| 【発明の名称】 |
冷蔵庫 |
| 【発明者】 |
【氏名】静谷 光隆
【氏名】柴山 昌幸
【氏名】柴田 耕一
【氏名】高橋 英一
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| 【要約】 |
【課題】蒸発器の除霜を効率よく短時間で行えるよう除霜ヒータのヒータカバーを改良された形状や配置とすることにより、除霜に伴う消費電力量の低減が可能な冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷気ダクト5内の蒸発器6の下方に設置される除霜ヒータ7のヒータカバー13を、ヒータ本体12の前側と後ろ側とをそれぞれ覆う実質2部材の構造でヒータ本体12の下方と上方にそれぞれ吸い込み口と吐出口が形成されるようにし、かつ吐出口でヒータカバー13の前側部材の上端が後ろ側部材の上端より上方かつ後ろ側に位置すると共に斜め下向きとなる庇をもつようにし、かつ吐出口が冷気ダクト5の中心より後ろ側に偏った位置にくるようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】蒸発器と、前記蒸発器の下方に設置され、かつヒータ本体と前記ヒータ本体の周囲に設けられるヒータカバーとからなる除霜ヒータと、前記蒸発器と前記除霜ヒータとを内部に配置した冷気ダクトとを備えた冷蔵庫において、前記ヒータカバーを前記ヒータ本体の前側と後ろ側とをそれぞれ覆う実質2部材の構造として、前記ヒータ本体の下方と上方にそれぞれ吸い込み口と吐出口を形成し、かつ前記吐出口で前記ヒータカバーの前側部材の上端が後ろ側部材の上端より上方かつ後ろ側に位置すると共に、斜め上向きから下向きへと曲げられており、かつ前記ヒータカバーの前記吐出口が前記冷気ダクトの中心より後ろ側に偏った位置にくるようにしたことを特徴とする冷蔵庫。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、蒸発器の下方に配設された除霜ヒータによる加熱で除霜を行う形式の冷蔵庫に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般的に家庭用冷蔵庫の構造は、機能の面から、断熱容器・強度部材の役割をもつ箱体・扉部分と、庫内冷却を行うための冷凍サイクル部とに大別できる。 【0003】箱体・扉部分は、外箱(主に鋼板製)で断熱材(主に発泡ウレタン製)を挟むように一体化した構造をもつそれぞれの主構造部分と、箱体内を冷凍室や冷蔵室等の貯蔵室や冷気通路に区画するための区画部材(単独の断熱性樹脂製か樹脂と断熱材の複合構造)と、貯蔵室や扉内側を細かく区画するための内装部材(主に樹脂製)とから構成される。 【0004】また、冷凍サイクル部は、冷媒を昇圧・循環させる圧縮機や庫外に放熱する凝縮器などの庫外に設置される部品と、庫内に設置され冷却作用を行う蒸発器と、冷媒を循環させるため各部品間を結ぶ冷媒管とから構成されている。 【0005】このような冷蔵庫のうち小形を除く大半のものでは、庫内の冷却は冷気強制循環方式によって行われる。それは、貯蔵室とは別の区画である冷気ダクト内に設置された蒸発器で、各貯蔵室を循環して戻った冷気を集めて冷却し(冷媒はここで冷気から熱を奪って蒸発し、後で庫外の凝縮器で放熱しながら凝縮する)、より低温にした冷気を送風機により各貯蔵室に循環させるというものである。 【0006】蒸発器(多数のフィンが冷媒管に貫通される形で一体化された構造の熱交換器)では、貯蔵室から戻ってくる冷気が平均温度では氷点以下であり、庫内の食品からの水分蒸散や扉開閉に伴う多湿空気の侵入により冷気の湿度が高くなっているために、熱交換時に低温である蒸発器の表面に冷気中の水分が凝縮・凍結して霜が形成される。 