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【発明の名称】 遠心薄膜乾燥機
【発明者】 【氏名】宇 野 修 悦

【氏名】井 手 勝 記

【氏名】佐 藤 信

【要約】 【課題】軸受装置を低温に維持しながら均一に潤滑することができる遠心薄膜乾燥材を提供する。

【解決手段】遠心薄膜乾燥機は、汚泥が投入される伝熱胴1と、伝熱胴1内に回転自在に配設された主軸2とを備えている。主軸2は、上部軸受装置8aおよび下部軸受装置9aを介して伝熱胴1に支持されている。下部軸受装置9aは玉軸受9と、潤滑油41が収納された油槽36と、油槽36内に配置され、主軸2に固着された円筒体2aとを有している。円筒体2aには、円筒体2a内の潤滑油を遠心力で加圧して玉軸受9へ送るポンプ穴23が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】汚泥が投入される伝熱胴と、この伝熱胴内に回転自在に配置され、伝熱胴内面に汚泥を押付けるブレードが取付けられた主軸と、伝熱胴に設けられ、各々主軸の上部と下部を支持するとともに玉軸受を有する上部軸受装置および下部軸受装置とを備え、上部軸受装置および下部軸受装置のうち少なくとも一方は、伝熱胴側に固定され油を収納する油槽と、主軸の回転により駆動して油槽内の油を玉軸受へ送りかつ油槽へ戻すポンプ機構とを有することを特徴とする遠心薄膜乾燥機。
【請求項2】下部軸受装置のポンプ機構は、油槽内に配置されるとともに主軸に連結された円筒体からなり、この円筒体には円筒体の回転に伴って円筒体内の油を玉軸受へ送るポンプ穴が設けられていることを特徴とする請求項1記載の遠心薄膜乾燥機。
【請求項3】円筒体の上部に、気泡抜き用のバランス孔を設けたことを特徴とする請求項1記載の遠心薄膜乾燥機。
【請求項4】上部軸受装置のポンプ機構は、油槽内に配置されるとともに主軸に連結されたガイドカラーからなり、このガイドカラーにはガイドカラーの回転に伴なってガイドカラー内の油を玉軸受へ送るポンプ穴が設けられていることを特徴とする請求項1記載の遠心薄膜乾燥機。
【請求項5】下部軸受装置のポンプ機構は、油槽内に配置された主軸の延長部からなり、この延長部に下端中心から上方斜め方向に延び延長部の回転に伴なって油槽内の油を玉軸受へ送る複数の放射孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載の遠心薄膜乾燥機。
【請求項6】下部軸受装置のポンプ機構は、油槽内に配置された主軸の延長部からなり、この延長部は下端が開口した中空円筒状をなし、延長部内に油槽側に支持されたスクリューを配設し、延長部の回転に伴なって油槽内の油を延長部内面とスクリューとの間から玉軸受へ送ることを特徴とする請求項1記載の遠心薄膜乾燥機。
【請求項7】下部軸受装置のポンプ機構は、油槽内に配置された主軸の延長部からなり、この延長部は下端が開口した中空円筒状をなし、延長部下端近傍に油槽側に支持され吸込孔を有するポンプケーシングを設け、延長部の回転に伴なって油槽内の油をポンプケーシングの吸込孔から延長部とポンプケーシングとの間を経て玉軸受へ送ることを特徴とする請求項1記載の遠心薄膜乾燥機。
【請求項8】主軸に、主軸の回転に伴なって回転して上部軸受装置を冷却する冷却ファンを設けたことを特徴とする請求項1記載の遠心薄膜乾燥機。
【請求項9】主軸に、上部軸受装置からの熱を受けるヒートパイプを設けるとともに、このヒートパイプに、外方へ熱を放出する冷却フィンを連結したことを特徴とする請求項1記載の遠心薄膜乾燥機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品工業・化学工業・産業廃棄物処理業および下水処理業等に用いられる汚泥乾燥用の遠心薄膜乾燥機に関する。
【0002】
