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【発明の名称】 多段乾燥装置
【発明者】 【氏名】廣江 正九三

【要約】 【課題】従来のこの種の乾燥装置に比べて、格段に粉塵の発生を抑え、熱ガスの流路を狭めることなく、かつ該流路が被乾燥物落ち口に影響を及ぼす程度の少ない構造を有し、規模の拡大を計るに当り、高さだけを高くするのではなく、平面的なひろがりをもって装置全体の大型化を可能とする。

【解決手段】乾燥面7Aを有する第1室と、乾燥面7Bを有する第2室と、乾燥面7Cを有する第3室と、乾燥面7Dを有する第4室とに分割し、前記乾燥面7Aないし7Dには、それぞれ次の乾燥面との間で落差の小さい段差及び次の乾燥面への被乾燥物落ち口を設け、隣接する段同士を連結して最上段から最下段まで回り階段状に各部屋を配設し、被乾燥物を最上段から最下段まで落差の小さい段差を介して順次落下させるように構成すると共に、熱ガス流路用開口部の流路断面積を可及的に大きくした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 乾燥室内に高さ方向にほぼ等間隔で平行に多数の段を設け、各段毎の乾燥面と、外周壁と、上段及び下段の各乾燥面をつなぐ連通口とで熱ガスの流路を形成し、前記乾燥面上に回転範囲が互いに重なり合うよう並列に、かつすべての段の乾燥面を垂直に貫通する回転軸に取付けてそれぞれの段毎に多数の送り翼を配設し、前記乾燥面上での該送り翼の回転による攪拌送り及び上の乾燥面の前記連通口端部に設けた被乾燥物落ち口から段差をつけた下の乾燥面への落下により、被乾燥物を最上段より最下段まで順次移行させながら前記熱ガスと接触させて乾燥させる多段乾燥装置において、前記各段は、前記外周壁で囲まれており、内部に設けた仕切り壁で、それぞれ前記乾燥面を有する複数の部屋に分割し、前記乾燥面には、それぞれ上から下へ次の乾燥面との間で落差の小さい段差および次の乾燥面への前記被乾燥物落ち口を設け、隣接する段同士を連結して最上段から最下段まで階段状に各部屋を配設し、前記被乾燥物を最上段から最下段まで前記落差の小さい段差を介して順次落下させるように構成すると共に、前記熱ガス流路用開口部の流路断面積を可及的に大きくしたことを特徴とする多段乾燥装置。
【請求項2】 最上段から最下段まで落差の小さい段差をつけた階段状の前記乾燥面は、従来の1/4段差をつけて回り階段状に4分割した乾燥面であることを特徴とする請求項1に記載の多段乾燥装置。
【請求項3】 最上段から最下段まで落差の小さい段差をつけた階段状の前記乾燥面は、従来の1/2段差をつけてジグザグ階段状に並列2分割した乾燥面であることを特徴とする請求項1に記載の多段乾燥装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多段乾燥装置におけるおのおのの段の乾燥面を複数の乾燥面に分割し互いに段差をつけて配設し、左右交互ジグザグ階段状もしくは回り階段状の連続した段差を有する乾燥面を備えた多段乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】汚泥物質等を熱ガス等によって乾燥する従来の多段乾燥装置として、実公平5−37194号公報に記載されたものがある。この種の多段乾燥装置の構成を図4(a),(b)により説明する。
【0003】図4において、1はキャスタブル耐火材で成形された乾燥室であり、上部一端側に被乾燥物導入口2が、また、下部他端側に被乾燥物排出口3が、それぞれ配設されている。該被乾燥物導入口2には、供給ホッパー4aとスクリューコンベア5aを備えた供給装置6aが、また、被乾燥物排出口3には、排出シュート4bとスクリューコンベア5bを備えた排出装置6bが、それぞれ連設されている。
【0004】乾燥室1内は、上面が乾燥面7となる耐熱金属板8で高さ方向にほぼ等間隔に平行に区分されている。また各段の金属板8の互いに反対側の一端は切欠かれて上段と下段の乾燥面7を連通する連通口10が形成され、この連通口10によって多段をなす各段の乾燥面7が一連に連結されている。そして最上段の乾燥面7に前記被乾燥物導入口2が連通され、最下段の連通口10に被乾燥物排出口3が連通されている。さらに、最上段から1段下と最下段の乾燥面7の一方の側壁を構成する乾燥室1の側壁部には、それぞれ熱ガス導入口11とガス排出口12とが開口されている。図示例における熱ガスの流路は、その流路断面幅が乾燥面7の横幅に対して半分以下に絞られており、複数段の乾燥面7にて上段側から下段側へ流れるように形成されている。なお、熱ガスの流通経路は、同示例とは逆に下段から上段へ流れるように形成してもよい。
