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【発明の名称】 灰の固着防止処理方法
【発明者】 【氏名】細田 和夫

【氏名】岡山 博之

【氏名】清水 剛

【氏名】守屋 雅文

【要約】 【課題】ゴミ焼却残査として焼却炉内に残留する焼却灰や、ゴミ焼却の際に生じた廃ガスから分離した飛灰中には水酸化カルシウムや酸化カルシウムが含有されている場合が多々あり、このような灰は吸湿によって流動性が著しく低下し、灰を貯留する灰ピット内壁や、灰ピットから灰を移送用トラックに移す灰クレーン、或いは移送用トラックの荷台等に灰が固着して、頻繁に固着した灰を除去しなければならず、灰の処理効率が低下するという問題があった。

【解決手段】本発明方法は、ゴミ焼却によって生じた廃ガスを乾式処理した後、廃ガスから分離した飛灰及び/又はゴミ焼却残査として焼却炉内に残留する焼却灰に、リグニン系化合物、ナフタレンスルホン酸系化合物、メラミン系化合物、アミノスルホン酸系化合物、ポリスチレンスルホン酸系化合物、ポリカルボン酸系化合物、グリコール類から選ばれた1種又は2種以上を添加することを特徴とする灰の固着防止処理方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ゴミ焼却によって生じた廃ガスを乾式処理した後、廃ガスから分離した飛灰及び/又はゴミ焼却残査として焼却炉内に残留する焼却灰に、リグニン系化合物、ナフタレンスルホン酸系化合物、メラミン系化合物、アミノスルホン酸系化合物、ポリスチレンスルホン酸系化合物、ポリカルボン酸系化合物、ポリオール類から選ばれた1種又は2種以上を添加することを特徴とする灰の固着防止処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴミ焼却によって生じる廃ガス中から分離した飛灰や、焼却残査として焼却炉内に残留する焼却灰等の灰を処理・移送する工程において、灰が処理・移送手段等へ固着するのを防止して効率良く処理・移送を行うことのできる灰の固着防止処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ゴミ焼却の際に生じる固体状廃棄物である灰は、焼却残査として焼却炉内に残留する焼却灰と、廃ガス中から電気集塵装置やバグフィルターによって分離された飛灰とに分類される。
【0003】近年、ゴミの種類の多様化に伴い、ゴミ焼却によって生じる廃ガス中には塩化水素等の有毒ガスが多量に含まれていることが多々ある。このため廃ガスを排出する前に、廃ガス中の有毒ガスを除去することが義務づけられている。
【0004】廃ガス中に含まれる塩化水素等の有毒な酸性ガスを除去する方法として、煙道中で廃ガスに水酸化カルシウム(消石灰)を噴霧し、廃ガス中の酸性ガスを中和する処理が広く行われており、処理後の廃ガスは電気集塵装置やバグフィルターを通過させて飛灰を分離除去した後、触媒脱硝装置、誘引送風機等をへて煙突から排出される。このため、酸性ガスを中和する処理を施した廃ガスから分離された飛灰中には、水酸化カルシウムが多量に含有されている。
【0005】ゴミ焼却炉中に焼却残査として残留する焼却灰や、廃ガスから分離された飛灰は、灰ピットと呼ばれる灰貯留槽内から、灰クレーンと呼ばれている搬出用クレーンによって移送用トラックに移され、埋立処分、海洋投棄処分等の最終処理を施すために最終処分場に移送されている。しかしながら、飛灰中に水酸化カルシウムが含有されていると、吸湿や中間処理による水和反応によって飛灰の流動性が著しく低下して附着性、粘性が高くなり、飛灰が灰ピット内壁や灰クレーン、或いは移送用トラックの荷台等に強固に固着して残留し易くなる。このため付着した飛灰を頻繁に除去する煩雑な作業が必要となり、灰処理効率が著しく低下するという問題があった。このような問題は、水酸化カルシウムを含有する飛灰を、焼却灰と混合して処理した場合には特に顕著に生じていた。
