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【発明の名称】 粉体乾燥装置におけるシール機構
【発明者】 【氏名】菅原 敏明

【氏名】渡辺 潔

【氏名】兼田 孝夫

【氏名】長谷川 英幸

【要約】 【課題】熱媒体の温度に関わりなく、ケーシングと攪拌軸との間に一定のシール状態を維持することができる粉体の減圧乾燥装置を提供する。

【解決手段】攪拌軸の外周に沿って設けられたシール材スリーブと、前記ケーシングの端縁部に設けられたシール材ホルダーと、該シール材ホルダーに保持され且つ前記シール材スリーブに対して垂直方向に延びて、シール材スリーブとの間にシール部を形成する複数のシール材リングと、複数のシール材リングの間に加熱又は冷却ガスを供給するガス注入孔と、前記シール材のスリーブを加熱又は冷却するための温度制御機構とから成る粉体乾燥装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 減圧装置に接続され、収容する粉体乃至そのケーキを加熱するケーシングと、該ケーシング内に設けられた攪拌軸と、該攪拌軸に対する軸受けと、該ケーシングと攪拌軸とをシールするシール機構とを備えた粉体の減圧乾燥装置において、前記シール機構は、攪拌軸の外周に沿って設けられたシール材スリーブと、前記ケーシングの端縁部に設けられたシール材ホルダーと、該シール材ホルダーに保持され且つ前記シール材スリーブに対して垂直方向に延びて、シール材スリーブとの間にシール部を形成する複数のシール材リングと、複数のシール材リングの間に加熱又は冷却ガスを供給するガス注入孔と、前記シール材のスリーブを加熱又は冷却するための温度制御機構とから成ることを特徴とする粉体乾燥装置。
【請求項2】 前記ケーシングの周囲には加熱媒体を通すためのジャケットが設けられ、攪拌軸は中空であって、内部に加熱媒体の通路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の粉体乾燥装置。
【請求項3】 前記攪拌軸の内面には断熱材層が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の粉体乾燥装置。
【請求項4】 前記温度制御機構と軸受けとの間に断熱壁が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の粉体乾燥装置。
【請求項5】 前記ケーシングの下部が半円筒形乃至それに近い形状のものであり、前記攪拌軸がパドル付きシャフトであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の粉体乾燥装置。
【請求項6】 前記パドルには邪魔板が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の粉体乾燥装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉体乾燥装置に関するもので、より詳細には、粉体乃至そのケーキを収容するケーシングと、該ケーシング内に設けられた攪拌軸と、該攪拌軸に対する軸受けと、該ケーシングと攪拌軸とをシールするシール機構とを備えた粉体の減圧乾燥装置におけるシール機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、粉体乃至そのケーキを収容するケーシングと、該ケーシング内に設けられた攪拌軸と、該攪拌軸に対する軸受けと、該ケーシングと攪拌軸とをシールするシール機構とを備えた粉体乾燥装置は、例えばパドル型乾燥装置として広く知られている。
【0003】例えば、特開昭51−107553号公報には、スチームにより加温されるジャケットを有する内筒内に、周面にパドルを植設した回転シャフトを収めたパドル型乾燥機と、スチームが通される多数の加熱管が回転自在に構成された傾斜配置の胴体内に、その内周面に沿って取り付けられたスチームチューブ型乾燥機とを組み合わせ、所用の脱水機により適度に脱水された汚泥を、先ず上記のパドル型乾燥機にかけてその含水率を低下させ、次いでこの汚泥を上記スチームチューブ型乾燥機にかけてその乾燥度をあげ、適度の直径を有する粒状の汚泥に仕上げることを特徴とする汚泥の乾燥方法が記載されている。
