| 【発明の名称】 |
液化ガス生産システム |
| 【発明者】 |
【氏名】上羽 尚登
【氏名】渡辺 聡
|
| 【要約】 |
【課題】ガスの地域需要の変動にかかわらず、設備の効率的利用を図ることができるようにする。
【解決手段】水上を移動可能なバージ2に液化窒素や液化酸素を生産するためのASUプラント6を設け、バージ2と自力走行可能な船3とを鎖4で接続した。これにより、ASUプラント6を具備したバージ2を任意の場所に搬送することができので、バージ2の追加または置き換えなどによってガスの地域需要の変動に迅速に対応することができるようになる。そのため、ASUプラント6を含む液化ガス生産設備が効率的に利用できるようになる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水上を移動可能な浮体に液化ガス生産手段が設けられていることを特徴とする液化ガス生産システム。 【請求項2】 前記浮体が自力走行のための動力源を有しておらず、前記浮体が自力走行可能な船と接続されていることを特徴とする請求項1に記載の液化ガス生産システム。 【請求項3】 前記液化ガス生産手段が、精留塔を用いた深冷空気分離手段を含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の液化ガス生産システム。 【請求項4】 自力走行可能な船内に液化ガス生産手段が設けられていることを特徴とする液化ガス生産システム。 【請求項5】 前記液化ガス生産手段が、原料の改質手段および前記改質手段によって得られたガスの液化手段を含んでいることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス生産システム。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、液化された水素、窒素、酸素などの液化ガス生産システムに関し、特に水上を移動させて任意の場所に移設可能な液化ガス生産システムに関する。 【0002】 【従来の技術】例えば酸素や窒素を得るための液化ガス生産システムとして、精留塔を用いた空気分離ユニット(ASU:Air Separation Unit)が知られている。かかる空気分離ユニットにおいては、多数の棚段を有する精留塔内に導入した原料空気を深冷精留分離することにより、液化酸素や液化窒素のほか液化アルゴンなどを得ることが可能である。 【0003】また、例えば液化水素や液化炭酸ガスを得るための液化ガス生産システムとして、原料を改質反応させて目的とするガスを分離し、そのガスを断熱膨張などの方法により液化するようにしたものが知られている。このシステムによって液化水素を得ようとした場合、触媒を用いた改質反応により液化天然ガス(LNG)などから水素を分離精製し、断熱膨張などの公知の手段により液化する。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上述したような液化ガス生産システムは、稼働効率の面から大型の設備となることが多く、組み立てコストは決して安価なものではない。しかしながら、上述のシステムは、特定の土地に固定された設備であるため、ガスの地域需要が増加した場合にはその増加に迅速にかつ十分対応したガス供給ができないという問題がある。また、ガスの地域需要が減少した場合には設備稼働率が低下して生産能力が過剰となるという問題がある。 【0005】そこで、本発明の主たる目的は、ガスの地域需要の変動にかかわらず、設備の効率的利用を図ることが可能な液化ガス生産システムを提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1の液化ガス生産システムは、水上を移動可能な浮体に液化ガス生産手段が設けられていることを特徴とするものである。 【0007】請求項1によると、液化ガス生産手段が浮体に設けられているために、海や湖などの水面上において浮体を移動させることで、液化ガス生産手段を水際にある任意の場所に移設することが可能となる。そのため、地域需要が増加した場合には、より大型の液化ガス生産システムと入れ替えるかまたは別の液化ガス生産システムを追加するという形で需要増加に迅速に対応することができる。また、地域需要が減少した場合には、より小型の液化ガス生産システムと入れ替えるかまたは今まであった液化ガス生産システム自体を撤去することにより需要減少に対応することができる。そのため、特定期間のみガス供給が必要になる地域に対するガス供給施設としても好適である。なお、請求項1は、浮体自体が動力源を有していて自力走行できる場合と、浮体自体が動力源を有しておらず、例えば請求項2のように浮体が別の自力走行可能な船などに搬送される場合との両方を含んでいる。 