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【発明の名称】 遠心薄膜乾燥機
【発明者】 【氏名】剣持 昭次

【要約】 【課題】定盤を用いることなく、現場でブレードの正しい位置調整が容易に行なえるようにする。

【解決手段】内周面が伝熱面5aとなる円筒状の伝熱胴5と、伝熱胴5内に主軸19を回転自在に配置し、その主軸19に進・退自在に取付け可能なブレード33とを設けた遠心薄膜乾燥機において、前記主軸19の外周面に一端を接触させた状態でブレード33を進・退自在に支持する設定器49と、前記ブレード33にセットした磁石69の磁石密度を磁束密度測定器51によって設定器49の測定窓57から測定しながら設定値となるようブレード33を進・退させることで、伝熱面5aからブレード先端までの寸法を割出す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内面を伝熱面とする伝熱胴と、伝熱胴内に回転自在に配置された主軸と、主軸に取付けられ、伝熱胴内面を回転するブレードと、伝熱胴内面とブレード先端との距離を、ブレードに取付けた磁石の磁束密度から求めるブレード位置検出器と、を有することを特徴とする遠心薄膜乾燥機。
【請求項2】 内壁面が伝熱面となる円筒状の伝熱胴と、伝熱胴内に回転自在に配置された主軸と、主軸に取付けられ伝熱胴内面を回転するブレードとを備えた遠心薄膜乾燥機において、前記ブレードを伝熱面に対して進・退自在に支持するブレード支持機構と、ブレード支持機構の動きと連動し、ピックアップアームを伝熱面に対して進・退自在に支持すると共に、主軸の回転でピックアップアームの先端が伝熱面と接触した時、伝熱面とブレード先端との隙間を規定寸法に保つピックアップアーム支持機とを備えていることを特徴とする遠心薄膜乾燥機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、遠心薄膜乾燥機に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、遠心薄膜乾燥機の概要は、内壁面が加熱された上下に長い伝熱胴の内部に、回転可能な主軸が配置されると共に、その主軸の長手方向に沿ってブレードが所定の間隔で設けられている。伝熱胴の上方は汚泥等を取入れる取入部、下方は前記伝熱胴内において水分が蒸発し、乾燥した汚泥を乾燥粉体として取出す取出部となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ブレードは、図10、図11に示すように、板状に形成された可動ブレード101と固定ブレード103とで構成されている。固定ブレード103は回転可能な主軸105の取付座107に、可動ブレード101は、ヒンジピン109によって前記固定ブレード103にそれぞれ取付けられ、可動ブレード101はヒンジピン109を支点として回転可能となっている。
【0004】これにより、可動ブレード101は主軸105が回転することで、その遠心力により、ヒンジピン109のヒンジ軸心Xを中心として振り出されて、伝熱胴111の伝熱面113と接近し、ブレード先端部との間に隙間dを作る。隙間dは、処理物が通過する時に、伝熱胴111から熱が与えられる重要な要素となっており、ヒンジピン109のヒンジ軸心Xがブレード遠心線Y上に臨む時が最適となるよう設定されている。
【0005】可動ブレード101の隙間dは、固定ブレード103に調整孔115を設け、その調整孔115に螺合した固定用のボルト117を緩めることで、隙間dの調整が行えるようになっている。
【0006】隙間dの調整は、工場において、固定用のボルト117を弛め、固定ブレード103を仮支持した状態の主軸105を定盤(図示していない)の上に水平にセット支持する。次に、水平にした主軸105の軸心から可動ブレード先端までの距離を設定するピアノ線を可動ブレード101に沿って張った後、仮支持状態の固定ブレード103を工具によってブレード先端がピアノ線に位置するまで位置調整を行ない、調整完了後、固定用のボルト117を締付け固定することで、伝熱面113に対する可動ブレード101の正しい位置調整を行なうものである。