【0004】特開平8−259601号公報には、含水したセルロースエーテルをシェル内部で高速で回転するパドル付シャフトを有し、且つシェル外面を蒸気または温水等により加熱可能なジャケット構造を有する乾燥機の中に供給し、パドル付シャフトにより連続的に攪拌しながら移動させることを特徴とするセルロースエーテルの乾燥方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来例に見られる粉体乾燥装置の内、加熱減圧下に粉体乃至そのケーキの乾燥を行うものでは、攪拌軸とケーシングとのシールを適切に行うことが重要となる。このシールは、例えばシール材スリーブとシール材リングとの圧接摺動によってなされるが、この摺動状態がルーズであると、ケーシング内の減圧の程度が十分でなくなり、一方この摺動状態がタイトすぎると、駆動トルクが過大となったり、シール材の損耗の程度が大きくなるのを避け得ない。
【0006】シール状態の調節は、攪拌軸に通す加熱媒体の温度によって行われるのが一般的であり、攪拌軸の径方向への熱膨張によって、シール材スリーブとシール材リングとの圧接状態がタイトになるのを利用している。
【0007】しかしながら、この方式では、熱媒体の温度、即ち、加熱すべき粉体の温度で減圧の程度が異なり、この温度にかかわりなく、所定の真空度を達成することが困難である。加えて、ケーシング内の粉体は流動状態にあり、粉体の粒子がシール部の隙間に入るとシール材を損傷する原因となるので、シール部には粉体粒子の逆流を防止するために圧搾空気を流す必要があり、この空気がケーシング内に流入して、減圧の程度を下げる要因となっている。
【0008】従って、本発明の目的は、熱媒体の温度に関わりなく、ケーシングと攪拌軸との間に一定のシール状態を維持することができ、これによりケーシング内の減圧の程度を所定のレベルに維持できると共に、攪拌軸のトルクが過大になったり、或いはシール部に損耗が発生して、耐久性が低下するのを防止できる粉体の減圧乾燥装置を提供するにある。特に本発明の目的は、高温での減圧におけるシール性を高めるために、さらにシール材の温度による摩耗を防ぎながら、シール材のスリーブを加熱冷却するための温度制御機構を設けた粉体の減圧乾燥装置を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、減圧装置に接続され、収容する粉体乃至そのケーキを加熱するケーシングと、該ケーシング内に設けられた攪拌軸と、該攪拌軸に対する軸受けと、該ケーシングと攪拌軸とをシールするシール機構とを備えた粉体の減圧乾燥装置において、前記シール機構は、攪拌軸の外周に沿って設けられたシール材スリーブと、前記ケーシングの端縁部に設けられたシール材ホルダーと、該シール材ホルダーに保持され且つ前記シール材スリーブに対して垂直方向に延びて、シール材スリーブとの間にシール部を形成する複数のシール材リングと、複数のシール材リングの間に加熱又は冷却ガスを供給するガス注入孔と、前記シール材のスリーブを加熱又は冷却するための温度制御機構とから成ることを特徴とする粉体乾燥装置が提供される。本発明の粉体乾燥装置において、前記ケーシングの周囲には加熱媒体を通すためのジャケットが設けられ、攪拌軸は中空であって、内部に加熱媒体の通路が形成されていることが好ましく、更に前記攪拌軸の内面には断熱材層が形成されていることが、加熱媒体の温度にかかわりなしに、一定のシール状態を得るために好ましい。また、前記温度制御機構と軸受けとの間に断熱壁が形成されていることが、軸受け部の加熱を防止する上で好ましい。更に、前記ケーシングの下部が半円筒形乃至それに近い形状のものであり、前記攪拌軸がパドル付きシャフトであること及び前記パドルには邪魔板が設けられていることが、好ましい。
【0010】
【発明の実施形態】[作用]本発明では、収容する粉体乃至ケーキを加熱するケーシングと、該ケーシング内に設けられた攪拌軸と、攪拌軸の軸受けと、ケーシングと攪拌軸とをシールするシール部とで減圧乾燥装置を構成した。攪拌軸はケーシング中央部に一本設置される単軸型と二本設置される二軸型に大別されるが、大量の粉体に対して本発明を実施する場合、二軸型が適合する。この乾燥装置に減圧機構を接続し、しかも粉体乃至そのケーキを加熱することにより、粉体を攪拌しながら減圧下に乾燥することが可能となり、例えば粉体中に存在する付着水、吸着水、水和水、沸石水、結晶水等を有効に除去して、乾燥を有効に行うことが可能となる。