【0005】図中13は、互いにギヤで連動される垂直方向の回転軸で、前記各段の金属板8を貫通して縦方向に複数本並列され、該回転軸13の両端は前記乾燥室1の上壁部及び下底部にそれぞれ回転自在に軸架されている。さらに、各回転軸13には、各金属板8の乾燥面7上に位置するように配置した複数の送り翼14が取付けられ、この送り翼14の回転半径の一部が隣接送り翼14の回転半径の一部と重なるように回転軸13の間隔が定められ、しかもこの送り翼14が隣接回転軸13のボス部15に接触しないように、位置決めがなされている。
【0006】さらに、前記乾燥室1の内壁面のうち、少なくとも、送り翼14の回転半径に沿う部分は、該送り翼14の高さより高い囲壁として円弧状に湾曲形成されている。また、乾燥室1上には駆動用減速機付き電動機19を配設したギヤボックス18が設けられ、これに内装した不図示のギヤを介して前記複数の回転軸13を隣接するもの同士交互に反対方向に回転連動するようになっている。
【0007】水分を多く含んだ被乾燥物は、供給ホッパー4aから落下し、スクリューコンベア5aによってかきまぜられながら、被乾燥物導入口2を通して乾燥室1内に供給される。
【0008】供給装置6aから供給される被乾燥物は、乾燥室1の被乾燥物導入口2より最上段の金属板8の乾燥面7上に供給され、乾燥面7上で図4(a)に示した矢印の方向に送り翼14が回転して被乾燥物を回転方向と壁面方向に押し出す。そして半径の一部が重なった次の送り翼14で反対方向から押されて第3番目の送り翼14の回転半径内に押し出され、乾燥面7上で攪拌されながら順次進行して先端の連通口10に面して端部仕切り板23に設けられた被乾燥物落ち口20より次の段の乾燥面7上に段差分だけ落下し同様にして順次下段の乾燥面7へと進行する。
【0009】このとき、同時に乾燥室1の上部の熱ガス導入口11より導入された熱ガスが、最上段の一段下の金属板8から被乾燥物の進行方向と同方向に流れて被乾燥物を加熱し、この熱ガスは蒸発水分を伴ない、最下段を経て下方のガス排出口12より排出される。
【0010】被乾燥物は、下段に進むにつれて乾燥され、最下段の金属板8の連通口10より被乾燥物排出口3に臨ませたスクリューコンベア5b上に落下し、スクリューコンベア5bにより移送され、排出シュート4b内を落下し乾燥室1の外部へ排出される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】各乾燥段の間隔は、処理容量を考慮に入れた加熱する熱ガスの流量とその通過速度及び乾燥室全体の構造上の理由から決められるが、この種のものとして従来技術における上下の乾燥段同士の間隔は、700〜1500mmと大きいものであった。このため、被乾燥物は上段から下段への落下中に粉塵を発生して熱ガスに混入し、熱ガス系の機器を汚損する度合いが大きかった。しかし、それでも多段乾燥装置は、熱ガスに粉塵が混入する度合いが他の乾燥装置、例えば、流動式、ロータリーキルン式、等に比べて格段に少ないのが大きな特徴で、特に熱ガスを循環使用するプロセスでは大きな利点となるものであった。そこで、さらに粉塵の発生を抑えるために被乾燥物の落下部分に粉塵発生防止用のシュート等を設けるという対策も試みられたが、粉塵発生防止用のシュートに被乾燥物が付着するという問題点も新たに発生した。
【0012】また、従来の構造の多段乾燥装置の規模には別の制約もあった。すなわち、段を形成する金属板の熱膨張のため乾燥面をある程度の大きさ以上にすることが構造上困難で、規模拡大の為には段数を増やす以外になく、規模拡大に伴なって熱ガス流量も多くなるので段と段との間隔も大きくせざるをえないこととなった。したがって、乾燥装置自身の高さを高くする以外に方法がなかった。
【0013】さらに、図4(a)に示すように従来の構造では、被乾燥物が次の乾燥段に移動する被乾燥物落ち口は熱ガスの移動通路でもあり、前述のように、その流路断面幅が乾燥面7の横幅に対して半分以下に絞られることとなり、熱ガスの段間の移動通路は、構造上大きくとることはできず、そのため該箇所での熱ガスの流速は速くなって、大きい段差を落下した被乾燥物の粉塵は、熱ガスの流れに乗りやすいという問題点があった。
