トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F25 冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒ−トポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化




【発明の名称】 冷却システム
【発明者】 【氏名】小原 孝一

【要約】 【課題】冷媒の充填量を自動的に監視しながら安全に運転できる冷却システムを提供する。

【解決手段】ベーパサイクルを用いて発熱の大きい機器(熱負荷)を冷却する冷却システムにおいて、コンプレッサ3で圧縮した第1伝熱媒体である冷媒ガスを、第1熱交換器1で第2伝熱媒体により冷却し、気液混合の2相流体となった冷媒の温度と圧力をそれぞれ温度センサ22と圧力センサ23により検出し、その信号からコントローラ13によりサブクール量を算出し、サブクール量から充填されている冷媒量を算出し冷媒量を安全運転範囲にあることを自動的に監視できるようにし、安全な運転ができるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】第1伝熱媒体となる冷媒ガスをコンプレッサで断熱圧縮し、高温高圧となったガスを、第1熱交換器に導き、冷却源となる第2伝熱媒体との間で熱交換した後、膨張弁に導き自由膨張させ、寒冷な気液2相状態を得て第2熱交換器に導き、その液相部の気化潜熱により冷却目的となる流体を冷却し、ガスとなってコンプレッサに再入力され循環する第1伝熱媒体循環路を具備してなる冷却システムにおいて、第1熱交換器で冷却された冷媒の温度と圧力を検出する手段と該冷媒ガスの圧力−エンタルピ線図からサブクール量を導出する手段と該サブクール量から冷媒充填量を導出する手段を設けてなる冷却システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、航空機、船舶、車両などのベーパサイクルシステムを用いた冷却システムに関する。
【0002】
【従来の技術】航空機搭載電子機器は、小型軽量化が求められ、たとえばレーダ装置などの様に大きな電力を消費するにもかかわらずコンパクトな設計がされる結果、熱負荷となるこれら機器の発熱部(以下熱負荷という)の冷却が問題となり、冷却システムが必要となる。この種の冷却システムには、冷媒ガスを断熱圧縮し、高温高圧になったガスを冷却して液化し、膨張弁で自由膨張(等エンタルピ変化)させ寒冷な気液2相状態を得て、その液相部の気化潜熱を冷却に用いるベーパーサイクルが一般的に用いられる。図3は従来における冷却システムの構成を示している。図3に示す従来の冷却システムは、第1伝熱媒体循環路60、第2伝熱媒体流路50および第3伝熱媒体循環路66の三つの流体流路で構成されている。それぞれの流体流路の間は熱交換器を介して熱の授受が行われる。すなわち、第1伝熱媒体循環路60と第2伝熱媒体流路50は第1熱交換器51を介して、また第1伝熱媒体循環路60と第3伝熱媒体循環路66は第2熱交換器52を介して熱の授受が行われる。
【0003】つぎに各伝熱媒体循環路の主な構成を説明する。第1伝熱媒体循環路60は、冷媒ガス(第1伝熱媒体)例えば代替フロンガスの循環路で、モータ53Aで駆動されるコンプレッサ53、制御弁56、第1熱交換器(コンデンサ)51、受留器67、膨張弁55、第2熱交換器(エバポレータ)52が循環路を構成する管路で接続されている。さらに、コンプレッサ53をバイパスする管路が設けられ制御弁54が介設されている。またコンプレッサ53の出口の管路には流量センサ59、圧力センサ64が、エバポレータ52の出口の管路には温度センサ57、圧力センサ58が介設されている。第3伝熱媒体循環路66は伝熱媒体例えばエチレングリコール混合液(第3伝熱媒体)の循環路で、ポンプ61、第2熱交換器52および熱負荷62が循環路を構成する管路で接続されている。また熱負荷の入口の管路には温度センサ65が介設されている。