【0007】従来手段のブレード位置調整は、定盤を必要とするため、現場でのブレード位置調整が行なえないため、工場まで持ち帰る等の煩わしさがあるのと、作業能率の面でも望ましくなかった。
【0008】そこで、この発明は、定盤を使用せず、現場において、ブレードの位置調整が容易に行なえるようにすると共に、正確な隙間が得られるようにした遠心薄膜乾燥機を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、この発明の請求項によれば、内面を伝熱面とする伝熱胴と、伝熱胴内に回転自在に配置された主軸と、主軸に取付けられ、伝熱胴内面を回転するブレードと、伝熱胴内面とブレード先端との距離を、ブレードに取付けた磁石の磁束密度から求めるブレード位置検出器と、を有している。
【0010】これにより、仮支持したブレードの上端縁に磁石をセットした後、磁石の磁束密度をブレード位置検出器によって測定する。この時に、磁束密度の測定値が規定された設定値となるように、ブレードを進・退させて位置調整を行ない、設定値となった所で、ブレードを締付け固定する。この結果、現場において正確なブレードの位置調整が行なえるようになる。
【0011】また、この発明の請求項2によれば、内壁面が伝熱面となる円筒状の伝熱胴と、伝熱胴内に回転自在に配置された主軸と、主軸に取付けられ伝熱胴内面を回転するブレードとを備えた遠心薄膜乾燥機において、前記ブレードを伝熱面に対して進・退自在に支持するブレード支持機構と、ブレード支持機構の動きと連動し、ピックアップアームを伝熱面に対して進・退自在に支持すると共に、主軸の回転でピックアップアームの先端が伝熱面と接触した時、伝熱面とブレード先端との隙間を規定寸法に保つピックアップアーム支持機構とを備えている。
【0012】これにより、主軸が回転することで、ピックアップアームの先端が伝熱面と接触した時、ブレードの先端は、伝熱面と規定寸法の隙間が得られる。しかも、ピックアップアーム支持機構によって、伝熱面が真円でなくても、伝熱面に沿って追従し、常に正確な規定寸法の隙間が得られる。このため、伝熱胴の内面を真円加工する加工工程の省略が図れるメリットがある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図3の図面を参照しながらこの発明の第1の実施形態について具体的に説明する。
【0014】図3において、1は遠心薄膜乾燥機3の本体胴を示している。本体胴1は2重構造となっていて、その2重構造となる内壁面と外壁面の間には加熱蒸気が送り込まれることで、内壁面は加熱された伝熱胴5を構成している。
【0015】伝熱胴5の上部は、蒸気排出口9と汚泥取入口11が設けられた上部胴13を有し、上部胴13の内側には、回転により汚泥取入口11からの汚泥を均一に分散させると共に、下方へ向けて圧力を加える分散環15を有している。伝熱胴5の下部は、乾燥した粉体を取出す粉体取出部17となっている。
【0016】伝熱胴5の内部には、上下に長い主軸19が配置され、主軸19の上端は、前記上部胴13に設けられた上部軸受部21によって、下端は、伝熱胴5の下端部に設けられた下部軸受部23によって回転自在に両端支持されている。
【0017】主軸19は、前記上部胴13より上方へ延長され、その延長軸19aに設けられたVプーリ25と電動機27のVプーリ29とに掛回された伝導ベルト31によって電動機27の回転動力が与えられるようになっている。
【0018】また、前記主軸19には、長手方向に沿ってブレード33が取付けられ、このように取付けられたブレード33がこの実施形態では4列に配置された構造となっている。
【0019】ブレード33は、図2に示すように、板状の可動ブレード35と固定ブレード37とで構成されている。固定ブレード37は、前記主軸19に設けられた取付座39に固定ボルト41によって固定支持され、その支持領域となる固定ブレード37には水平方向の長孔43が設けられている。したがって、固定ボルト41を弛めることで、長孔43の範囲内において、ブレード33の進・退調整が可能となっている。