【0008】このようにして、地域需要に応じたガス生産能力をもつ液化ガス生産システムを移設することによって、設備の稼働率が向上し、設備を効率よく利用できるようになる。さらに、ガスの需要地になるべく近い場所に本発明の液化ガス生産システムを移設することにより、陸地に固定された液化ガス生産システムと比較すると、生産されたガスの輸送費を大幅に削減することができる。また、本発明では、液化ガスを生産することができるので、液化されていないガスを生産する場合と比較して貯蔵や輸送に要する費用を削減することが可能である。なお、本発明の液化ガス生産システムは、水路でつながっている場所であれば国内に限らず海外へも移設することが可能であり、周囲を海で囲まれた島国である日本などの国にとって、特に有用性が高いものである。 【0009】また、請求項1の液化ガス生産システムによると、ガス供給地におけるシステムの組み立て作業が不要であり、あらかじめ組み立てておいた液化ガス生産システムを移設するだけでガスの供給ができるので、受注から比較的短期間で、しかも低コストでのガス供給が可能となる。 【0010】また、請求項1の液化ガス生産システムによると、浮体に液化ガス生産手段が設けられているために、水上にてガス生産が可能となり、ガス生産のために十分な広さの土地を陸上に用意することができない場合であってもガスを生産することが可能である。また、水上においてもガスの生産が可能であるために、液化ガス生産システムを移動させる途中などの時間を有効に活用して効率的なガス生産を行うことができる。 【0011】なお、本明細書でいう浮体は、何らかの手段によって浮力を与えられて水上において安定して浮いた状態を保持できる構造物であればどのようなものであってもよく、例えば通常の船舶などと同様の構造を有しているものであってよい。また、水の出し入れによって浮力の調節が可能になっているものでもよい。 【0012】また、請求項2の液化ガス生産システムは、前記浮体が自力走行のための動力源を有しておらず、前記浮体が自力走行可能な船と接続されていることを特徴とするものである。 【0013】請求項2によると、液化ガス生産手段を備えた浮体と船とを搬送先において分離することができるので、浮体だけを例えばドックなどの陸上施設に移設することが可能である。従って、移設先において、波による揺れなどの影響を受けずに安定したガス生産が可能となる。また、請求項4のように船内に液化ガス生産手段を設ける場合と比較して、既存の船をそのまま利用できるという点でコスト的な利点が大きい。 【0014】また、浮体がエンジンなどの自力走行のための動力源を有していないため、浮体自体を比較的小型にすることができる。そのため、搬送先においてドックなどの陸上施設に浮体を移設する場合、比較的小さな施設内にも浮体を設置することができる。なお、浮体と船との接続は、両者に鎖を係止することで行ってもよいし、その他の公知のどのような手段を用いてもよい。 【0015】また、請求項3の液化ガス生産システムは、前記液化ガス生産手段が、精留塔を用いた深冷空気分離手段を含んでいることを特徴とするものである。 【0016】請求項3の液化ガス生産システムによると、精留塔を用いた深冷空気分離手段により、窒素、酸素、アルゴンなどの空気含有成分を供給することができる。このとき、精留塔は揺れがあると正常に動作しない可能性が高いため、浮体の移動中にガス生産を行うのは一般には困難である。そのため、例えば、浮体が船に接続されて搬送されてきた場合には浮体を船から切り離し、ドックなどの陸上施設に浮体だけを固定してガス生産を行うことが好ましい。 【0017】なお、請求項3の液化ガス生産システムにおいて、液化ガス生産手段は、精留塔を用いた深冷空気分離手段のほかに、請求項5のような原料の改質手段および前記改質手段によって得られたガスの液化手段を含んでいてよい。これにより、窒素、酸素、アルゴンなどの空気含有成分だけでなく、例えば水素などを1つの浮体において生産することが可能となる。 【0018】また、請求項4の液化ガス生産システムは、自力走行可能な船内に液化ガス生産手段が設けられていることを特徴とするものである。 【0019】請求項4によると、自力走行可能な船に液化ガス生産手段が設けられているために、請求項1とほぼ同様の利益を得ることが可能である。すなわち、請求項4によると、液化ガス生産手段が自力走行可能な船に設けられているために、海や湖などの水面上において船を移動させることで、液化ガス生産手段を水際にある任意の場所に移設することが可能となる。