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【発明の名称】 密閉式の熱媒槽および熱媒供給システム
【発明者】 【氏名】小林 一男

【氏名】清水 明

【氏名】小林 良二

【要約】 【課題】熱媒の温度変化に伴う圧力変動を吸収して外気の侵入を防止すると共に水分と熱媒との反応を防止する。

【解決手段】熱媒槽31に容積が変動するベローズ32を取り付け、連結配管65にコアードライヤ60を設ける。液層31aの体積変動はベローズ32で吸収することができ、そのときにベローズ32と気層31bを流通する気体をドライヤ60で乾燥することにより、水分の侵入を防止すると共に、気体中の水分を除去することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱媒が液層および気層に分離した状態で一時的に蓄積される密閉式の熱媒槽であって、前記気層の部分に繋がり容積が変動可能な圧力吸収部と、この圧力吸収部と前記気層を気体が流通する経路に設けられた乾燥部とを有する密閉式の熱媒槽。
【請求項2】 請求項1において、前記圧力吸収部は、伸縮可能なベローズである密閉式の熱媒槽。
【請求項3】 請求項1において、前記乾燥部は、乾燥剤がバインダーで固められたフィルタを備えている密閉式の熱媒槽。
【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の密閉式の熱媒槽と、この密閉式の熱媒槽中の熱媒を圧送する圧送ポンプとを有し、この圧送ポンプは、ポンプインぺラを駆動するシャフトのポンプインペラ側のシールに、外気側および液側に各々のシールリップの向いたペアー構造のリップ付きシールリングを用いていることを特徴とする熱媒供給システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】フッ素系の熱媒などを一時的に蓄積するのに適した熱媒槽および熱媒供給システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5に、熱媒循環システムの一例を示してある。熱媒を適当な温度に加熱または冷却して供給し、熱交換器により他の媒体あるいは機器などの温度を制御するシステムは多くの分野で利用されている。図5に示した熱媒循環システム9は、熱媒を循環して負荷側3に接続された、あるいは接触した流体または機器などの温度を制御するものである。このため、熱媒槽(蓄液槽)4に蓄積された熱媒を、冷却器1および加熱器8を通過するようにポンプ2で循環し、接続バルブ6を介して連結された配管7を通して負荷側3に供給している。
【0003】図5に示したシステム9では、冷却器として、冷媒ガスなどを用いた冷却サイクルの蒸発器1を用い、加熱器8としてヒータなどの加熱専用の機器を用いているが、電熱変換素子であるペルチェ素子によって、熱媒を冷却および加熱することにより熱媒の温度を制御するシステムもある。たとえば、特開平8−193766号には、熱媒を通す伝熱ブロックと排熱用の水を通す伝熱ブロックとの間にペルチェ素子を配置して、熱媒を加熱および冷却できるシステムが記載されている。
【0004】さらに、近年、アウジモント社のガルデン、スリーエム社のフロリナートなどのフッ素系不活性液体(完全フッ素化液)が熱媒として利用できるようになっている。このこのフッ素系の不活性液体は、フロンなどと異なりオゾンなどに対しても不活性でオゾン破壊係数が0であり、さらに、優れた電気絶縁性と熱特性とを併せ持った液体である。そして、低温、たとえば−20℃程度あるいはそれ以下でも凍結せず、高温、たとえば80℃から120℃程度あるいはそれ以上でも化学的に安定している。したがって、適当な種類のフッ素系不活性液体を熱媒として選択することにより、広い温度範囲で熱媒を使用でき、これを用いた熱交換器によって温度制御の対象となる機器あるいはワークなどを低温から高温まで制御することが可能である。さらに、熱媒が化学的に安定しているので、腐食の心配もなく、メンテナンスフリーの熱交換システムを実現することができる。また、このフッ素系不活性液体は、不燃性で、液状では人体に対する害もないといった優れた特性を備えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようにフッ素系の不活性液体を熱媒として用いたシステムは、温度制御範囲が広く、安定しているので、半導体装置のドライエッチャー、コンピュータ、その他の電子機器の温度制御、さらには、化学加工機械の温度制御用に採用されるようになっている。しかしながら、熱媒の循環システム内に周囲空気が混入すると、空気中水分とフッ素系媒体のフッ素とが水分が結合してフッ酸HFを生成する可能性が残されている。このため、負荷側冷却管3あるいは循環系の配管7の内面に腐食が発生する可能性がある。また、侵入水分は氷結し、ときには循環系内の電磁弁を開塞させたり、誤動作させる恐れもある。
