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【発明の名称】 保冷庫
【発明者】 【氏名】畠山 義一

【氏名】横山 由美子

【要約】 【課題】液冷媒あるいは潤滑油が蒸発器の冷媒パイプ中に停滞することのない保冷庫を提供する。

【解決手段】保冷庫1の物品収納室Cの内壁に配管する、POS(パイプ・オン・シート)型蒸発器の冷媒パイプ10を、左右に蛇行しながら下方に移る蛇行部10’と、蛇行部10’の始点(上流点)Sと膨張弁との間を連通する冷媒導入部10aと、蛇行部10’の終点(下流点)Eと圧縮機20と連通する冷媒導出部10cとに区分し、実質的に蒸発器として機能する蛇行部10’を、冷媒が冷媒流れ方向に沿って下るよう傾斜付けした下り傾斜部10bと、上下に隣り合う下り傾斜部10bにおける上方の下り傾斜部10bの下流端Dと下方の下り傾斜部10bの上流端Uとを連通する円弧状の方向転換部10bとから構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 物品を収納するための物品収納室と、物品収納室の内壁に沿って配管した冷媒パイプを有する蒸発器とを備え、この冷媒パイプが、冷媒流れ方向を左右に転換しながら下方に移るよう蛇行させた蛇行部を有し、この蛇行部に冷媒を流して蒸発させることにより、前記物品収納室内を冷却するようにした保冷庫において、前記蛇行部を、冷媒が冷媒流れ方向に沿って下るよう傾斜付けした下り傾斜部と、上下に隣り合う下り傾斜部における上方の下り傾斜部の下流端と下方の下り傾斜部の上流端とを連通する方向転換部とから構成したことを特徴とする保冷庫。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は保冷庫、特に物品を収納・保冷して運搬すべく車両等に搭載される保冷庫に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、この種の保冷庫は、冷蔵・冷凍物品を良好に冷却・保持しての長距離輸送等を行うべく宅配用車両に搭載されるなどして一般的に使用されている。かかる保冷庫は、外箱と内箱との間に断熱材を充填して構成される物品収納室を備える。また、保冷庫には、物品収納室内を冷却し収納物品を保冷するための冷却装置が設置され、冷却装置は、冷媒を循環させる、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器等から構成される。その内の蒸発器の一形態として、従来から、パイプ・オン・シート(POS)型の蒸発器が知られている。
【0003】図3は、物品収納室の内壁(左右側壁及び後側壁)を便宜的に展開して示すものであり、この図に示す如く、POS型蒸発器は、物品収納室の内壁(内箱)に沿って所要に蛇行して配管される冷媒パイプ100を有し、膨張弁から冷媒パイプ100に気液混合冷媒を流して蒸発させることにより、物品収納室内から熱(気化熱)を奪い、これにより物品収納室内を冷却するものである。
【0004】また、保冷庫では、図4に示すように、冷却装置の運転を開始して物品収納室内の温度が所定温度(OFF温度)まで下がると冷却装置の運転を停止し、これによって次第に上昇する物品収納室内の温度が所定温度(ON温度)となると冷却装置の運転を再開するといった具合に、冷却装置を間欠的に作動させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のPOS型蒸発器には、冷媒パイプ100において、冷媒が冷媒流れ方向に沿って上る上り傾斜部101が存在した。そのため、OFF温度で冷却装置の運転が停止した際、冷媒パイプ100の途中、特に上り傾斜部の下流端付近に凝縮した液冷媒の溜まり部分が多数発生した。この場合、冷却装置の運転を再開すると、上記液冷媒溜まり部分が冷媒流の抵抗となり、冷媒が正常に循環せず、物品収納室内が速やかに冷えない。そのため物品収納室内の温度が冷却装置のON温度を大幅に越えた温度まで上昇してしまう(オーバーシュート)ため、適切な温度管理ができない。また冷却装置は、冷却装置ON温度を大幅に越えた温度から冷却装置OFF温度まで冷却しなければならないため、冷却装置の運転時間が長くなり、非効率的な運転となるといった弊害が生じていた。
【0006】また、圧縮機等に用いられる潤滑油が冷媒循環経路内に不可避的に混入し、冷媒と共に流通することが知られている。このような潤滑油も、特に冷媒蒸発温度−35℃〜−40℃程の低温帯冷却において流れにくくなり、上述した液冷媒とほぼ同様、冷却装置の停止時に冷媒パイプの上り傾斜部の下流端付近に停滞し、運転再開時における冷媒流れの抵抗となるとともに、圧縮機へ戻る潤滑油量が減少し、圧縮機故障の原因となっていた。