【0004】つぎに本冷却システムの作動について説明する。第1伝熱媒体循環路60では、第1伝熱媒体となるガスは、モータ53Aで駆動されるコンプレッサ53で断熱圧縮され、高温高圧となったガスは三方弁である制御弁56を介してコンデンサ51に導かれ、コンデンサ51の対向流路である第2伝熱媒体流路50を流れる第2伝熱媒体(例えばヒートシンクとなる燃料タンクからエンジンに供給される燃料など)との間で熱交換し冷却され、大部分は液化して受留器67に導かれる。この液化したガスは一旦受留器67に溜まり受留器67の下部から液化したガスが抽出されて膨張弁55に導かれ、膨張弁55で自由膨張(等エントロピー変化)し、寒冷な気液2相状態の流体(気液2相流体)となる。この気液2相流体はエバポレータ52に導かれ、エバポレータ52における第1伝熱媒体の対向流路である第3伝熱媒体循環路66を循環している第3伝熱媒体(例えばエチレングリコール混合液)との間で熱交換し、液相部の気化潜熱で第3伝熱媒体を冷却し気化する。一方気化した第1伝熱媒体はコンプレッサ53の入口に入力され再び圧縮されて循環する。第3伝熱媒体循環路66では、ポンプ61により第3伝熱媒体が循環されており、前記のとおりエバポレータ52で冷却された第3伝熱媒体は、熱負荷62に導かれ熱負荷62を冷却して再びポンプ61の入口に戻され循環する。
【0005】温度センサ65で検出する第3伝熱媒体の温度が目標値より低く(高く)なったときにはモータ53Aの回転速度を下降(上昇)させ、コンプレッサ53の入口圧力を高く(低く)することによりエバポレータ52での第1伝熱媒体の流量を減少(増加)させて第3伝熱媒体の温度を上げる(下げる)温度制御がコントローラ63により行われている。
【0006】さらに、システムを安定に作動させるため、第1伝熱媒体循環路60では、コンプレッサ入口の温度センサ57、圧力センサ58の信号を用いてコンプレッサ53に流入する第1伝熱媒体が液状のままで流入しないように膨張弁55の開度を制御する完全ガス化制御がコントローラ63で行われている。
【0007】またコンプレッサ53に流入する第1伝熱媒体の流量がコンプレッサ入口圧力と出口圧力の比(圧縮比)に依存する一定の値を下回るとサージングが発生し不安定になるため流量センサ59によるガス流量、コンプレッサ入口の圧力センサ58、出口の圧力センサ64によるそれぞれの圧力を検出し、コンプレッサ53に流入するガスの流量が一定値以下にならないようにコンプレッサ53をバイパスする管路に介設された制御弁54の開度を制御するコンプレッササージング防止制御がコントローラ63で行われている。
【0008】さらにコンプレッサ53で圧縮された第1伝熱媒体が第2伝熱媒体によりコンデンサ51で過度に冷却されるとガスが液化することにより圧力が下がりすぎ、膨張弁55で必要な寒冷が得られなくなるので、第1伝熱媒体のコンデンサ51の入口での圧力を圧力センサ64で検出し、圧力が所定範囲に入るように三方弁56によりコンデンサ51をバイパスする第1伝熱媒体の量を調節するコンデンサ圧力の維持制御も前記コントローラ63で行われている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の冷却システムは以上のように構成されているが、従来の冷却システムでは、冷媒量は受留器に内設されるか併設されたサイトグラスにより液面を目視して確認し冷媒量を管理する必要があり、システムの設置場所に制限が生じている。また定期的に冷媒量を確認する作業が必要となる。さらにシステムの一部からの冷媒の漏れなどの異常による冷媒量の減少を検知できない恐れが生じる。本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、システム内に充填された冷媒量と密接に関係するサブクール量に着目し自動的に冷媒量を監視でき安全に運転できる冷却システムを提供することを目的とする。
【0010】