【0007】冷蔵庫の運転を続けた結果として蒸発器の着霜量がある程度以上多くなると、通風抵抗の増大による風速の減少等から熱交換性能の低下が顕著となり、冷蔵庫の消費電力量が増加してくる。さらに、フィン間の空気風路が霜でほぼ閉塞した状態になると熱交換量の減少が大幅となり、冷蔵庫の正常な運転が継続できなくなる。これを防ぐため、一般に、冷気ダクト内において蒸発器の下部にやや離して除霜ヒータを配置し、定期的あるいは着霜量が多くなった時点等にヒータ加熱により蒸発器の霜を除く除霜が行われる。 【0008】このような除霜では、除霜中は庫内の冷却が行われず貯蔵室の温度上昇が起こることや、除霜ヒータによる加熱や除霜後の再冷却(氷点以上となった蒸発器と周囲部材の冷却)で余分に消費電力量が必要なこと等から、除霜でのヒータの熱の利用効率を向上させて除霜時間を短縮することが望ましい。そのため、従来より、このような除霜方式に関する種々の改良技術が開示されている。 【0009】例えば、発明者らが以前提案した特開平8−110146 号公報は、除霜ヒータの上方又は下方のヒータカバーを山形板又は傾斜平板又は上に凸な曲面板とすることによって、ヒータカバー上に除霜水が滞留して加熱・蒸発されて除霜ヒータの熱が無駄に使われるという従来の除霜ヒータでの問題を少なくしようとするものである。 【0010】また、特開平10−292974号公報は、山形板等の上方ヒータカバーをもつ除霜ヒータを冷気ダクトの後方に偏らせて配置することによって、除霜ヒータで発生した暖気を蒸発器の前後だけでなく広範囲に吐出することによって、従来よりも冷気ダクト内での暖気の対流を活発にして除霜を効率化しようとするものである。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】除霜は、蒸発器の霜に対し、融かすのに必要な顕熱及び潜熱を除霜ヒータで与えて除霜水とし、冷気ダクトの下方の排水口へと導いて取り除くことを目的としている。除霜ヒータを作動させると、高温になったヒータ本体(内部にニクロム線等を備えたガラス管構造が一般的)からの熱は、主に放射と対流という2つの機構で蒸発器の霜に伝えられる。 【0012】まず放射では、高温のヒータ本体や(ヒータ本体からの放射で加熱された)周囲のヒータカバー(一般にアルミ板製)からの熱線が、蒸発器や霜に直接あるいは周囲壁で反射しながら届いて(加熱された蒸発器から伝導で伝わる分も含まれる)、最終的に霜に伝えられる。この放射の過程では、高温となるヒータカバーや熱線が反射する周囲壁において、カバーや壁面に落下してきた除霜水の余分な加熱や蒸発が、また(アルミテープ等を貼っても熱線の反射率が100%になることはないし、水で濡れれば反射率が落ちるので)周囲壁の余分な加熱が伴う。 【0013】また対流では、ヒータ本体の周囲やヒータ本体とヒータカバーの間の空気が暖められて、上方ヒータカバーの前後端から蒸発器に向かって吐出され、上下に細長い冷気ダクトを上向き及び下向きに対流する暖気により蒸発器や霜に熱が伝えられる。この対流の過程では、対流する暖気が蒸発器や霜だけでなく冷気ダクトの前後の周囲壁等も余分に加熱することが起こってくる。 【0014】従来の冷蔵庫においては、上方ヒータカバーが水平な平板状である除霜ヒータを使うのが最も一般的であるが、上方ヒータカバー等に除霜水が滞留し易いために放射に伴う除霜水の余分な加熱や蒸発が多くなる傾向がある。また、上方ヒータカバーの前後端の2個所から暖気が吐出されるため冷気ダクト内の対流が強くならず、対流による蒸発器や霜の加熱が弱くて除霜時間が延び、周囲壁の余分な加熱も増える傾向にある。これらのことから、上方ヒータカバーが水平な平板状である最も一般的な従来の除霜ヒータの場合には無駄な加熱分が多く、発明者らが以前提案した特開平8−110146 号公報に示されているように、従来の方式で霜の融解に有効な電力量は除霜ヒータに入力される電力量の1/3以下と試算されるほどである。 