【0007】本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、液冷媒あるいは潤滑油が蒸発器の冷媒パイプ中に停滞することのない保冷庫を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る保冷庫は、物品を収納するための物品収納室と、物品収納室の内壁に沿って配管した冷媒パイプを有する蒸発器とを備え、この冷媒パイプが、冷媒流れ方向を左右に転換しながら下方に移るよう蛇行させた蛇行部を有し、この蛇行部に冷媒を流して蒸発させることにより、前記物品収納室内を冷却するようにした保冷庫において、前記蛇行部を、冷媒が冷媒流れ方向に沿って下るよう傾斜付けした下り傾斜部と、上下に隣り合う下り傾斜部における上方の下り傾斜部の下流端と下方の下り傾斜部の上流端とを連通する方向転換部とから構成した構造となっている。
【0009】即ち、本発明では、POS型蒸発器における冷媒パイプにおいて実質的に蒸発器としての機能を担う蛇行部を下り傾斜部及び方向転換部のみから構成したため、この蛇行部には、冷媒が冷媒流れ方向に沿って上るような傾斜等が存在せず、液冷媒あるいは潤滑油が停滞するようなことがない。
【0010】
【発明の実施の形態】図1及び図2は、本発明の実施形態に係る保冷庫の特徴的構成等を概略的に示すものであって、図1は保冷庫1の側断面説明図、図2は保冷庫1の内壁の便宜的な展開図である。保冷庫1は外箱2aと内箱2bとの間に断熱材を充填して構成される断熱箱体2と、断熱箱体2の前方(図1において左方)を開放・密閉する扉3とを備え、断熱箱体2の内部は物品を収納するための物品収納室Cとされる。また、保冷庫1には、物品収納室C内を冷却し収納物品を保冷するための次の冷却装置が備わる。
【0011】断熱箱体2の内壁上、即ち、図2に展開して示す内箱2bの左右両側壁2bL,2bR及び後側壁2bB上(厳密には内箱側壁2bR,2bB,2bLの断熱材側に向く面(裏面)上)には、POS(パイプ・オン・シート)型蒸発器の冷媒パイプ10が配管される。また、断熱箱体2外の上部には、図1に示すように、圧縮機20、凝縮器21、凝縮器用ファン22、膨張弁(図示せず)等が設置される。これら蒸発器(10)、圧縮機20、凝縮器21、膨張弁等が上記冷却装置を構成し、冷媒は、周知のように、蒸発器(10)→圧縮機20→凝縮器21→膨張弁→蒸発器(10)といった具合に循環させられる。
【0012】冷媒パイプ10は、物品収納室C内(の空気)に対する接触面積を拡大すべく、内箱左右両側壁2bL,2bR間を蛇行しながら下方に移る蛇行部10’と、蛇行部10’の始点(上流点)Sと膨張弁との間を連通する冷媒導入部10aと、蛇行部10’の終点(下流点)Eから上方に曲げられて圧縮機20と連通する冷媒導出部10cとに区分される。尚、冷媒パイプ10における蛇行部10’が蒸発器としての機能を実質的に担う。
【0013】蛇行部10’は更に、冷媒が冷媒流れ方向に沿って下るよう傾斜付けした直線状の下り傾斜部10bと、上下に隣り合う下り傾斜部10bにおける上方の下り傾斜部10bの下流端Dと下方の下り傾斜部10bの上流端Uとを連通する円弧状の方向転換部10b’とに区分される。
【0014】冷媒パイプ10においては、膨張弁の開度に応じた流量の気液混合冷媒が冷媒導入部10aから蛇行部10’に導入される。この気液混合冷媒は、蛇行部10’において下り傾斜部10b→方向転換部10b’→下り傾斜部10b→方向転換部10b’といった具合に流下しながら蒸発し、その際、物品収納室C内の熱を気化熱として奪い、物品収納室C内を冷却する。このように気化した冷媒(ガス冷媒)は冷媒導出部10cを通って圧縮機20へ導出される。
【0015】以上の冷媒パイプ10の蛇行部10’では、冷媒が冷媒流れ方向に沿って上るような上り傾斜・勾配等は一切設けられておらず、常に冷媒流れ方向に沿って下りとなるため、従来のPOS型蒸発器のように、冷媒パイプ中に液冷媒あるいは潤滑油が停滞するようなことはない。
【0016】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る保冷庫では、POS型蒸発器における冷媒パイプの蛇行部に冷媒が冷媒流れ方向に沿って上るような傾斜が存在しないため、冷却装置の停止時に液冷媒あるいは潤滑油が蛇行部中に溜まるようなことがなく、冷却装置の運転再開時に冷媒を円滑に循環させることができるので、オーバーシュートがなくなり、適切な温度管理ができるとともに、冷却装置の運転時間を短縮でき、効率的な運転が可能となる。さらに潤滑油の停滞もなくなり圧縮機の故障を防止できる。
【出願人】 【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
【出願日】 平成11年9月17日(1999.9.17)
【代理人】 【識別番号】100069981
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 精孝
【公開番号】 特開2001−91137(P2001−91137A)
【公開日】 平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願番号】 特願平11−263244