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【発明の名称】 ガスタービン燃焼装置
【発明者】 【氏名】繁田 政治

【氏名】渡辺 泰行

【氏名】森脇 文治

【氏名】森友 嘉一

【氏名】竹原 勲

【氏名】笹田 哲男

【氏名】伊藤 和行

【氏名】小林 成喜

【要約】 【課題】予混合器における圧力損失が小さく、短い予混合距離で燃料と空気を充分混合することができ、また、予混合器の内部で発火したり、火炎が存在する場合であっても、この火炎が速やかに予混合器外に排出され、燃焼器の損傷を充分防止することが可能なガスタービン燃焼装置を提供する。

【解決手段】燃焼室2の上流側に空気と燃料を混合させる予混合器4を備え、この予混合器が、燃焼空気および混合ガスが流通するガス流路20と、このガス流路内に配置された燃料ノズル5とを備え、前記燃料ノズルから噴射された燃料が前記予混合器内で空気と混合され、前記燃焼室2に供給されるように形成されているガスタービン燃焼装置において、前記燃料ノズル5の燃料噴射口より上流側で、かつ前記予混合器のガス流路壁面に、予混合器内を流通する空気の流れを、前記燃料ノズルの燃料噴射口の方向に変化させる空気流通方向変更手段40を設けるとともに、前記燃料ノズルの燃料噴射口より下流側に、前記ガス流路の断面積を狭めるガス流路絞り手段30を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃焼室の上流側に空気と燃料を混合させる予混合器を備え、前記予混合器が、燃焼空気および混合ガスが流通するガス流路と、該ガス流路内に配置された燃料ノズルとを備え、前記燃料ノズルから噴射された燃料が前記予混合器内で空気と混合され、前記燃焼室に供給されるように形成されているガスタービン燃焼装置において、前記燃料ノズルの燃料噴射口より上流側で、かつ前記予混合器のガス流路壁面に、予混合器内を流通する空気の流れを、前記燃料ノズルの燃料噴射口の方向に変化させる空気流通方向変更手段を設けるとともに、前記燃料ノズルの燃料噴射口より下流側に、前記ガス流路の断面積を狭めるガス流路絞り手段を設けたことを特徴とするガスタービン燃焼装置。
【請求項2】 燃焼室の上流側中央部に拡散燃焼を行う拡散燃焼用燃料ノズル、あるいは拡散燃焼と予混合燃焼の両方が可能な拡散/予混合燃焼併用燃料ノズルが配置されるとともに、その拡散燃焼用燃料ノズルあるいは拡散/予混合燃焼併用燃料ノズルの周囲に空気と燃料を混合させる複数個の予混合器が配置され、前記それぞれの予混合器が、燃焼空気および混合ガスが流通するガス流路と、該ガス流路内に配置された予混合燃料ノズルとを備え、前記予混合燃料ノズルから噴射された燃料が前記予混合器内で空気と混合され、前記燃焼室に供給されるように形成されているガスタービン燃焼装置において、前記予混合器の拡散燃焼用燃料ノズルあるいは拡散/予混合燃焼併用燃料ノズル側のガス流路内壁面で、かつ予混合燃料ノズルの燃料噴射口より上流側の内壁面に、ガス流路内を流通する空気の流れを、前記予混合燃料ノズルの燃料噴射口の方向に変化させる空気流通方向変更手段を設け、かつ前記燃料ノズルの燃料噴射口より下流側に、前記ガス流路の断面積を狭めるガス流路絞り手段を設けたことを特徴とするガスタービン燃焼装置。
【請求項3】 前記空気流通方向変更手段が、前記予混合器の空気流路壁面の一部に流通路内に突出した突起物にて形成されてなる請求項1または2記載のガスタービン燃焼装置。
【請求項4】 前記突起物が、空気の流通方向に流線形をなすように形成されるとともに、ガス流路壁面と一体に形成されたものである請求項3記載のガスタービン燃焼装置。
【請求項5】 前記ガス流路絞り手段が、前記予混合器の空気流路壁面に対しその全周を絞るように全周突起物にて形成されたものである請求項1,2,3または4記載のガスタービン燃焼装置。
【請求項6】 前記予混合器の流路断面積を狭める全周突起物が、空気の流通方向に流線形をなすように形成されるとともに、前記ガス流路の壁面と一体に形成されたものである請求項5記載のガスタービン燃焼装置。
