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【発明の名称】 温風除湿乾燥装置
【発明者】 【氏名】入江 孝

【氏名】本山 修一郎

【要約】 【課題】深夜電力を用いることにより、ランニングコストが安く、温風乾燥を同時に行うことが可能な温風除湿乾燥装置の提供。

【解決手段】吸着材を加熱し、この結果生ずる熱を利用して、乾燥および/または暖房を行う過程と、衣類などの乾燥室のように大量の水蒸気を含む場所の空気を強制的に吸着槽内に供給し、発生する吸着熱で強制的に吹き込んだ空気を暖め、その乾燥され、暖められた空気を衣類などの乾燥を行う過程とからなる二つの過程を独立に運転状況に応じて切り替えることのできるシステムを組み込んだ温風除湿乾燥装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸着材を加熱し、この結果生ずる熱を利用して、乾燥および/または暖房を行う過程と、水蒸気を含む空気を強制的に吸着槽(1)内に送り込み水蒸気を吸着材に吸着させると同時に、発生する吸着熱で強制的に送り込んだ空気を暖め、その乾燥され、暖められた空気により乾燥を行う過程とからなる二つの過程を運転状況に応じて切り替えることのできるシステムを組み込んでなる温風除湿乾燥装置。
【請求項2】 該吸着槽(1)が加熱手段を組み込んだものであり、さらに送風手段(2)、および放熱凝縮手段(3)を含む請求項1に記載の温風除湿乾燥装置。
【請求項3】 二つの過程を運転状況に応じて切り替えることのできる様に組み込まれた該システムを吸着材の加熱を予め定められた時間帯に行う様に作動させることにより吸着材を加熱し、この結果生ずる熱を利用して、乾燥および/または暖房を行う過程と、水蒸気を含む空気を強制的に吸着槽内に送り込み水蒸気を吸着させると同時に、発生する吸着熱で強制的に送り込んだ空気を暖め、その乾燥され、暖められた空気により乾燥を行う過程と、を作動させることからなる請求項1または2に記載の温風除湿乾燥装置。
【請求項4】 予め定められた時間が深夜電力が利用できる時間帯である請求項3に記載の温風除湿乾燥装置。
【請求項5】 吸着槽(1)と外気とのやりとりを制御する手段が組み込まれた請求項1〜4の何れか1項に記載の温風除湿乾燥装置。
【請求項6】 送風機の運転に連動して、吸着槽(1)と外気とのやりとりを制御する手段の開閉機構が開閉することよりなる請求項5に記載の温風除湿乾燥装置。
【請求項7】 該外気とのやりとりを制御する手段が送風手段(2)により送られてくる空気の風圧に応じて開く構造を有するものである請求項6に記載の温風除湿乾燥装置。
【請求項8】 吸着材がゼオライトである請求項1〜7の何れか1項に記載の温風除湿乾燥装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、吸着材が有する水蒸気を吸着するときに発熱するという性質を利用して、衣類の水分を吸着材に吸着させ、その際発生する熱を活用した乾燥機に関する。
【0002】
【従来の技術】 現在実用化されている温風暖房機および/または乾燥装置には、除湿機、温風乾燥除湿機、ゼオライトを利用した乾燥装置等がある。除湿機の場合には、コンプレッサーを使用して冷所と暖所とを人工的に作り出し、空気をまず冷所を通して空気中に含まれる水分を凝縮させ脱水し、脱水された空気を暖所を通して乾燥させ機外に放出するという構成を取っている。また、温風乾燥除湿機の場合には、除湿器にヒータを取り付け、乾燥温風を得て、これを機外に放出するという構成を取っている。また、乾燥にゼオライトを利用した装置としては、ヒータで加熱させた空気を送りゼオライトの温度を上昇させ、吸着されている水分を放出させ、その水分を熱交換機で凝縮させ水分を分離し、この水分を分離した空気をまたヒータに戻すための回路1と、室内空気を凝縮器を通して、その際発生する凝縮熱で室内空気を暖め、ついでゼオライト槽を通して、暖められた空気が含む水分をゼオライトに吸着させることにより除湿するための回路2とから構成されており、この両回路によりゼオライトの脱水と吸着を並行して行うことにより、連続運転できるように構成されている装置である。従って、両回路を同時に作動させる必要があるために、乾燥時に大きな電力を消費するという欠点がある。勿論、安価な深夜電力を利用してランニングコストを安くする構成にはなって居らず、また電力ピークが発生する時間帯での乾燥を少ない電力で行うようには構成されていない。