【問題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明の冷却システムは、第1伝熱媒体となる冷媒ガスをコンプレッサで断熱圧縮し、高温高圧となったガスを、第1熱交換器に導き、冷却源となる第2伝熱媒体との間で熱交換した後、膨張弁に導き自由膨張させ、寒冷な気液2相状態を得て第2熱交換器に導き、その液相部の気化潜熱により冷却目的となる流体を冷却し、ガスとなってコンプレッサに再入力され循環する第1伝熱媒体循環路を具備してなる冷却システムにおいて、第1熱交換器で冷却された冷媒の温度と圧力を検出する手段と該冷媒ガスの圧力−エンタルピ線図からサブクール量(飽和温度マイナス冷媒温度)を導出する手段と該サブクール量から冷媒充填量を導出する手段を設け、サブクール量から冷媒の充填量を導き冷媒充填量を自動的に監視し得るようにしたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明が提供する冷却システムの実施例を示す構成図である。図1に示す本発明の冷却システムの冷却に係わる流路は、第1伝熱媒体循環路10、第3伝熱媒体循環路17、第2伝熱媒体流路20の三つの流体流路で構成されている。それぞれの流体流路の間は熱交換器を介して熱の授受が行われる。すなわち、第1伝熱媒体循環路10と第2伝熱媒体流路20は第1熱交換器1を介して、また第1伝熱媒体循環路10と第3伝熱媒体循環路17は第2熱交換器2を介して熱の授受が行われる。
【0012】つぎに各伝熱媒体循環路の主な構成を説明する。第1伝熱媒体循環路10は、冷媒ガス(第1伝熱媒体)例えば代替フロンガスの循環路で、モータ3Aで駆動されるコンプレッサ3、制御弁6、第1熱交換器(コンデンサ)1、受留器21、膨張弁5、第2熱交換器(エバポレータ)2が循環路を構成する管路で接続されている。さらに、コンプレッサ3をバイパスする管路が設けられ制御弁4が介設されている。またコンプレッサ3の出口の管路には流量センサ9、圧力センサ14が、エバポレータ2の出口の管路には温度センサ7、圧力センサ8が介設されている。さらに、第1熱交換器の出口の管路に温度センサ22、圧力センサ23が介設されている。第3伝熱媒体循環路17は伝熱媒体例えばエチレングリコール混合液(第3伝熱媒体)の循環路で、ポンプ11、第2熱交換器2および熱負荷12が循環路を構成する管路で接続されている。また熱負荷の入口の管路には温度センサ15が介設されている。
【0013】つぎに本冷却システムの作動について説明する。第1伝熱媒体循環路10では、第1伝熱媒体となるガスは、モータ3Aで駆動されるコンプレッサ3で断熱圧縮され、高温高圧となったガスは三方弁である制御弁6を介してコンデンサ1に導かれ、コンデンサ1の対向流路である第2伝熱媒体流路20を流れる第2伝熱媒体(例えばヒートシンクとなる燃料タンクからエンジンに供給される燃料など)との間で熱交換し冷却され、大部分は液化して受留器21に導かれる。この液化したガスは一旦受留器21に溜まり該受留器の下部から液化したガスが抽出されて膨張弁5に導かれ、膨張弁5で自由膨張(等エントロピー変化)し、寒冷な気液2相状態の流体(気液2相流体)となる。この気液2相流体はエバポレータ2に導かれ、エバポレータ2における第1伝熱媒体の対向流路である第3伝熱媒体循環路17を循環している第3伝熱媒体(例えばエチレングリコール混合液)との間で熱交換し、液相部の気化潜熱で第3伝熱媒体を冷却し気化する。一方気化した第1伝熱媒体はコンプレッサ3の入口に入力され再び圧縮されて循環する。
【0014】第3伝熱媒体循環路17では、ポンプ11により第3伝熱媒体が循環されており、前記のとおりエバポレータ2で冷却された第3伝熱媒体は、熱負荷12に導かれ熱負荷12を冷却して再びポンプ11の入口に戻され循環する。温度センサ15で検出する第3伝熱媒体の温度が目標値より低く(高く)なったときにはモータ3Aの回転速度を下降(上昇)させ、コンプレッサ3の入口圧力を高く(低く)することによりエバポレータ2での第1伝熱媒体の流量を減少(増加)させて第3伝熱媒体の温度を上げる(下げる)温度制御がコントローラ13により行われている。
【0015】さらに、システムを安定に作動させるため、第1伝熱媒体循環路10では、コンプレッサ入口の温度センサ7、圧力センサ8の信号を用いてコンプレッサ3に流入する第1伝熱媒体が液状のままで流入しないように膨張弁5の開度を制御する完全ガス化制御がコントローラ13で行われている。
【0016】またコンプレッサ3に流入する第1伝熱媒体の流量がコンプレッサ入口圧力と出口圧力の比(圧縮比)に依存する一定の値を下回るとサージングが発生し不安定になるため流量センサ9によるガス流量、コンプレッサ入口の圧力センサ8、出口の圧力センサ14によるそれぞれの圧力を検出し、コンプレッサ3に流入するガスの流量が一定値以下にならないようにコンプレッサ3をバイパスする管路に介設された制御弁4の開度を制御するコンプレッササージング防止制御がコントローラ13で行われている。