【従来の技術】図11乃至図13により、従来の遠心薄膜乾燥機の構成図を示す。図11に示すように、遠心薄膜乾燥機は薄肉の伝熱胴1と、薄肉の伝熱胴1の内部に、伝熱胴1と同軸に設けられた主軸2とを備え、主軸2は駆動モータ3によって駆動し回転するようになっている。また、主軸2の上部には、分配リング5が設けられ、汚泥入投入口4から供給された汚泥は分配リング5を通って伝熱胴1の内面に均一に投入される。さらに、伝熱胴1内に分散された汚泥を薄膜状にするためのブレード6が、主軸2に軸方向および円周方向に複数枚とりつけられている。また、ブレード6は伝熱胴1との間の汚泥を介してわずかの隙間を保ちながら動くため、大きな固形分のかみこみが発生することがある。このかみこみ等による異常を防ぐため、ブレード6には、その根元にヒンジ7が取り付けられ、可動により逃げられるようになっている。
【0003】また、主軸2は伝熱胴1の上下両端部の上部玉軸受8、および下部玉軸受9で支持され、下部玉軸受9は伝熱胴1にスポーク10により支持され、伝熱胴1のスポーク10の下部には汚泥排出口11が形成されている。さらに、伝熱胴1の上部には、汚泥から発生する蒸発蒸気を廃棄するための排気口12が設けられている。さらに、伝熱胴1の外側には、汚泥の脱水・乾燥を行うための熱源となる蒸気を通す蒸気ジャケット13が設けられ、この蒸気ジャケット13には蒸気入り口14から蒸気が流入するとともに、蒸気ジャケット13内の蒸気は蒸気出口15から流出するようになっている。
【0004】汚泥投入口4から伝熱胴1内に供給された汚泥16は、主軸2とともに回転する分配リング5によって伝熱胴1内面に沿うように分散される。さらに、汚泥16は主軸2とともに回転するブレード6によって掻き取られ、伝熱胴1内面に薄膜状に引き延ばされる。そして、薄膜状になった汚泥16は重力と次々に供給される新しい汚泥の圧力によって、少しつづ下方に進む。その際、伝熱胴1外側の蒸気ジャケット13に供給されている加熱蒸気によって、汚泥16は伝熱胴1により加熱される。その後、汚泥16はその水分が徐々に脱水され、乾燥汚泥となり、伝熱胴1の下端に設けられた排出口11より排出される。一方、汚泥から蒸発した蒸気は排気口12から抽気し排気される。なお、符号17、18は汚泥ならびに蒸気進入防止のための軸受保護カバーと回転円筒シールである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】遠心薄膜乾燥機に供給される汚泥は、上述のように遠心薄膜乾燥機の内部で加熱乾燥し、水分が蒸発していくに従い、伝熱胴1内部を下方に移動しながら、汚泥の含水率が次第に減少し徐々に乾燥する。
【0006】ここで、図11、図12および図13によって従来の大形乾燥機の構成に係わる課題について説明する。図11は全体断面図であり、図12および図13は図11のF−F並びにG−G線に沿う断面図である。
【0007】図11乃至図13に示すように、乾燥が進むに従って汚泥排出口11には乾燥汚泥20が落下してくる。それと同時に排出口12より吸い込まれる空気は、空気の流れ方向19に流れ、主軸2と伝熱胴1の隙間を上部に移動するに従って湿り蒸気の状態となり、蒸気の流れ方向21に流れて乾燥機の外部に排出される。汚泥16からの蒸発蒸気を含んだ湿り空気は、主軸2ならびに下部玉軸受8および上部玉軸受9の周囲温度を高くする。その影響を受けて玉軸受8、9の温度が高くなり、高温化によるグリースの潤滑不良と劣化、軸受疲労の拡大化により軸受寿命を短くし、時によっては軸受損傷にいたることがある。また、軸受損傷を防止するために玉軸受8、9周囲を冷却強化すると、不均一な温度差に伴う玉軸受8、9の熱膨張により玉軸受隙間の減少や周囲の蒸気が軸受部で結露水となり、玉軸受8、9に侵入してグリースの潤滑性能の低下などで、玉軸受8、9を損傷する可能性がある。
【0008】さらに、玉軸受8、9あるいはブレード6の寿命を長くするために、主軸2の回転速度を低速にすることが考えられる。しかし処理性能(処理量、含水率)が主軸2の回転速度に依存することから、低速化は望ましくない。
【0009】本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、処理性能を低下させることなく玉軸受の長寿命化を図ることができる遠心薄膜乾燥機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、汚泥が投入される伝熱胴と、この伝熱胴内に回転自在に配置され、伝熱胴内面に汚泥を押付けるブレードが取付けられた主軸と、伝熱胴に設けられ、各々主軸の上部と下部を支持するとともに玉軸受を有する上部軸受装置および下部軸受装置とを備え、上部軸受装置および下部軸受装置のうち少なくとも一方は、伝熱胴側に固定され油を収納する油槽と、主軸の回転により駆動して油槽内の油を玉軸受へ送りかつ油槽へ戻すポンプ機構とを有することを特徴とする遠心薄膜乾燥機である。