【請求項7】 前記予混合器の流路断面積を狭める全周突起物と前記空気の流れ方向を変更させる突起物との突出高さが、両者ほぼ同一に形成されるとともに、両者が空気の流れ方向に連続するように形成されたものである請求項5または6記載のガスタービン燃焼装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスタービン燃焼装置に係わり、特に燃焼室の上流側に空気と燃料を混合させる予混合器を備え、燃料ノズルから噴射された燃料が前記予混合器内で空気と混合され、燃焼室に供給されるように形成されているガスタービン燃焼装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガスタービン機関で燃料を燃焼させる際に排出される窒素酸化物(NOx)の排出量は、予混合燃焼,すなわち空気と燃料を予混合器内で混合してから燃焼室に供給して燃焼させる予混合燃焼とすると、燃料と空気が混合しつつ燃焼する拡散燃焼に比べて大幅に低減することができる。したがって、近年のNOx排出規制に対応するため、この予混合燃焼を採用するガスタービン機関が増加してきている。
【0003】一方、この予混合燃焼は、拡散燃焼に比べて安定燃焼できる燃空比(燃料と空気の重量割合)や流速などの条件範囲が狭い特性がある。このため、ガスタービン機関でこの条件を満足する予混合燃焼を実現するための燃焼器構造、およびガスタービン機関の制御方法などに多くの提案がなされているが、ここでは、本発明に最も関係する予混合器について記載する。
【0004】予混合燃焼で排出NOxを効率良く低減するためには、燃料と空気の混合方法を均一にする必要がある。また、予混合燃焼においては、予混合器内に火炎が逆火すると燃焼器の損傷に至る場合があるので、逆火を防止する構造とする必要がある。
【0005】このため、燃料と空気の均一混合や逆火防止を主要な目的にして、予混合方法およびこれを実現する手段である予混合器に関して提案がなされている。これらは、例えば、特公平5−20644公報、特開平4−187909公報、特開平6−272862公報、特開平6−241457公報、特開平6−2848公報、特開平9−303776公報などに開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】予混合器は燃焼室の上流側に設けられ、燃料と空気を混合させるものであるが、ガスタービン燃焼器に用いる場合には幾つかの要件を満足する必要がある。例えば、燃料と空気との混合気体である予混合気を燃焼させる予混合燃焼においては、一般的には燃焼領域に供給される予混合気の濃度分布が均一であるほどNOxが低減する。したがって、均一な濃度分布を達成するために空気に旋回を与えたり、予混合器の長さを長くすることが行われる。しかし、これらの方法を過度にすると、予混合器での圧力損失が大きくなり、逆に特性低下を招くことになることから、ガスタービン燃焼器に許容される圧力損失範囲を考慮して旋回強さや予混合器長さを決定する必要がある。したがって、できる限り短い予混合距離で燃料と空気を混合できるのが望ましい。
【0007】さらに、予混合器に必要な特性として、燃焼領域から火炎が予混合器内に逆流する逆火を防止することが重要である。このため、予混合器出口の流路を狭めて燃焼領域への予混合気体の噴出流速を大きくすることが行われる。一方、予混合器内の空気流速の大きな領域で燃料と空気を混合させると混合特性が悪くなるので、燃料と空気の混合開始領域の空気流速は、燃焼領域への予混合気体の噴出流速よりも小さいのが望ましい。
【0008】以上のように予混合器出口の流路を狭めて燃焼領域への予混合気体の噴出流速を大きくする等の施策を講じた予混合器であっても、何らかの原因で予混合器内で発火する場合がある。例えば、燃料系統あるいは空気系統に発火温度の低い可燃物が混入すると、ガスタービンの圧縮機から燃焼器に流入する空気温度は、通常300〜500℃程度の高温になっているので、着火に至る可能性は充分にある。
【0009】また、予混合器内でこのような着火が生じると局所的な圧力変動を誘起し、これが局所的な流速変動となって火炎を予混合器内部へ引き込む可能性がある。このような現象が発生し、さらに予混合気体が予混合器内部で継続して燃焼する事態になると燃焼器を損傷する場合が生じ、ガスタービンを長期間安定に運転することができなくなる恐れがある。
