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【発明の名称】 乾燥炉
【発明者】 【氏名】坂東 了太

【要約】 【課題】乾燥炉の全長を短縮して熱損失を少なくし、省エネと省スペースとを同時に実現する。

【解決手段】加熱ゾーンと他の領域との間に、加熱ゾーンと他の領域との間の空気の移動を防止する遮蔽位置と被塗物の通過を可能にする開放位置とに移動することができる隔壁を具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加熱ゾーンと冷却ゾーンとを有するトンネル状の枠体と、該加熱ゾーンに加熱用空気を送る加熱送風装置と、冷却ゾーンに冷却用空気を送る送風装置と、該トンネル状の枠体内において、被塗物を搬送するための搬送装置とを具備する乾燥炉において、該加熱ゾーンと他の領域との間に、該加熱ゾーンと該他の領域との間の空気の移動を防止する遮蔽位置と被塗物の通過を可能にする開放位置とに移動することができる隔壁を具備することを特徴とする乾燥炉。
【請求項2】 該隔壁が、該加熱ゾーンと該冷却ゾーントの間に配置されている請求項1の乾燥炉。
【請求項3】 該隔壁が、該加熱ゾーンの入口に配置されている請求項1又は2の乾燥炉。
【請求項4】 該加熱ゾーンが、昇温ゾーンとキープゾーンとを有し、該加熱送風装置が、該昇温ゾーンに所定の温度に加熱された空気を供給する第1の加熱送風手段と、該昇温ゾーンに供給される空気の温度よりも低い温度に加熱された空気を、該キープゾーンに供給する第2の加熱手段とを有し、該昇温ゾーンと該キープゾーンとの間に、該昇温ゾーンと該キープゾーンとの間の空気の移動を防止する遮蔽位置と被塗物の通過を可能にする開放位置とに移動することができる隔壁を具備する請求項1〜3のいずれか1の乾燥炉。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗装された工業製品の塗料を乾燥させる乾燥炉に関し、更に詳細には、塗料が塗装された工業製品をコンベア等を用いて連続的に搬送しながら塗装された工業製品の塗料を乾燥させる乾燥炉に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】塗装された工業製品を連続して搬送しながら乾燥を行うために、従来からトンネル状の枠体内部にコンベアを設置した乾燥炉を使用していた。
【0003】一般に、塗料の乾燥、硬化に必要な温度及び時間は、その塗料によって異なるが、例えば、140℃×20分(関西ペイント(株)製メラミン樹脂塗料)のように現される。これは、乾燥炉内の雰囲気温度ではなく、被塗物のそのものの温度が140℃に加熱され、それが20分維持されなくてはいけないことを意味する。
【0004】従って、比熱と質量の大きいものに塗布された塗料を乾燥、硬化する場合は、被塗物の温度が140℃に達するまで長時間必要なため、長大な乾燥炉が必要であった。
【0005】普通、塗装設備の設置面積を少なくするために、乾燥炉を出た直後に製品をコンベアから取り外すことが多いが、形成された塗膜は、乾燥、焼き付け後、十分冷却しないと、作業員に危険であるし、塗膜に作業員の指の跡が付いてしまい、美観が損なわれてしまう危険性がある。そこで、従来より、乾燥炉の最後の区画を、冷却ゾーンとし、外気を循環させて冷却する機構を持たせる方法が行われてきたが、区画の間に仕切りが無いために乾燥炉の中で、外気と熱風とが混合され、十分な冷却効果を得ることができなかった。更に、乾燥炉の入口が開放されているため、乾燥炉全体の熱損失も大きかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に従うと、上記のとおりの課題を解決するために、加熱ゾーンと冷却ゾーンとを有するトンネル状の枠体と、該加熱ゾーンに加熱用空気を送る加熱送風装置と、冷却ゾーンに冷却用空気を送る送風装置と、該トンネル状の枠体内において、被塗物を搬送するための搬送装置とを具備する乾燥炉において、該加熱ゾーンと他の領域との間に、該加熱ゾーンと該他の領域との間の空気の移動を防止する遮蔽位置と被塗物の通過を可能にする開放位置とに移動することができる隔壁を具備することを特徴とする乾燥炉が提供される。
【0007】
【実施例】次に、図1〜4を参照して、本発明の好適実施例に従う乾燥炉10を説明する。
【0008】図1はこの乾燥炉10の平面図であり、図2は正面図であり、図3は乾燥炉の昇温ゾーンの右側面図であり、図4はこの乾燥炉10の要部の斜視図である。