【0015】また、従来の改良技術のうち特開平8−110146 号公報のものでは、上方ヒータカバー等の排水性が良くなって除霜水の余分な加熱や蒸発が減るものの、上方ヒータカバーを傾斜平板としても除霜ヒータでの暖気の発生や冷気ダクト内の対流が強くならない欠点が残っており、十分な除霜の効率化ができているものではない。 【0016】また、従来の改良技術のうち特開平10−292974号公報のものでは、山形板の上方ヒータカバーにより除霜水の余分な加熱や蒸発が減るものの、除霜ヒータを後方に偏らせただけではあまり冷気ダクト内の対流が強くならず、また上方だけのヒータカバーでは除霜ヒータでの暖気の発生が強くならない欠点もあり、これも十分な除霜の効率化ができているものではない。 【0017】本発明の目的は、除霜ヒータからの放射に伴う除霜水の余分な加熱や蒸発を減らすと同時に、対流における暖気の発生と冷気ダクト内の対流とを強くすることにより、除霜効率の向上すなわち除霜時間の短縮を実現して、除霜に伴う消費電力量の低減、そして最終的に冷蔵庫の消費電力量の低減を図ることにある。 【0018】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の冷蔵庫は、蒸発器と、前記蒸発器の下方に設置され、かつヒータ本体と前記ヒータ本体の周囲に設けられるヒータカバーとからなる除霜ヒータと、前記蒸発器と前記除霜ヒータとを内部に配置した冷気ダクトとを備えた冷蔵庫において、前記ヒータカバーを前記ヒータ本体の前側と後ろ側とをそれぞれ覆う実質2部材の構造として、前記ヒータ本体の下方と上方にそれぞれ吸い込み口と吐出口を形成し、かつ前記吐出口で前記ヒータカバーの前側部材の上端が後ろ側部材の上端より上方かつ後ろ側に位置すると共に、斜め上向きから下向きへと曲げられており、かつ前記ヒータカバーの前記吐出口が前記冷気ダクトの中心より後ろ側に偏った位置にくるようにしたものである。 【0019】そして、上記冷蔵庫において、前記除霜ヒータの前記ヒータカバーの前側部材を下半部分が前下がりに傾斜しながら突出する形状としたり、前記除霜ヒータを前記冷気ダクトの前後方向の中心より後ろ側に偏らせて配置してもよい。 【0020】 【発明の実施の形態】本発明の実施形態の説明に先立って、図4及び図5を用いて、冷蔵庫の蒸発器周辺の構造と通常運転の状態、及び従来構造の除霜ヒータによる除霜時の状態について説明する。 【0021】図4は従来構造の除霜ヒータをもつ従来の冷蔵庫について、冷蔵庫の箱体下半部分を側方から見た断面図であり、また図5はそのような冷蔵庫の除霜時の伝熱・除霜水の状態を示した蒸発器周辺の側方から見た部分断面図である。 【0022】冷気強制循環式の冷蔵庫1では、各貯蔵室2は箱体壁3と扉4により断熱・区画され、通常運転時には貯蔵室2とは別に区画された冷気通路5(内部に蒸発器6が縦置きに置かれ、下部に除霜ヒータ7と上部に送風機8も置かれる)から送り出される冷気9が循環することにより冷却される。蒸発器6は他の冷凍サイクル部品から送られる冷媒により−30℃程度の低温となり、庫内を循環して戻った冷気9(全体の平均温度として氷点以下)と熱交換してさらに冷却する働きをし、冷やされた冷気9は上方の送風機8により再び庫内に送り出される。 【0023】蒸発器6は、一般に多数のフィン10が冷媒管11に貫通される形で一体化された構造の熱交換器で、通常運転時には、貯蔵室2から戻ってくる氷点以下の冷気9よりさらに低温であり、また戻ってくる冷気9は庫内の食品からの水分蒸散や扉開閉に伴う多湿空気の侵入により湿度が高くなっているために、熱交換時の際にその表面に冷気中の水分が凝縮・凍結して霜14が形成される。 【0024】冷蔵庫の運転を続けると付着する霜14の量が増え、ある程度以上多くなると通風抵抗の増大による風速の減少等から熱交換性能が低下し、庫内を同じ冷却状態に保つための冷蔵庫の消費電力量が増加してくる。