【0006】このため、熱媒の循環系は完全に密閉されていることが望ましいが、熱媒が低温、たとえば−20℃程度あるいはそれ以下に冷却されたときと、高温、たとえば80℃程度あるいはそれ以上に加熱されたときとで、熱媒が液体状態であっても熱膨張あるいは熱収縮する。このため、熱媒タンク4の液レベル、すなわち、液層4aと気層4bの境界が動くので、気層4bの圧力が変動する。さらに、気層4bの圧力は、熱媒の蒸気圧、バッファとして熱媒タンク4に充填されている空気あるいは不活性気体の蒸気圧によっても変動する。そして、タンク4の内部および配管系が大気圧に対し負圧になると、タンク4、配管7の経路中にシールの不完全箇所や、ポンプのインペラ回転駆動軸(シャフト)のシールを通して外気が進入する可能性があり、その水分が熱媒と反応する可能性がでてくる。通常のポンプ2のシャフトのシールは、図6に示すように、ケース23とシャフト21との間にエラストマのリップシール24を配置して密閉性を確保しているが、リップシール24の先端は圧力が通常高い熱媒の方に向けて設置されており、熱媒が負圧になるとリークしやすい構造となっている。したがって、たとえば、熱媒を80〜125℃に加熱して運転後、使用状況によって熱媒の温度設定を−20℃にすると、高温劣化により発生したフッ素と、液中混入水分によりHFが生成されてしまうことがありうる。
【0007】したがって、フッ素系の不活性液体を熱媒として用いた循環システムは、基本的には安定しておりメンテナンスフリーであるが、熱媒の温度が特に大きく変化するような使用方法においては、定期的に液の交換や、誤動作に対しての保守体勢が必要となっている。
【0008】そこで、本発明においては、熱媒の体積変動に伴う熱媒槽の圧力変動を抑制すると共に、熱媒中に水分が混入すること可能性を少なくすることができる熱媒層および熱媒供給システムを提供することを目的としている。
【0009】そして、本発明においては、熱媒液がフッ素系で、構成元素がC、F、O、HまたはC、F、Oから構成されるものを循環するシステムに適しており、特に、熱媒循環系内にヒータ、ランプ等の加熱装置、あるいはペルチェ素子などの冷却および加熱が可能な機器を設置し、熱媒を加熱することができる熱媒循環システムにおいて、熱媒の劣化および腐食などの問題が発生するのを防止し、メンテナンスフリーの熱媒循環システムを提供可能にすることを目的としている。さらに、熱媒体に完全フッソ化液(不活性)で、構成元素がC、F、O、H、またはC、F、Oから構成されるもので、この液を室温(約25度C)±20℃あるいはそれ以上の範囲で使用しても腐食や劣化などの問題の発生しにくい熱媒槽および熱媒供給システムを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明においては、ベローズのような容積が可変する圧力吸収部を熱媒槽に設けると共に、そこへの気体の流路に乾燥部を設け、圧力吸収部への気体の流れを利用して脱水するようにしている。すなわち、本発明の、熱媒が液層および気層に分離した状態で一時的に蓄積される密閉式の熱媒槽においては、気層の部分に繋がり容積が変動可能な圧力吸収部と、この圧力吸収部と気層を気体が流通する経路に設けられた乾燥部とを有することを特徴としている。
【0011】本発明の熱媒槽を採用することにより、液層および気層の体積変化を圧力吸収部で吸収できるので、熱媒槽を含めたシステムが大気圧に対し負圧になることを防止することが可能となり、外気が進入するのを防止できる。そして、熱媒を初期に注入するときに入った空気あるいは不活性気体などの熱媒槽の気層を構成する気体が、熱媒の温度変化によって乾燥部を流通するので、気体中の水分を除去することができる。また、万一、多少のリークがあって外気が進入した場合でもその水分を除去することが可能となる。したがって、長期間にわたり熱媒が水分と反応して劣化するのを防止することが可能となり、メンテナンスのいらない、あるいはメンテナンス頻度の非常に少ない熱媒供給システムを提供できる。
