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【発明の名称】 冷蔵庫および冷凍サイクル用電動弁
【発明者】 【氏名】今久保 賢治

【要約】 【課題】切替弁としての電動弁から発生する音について静音化(消音化)を図る。

【解決手段】圧縮機17が駆動されて電動三方弁20の内部に冷媒が液体の状態で流通するようになった後に電動三方弁20のイニシャライズが実行されるので、液冷媒が緩衝材として作用してイニシャライズ時の発生音が低減する。圧縮機17の駆動とともに、冷蔵室用ファン11または冷凍室用ファン15と、圧縮機冷却用ファン18とが駆動されるので、これらファン11または15の運転音や圧縮機17の運転音によってイニシャライズ時の発生音が消音される。また、電動三方弁20の切替動作も電動三方弁20の内部に冷媒が液体の状態で流通するようになった後に実行される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒を液化させる凝縮器と、この凝縮器により液化された冷媒を複数の冷媒流路に選択的に流通させるように冷媒の流れを切り替える切替弁と、この切替弁の動作を制御する制御手段とを備えた冷蔵庫において、前記切替弁は、モータと当該モータの回転子が回転することに伴って弁本体内の弁体が初期位置を基準として移動するように構成された弁部とからなる電動弁であって、前記弁部は、前記弁体が前記初期位置を越えて移動することを制限する位置規制手段を備え、前記制御手段は、前記切替弁の弁本体内に液状の冷媒が存在している時に、前記弁体を前記初期位置に移動させる位置初期化動作を行うように構成されていることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】 制御手段は、圧縮機が運転を開始してから所定時間が経過した後、位置初期化動作を行うように構成されていることを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】 圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒を液化させる凝縮器と、この凝縮器により液化された冷媒を複数の冷媒流路に選択的に流通させるように冷媒の流れを切り替える切替弁と、この切替弁の動作を制御する制御手段とを備えた冷蔵庫において、前記切替弁は、モータと当該モータの回転子が回転することに伴って弁本体内の弁体が移動するように構成された弁部とからなる電動弁であって、前記制御手段は、前記切替弁の弁本体内に液状の冷媒が存在している時に、前記切替弁の切替動作を行うように構成されていることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項4】 制御手段は、圧縮機が運転を開始してから所定時間が経過した後、切替動作を行うように構成されていることを特徴とする請求項3記載の冷蔵庫。
【請求項5】 冷媒流路には冷蔵室を冷却する冷蔵室用冷却器と冷凍室を冷却する冷凍室用冷却器とが設けられ、複数の冷媒流路は、主として前記冷蔵室用冷却器に冷媒を供給する第1の冷媒流路と、主として前記冷凍室用冷却器に冷媒を供給する第2の冷媒流路とからなり、前記切替弁は、冷媒を前記第1の冷媒流路または前記第2の冷媒流路に選択的に流通させる電動三方弁であることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項6】 圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒を液化させる凝縮器と、この凝縮器により液化された冷媒を複数の冷媒流路に選択的に流通させるように冷媒の流れを切り替える切替弁と、この切替弁の動作を制御する制御手段と、前記冷媒流路に設けられた冷却器と、この冷却器により生成された冷気を庫内に送るための庫内冷却ファンと、前記圧縮機を冷却するための圧縮機冷却用ファンとを備えた冷蔵庫において、前記切替弁は、モータと当該モータの回転子が回転することに伴って弁本体内の弁体が初期位置を基準として移動するように構成された弁部とからなる電動弁であって、前記弁部は、前記弁体が前記初期位置を越えて移動することを制限する位置規制手段を備え、前記制御手段は、前記庫内冷却ファンの運転中または前記圧縮機冷却用ファンの運転中に、前記弁体を前記初期位置に移動させる位置初期化動作を行うように構成されていることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項7】 制御手段は、庫内冷却ファンの運転中または圧縮機冷却用ファンの運転中において、切替弁の弁本体内に液状の冷媒が存在している場合に位置初期化動作を行うように構成されていることを特徴とする請求項6記載の冷蔵庫。
【請求項8】 制御手段は、庫内冷却ファンまたは圧縮機冷却用ファンの運転状態が安定した後に位置初期化動作を行うように構成されていることを特徴とする請求項6または7記載の冷蔵庫。