【0011】本発明の装置においては、加熱減圧下に粉体を攪拌しつつ、乾燥を行うことが極めて重要である。本発明者らの観察によると、上記条件下での攪拌では粉体の乾燥が進むにつれて、粉体粒子の流動性が著しく向上し、粉体粒子はあたかも乾燥された砂のごとくサラサラした流動状態となることが確認されている。このような流動状態では、粉体粒子への伝熱が極めて良好に行われるのみならず、水分等の蒸発による除去も著しく速い速度で効率よく行われる。
【0012】一般に、粉体の付着力は、複合的なものであって必ずしも簡単なものではないが、分子間力(ファン・デル・ワールス力)、水分による毛管力、静電力の3種の力の寄与が大きい。このうち、分子間力は粒子間の距離の2乗から3乗に逆比例する近接力であるということができるが、厄介なのは水分による毛管力である。即ち、毛管力は、粒子間に架橋水膜がある限り距離には関係がないが、水分が少ないほど付着力が大きく作用するという特性がある。本発明の装置では、減圧下でしかも流動状態での加熱により、上記の架橋水膜が有効に除去され、粒子間の付着力も低減され、粒子間の凝集を解消しつつ、粉体の乾燥が有効に行われるものである。勿論、本発明の乾燥処理による製品は、粉体としての流動性等に優れていると共に、例えば樹脂中への分散性に優れているという利点をも与えるものである。
【0013】本発明では、このシール機構を、攪拌軸の外周に沿って設けられたシール材スリーブと、前記ケーシングの端縁部に設けられたシール材ホルダーと、該シール材ホルダーに保持され且つ前記シール材スリーブに対して垂直方向に延びて、シール材スリーブとの間にシール部を形成する複数のシール材リングと、複数のシール材リングの間に加熱又は冷却ガスを供給するガス注入孔と、前記シール材のスリーブを加熱又は冷却するための温度制御機構とから構成したことが特徴である。
【0014】本発明の装置では、シール材スリーブに専属の温度制御機構を設け、加熱冷却機構のオンオフ制御、PID制御、2自由度PID制御、2自由度PID+ファジー制御等により、シール材スリーブの昇温による径方向への熱膨張を一定の範囲に制御し、熱媒体の温度にかかわりなく、適切なシール状態、即ち減圧状態を維持し、しかも攪拌軸の駆動トルクが過大となったり、シール材の損耗の程度が大きくなるのを防止して、円滑で安定した長期間にわたる運転を可能にしている。また、複数のシール材リングの間に加熱又は冷却ガスを供給するガス注入孔を設け、シール材スリーブとシール材リングとの間にガスを通すことにより、粉体粒子の逆流を防止すると共に、シール材の膨張を制御することにより適切なシール状態が得られるものである。
【0015】更に、回転軸の内面に断熱材を設けて、内部通路を通る熱媒体によって回転軸が加熱されるのを防止し、熱媒体の温度によるシール状態への影響を遮断するようにすることができる。更にまた、軸受け及びシール機構の間に、両者の間を熱的に遮断するための断熱壁を設け、軸受けの過熱を防止することができる。
【0016】本発明の好適な装置では、ケーシングの下部を半円筒形乃至それに近い形状のものとし、攪拌軸をパドル付きシャフトで構成する。この攪拌軸とケーシングとの組み合わせでは、粉体に実質上剪断力を与えることなしに、攪拌が行われるので、粉体粒子の器壁への衝突による付着が回避され、かえって粒子のほぐれ状態が良好なものとなり、粉体粒子が良好な流動状態になるという利点がある。また、粉体がケーシング壁に付着堆積するのを防止するため、パドルには邪魔板を設けることが好ましい。
【0017】以上説明した本発明によれば、熱媒体の温度に関わりなく、ケーシングと攪拌軸との間に一定のシール状態を維持することができ、これによりケーシング内の減圧の程度を所定のレベルに維持できると共に、攪拌軸のトルクが過大になったり、或いはシール部に損耗が発生して、耐久性が低下するのを防止できるという利点がある。
【0018】従来と本発明のシール状態の違いについて具体的に説明する。シールを発生するための設定温度は、シール材リングとシール材スリーブの形状サイズ及び熱膨張率により決定される。従来、装置が熱媒油で6時間で300℃に到達した場合、シール部への伝熱は150℃で、シール発生の為の設定温度に達し、シールが発生し、装置減圧度は10torr(負圧で750torr)になる。更に昇温して350℃に装置が到達した場合、減圧度が5torr(負圧で755torr)になり、シール部も185℃に昇温膨張しシール材の摩耗損傷が発生する。一方、装置を250℃で運転する場合、シール部温度は105℃でシール発生の設定温度に到達せず、装置に真空が発生しない。本発明は、シール部に加熱冷却の温度制御装置をつけて温度制御する場合、シール部の温度は150℃に1時間以内に到達し、装置の運転温度に関わらず、シールを発生する事ができる。また、熱媒油の昇温により装置が250℃に到達し、250℃で運転する場合、シール部は温度制御器により、150℃のシール発生温度を保持しており、10torr(負圧で750torr)の装置真空が得られる。更に昇温して350℃で運転する場合、シール部は冷却温度制御され150℃を保持するから、シール部は過度に昇温膨張せず、シール材の摩耗損傷を生ずることなく、10torr(負圧で750torr)の装置真空が得られる。
