| 【発明の名称】 |
炉の燃焼装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】野上 正弘
|
| 【要約】 |
【課題】酸素ランスから吹き出す酸素が炉床にある灰に直接当たって灰を飛散させるようなことがなく、また、酸素ランスからの酸素の吹き出し速度を抑える必要がなくて、酸素ランスのノズル部の自己冷却能力を充分保有させることができる炉の燃焼装置を提供すること。
【解決手段】炉の燃焼装置は、炉壁3に取付けられた加熱バーナ4と加熱バーナ4の近接位置の炉壁3に取り付けられた酸素ランス13とを備えた炉の燃焼装置である。酸素ランス13は、炉の壁面に対して直交する方向に炉壁3に設けられた挿通孔14を通して炉内に挿通される酸素導入管8と、酸素導入管8の先端部に設けられた酸素吹き出しノズル部9とを有し、加熱バーナ4から炉内に吹き出された燃焼火炎7に向けて酸素吹き出しノズル部9から酸素を吹き出すよう構成されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炉壁に取付けられた加熱バーナと該加熱バーナの近接位置の炉壁に取り付けられた酸素ランスとを備えた炉の燃焼装置であって、該酸素ランスは、炉壁に設けられた挿通孔を通して該炉内に挿通される酸素導入管と、該酸素導入管の先端部に設けられた酸素吹き出しノズル部とを有し、該加熱バーナから炉内に吹き出された燃焼火炎に向けて該酸素吹き出しノズル部から酸素を吹き出すよう構成されている炉の燃焼装置。 【請求項2】 前記加熱バーナからの燃焼火炎が炉の壁面に対して直交する方向に吹き出すよう該加熱バーナが炉壁に取付けられ、前記酸素導入管の管軸に対して20゜から90゜の角度で該燃焼火炎に向けて前記酸素吹き出しノズル部から酸素を吹き出すことを特徴とする、請求項1に記載の炉の燃焼装置。 【請求項3】 前記炉が焼却灰または飛灰等の粉体の溶融炉である、請求項1または2に記載の炉の燃焼装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、一般の加熱炉や溶解炉において、加熱バーナの燃焼火炎温度を高めるために開発された酸素ランスを備えた炉の燃焼装置に関する。特に焼却残渣である灰の溶融炉における酸素ランスを備えた炉の燃焼装置に関する。 【0002】 【従来の技術】都市ゴミ等の廃棄物の焼却施設では、焼却残渣である焼却灰および飛灰を高温で溶融し、ガラス状のスラグとすることで、残渣の減容化、無害化が図られている。また、このようにして得られた該溶融スラグは出滓口から炉外へ排出され、水砕等の手段により有効利用化することも図られている。同様に、下水汚泥、アスベスト等の溶融炉もスラグ化させることにより、減容化、無害化のために用いられている。 【0003】説明を簡潔にするために、以下の説明は焼却灰および飛灰の溶融についてのみ述べる。 【0004】焼却灰および飛灰の加熱溶融方法として各種の方法が知られている。例えば、表面溶融炉等においては、加熱バーナを用いて焼却灰および飛灰を溶融スラグ化している。ここで使用されている加熱バーナは、気体燃料、液体燃料または固体燃料等の可燃性物質を、空気と混合して燃焼させ、焼却灰および飛灰を加熱している。 【0005】焼却灰および飛灰を溶融するためには、焼却灰および飛灰の温度をそれらの融点以上にする必要がある。灰の融点は、灰の組成により1170℃から1320℃まで様々であり、融点の高い灰の混合割合が増えると、溶融されたスラグが出滓口で固まることもあった。この場合、機械あるいは、人手により、固化したスラグを除去する作業が必要であった。溶融スラグの凝固を防ぐ手段として、炉内温度を上げて溶融スラグの温度を通常温度以上に上げるという手段も考えられる。炉内温度を上げるためには、加熱バーナの燃焼容量を増やす必要があるが、その結果として、燃焼ガス流速が増え、加熱対象物である焼却灰または飛灰を燃焼ガスの流速により飛散させるという問題が起こる。さらに、炉内温度の上昇により炉壁材の損耗が激しくなる、また、加熱バーナーの容量増加に伴い排ガス量も増加する、という欠点がある。 【0006】従来技術における1つの対策を図2に示す。 【0007】図2において、炉壁3に取付けられた加熱バーナ4の近接位置において、炉壁3に酸素ランス20を取り付け、加熱バーナ4から炉内に吹き出された燃焼火炎7に向けて該酸素ランス20の先端から酸素を吹き出させることで、炉壁材の損耗を増加させることなく、焼却灰および飛灰の溶融スラグ温度を上げて溶融スラグの固化を防止し、そして、加熱対象物である灰の飛散を防止できるようにしたものである。さらに、このような酸素ランス20を用いた加熱方法は、燃焼空気の酸素濃度を高めた酸素富化法と比べ、燃焼火炎温度を部分的に高めることができるため、炉壁材の損耗を防ぐという点においても優れている。 【0008】しかし、図2に示されるように、加熱バーナ4の燃焼火炎7の先端部分の温度を上げるために酸素ランス20から吹き出される酸素は、該酸素ランス20のノズル部19から該酸素ランス20の管軸と一致した方向で吹き出すため、酸素の勢いが炉床にある灰1に直接当れば灰1が飛散する。