そのため、ガスの地域需要の変動に迅速に対応することができるようになり、設備の稼働率が向上し、設備を効率よく利用できるようになる。 【0020】また、ガスの輸送費を大幅に削減することができる。また、あらかじめ組み立てておいた液化ガス生産システムを移設するだけでガスの供給ができるので、受注から比較的短期間で、しかも低コストでのガス供給が可能となる。さらに、船に液化ガス生産手段が設けられているために、十分な広さの土地を用意することができない場所に移設してガスを生産することが可能である。また、水上においてもガスの生産が可能であるために、液化ガス生産システムを移動させる途中などの時間を有効に活用して効率的なガス生産を行うことができる。 【0021】特に、請求項4の液化ガス生産システムによると、液化ガス生産手段が船内に設けられているために、例えば請求項2のように別体として設けられた浮体と船とが接続されている場合と比較すると、浮体が船の運航の障害となることがなく、船を大きな速度で安定して移動させることができるという利点がある。 【0022】また、請求項5の液化ガス生産システムは、前記液化ガス生産手段が、原料の改質手段および前記改質手段によって得られたガスの液化手段を含んでいることを特徴とするものである。 【0023】請求項5によると、改質手段および液化手段を含む液化ガス生産手段によって、原料に含有された例えば水素や炭酸ガスなどの成分を移設先において供給することができる。このとき、請求項5の改質手段および液化手段は請求項3のような精留塔を含まないようにすることができるので、航海中などの揺れがある場合でも好適なガス生産が可能である。 【0024】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しつつ説明する。 【0025】図1は、本発明の第1の実施の形態の液化ガス生産システムの概略構成を示す模式的な平面図である。図1に示す液化ガス生産システム1は、水上を移動可能な浮体であるバージ(艀)2と、船3と、バージ2と船3との間を結ぶ2本の鎖4とによって構成されており、海5の上に浮かべられている。 【0026】本実施の形態において、水上に浮いて移動可能な構造物であるバージ2は、走行用の動力源を有しておらず、自力での走行はできない。しかしながら、バージ2は鎖4を介して自力走行可能な船3と接続されているため、後述するドック10(図2参照)などの水際にある任意の場所へバージ2を搬送することが可能である。なお、バージ2自体に自力走行のための動力源を備えるようにしてもよく、その場合には船3を用いることなくバージ2を任意の場所に移動させることができる。 【0027】バージ2には、ASUプラント6と、LNGタンク7と、自家発電設備8とが設けられている。LNGタンク7は、自家発電設備8のほかバージ2内におけるエネルギー源として用いられる液化天然ガスを貯蔵している。自家発電設備8は、LNGタンク7から液化天然ガスの供給を受けてASUプラント6などで用いられる電力を発電する。 【0028】ASUプラント6は、精留塔(図示せず)を用いた深冷空気分離装置を含んでいる。ASUプラント6には、精留塔、熱交換器、圧縮器、膨張タービンなどのほか、精製した液化酸素(LO2)、液化窒素(LN2)、液化アルゴン(LAr)などの気液分離を行うためのバッファタンク(すべて図示せず)が含まれる。精留塔を用いた深冷空気分離装置については周知であるので、ここではその詳しい説明を省略する。 【0029】図2は、本実施の形態においてバージ2をドック内に固定した状態を模式的に示す平面図である。図2において、造船または船の補修などが行われるドック10は、海5に面しており、必要に応じて内部に水を導いたり、内部から水を抜き去ることができるように構成されている。また、ドック10の近隣地域には、液化ガスを貯蔵しておくための複数の液化ガスタンク12およびバージ2にLNGを供給するためのLNGタンク(図示せず)が配置されている。 【0030】本実施の形態において、ASUプラント6を備えたバージ2は、船3によって所望のドック10にまで搬送される。そして、水の入ったドック10内にバージ2が導かれた後にドック10の水が抜き取られ、さらに必要であればバージ2を安定して設置するための手段が講じられることにより、バージ2がドック10にて安定して固定されることになる。 【0031】そして、ドック10に固定されたバージ2内のバッファタンクがガスの種類に応じた液化ガスタンク12とそれぞれ図示しないパイプラインによって接続される。このような状態で、バージ2内のASUプラント6を作動させることにより、液化ガスタンク12に液化窒素、液化酸素などを貯蔵することができる。