【0009】図1及び2に示したとおり、この乾燥炉10は、加熱ゾーン12と冷却ゾーン14とを有するトンネル状の枠体16と、加熱ゾーン12に加熱用空気を送る加熱送風装置18と、冷却ゾーン14に冷却用空気を送る送風装置20と、トンネル状の枠体16内において、被塗物22を搬送するための搬送装置24とを具備する。
【0010】トンネル状の枠体16は、入口26と出口28とを有し、被塗物22を搬送するための搬送装置24が、トンネル状の枠体16を貫いて延びている。下記のとおり被塗物22は、搬送装置24によって、枠体16内を間欠的に移動せしめられる。
【0011】トンネル状の枠体16は、加熱ゾーン12と冷却ゾーン14とを有し、加熱ゾーン12が、昇温ゾーン30とキープゾーン32とを有する。
【0012】昇温ゾーン30には、例えば、約150℃熱風を送風する第1の加熱送風手段34が配置されている。第1の加熱送風手段34は、図3に示したとおり、送風手段40とヒーター42とを有し、枠体16内の空気を吸引して、加熱して枠体16に戻す。この昇温ゾーン30において、被塗物22の回りの空気の温度は、約150℃に保たれ、これによって、被塗物22は、室温から所望の温度例えば140℃に素早く昇温する。
【0013】キープゾーン32には、所望の温度例えば、約140℃熱風を送風する第2の加熱送風手段36が配置されている。第2の加熱送風手段36は、上記第1の加熱送風手段34と同様な構成を有する。このキープゾーン32において、被塗物22の温度は、回りの空気の温度と同じ約140℃に維持される。
【0014】冷却ゾーン14には、例えば、室温の冷風を送風する送風装置20を備えている。送風装置20は、図3に示した送風手段40と同様な送風手段(図示せず)を有し、枠体16内の空気を吸引して、枠体16に戻す。あるいは、枠体16の外側から空気を吸引して、枠体16に供給する。この送風装置20は、吸引した空気を冷却する手段を備えているように構成できる。冷却ゾーン14において、被塗物22が室温に冷却される。
【0015】搬送装置24は、図4に示したとおり、駆動ロープ44と複数個のハンガー46とを具備する。駆動ロープ44は、図示しない駆動モータ、プーリ等の駆動手段によって、間欠的に移動せしめされる。即ち、駆動ロープ44は、一定距離動し、一定時間静止する運動を繰り返す。ハンガー46は、被塗物22を取り外し可能に駆動ロープ44に懸架せしめる。
【0016】この実施例に従う乾燥炉10は、図1に示したとおりの、2つの隔離手段48及び50を有する。即ち、隔離手段48が、加熱ゾーン12内の加熱された空気が外部に漏れないように、加熱ゾーン12と他の領域との間、即ち、加熱ゾーン12の入口、即ち枠体16の入口26に配置され、更に、隔離手段50が、加熱ゾーン12と冷却ゾーン14との間に配置される。
【0017】好ましくは、隔離手段52が、昇温ゾーン30の空気の温度がキープゾーン32の空気の温度よりも高い状態が維持されるように、昇温ゾーン30とキープゾーン32との間に配置される。
【0018】図4に示したとおり、隔離手段48、50、52は、例えば、支持体54と、この支持体に支持された上方駆動モータ56及び下方駆動モータ58と、上方駆動モータ56に連結された上方巻取りロール60と、下方駆動モータ58に連結された下方巻取りロール62と、上方巻取りロール60及び下方巻取りロール62に巻き取られる2本の支持テープ64及び支持テープ64の間に延びている可撓性隔壁66とを備えている。支持テープ64及び隔壁66は、耐熱性及び可撓性を有する種々の材料、例えば、グラスフアイバ等で構成することができる。
【0019】上方駆動モータ56及び下方駆動モータ58の回転は、図示しない制御装置からの信号に従って制御される。上方駆動モータ56が上方巻取りロール60が反時計方向に回転すると、支持テープ64を巻取り、隔壁66を上方に移動せしめる。このとき、下方駆動モータ58は自由に回転できる状態にある。下方駆動モータ58が下方巻取りロール62が時計方向に回転すると、支持テープ64を巻取り、隔壁66を下方に移動せしめる。このとき、上方駆動モータ56は自由に回転できる状態にある。
【0020】このようにして、隔壁66は、上方駆動モータ56及び下方駆動モータ58によって、図4に示したとおり隔壁66の一方の側から他方の側に空気が移動するのを防止する遮蔽位置と、隔壁66が下げられ、被塗物22の通過を可能にする開放位置とに移動せしめられる。
【0021】例えば、図4に示したとおり、隔壁66の上辺に切欠部68を設けて、隔壁66を更に上昇しても、駆動ロープ44に接触しないようにすることができる。このようにすると、隔壁66が更に上昇した位置が、遮蔽位置となり、空気の移動をより効果的に防止することができる。