【0011】本発明によれば、主軸の回転によりポンプ機構が作動し、油槽内の油を玉軸受へ供給し、かつ油槽へ戻す。
【0012】
【発明の実施の形態】第1の実施の形態以下、本発明の第1の実施形態について図1乃至図5を参照に説明する。ここで図1は本発明による遠心薄膜乾燥機の断面図、図2は図1のA部詳細図、図3は図2のC−Cに沿った断面図、図4は図1のB部詳細図、図5は図4のD−Dに沿った断面図である。
【0013】図1乃至図5に示すように、遠心薄膜乾燥機は薄肉の伝熱胴1と、薄肉の伝熱胴1の内部に、伝熱胴1と同軸に設けられた主軸2とを備え、主軸2は駆動モータ3によって駆動し回転するようになっている。また、主軸2の上部には、分配リング5が設けられ、汚泥入投入口4から供給された汚泥は分配リング5を通って伝熱胴1の内面に均一に投入される。さらに、伝熱胴1内に分散された汚泥を薄膜状にするためのブレード6が、主軸2に軸方向および円周方向に複数枚とりつけられている。また、ブレード6は伝熱胴1との間の汚泥を介してわずかの隙間を保ちながら動くため、大きな固形分のかみこみが発生することがある。このかみこみ等による異常を防ぐため、ブレード6には、その根元にヒンジ7が取り付けられ、可動により逃げられるようになっている。
【0014】また、主軸2は伝熱胴1の上下両端部の2個の上部玉軸受8、および下部玉軸受9で支持され、下部玉軸受9は伝熱胴1にスポーク10により支持され、伝熱胴1のスポーク10の下部には汚泥排出口11が形成されている。さらに、伝熱胴1の上部には、汚泥から発生する蒸発蒸気を廃棄するための排気口12が設けられている。さらに、伝熱胴1の外側には、汚泥の脱水・乾燥を行うための熱源となる蒸気を通す蒸気ジャケット13が設けられ、この蒸気ジャケット13には蒸気入り口14から蒸気が流入するとともに、蒸気ジャケット13内の蒸気は蒸気出口15から流出するようになっている。
【0015】汚泥投入口4から伝熱胴1内に供給された汚泥16は、主軸2とともに回転する分配リング5によって伝熱胴1内面に沿うように分散される。さらに、汚泥16は主軸2とともに回転するブレード6によって掻き取られ、伝熱胴1内面に薄膜状に引き延ばされる。そして、薄膜状になった汚泥16は重力と次々に供給される新しい汚泥の圧力によって、少しつづ下方に進む。その際、伝熱胴1外側の蒸気ジャケット13に供給されている加熱蒸気によって、汚泥16は伝熱胴1により加熱される。その後、汚泥16はその水分が徐々に脱水され、乾燥汚泥となり、伝熱胴1の下端に設けられた排出口11より排出される。一方、汚泥から蒸発した蒸気は、排気口12から抽気し排気される。なお、符号17、18は汚泥ならびに蒸気進入防止のための軸受保護カバーと回転円筒シールである。
【0016】また上部玉軸受8と下部玉軸受9は各々上部軸受装置8aと下部軸受装置9aを構成している。
【0017】このうち下部軸受装置9aは、図2および図3に示すように伝熱胴1側に固定され潤滑油41を収納する油槽46と、油槽46内に配置されるとともに主軸に連結された円筒体2aとを備えている。この円筒体2aには複数個のポンプ穴23が設けられ、また円筒体2aの外周には円周溝24と軸方向溝25が設けられ、さらに円筒体2aには大気バランス孔26が設けられている。また円筒体2aの外周には水滴拡散板27と、各下部玉軸受9の間に位置する間隔片28と、締め付けナット29とが設置されている。さらに、間隔片28には吐き出し孔30が設けられ、水滴拡散板27には円周溝31と飛散口32が設けられている。
【0018】また下部軸受装置9aは、下部軸受ハウジング33を有し、下部軸受ハウジング33の内周面には下部玉軸受9の外輪が固定フランジ34により固定され、下部軸受ハウジング33の中央部には主軸2の方向に油循環口35が設置されている。油槽36は下部軸受ハウジング33の下部に位置し、この油槽36の外周には冷却ジャケット37が設けられ、さらに補助拡大油槽40が油槽36に連結されている。また、下部玉軸受ハウジング33の上部には、シールケーシング42および接触型シール43が装着されている。