【0014】そこで、本発明の第1の目的は、従来のこの種の乾燥装置に比べて、格段に粉塵の発生を抑える多段乾燥装置を提供することにある。
【0015】本発明の第2の目的は、熱ガスの流路を狭めることなく、かつ該流路が被乾燥物落ち口に影響を及ぼす程度の少ない構造を有する多段乾燥装置を提供することにある。
【0016】本発明の第3の目的は、規模の拡大を計るに当り、段数を増やし高さだけを高くするのではなく、平面的なひろがりをもって装置全体の大型化が可能な多段乾燥装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に係る発明による多段乾燥装置は、乾燥室内に高さ方向にほぼ等間隔で平行に多数の段を設け、各段毎の乾燥面と、外周壁と、上段及び下段の各乾燥面をつなぐ連通口とで熱ガスの流路を形成し、前記乾燥面上に回転範囲が互いに重なり合うよう並列に、かつすべての段の乾燥面を垂直に貫通する回転軸に取付けてそれぞれの段毎に多数の送り翼を配設し、前記乾燥面上での該送り翼の回転による攪拌送り及び上の乾燥面の前記連通口端部に設けた被乾燥物落ち口から段差をつけた下の乾燥面への落下により、被乾燥物を最上段より最下段まで順次移行させながら前記熱ガスと接触させて乾燥させる多段乾燥装置において、前記各段は、前記外周壁で囲まれており、内部に設けた仕切り壁で、それぞれ前記乾燥面を有する複数の部屋に分割し、前記乾燥面には、それぞれ上から下へ次の乾燥面との間で落差の小さい段差および次の乾燥面への前記被乾燥物落ち口を設け、隣接する段同士を連結して最上段から最下段まで階段状に各部屋を配設し、前記被乾燥物を最上段から最下段まで前記落差の小さい段差を介して順次落下させるように構成すると共に、前記熱ガス流路用開口部の流路断面積を可及的に大きくしたことを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の第1実施例を図1及び図2を用いて説明する。本発明の乾燥室1の構成は、上記した従来の技術の乾燥室1の構成と乾燥面を除きほぼ同一であるため説明を省略する。
【0019】図1に示す第1実施例においては、従来の一段一面の平坦な乾燥面7を、例えば段差を従来の1/4の段差をつけて回り階段状に4分割した四つの乾燥面に分割するものとした。すなわち、図1(a)に示すように各段は、二つの長手方向側壁21aと二つの横断方向端壁21bで囲まれており、内部を一方の横断方向端壁21bと、二つの長手方向側壁21aの一部と、乾燥面幅と略同じ幅をもった次段への熱ガス流路用開口部を備えた第1の横断方向仕切り壁24aとで囲まれた乾燥面7Aを有する第1室と、一方の長手方向側壁21aの一部と、乾燥面幅と略同じ幅をもった次段への熱ガス流路用開口部を備えた第1及び第2の横断方向仕切り壁24a,24bの一部と、中央仕切り壁22とで囲まれた乾燥面7Bを有する第2室と、他方の横断方向端壁21bと、二つの長手方向側壁21aの一部と、乾燥面幅と略同じ幅をもった次段への熱ガスの流路用開口部を備えた第2の横断方向仕切り壁24bとで囲まれた乾燥面7Cを有する第3室と、他方の長手方向側壁21aの一部と、乾燥面幅と略同じ幅をもった次段への熱ガス流路用開口部を備えた第1及び第2の横断方向仕切り壁24a,24bの一部と、中央仕切り壁22とで囲まれた乾燥面7Dを有する第4室とに分割する。
【0020】各乾燥面7Aないし7Dには、二列の送り翼14を設け、回転軸13に送り翼14を取付け、この送り翼14の回転半径の一部が隣接送り翼14のそれと重なるように回転軸13の間隔が定められ、しかもこの送り翼14が隣接回転軸13のボス部15に接触しないように、位置決めがなされている。
【0021】前記四つの乾燥面7Aないし7Dには、相互に段差が設けられるが、この段差は従来の段差の1/4となる。図1(b)で示したように、乾燥面7A1 より7B1 を低く、同じく7B1 より7C1 を低く、同じく7C1 より7D1 を低く、同じく7D1 より一つ下の段の分割面の乾燥面7A2 を低くする。さらに次段において、同様に乾燥面7A2 より7B2 を、同じく7B2 より7C2 を、同じく7C2 より7D2 を、同じく7D2 より7A3 を低くする。なお、各段を4つの面に分割すると乾燥面7A2 は丁度乾燥面7A1 の、同じく7B2 は7B1 の、同じく7C2 は7C1 の、同じく7D2 は7D1 の真下になる。したがって、各乾燥面7Aないし7Dはその順番を繰返して回り階段状に配設される。