さらに、フィン10間の空気風路が霜14でほぼ閉塞した状態にまでなると冷蔵庫の正常な運転ができなくなる(庫内を設定温度に保てなくなる)。 【0025】これを防ぐため、一般に、冷気ダクト5内において蒸発器6の下部にやや離して除霜ヒータ7が配置され、定期的あるいは着霜量が多くなった時点等に通常運転を中断してヒータ加熱を行い、蒸発器6の霜14を融かして除く除霜が行われる。除霜により蒸発器6から霜14が除かれれば、蒸発器6の熱交換性能は回復して冷蔵庫も正常な冷却運転ができるようになる。 【0026】しかしながら、除霜中は庫内の冷却が行われず貯蔵室2の温度上昇が起こることや、霜14以外の周辺部材を除霜で加熱した上で除霜後に再冷却する必要があって、余分に電力を消費量がすること等から、除霜の熱の利用効率を向上させて除霜時間を短縮することが望ましい。 【0027】除霜は、蒸発器6の霜14に対し、融かすのに必要な顕熱及び潜熱を除霜ヒータ7で与えて除霜水15とし、冷気ダクト5の下方の排水口(図5に破線で示す)へと導いて取り除くものである。従来構造の除霜ヒータ7は、熱源であるヒータ本体12の周囲をヒータカバー13で覆う構造(除霜水15の滴下によるヒータ本体12の損傷・騒音発生を防ぐために上方のカバーは必須)になっている。除霜ヒータ7を作動させると、高温(400℃程度)になったヒータ本体12からの熱は、主に放射(熱線16をジグザグの矢印で示す)と対流(暖気17の流れを曲線の矢印で示す)の機構により蒸発器6の霜14に伝えられる(ただし、暖められた蒸発器から霜に熱が伝わるのは伝導による)。 【0028】放射では、ヒータ本体12あるいは高温になったヒータカバー13からの熱線16が、近い範囲の蒸発器6や霜14には直接、さらに遠くへは周囲壁で反射しながら届き、最終的にまだ融けていない部分の霜14に伝えられる(霜の融解は除霜ヒータに近い蒸発器の下部から次第に上方に移動する形で起こる)。従来構造の除霜ヒータ7では上方のヒータカバー13が水平な平板状なので、蒸発器6から落下してきた除霜水15の多くが上方のヒータカバー13に滞留しやすい(水滴・水膜が大きくなってカバーの前後端からこぼれ落ちるまでの時間)ので、その除霜水15を氷点以上の余分な温度にまで加熱したり、その一部を蒸発させたりして熱の損失となる。また、周囲壁にアルミテープ等が貼られていて反射率を上げていても、何度も反射したり表面が水で濡れている状態なので、周囲壁も放射により余分に加熱され、熱の損失が生じる。 【0029】また対流では、ヒータ本体12の周囲やヒータ本体12とヒータカバー13の間で空気が暖められて暖気17が発生し、密度の小さい暖気17は冷気ダクト5内を上方に上昇して蒸発器6や霜14等に触れて低温となって密度が大きくなり、途中から下降して除霜ヒータ7に戻るという流れが形成される。従来構造の除霜ヒータ7では、水平な平板状の上方のヒータカバー13の前後端という2個所から暖気17が上方に吐出されることになり、しかも除霜ヒータ7が冷気ダクト5の前後方向のほぼ中心であるため、上昇する暖気17は冷気ダクト5の中心付近を(2個所からの吐出なので)やや広がって流れることになる。このような上昇する暖気17に対し、冷気ダクト5を下降する暖気17は前後の周囲壁寄りに流れることになるので、上下に細長い冷気ダクト5内を上昇と下降の2系統ずつの暖気17の対流ができる。 【0030】このように狭いダクトに上昇流と下降流が重なれば途中で互いに混合しやすいので、上方にまで届かない弱い対流しか形成できず、上方の蒸発器6や霜14に熱が伝わりにくくなる。対流による蒸発器6や霜14への伝熱が弱くて時間がかかれば、沿って流れる周囲壁を余分に暖めてしまうための熱の損失も多くなる。また、この従来構造の除霜ヒータ7では、ヒータカバー13に開口が多く、しかもヒータカバー13の内面で反射した熱線16がヒータ本体12に集まりにくい形状をしているため、除霜ヒータ7での暖気17の発生が強くならない欠点もある。 