【請求項9】 圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒を液化させる凝縮器と、この凝縮器により液化された冷媒を複数の冷媒流路に選択的に流通させるように冷媒の流れを切り替える切替弁と、この切替弁の動作を制御する制御手段と、前記冷媒流路に設けられた冷却器と、この冷却器により生成された冷気を庫内に送るための庫内冷却ファンと、前記圧縮機を冷却するための圧縮機冷却用ファンとを備えた冷蔵庫において、前記切替弁は、モータと当該モータの回転子が回転することに伴って弁本体内の弁体が移動するように構成された弁部とからなる電動弁であって、前記制御手段は、前記庫内冷却ファンの運転中または前記圧縮機冷却用ファンの運転中に、前記切替弁の切替動作を行うように構成されていることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項10】 制御手段は、庫内冷却ファンの運転中または圧縮機冷却用ファンの運転中において、切替弁の弁本体内に液状の冷媒が存在している場合に切替動作を行うように構成されていることを特徴とする請求項9記載の冷蔵庫。
【請求項11】 制御手段は、庫内冷却ファンまたは圧縮機冷却用ファンの運転状態が安定した後に切替動作を行うように構成されていることを特徴とする請求項9または10記載の冷蔵庫。
【請求項12】 冷却器は冷蔵室を冷却する冷蔵室用冷却器と冷凍室を冷却する冷凍室用冷却器とから構成され、庫内冷却ファンは前記冷蔵室用冷却器により生成される冷気を前記冷蔵室に送る冷蔵室用ファンと前記冷凍室用冷却器により生成される冷気を前記冷凍室に送る冷凍室用ファンとから構成され、複数の冷媒流路は、主として前記冷蔵室用冷却器に冷媒を供給する第1の冷媒流路と、主として前記冷凍室用冷却器に冷媒を供給する第2の冷媒流路とからなり、前記切替弁は、冷媒を前記第1の冷媒流路または前記第2の冷媒流路に選択的に流通させる電動三方弁であることを特徴とする請求項6ないし11の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項13】 切替弁のモータは、ステッピングモータであることを特徴とする請求項1ないし12の何れかに記載の冷蔵庫。
【請求項14】 冷凍サイクルの冷媒流路に設けられ、弁本体内の弁体が初期位置を基準として移動されることにより前記冷媒流路を開閉するように構成された弁部と、この弁部の弁体を回転子の回転に伴って移動させるモータと、前記弁部に設けられ、前記弁体が前記初期位置を越えて移動することを制限する位置規制手段と、前記弁体の動作を前記モータを介して制御するように設けられ、前記弁本体内に液状の冷媒が存在する時に前記弁体を前記初期位置に移動させる位置初期化動作を実行させる制御手段とを具備してなる冷凍サイクル用電動弁。
【請求項15】 冷凍サイクルの冷媒流路に設けられ、弁本体内の弁体が移動されることにより前記冷媒流路を開閉するように構成された弁部と、この弁部の弁体を回転子の回転に伴って移動させるモータと、前記弁体の動作を前記モータを介して制御するように設けられ、前記弁本体内に液状の冷媒が存在する時に前記弁体を移動させる動作を実行させる制御手段とを具備してなる冷凍サイクル用電動弁。
【請求項16】 冷凍サイクルの冷媒流路に設けられ、弁本体内の弁体が初期位置を基準として移動されることにより前記冷媒流路を開閉するように構成された弁部と、この弁部の弁体を回転子の回転に伴って移動させるモータと、前記弁部に設けられ、前記弁体が前記初期位置を越えて移動することを制限する位置規制手段と、前記弁体の動作を前記モータを介して制御するように設けられ、前記冷凍サイクルの圧縮機、凝縮器あるいは冷却器に送風する送風ファンの運転中に前記弁体を前記初期位置に移動させる位置初期化動作を実行させる制御手段とを具備してなる冷凍サイクル用電動弁。
【請求項17】 冷凍サイクルの冷媒流路に設けられ、弁本体内の弁体が移動されることにより前記冷媒流路を開閉するように構成された弁部と、この弁部の弁体を回転子の回転に伴って移動させるモータと、前記弁体の動作を前記モータを介して制御するように設けられ、前記冷凍サイクルの圧縮機、凝縮器あるいは冷却器に送風する送風ファンの運転中に前記弁体を移動させる動作を実行させる制御手段とを具備してなる冷凍サイクル用電動弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の冷媒流路に冷媒を選択的に流通させるように冷媒の流れを切り替える切替弁を備えた冷蔵庫、および冷凍サイクルの冷媒流路を切り替える冷凍サイクル用電動弁に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】冷凍サイクルを備えた機器例えば冷蔵庫は、一般に室内特に居住スペース内に設置されることが多いので静音化の要請が高く、近年では例えばインバータの採用または冷凍サイクルの改良による圧縮機の低回転数駆動化などにより冷蔵庫の運転中における騒音の低減が図られてきている。しかし、冷媒の流れを切り替える切替弁を備えた冷蔵庫にあっては、当該切替弁から生ずる音が耳障りな音あるいは異音のように聞こえることがあり従来から問題となっていた。
【0003】例えば、切替弁としてよく用いられる電磁弁は、弁本体内に付勢手段を介して設けられた弁体と、その付勢手段の付勢力に抗して弁体を移動させる磁力を発生させるソレノイドとを備えて構成されており、ソレノイドに駆動電圧が印加されると、弁体が短時間で吸引子に吸引される。そのため、弁体は勢いよく吸引子に衝突し、この時に大きな衝突音(切替音)が発生する。
【0004】そこで、この切替音の静音化を図るために、切替弁として電磁弁に替えて電動弁を用いたものがある。この電動弁は、モータと弁部とが組み合わされており、モータの回転子が回転することに伴って弁本体内に設けられた弁体が移動して弁穴(ポート)を開閉するように構成されている。