また、ドック10の近隣にあるLNGタンクからは、エネルギー源としてのLNGがバージ2に供給される。 【0032】なお、本実施の形態では、揺れによって正常に動作しない可能性がある精留塔を含むASUプラント6を採用しているために、バージ2の搬送中にガス生産を行うのは好ましくなく、バージ2をドック10に固定してからガス生産を行うようにするのが好ましい。 【0033】本実施の形態でバージ2を配置するためのドック10は、新たに造成する必要はなく、例えば休止中の既設ドックから種々の条件に合致するものを選択し、必要があればこれを改造すればよく、これによりバージ2の移設および固定場所を低コストで確保することができる。 【0034】図3は、本実施の形態においてバージ2を岸壁から離れた位置にあるバース15に横付け固定した状態を模式的に示す平面図である。図3において、バース15は岸壁16から離れた位置に設けられており、船3およびこれと接続されたバージ2が横付けして停泊できるようになっている。そして、バース15の対岸地域には、液化ガスを貯蔵しておくための複数の液化ガスタンク12およびバージ2にLNGを供給するためのLNGタンク(図示せず)が配置されている。 【0035】本実施の形態において、ASUプラント6を備えたバージ2は、船3によって所望のバース15にまで搬送され、バース15に横付け固定される。このとき、船3はバージ2と切り離してもよい。そして、バース15に横付け固定されたバージ2内のバッファタンクがガスの種類に応じた液化ガスタンク12とそれぞれパイプライン14を介して接続される。さらに、近隣にあるLNGタンクからは、エネルギー源としてのLNGがバージ2に供給される。 【0036】このような状態で、バージ2内のASUプラント6を作動させることにより、液化ガスタンク12に液化窒素、液化酸素などを貯蔵することができる。ただし、この場合、上述したように精留塔を有するASUプラント6が揺れに弱いために、ASUプラント6がほとんど揺れないような条件(バージの固定方法、バース15の場所、気象条件など)を設定する必要がある。 【0037】本実施の形態でバージ2を配置するためのバース15は、新たに造成する必要はなく、既設バースから種々の条件に合致するものを選択すればよく、これによりバージ2の移設および固定場所を低コストで確保ことができる。 【0038】このように、本実施の形態によると、ASUプラント6を含む液化ガス生産手段がバージ2に設けられているために、海や湖などの水面上においてバージ2を船3により移動させることで、液化ガス生産手段を水際にある任意の場所に移設することが可能となる。そのため、地域需要が増加した場合には、より大きいガス生産能力を有するバージと入れ替えるかまたは別の液化ガス生産システムを有するバージを追加するという形でガス需要増加に迅速に対応することができる。また、地域需要が減少した場合には、より小さいガス生産能力を有するバージと入れ替えるかまたは今まであったバージ自体を撤去することにより需要減少に対応することができる。つまり、本実施の形態によると、地域需要に応じたガス生産能力をもつバージ2を移設することができるので、設備の稼働率が向上し、設備を効率よく利用できるようになる。そのため、ガス生産に係る経営的なリスクを減少させることが可能となる。 【0039】さらに、ガスの需要地になるべく近いドック10またはバース15に本実施の形態のバージ2を移設することにより、ガスの輸送費を大幅に削減することができる。また、本実施の形態では、液化ガスを生産することができるので、液化されていないガスを生産する場合と比較して貯蔵や輸送に要する費用を削減することが可能である。 【0040】また、本実施の形態では、あらかじめ組み立てておいたバージ2を船3によって移設するだけでガスの供給ができるので、ガス供給地におけるシステムの組み立て作業が不要であり、受注から比較的短期間で、しかも低コストでのガス供給が可能となる。 【0041】また、図3のようにバージ2を例えばバース15などに横付けさせた状態で海上にてガス生産を行うようにした場合には、ガス生産のために十分な広さの土地を陸上に用意することができない場合であっても、ガスを生産することが可能となる。 【0042】また、本実施の形態の液化ガス生産システム1は、バージ2が自力走行のための動力源を有しておらず、バージ2が自力走行可能な船3と接続されているために、バージ2と船3とを搬送先において分離することができる。そのため、バージ2だけを水を抜いたドック10といった水際の陸上施設などに移設することが可能であり、移設先において、波による揺れなどの影響を受けずに安定したガス生産が可能となる。