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【発明の名称】 冷蔵庫
【発明者】 【氏名】笹部 茂

【氏名】境 寿和

【要約】 【課題】イソブタンを冷媒とする冷蔵庫において、冷蔵庫の内箱の内側に漏れることによって引火し爆発する可能性を低減することができる冷蔵庫を提供することを目的とする。

【解決手段】圧縮機9と、凝縮器10と、膨張機構11と、蒸発器8とを順次環状に接続して冷媒としてイソブタン12を封入した冷却サイクルを有する断熱箱体2からなり、前記蒸発器8内の冷媒の圧力が負圧のときのみ圧縮機9の運転を停止することにより、イソブタン12が冷蔵庫の内箱の内側に漏れることによって引火し爆発する可能性を低減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機と、凝縮器と、膨張機構と、蒸発器とを順次環状に接続して冷媒としてイソブタンを封入した冷却サイクルを有する断熱箱体からなり、前記蒸発器内の冷媒の圧力が負圧のときのみ前記圧縮機の運転を停止することを特徴とした冷蔵庫。
【請求項2】 蒸発器内の冷媒の圧力あるいは温度を検知するセンサーを設け、前記センサーが大気圧あるいは−15℃以上を検知すると、圧縮機が運転することを特徴とした請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】 蒸発器内の冷媒の圧力あるいは温度を検知するセンサーと、庫内の冷気を循環させるファンを備え、圧縮機の停止時に前記センサーが大気圧あるいは−15℃以上を検知すると、前記ファンが回転し庫内の冷気によって前記蒸発器を冷却することを特徴とした請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項4】 蒸発器と凝縮器の間に電磁弁を設け、前記電磁弁を、圧縮機の停止前に閉じることで前記蒸発器内の冷媒を排出することを特徴とした請求項1記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特に可燃性のイソブタンを冷媒に使用した場合の冷蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球温暖化等の環境問題が注目されている。このような観点より、冷媒をハイドロフルオロカーボンから可燃性ではあるが地球温暖化への影響が極めて少ないハイドロカーボンへの転換が図られている。
【0003】従来、可燃性であるハイドロカーボンのイソブタンを冷媒として使用している冷蔵庫としては、1993年2月にベルギーで行われた11R−11FのコミッションB1/2の予稿集のP281〜P291に開示されている。
【0004】以下、図面を参照しながら、従来のイソブタンを冷媒に使用した冷蔵庫について説明する。
【0005】図6において、1は冷蔵庫本体、2は断熱箱体で、3はABS樹脂やポリスチロール樹脂からなる内箱、4は銅板からなる外箱、5はウレタン等からなる断熱材で構成されている。6はドアで断熱箱体2に設けられている。本体1の背面下部には機械室7が設置されている。8は蒸発器で内箱4の内側に設置される。また、機械室7に圧縮機9が設置され、凝縮器10、膨張機構11と順次環状に接続し冷却サイクルを構成する。
【0006】そして、この冷却サイクルにはイソブタン12が封入されており、電源コンセント15から電気の供給を受けて運転を行う。内箱4の内側には内箱4の内側の温度により圧縮機9の運転停止を制御する庫内温度調節手段13が設置される。14はドアスイッチで庫内灯15の点滅の制御を行う。
【0007】以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作を説明する。まず、圧縮機9を運転すると、圧縮機9から吐出された高温高圧のイソブタン12は、凝縮器10で外気と熱交換して凝縮液化し、膨張機構11に流入する。膨張機構11でイソブタン12は減圧され、蒸発器8で蒸発し内箱4の内側の空気と熱交換を行う。