【0019】本発明において、乾燥すべき粉体乃至ケーキとしては、無機或いは有機の各種粉体やその濾過ケーキなどがあげられ、乾燥すべき液体は水分であるのが普通であるが、勿論有機溶媒であってもよい。粉体粒子の粒径は一般に0.5乃至100μm、特に1乃至10μmの範囲にあるものが好適である。
【0020】例えば、粉体としては、充填剤、補強剤、顔料、染料、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、塩素捕捉剤、赤外線吸収剤、アンチブロッキング剤等の樹脂配合剤や、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂等が挙げられるが、勿論これらの例に限定されない。
【0021】粉体乃至ケーキの乾燥は、一般に粉体を100乃至400℃、好適には150乃至350℃の温度に加熱することにより行われる。この加熱に際して、系内を減圧に維持するのが有効であり、20torr以上、特に150torr以上の負圧にするのが脱水に有効である。また、攪拌軸の回転数は、粉体の流動化が行われるようなものが好ましく、一般に毎分当たり5回転以上、特に毎分当たり20乃至40回転程度の回転が適当である。処理時間は、粉体乃至ケーキの含有液量や、要求される乾燥の程度によっても相違するが、一般に15乃至60分間程度の処理が望ましい。
【0022】
【実施例】本発明を添付図面に示す実施例に基づき以下に詳細に説明する。添付図面において、図1は本発明の粉体乾燥装置の一例の側面図であり、図2は図1の装置の断面図であり、図3は図1の装置の軸受け部及びシール部の詳細を示す拡大断面図である。
【0023】本発明の粉体乾燥装置は、図1に示すように、大まかにいって、減圧装置に接続され、収容する粉体乃至そのケーキを加熱するケーシング2と、ケーシング2内に設けられた回転軸(撹拌軸)3と、回転軸3に対する軸受け4と、ケーシング2と回転軸3とをシールするシール機構5とを備えている。
【0024】ケーシング2は、下部断面が半円形となった直方体の形状であり、その長手方向が水平となるように、機枠1により支持されている。このケーシング2の下面及び側面には加熱媒体を通すためのジャケット21が形成されており、このジャケット21には加熱媒体の導入パイプ21a及び排出パイプ21bが設けられている。ケーシング2の両端部には、ブラケット22を介して、軸受け支持スリーブ23が取り付けられており、この支持スリーブ23に軸受け4が取り付けられている。
【0025】回転軸3は軸受け4により回転可能に支持されていて、ケーシング2のほぼ中心を長手方向に延びるように位置している。機枠1には駆動用モーター11が設けられており、回転軸3は、スプロケット12、チェーン13、スプロケット14のような駆動伝達手段により駆動回転される。
【0026】ケーシング2の上部には乾燥すべき粉体乃至ケーキを供給するための開閉弁を備えた供給部24が設けられ、またケーシング2の下部には乾燥後の粉体を払い出すための開閉弁を備えた払出部25が設けられている。ケーシング2には、フィルター26を介して真空ポンプなどの減圧装置(図示せず)との接続部27も設けられている。尚、図示していないが、接続部27と減圧装置との間には、蒸発液体を凝集させるためのコンデンサーを設けることもできる。
【0027】回転軸3は中空であり、内部に加熱媒体の通路38(図3参照)が形成されており、一方の端部にはジョイント28を介して加熱媒体導入パイプ29が設けられ、他方の端部にはジョイント30を介して加熱媒体排出パイプ31が設けられている。これにより、ケーシング2内の粉体は、ケーシングの壁面のみならず、攪拌羽根(パドル)を通しても加熱可能となり、伝熱の効率が高くなっている。