【0005】電動弁を用いると、モータの回転を制御することで弁体の位置を制御できるため、弁体の衝突を抑制することが可能となり、弁の切替音を低減することができる。しかし、この電動弁であっても、切り替え時に弁体などに摺動音(一例として電動弁から10cmの距離において25〜40dB(A))が発生するため、この摺動音(切替音)の低減が望まれていた。
【0006】一方、モータとして例えばステッピングモータを採用した電動弁を用いる場合、制御装置はこのステッピングモータに対して弁体(または回転子)の位置に関して開ループ制御を行うので、切替動作が繰り返し行われるにつれて弁体の指令位置と実際の位置とにずれが生じることがある。また、電源投入時や停電(瞬時停電を含む)からの復電時には、弁体の位置が不明となる。
【0007】そこで、電動弁を用いる場合、一般に、弁体の位置を初期位置に移動させる位置初期化動作(いわゆるイニシャライズ)が必要となる。冷蔵庫の場合には、電源投入時、停電からの復電時の他、一定期間例えば2〜3日に1度の割合でイニシャライズが行われる。
【0008】この位置初期化動作においては、制御装置は、弁体が初期位置から最も離れている位置にある場合でも初期位置に復帰するに十分なモータ駆動を行う。上記ステッピングモータ式の電動弁にあっては、制御装置は弁体が復帰するのに十分な数の駆動パルスを与える。
【0009】弁本体内には、弁体が初期位置を越えて移動しないように規制するストッパが設けられている。イニシャライズが行われると、弁体がこのストッパに当たる衝撃により当たり音が発生する。この当たり音は、弁体が初期位置に到達してストッパに当たった後、モータの回転が停止するまでの間断続的に発生し続け、しかも電動弁の固定具が薄い鉄板からなる場合には、その固定具からも音が発生する場合がある。この発生音は冷蔵庫の使用者に異音として聞こえてしまう虞があるため、電動弁を防音材で囲むなどの防音対策が必要であった。
【0010】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、切替弁としての電動弁から発生する音について静音化(消音化)を図った冷蔵庫を提供すること、および静音化(消音化)を図った冷凍サイクル用電動弁を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明の冷蔵庫は、圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒を液化させる凝縮器と、この凝縮器により液化された冷媒を複数の冷媒流路に選択的に流通させるように冷媒の流れを切り替える切替弁と、この切替弁の動作を制御する制御手段とを備えた冷蔵庫であって、前記切替弁は、モータと当該モータの回転子が回転することに伴って弁本体内の弁体が初期位置を基準として移動するように構成された弁部とからなる電動弁であり、前記弁部は、前記弁体が前記初期位置を越えて移動することを制限する位置規制手段を備え、前記制御手段は、前記切替弁の弁本体内に液状の冷媒が存在している時に、前記弁体を前記初期位置に移動させる位置初期化動作を行うように構成されていることを特徴とするものである。
【0012】この構成によれば、制御手段が位置初期化動作を開始すると、弁本体内の弁体は初期位置に向かって移動を開始し、やがて弁体が初期位置に到達すると位置規制手段に当たって移動を停止する。制御手段は、切替弁の弁本体内に液状の冷媒が存在している時に位置初期化動作を行うので、弁体の移動に対して液状の冷媒が緩衝材として作用する。その結果、弁体が位置規制手段に当たることにより発生する当たり音を低減することができる(静音効果)。
【0013】この場合、圧縮機が運転を開始してから所定時間が経過した後に位置初期化動作を行うように制御手段を構成すると良い(請求項2)。この構成によれば、位置初期化動作が開始される時には、既に圧縮機により冷媒の圧縮が十分に行われ、凝縮器の下流側において液状の冷媒が流通するようになっているので、位置初期化動作により発生する当たり音を低減できる。また、発生する当たり音は、圧縮機の運転音によりマスキングされるので、使用者にとって異音として意識されにくくなる。
【0014】また、請求項3に記載した本発明の冷蔵庫は、制御手段が、前記切替弁の弁本体内に液状の冷媒が存在している時に前記切替弁の切替動作を行うように構成されていることを特徴とする。この構成によれば、モータの回転子が回転することに伴う弁体の移動時に、弁体と弁座との間などの摺動部分に冷媒と冷凍機油との混合液が入り込みそこに潤滑膜が形成されるので、摺動音が低減する(静音効果)。
【0015】この場合、圧縮機が運転を開始してから所定時間が経過した後に切替動作を行うように制御手段を構成すると良い(請求項4)。この構成によれば、圧縮機により冷媒の圧縮が十分に行われ、凝縮器の下流側において液状の冷媒が流通するようになっている状態で切替動作が行われるので、前記摺動音が低減する。また、発生する摺動音は、圧縮機の運転音によりマスキングされるので、使用者にとって異音として意識されにくくなる。
【0016】以上の場合において、冷媒流路に冷蔵室を冷却する冷蔵室用冷却器と冷凍室を冷却する冷凍室用冷却器とを備え、複数の冷媒流路は、主として前記冷蔵室用冷却器に冷媒を供給する第1の冷媒流路と、主として前記冷凍室用冷却器に冷媒を供給する第2の冷媒流路とからなり、前記切替弁は、冷媒を前記第1の冷媒流路または前記第2の冷媒流路に選択的に流通させる電動三方弁である構成が好ましい(請求項5)。