また、後述する第2の実施の形態のように船内に液化ガス生産手段を設ける場合と比較して、既存の船3をそのまま利用できるという点でコスト的な利点が大きい。 【0043】また、バージ2がエンジンなどの自力走行のための動力源を有していないため、バージ2自体を比較的小型にすることができる。そのため、搬送先において水を抜いたドック10といった水際の陸上施設などにバージ2を移設する場合、比較的小さなドック10内にもバージ2を設置することができる。 【0044】本実施の形態では、バージ2にASUプラント6を含む液化ガス生産手段を設けたために、水上移動中にガス生産を行うのは好ましくないが、精留塔を用いない液化ガス生産手段を採用した場合には、水上移動中においてもガスの生産が可能である。この場合には、バージ2を移動させる途中などの時間を有効に活用して効率的なガス生産を行うことができる。 【0045】なお、本実施の形態では、バージ2と船3との間が2本の鎖4で結ばれているだけであるが、例えばバージ2と船3との間に橋を架け渡すことによって両者の間で乗員の行き来を可能とするようにしてもよい。これにより、搬送中のバージ2の監視・点検が容易に行えるようになる。 【0046】次に、本発明の第2の実施の形態について、図4〜図6を参照して説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態に係る液化ガス生産システムの模式的な平面図であり、図5はその模式的な断面図である。また、図6は、本実施の形態の液化ガス生産システムにおいて液化ガスを貯蔵するコンテナの上げ下ろし時の状態を示す模式的な平面図である。 【0047】本実施の形態の液化ガス生産システム20は、自力走行可能な船22内に、液化水素(および/または液化炭酸ガス)生産のための設備が設けられたものである。船22の船体前方上部には、船22の運転および乗員の宿泊のための運転宿泊室29が設けられているほか、船体内には図示しない動力源が設けられている。本実施の形態において、船22の船体内には、LNGタンク23、改質および精製部24、液化部25、液化水素タンク26、液化水素コンテナ27、自家発電設備28が配置されている。 【0048】LNGタンク23は、生産する水素の原料として、そして、自家発電設備28のほか船22におけるエネルギー源として用いられる液化天然ガスを貯蔵している。なお、LNGのかわりにLPGを用いることもできる。自家発電設備28は、LNGタンク23から液化天然ガスの供給を受けて改質および精製部24や液化部25などで用いられる電力を発電する。 【0049】改質および精製部24は、LNGタンク23内の液化天然ガスに含まれるメタン、プロパンなどを触媒を用いて改質することにより、水素リッチガスを製造するとともに、このガスを圧力スイング吸着法により精製して純度の高い水素ガスを製造する。なお、水素の原料の一部としては、環境への影響を考慮して廃プラスチックを用いることができる。また、液化部25は、改質および精製部24から送られてきた水素ガスを寒冷を用いた断熱膨張によって液化し、液化水素(LH2)を製造する。液化部25には、寒冷用の液体空気を製造する設備が併設されているものとする。 【0050】液化水素タンク26は、液化部25で製造された液化水素の気液分離を行うためのバッファタンクである。そして、本実施の形態の液化ガス生産システム20で生産された液化水素は、最終的に液化水素コンテナ27に蓄えられる。 【0051】本実施の形態のように、改質および精製部24および液化部25を用いて液化水素を生産する場合、第1の実施の形態とは異なり揺れによる影響をほとんど受けることがない。そのため、船22の停泊中だけではなく航海中であっても液化水素の生産が可能である。そのため、効率よく液化水素を生産することが可能である。 【0052】次に、本実施の形態において、船22に積まれた液化水素コンテナ27の上げ下ろしについて説明する。図6に示すように、船22に積まれた液化水素コンテナ27を船22から下ろす際には、船22を港湾の共通荷揚設備31に対向した場所に停泊させる。そして、共通荷揚設備31を用いてコンテナ27を船22から運びだし、コンテナ置場32にコンテナ27を下ろす。コンテナ27はコンテナ置場32からローリー車に積載されてそのまま需要地まで運送されてもよいし、パイプで接続された任意の場所に供給されてもよい。また、船22にコンテナ27を積み込む場合も共通荷揚設備31を用いる。つまり、本実施の形態の液化ガス生産システム20では、生産された液化ガスの上げ下ろしのために、特別な設備が必要ではなく、既存の設備をそのまま利用できるという利点がある。 