【0019】また下部軸受ハウジング33の外周には、僅かな隙間を設けてスポーク10により保持された軸受ハウジング押え44が設置されている。
【0020】一方、上部軸受装置8aは図4と図5に示すように、伝熱胴1側に固定され潤滑油57を収納する油槽55と、油槽55内に配置され、主軸2にリングキー46で固定されたガイドカラー45とを備え、このガイドカラー45は上部軸受ハウジング47に嵌合され、内輪固定ナット48と外輪固定ナット49により固定される。ガイドカラー45の下端には複数個からなるポンプ穴50(図5では4個)が設けられている。また上部軸受ハウジング47には、下端内周部にポンプ穴50に対応して設けられた円周溝51と、上部軸受ハウジング47を垂直方向に貫通する軸受給油穴54(図5では各3個)と、円周溝51と軸受給油穴54とを連結する吐出穴53とが設けられている。また円周溝51の中にはスクレッパー52(図5では3個)が設けられ、また上部軸受ハウジング47には排出穴64と、オーバーフロー孔66とが各々設けられ、上部軸受ハウジング47の下端には油槽55が位置し、その外周には冷却フィン56が取付けられている。
【0021】上部軸受ハウジング47の上端にはシールケーシング58とシール59が設けられ、主軸2の上部には、ファン60が設置されている。
【0022】上部軸受ハウジング47はハウジング取り付け台61により保持され、このハウジング取り付け台61とモータ3のモータ取り付け台62には、各々に通風口63が設けられている。更に油槽55には補助拡大油槽65が連結され、この中には潤滑油57が充満されている。
【0023】なお、上記実施の形態において、ポンプ穴23を有する円筒体2aおよびポンプ穴50を有するガイドカラー45により、ポンプ機構が構成される。
【0024】次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。図1において、汚泥投入口4から伝熱胴1内に供給された汚泥16は、主軸2とともに回転する分配リング5によって伝熱胴1の内面に沿うように分散される。さらに、汚泥16は、主軸2とともに回転するブレード6によって掻き取られ、伝熱胴1の内面に薄膜状に引きのばされる。そして、薄膜状になった汚泥16は重力と次々に供給される新しい汚泥の圧力によって、少しづつ下方に進む。その際、汚泥16は、蒸気ジャケット13に供給されている加熱蒸気により伝熱胴1を介して加熱される。その後、汚泥16はその水分が徐々に脱水され、脱水汚泥となり、伝熱胴1の下端に設けられた排出口11より排出される。一方、汚泥16から蒸発した蒸気は下部の排出口11より抽気された空気とともに伝熱胴1と主軸2の隙間を通って上部に搬送され排気口12より排気される。なお、乾燥汚泥16はベルトコンベアにより次の処理工程に搬送される。
【0025】ところで、乾燥機内は蒸発蒸気の影響を受け全体的に温度が高くなる。すなわち主軸2とスポーク10の温度も高くなる。
【0026】次に下部軸受装置9aの作用について、図2と図3を用い説明する。
【0027】主軸2が回転すると、円筒体2a内の中空口22の潤滑油41は複数個のポンプ穴23で作用する遠心力により、円周溝24に導入され均圧力化される。次に潤滑油41は2個の下部玉軸受9間の間隔片28の吐き出し孔30より外方へ吐出される。
【0028】吐き出された潤滑油41は次に上下に分岐され、各下部玉軸受9に供給される。上方の下部玉軸受9に供給された潤滑油41は上方の下部玉軸受9を潤滑、冷却した後、下部軸受ハウジング33に設けられた数個の油循環口35より、油槽36に還元される。一方、下方の下部玉軸受9に供給された潤滑油41は、下部玉軸受9を潤滑、冷却し油槽36に還元される。
【0029】また、先の主軸2に設けられた円周溝24に供給された潤滑油41の一部は、円周溝24に連結している数個の軸方向溝25を通り、水滴拡散板27に設けられた円周溝31と飛散口32を介して、接触型シール43のすべり面に供給される。接触型シール43を潤滑、冷却した潤滑油41は、下部軸受ハウジング33の油循環口35より油槽36に戻される。