【0012】圧力吸収部は、容積が変動可能なもの、たとえば、タンク内部の仕切りが動くようなものであってももちろん良い。しかしながら、本体の少なくとも一部が蛇腹のように伸縮可能になったベローズがもっとも簡単に低コストで熱媒槽にとりつけできる。ベローズは外形のサイズが変動するので、断熱処理などがしにくく、たとえば、多少のリークあるいは外気温度と熱媒との温度差などによってベローズ内部で結露する可能性があるが、このような場合でも流路には乾燥部があるので、結露した水分が熱媒と接触することは防止できるので安全である。
【0013】乾燥部は、粒状の乾燥剤などを金属メッシュのフィルタで覆っても良いが、気体の流れによって乾燥剤同士の間に摩擦がおき、粉塵が発生するのを防止するためには乾燥剤をバインダーで固めたフィルタ状のものを採用することが望ましい。
【0014】さらに、本発明の密閉式の熱媒槽中の熱媒を圧送する圧送ポンプにおいても、熱媒側が負圧になる可能性を考慮し、ポンプインぺラを駆動するシャフトのポンプインペラ側のシールに、外気側および液側に各々のシールリップの向いたペアー構造のリップ付きシールリングを用いることが望ましい。特に、液中にインペラ部分が設置された縦型の圧送用ポンプを熱媒槽と一体にした熱媒供給システムでは、シャフトが気層を貫通する。したがって、このシャフトが気層を貫通する部分のシールをペアー構造のリップ付きシールリングにすることにより、低温下での液収縮に対応でき、外気水分侵入による害を未然に防止できるメンテナンスフリーの熱媒供給システムを提供できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1に、本発明にかかる熱媒循環システム10を示してある。本例の熱媒循環システム10は、熱媒として上述したフッ素系の不活性液体が用いられており、この熱媒の温度を制御する熱交換器50としてペルチェ素子53を利用したものが採用されている。すなわち、熱交換器50は、熱媒が流れる第1の熱交換部51と、排熱用の水が流れる第2の熱交換部52との間にペルチェ素子53が挟み込まれており、ペルチェ素子53に供給する電圧の極性を変えることにより、熱媒を冷却および加熱できるようになっている。そして、温度制御された熱媒は、バルブ6および配管7を介して半導体製造装置などの負荷側の熱交換器3に供給される。
【0016】本例の熱媒循環システム10は、熱媒を一時的に蓄積する熱媒タンク(熱媒槽)31と、熱媒を圧送するポンプ33が一体となって熱媒供給システム30を備えている。したがって、熱媒循環サイクル10を、熱媒供給システム30と、熱交換器50の2つシステムの組み合わせで構成することが可能であり、コンパクトでメンテナンス性もよい熱媒循環システムを提供できる。さらに、万一、いずれかの部分に不具合が発生したときでも、そのシステムを交換することによって熱媒循環システムの機能を維持することができる。
【0017】図2に、熱媒供給システム30のさらに詳しい構成を示してある。図2の左半分は外観を示しており、右半分は内部の構造を示している。本例の熱媒供給システム30は、熱媒槽31と、この熱媒槽31の内部にインペラ34が没した縦型の加圧ポンプ33が組み合わされている。このため、ポンプ33のモータ35が熱媒槽31の上にシールフランジ69およびモータフランジ68を介して重なって設置されており、モータ35からインペラ34を駆動するシャフト36がこれらのフランジ68および69を貫通して縦に伸びている。
【0018】熱媒槽31には、熱媒が槽31の内部に注入される入り口配管38と、ポンプ33に繋がった出口配管39とが設けられている。ポンプ33のインペラ34は槽31の液層31aに没しており、入り口(吸引口)35から吸い込まれた熱媒が加圧されて出口配管(吐出管)39から液媒循環サイクル10に圧送される。