【0053】また、船22内のLNGタンク23にLNGを供給するための別のLNGタンクがコンテナ置場32近くに設けられており、船22内のLNGタンク23にLNGを補給できるようになっていることが好ましい。 【0054】本実施の形態の液化ガス生産システム20によっても、第1の実施の形態の液化ガス生産システム1とほぼ同様の利益を得ることができる。すなわち、自力走行可能な船22内に改質および精製部24や液化部25などの液化水素生産手段が設けられているために、海や湖などの水面上において船22を移動させることで、液化水素生産手段を水際にある任意の場所に移設することが可能となる。そのため、ガスの地域需要の変動に迅速に対応することが可能となって、設備の稼働率が向上し、設備を効率よく利用できるようになる。そのため、ガス生産に係る経営的なリスクを減少させることが可能となる。 【0055】さらに、ガスの需要地になるべく近い港湾に本実施の形態の船22を停泊させることにより、ガスの輸送費を大幅に削減することができる。また、本実施の形態では、液化ガスを生産することができるので、液化されていないガスを生産する場合と比較して貯蔵や輸送に要する費用を削減することが可能である。 【0056】また、本実施の形態では、船22内に液化ガス生産手段が設けられているために、ガス供給地におけるシステムの組み立て作業が不要であり、受注から比較的短期間で、しかも低コストでのガス供給が可能となる。 【0057】また、本実施の形態では、船22内にてガス生産を行うことになるので、ガス生産のために十分な広さの土地を陸上に用意することができない場合であっても、ガスを生産することが可能となる。 【0058】また、本実施の形態の液化ガス生産システム20によると、液化ガス生産手段が船22内に設けられているために、第1の実施の形態の液化ガス生産システム1のように別体として設けられたバージ2と船3とが接続されている場合と比較すると、バージ2が船3の運航の障害となることがなく、船22を大きな速度で安定して移動させることができるという利点がある。 【0059】次に、本発明の第3の実施の形態について、図7を参照して説明する。本実施の形態の液化ガス生産システムは、第1の実施の形態で説明したような船とは別体として設けられたバージに、第1の実施の形態と同様の空気分離による液化ガス生産手段と、第2の実施の形態と同様の原料の改質による液化ガス生産手段とが設けられ、このバージが自力走行可能な船と接続されたものである。 【0060】図7は、本発明の第3の実施の形態の液化ガス生産システムの概略構成を示す模式的な平面図である。図7に示すように、本実施の形態の液化ガス生産システム40は、水上を移動可能な浮体であるバージ(艀)42と、船3と、バージ42と船3との間を結ぶ2本の鎖4とによって構成されており、海5の上に浮かべられている。 【0061】本実施の形態において、水上に浮いて移動可能な構造物であるバージ42は、走行用の動力源を有しておらず、自力での走行はできない。しかしながら、バージ42は鎖4を介して自力走行可能な船3と接続されているため、水際にある任意の場所へバージ42を搬送することが可能である。 【0062】バージ42には、第1の実施の形態のバージ2と同じく、ASUプラント6と、LNGタンク7と、自家発電設備8とが設けられている。これら装置6〜8の構造および機能は第1の実施の形態と同様である。また、バージ42には、第2の実施の形態の船22内に配置されていたのと同様の改質および精製部24、液化部25、液化水素タンク26、液化水素コンテナ27が配置されている。これら装置24〜27の構造および機能は第2の実施の形態と同様である。なお、第2の実施の形態にあったLNGタンク23および自家発電設備28は、本実施の形態ではLNGタンク7および自家発電設備8を共用できるため設けられていない。 【0063】本実施の形態の液化ガス生産システムによると、ASUプラント6により液化酸素、液化窒素などを生産することができ、改質および精製部24や液化部25により液化水素や液化炭酸ガスなどを生産することができる。また、上述したように、LNGタンク7および自家発電設備8を共用できるため、設備の簡略化ができるという利点がある。 【0064】本実施の形態のバージ42は、第1の実施の形態で説明したドック10内に移設することができるほか、上述のバース15に横付けすることもできる。ASUプラント6により液化酸素、液化窒素などを生産する場合には、このような状態でガスを生産することが好ましい。また、液化水素を生産する場合には、第2の実施の形態で説明したように、共通荷揚設備31を有する港湾でコンテナ27を上げ下ろしすることが好ましいが、例えばドック10に共通荷揚設備31を設けてそこでのコンテナ27の上げ下ろしを可能にしてもよい。 