【0031】従って、従来構造の除霜ヒータをもつ冷蔵庫では、除霜時における放射及び対流による除霜ヒータから霜への伝熱に非効率な点があり、除霜効率が低く、除霜に伴う消費電力量が多くなっていると考えられる。 【0032】次に、従来の改良技術を適用した除霜ヒータによる除霜時の状態について説明する。 【0033】図6は、従来の技術で説明した特開平8−110146 号公報の従来の改良技術を適用した冷蔵庫において、除霜時の伝熱・除霜水の状態を示した蒸発器周辺の側方から見た部分断面図である。 【0034】この冷蔵庫では、除霜ヒータ7のヒータカバー13の上方部分が前下がりの傾斜板となっている。このようなヒータカバー13であれば、落下してきた除霜水15が上方のヒータカバー13に滞留せずにすぐに流れ落ちるので、除霜水15の余分な加熱や蒸発による放射での熱の損失は小さいものとなる。一方、対流では、上方のヒータカバー13から吐出される暖気17は傾斜板の上側となる後ろ側の端面の方から多く吐出されるものの、前側の端面からも少ないながら吐出されるので、冷気ダクト5内に形成される暖気17の対流は従来構造の場合と同じく上下2系統ずつとなり、対流をそれ程強くできない。また従来構造の場合と同じく、このヒータカバー13の形状では除霜ヒータ7での暖気17の発生が強くならない。 【0035】従って、従来の改良技術による除霜ヒータをもつ冷蔵庫では、除霜時における放射による伝熱は改善されるが、対流による伝熱には非効率な点が残っているため、除霜効率の改善は十分でなく、除霜に伴う消費電力量の低減も十分でないと考えられる。 【0036】図7は、従来の技術で説明した特開平10−292974号公報の従来の他の改良技術を適用した冷蔵庫において、除霜時の伝熱・除霜水の状態を示した蒸発器周辺の側方から見た部分断面図である。 【0037】この冷蔵庫では、除霜ヒータ7のヒータカバー13が上方部分だけで山形板の形状であり、かつ除霜ヒータ7が冷気ダクト5の前後方向の中心より後ろ側に偏らせて配置されている。このようなヒータカバー13であれば、前述の従来の改良技術と同様に、除霜水15は上方のヒータカバー13に滞留しにくいので、除霜水15の余分な加熱や蒸発による放射での熱の損失は小さいものとなる。一方、対流では、除霜ヒータ7の位置が冷気ダクトの中心より後ろ側に偏っているものの、上方のヒータカバー13から吐出される暖気17は山形板の前後端から同程度の量で吐出されて広がって上昇するので、冷気ダクト5内に形成される暖気17の対流は広がった上昇流に下降流が前後の周囲壁沿い(主に前側)に限られた形となり、対流をそれ程強くできない。また従来構造の場合と同じく、このヒータカバー13の形状では除霜ヒータ7での暖気17の発生が強くならない。 【0038】従って、従来の他の改良技術による除霜ヒータをもつ冷蔵庫でも、除霜時における放射による伝熱は改善されるが、対流による伝熱には非効率な点が残っているため、除霜効率の改善は十分でなく、除霜に伴う消費電力量の低減も十分でないと考えられる。 【0039】さらに、本発明の典型的な構成の除霜ヒータによる除霜時の状態について説明する。 【0040】図8は、本発明の除霜ヒータを適用した冷蔵庫において、除霜時の伝熱・除霜水の状態を示した蒸発器周辺の側方から見た部分断面図である。 【0041】本発明の構成の除霜ヒータ7では、ヒータカバー13がヒータ本体12の前側と後ろ側とをそれぞれ覆う実質2部材の構造となっていて、ヒータ本体12の下方と上方の開口がそれぞれ暖気17の吸い込み口と吐出口となっている。ヒータカバー13は、前側と後ろ側の部材が吸い込み口や吐出口で梯子状に連結するような形状とすれば、ヒータ本体12の軸方向両端部分も含めて1部材として形成することも可能である。