トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F23 燃焼装置;燃焼方法




【発明の名称】 流動床式廃棄物燃焼装置
【発明者】 【氏名】須田 俊之

【氏名】藤森 俊郎

【要約】 【課題】流動床式廃棄物燃焼装置の燃焼排ガスのダイオキシン再合成量の低減を図る。

【解決手段】燃焼炉1A内で加熱されて流動化している流動床3に廃棄物5を投入して焼却する流動床式廃棄物燃焼装置1であって、燃焼炉1Aから排出される燃焼排ガス7と燃焼炉1A内のフリーボード部1bに供給する二次燃焼空気16とをハニカム状セラミックス製の蓄熱体13を有する回転蓄熱式熱交換器9を介して熱交換し、二次燃焼空気16を加熱すとともに、燃焼排ガス7を急速冷却する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃焼炉内で加熱されて流動化している流動床に廃棄物を投入して焼却する流動床式廃棄物燃焼装置であって、燃焼炉から排出される燃焼排ガスと燃焼炉内のフリーボード部に供給する二次燃焼空気とをハニカム状セラミックス製の蓄熱体を有する回転蓄熱式熱交換器を介して熱交換し、二次燃焼空気を加熱すとともに、燃焼排ガスを急速冷却することを特徴とする流動床式廃棄物燃焼装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流動床式廃棄物燃焼装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】流動床式廃棄物燃焼装置では、廃棄物は流動床内で急激に燃焼するため不完全燃焼が生じてダイオキシンが発生する。
【0003】廃棄物の燃焼によるダイオキシンの発生量を低減化させるには、燃焼炉内で高温燃焼することと、燃焼排ガスを急速冷却してダイオキシンの再合成反応が起きるとされる300〜400℃での滞留時間を短くすることが重要である。
【0004】そこで、流動床式廃棄物燃焼装置では、ダイオキシンの発生量を低減化させるため、燃焼排ガスに同伴されている未燃固形物や不完全燃焼ガスをフリーボード部内で二次燃焼させることによって完全燃焼させたり、燃焼排ガス排出側の下流側に、たとえば、活性炭吸着方式を利用した排ガス処理設備を設けてダイオキシンの除去を行うようにしている。
【0005】また、二次燃焼空気を高温化するため、貫流形式の熱交換器(たとえば、シェルアンドチューブ式)や金属の伝熱蓄熱体を有する回転蓄熱式熱交換器を介して高温の燃焼排ガスと低温の二次燃焼空気とを熱交換し、二次燃焼空気を予熱してフリーボード部に吹き込むことが行われている。
【0006】一方、ダイオキシンの再合成を防止するため、燃焼排ガスを冷却するのに水噴霧型ガス冷却器を使用しているものもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の貫流形式の熱交換器や金属の伝熱蓄熱体を有する回転蓄熱式熱交換器では、高温の燃焼排ガスの入口と出口、低温の二次燃焼空気の出口と入口の温度勾配をあまり大きくとることができないので、フリーボード部に吹き込む二次燃焼空気の高温化と燃焼排ガスの急速冷却には限界がある。また、水噴霧による燃焼排ガスの冷却では、冷却速度が200℃/s程度で、ダイオキシンの再合成を完全に防止することはできないし、水処理上にも問題がある。そのため、排ガス処理設備に大きな負荷がかかるという問題がある。
【0008】本発明は、上記のような問題点を解決するために創案されたもので、高温の燃焼排ガスの排熱を十分回収し、二次燃焼空気を高温化してフリーボード部内の高温燃焼化を図るとともに、燃焼排ガスを急速冷却してダイオキシン再合成量の低減化を図ることができる流動床式廃棄物燃焼装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明によれば、燃焼炉内で加熱されて流動化している流動床に廃棄物を投入して焼却する流動床式廃棄物燃焼装置であって、燃焼炉から排出される燃焼排ガスと燃焼炉内のフリーボード部に供給する二次燃焼空気とをハニカム状セラミックス製の蓄熱体を有する回転蓄熱式熱交換器を介して熱交換し、二次燃焼空気を加熱すとともに、燃焼排ガスを急速冷却する流動床式廃棄物燃焼装置が提供される。