【0019】さらに、熱媒槽31には、気層31bの部分に、蛇腹状の外観を持つベローズ32が接続配管65を介して接続されている。このようにそれ自体が伸縮し、容積が自動的に変動するベローズ32を設けておくことにより熱媒槽31の内圧の変動をかなり緩やかにすることができる。すなわち、このベローズ32がない場合は、タンク31の液層31aの熱媒の温度が低下、たとえば、−20℃のときは、熱媒の液層が収縮し蓄液槽31の内部は大気圧に対し約150mmhg程度の負圧になることがある。しかしながら、ベローズ32を設けておくことにより、ベローズ32内の気体がタンク31の気層31bに流れ、ベローズ32が縮む。このために、槽31の内部は、大気圧に対し約15〜30mmhg程度の負圧になる程度に圧力変動が改善される。逆に、液層31aの温度(熱媒の温度)が上昇し、80℃程度まで上がるときは液層31aが膨張し液上面のガス(気層31b)は圧縮される。この結果、ベローズ32に気層31bを構成する気体が逃げてベローズ32は膨らむ。このため、槽31の内圧の上昇は吸収され、大気圧に対し約20〜35mmhg程度の上昇に抑えられる。
【0020】このように、本例の熱媒供給システム30では、ベローズ32を設けることにより、ベローズ32がない場合の圧力変動、たとえば、負圧150mmhgから陽圧1、5kg/cm3、のような槽内圧力の大きな変化を吸収できる。したがって、熱媒層31、ポンプ33あるいはその他の配管系などのシールリング、パッキンなどのシール機構の負荷が大幅に低減される。このため、熱媒槽31の圧力が低くなりすぎて、外気がリークすることを防止でき、外気に含まれる水分がシステム内に混入することによる弊害を防止できる。また、圧力が高くなったときにフッ素系の液体の蒸気が外気に流れ出すのも防止できる。
【0021】さらに、本例の熱媒供給システム30においては、ベローズ32の接続管65に乾燥剤(コアードライヤ)60を配置している。このコアードライヤ60は、円筒状にモレキュラーシーブス、シリカゲルなどの乾燥剤をバインダーで固めたものである。そして、このドライヤ60の上下には、柔らかいゴム、あるいはその他のクッション性のシートパッキン61を配置し、シールリング62によりシールしている。したがって、ベローズ32と槽31との間を流れる空気はバイパスすることなくコアードライヤ60を貫通するように流れて脱水される。
【0022】このように、本例の熱媒供給システム30においては、ベローズ32が、蓄液槽31の液上面の気体31bの圧力に感応して気体をベローズ32とタンク31の間で流通させて圧力変化を緩和すると共に、その気体が流れるときにコアードライヤ60を必ず通過させることにより、循環系内の液充填するときの空気中に含まれる水分を乾燥させることができる。また、外気のリークが多少発生したような段階でも、ベローズ32と流通する空気を乾燥することにより、フッ素系の熱媒と空気中の水分とが反応してしまうのを未然に防止することができる。
【0023】乾燥剤は上記のように所定の形状にバインダーで成型しておくことにより、乾燥剤粒子同士の摩擦による粉塵が発生するのを防止できる。また、乾燥剤を定期に交換するのも容易となる。このようなバインダーで所定の形状に成型した乾燥剤を用いないときは、ステンレス製の非常に目の細かい(250メッシュを2重にする)網で乾燥剤を覆って粉塵が発生するのを防止することができる。
【0024】さらに、本例の熱媒供給システム30においては、図3に示すように、ポンプのシャフト36と、このシャフト36が貫通する熱媒槽31の上部のモータフランジ68とのシール部分に、向きの異なるリップシールリング71および72をペアーで配置し、熱媒槽31が負圧および陽圧(正圧)になったときにも高いシール性能が発揮されるようにしている。あるいは、図4に示すように、向きの異なるリップをあらかじめペアーにしたリップシールリング73をシャフト36とモータフランジ68との間に配置しても、負圧および陽圧に対するシール性能を向上することができる。リップシールリングは、弾性のあるシールリングの先端を圧力の高い方向に曲げてシャフトの周りに配置し、シールリングでシールする空間に圧力差がある場合でもリークを防止できるようにしたものである。そして、本例においては、それを向きを変えてペアで使用することにより、圧力差が負圧あるいは陽圧のいずれに振れてもシール性能を維持できるようにしている。したがって、熱媒の温度を低温から高温の広い範囲で制御する本例の熱媒供給システム30および熱媒循環システム10のシャフト36のシールとして適している。
【0025】なお、リップの向きの異なるシールリングは、シールフランジ69をシャフト36を貫通する構造になっていれば、それらの間に設けてももちろん良い。本例においては、モータフランジ68をシャフト36が貫通し、モータフランジ68とシールフランジ69の間にはシールリング67を挟んで密封している。このため、熱媒槽31を密封した状態で、モータ35を脱着することができ、圧送ポンプモータも交換しやすい構成となっている。