ヒータカバー13の上部の吐出口では、前側部材の上端が後ろ側部材の上端より上方かつ後ろ側の位置にまで延びていると共に、庇のように先端近くのみ斜め上向きから下向きへと曲げられており、また吐出口の位置は冷気ダクト5の前後方向の中心より後ろ側に偏よらせてある。 【0042】このような本発明の除霜ヒータであれば、除霜の際の放射では、ヒータカバー13の外表面はほとんど斜面ばかりで除霜水15が滞留することはないし、ヒータカバー13の前側と後ろ側が吐出口で上下に重なるが、上にくる前側部分の上端が庇状になっているので、除霜水15がカバー内部に入ることもない。これにより、ヒータカバー13の内外で除霜水17の余分な加熱や蒸発は従来の改良技術のものより少なくできる。 【0043】また対流では、まずヒータカバー13が前後を覆うので開口が少なく、ヒータカバー13の内面で反射された熱線16もヒータ本体12に集まりやすい形状であるため、除霜ヒータ7での暖気17の発生が多くなる利点がある。また吐出口は、前側と後ろ側の部材の上端の隙間として形成されるので、冷気ダクト5の前後方向に1個所のみとなる。さらに、ヒータカバー13の吐出口は冷気ダクト5の前後方向の中心より後ろ側に偏らせてある。従って、除霜ヒータ7で多く発生した暖気17が1個所で後ろ寄りの吐出口から集中して吐出されるため、冷気ダクト5内には後ろ側の周囲壁に沿って上昇し、前側の周囲壁に沿って下降する暖気17の流れが形成される。この対流は、暖気17の発生量が多いと共に、上下に細長い冷気ダクト5内を上昇と下降がほぼ1系統だけとなるため、途中での混合も少なくて上方に届く強いものとなる。対流が強く上方の蒸発器6や霜14に熱が伝わりやすければ霜の融解に時間がかからず、沿って流れる周囲壁の加熱も少なくなる。 【0044】従って、本発明の除霜ヒータを適用した冷蔵庫では、除霜時における放射及び対流による伝熱が効率的になるため、除霜効率が十分に改善され、除霜に伴う消費電力量の低減が可能になると考えられる。 【0045】発明者らは、上記の従来構造や従来の改良技術、そして本発明の構成での除霜ヒータの除霜性能について定量的に確認するため、冷蔵庫の除霜状態を模擬したモデル実験を行った。 【0046】除霜のモデル実験の方法としては、実際の冷蔵庫の部品やスチロフォーム板を用いて冷気ダクト部分のみを構成し、蒸発器に氷点以下の流体を流しながら低温・多湿空気と熱交換させて着霜させ、流体・空気を止めた状態で除霜ヒータに通電して除霜し、除霜水量や各部温度の時間変化を測定するようにした。供試した除霜ヒータの仕様は、既に図5ないし図8により除霜状態を説明した従来構造(「従来型」)、従来の改良技術(特開平8−110146 号公報のもの、「改良技術A」)及び従来の他の改良技術(特開平10−292974号公報のもの、「改良技術B」)、そして本発明の構成(「本発明」)である。 【0047】図9は除霜のモデル実験での従来構造と従来の改良技術の除霜ヒータでの除霜特性を比較して示した図である。従来構造の「従来型」に比べ従来の改良技術の「改良型A」では、冷気ダクトの下方に排出される除霜水量の最終値が10%ほど多いにもかかわらずほぼ同じ時間で除霜が終了し、若干の改善となっている(ただし、蒸発器の上部の空気温度の立ち上がりは「改良型A」の方がやや遅い)。これは、「従来型」より「改良型A」では除霜の放射伝熱の効率が向上されるが対流伝熱の効率はあまり変わらないという、既に行った定性的な説明を裏付ける結果である。 【0048】図10は従来構造と従来の他の改良技術の除霜ヒータについての同様な除霜特性である。この場合は、従来構造の「従来型」に比べ従来の他の改良技術の「改良型B」では、除霜水量の最終値が10%ほど多いが除霜時間も10%ほどが長くなっており、あまり改善は見られない(蒸発器の上部の空気温度の立ち上がりも「改良型B」の方がやや遅い)。