【0028】ケーシング2の内部の構造を示す図2において、回転軸3には、粉体を攪拌するための多数の円盤状のパドル32が、軸方向に所定の小間隔をおいて、回転軸3を中心として取り付けられている。パドル取付部の両側には、粉体を内側に送るための短いスクリュー33(図3参照)が形成されている。また、パドルとパドルの間には、粉体のケーシング壁への付着堆積を防止するための邪魔板34も設けられている。この装置において、パドル32が駆動回転されると、ケーシング2内に収容されている粉体もパドルの回転方向に回転されて、粉体の攪拌と粉体粒子の流動化を生じる。
【0029】本発明に用いる軸受け4及びシール機構5の詳細な構成を示す図3において、軸受け4は回転軸3の周囲に設けられた軸受けベアリング41と、これを取り囲む軸受けベアリングボックス42とから成っている。
【0030】一方、シール機構5は、回転軸3の外周に沿って設けられたシール材スリーブ51と、ケーシング2のブラケット22に設けられたシール材ホルダー52と、シール材ホルダー52に保持され且つ前記シール材スリーブ51に対して垂直方向に延びて、シール材スリーブ51との間にシール部を形成する複数のシール材リング53、53と、複数のシール材リング53、53の間に加熱又は冷却ガスを供給するガス注入孔54と、前記シール材スリーブ51を加熱冷却するための温度制御機構55とスリーブ温度制御用冷却ファン58から成っている。内方側のシール材リング53には、水平方向の位置調節用の押しスプリング56が設けられている。シール材スリーブとしては、ステンレスSUS316及びSUS304等が使用されるが、特に耐久性の点で、SUS304が好適に仕様される。
【0031】シール材リングとしては以下に述べるものに限定されないが、超硬合金、アルミナ焼結体、炭化珪素焼結体、炭化珪素/グラファイト/炭素の複合セラミックス体、テフロン、炭化珪素−グラファイト系自己潤滑性セラミックス複合材、及び黒鉛複合炭化珪素焼結体や黒鉛複合炭化珪素焼結複合体が使用される。特に、〔α型炭化珪素粉末/硼素−炭素系焼結助剤/異方性黒鉛粒子(天然黒鉛及び鱗片状黒鉛粉)/カーボンブラック/ポリビニルアルコール〕焼結体にフェノール樹脂を高圧含浸した黒鉛複合炭化珪素焼結複合体が、固体潤滑性、熱伝導性、均一接触摺動性の点で優れており好適に使用される。また、温度制御機構55としては、高周波誘導加熱装置、赤外線ランプ、ニクロム線ヒーター、ガスバーナー等のそれ自体公知のものが用いられる。この温度制御機構は、粉体乃至そのケーキの加熱温度を室温以上、減圧を負圧で20乃至759.9torrにする場合、この加熱機構がないとシール性が悪くなり、この加熱機構がないと所定の減圧にすることが不可能である。
【0032】本発明の装置では、シール材スリーブ51に専属の温度制御機構55及びスリーブ温度制御用冷却ファン58を設け、温度制御機構55のオンオフやPID制御等又は冷却ファン58の冷却により、シール材スリーブ51の径方向への熱膨張を一定とし、熱媒体の温度にかかわりなく、適切なシール状態、即ち減圧状態を維持し、また回転軸3の駆動トルクが過大となったり、シール材51、53の損耗の程度が大きくなるのを防止して、円滑で安定した長期間にわたる運転を可能にしている。また、複数のシール材リング53、53の間に加熱又は冷却ガスを供給するガス注入孔54を設け、シール材スリーブ51とシール材リング53との間に温度調節ガスを通すことにより、粉体粒子の逆流を防止すると共に、シール材51、シール材リング53の熱膨張を制御し適切なシール状態が得られるものである。
【0033】回転軸3の内面には断熱材層37が設けられていて、内部通路38を通る加熱媒体によって回転軸3が熱伝導の影響を受けないようにし、シール材スリーブ51の温度が温度制御機構55及びスリーブ温度制御用冷却ファン58によって制御されるようにしている。
【0034】また、軸受け4及びシール機構5の間に、両者の間の輻射熱を遮断するための断熱壁40を設け、軸受け4の過熱による機能低下を防止している。
【0035】本実施例の装置の運転の一例では、加熱ジャケット21及び攪拌軸通路38に通す加熱媒体の温度を室温乃至400℃の広い範囲内で任意の温度に設定できる一方で、加熱媒体を250℃に設定した場合はシール材スリーブ51及びシール材リング53の温度を、専属の温度制御機構55の動作及びガス注入孔54からのガス注入により、150℃に昇温可能に設定されている。この運転条件で、ケーシング2内の圧力は、10torr(負圧で750torr)に維持されることが確認されている。