【0010】次に本発明の作用を説明する。本発明の流動床式廃棄物燃焼装置によれば、燃焼炉内から排出される高温の燃焼排ガスと燃焼炉内のフリーボード部に供給する二次燃焼空気とをハニカム状セラミックス製の回転蓄熱式熱交換器を介して熱交換し、高温の二次燃焼空気を燃焼炉内のフリーボード部内に供給するので、燃焼排ガスに同伴されている未燃固形物や不完全燃焼ガスを完全燃焼させることができるとともに、流動床内で発生したダイオキシンをフリーボード部内の高温雰囲気で分解する。また、高温の燃焼排ガスは、高温部と低温部の温度勾配が非常に大きいハニカム状セラミックス製の蓄熱体を有する回転蓄熱式熱交換器によって急速冷却されるので、ダイオキシンの再合成が防止される。燃焼排ガスは、図示しない下流側に設けた燃焼排ガス処理設備を経て放出するが、燃焼排ガスのダイオキシン濃度が低いので、燃焼排ガス処理設備への負荷の低減化を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の流動床式廃棄物燃焼装置の断面図であり、図2は図1に関連するハニカム状アルミナセラミックス製の蓄熱体を有する回転蓄熱式熱交換器の斜視図である。
【0012】図1において、1は廃棄物燃焼装置である。1Aは廃棄物燃焼装置1の燃焼炉である。1aは燃焼炉1Aの底部に設けた風箱であり、1bは燃焼炉1Aのフリーボード部である。2は燃焼炉1Aの散気板で、多数のガス吹出ノズル2aを配設している。3は散気板2上に形成する流動床で、流動媒体である多量の珪砂3aを貯留している。4は燃焼炉1Aの側方に設けられた廃棄物投入用ホッパで、廃棄物5を燃焼炉1Aの上方から投入する。6は燃焼空気で、風箱1aに連結した燃焼空気供給管10から風箱1aに供給され、散気板2に設けられた多数のガス吹出ノズル2aから燃焼炉1A内に吹き出し、燃焼炉1A内に投入された廃棄物5と珪砂3aを撹拌し、浮遊、流動させながら廃棄物5を燃焼させる。7は廃棄物5の燃焼によって発生した約800℃の高温の燃焼排ガスで、燃焼炉1Aの中間で、二次燃焼空気供給管12aから供給された二次燃焼空気16aにより未燃固形物や不完全燃焼ガスを再燃焼して燃焼炉1Aのフリーボード部1bを上昇し、燃焼炉1Aの上部に設けた燃焼排ガス排出管11、11a、11bを通って下流側に排出される。8は燃焼排ガス排出管11、11a間に介在して設けたサイクロンである。9は燃焼排ガス排出管11a、11b間および二次燃焼空気供給管12、12a間に介在して設けた回転蓄熱式熱交換器である。
【0013】回転蓄熱式熱交換器9は、図2に示すように、筒体9aの上面と下面に燃焼排ガス排出管11aと11bおよび二次燃焼空気供給管12aと12を連結している。筒体9aの中間にはハニカム状アルミナセラミックス製の蓄熱体13が内装されており、筒体9aの上面に設けたモータ15により軸15aを中心として矢印A方向に回転する。蓄熱体13の回転速度は、ほぼ1rpmである。14は筒体9a内の蓄熱体13の上方に配設した分離板で、筒体9a内に送給された燃焼排ガス7aと二次燃焼空気供給管12aへ供給する二次燃焼空気16aとを分離する。14aは筒体9a内の蓄熱体13の下方に配設した分離板で、筒体9a内に送給された二次燃焼空気16と燃焼排ガス排出管11bへ排出する燃焼排ガス7bとを分離する。燃焼排ガス7aおよび二次燃焼空気16は、筒体9a内に送給され、この回転蓄熱体13を通過して熱交換される。17はサイクロン8で燃焼排ガス7から分離された飛灰である。なお、二次燃焼空気供給管12aを燃焼炉1Aの接線方向に連結して二次燃焼空気16aを燃焼炉1Aの接線方向から導入すると二次燃焼空気16aを燃焼炉1A内で旋回させるので、二次燃焼空気16aの滞留時間を延長することができる。
【0014】次に実施形態に基づく作用について述べる。本発明の流動床式廃棄物燃焼装置1によれば、燃焼炉内1Aから排出される約800℃の高温の燃焼排ガス7と燃焼炉1A内のフリーボード部1bに供給する二次燃焼空気16aをハニカム状セラミックス製の回転蓄熱式熱交換器9を介して熱交換し、回転蓄熱式熱交換器9の蓄熱体13により700〜800℃まで高温化された二次燃焼空気16aを燃焼炉1A内のフリーボード部1b内に供給するので、二次燃焼空気16aにより燃焼排ガス7に同伴されている未燃固形物や不完全燃焼ガスは完全燃焼されるとともに、流動床3内で発生したダイオキシンを、二次燃焼空気を加熱しない場合よりも大幅に低減することができる。また、高温の燃焼排ガス7は、高温部と低温部の温度勾配が非常に大きいハニカム状セラミックス製の蓄熱体13を有する回転蓄熱式熱交換器9によって200℃以下まで急速冷却されるので、ダイオキシンの再合成が防止される。燃焼排ガスは、図示しない下流側に設けた燃焼排ガス処理設備を経て放出するが、燃焼排ガスのダイオキシン濃度が低いので、燃焼排ガス処理設備への負荷の低減化を図ることができる。
【0015】