【0017】さらにコンプレッサ3で圧縮された第1伝熱媒体が第2伝熱媒体によりコンデンサ1で過度に冷却されるとガスが液化することにより圧力が下がりすぎ、膨張弁5で必要な寒冷が得られなくなるので、第1伝熱媒体のコンデンサ1の入口での圧力を圧力センサ14で検出し、圧力が所定範囲に入るように三方弁6によりコンデンサ1をバイパスする第1伝熱媒体の量を調節するコンデンサ圧力の維持制御も前記コントローラ13で行われている。
【0018】つぎに、冷媒ガスを用いる本冷却システムの冷凍サイクルを、図2の圧力(P)−エンタルピ(h)線図で説明する。■の状態の冷媒ガスをコンプレッサ3で圧縮して高温高圧の■の状態にする。この状態の冷媒は第1熱交換器1で放熱して(冷却されて)■の状態となり液化し受留器21に溜まる。液化した冷媒は膨張弁5で自由膨張され低温低圧の気液2相状態の■となり、第2熱交換器2で第3伝熱媒体循環路17を流れる第3伝熱媒体を冷却し熱をうばって気化し、■の状態に戻る。また図2のAが冷媒ガスの飽和蒸気線、Bが飽和液線である。■−■の変化は放熱でa、bはそれぞれ飽和蒸気温度、飽和液温度であるがa−b間は等温変化であるのでそれぞれ等しい温度となる。b−■を過冷却度(サブクール量)という。
【0019】さらに、第1伝熱媒体循環路の第1熱交換器の出口に介設された温度センサ22と圧力センサ23により、第1熱交換器1で冷却され気液2相状態となった第1伝熱媒体である冷媒の温度と圧力が検出され、コントローラ13に伝送される。コントローラ13では検出した圧力と温度から次式によりサブクール量を算出する。
サブクール量=(検出した圧力での冷媒の飽和温度)−(冷媒の温度)
なお、冷媒の飽和温度は、使用する冷媒のP−h線図から求められるので使用する冷媒の圧力−飽和温度データをコントローラにあらかじめ蓄積しておく。さらに、冷却システムの構成が決まるとサブクール量とシステムに充填されている冷媒量が決まるので、サブクール量と冷媒充填量の関係もあらかじめ実験で求めてコントローラ13にそのデータを蓄積しておく。冷媒の圧力と温度を計測し、前記蓄積データを参照することにより、サブクール量を計算して充填されている冷媒量を求めることができる。これにより、従来図3の受留器67に併設されているサイトゲージ67Aにより目視で確認していた冷媒量を目視によらず、自動的に監視することができる。また、冷媒量が必要限界以下になる恐れが生じた場合にはコントローラ13がシステムに警報を発することができる。さらに目視の必要が無くなることからシステムの設置の制約が無くなる。なお、図1の例では、制御弁6が第1伝熱媒体循環路で第1熱交換器1を通る管路とバイパス管路に介設されているが、第2伝熱媒体循環路20の第1熱交換器1を通る管路とそのバイパス管路に介設しても良い。また制御弁6は三方弁を用いているが、2個の制御弁に置き換えることもできる。
【0020】
【発明の効果】本発明の冷却システムは上記のように構成されており、システム内に充填されている冷媒量と密接に関係するサブクール量に着目し、自動的に冷媒量を監視でき、冷媒の充填量が安全運転領域を越えて低下した場合には自動的に警報を発することもでき、安全に運転できるる冷却システムが実現できる。従来の冷却システムでは、冷媒量は受留器に内設されるか併設されたサイトグラスにより液面を目視して確認し冷媒量を管理する必要があったがその必要がなくなり、システムの設置場所の制限も無くなり、定期的に冷媒量を確認する作業が不要となった。またシステムの一部からの冷媒の漏れなどの異常による冷媒量の減少を検知できない恐れが無くなり、安全な運転が可能な冷却システムを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【出願日】 平成11年10月6日(1999.10.6)
【代理人】 【識別番号】100097892
【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 義明
【公開番号】 特開2001−108336(P2001−108336A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−285376