【0003】 一方、従来からある風呂場等で使用されている乾燥機としては、電気式の除湿乾燥機、または、ガスあるいは灯油式の温風乾燥機がある。電気式の場合、温風を発生させて除湿乾燥を行うものは、熱効率が必ずしも高くないことなどから、電気代が高価となり、結果としてランニングコストが非常に高くなるという問題がある。除湿のみを行う場合は、ランニングコストは安いものの、積極的に乾燥を行うことはできないので、乾燥機としての使用には限界がある。ところで、ガス、あるいは、灯油式は、ランニングコストは、電気式のものと比較すれば、安いものの、温風を出すだけであり、結果として高温多湿状態を作り出す。従って、乾燥機として用いる場合は水分を系外に放出する機構が必要であり、機器の複雑化を招くという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 従って、本発明は、消費電力が大きい脱水過程と消費電力の少ない吸着過程とをそれぞれ独立に任意の時間帯に行うことができ、また、吸着材の脱水時に発生する熱を使い脱水を行うことができ、ランニングコストが安く、除湿と温風出力とを同時に行うことが可能な温風除湿乾燥装置を提供することにある。さらに、低電力で乾燥できることを利用したピークカット対応、また、深夜電力を用いることができるようなシステムを利用することにより、より一層ランニングコストを安くすることができる温風除湿乾燥装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】 本発明者等は、上記の様な現状に鑑みて種々検討した結果、吸着材を加熱し、この結果生ずる熱を利用して、乾燥および/または暖房を行う過程と、水蒸気を含む空気を強制的に吸着槽(1)内に送り込み水蒸気を吸着材に吸着させると同時に、発生する吸着熱で強制的に送り込んだ空気を暖め、その乾燥され、暖められた空気により乾燥を行う過程とからなる二つの過程を運転状況に応じて切り替えることができ、かつ、任意の時間に動作させることができるシステムを組み込んだ温風除湿乾燥装置が上記の課題を解決できることを見いだして、本発明を完成させたものである。かくして、水分除去を伴う乾燥と水分蒸発を促進できる温度の供給が可能となり、効率の良い乾燥が可能となる。勿論、脱水時においては、乾燥を必要としないことも多く、そのような場合には、暖房に使用することも可能である。本発明に係る温風除湿乾燥装置の場合には、吸着材からの吸着された水分の除去に深夜電力を利用することにより、ランニングコストをより一層安く押さえることが可能となる。また、電力ピークが発生する時間帯での乾燥を低電力で行うことができピークシフト効果も有する。
【0006】 さらには、該吸着槽(1)が加熱手段を組み込んだものであり、送風手段(2)、および放熱凝縮手段(3)を含む温風除湿乾燥装置が、第三には、二つの過程を運転状況に応じて切り替えることのできる様に組み込まれた該システムを吸着材の加熱を予め定められた時間帯に行う様に作動させることにより吸着材を加熱し、この結果生ずる熱を利用して、乾燥および/または暖房を行う過程と、水蒸気を含む空気を強制的に吸着槽内に送り込み水蒸気を吸着させると同時に、発生する吸着熱で強制的に送り込んだ空気を暖め、その乾燥され、暖められた空気により乾燥を行う過程とを作動させることからなる温風除湿乾燥装置が、第四には、予め定められた時間が深夜電力が利用できる時間帯である温風除湿乾燥装置が、第五には、吸着槽(1)と外気とのやりとりを制御する手段が組み込まれた温風除湿乾燥装置が、第六には、送風機の運転に連動して、吸着槽(1)と外気とのやりとりを制御する手段の開閉機構が開閉することよりなる温風除湿乾燥装置が、第七には、該外気とのやりとりを制御する手段が送風手段(2)により送られてくる空気の風圧に応じて開く構造を有するものである温風除湿乾燥装置が、第八には、吸着材がゼオライトである温風除湿乾燥装置が提供されることとなる。
【0007】