【0030】このように、潤滑油41は主軸2の回転効果により常に循環しており、循環過程で油槽36の外周に設けられた水入口管38と水出口管39を有する冷却ジャケット37により冷却される。
【0031】また、円筒体2aの中空口22内の油中の気泡は潤滑油41の油面を押し下げポンプ穴23の機能を失わないように、大気バランス孔26から放出される。
【0032】油槽36の下部には補助拡大油槽40が連結されており、回転による油槽36の油面変動や潤滑油41の温度上昇、蒸発による油面変化に対応が可能となる。
【0033】次に、上部軸受装置8aの作用について、図4と図5を用い説明する。
【0034】主軸2が回転することにより、油槽55内の潤滑油57は主軸2に設置されたガイドカラー45の複数個のポンプ穴50による遠心力作用により、上部軸受ハウジング47の内周部の円周溝51に供給され、供給された潤滑油57は更にガイドカラー45の回転による粘性ポンプ効果により増圧される。この潤滑油57はガイドカラー45とともに回転し、円周溝51の内部に設けられたクレッパー52によりかきとられ、円周溝51に貫通する複数個の吐出穴53と軸受給油穴54を通って上方から上部玉軸受8へ供給される。潤滑油47はその後、上部玉軸受8の潤滑、冷却をおこなった後、上部軸受ハウジング47に加工された排出穴64より油槽55に還元される。また上部玉軸受8を通過しない余分な潤滑油57は上に設けられたオーバーフロー穴66より、排出穴64を介して、油槽55に還元される。
【0035】潤滑油57の冷却は、次のように行なわれる。すなわち主軸2にファン60が設けられ、主軸2の回転に伴う風の強制対流が生じる。この強制対流は破線矢印のように、軸受ハウジング取り付け台61に設けた通風口63より空気を吸い込み、油槽55の冷却フィン56を介して、モータ取り付け台62の通風口63から空気を排出する。
【0036】油槽55の下部は補助拡大油槽65に連結されており、主軸2の回転による油槽55の油面変動、潤滑油57の温度上昇、蒸発による潤滑油57の油面変化を吸収緩和することが可能である。
【0037】以上のように本実施形態によれば、上・下玉軸受8、9の高性能化と長寿命化が可能になる。すなわち、本発明では上・下部玉軸受8、9の潤滑剤として、流動性があり潤滑性に優れる潤滑油(タービン油など)41、57を適用している。この潤滑油41、57は主軸2の回転による自己ポンプ効果により上・下部玉軸受8、9の内周と外周のまわりを均一に循環冷却し、且つ上・下部玉軸受8、9のボールに供給される。またこの潤滑油41、57は、冷却性に優れる強制通風または水冷却方式により冷却される。このように上・下玉軸受8、9を直接的に冷却するのではなく、潤滑油41、57を介して上・下部玉軸受8、9を間接的に冷却することにより、上・下玉軸受8、9を均一な温度に保持することが可能となり、従来、問題とされていた上・下部玉軸受8、9の内・外輪の温度差による軸受隙間の減少ならびにグリースの局部劣化を防止できる。これにより上・下部玉軸受8、9の損傷を阻止することが可能になる。
【0038】また上部軸受装置8aにおいては、伝熱胴1の上に、軸受ハウジング取り付け台61を設置し、それに上部軸受ハウジング47を設置することにより、伝熱胴1からの熱の進入を防止でき、上部玉軸受8の温度上昇を防ぐことができる。
【0039】また下部軸受装置9aの上端部には接触型シール43が装着され、接触型シール43には主軸2の回転効果を利用して潤滑油41が供給されので、接触型シール43が枯渇して異常摩耗を促進することはない。また結露水ならびに異物混入を防止することにより、軸受の損傷、潤滑油の劣化、油槽の油漏れを防止することができる。
【0040】さらに上・下部軸受装置8a、9aの油槽36、55に補助拡大油槽40、65を設置することにより、回転による油面変動と油面変化を安定に保持することができ、自己ポンプ機能の低下や油漏れを防ぐことができる。