【0008】ここで蒸発気化したイソブタン12は圧縮機9へと戻る。また、内箱4の内側の温度変化に伴って、圧縮機9は庫内温度調節手段13の制御によって運転,停止を繰り返す。ここで、蒸発器8の内容積、冷媒の封入量、冷却サイクルを構成する配管の径と長さ等によっては、圧縮機9の運転時は蒸発器8内の冷媒の圧力は負圧となっているが、停止時は蒸発器8内の冷媒の圧力は大気圧以上になる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の構成では、圧縮機9の停止時は蒸発器8内のイソブタンの大気圧以上になっていることから、内箱4の内側に設けられた蒸発器8と膨張機構11あるいは圧縮機9への戻り配管との接続部から可燃性のイソブタン12が冷蔵庫の内箱4の内側に漏れる可能性がある。
【0010】内箱4の内側にはドアスイッチ14や庫内灯15等の接点機器があり、内箱4の内側にイソブタン12が充満した状態でドアを開くとこれらの接点機器が着火源となり可燃性のイソブタン12に引火し爆発するという問題があった。
【0011】本発明は、上記従来の課題を解決するもので、イソブタンが冷蔵庫の内側に漏れにくくすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の冷蔵庫においては、蒸発器内の冷媒の圧力が負圧のときのみ圧縮機の運転を停止することを特徴としたものである。
【0013】この本発明によれば、イソブタンが冷蔵庫の内側に漏れることによって引火し爆発する可能性を低減できる冷蔵庫を得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、圧縮機と、凝縮器と、膨張機構と、蒸発器とを順次環状に接続して冷媒としてイソブタンを封入した冷却サイクルを有する断熱箱体からなり、前記蒸発器内の冷媒の圧力が負圧のときのみ前記圧縮機の運転を停止することを特徴とした冷蔵庫であり、圧縮機の停止時は蒸発器内のイソブタンの圧力は大気圧よりも低いので、冷蔵庫の内箱の内側に備えられた蒸発器の接続部から庫内へイソブタンが漏れないという作用を有する。
【0015】請求項2に記載の発明は、蒸発器内の冷媒の圧力あるいは温度を検知するセンサーを設け、前記センサーが大気圧あるいは−15℃以上を検知すると、圧縮機が運転することを特徴とした請求項1記載の冷蔵庫であり、圧縮機の停止時に蒸発器よりも温度が高い凝縮器内のイソブタンが蒸発器内に流入し蒸発することで蒸発器内の冷媒の温度及び圧力が上昇し温度が−15℃、圧力が大気圧に達したとき温度センサーあるいは圧力センサーの検知により圧縮機が運転することで蒸発器内のイソブタンが圧縮機へ戻るので蒸発器内のイソブタンの圧力は大気圧以上にはならないので、冷蔵庫の内箱の内側に備えられた蒸発器の接続部から庫内へイソブタンが漏れないという作用を有する。
【0016】請求項3に記載の発明は、蒸発器内の冷媒の圧力あるいは温度を検知するセンサーと、庫内の冷気を循環させるファンを備え、圧縮機の停止時にセンサーが大気圧あるいは−15℃以上を検知すると、前記ファンが回転し庫内の冷気によって前記蒸発器を冷却することを特徴とした請求項1記載の冷蔵庫であり、蒸発器内の冷媒の温度及び圧力が上昇し温度が−15℃、圧力が大気圧に達したとき温度センサーあるいは圧力センサーの検知により、ファンが回転することで庫内の冷気によって蒸発器は冷却され、蒸発器の温度上昇による蒸発器内のイソブタンの圧力上昇を軽減することで蒸発器内のイソブタンの圧力は大気圧以上にはならず、冷蔵庫の内箱の内側に備えられた蒸発器の接続部から庫内へイソブタンが漏れないという作用を有する。
【0017】請求項4に記載の発明は、蒸発器と凝縮器の間に電磁弁を設け、前記電磁弁を、圧縮機の停止前に閉じることで前記蒸発器内の冷媒を排出することを特徴とした請求項1記載の冷蔵庫であり、圧縮機の停止前に電磁弁が閉じることで、凝縮器と蒸発器の間の冷媒の流路が遮断された状態で圧縮機の運転により蒸発器内の冷媒が圧縮機へ戻り蒸発器内の冷媒は排出されるため、圧縮機の停止時に蒸発器内の圧力は上昇せず、蒸発器の除霜によって蒸発器の温度が0℃以上になっても蒸発器内の圧力は上昇せず大気圧以上にはならないので、冷蔵庫の内箱の内側に備えられた蒸発器の接続部から庫内へのイソブタン漏れ防止をさらに向上するという作用を有する。