既に行った説明では、「従来型」より「改良型B」では除霜の放射伝熱の効率が向上されるが対流伝熱の効率はあまり変わらないので若干の改善が予想されたが、実際には定性的な説明のような改善は得られない結果となっている。 【0049】図11は従来構造と本発明の構成の除霜ヒータについての同様な除霜特性である。前述の2つの従来の改良技術のものと異なり、本発明の構成の「本発明」では「従来型」に比べて、最終除霜水量が50%も多いにもかかわらず10%以上短い時間で除霜が終了している(蒸発器の上部の空気温度の立ち上がりは「本発明」の方がかなり早い)。これは、「従来型」より「本発明」では除霜の放射伝熱と対流伝熱が共に効率的に行われるようになるので改善が大きいという、既に行った説明とも符合するものである。 【0050】以上の除霜のモデル実験の結果から、本発明の構成の除霜ヒータにより、従来の改良技術等の場合より大きな従来構造からの除霜効率の改善、即ち除霜時間の短縮や除霜に伴う消費電力量の低減が得られることがわかる。 【0051】以下に本発明の具体的な実施形態を図面を用いて説明する。 【0052】図1は、本発明になる第1の実施形態の冷蔵庫についての除霜ヒータ周辺の部分断面図である。この本発明の第1の実施形態での除霜ヒータの構造は、既に前出の図8で本発明の典型的な構成の除霜ヒータとして説明したものとほぼ同じであり、除霜ヒータ7はヒータカバー13がヒータ本体12の前側と後ろ側とをそれぞれ覆う実質2部材の構造となっていて、ヒータ本体12の下方と上方の開口がそれぞれ暖気17の吸い込み口と吐出口になっている。また、ヒータカバー13の上部の吐出口では、前側部材の上端が後ろ側部材の上端より上方かつ後ろ側の位置にまで延びていると共に、庇のように先端近くで斜め上向きから下向きへと曲げられており、また吐出口の位置を冷気ダクト5の前後方向の中心より後ろ側に偏よらせていることも特徴である。 【0053】このような本発明の除霜ヒータであれば、既に図8で説明したように、除霜時の放射伝熱では、ヒータカバー13の外表面はほとんど斜面ばかりで除霜水15が滞留することはないし、ヒータカバー13の前側と後ろ側が吐出口で上下に重なるが上にくる前側部分の上端が庇状になっているので除霜水15がカバー内部に入ることもない。これにより、ヒータカバー13の内外で除霜水の余分な加熱や蒸発は従来の改良技術のものより少なくでき、またヒータカバー13があまり濡れずに高温であれば表面からの熱線16の放射も増えるようにもなる。 【0054】また、対流では、まずヒータカバー13が前後を覆うので開口が少なく、ヒータカバー13の内面で反射された熱線16もヒータ本体12に集まりやすい形状であるため、除霜ヒータ7での暖気17の発生が多くなる。さらに吐出口は、前側と後ろ側の部材の上端の隙間として形成されるので冷気ダクト5の前後方向に1個所のみとなり、かつヒータカバー13の吐出口は冷気ダクト5の前後方向の中心より後ろ側に偏らせてある。従って、除霜ヒータ7で多く発生した暖気17が1個所で後ろ寄りの吐出口から集中して吐出されるため、冷気ダクト5内には後ろ側の周囲壁に沿って上昇し、前側の周囲壁に沿って下降する暖気17の流れが形成される。 【0055】この対流は、暖気17の発生量が多いと共に、上下に細長い冷気ダクト5内を上昇と下降がほぼ1系統だけとなるため、途中での混合も少なくて上方に届く強いものとなる。対流が強く上方の蒸発器6や霜14に熱が伝わりやすければ霜の融解に時間がかからず、沿って流れる周囲壁の加熱も少なくなる。 【0056】以上のことから、本発明の第1の実施形態の冷蔵庫では、除霜ヒータによる除霜時の放射及び対流による伝熱が効率的になるため、除霜効率が十分に改善され、除霜に伴う消費電力量の低減が可能になる。 【0057】図2は、本発明になる第2の実施形態の冷蔵庫についての除霜ヒータ周辺の部分断面図である。この本発明の第2の実施形態での除霜ヒータの構造は、除霜ヒータ7のヒータカバー13の前側部材を下半部分が前下がりに傾斜しながら突出する形状としたことに特徴がある。