灰1の飛散を避けるには図2のように酸素ランス20の取付角度βを小さくして、酸素の吹き出し方向に灰1が無いようにすれば良い。しかし、酸素ランス20を炉壁3に取付角度βを小さくして設置しようとすると、酸素ランス20を斜めに炉壁3に通すための挿通孔を設ける必要があることから取付作業が難しくなり、また、酸素ランス20の取付位置が加熱バーナ4の取付位置から離れることになるので、広い設置スペースが必要となる。さらに、メンテナンスのためには酸素ランス20の引き抜きしろも考慮しなければならず、さらに広いスペースが必要になるので、実際的ではない。 【0009】灰の飛散を防ぐには、酸素の吹き出し速度を抑えてやれば良い。その結果、酸素ランス20の取付角度βを大きくできるので、設置スペースの問題は解消される。しかし、酸素の吹き出し速度を抑えると、酸素ランス20の内部を通過する酸素による該ノズル部19の温度冷却効果が低下するので、ノズル部19の先端温度は上昇し溶損した。なお、図中18は酸素導入管である。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、酸素ランスから吹き出す酸素が炉床にある灰に直接当たって灰を飛散させるようなことがなく、また、酸素ランスからの酸素の吹き出し速度を抑える必要がなくて、酸素ランスのノズル部の自己冷却能力を保有させることができる炉の燃焼装置を提供することにある。 【0011】本発明の他の目的は、酸素ランスの取り付けスペースに制約のある場合の一般の加熱炉や溶解炉に酸素ランスを容易に取り付けることができる炉の燃焼装置を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明の炉の燃焼装置は、炉壁に取付けられた加熱バーナと該加熱バーナの近接位置の炉壁に取り付けられた酸素ランスとを備えた炉の燃焼装置であって、該酸素ランスは、炉壁に設けられた挿通孔を通して該炉内に挿通される酸素導入管と、該酸素導入管の先端部に設けられた酸素吹き出しノズル部とを有し、該加熱バーナから炉内に吹き出された燃焼火炎に向けて該酸素吹き出しノズル部から酸素を吹き出すよう構成されており、そのことにより上記目的が達成される。 【0013】一つの実施態様では、前記加熱バーナからの燃焼火炎が炉の壁面に対して直交する方向に吹き出すよう該加熱バーナが炉壁に取付けられ、前記酸素導入管の管軸に対して20゜から90゜の角度で該燃焼火炎に向けて前記酸素吹き出しノズル部から酸素を吹き出す。 【0014】一つの実施態様では、前記炉が焼却灰または飛灰等の粉体の溶融炉である。 【0015】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照して次に説明する。 【0016】まず、図1に示す灰溶融炉を参照して本発明の炉の燃焼装置の構造について詳細に説明する。 【0017】図1は灰溶融炉の燃焼装置を備えた灰溶融炉の長手方向の垂直断面を示す。灰溶融炉の長手方向に垂直な断面形状は、典型的には長方形であり、炉は底面部と上面部3aと、両側面部とを有する。炉の底面部の幅寸法は、典型的には120cm、高さ寸法は典型的には80cmである。炉の底面部は、通常下流側へゆるやかに下り傾斜した角度が設けられている。 【0018】耐火煉瓦等で形成された炉壁3の上面部3aには、加熱バーナ4が、その燃焼火炎が鉛直下方に吹き出すように炉壁3に対して垂直に取り付けられている。そして、加熱バーナ4に近接した位置において、炉壁3の上面部3aの上流側には酸素ランス13を挿通するための挿通孔14が炉壁3に対して垂直に穿孔されている。従って、酸素ランス13の管軸と、加熱バーナ4の管軸は略平行となっている。なお、図中6は燃焼空気導入管であり、該燃焼空気導入管6からの空気と可燃性物質導入管5からの可燃性物質とが混合されて加熱バーナ4から炉内へ供給されるように構成されている。 【0019】上記酸素ランス13は、酸素導入管8と該酸素導入管8の先端部に設けられた酸素吹き出しノズル部9とを有する。酸素吹き出しノズル部9は酸素導入管8の先端部に一体に形成してもよく、あるいは、別部材を酸素導入管8の先端部に固着して形成してもよい。 【0020】酸素導入管8の先端部に設けた酸素吹き出しノズル部9から炉内へ吹き出す酸素の吹き出し角度αが、酸素導入管8の管軸に対して少なくとも20゜から90゜の範囲となるように、酸素の吹き出し角度αを調節することができる構造を備えている。 【0021】酸素吹き出しノズル部9から炉内へ吹き出す酸素の吹き出し角度αの設定は、複数種の酸素吹き出しノズル部9を用意しておいて、適切な酸素吹き出しノズル部9を酸素導入管8の先端に取り付けるようにしてもよく、あるいは、ノズル部9の内部にフラップを設けて、フラップの角度を任意に調整するようにしてもよい。 【0022】酸素ランス13を炉壁3に取り付けるには、例えば、以下のようにして行うことができる。炉壁3の挿通孔14にボス16を設け、ボス16の内側にねじ山を切る。また、酸素導入管8の外側にもねじ山を切り、酸素導入管8を挿通して、そのノズル部9の位置を調整した後、ボス16の上部からナット17を締結することにより酸素導入管を固定する。