【0018】以下、本発明の実施の形態について、図1から図5を用いて説明する。
【0019】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1による冷蔵庫の断面図を示し、図1において、8は蒸発器であり内箱4の内側に配設され、9は圧縮機であり機械室7内に設置され、凝縮器10、膨張機構11と順次環状に接続し冷却サイクルを構成し、断熱箱体2に設置されている。
【0020】以上のように構成された冷蔵庫について、以下図1を用いてその動作を説明する。まず、圧縮機9を運転すると、圧縮機9から吐出された高温高圧のイソブタン12は、凝縮器10で外気と熱交換して凝縮液化し、膨張機構11に流入する。膨張機構11でイソブタン12は減圧され、蒸発器8で蒸発し内箱4の内側の空気と熱交換を行う。
【0021】ここで蒸発気化したイソブタン12は圧縮機9へと戻る。また、内箱4の内側の温度変化に伴って、圧縮機9は庫内温度調節手段13の制御によって運転,停止を繰り返す。
【0022】そして、圧縮機9の運転時は蒸発器8内のイソブタン12の圧力は負圧となっている。圧縮機9の停止時には蒸発器8よりも温度が高い凝縮器10内のイソブタン12が膨張機構11を通じて蒸発器8内に流入してくる。蒸発器8内に流入したイソブタン12が蒸発することで蒸発器8内の圧力が次第に上昇する。
【0023】そして、蒸発器8内のイソブタン12の圧力が大気圧に達したとき、圧縮機9は蒸発器8内の冷媒の圧力が負圧のときのみ運転を停止するので圧縮機9の運転は再開する。圧縮機9が運転を始めることで蒸発器8内のイソブタン12は圧縮機へ戻り蒸発器8内のイソブタン12の圧力は減少し大気圧以上にはならない。
【0024】したがって、冷蔵庫の内箱4の内側に備えられた蒸発器8の接続部から内箱4の内側の庫内へイソブタンが漏れることはない。
【0025】(実施の形態2)図2は、本発明の実施の形態2による冷蔵庫の断面図を示し、図2において、16は蒸発器内の冷媒の圧力を検知する圧力センサーであり、蒸発器8の入口の配管内に設けられている。
【0026】以上のように構成された冷蔵庫について、以下図2を用いてその動作を説明する。まず、圧縮機9を運転すると、圧縮機9から吐出された高温高圧のイソブタン12は、凝縮器10で外気と熱交換して凝縮液化し、膨張機構11に流入する。膨張機構11でイソブタン12は減圧され、蒸発器8で蒸発し内箱4の内側の空気と熱交換を行う。ここで蒸発気化したイソブタン12は圧縮機9へと戻る。
【0027】また、内箱4の内側の温度変化に伴って、圧縮機9は庫内温度調節手段13の制御によって運転,停止を繰り返す。ここで、圧縮機9の運転時は蒸発器8内のイソブタン12の圧力は負圧となっている。圧縮機9の停止時には蒸発器8よりも温度が高い凝縮器10内のイソブタン12が膨張機構11を通じて蒸発器8内に流入してくる。
【0028】蒸発器8内に流入したイソブタン12は蒸発することで蒸発器8内の圧力が次第に上昇する。そして、蒸発器8内のイソブタン12の圧力が大気圧に達したとき、圧力センサー16の検知により圧縮機9が運転を再開する。圧縮機9が運転を始めることで蒸発器8内のイソブタン12は圧縮機9へ戻り蒸発器8内のイソブタン12の圧力は減少し大気圧以上にはならない。
【0029】したがって、冷蔵庫の内箱4の内側に備えられた蒸発器8の接続部から内箱4の内側の庫内へイソブタンが漏れることはない。
【0030】なお、以上の説明では圧力センサーの設置場所は蒸発器の入口部の配管としたが、膨張機構の出口から圧縮機の入口までの圧縮機の運転中に負圧となる冷却サイクルの配管であれば設置場所は特定されない。
【0031】また、センサーとして圧力センサーによる場合を説明したが、温度センサーを用いて温度センサーの検知温度が−15℃に達したときに圧縮機が運転するように構成した場合も同様の効果が得られる。
【0032】(実施の形態3)図3は、本発明の実施の形態3による冷蔵庫の断面図を示し、図3において、17はファンであり蒸発器8の前面に設けられている。
【0033】以上のように構成された冷蔵庫について、以下図3を用いてその動作を説明する。圧縮機9は庫内温度調節手段13の制御によって運転,停止を繰り返して内箱4の内側の庫内温度の温調を行っている。ここで、圧縮機9の運転時は蒸発器8内のイソブタン12の圧力は負圧となっている。