【0010】本発明はこれに鑑みなされたもので、その目的とするところは、予混合器における圧力損失が小さく、短い予混合距離で燃料と空気を充分混合することができ、また、予混合器の内部で発火したり、火炎が存在する場合であっても、この火炎が速やかに予混合器外に排出され、燃焼器の損傷を充分防止することが可能なこの種のガスタービン燃焼装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、燃焼室の上流側に空気と燃料を混合させる予混合器を備え、この予混合器が、燃焼空気および混合ガスが流通するガス流路と、このガス流路内に配置された燃料ノズルとを備え、前記燃料ノズルから噴射された燃料が前記予混合器内で空気と混合され、前記燃焼室に供給されるように形成されているガスタービン燃焼装置において、前記燃料ノズルの燃料噴射口より上流側で、かつ前記予混合器のガス流路壁面に、予混合器内を流通する空気の流れを、前記燃料ノズルの燃料噴射口の方向に変化させる空気流通方向変更手段を設けるとともに、前記燃料ノズルの燃料噴射口より下流側に、前記ガス流路の断面積を狭めるガス流路絞り手段を設け所期の目的を達成するようにしたものである。
【0012】また本発明は、燃焼室の上流側中央部に拡散燃焼を行う拡散燃焼用燃料ノズル、あるいは拡散燃焼と予混合燃焼の両方が可能な拡散/予混合燃焼併用燃料ノズルが配置されるとともに、その拡散燃焼用燃料ノズルあるいは拡散/予混合燃焼併用燃料ノズルの周囲に空気と燃料を混合させる複数個の予混合器が配置され、前記それぞれの予混合器が、燃焼空気および混合ガスが流通するガス流路と、このガス流路内に配置された予混合燃料ノズルとを備え、前記予混合燃料ノズルから噴射された燃料が前記予混合器内で空気と混合され、前記燃焼室に供給されるように形成されているガスタービン燃焼装置において、前記予混合器の拡散燃焼用燃料ノズルあるいは拡散/予混合燃焼併用燃料ノズル側のガス流路内壁面で、かつ予混合燃料ノズルの燃料噴射口より上流側の内壁面に、ガス流路内を流通する空気の流れを、前記予混合燃料ノズルの燃料噴射口の方向に変化させる空気流通方向変更手段を設けるとともに、前記燃料ノズルの燃料噴射口より下流側に、前記ガス流路の断面積を狭めるガス流路絞り手段を設けるようにしたものである。
【0013】また、この場合、前記空気流通方向変更手段を、前記予混合器の空気流路壁面の一部に流通路内に突出した突起物にて形成するようにしたものである。また、前記突起物を、空気の流通方向に流線形をなすように形成するとともに、ガス流路壁面と一体に形成するようにしたものである。また、前記流路絞り手段を、前記予混合器の空気流路壁面に対しその全周を絞るように全周突起物にて形成するようにしたものである。
【0014】また、前記予混合器の流路断面積を狭める全周突起物を、空気の流通方向に流線形をなすように形成するとともに、前記ガス流路壁面と一体に形成するようにしたものである。また、前記全周突起物と前記空気の流れ方向を変更させる突起物との突出高さを、両者ほぼ同一に形成するとともに、両者を空気の流れ方向に連続するように形成したものである。
【0015】すなわちこのように形成されたガスタービン燃焼装置であると、燃料ノズルの燃料噴射口より上流側のガス流路壁面に、予混合器内を流通する空気の流れを、燃料ノズルの燃料噴射口の方向に変化させる空気流通方向変更手段が設けられ、また燃料ノズルの燃料噴射口より下流側には、ガス流路の断面積を狭めるガス流路絞り手段が設けられていることから、予混合器のガス流路内に流入した空気は、空気流通方向変更手段によりその流れ方向が変更され、すなわち予混合器流入口での流れが燃料ノズル側に向かう流れ,すなわちガス流路の長手方向とは角度を持った空気の流れができるので、この燃料ノズルの近傍には空気流の乱れが生じ、燃料ノズルの燃料噴射口(ノズル噴孔)から噴出された燃料は比較的短い距離で混合が促進する。
