここで、工場内等に乾燥装置を実際に設置する場合の各部材の配置について述べる。図2及び図3に示すように、3本の移送管11は上流側の2つが平面横L字状をなし、下流側の1つが直線状をなすとともに、全体として蛇行するようにして基台26の上方位置に図示されない支持脚によって支持されている。各滞留槽23は基台26の両側部に位置するように上流側のものから交互に配設されている。ブロアー16及び加熱器15は移送管11と基台26との間に位置するとともに、各滞留槽23の間に挟まれるようにして配設されている。そして、移送管11、滞留槽23、ブロアー16、加熱器15等を上記のように配設することにより、乾燥装置はその設置スペースが節約され、小型化されている。
【0017】次に、前記乾燥装置の作用について説明する。さて、図1に示すように、乾燥装置を用いて布帛12に乾燥処理を施すときには、まず、布帛12はその形状がロープ状のままで制動部19の引上げローラ19aにより乾燥装置の最も上流側に位置する乾燥ユニット10内に挿入される。このとき、図4(a)に示すように、布帛12は引上げローラ19a及び押さえローラ19bの間で押圧され、扁平状となる。次に、この乾燥ユニット10においてブロアー16から供給される熱風が空気噴射部13の噴射口18から移送管11内へと出口方向に向かって噴射される。すると、布帛12が熱風の噴射力により移送管11の出口へ向かって移送される。これと同時に、布帛12の移送が制動部19から加わる抵抗力により制動される。そして、移送管11内において布帛12は一端が制動部19に一時的に保持され、浮遊してばたつく状態となり、熱風により効果的に乾燥されながら排出筒20へと少しずつ移送される。
【0018】排出筒20まで移送された布帛12は排出筒20の内面に衝突し、自重により排出口21から落下して滞留槽23内に滞留される。滞留された布帛12はこの乾燥ユニット10の下流に位置する次の乾燥ユニット10の引上げローラ19aによって引き上げられ、下流側の移送管11内に挿入される。そして、空気噴射部13から再び熱風が噴射されることにより上記操作が繰り返され、布帛12が乾燥装置の出口端まで進行し、取出ロール25により回収されて、乾燥処理が終了する。
【0019】前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 上記した乾燥装置によれば染色前又は染色後の布帛12は広げることなくロープ状のまま装置内に投入され、処理されるため、乾燥処理の作業が簡易であり、布帛12を広げる等といった作業を省略することができる。
【0020】・ 各移送管11毎に乾燥ユニット10を構成し、複数の乾燥ユニット10から乾燥装置を構成したことで布帛12の乾燥をより短時間で行うことができる。加えて、各乾燥ユニット10の間においては布帛12を滞留させることで、移送管11内における布帛12の移送量が調整されるため、布帛12が詰まったり、移送管11の内周壁に対する擦れ等を防止することができ、安定した状態で円滑に移送することができる。
【0021】・ 布帛12は制動部19でその移送を制動されることにより一端が一時的に保持され、移送管11内で吹流しのような状態となる。このため、充分に熱風にさらされることで効率よく乾燥を行うことができるとともに、皺が伸ばされ、ロープ状のまま乾燥処理を行っても皺の発生を抑制することができる。加えて、引上げローラ19a及び押さえローラ19bが回転するとともに、布帛12との接触面積が小さいため、布帛12の一端が完全に保持された状態ではないことから、布帛12に余計な力が加わらず、伸びの発生等を防止することができる。
【0022】・ 布帛12を扁平状に押圧し、空気噴射部13及び布帛投入筒17の出口13b,17bを四角形状としたことで、出口13b,17bが円形状のものと比較して布帛12に対して熱風が噴射される面積を広げることができ、より短時間で乾燥処理を終了させることができる。
【0023】・ 加熱器15が各乾燥ユニット10毎に設けられているため、乾燥ユニット10毎に熱風の温度を細かく調整することができる。これに加え、通過する乾燥ユニット10の数を調整することにより過乾燥が防止される。
【0024】・ 布帛12がその幅にかかわらず丸めてロープ状のまま処理されるとともに、浮遊した状態で移送されることから、従来例のようにドラムへの巻き付けのために所定長さを有している必要はなく、少ロットの布帛12でも処理することができる。加えて、少ロットで多種の布帛12を一つ一つ広げることなくロープ状のまま装置内に連続して投入して乾燥処理することができるため、作業時間及び納期の短縮化を図ることができる。