【0041】以上の構成により、上・下部軸受装置の不均一な冷却による軸受損傷の防止、潤滑油の劣化防止、結露水の混入による軸受・シールの異常摩耗防止が可能となり、高性能で高信頼性(高寿命化)に優れる自己循環給油方式による玉軸受を提供することが可能になる。したがって、乾燥機空気を多量に送り込むことが可能となり、このため乾燥効率を大幅に高めることが可能となる。その結果、汚泥処理費用(ランニングコスト)を大幅に低減することができる。
【0042】第2の実施の形態図6は本発明の第2の実施の形態を示す遠心薄膜乾燥機の下部軸受装置9aの断面図である。図6において、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0043】図6において、下部軸受装置9aは潤滑油41が収納された油槽73と、油槽73内に配置され主軸2から延びる延長部2bとを有し、延長部2bに下端中心から上方斜め方向に延びる複数の放射孔67が形成されている。また水滴拡散板27には円周溝31と飛散口32が設けられている。この場合、放射孔67を有する延長部2bによりポンプ機構が構成される。
【0044】主軸2の延長部2bに、吸い込み円筒管68と、円筒管68の外周に位置する下部玉軸受9の内輪の押えを兼ねた円筒仕切板69とが設けられている。下部軸受ハウジング33にオーバーフロー穴70が設けられ、下部軸受ハウジング33の下端には潤滑油41を収納する油槽73が配置され、油槽73は冷却水71を仕切る仕切り板72を有している。また、下部軸受ハウジング33の上端に、シールケーシング42と接触型シール43が設けられている。
【0045】図6において、斜めに設けられた放射孔67により、油槽73の潤滑油41が吸い込み円筒管68から上方へ送られ、水滴拡散板27の円周溝31と飛散口32を経て玉軸受8に供給される。このとき油面がかなり低い状態でも、下部玉軸受9と接触型シール43への給油が可能であり、且つ円筒仕切板69により流路制約が行なわれ、仕切り板72の冷却面により潤滑油が冷却される。
【0046】第3の実施の形態図7は本発明の第3の実施の形態を示す遠心薄膜乾燥機の下部軸受装置の断面図である。図7において、図6に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0047】図7において下部軸受装置9aは潤滑油41が収納された油槽73と、油槽73内に配置され主軸2から延びる延長部2bとを有し、延長部2bは下端が開口した中空円筒状をなし中空口74を形成している。この中空口74内に油槽73側にスクリューケーシング76を介して支持されたスクリュー(ポンプ機構)75が配置されている。
【0048】スクリューケーシング76には、中心給油口77と排油孔78が設けられている。
【0049】図7において、回転する延長部2bの中空口74と静止しているスクリュー75との間に、相対すべり面の相互作用による粘性ポンプ作用が生じ、これにより潤滑油41は中心給油口77より中空口74へ送られ、水滴拡散板27の円周溝31と飛散口32から下部玉軸受9に給油される。
【0050】図7において、主軸2が極低速回転速度で回ったり、高粘度の潤滑油を用いた場合でも給油が可能となり、またスクリュー75の捩じれ角、ネジピッチ、深さなどで給油ポンプ特性を任意に選定できる。
【0051】第4の実施の形態図8は本発明の第4の実施の形態を示す遠心薄膜乾燥機の下部軸受装置の断面図である。図8において、図6に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0052】図8において、下部軸受装置9aは潤滑油41が収納された油槽73と、油槽73内に配置され主軸2から延びる延長部2bとを有し、延長部2bは下端が開口した中空円筒状をなし中空口74を形成している。
【0053】また下部軸受ハウジング33の下端面に、下部玉軸受9の外輪の押えを兼ねたポンプケーシング(ポンプ機構)79が、延長部2bの下端近傍に適度な間隙95をもって設置されている。ポンプケーシング79の中央には円錐吸い込み孔80が設けられ、また延長部2bには大気バランス孔26が設けられている。
【0054】図8において、延長部2bが回転すると、隙間81に作用する遠心ポンプ効果により潤滑油41がポンプケーシング79の内部に送られ、下部玉軸受9の下面より上面に給油される。また延長部2bに中空口74を設けることにより、潤滑油41の量を増大させることができる。