【0022】搬送装置24の駆動ロープ44は、一定距離動し、一定時間静止する運動を繰り返し、これによって、ハンガー46に支持された被塗物22は、1つ前の被塗物の位置まで移動し、所定時間静止する。被塗物22が移動するとき、隔壁66は開放位置にあり、被塗物22が静止していると、隔壁66は遮蔽位置にある。
【0023】あるいは、ハンガー46に支持された被塗物22は、複数個前の被塗物の位置まで移動し、所定時間静止するように制御することもできる。
【0024】例えば、この実施例では、図2に示したとおり、昇温ゾーン30には、8個のハンガー46が位置し、これらのハンガー46に1つづつ被塗物22が支持されている。搬送装置24の駆動ロープ44は、ハンガー8個分の距離移動し、一定時間静止する運動を繰り返すように制御することもできる。このような制御をする場合には、全ての被塗物が同じ時間キープゾーン32内にあるように、キープゾーン32の長さをハンガー間隔の8個分の複数倍の長さとすることが望ましい。例えば、昇温ゾーン30の長さをハンガー間隔の8個分の長さとし、キープゾーン32の長さをハンガー間隔の24(8×3)個分の長さとすると、1回のハンガー間隔の8個分の長さと等しい距離の移動で、8個の新たな被塗物22が、昇温ゾーン30に移動し、昇温ゾーン30にあった8個の被塗物22がキープゾーン32に移動する。そして、ハンガー間隔の8個分の長さと等しい距離の3回の移動で、8個の被塗物22が、キープゾーン32から冷却14に移動する。
【0025】あるいはまた、ハンガー46及び被塗物22を一定速度で連続的に移動せしめて、隔壁66を遮蔽位置から開放位置に移動せしめるように制御することもできる。
【0026】この実施例では、隔壁66は、上記のとおりの可撓性であるが、剛性の隔壁を上方巻取りロール60からテープで吊るし、上方駆動モータ56の回転方向及び回転数を制御することによって、隔壁を遮蔽位置と開放位置との間を移動せしめるように構成することもできる。
【0027】図1に示したとおり、3箇所に設けた隔離手段48、50、52は、同一の構成でも、異なった構成でもよい。
【0028】図示した実施例に従う乾燥炉を用いて、関西ペイント株式会社製メラミン樹脂塗料を500×600×1mmの平板状被塗物に塗布して乾燥を行った。その結果、従来の乾燥炉に比較して、以下のような効果が見られた。
【0029】被塗物を室温から140℃に昇温する時間は、この実施例に従う乾燥炉では、約3分であったのに対して、従来の乾燥炉では、約5分であった。更に、乾燥後被塗物を140℃から常温に戻すのにかかる時間は、この実施例に従う乾燥炉では、約3分であったのに対して、従来の乾燥炉では、約5分であった。
【0030】従って、合わせて約4分の時間短縮になり、被塗物の移動速度を1m/分として、乾燥炉の長さを、4m短縮することができた。
【0031】
【発明の効果】上記のとおりであるので、本発明は、乾燥炉の全長を短縮して熱損失を少なくし、省エネと省スペースとを同時に実現することができる。
【0032】本発明の好ましい態様に従うと、乾燥炉を昇温ゾーン、キープゾーン、及び冷却ゾ−ンの3つの区画に分離し、乾燥炉の入口と各区画の間に可動式間仕切りである隔壁を設けて、被塗物の通過時以外は、各区画を完全に隔離し、それぞれの区画にそれぞれの役割を持たせることによって、乾燥炉の全長を短縮し、熱損失を少なくすることができる。
【0033】昇温ゾーンでは、所望温度(例えば、140℃)以上の雰囲気温度(例えば、150℃)にして、被塗物を素早く昇温し、入口に隔壁を設けることによって熱損失を少なくすることができ、乾燥炉の長さを短くすることができる。
【0034】キープゾーンでは、所望温度(例えば、140℃)の雰囲気温度で被塗物の温度を所望温度に維持し、キープゾーンと冷却ゾーントとの間に隔壁を設けることによって、熱損失を少なくすることができる。
【0035】冷却ゾーンでは、キープゾーンとの間に隔壁を設けることによって、冷却空気の温度の上昇を抑えることができ、被塗物の冷却を効率良く行うことができ、冷却ゾーンの長さを短くすることができる。
【出願人】 【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
【出願日】 平成11年12月20日(1999.12.20)
【代理人】 【識別番号】100060782
【弁理士】
【氏名又は名称】小田島 平吉 (外3名)
【公開番号】 特開2001−174152(P2001−174152A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−360846