【0065】このほか、本実施の形態によると、上述した実施の形態とほぼ同様の利益を得ることができる。すなわち、液化ガス生産手段を水際にある任意の場所に移設することが可能であるため、ガスの地域需要の変動に迅速に対応することが可能となって、設備の稼働率が向上し、設備を効率よく利用できるようになる。そのため、ガス生産に係る経営的なリスクを減少させることが可能となる。 【0066】さらに、ガスの需要地になるべく近い場所にバージ42を移動させることにより、ガスの輸送費を大幅に削減することができる。また、ガス供給地におけるシステムの組み立て作業が不要であり、受注から比較的短期間で、しかも低コストでのガス供給が可能となる。 【0067】以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲内において様々な設計変更が可能である。例えば、水上を移動可能な浮体としてのバージが、ASUプラントを有しておらず、液化水素などを生産するための改質および精製部24や液化部25だけを有するものであってもよい。また、液化ガス生産手段として上述のもの以外を用いるようにしてもよい。 【0068】 【発明の効果】以上説明したように、請求項1によると、液化ガス生産手段が浮体に設けられているために、液化ガス生産手段を水際にある任意の場所に移設することが可能となる。そのため、ガスの地域需要の変動に迅速に対応できるようになって、設備の稼働率が向上し、設備を効率よく利用できるようになる。さらに、ガスの需要地になるべく近い場所に本発明の液化ガス生産システムを移設することにより、生産されたガスの輸送費を大幅に削減することができる。また、ガス供給地におけるシステムの組み立て作業が不要であり、あらかじめ組み立てておいた液化ガス生産システムを移設するだけでガスの供給ができるので、受注から比較的短期間で、しかも低コストでのガス供給が可能となる。 【0069】また、請求項1の液化ガス生産システムによると、浮体に液化ガス生産手段が設けられているために、水上にてガス生産が可能となり、ガス生産のために十分な広さの土地を陸上に用意することができない場合であってもガスを生産することが可能である。また、水上においてもガスの生産が可能であるために、液化ガス生産システムを移動させる途中などの時間を有効に活用して効率的なガス生産を行うことができる。 【0070】また、請求項2の液化ガス生産システムによると、液化ガス生産手段を備えた浮体と船とを搬送先において分離することができるので、浮体だけを例えばドックなどの陸上施設に移設することが可能である。従って、移設先において、波による揺れなどの影響を受けずに安定したガス生産が可能となる。また、既存の船をそのまま利用できるという点でコスト的な利点が大きい。また、浮体がエンジンなどの自力走行のための動力源を有していないため、浮体自体を比較的小型にすることができる。そのため、搬送先においてドックなどの陸上施設に浮体を移設する場合、比較的小さな施設内にも浮体を設置することができる。 【0071】また、請求項3の液化ガス生産システムによると、精留塔を用いた深冷空気分離手段により、窒素、酸素、アルゴンなどの空気含有成分を供給することができる。 【0072】また、請求項4の液化ガス生産システムによると、自力走行可能な船に液化ガス生産手段が設けられているために、請求項1とほぼ同様の利益を得ることが可能であるとともに、例えば請求項2のように別体として設けられた浮体と船とが接続されている場合と比較すると、浮体が船の運航の障害となることがなく、船を大きな速度で安定して移動させることができるという利点がある。 【0073】また、請求項5の液化ガス生産システムによると、改質手段および液化手段を含む液化ガス生産手段によって、原料に含有された例えば水素や炭酸ガスなどの成分を移設先において供給することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000158312 【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年6月22日(1999.6.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100104226 【弁理士】 【氏名又は名称】須原 誠
|
| 【公開番号】 |
特開2001−4271(P2001−4271A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月12日(2001.1.12) |
| 【出願番号】 |
特願平11−175194 |
|