【0017】この構成によれば、切替弁である電動三方弁が第1の冷媒流路側に切り替えられると、冷媒は主として冷蔵室用冷却器に供給されて冷蔵室の冷却が行われ、電動三方弁が第2の冷媒流路側に切り替えられると、冷媒は主として冷凍室用冷却器に供給されて冷凍室の冷却が行われる。
【0018】請求項6に記載した本発明の冷蔵庫は、圧縮機と、凝縮器と、この凝縮器により液化された冷媒を複数の冷媒流路に選択的に流通させるように冷媒の流れを切り替える切替弁と、この切替弁の動作を制御する制御手段と、前記冷媒流路に設けられた冷却器と、この冷却器により生成された冷気を庫内に送るための庫内冷却ファンと、前記圧縮機を冷却するための圧縮機冷却用ファンとを備えた冷蔵庫であって、前記切替弁は上述した構成の電動弁であるとともに、弁部は前記弁体が前記初期位置を越えて移動することを制限する位置規制手段を備え、前記制御手段は、前記庫内冷却ファンの運転中または前記圧縮機冷却用ファンの運転中に、前記弁体を前記初期位置に移動させる位置初期化動作を行うように構成されていることを特徴とする。
【0019】この構成によれば、位置初期化動作により弁体が初期位置に移動して位置規制手段に当たって発生する当たり音は、庫内冷却ファンの運転音または圧縮機冷却用ファンの運転音(例えば風切音)つまり暗騒音によってマスキングされるので、当たり音が使用者にとって耳障りな音あるいは異音として意識されにくくなる(消音効果)。
【0020】上記構成においては、庫内冷却ファンの運転中または圧縮機冷却用ファンの運転中において、切替弁の弁本体内に液状の冷媒が存在している場合に位置初期化動作を行うように制御手段を構成することが好ましい(請求項7)。この構成によれば、上述した液状の冷媒による静音作用と庫内冷却ファンの運転音または圧縮機冷却用ファンの運転音による消音作用とが併せて得られるので、上記当たり音を一層抑制することが可能となる。
【0021】この場合において、制御手段を、庫内冷却ファンまたは圧縮機冷却用ファンの運転状態が安定した後に位置初期化動作を行うように構成すると良い(請求項8)。この構成によれば、上記各ファンの運転状態が安定してからすなわちファンの運転音(例えば風切音)が大きくなってから位置初期化動作を行うので、当たり音のマスキング作用が大きくなり、その当たり音に対する消音効果がより大きく現れる。
【0022】また、請求項9に記載した本発明の冷蔵庫は、制御手段が、前記庫内冷却ファンの運転中または前記圧縮機冷却用ファンの運転中に前記切替弁の切替動作を行うように構成されていることを特徴とする。この構成によれば、弁体の移動時に発生する摺動音が、庫内冷却ファンの運転音または圧縮機冷却用ファンの運転音(例えば風切音)によってマスキングされて消音効果が得られる。
【0023】上記構成においては、庫内冷却ファンの運転中または圧縮機冷却用ファンの運転中において、切替弁の弁本体内に液状の冷媒が存在している場合に切替動作を行うように制御手段を構成することが好ましい(請求項10)。この構成によれば、ファンの運転音による消音作用に加え、潤滑膜の形成による摺動音の静音作用が得られるので、切替弁から発生する音を一層抑制することが可能となる。
【0024】この場合において、制御手段を、庫内冷却ファンまたは圧縮機冷却用ファンの運転状態が安定した後に切替動作を行うように構成すると良い(請求項11)。この構成によれば、摺動音のマスキング作用が大きくなり、その摺動音に対する消音効果がより大きく現れる。
【0025】さらに、庫内冷却ファンまたは圧縮機冷却用ファンの運転中に切替弁を動作させる場合において、切替弁は、上述したように冷媒を前記第1の冷媒流路または前記第2の冷媒流路に流通させる電動三方弁である構成が好ましい(請求項12)。この構成によれば、電動三方弁により冷媒の流れを切り替えることにより、冷蔵室の冷却と冷凍室の冷却とを行うことが可能となる。
【0026】以上の場合において、切替弁のモータをステッピングモータとすると良い(請求項13)。この構成によれば、モータに所定数の駆動パルスを印加することにより、回転子がそのパルス数にほぼ比例した角度だけ回転する。従って、弁体の位置制御が容易となる。
【0027】また、上記目的を達成するため、請求項14に記載した本発明の冷凍サイクル用電動弁は、冷凍サイクルの冷媒流路に設けられ、弁本体内の弁体が初期位置を基準として移動されることにより前記冷媒流路を開閉するように構成された弁部と、この弁部の弁体を回転子の回転に伴って移動させるモータと、前記弁部に設けられ、前記弁体が前記初期位置を越えて移動することを制限する位置規制手段と、前記弁体の動作を前記モータを介して制御するように設けられ、前記弁本体内に液状の冷媒が存在する時に前記弁体を前記初期位置に移動させる位置初期化動作を実行させる制御手段とを具備したことを特徴とする。この構成によれば、位置初期化動作による弁体の移動に対して液状の冷媒が緩衝材として作用するので、弁体が位置規制手段に当たることにより発生する当たり音が低減する。
【0028】また、前記弁本体内に液状の冷媒が存在する時に前記弁体を移動させる動作を実行するように制御手段を構成すると良い(請求項15)。この構成によれば、摺動部分に冷媒と冷凍機油との混合液が入り込みそこに潤滑膜が形成されるので、摺動音が低減する。
【0029】さらに、冷凍サイクルの圧縮機、凝縮器あるいは冷却器に送風する送風ファンの運転中に前記弁体を前記初期位置に移動させる位置初期化動作を実行するように制御手段を構成すると良い(請求項16)。この構成によれば、送風ファンの運転音(例えば風切音)によって弁体と位置規制手段との当たり音がマスキングされる。