【0055】図8において、高速度で主軸23を回転させることができ、且つ構造が極めてコンパクトな下部軸受装置9aを提供することができる。なお油槽73の潤滑油41の貯蔵量を中空口74により増加させることにより、潤滑油41の劣化防止が可能となり、軸受の長寿命化を図ることができる。
【0056】第5の実施の形態図9は本発明の第5の実施の形態を示す遠心薄膜乾燥機の下部軸受装置の断面図である。図9に示す実施の形態は、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と図8に示す第4の実施の形態を組合せた構造を有している。図9において、図1乃至図5に示す第1の実施の形態および図8に示す第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0057】図9において、下部軸受装置9aは潤滑油41が収納された油槽73と、油槽73内に配置され主軸2から延びる延長部2bとを有し、延長部2bは下端が開口した中空円筒状をなし中空口74を形成している。下部軸受ハウジング33にポンプケーシング79が設けられ、延長部2bにポンプ穴83を有するポンプカラー82が取付けられている。
【0058】図9において、油槽73の潤滑油41は、延長部2bの端部とポンプケーシング79との間の隙間81と、ポンプカラー82に設けられたポンプ穴83の遠心力により加圧され、下部軸受ハウジング33に設けられた給油穴84を経て、下部玉軸受9の上面に到達する。また、主軸2の延長部2bに設けられたポンプ穴23から吐き出される潤滑油41は、上方と下方に別れ、上方および下方の下部玉軸受9に供給される。ポンプ穴23から下部玉軸受9の上面に到達した潤滑油41は、給油穴84から排出された潤滑油41と合流し、下部軸受ハウジング33に設けられた軸方向戻り穴85から油槽73に戻る。
【0059】一方、ポンプ穴23から下方に向かった潤滑油41は下部玉軸受9に供給され、下部軸受ハウジング33に設けられた半径方向戻り穴86を通って油槽73にもどる。
【0060】図9において、各ポンプの複合効果により、油槽73内において、ポンプケーシング79により形成された冷却パス路87内の潤滑油41の流速をあげ、油槽73の側面および低面に接触する冷却水71との間の熱交換効率を高めることができる。
【0061】第6の実施の形態図10は本発明の第6の実施の形態を示す遠心薄膜乾燥機の上部軸受装置の断面図である。図10において、図1乃至図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0062】図10において、主軸2の上部にはヒートパイプ87が内蔵され、ヒートパイプ87には回転冷却フィン88が連結されている。駆動モータ3は上部軸受ブラケット47上に設置され、駆動モータ3からの伝達力は駆動モータ3に連結されたプーリ89とベルト88により主軸2へ伝達される。
【0063】図10に示すように、主軸2の上部に生じる熱は、ヒートパイプ87および回転冷却フィン88により外方へ放出される。
【0064】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、主軸の回転により作動するポンプ機構によって、油槽内の油を玉軸受へ供給しかつ油槽へ戻すことができる。このように油槽内の油を主軸の回転により循環させながら玉軸受へ供給するので、油の温度を均一かつ低温に維持しながら、玉軸受を潤滑させることができる。このため玉軸受の損傷を防止できる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年6月22日(1999.6.22)
【代理人】 【識別番号】100064285
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
【公開番号】 特開2001−4277(P2001−4277A)
【公開日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【出願番号】 特願平11−175468