【0036】粉体乾燥操作に際しては、ケーシング2の払出部25の弁を閉じ、供給部24の弁を開いて、乾燥すべき粉体乃至ケーキをケーシング2内に充填し、供給部24の弁を閉じる。次いで、加熱ジャケット21及び攪拌軸通路38に所定温度に加熱された加熱媒体を供給すると共に、専属の温度制御機構55をオンし、ガス注入孔54から加熱空気を供給して、シール材スリーブ51を所定温度に昇温させる。また同時に、回転軸3を駆動回転させ、ケーシング2内の粉体乃至ケーキを攪拌すると共に、ケーシング2のフィルター26を介して、接続部27を減圧装置に接続し、ケーシング2の内部を減圧状態に維持する。これにより、ケーシング2内の粉体は、次第に流動化状態になりながら、乾燥が有効に進行する。この間、シール材スリーブ51の温度を温度計で検出し、温度制御機構55をオンオフ制御すると共に、必要により、シール材スリーブ51の冷却ファン58も動作させることにより、シール材スリーブ51の温度を一定の制御レベルに維持する。粉体の乾燥の程度は、ケーシング2に設けた圧力計によって感知することができる。粉体の乾燥が進行するに連れて、蒸気圧が低下するので、真空度が上がるので、乾燥の程度を確認することができる。勿論、一定の液含有量の粉体乃至そのケーキについて、一定の操作条件での時間と乾燥程度との関係を実験的に求め、乾燥の終点を操作時間で知ることもできる。乾燥操作が終了した後、減圧装置との接続を解除して、ケーシング2内を大気圧に復帰させ、ケーシング2の払出部25の弁を開いて、乾燥された粉体を外部に払い出し、以後上記の操作を反復する。
【0037】本実施例の装置における運転条件の一例を次に示す。
1.粉末状の含水珪酸カルシウム15kgをケーシング2内に投入し、ケーシング2のジャケットとケーシング内の回転軸3に熱媒油を流通させ、熱媒油を250℃に昇温し、同時に回転軸3を40rpmで回転させて、粉末の流動と昇温を行う。
2.粉末温度が220℃に伝熱到達後、真空ポンプにてケーシング2を吸引減圧にし、シール材スリーブ51の温度を、専属の温度制御機構55の動作及びガス注入孔54からの加熱ガス注入により、150℃に昇温設定する。この運転条件で、ケーシング2内の圧力は、10torr(負圧で750torr)に維持されることを確認する。10torr、30分保持して粉末の減圧脱水を完了する。
3.ケーシング2内の温度を熱媒油温を低下させながら降温し、シール材スリーブ51の温度を、専属の温度制御機構55の動作及びガス注入孔54からの加熱ガス注入により、150℃に保持し、ケーシング2内の圧力を、10torr(負圧で750torr)に維持して粉末温度を流動下に室温まで降下させ乾燥製品を得た。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、減圧装置に接続され、収容する粉体乃至そのケーキを加熱するケーシングと、該ケーシング内に設けられた攪拌軸と、該攪拌軸に対する軸受けと、該ケーシングと攪拌軸とをシールするシール機構とを備えた粉体の減圧乾燥装置において、前記シール機構を、攪拌軸の外周に沿って設けられたシール材スリーブと、前記ケーシングの端縁部に設けられたシール材ホルダーと、該シール材ホルダーに保持され且つ前記シール材スリーブに対して垂直方向に延びて、シール材スリーブとの間にシール部を形成する複数のシール材リングと、複数のシール材リングの間に加熱又は冷却ガスを供給するガス注入孔と、前記シール材のスリーブを加熱又は冷却するための温度制御機構とから構成することにより、熱媒体の温度に関わりなく、ケーシングと攪拌軸との間に一定のシール状態を維持することができ、これによりケーシング内の減圧の程度を所定のレベルに維持できると共に、攪拌軸のトルクが過大になったり、或いはシール部に損耗が発生して、耐久性が低下するのを防止できる。
【出願人】 【識別番号】000193601
【氏名又は名称】水澤化学工業株式会社
【出願日】 平成11年9月21日(1999.9.21)
【代理人】 【識別番号】100067183
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 郁男
【公開番号】 特開2001−91157(P2001−91157A)
【公開日】 平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願番号】 特願平11−266579