【0030】さらにまた、冷凍サイクルの圧縮機、凝縮器あるいは冷却器に送風する送風ファンの運転中に前記弁体を移動させる動作を実行するように制御手段を構成すると良い(請求項17)。この構成によれば、送風ファンの運転音(例えば風切音)によって摺動音がマスキングされる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1には冷蔵庫本体1および冷凍サイクル2の概略的構成が実態的に示されている。この図1において、冷蔵庫本体1は、断熱箱体により構成され、その内部は、断熱仕切壁3により上部の冷蔵室4と下部の冷凍室5とに仕切られている。冷蔵室4内において、その奥部には、仕切壁6により第1の冷却器室7が形成され、その下部には、仕切壁8により野菜室9が形成されている。第1の冷却器室7内の下部には、冷凍サイクル2の冷蔵室用冷却器10が配設されている。仕切壁6の上部には、吹き出し口6aが形成されており、この吹き出し口6a部分に冷蔵室用ファン11(本発明でいう庫内冷却ファンに相当)が配設されている。そして、仕切壁6の下部には、第1の冷却器室7と野菜室9とを連通する吸い込み口6bが形成され、仕切壁8には、冷蔵室4と野菜室9とを連通する連通口8aが形成されている。
【0032】一方、冷凍室5内において、その奥部には、仕切壁12により第2の冷却器室13が形成されていて、その冷却器室13内の下部には、冷凍サイクル2の冷凍室用冷却器14が配設されている。仕切壁12の上部には、吹き出し口12aが形成されていて、この吹き出し口12a部分に冷凍室用ファン15(本発明でいう庫内冷却ファンに相当)が配設されている。そして、仕切壁12の下部には、第2の冷却器室13と冷凍室5とを連通する吸い込み口12bが形成されている。なお、冷蔵庫本体1の下部には、機械室16が形成されていて、この機械室16の奥部には、冷凍サイクル2の圧縮機17およびこの圧縮機17を冷却するための圧縮機冷却用ファン18が配設されている。
【0033】冷凍サイクル2は、冷蔵室用冷却器10、冷凍室用冷却器14および圧縮機17の他に、凝縮器19、切替弁たる電動三方弁20、キャピラリチューブ21aおよび21bを備えている。この場合、圧縮機17の吐出口は、凝縮器19が設けられた冷媒流通パイプ22を介して電動三方弁20の入口に連通され、電動三方弁20の第1の出口は、キャピラリチューブ21a、冷蔵室用冷却器10、連結パイプ23および冷凍室用冷却器14を介して圧縮機17の吸込口に連通されている。そして、電動三方弁20の第2の出口は、キャピラリチューブ21bを介して連結パイプ23の途中部位に連通されている。
【0034】上記のような冷凍サイクル2において、電動三方弁20は、圧縮機17から吐出されて凝縮器18により凝縮液化された冷媒を冷蔵室用冷却器10および冷凍室用冷却器14を介する第1の冷媒流路または冷凍室用冷却器14のみを介する第2の冷媒流路の何れか一方に選択的に流通させるように切り替えるものである。以下の説明おいて、冷媒が第1の冷媒流路に流通するように電動三方弁20が切り替えられている状態を冷蔵室冷却モードと称し、冷媒が第2の冷媒流路に流通するように電動三方弁20が切り替えられている状態を冷凍室冷却モードと称す。
【0035】上記のような構成によれば、圧縮機17の運転状態においては、当該圧縮機17で圧縮された冷媒が凝縮器19で液化された後に電動三方弁20に与えられる。このとき、電動三方弁20が冷凍室冷却モードに切り替えられていた場合には、上記冷媒がキャピラリチューブ21bを介して冷凍室用冷却器14のみに供給されるようになり、その冷凍室用冷却器14で蒸発した後に圧縮機17に戻るようになる。このような状態では、冷凍室用ファン15が動作するようになっている。この冷凍室用ファン15の送風作用により、冷凍室用冷却器14による冷気は、図1中に矢印Fで示すように、第2の冷却器室13から吹き出し口12aを通じて冷凍室5内に供給された後に、吸い込み口12bを通じて冷却器室12へ戻るようになり、これにより冷凍室5内の冷却運転が行われる。
【0036】また、圧縮機17の運転状態において、電動三方弁20が冷蔵室冷却モードに切り替えられていた場合には、圧縮機17から吐出された後に凝縮器19を経て液化された冷媒が、キャピラリチューブ21aを介して冷蔵室用冷却器10および冷凍室用冷却器14にこの順に供給されるようになる。このとき、液冷媒の量は、主に冷蔵室用冷却器10で蒸発した後にここで蒸発しきれなかった比較的少ない液冷媒が冷凍室用冷却器14で蒸発するようになっており、この蒸発後に圧縮機17に戻るようになる。
【0037】このような状態では、冷蔵室用ファン11が動作するようになっている。この冷蔵室用ファン11の送風作用により、冷蔵室用冷却器10による冷気は、図1中に矢印Rで示すように、第1の冷却器室7から吹き出し口6aを通じて冷蔵室4内に供給された後に、連通口8aを通じて野菜室9内に流入し、さらにこの後に吸い込み口6bを通じて冷却器室7へ戻るようになり、これにより冷蔵室4および野菜室9内の冷却運転が行われる。