【0016】また、この燃料ノズルの噴孔の下流側には、ガス流路の流路断面積を狭める絞り手段が設けられているため、何らかの原因により予混合器内で発火したとしても、燃料ノズル噴孔から噴射される燃料は空気と混合した後に着火することになるから、予混合気体が着火できる領域では流速が大きくなっており、火炎は予混合器上流に伝播できない。また、仮に予混合気体が絞り部に流入する以前に着火したとしても、着火した火炎は壁面に当たって冷却されるから、火炎を安定に保持できず、速やかに予混合器外に排出され、したがって、このような構成であると、予混合器における圧力損失が小さく、短い予混合距離で燃料と空気を充分混合することができ、また、予混合器の内部で発火したり、火炎が存在する場合であっても、この火炎が速やかに予混合器外に排出され、燃焼器の損傷を充分防止することができるのである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下図示した実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1にはそのガスタービン燃焼装置が断面で示されている。1がガスタービン燃焼器であり、2が燃焼室、3が拡散燃焼用燃料ノズル、4が予混合器、5が予混合燃料ノズルである。なお、60は燃焼用の空気を圧縮する空気圧縮機であり、また61は燃焼器の燃焼ガスにより駆動されるガスタービンである。
【0018】ガスタービン燃焼器1は、拡散燃焼用の燃料10を燃焼室2に噴射する燃料ノズル3を有する拡散バーナ7と、予混合燃焼用の燃料11を予混合器4に噴射する燃料ノズル5を有する予混合バーナ8を備えている。すなわち、燃焼室2の上流側中央部には、拡散燃焼を行う拡散燃焼用燃料ノズル3が配置され、その拡散燃焼用燃料ノズルの周囲に空気と燃料を混合させる複数個の予混合器4が配置されている。
【0019】それぞれの予混合器は、燃焼空気および混合ガスが流通するガス流路と、ガス流路内に配置された予混合燃料ノズル5とを備え、予混合燃料ノズルから噴射された燃料が前記予混合器内で空気と混合され、前記燃焼室に供給されるように形成されている。
【0020】運転に際しては、まず燃焼用空気12は、空気圧縮機60から燃焼器1に供給され、拡散バーナ7側と予混合燃焼バーナ8側とに分岐されて供給される。拡散バーナ7側では、この燃焼用空気12と燃料ノズル3からの燃料とが旋回器6により旋回撹拌され、燃焼室2内に燃焼ガスの循環渦を形成し、安定な拡散火炎となる。一方、予混合器4側に流入した燃焼用空気12は、燃料ノズル5から噴射された燃料と混合され、混合後に燃焼室2に噴射されて燃焼する。なお、予混合器4の出口には火炎を保つための環状の保炎器9が配置されている。
【0021】図2に、図1のガスタービン燃焼器を燃焼ガスの流れの下流側から見た図が示されている。ただし、この図2では、説明のため、図1の環状の保炎器9は記載していない。予混合器4は円筒状の空気流路(ガス流路)20を有し、この空気流路20には円周状に複数本の燃料ノズル5が配置されている。
【0022】また、図1の(b)に、予混合器4の軸方向の断面が拡大して示されている。この予混合器4には、燃料ノズル5の燃料噴射口(燃料噴孔)21より上流側で、かつ予混合器のガス流路壁面に、空気の流れ方向を変える空気流通方向変更手段,すなわちガス流路20内を流通する空気の流れを燃料ノズルの燃料噴孔21の方向に変える突起物40が設けられている。
【0023】突起物40は、ガス流路壁面の一部に流路内に突出するように形成され、かつ空気の流通方向に流線形をなすように形成されている。なお、この突起物40のガス流路周方向位置は、この予混合器の場合、入口部50で空気12が反転して流入するリターンフロー構造になっていることから、このような場合には、突起物40は拡散バーナ7側のガス流路壁面に設けるのが良いようである。またこの突起物40は、ガス流路壁に予め形作られた突起物を固着するようにしてもよいが、ガス流路壁面と一体に形成するようにすると製作上良好である。
【0024】このような構成で、流入燃焼空気12は、燃料ノズル5の予混合器入口部50付近の領域では、円筒状空気流路20の内周側方向となるが、予混合器入口部50から下流側では、空気流の一部は突起物40に衝突して外周側に向かう流れ,すなわちノズルの燃料噴孔21に向かう流れとなる。この結果、燃料ノズル5燃料噴孔の近傍には、流れの乱れが生じる。