【0020】固定ブレード37と可動ブレード35には、ブレードヒンジ部43,44がそれぞれ設けられている。固定ブレード37のブレードヒンジ部44は、可動ブレード35のブレードヒンジ部43を上下から挟みつけるように上下一対の形状となっていて、各ブレードヒンジ部43,44にはブレード遠心線Y上に臨むヒンジピン45が挿通し、ヒンジピン45を支点として可動ブレード35の回動が可能となっている。
【0021】ブレード33は図1に示すようにブレード位置検出器47によって位置決めされ、伝熱胴5の内面となる伝熱面5aに対して設定された規定の隙間dが確保されるようになっている。
【0022】ブレード位置検出器47は、設定器49と、磁束密度測定器51とで構成されている。
【0023】設定器49は、プレート状に形成された設定器本体の後端に、主軸19の外周面に接触させる円弧状の主軸あて部51が設けられる一方、前端及び両側方には、下方へ短く延長された前方垂直壁53と側方垂直壁55を有している。
【0024】前方垂直壁53は、伝熱胴5の伝熱面5aと同じ径の円弧面となっていて、内側壁面53aは、主軸19の主軸軸心Pから伝熱面5aまでの寸法と同一の寸法に設定されている。前方垂直壁53の中央部位には透過パネルでできた測定窓57が設けられている。
【0025】設定器本体の中央部位で、ブレード遠心線Y上には、セットボルト59と上下に長いヒンジピン吊設治具61が設けられ、ヒンジピン吊設治具61によって可動ブレード35と固定ブレード37とを連結するヒンジピン45が吊下げ支持されるようになっている。
【0026】セットボルト59は、設定器本体に設けられた長孔63の範囲内において矢印方向への進・退調節が可能となっている。ヒンジピン吊設治具61の上端は、設定器本体の下面側において、前記セットボルト59のねじ部65がねじ穴67に螺合し合うことで、一体に固定支持されている。ヒンジピン吊設治具61の下端は、ヒンジピン59の頭部をチャックによって保持する保持部67となっている。
【0027】一方、磁束密度測定器51は、測定窓57に接触させて可動ブレード35の上端に載置セットした永久磁石69の磁束密度を検出する測定子71と、測定子71からの測定信号に基づき測定結果を表示する表示部73を備えた測定器本体75とから成っている。
【0028】測定原理の概要は、磁束密度は距離に関係するから、予め決められた磁束密度の永久磁石69を使用し、その磁束密度を測定すれば距離,隙間dがわかるようになる。
【0029】これにより、例えば、工場において、定盤で計測した正規位置のブレード33の設定値を磁束密度におきかえ、演算処理する情報として測定器本体75内に予め組込むことで、測定子71からの測定値が規定された設定値として表示された時、伝熱面5aからブレード先端までの距離、即ち、隙間dが確保されるようになっている。
【0030】したがって、現場において、ブレード33の位置調整を行なうには、伝熱胴5内に主軸19を組付ける時、あるいは、メンテナンス時にあっては、伝熱胴5から主軸19を取外した時、固定ブレード37の固定ボルト41を弛めて仮支持状態としておく。
【0031】次に、可動ブレード35の上端縁に永久磁石69をセットする。セット時の永久磁石69は、磁石前端面69aと可動ブレード35のブレード先端35aとを同一面状に揃える。
【0032】次に、ブレード33のヒンジピン45の頭部をヒンジピン吊設治具61で保持しておき、その上から設定器49をセットし、主軸あて部51を主軸19の外周面に接触させる。この状態において設定器49の上からセットボルト59を挿入し、そのねじ部65をヒンジピン吊設治具61のねじ穴67に螺合する。
【0033】次に、磁束密度測定器51の測定子71を設定器49の測定窓57にあてて永久磁石69の磁束密度を測定しながら、固定ブレード37を工具等により進・退させ、測定器本体75の表示部73に、規定の設定値が表示されるまで位置調整を行なう。位置調整完了後、固定ボルト41を再度締付けることで、正規位置のブレード33が得られる。
【0034】この場合、主軸19を工場まで持ち帰る作業が不要になると共に、現場で容易にブレード33の位置調整作業を完了することが可能となり、作業能率の大幅な向上が図れる。
【0035】図4から図9は、伝熱面5aに対するブレード33の位置決め設定が自動的に行なえるようにした第2の実施形態を示したものである。