【0038】図2には、上記冷凍サイクル2を備えた冷蔵庫1の概略的な電気的構成が機能ブロックの組み合わせによって示されている。すなわち、図2において、冷蔵室温度センサ24および冷凍室温度センサ25は、それぞれ冷蔵室4内の温度および冷凍室5内の温度を検出するもので、例えばサーミスタから構成されている。また、冷蔵室用冷却器温度センサ26および冷凍室用冷却器温度センサ27は、それぞれ冷蔵室用冷却器10および冷凍室用冷却器14の温度を検出するもので、例えばサーミスタから構成されている。これらの各温度センサ24、25、26、27は、マイクロコンピュータを主体として構成された制御装置28(本発明でいう制御手段に相当)の入力端子に接続されている。
【0039】制御装置28の出力端子には、圧縮機モータ17aを駆動するためのインバータ29、冷蔵室用ファンモータ11aを駆動するためのインバータ30、冷凍室用ファンモータ15aを駆動するためのインバータ31、圧縮機冷却用ファンモータ18aを駆動するための駆動回路32および電動三方弁20(後述するステッピングモータ)を正転駆動または逆転駆動するための駆動回路33が接続されている。
【0040】制御装置28は、冷蔵室4の温度に対して冷蔵室上限設定温度(例えば5℃)および冷蔵室下限設定温度(例えば2℃)を設定し、冷凍室5の温度に対して冷凍室上限設定温度(例えば−18℃)および冷凍室下限設定温度(例えば−21℃)を設定するようになっている。その上で、制御装置28は、前記各設定温度と各温度センサ24〜27からの入力信号とに基づいて、冷蔵室4および冷凍室5の各温度がそれぞれ前記上下限設定温度範囲内となるように、予め記憶された制御プログラムに従って上記圧縮機モータ17a、冷蔵室用ファンモータ11a、冷蔵室用ファンモータ15a、圧縮機冷却用ファンモータ18aの駆動と電動三方弁20の動作とを制御するようになっている。
【0041】続いて、電動三方弁20について、その縦断面図である図3および底面図である図4を用いて説明する。電動三方弁20は、インナーロータ型のステッピングモータ34と弁部35とを組み合わせて構成されている。ステッピングモータ34の固定子36には円環状に巻回された固定子巻線37が配設されており、その内側には非磁性材料からなる円筒状のケース38が嵌め込まれている。ケース38の上端部はエンドプレート39により気密に封鎖されており、ケース38の下端部には当該ケース38よりもやや径大となる円筒状の弁本体40が装着されている。さらに、この弁本体40の下端部には下方から円板状の弁座41が嵌め込まれプラズマ溶接が施されている。
【0042】ケース38の内部には、カップ状に形成された回転子42がケース38を隔てた状態で固定子巻線37と対向する位置に配設されている。この回転子42は多極着磁されており、その回転子42の軸心部には回転軸43が挿通固定されている。回転軸43の上端部は、圧縮コイルばね44を介した状態でエンドプレート39に設けられた軸受部39aにより支承され、回転軸43の下端部にはジョイント45により当該回転軸43を下方に延長するためのピン46が接続されている。このピン46の下端部は、弁座41の中央部に設けられた軸受部41aにより支承されている。
【0043】また、回転軸43の下端部には前記ジョイント45により弁体47が接続されている。弁体47は、圧縮コイルばね44の付勢力により弁座41に押し付けられた状態となっており、回転子42の回転に伴って弁体47が当該回転子42と一体的に弁座41の上面を摺動しながら回転移動するようになっている。
【0044】弁体47の下端部はピン46を中心とする円環形状をなしており、その円環形状の一部に切欠部47aが設けられている。弁座41には、弁体47の下端面が移動する軌跡上に位置して第1および第2の出口パイプ48および49が設けられており、弁室50内の冷媒は、弁体47の位置に応じて弁穴(ポート)を通して出口パイプ48または49へと流出可能となっている。これら出口パイプ48と49とは、ピン46を中心として90°の角度をなすよう配置されている。また、弁体47の下端面が移動する軌跡よりも外方に位置して入口パイプ51が設けられ、当該入口パイプ51から弁穴を通して弁室50内に冷媒が流入するようになっている。
【0045】弁体47の外周面には切欠部47aの上部に位置して扇状の当て部47bが設けられており、弁座41の上面にはこの当て部47bと当たることで弁体47の回転移動を規制するピン状のストッパ52(本発明でいう位置規制手段に相当)が垂直に固定されている(図4参照)。
【0046】ステッピングモータ34は、4相の巻線構成を有している。図2に示す駆動回路33は、制御装置28からの指令を受けて、固定子巻線37に対し1−2相励磁により例えば30ppsの正転方向あるいは逆転方向の駆動パルスを出力するようになっている。固定子巻線37に駆動パルスが印加されると、回転子42、弁体47などが一体的にそのパルス数に応じた角度だけ正転方向(図4に示す矢印A方向)あるいは逆転方向に回転する。
【0047】この場合、当て部47bがストッパ52に当接した位置を初期位置として、駆動パルス数が0パルスのときには、弁体47の切欠部47aが第1の出口パイプ48の弁穴部分に位置する。この状態では、第2の出口パイプ49が閉鎖され、入口パイプ51から弁室50内に流入した冷媒は第1の出口パイプ48を通して流出する。一方、初期位置に対し正転方向に30パルスの駆動パルスが与えられたときには、弁体47の切欠部47aが第2の出口パイプ49の弁穴部分に位置する。この状態では、第1の出口パイプ48が閉鎖され、入口パイプ51から弁室50内に流入した冷媒は第2の出口パイプ49を通して流出する。また、初期位置に対し正転方向に60パルスの駆動パルスが与えられたときには、出口パイプ48および49がともに弁体47によって閉鎖された状態となる。