【発明の実施の形態】 本発明に係る温風除湿乾燥装置は、基本構成として、図1に模式的に示したように、加熱手段(5)が組み込まれた吸着槽(1)、送風手段(2)、放熱凝縮手段(3)、および吸着材を加熱し、この結果生ずる熱を利用して、乾燥および/または暖房を行う過程と、水蒸気を含む空気を強制的に吸着槽(1)内に送り込み水蒸気を吸着材に吸着させると同時に、発生する吸着熱で強制的に送り込んだ空気を暖め、その乾燥され、暖められた空気により乾燥を行う過程とからなる二つの過程を運転状況に応じて、切り替えることのできるシステムとしての予め定められた時間帯のみ加熱手段(5)を作動させる手段(4)からなる。送風手段(2)としては、運転状況に応じて送風量を調整できる手段が組み込まれた送風機等が好適に使用できる。この様な送風手段は、公知である。放熱凝縮手段(3)としては、コンデンサー等が好適に使用できる。予め定められた時間帯のみ加熱手段(5)を作動させる手段(4)としては、所定の時間帯、例えば、深夜電力を使用するモードに切り替える時間を予めインプットすることができる機能、あるいは、自動的に時間の変化や湿度の変化が感知できるセンサ機能等を組み込んだCPU等が好適に使用できる。なお、本発明に係る温風除湿乾燥装置を浴室などの暖房をかねて使用する場合には、使用目的に応じて、送風する空気の取り入れ口、および吸着槽(1)を通過した空気の吹き出し口を切り替えることができる手段が組み込まれていることが好ましい。かかる切り替え手段としては、流路切り替え弁等が挙げられる。その他の部品、手段等は、その機能、配置等に応じて通常の空調機に使用されるものと同様のものを使用すればよい。
【0008】 運転状況によっては、深夜電力を利用して吸着材を乾燥させた後、直ちに、乾燥および/または暖房のための運転を開始する必要がない場合には、吸着槽に外気が入り込まないように、吸着槽(1)と外気とのやりとりを制御する手段(図示せず)を設けてもよい。というのは、所定の時間帯、例えば、深夜電力にて脱水を行ったとしても、本発明に係る温風除湿乾燥装置を湿度の多い場所に外気と自由に連通できる状態で放置すると、その間に吸着材が水分を吸ってしまい、いざ運転をしようとしたときに、温風乾燥を行えない可能性があるからである。吸着材としては、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、活性アルミナなどが好適に使用できる。ただし、吸着槽(1)と外気とのやりとりを制御する手段は、吸着槽を完全に密閉状態にする必要はなく、室内空気の出入りを防止できる手段であれば充分であり、この様なものとしては、換気扇等に適用されている送風開閉装置等が挙げられる。なお、この吸着槽(1)と外気とのやりとりを制御する手段は、送風手段と連動させることが好ましい。即ち、送風時には吸着槽(1)と外気とのやりとりを制御する手段を解除し、送風を停止した状態では、吸着槽(1)と外気とのやりとりを制御する手段が、作動し、吸着槽を外気とは遮断された状態保持する。さらに好ましくは、吸着槽(1)と外気とのやりとりを制御する手段としては、一定以上の風圧に達したときに、風圧を受けて開放する有圧ファンのシャッターを使用する。
【0009】 本発明に係る温風除湿乾燥装置の運転サイクルは、吸着材、例えば、ゼオライトの脱水過程と、吸着材に蒸気を吸着させる吸着過程とからなる。ところで、脱水過程は消費電力が大きいので、電力使用のピーク時をさけて、消費電力の少ない吸着過程とをそれぞれ独立に任意の時間帯に行うことができるように、二つの過程を運転状況に応じて、切り替えることのできるシステムとしての予め定められた時間帯のみ加熱手段(5)を作動させる手段(4)として予めプログラミングされたCPU等の装置を本発明に係る温風除湿乾燥装置に取り付けておくことが好ましい。かくして、電力ピークが発生する時間帯には、消費電力の少ない吸着過程を作動させることにより、本発明に係る温風除湿乾燥装置を低電力で作動させることが可能となる。従って、消費電力が大きい脱水過程は、より安価な電力の使用が可能な深夜電力を利用して、吸着材の脱水を行うことが好ましい。即ち、予め定められた時間帯のみ加熱手段(5)を作動させる手段(4)からの指示により、深夜電力を利用して、吸着槽(1)中に設けられた加熱手段(5)を加熱し、同槽内に収納されている吸着材を加熱し、吸着されている水を脱水する。
【0010】 吸着材からの脱水、換言すれば、吸着材の乾燥をスムーズに行えるように、送風手段(2)を作動させて、吸着槽内に空気を送くる。このとき、吸着材に吸着されていた水が加熱され、送り込まれた空気と一緒になって、高温高湿の空気となって吸着槽(1)から放出される。この空気を直ちに放熱凝縮手段(3)に通して、水分を凝縮するとともに、この空気を高温状態(通常は150℃程度)から、使用目的に応じて、換言すれば、乾燥効率と被送風部屋の使用目的を考慮して適温に冷却して、室内に放出する。乾燥室の場合には、放出空気の温度は、大凡80℃である。寝室などの暖房に使用するときには、40℃程度とすることが好ましい。凝縮されて生成した水はドレイン(図示せず)に流す。この過程においては、上述の如く、衣類乾燥や、室内の暖房も可能である。しかし、この過程では、温風乾燥となり、積極的に除湿することはできない。