【実施例】次に本発明の効果を実証するための実験結果について説明する。実験では、流動床式燃焼試験炉を用い、高温予熱空気および燃焼排ガスの急速冷却によるダイオキシン類低減化効果を確認した。実験は、直径0.3m、高さ15mの大きさの流動床式燃焼炉で、流動媒体として平均粒径1.1mmの珪砂を用い、燃料としてごみ固形化燃料(RDF)および模擬ごみ(塩ビラミネート紙)を燃焼させ、予熱二次燃焼空気(予熱二次ガス)としては、高空気比で燃焼させた都市ガスバーナの排気を模擬予熱空気として使用した。この予熱二次ガス温度をコントロールし、ダイオキシン類排出挙動に対する高温予熱空気の影響を確認した。また、ハニカム状アルミナセラミックス製の回転蓄熱式熱交換器により燃焼排ガスの急速冷却を行い、通常冷却時と比較することによって、ダイオキシン類排出挙動に対する急速冷却の影響を確認した。
【0016】実験は、燃料を燃焼炉の流動床の上方より投入し、燃焼排ガスは、燃焼炉のフリーボード部を上昇して通過した後、一次、二次熱交換器、水噴霧式ガスクーラ、下流側に設けたバグフィルタを通過して排出させた。燃焼炉および下流側の各機器には熱電対を取り付け、各地点における燃焼排ガス温度を測定した。予熱二次ガスは、燃焼炉床面の上方2mの地点に設けた二次ガス供給管から燃焼炉に導入した。また、予熱二次ガス温度は、40℃(燃焼させず、直接空気を燃焼炉内に投入)、660℃、920℃になるよう設定した。なお、予熱二次ガスの高温化と燃焼排ガスの急速冷却の実験は、別々に行った。
【0017】図3は二次ガス温度における燃焼炉内温度分布の変化を示す図である。縦軸に温度を、横軸に測定位置を示している。なお、■印は二次ガス温度40℃を、○印は二次ガス温度660℃を、▲印は二次ガス温度920℃を示す。図において、炉底より高さ2.9mの地点の温度で比べた場合、通常運転(二次ガス40℃)の場合に比べ二次ガス温度660℃の場合で+105℃、二次ガス温度920℃の場合で+145℃となっている。燃焼排ガスの後流では温度差は減少し、一次熱交換器出口ではほとんど差がなくなっている。
【0018】図4は二次ガス温度に対する燃焼炉出口で測定したダイオキシン類濃度の測定結果を示す図である。縦軸にダイオキシン類濃度を、横軸に二次ガス温度を示している。図において、二次ガス温度40℃でダイオキシン類濃度が0.15ng/Nm3 −TEQ(Toxicity Equivalent (毒性等価換算値))であるのに対し、二次ガス温度660℃および920℃でダイオキシン類濃度は0.02ng/Nm3−TEQであり、二次ガスの高温化によって燃焼炉出口での温度が上昇し、ダイオキシン類濃度が全体的に減少していることがわかる。
【0019】図5は回転蓄熱式熱交換器による燃焼排ガスの急速冷却を行った場合と通常の燃焼排ガス経路で冷却した場合(内部を燃焼排ガスが、外部を冷却水が流れる二重管式の2台の熱交換器で冷却)の燃焼排ガス温度の変化を示す図である。縦軸に二次ガス温度を、横軸に滞留時間を示している。なお、実線は燃焼排ガスの急速冷却時を、破線は通常冷却時における温度変化差を示す。
【0020】図において、700℃から150℃までの冷却速度をそれぞれの場合について比較すると、回転蓄熱式熱交換器を使用した場合、燃焼排ガスの冷却速度は7,700℃/sになり、通常時の180℃/sに比べ約43倍になっている。
【0021】図6は熱交換器によるダイオキシン類全体濃度に対する冷却速度の影響を、実験値および計算値で比較した図である。縦軸にダイオキシン類濃度を、横軸に冷却速度を示している。なお、実線は実験値を、点線はダイオキシン合成反応モデルを用いて計算した計算値を示す。この結果、計算値ほど減少しないものの、急速冷却によりダイオキシン生成量が減少していることが分かる。
【0022】本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更し得ることは勿論である。
【0023】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、燃焼排ガス排出管および二次燃焼空気供給管の中間に設けたハニカム状セラミックス製の回転蓄熱式熱交換器により、二次燃焼空気を高温化して流動床内で発生したダイオキシンをフリーボード部内の高温雰囲気で分解し、また、燃焼排ガスを急速冷却してダイオキシンの再合成を防止することによりダイオキシンの排出を大幅に低減することができるなどの優れた効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年6月29日(1999.6.29)
【代理人】 【識別番号】100091085
【弁理士】
【氏名又は名称】島村 芳明
【公開番号】 特開2001−12730(P2001−12730A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−182632