【0048】なお、図1に示した冷凍サイクル2において、入口パイプ51は凝縮器19に通じる冷媒流通パイプ22に接続されており、第1、第2の出口パイプ48、49は、それぞれキャピラリチューブ21a、21bに接続されている。
【0049】次に、図5に示す冷蔵庫の運転状態のタイミングチャートを参照しながら、電動三方弁20の静音化(消音化)を図るための当該電動三方弁20の駆動タイミングについて説明する。この図5において、時刻t1から時刻t2までの期間は、圧縮機モータ17aおよびファンモータ11a、15aは運転を停止している(停止モード)。このとき、冷蔵室温度センサ24により検出された冷蔵室4の温度は冷蔵室上限設定温度以下であり、冷凍室温度センサ25により検出された冷凍室5の温度は冷凍室上限設定温度以下となっている。
【0050】この場合には、冷蔵庫から運転音が全く発生しないので、電動三方弁20を切替動作させると、その動作音が使用者にとって耳障りな音として聞こえたり、あるいは異常音として聞こえたりする。従って、制御装置28は、当該停止モードの期間においては電動三方弁20を切替動作させない。
【0051】ところで、電動三方弁20には、イニシャライズと称される動作(本発明でいう位置初期化動作に相当)が必要である。制御装置28は、ステッピングモータ34に対して弁体47(または回転子42)の位置フィードバックがない開ループ制御を行うので、切替動作が繰り返し行われるにつれて弁体47の指令位置と実際の位置とにずれが生じることがある。また、電源投入時や停電(瞬時停電を含む)からの復電時には、弁体47の位置が不明となる。
【0052】そこで、制御装置28は、電源投入時、停電からの復電時、さらに2〜3日に1度の割合で、駆動回路33を介して固定子巻線37に対し、弁体47の位置を初期位置に移動させるための逆転方向の駆動パルスを印加する。この場合、弁体47が初期位置から最も離れた位置にある場合であっても初期位置に復帰できるように十分な数の駆動パルスが印加される。
【0053】このイニシャライズが行われると、弁体47が初期位置に到達した時に当て部47bがストッパ52に当たり、当たり音が発生する。さらに、弁体47が初期位置に到達した後逆転方向の駆動パルスが停止するまでの間にも、弁体47がストッパ52に断続的に当たり続けるため音が発生する。こうした当たり音も使用者にとって異常音として聞こえる場合がある。従って、冷蔵庫から運転音が発生しない停止モードの期間においては、制御装置28は電動三方弁20のイニシャライズを実行しない。
【0054】さて、冷蔵室4の温度が徐々に上昇し、時刻t2において冷蔵室4の温度が冷蔵室上限設定温度を越えると、制御装置28は停止モードから冷蔵室冷却モードへと切り替える。そして、制御装置28は、インバータ29を介して圧縮機モータ17aの駆動を開始し、さらにインバータ30を介して冷蔵室用ファンモータ11aの駆動を開始する。また、制御装置28は、圧縮機モータ17aの駆動とともに、駆動回路32を介して圧縮機冷却用ファンモータ18aの駆動を開始する。
【0055】この場合、圧縮機モータ17aの回転数がある程度上昇し、圧縮機17および凝縮器19による冷媒の十分な圧縮・凝縮過程が確立されるまでの間(時間Ta:例えば10秒〜30秒)は、電動三方弁20に流入する冷媒は気体の状態あるいは気体と液体とが混在した状態となっている。また、冷蔵室用ファンモータ11aは、インバータ30によって徐々に回転数が上昇し、その駆動開始から時間Tb(例えば4秒〜6秒)が経過した後に安定した回転数となる。図5には示さないが、圧縮機冷却用ファンモータ18aについても徐々に回転数が上昇し、例えば上記時間Tbが経過した後に安定した回転数となる。
【0056】そこで、制御装置28は、時刻t2から上記所定の時間TaまたはTbのうち何れか長い時間が経過した後の時刻t3において、電動三方弁20のイニシャライズを実行する。このイニシャライズが終了した状態は、電動三方弁20からの冷媒流出路が第1の出口側へと切り替えられた状態となっている。電動三方弁20をこのようなタイミングでイニシャライズすると、以下の3点において電動三方弁20から発生する音を抑制することが可能となる。
【0057】第1に、電動三方弁20の内部に冷媒が液体の状態で流通するようになった後にイニシャライズが行われるので、弁体47の移動に対して液状の冷媒が緩衝材として作用する。その結果、弁体47の当て部47bがストッパ52に当たる時の勢いが抑えられて当たり音が小さくなる。本願発明者の試験によれば、電動三方弁20から10cmの距離において、従来50〜60dB(A)あった当たり音が40〜50dB(A)程度にまで低減した。
【0058】第2に、圧縮機モータ17aが回転し且つ冷蔵室用ファンモータ11aおよび圧縮機冷却用ファンモータ18aが安定回転数となった後に電動三方弁20のイニシャライズが行われるので、その時発生する当たり音は圧縮機17の運転音と冷蔵室用ファン11や圧縮機冷却用ファン18の運転音(例えば風切音)、つまり暗騒音によってマスキングされ、使用者にとって耳障りな音あるいは異常音として意識されにくくなるという消音効果が得られる。
【0059】第3に、弁体47の下端面と弁座41の上面との摺動面に冷媒と冷凍機油との混合液による潤滑膜が形成されるので、弁体47が移動する際に発生する摺動音が小さくなるとともに、弁体47および弁座41の摩耗を低減できる。これにより、電動三方弁20の信頼性が向上する。