【0025】また、燃料ノズル5の噴孔21の直ぐ下流側には予混合器4の円筒状空気流路20の流路断面積を狭めるガス流路絞り手段(絞り構造)30、31が設けられている。この絞り構造30、31は、空気流路壁面に対しその全周を絞るように全周突起物にて形成され、またその端部は、空気の流通方向に流線形をなすように形成されている。勿論、この突起物もガス流路壁面と一体に形成しても良いし、別体に製造し後で固着するようにしてもよい。
【0026】なお、絞り構造の全体形状は特には限定しないが、絞り構造による流速の増加は10%以上とするのが望ましい。流速の上限は、絞り構造による圧力損失、あるいは、予混合気体が燃焼室に供給される噴出流速が吹き消えや燃焼振動等の予混合燃焼特性に及ぼす影響により決定される。
【0027】また、燃料噴孔から絞り構造までの距離は、予混合器形状、予混合気の燃空比および流速、等により有効範囲があり、一概には決められないが、概略20〜120mmの範囲に設定するのが望ましい。この距離が20mm以下であると、燃料ノズル噴孔から燃料は空気流速の大きい領域に噴出されることになるので、燃料と空気の混合特性は悪化する。一方、この距離が120mm以上であると、燃料ノズル噴孔と絞り構造の間に火炎が保持される可能性が大きくなる。
【0028】このような空気流に対し、燃料ノズルの噴孔21から噴射された燃料は、燃料ノズル5近傍に生じた流れの乱れによって混合促進され、絞り構造30、31部に流入する。絞り構造30、31により燃料と空気の混合気体の流速は加速されるが、混合状態が大きく損なわれることはなく、絞り構造30、31の設置による排出NOxの増加は小さい。
【0029】ここで、何らかの原因で予混合器4内で発火した場合を想定すると、予混合気体に着火した火炎は、絞り構造30、31より下流側では流速が大きくなっているので、予混合器4外へ排出される。燃料噴孔21から絞り構造30、31の間で着火した場合であっても、本実施例では噴孔21の直ぐ下流側に絞り構造30、31があるので、火炎は絞り構造の壁面に衝突して冷却され、火炎はこの間に安定に存在できず、したがって予混合器4の外,すなわち燃焼室に速やかに排出される。
【0030】本実施例によれば、円筒状空気流路を有する予混合器において、燃料と空気の混合特性を大きく損なわずに、何らかの原因で予混合器内で発火した場合においても、火炎を速やかに予混合器外へ排出でき、したがって、NOxの増大を抑制しつつ、燃焼器の損傷を防止できる効果がある。
【0031】図5、図6および図7には、本発明の他の実施例が示されている。前述した図1(b)と同様に、予混合器4の軸方向の断面を示し、空気の流れ12の一部あるいは全体を予混合器4の半径方向に変化させる手段と絞り構造30、31の関係を示している。
【0032】まず図5は、予混合器4の流路断面積を狭める絞り構造30、31を円筒状空気流路20の内外周壁に設け、この内外周壁の絞り構造30、31の位置を空気の流れ方向にずらしたものである。すなわち、予混合器の流路断面積を狭める全周突起物と前記空気の流れ方向を変更させる突起物との突出高さが、両者ほぼ同じように形成され、かつ両者が空気の流れ方向に連続するように形成されているのである。
【0033】このような構成であると、絞り構造の内、上流側に配置された絞り構造31により、前記空気12の流れの一部あるいは全体を燃料ノズル5の先端付近でより半径方向に変化させることができる。したがって、燃料ノズル5の噴孔21に近い領域で燃料ノズル5近傍の流れの乱れを増大でき、燃料との混合を促進できる。本実施例によれば、燃料ノズル近傍の空気の乱れを増大できるので、空気と燃料との混合を促進できる効果がある。
【0034】図6および図7は、図1のリターンフロー構造の予混合器に対して、直進流で空気12が予混合器4に流入する場合の実施例が示されている。いずれの場合も、予混合器4の内周側に設けた突起40によって、空気12の流れの一部あるいは全体が予混合器4の半径方向に変化する。ここで、図6と図7の違いは、突起40が図6では予混合器4の入口部に設けられ、図7では燃料ノズル5の噴孔21から若干上流側に設けられている点である。勿論、いずれの実施例においても、突起40は、予混合器の外周側に設けるようにしても良い。本実施例によれば、直進流で空気が予混合器に流入する場合でも燃料ノズル近傍の空気の乱れを増大できるので、空気と燃料との混合を促進できる効果がある。