【0022】ある段の乾燥面7上で送り翼14が、図1(a)に示した矢印の方向に回転して被乾燥物を回転方向と壁面方向に押し出す。そして該被乾燥物は半径の一部が重なった次の送り翼14で反対方向から押されて第3番目の送り翼14の回転半径内に押し出され、乾燥面7上で攪拌されながら順次一方向に移動して、図2の斜視図に示したように被乾燥物がどこからでも落ちないように乾燥面7の端部に設けた端部仕切り板23の一部を切り欠いた被乾燥物落ち口20を介して1つ下の乾燥面7に落ち、図1(b)に示すように7A1 から7B1 、同じく7B1 から7C1 、同じく7C1 から7D1 、同じく7D1 から7A2 へと順次移送される。例えば、被乾燥物落ち口20の代表的寸法としては、高さ約150mm、幅100〜200mmにする。一方、熱ガスは天井の金属板8と、床の乾燥面7と、側壁21と、中央仕切り壁22と、で囲まれた空間を上段から下段へと順次移送される。
【0023】乾燥面7を分割してかつ相互に段差を設けることにより、乾燥面7を形成する金属板8の1つの板材の寸法を小さくすると共に熱膨張が少なくとも一方向に自由にできるようにした。また、1段の乾燥面7を4つに分割した結果、段差も4つに分割することができ、従来に対し隣接した二つの乾燥面、例えば乾燥面7A,7B間の段差は1/4になり、被乾燥物落ち口20での被乾燥物の落下に伴う粉塵の発生を抑えることができるようになった。熱ガスの流路も乾燥面7が回り階段状に設置されているため、例えば乾燥面7A1 と7A2 との間の高さは従来通りの高さを保つことができ、また熱ガスの流路用開口部断面積を可及的に大きくしたので従来に対し被乾燥物落ち口20に比べて熱ガスの流路断面積は大きくなり、被乾燥物の落下に熱ガスの流れが大きな影響を与えることもない。さらに、多段乾燥装置の処理容量を増大するには高さだけではなく、平面的なひろがりを大きくすることができ、高さを抑えながら装置全体の大型化も可能となった。
【0024】本発明の第2実施例を図3を用いて説明する。
【0025】第2実施例においては、従来の一段一面の平坦な乾燥面を従来の1/2の段差をつけて並列2分割した二つの乾燥面としたものである。すなわち、図3(a)に示すように各段は二つの長手方向側壁21aと二つの横断方向端壁21bで囲まれており、内部は中央の仕切り壁22で乾燥面7Aを有する第1室と乾燥面7Bを有する第2室とに分割する。
【0026】各乾燥面7A,7Bには、2列の送り翼14を設け、回転軸13に送り翼14を取付け、1実施例と同じ配置にされている。
【0027】前記二つの乾燥面7A,7Bには、段差が設けられるが、この段差は従来の段差の1/2となる。図3(b)で示したように、乾燥面7A1 より7B1 を低く、同じく7B1 より一つ下の段の分割面の乾燥面7A2 を低くする。さらに次段において乾燥面7A2 より7B2 を低く、同じく7B2 より7A3 を低くする。なお、各段を二つの面に分割すると乾燥面7A2 は丁度乾燥面7A1 の、同じく7B2 は7B1 の真下になる。したがって、各乾燥面7A,7Bはその順番を繰り返してジグザグ階段状に配設される。
【0028】他の部分については、第1実施例について先に記載された所と実質的に同じものである。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、従来に比して粉塵の発生を抑えることができる。また、熱ガスの流路が大きくなり、被乾燥物の落下に熱ガスの流れが影響を及ぼす程度の少ない構造にすることができる。さらに、規模の拡大を計るに当り、装置全体の大型化が可能となる。
【出願人】 【識別番号】595052688
【氏名又は名称】アズ・キャリア株式会社
【出願日】 平成11年9月20日(1999.9.20)
【代理人】 【識別番号】100083312
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 小平
【公開番号】 特開2001−91156(P2001−91156A)
【公開日】 平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願番号】 特願平11−264866