【0026】このように、本例の熱媒供給システム30においては、熱媒タンク31にベローズ32を設け、さらにコアードライヤ60を介して気体が動くようにすることにより、液層31aの温度が変化しても外気の侵入を防止すると共に、タンク31の気層31bの水分も同時に除去できる構造としている。したがって、保守不要の熱媒供給システム30を提供できる。さらに、ポンプ33を熱媒槽31に組み込み圧送ポンプ部を一体にすることにより、圧送機能を持ったコンパクトな熱媒供給システムを提供することができ、気体用ベローズ、気体用のドライヤも一体にして構成してあるので、これらを接続する配管が不要になり、この点でもコンパクトになる。
【0027】さらに、圧力変動で流動する気体をドライヤが通過するようにしてあるので、ドライヤをガス体用のため液循環系配管に直接入れたものより圧力損失がなく、乾燥のために気体を循環するポンプ動力も省くことができる。
【0028】また、負荷接続バルブの急激な開閉による熱媒槽および熱媒循環システムへの圧力変動をベローズにより吸収することが可能であり、このときに発生しやすい各配管接続部のシールからの外気侵入および水分の侵入も未然に防止することができる。
【0029】なお、本例では、ペルチェ素子を備えた熱交換器により熱媒の温度を制御するシステム10を例に説明しているが、本例の熱媒供給システム30は、図5に示したような、冷却器1と加熱器8を別々に備えた熱媒循環システムに用いることも可能であり、この場合でも水分が熱媒に及ぼす影響を最小限にとどめることができ、メンテナンスフリーあるいはメンテナンス頻度が少なくてよいシステムを構築することができる。
【0030】また、本例では、熱媒槽の気層が主に空気である例を説明しているが、空気の変わりにアルゴンなどの不活性気体を充填しておくことも可能であり、ドライヤ60を通過させることにより不活性気体中の水分を除去することができる。
【0031】さらに、本例では、気層31bの体積変動を吸収するために容積が可変する圧力吸収部として全体が蛇腹状となる上下に伸び縮みするベローズを用いているが、一部が蛇腹状となったり、横方向に伸び縮みするようなベローズであってももちろん良い。また、全体のサイズは変わらず、内部に弾性または移動可能な仕切りが設けられており、その仕切りが移動することにより容量が変化するようなタンクを採用しても上記と同様の効果が得られる。また、可動部分をタンクで覆うような構造になるので、安全性は優れている。しかしながら、ベローズがもっとも簡単な構成であり、低コストで本発明にかかるシステムを実現するのに適している。また、ベローズは外形寸法が変動するので、断熱処理が行いにくく、結露が発生する可能性があるが、結露した場合でも気体の流通する経路である接続管にドライヤが設けられているので、水分が直にフッ素系の熱媒と接触することはなく安全である。
【0032】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明においては、熱媒の熱膨張、収縮により圧力変動を圧力吸収部で吸収することにより、周囲空気中の水分侵入を防止することができる。さらに、その圧力吸収部への気体の流路に乾燥剤を設置することにより、熱媒槽あるいは熱媒循環システム内にある空気などの気体中の水分を自動的に効率よくに除去することができる。したがって、フッ素系の熱媒を用いたシステムであっても、水分との反応によってフッ化水素が発生することがなく、配管系の腐食や液の変質を未然に防ぎ、熱媒槽、熱媒循環システムのメンテナンス期間を大幅に延長することができる。したがって、熱媒にフッソ系の不活性液体を用いた温度調節範囲の広い熱媒循環システムに適した、メンテナンスフリーの熱媒槽および熱媒供給システムを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
【出願日】 平成11年10月6日(1999.10.6)
【代理人】 【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎 (外1名)
【公開番号】 特開2001−108338(P2001−108338A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−285168