【0060】その後、冷蔵室4が冷却されて時刻t4において冷蔵室4の温度が冷蔵室下限設定温度以下になると、制御装置28は、冷凍室5の温度が冷凍室下限設定温度よりも高いことを条件として、冷蔵室冷却モードから冷凍室冷却モードに切り替える。そして、制御装置28は、冷蔵室用ファンモータ11aを停止し、同時にインバータ31を介して冷凍室用ファンモータ15aの駆動を開始する。
【0061】この場合においても、制御装置28は、ファンモータ15aが安定回転数となった後の時刻t5において、駆動回路33を介して電動三方弁20のステッピングモータ34に対し正転方向の駆動パルスを30パルス印加し、電動三方弁20からの冷媒流出路を第1の出口側から第2の出口側へと切り替える。
【0062】電動三方弁20をこのような切替タイミングで切り替えると、上述したイニシャライズと同様に弁体の摺動音は圧縮機17の運転音と冷凍室用ファン15の運転音(例えば風切音)とによってマスキングされ消音効果を得る。また、弁体47と弁座41との摺動部分に潤滑膜が形成され、弁体47の摺動音が小さくなる静音効果を得るとともに、弁体47および弁座41の摩耗を抑制できる。
【0063】なお、その後の時刻t6において、制御装置28が冷凍室冷却モードから冷蔵室冷却モードに切り替えた時も、制御装置28は同様の切替タイミング(時刻t7)で電動三方弁20のステッピングモータ34に逆転方向の駆動パルスを30パルス印加し、電動三方弁20からの冷媒流出路を第2の出口側から第1の出口側へと切り替える。
【0064】以上のように本実施形態によれば、制御装置28は電動三方弁20の内部に冷媒が液体の状態で流通するようになった後に電動三方弁20をイニシャライズしあるいは切り替えるので、弁体47の移動に対して液状の冷媒が緩衝材として作用し、弁体47とストッパ52との当たり音や弁体47と弁座41との摺動音を小さく抑制できる(静音効果)。
【0065】また、制御装置28は圧縮機モータ17aが回転し、且つファンモータ11aまたは15aおよび圧縮機冷却用ファンモータ18aが安定回転数となった後に電動三方弁20をイニシャライズしあるいは切り替えるので、当たり音や摺動音は圧縮機17の運転音やファン11、15、18の運転音、つまり暗騒音によってマスキングされる(消音効果)。
【0066】こうした静音効果や消音効果の結果、電動三方弁20から発生する音が使用者にとって耳障りな音あるいは異常音として意識されにくくなる。また、電動三方弁20に対し防音対策を施す必要がなくなり、コストを下げることができる。
【0067】なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように構成しても良い。すなわち、制御装置28は、電動三方弁20の内部に冷媒が液体の状態で流通するようになった後は、ファン11、15、18の運転状態に関わらず任意のタイミングで電動三方弁20をイニシャライズしあるいは切り替えても良い。
【0068】また、制御装置28は、ファンモータ11a、15aまたは圧縮機冷却用ファンモータ18aが安定回転数となった後は、電動三方弁20内の冷媒の状態に関わらず任意のタイミングで電動三方弁20をイニシャライズしあるいは切り替えても良い。
【0069】冷凍サイクル2は、冷媒流通経路を切り替えるための電動弁を備えたものであれば上述したものに限られない。また、切替弁は、電動弁であれば上述した電動三方弁に限られず、他の構成をなす電動三方弁、あるいは電動二方弁であっても同様に適用可能である。また、電動弁のモータはステッピングモータに限られない。
【0070】例えばエアコンディショナや製氷機など、弁部が冷凍サイクルの冷媒流路に設けられ、その弁部の弁体がモータによって移動されるように構成された冷凍サイクル用電動弁についても、上述した冷蔵庫と同様な手段によって静音化(消音化)が可能となる。
【0071】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の冷蔵庫および冷凍サイクル用電動弁の制御手段は、電動弁の弁本体内に液状の冷媒が存在している時に弁体を初期位置に移動させる位置初期化動作を行うので、弁体の移動に対して液状の冷媒が緩衝材として作用し、位置初期化動作に伴い発生する当たり音が小さく抑制される静音効果が得られる。
【0072】また、制御手段を、電動弁の弁本体内に液状の冷媒が存在している時に電動弁の切替動作を行うように構成したので、摺動部分に冷媒と冷凍機油との混合液が入り込みそこに潤滑膜が形成されて摺動音が低減する。
【0073】さらに、制御手段を、庫内冷却ファンの運転中または圧縮機冷却用ファンの運転中(送風ファンの運転中)に位置初期化動作あるいは切替動作を行うように構成したので、位置初期化動作に伴い発生する当たり音や切替動作に伴い発生する摺動音が庫内冷却ファンまたは圧縮機冷却用ファン(送風ファン)の運転音によってマスキングされる消音効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年9月27日(1999.9.27)
【代理人】 【識別番号】100071135
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 強
【公開番号】 特開2001−91131(P2001−91131A)
【公開日】 平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願番号】 特願平11−272089