このような構造の違いがあるとしても、本発明の第1の実施形態に比べた除霜状態は暖気17の発生量が若干減るか同等のままという差しか生じないと考えられるので、既に説明したことからわかるように、除霜ヒータ7の除霜特性の従来構造からの改善効果はほぼ同じであり、除霜効率の改善や除霜に伴う消費電力量の低減も同様に得られる。 【0058】一方で、この本発明の第2の実施形態での除霜ヒータに特有の付随的な効果には、次のものがある。冷蔵庫の通常運転時では、大半の冷気9は冷気ダクト5の前側から除霜ヒータ7に衝突ながら流入し、すぐに上方に曲げられて蒸発器6に向かう。図1の本発明の第1の実施形態での除霜ヒータでは、ヒータカバー13の前側の部材の下半部分が垂直に近いので冷気9の流れを乱す可能性があるのに比べ、この本発明の第2の実施形態での除霜ヒータでは、ヒータカバー13の前側の部材の下半部分が前下がりに傾斜しているので多くの冷気9を斜め上の蒸発器6に向かって円滑に流すことができる。これにより、冷蔵庫の通常運転時に冷気9の風量増加や乱れ低減により蒸発器6の熱交換性能が向上でき、冷蔵庫の消費電力量が低減できるようになる。 【0059】図3は、本発明になる第3の実施形態の冷蔵庫についての除霜ヒータ周辺の部分断面図である。この本発明の第3の実施形態での除霜ヒータの構造は、除霜ヒータ7を冷気ダクト5の前後方向の中心より後ろ側に偏らせて配置したことに特徴がある。このような構造の違いがあっても、本発明の第1の実施形態に比べた除霜状態は暖気17の吐出口と共に吸い込み口も後ろ側に偏るだけで形成される対流の状態はほぼ変わらないと考えられるので、既に説明したことからわかるように、除霜ヒータ7の除霜特性に関する従来構造からの改善効果はほぼ同じであり、除霜効率の改善や除霜に伴う消費電力量の低減も同様に得られる。 【0060】一方で、この本発明の第3の実施形態での除霜ヒータには、本発明の第2の実施形態と同様な付随的な効果がある。冷蔵庫の通常運転時に冷気ダクト5の前側から除霜ヒータ7に衝突するように流入する冷気9に対し、この本発明の第3の実施形態では除霜ヒータ7が冷気ダクト5の後ろ側にずれており前側が広くなっているので、冷気9の多くを斜め上の蒸発器6に向かって円滑に流すことができる。これにより、本発明の第2の実施形態と同様に、冷蔵庫の通常運転時に冷気9の風量増加や乱れ低減により蒸発器6の熱交換性能が向上でき、冷蔵庫の消費電力量が低減できるようになる。 【0061】 【発明の効果】本発明によれば、除霜ヒータからの放射に伴う除霜水の余分な加熱や蒸発が減らせると同時に、対流における暖気の発生と冷気ダクト内の対流とを強くできるので、除霜時間を短縮して除霜に伴う消費電力量を低減し、そして冷蔵庫の消費電力量を低減することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
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| 【出願日】 |
平成11年12月15日(1999.12.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075096 【弁理士】 【氏名又は名称】作田 康夫
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| 【公開番号】 |
特開2001−174134(P2001−174134A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月29日(2001.6.29) |
| 【出願番号】 |
特願平11−355478 |
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