【0036】即ち、ブレード33を、ブレード支持機構77により前記伝熱面5aに対して進・退自在に支持する一方、ブレード33を位置決めするピックアップアーム79をピックアップアーム支持機構81によって進・退自在に支持している。
【0037】ブレード支持機構77は、主軸19に固定された第1ヒンジ82から2本のサポートアーム83が所定の角度で回動自在に前方へ向け末広がり状に延長され、各サポートアーム83の先端部に第2ヒンジ84が設けられている。各第2ヒンジ84からは前記サポートアーム83が折り返されるように第1ヒンジ82側となる後方へ向けてブレードアーム85が回動自在に延長され、その延長端は一緒になった状態でブレード33のブレードヒンジ86に回動自在に支持された構造となっている。
【0038】このように構成されたブレード支持機構77は上下に配置され、左右のサポートアーム83の開く角度が大きくなるとブレード33は伝熱面5aから後退し、開く角度が小さくなるとブレード33は伝熱面5aに近づくよう進・退自在となっている。
【0039】ピックアップアーム支持機構81は、第2ヒンジ84が上下に延長され、その上下の延長端から、前記ブレードアーム85と同じように第1ヒンジ82側となる後方へ向けてピックアップ87が延長され、その延長端は一緒になった状態でピックアップアーム79のピックアップアームヒンジ88に回動自在に支持された構造となっている。
【0040】ピックアップアーム79は、ロッド状に形成され、主軸19の回転で遠心力の作用を受けた時に、先端部79aは伝熱面5aと接触し合うようになっている。
【0041】ピックアップアーム79の長さは、先端部79aが伝熱面5aと接触した時、伝熱面5aからブレード33のブレード先端33aまで隙間dが規定された寸法となるように設定されている。
【0042】なお、ピックアップアーム79は、図7に示すように、可動アーム90と固定アーム91とで構成し、可動アーム90を付勢ばね92で前方へ向け常時付勢し、可動アーム90の先端部90aが確実に伝熱面5aと接触し合う構造としてもよい。
【0043】この場合、先端部90aと伝熱面5aとの接触抵抗を小さくするために、図8に示すように、可動アーム90の先端部に付勢ばね93で付勢したボールベアリング94を設けるようにしたり、図9に示すように黒鉛95を設けるようにしてもよい。
【0044】なお、他の構成要素は第1の実施形態の遠心薄膜乾燥機と同一のため、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】したがって、このように構成された第2の実施形態によれば、主軸19の回転時に遠心力の作用を受けてピックアップアーム79の先端部79aは、伝熱胴5の伝熱面5aと接触し合うことで、ブレード33のブレード先端33aは伝熱面5aから規定された寸法の隙間dが確保され、効率のよい処理が得られる。
【0046】しかも、図5(a)(b)に示すように、ピックアップアーム79の先端部79aは、径の異なる伝熱面5aの形状に追従し、ブレード先端33aと伝熱面5aとの隙間dを常に一定に保つ機能を有するため、例えば、若干の楕円であっても規定の隙間dが得られるようになる。したがって、伝熱胴5の伝熱面5aを真円に加工する作業を省略することができる。
【0047】
【発明の効果】以上、説明したように、この発明によれば、定盤を用いなくても現場においてブレード先端と伝熱面との隙間を容易に確保設定することができる。
【0048】また、ピックアップアームによって伝熱面に追従できるため、若干の楕円であっても規定された隙間が得られるようになる。したがって、伝熱胴の伝熱面を真円に加工する加工作業を省略することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年12月14日(1999.12.14)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
【公開番号】 特開2001−174155(P2001−174155A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−354943