【0025】なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 図5(a),(b)に示すように、空気噴射部13を円筒状に形成し、布帛投入筒17を円錐台状に形成して、布帛12を円柱状のまま処理してもよい。このように構成しても布帛12の繊維内を熱風が通過することにより効率よく乾燥処理を行うことができる。
【0026】・ 制動部19は引上げローラ19a及び押さえローラ19bにより構成されるものに限定されず、例えばロープ状の布帛12の断面積よりも小さな面積の開口部を有する板材で構成してもよい。そして、布帛12が開口部を通過する際、開口部の内周面に摺接され、このとき生ずる摩擦力により布帛12の移送が制動されるように構成してもよい。なお、板材はゴム、スポンジ等といった布帛12が摺接する際その傷付きを防止することのできる弾性材料より形成することが好ましい。このように構成した場合にも布帛12の移送を制動することができるとともに、この板材を、例えば布帛投入筒17の出口17bに設ければ熱風が入口方向に漏れ出すことができ、熱風を効率よく移送管11の出口端方向へ案内することができる。
【0027】・ 少ロットの布帛12の処理であれば、3基未満の乾燥ユニット10より乾燥装置を構成してもよい。また、多ロットの布帛12の処理であれば、3基より多くの乾燥ユニット10より乾燥装置を構成してもよい。このように、処理される布帛12のロット数に合わせて乾燥ユニット10の個数を調整することができる。
【0028】・ 移送管11の全体形状は必ずしも図2に示した形状に限定されるものではなく、例えば六角環状、八角環状等の多角環状、円環状等としてもよい。このように、乾燥装置は複数の乾燥ユニット10の組み合わせで構成されるため、例えば乾燥装置の設置スペースに対応させる等の場合にも、そのレイアウト及び形状を容易に変更することができる。
【0029】さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(1) 前記制動部を一対の対向するローラより構成し、両ローラ間に布帛を挟み込むことにより布帛の移送を制動する請求項3に記載のロープ状布帛の乾燥装置。
【0030】このように構成した場合、布帛の移送を制動することにより余計な力が加わることを抑制することができる。
(2) 前記一対のローラを互いの間に若干の間隙を有する程度まで接近させ、両ローラ間で布帛を押圧して扁平状にするとともに、前記空気噴射部に設けられた空気の噴射口を四角形状に形成し、この噴射口から布帛の面積の広い部分に空気を噴射するように構成した(1)に記載のロープ状布帛の乾燥装置。
【0031】このように構成した場合、空気が噴射される面積を広げることができ、効率よく乾燥を行うことができる。
(3) 前記空気は100〜120℃に加熱されたものである請求項1から請求項3のいずれかに記載のロープ状布帛の乾燥装置。
【0032】このように構成した場合、加熱による布帛への影響を防止しつつ、効率よく乾燥を行うことができる。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明のロープ状布帛の乾燥装置によれば、ロープ状布帛を広げることなくそのまま乾燥させることができ、作業の簡易化及び作業時間の短縮化を図ることができる。
【0034】請求項2に記載の発明のロープ状布帛の乾燥装置によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、布帛の乾燥を短時間で安定して行うことができる。請求項3に記載の発明のロープ状布帛の乾燥装置によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、効率よく乾燥を行うことができるとともに、布帛の皺の発生を抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】593203907
【氏名又は名称】株式会社テクサム技研
【出願日】 平成11年12月28日(1999.12.28)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
【公開番号】 特開2001−194060(P2001−194060A)
【公開日】 平成13年7月17日(2001.7.17)
【出願番号】 特願平11−374526