【0034】また、圧縮機9の停止時には蒸発器8よりも温度が高い凝縮器10内のイソブタン12が膨張機構11を通じて蒸発器8内に流入してくる。蒸発器8内に流入した温度の高いイソブタン12は蒸発することで蒸発器8内の温度及び圧力が次第に上昇する。そして、蒸発器8内のイソブタン12の圧力が大気圧に達したとき、圧力センサー16の検知によりファン17が回転する。
【0035】このとき、蒸発器8内のイソブタン12の温度は−15℃になっているのに対し内箱4内の内側の庫内温度は高くても−18℃であることから、ファン17の回転によって冷気が循環し蒸発器8は熱交換し冷却され、蒸発器8内のイソブタン12の温度は低下するとともに蒸発器8内のイソブタン12の圧力は低下する。
【0036】したがって、冷蔵庫の内箱4の内側に備えられた蒸発器8の接続部から、内箱4の内側の庫内へイソブタンが漏れることはない。
【0037】なお、以上の説明ではファン17を蒸発器8の前面に設置したが、蒸発器8の前面に設置しても同様の効果が得られる。また、ファンの吹き出し方向についても前方、後方のどちらか特定しない。
【0038】(実施の形態4)図4は、本発明の実施の形態4による冷蔵庫の断面図を示し、図4において、18は電磁弁であり、蒸発器8の入口部の配管に設けられている。また、図5に電磁弁18と圧縮機9の動作関係図を示す。
【0039】以下図4及び図5を用いてその動作を説明する。圧縮機9は庫内温度調節手段13の制御によって運転,停止を繰り返して内箱4の内側の庫内温度の温調を行っている。ここで、図5に示すように電磁弁18は圧縮機9が停止する前に閉じるように制御されており、電磁弁18が閉じると蒸発器8と膨張機構11の間の冷媒流路が遮断されることから、電磁弁18が閉じた後は、蒸発器8へはイソブタン12が流入しない。
【0040】そして、蒸発器8内のイソブタン12は、圧縮機9が運転されることで圧縮機9内へ戻り排出される。この後、圧縮機9は停止し内箱4の内側の庫内温度が上昇すると、庫内温度調節手段13の検知によって圧縮機9の運転が再開する。また、電磁弁18は圧縮機9の運転が再開する前に開くため圧縮機9の起動時に冷媒不足によって冷凍能力が低下することはない。
【0041】したがって、圧縮機9の停止時に蒸発器8が内箱4の内側の庫内との熱交換によって温度上昇しても蒸発器8内にはイソブタン12は存在しないことから、蒸発器8内の圧力は上昇せず大気圧以上になることはない。また、蒸発器8のヒータ加熱による除霜を行う場合、蒸発器8の温度は0℃以上になるが蒸発器8内の圧力は上昇せず大気圧以上になることはない。
【0042】したがって、冷蔵庫の内箱4の内側に備えられた蒸発器8の接続部から内箱4の内側へのイソブタンの漏れ防止をさらに向上することができる。
【0043】なお、以上の説明では電磁弁18は蒸発器8の入口部の配管に設けたが、内箱4の外側の凝縮器10の出口の配管に設けても良い。蒸発器8内へ流入するイソブタンの液の量を軽減するには蒸発器8に近い箇所がよい。庫内容積の有効化、生産性を考慮すると凝縮器10に近い箇所がよい。
【0044】以上のように、本発明の実施の形態3によれば、イソブタンが冷蔵庫の内側に漏れることによって引火し爆発する可能性をさらに低減することができる。
【0045】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、蒸発器内の冷媒の圧力が負圧のときのみ圧縮機の運転を停止するので、蒸発器内のイソブタンの圧力は大気圧以上にならないことから、内箱の内側に備えられた蒸発器の接続部から内箱の内側の庫内へイソブタンが漏れにくくなる。
【出願人】 【識別番号】000004488
【氏名又は名称】松下冷機株式会社
【出願日】 平成11年10月1日(1999.10.1)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2001−108341(P2001−108341A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−281330