【0035】図3および図4に、本発明のもう一つの実施例が示されている。本実施例においては、拡散燃料ノズル3から燃料を噴出し、旋回器6で旋回を与えた空気と混合させて燃焼させる拡散バーナ7を燃焼器1の中心に置き、周囲に8本のダクト状の予混合器4を配置して、燃焼室2に噴出した予混合気体を燃焼させる。ただし、ダクト状予混合器4の本数については限定されない。また、拡散バ−ナ7は拡散燃焼と予混合燃焼の両方が可能な拡散/予混合燃焼併用バーナであってもよい。
【0036】燃料ノズル5は、ダクト状予混合器4の空気流路20に各2本設けられているが、この本数についても限定されない。ダクト状予混合器4の入口部50には突起40が設けられる。空気12の流れの一部はこの突起40により予混合器4の半径方向に向きが変えられる。燃料噴孔21の直ぐ下流側には絞り構造30、31が設置されている。
【0037】これらの構成により、図1の実施例と同様に、燃料ノズル近傍に生じる流れの乱れによって混合が促進され、また、何らかの原因によりダクト状予混合器4内で発火しても火炎は速やかに予混合器4外に排出される。本実施例においても、図1、図5、図6、図7に示した予混合器構造のいずれも適用可能である。
【0038】本実施例によれば、ダクト状予混合器を用いた燃焼器においても、燃料と空気の混合特性を大きく損なわずに、何らかの原因で予混合器内で発火した場合においても、火炎を速やかに予混合器外へ排出できる。したがって、NOxの増大を抑制しつつ、燃焼器の損傷を防止できる効果がある。
【0039】以上説明してきたようにこのように形成されたガスタービン燃焼器であると、燃料ノズルの燃料噴射口より上流側のガス流路壁面に、予混合器内を流通する空気の流れを、燃料ノズルの燃料噴射口の方向に変化させる空気流通方向変更手段が設けられ、また燃料ノズルの燃料噴射口より下流側には、ガス流路の断面積を狭めるガス流路絞り手段が設けられていることから、予混合器のガス流路内に流入した空気の一部は、燃料ノズル側に向かう流れとなり,すなわち燃料ノズルの近傍には空気流の乱れが生じ、燃料ノズルの燃料噴射口(ノズル噴孔)から噴出された燃料は比較的短い距離で混合が促進し、また、この燃料ノズルの噴孔の下流側には、ガス流路の流路断面積を狭める絞り手段が設けられているため、何らかの原因により予混合器内で発火したとしても、燃料ノズル噴孔から噴射される燃料は空気と混合した後に着火することになるから、予混合気体が着火できる領域では流速が大きくなっており、火炎は予混合器上流に伝播できないし、また、仮に予混合気体が絞り部に流入する以前に着火したとしても、着火した火炎は壁面に当たって冷却されるから、火炎を安定に保持できず、速やかに予混合器外に排出され、したがって、短い予混合距離で燃料と空気を充分混合することができ、また、予混合器の内部で発火したり、火炎が存在する場合であっても、この火炎が速やかに予混合器外に排出され、燃焼器の損傷を防止することができるのである。
【0040】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれば、予混合器における圧力損失が小さく、短い予混合距離で燃料と空気を充分混合することができ、また、予混合器の内部で発火したり、火炎が存在する場合であっても、この火炎が速やかに予混合器外に排出され、燃焼器の損傷を充分防止することが可能なこの種のガスタービン燃焼装置を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成11年6月30日(1999.6.30)
【代理人】 【識別番号】100061893
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 明夫 (外1名)
【公開番号】 特開2001−12740(P2001−12740A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−185176