このようにすれば、酸素導入管8の挿入深さを任意に調整することができ、酸素ランス13の取り付けが容易であると共に、加熱バーナ4の燃焼火炎7の所望とする部位に酸素を吹き当てることができる。 【0023】次に、焼却残渣である灰の溶融炉について本発明の燃焼装置を用いた場合の作用について詳述する。 【0024】都市ゴミ等の廃棄物の焼却残渣である焼却灰および飛灰は、炉の上流側に設置された投入手段、移動手段および炉の底面の傾斜の作用により、出滓口に向けて順次移動する。 【0025】灰1が加熱バーナ4の下方位置に達したとき、可燃性物質(燃料)導入管5と燃焼空気導入管6で構成される適当な燃焼容量の加熱バーナ4より吹き出される燃焼火炎7で灰1は加熱溶融され、溶融スラグ2となり、出滓口11から炉外へ排出される。可燃性物質(燃料)は固体、液体または気体燃料であり得る。 【0026】酸素吹き出しノズル部9から吹き出される酸素の吹き出し方向10は、酸素導入管8の管軸に対し角度αを持つように設定されている。その吹き出し角度αは、酸素導入管8と燃焼火炎7および灰1の位置関係で決定されるが、典型的には20°から90°の範囲である。 【0027】ノズル部9から吹き出す酸素は、燃焼火炎7の最も温度を上げたい部分(図1では、燃焼火炎の中心を原点15として水平軸、鉛直軸により分割したときのIIIの部分)に、加熱バーナ4の燃焼容量に応じた流量で集中して吹き出される。その結果、炉全体の温度を上げることなく、灰1に近い部分の火炎温度のみを上げることができる。 【0028】従って、炉壁3の損耗を増加させることなく溶融スラグ温度を上昇することができる。また、灰に酸素ランス13からの酸素が直接当たらないよう、酸素ランス13の炉内への挿入深さおよび酸素ノズル部9からの酸素の吹き出し角度を調節できるので、灰1の飛散を抑制できる。 【0029】また、酸素ノズル部9の酸素の吹き出し速度を高速にし得、酸素ランス13を通過する酸素によって該ノズル部9を冷却でき、該ノズル部9の温度が上昇し溶損することを防止することができる。酸素ノズル部9からの酸素の吹き出し速度は高速であればあるほどこのように自己冷却能力は高まり、該ノズル部9の溶損の頻度は少なくなる。 【0030】 【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。 (実施例1)図1に示す装置を使用し、酸素ランスを備えた炉の燃焼装置を使用した場合(実施例)と、酸素ランスを備えていない炉の燃焼装置を使用した場合(比較例)の、炉内温度、溶融スラグ温度、溶融スラグ量を測定した結果を表1に示す。 【0031】その結果、実施例において、炉内温度は10℃上昇したが、溶融スラグ温度は39℃上昇し、溶融スラグ量は56Kg/h(19%)も増加した。 【0032】 【表1】
【0033】また、従来タイプの高速吹き出しの酸素ランス20を使用する場合の灰溶融炉部分の設置スペース(すなわち、加熱バーナ4、酸素ランス20および配管を含む周辺装置の長手方向設置スペース)は、計算上1.4mが必要になるのに対し、本願酸素ランス13を使用した実施例では0.4mですんでおり、1mの省スペースの効果があった。 【0034】また、取付角度βを大きくし酸素の吹き出し速度を抑えた酸素ランス20では、1hrの使用で見られた溶損が、本願の酸素ランス13では自己冷却効果により、8hrのテスト運転でもまったく溶損は見られなかった。 【0035】 【発明の効果】本発明によれば、焼却灰および飛灰の焼却処理を行う灰溶融炉において、燃焼火炎先端部の温度を部分的に上昇させることができ、その結果、炉内温度を大きく上げることなく溶融スラグの温度を上昇させることができ、該処理の高効率化を図ることができる。 【0036】また、酸素ランスの設置およびメンテナンスのための広い設置スペースは不要である。さらに、酸素ノズルから高速度で酸素の吹き出しが可能となり、酸素吹き出しノズルの溶損を抑制することができるため、信頼性の高い灰溶融炉を提供することができる。 【0037】従って、本発明は特に焼却灰、飛灰、下水汚泥、アスベスト等の粒径の小さな粉体を直接溶融するための溶融炉において使用される酸素ランスを備えた装置に好適である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000205513 【氏名又は名称】大阪酸素工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年6月30日(1999.6.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078282 【弁理士】 【氏名又は名称】山本 秀策
|
| 【公開番号】 |
特開2001−12721(P2001−12721A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月19日(2001.1.19) |
| 【出願番号】 |
特願平11−186979 |
|