【0011】 一方、消費電力の少ない吸着過程においては、任意の時間帯に、より具体的には運転状況に応じて、より好ましい時間帯に送風手段(2)を作動させて、室内空気を吸着槽内を通すことにより、吸着熱が発生し、空気はその吸着熱を奪い、高温乾燥空気となり放出される。この場合には、放熱凝縮手段(3)は、専ら、放出する空気の温度調整にのみ使用される。なお、この熱により、例えば、乾燥室が暖められると同時に、衣類の乾燥も促進される。その際、衣類から蒸発した水分により部屋は多湿状態となるが、この水分はまた吸着材により吸着され、結果として、この過程においては、高温乾燥状態が維持される。勿論、吸着過程を浴室の暖房に利用してもよく、この場合には、湯気を含む浴室内の空気を、送風手段(2)を作動させて、吸着材槽内に強制的に送り、そこで、水分は、吸着材に吸着され、空気は、吸着熱により暖められ浴室の暖房に使用される。
【0012】
【実施例】 以下本発明に係る温風除湿乾燥装置の作動例を示して本発明をさらに説明するが、本発明はこの作動例により何ら限定されるものでないことはいうまでもない。
(作動例1)深夜電力が使える23時より脱水を開始し、乾燥室の温度を上昇させる。乾燥室の温度が衣類から水分を蒸発させるに充分な温度となった時点で、吸着過程に切り替え、高温加熱と除湿を行い衣類の乾燥を深夜に完了させる。この状態で、吸着槽(1)と外気とのやりとりを制御する手段を作動させて外気との交換を遮断することが好ましい。
(作動例2)深夜電力が使える23時から7時までの間に脱水を行い乾燥室の温度を上昇させ衣類の乾燥を行う。昼間および/または夕方吸着を行うことにより衣類の乾燥を行う。この際に、入浴時には、浴室や脱衣場との空気を吸入して浴室、および脱衣場などの暖房を行う。
【0013】 次に、実施例をあげて、さらに本発明に係る温風除湿乾燥装置について説明する。
(実施例)図2(a)および(b)に模式的に示した、容量が50Wの送風ファン付きで、ゼオライト4A型10kgを吸着材として使用した本発明に係る温風除湿乾燥装置(幅:350mm×長さ:220mm×高さ:680mm)を使用して、Tシャツ16枚を床面積4.0m2、容積8.4m2の乾燥室に収容して乾燥した。Tシャツ16枚のそのものの重量は、約2kgで、同シャツに吸着されている水分量は、約1kgで、乾燥開始前のシャツ総重量は約3kgであった。乾燥室の乾燥開始前の温度は31℃、乾燥室の乾燥開始前の相対湿度は72%、乾燥開始前の乾燥室外の温度は31℃、乾燥開始前の乾燥室外の相対湿度は72%であった。乾燥状態を経時的測定した結果を図3示した。なお、乾燥機をつけないで乾燥室に収納したTシャツを乾燥したときの乾燥状態の経過をあわせて図3に示した。本発明に係る温風除湿乾燥装置を使用した場合には、約2時間後には、完全に乾燥した。また、2時間経過後の乾燥室の温度は40℃、乾燥室の相対湿度は9%であった。しかし、本発明に係る温風除湿乾燥装置を使用しない場合には、3.5時間を経過しても、完全には乾燥しなかった。また、図2に示したように吸着槽内の3カ所に熱電対(8)を3カ所設け、乾燥機内部の温度変化を測定した。その結果は、図4に示す。乾燥室内の温度と湿度の変化も共に図4に示す。
【0014】
【発明の効果】 本発明に係る温風除湿乾燥装置によれば、装置の構造も簡単で、消費電力が大きい脱水過程と消費電力の少ない吸着過程とをそれぞれ独立に任意の時間帯に行うことができるので、電力ピークが発生する時間帯には低電力で作動させることが可能なことに加え、さらに、深夜電力を用いることによりランニングコストが安く、また、吸着過程では、脱水と加熱を同時に行うことができるので、エネルギー効率がよい。また、空調機器のCOP(暖房エネルギー/電気エネルギー)としては、1.3ぐらいとなり、炭酸ガスの削減に貢献できるというメリットも発揮される。
【出願人】 【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
【出願日】 平成11年9月13日(1999.9.13)
【代理人】 【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
【公開番号】 特開2001−82874(P2001−82874A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−259525