【0006】更に、廃ガスを水酸化カルシウムで中和処理しない場合でも、固体状廃棄物中にカルシウムが含まれていると、飛灰や焼却灰中に酸化カルシウムとして残存し、この酸化カルシウムが水と反応して生じた水酸化カルシウムが吸湿や水和反応によって灰の処理工程において灰ピット内壁や灰クレーン、移送用トラックの荷台等に固着するという同様の問題を生じる虞れがあった。
【0007】本発明は上記の点に鑑みなされたもので、飛灰や焼却灰の処理工程において、飛灰や焼却灰が固着するのを防止することのできる灰の固着防止処理方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち本発明の灰の固着防止処理方法は、ゴミ焼却によって生じた廃ガスを乾式処理した後、廃ガスから分離した飛灰及び/又はゴミ焼却残査として焼却炉内に残留する焼却灰に、リグニン系化合物、ナフタレンスルホン酸系化合物、メラミン系化合物、アミノスルホン酸系化合物、ポリスチレンスルホン酸系化合物、ポリカルボン酸系化合物、ポリオール類から選ばれた1種又は2種以上を添加することを特徴とする【0009】
【発明の実施の形態】図1はゴミ焼却工程の一例として、焼却残査として焼却炉内に残留する焼却灰と、廃ガスから分離した飛灰とを最終的に混合して処理する場合の概略を示す。1は焼却炉を示す。図中1は焼却炉で、ゴミ焼却残査として焼却炉1内に残留する焼却灰は、焼却灰搬送装置2によって灰ピット3に移送される。一方、廃ガスは廃熱ボイラー4及び減温塔5において300℃以下に冷却された後、バグフィルター6において飛灰が分離除去されるが、通常、廃ガス中に含まれる酸性ガスを中和するために、減温塔5とバグフィルター6との間において、廃ガスに水酸化カルシウムが噴霧される。バグフィルター6において飛灰を分離除去した後の廃ガスは、アンモニア噴霧処理を施した後、触媒脱硝装置7において廃ガス中のNOxを除去し、次いで誘引送風機8によって煙突9から排出される。
【0010】一方、バグフィルター6において廃ガスから分離された飛灰は、飛灰搬出装置10によって飛灰中間処理工程11に送られる。飛灰中間処理工程11において、セメント、重金属固定化剤、その他の薬剤、水を飛灰に添加して混練、混合し、飛灰の安定化、不溶化、無害化、飛散防止化等を図る中間処理が施される。中間処理を施した飛灰は灰ピット3に送られ、焼却灰と混合される。
【0011】水酸化カルシウムを含有する飛灰は吸湿や水和反応によって固着し易く、特に焼却灰と混合した場合には灰混合物の流動性が低下して付着性、粘性が著しく高くなる。このような問題を解消するために本発明方法では、リグニン系化合物、ナフタレンスルホン酸系化合物、メラミン系化合物、アミノスルホン酸系化合物、ポリスチレンスルホン酸系化合物、ポリカルボン酸系化合物、グリコール類から選ばれた1種又は2種以上(以下、これらの化合物を流動化剤と呼ぶことがある。)を添加し、灰の流動性低下、付着性・粘性上昇を防止し、もって灰ピット3内壁や灰クレーン、移送用トラックの荷台等への灰の固着を防止するものである。
【0012】上記流動化剤として用いるリグニン系化合物としては、リグニンスルホン酸塩、変性リグニン等が、ナフタレンスルホン酸系化合物としてはナフタレンスルホン酸やその塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物等が、メラミン系化合物としてはメラミン樹脂スルホン酸塩ホルマリン縮合物等が、アミノスルホン酸系化合物としては芳香族アミノスルホン酸やその塩或いはこれらのポリマー等が、ポリスチレンスルホン酸系化合物としてはポリスチレンスルホン酸やその塩等が挙げられる。またポリカルボン酸系化合物としてはポリアクリル酸、オレフィン/マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エーテル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル部分架橋ポリマー、或いはこれらの塩等が挙げられる。上記化合物の塩としてはナトリウム塩、カルシウム塩、アミン塩等が挙げられる。
【0013】更に、ポリオール類としては例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシブチレングリコール等のグリコール類;トリメチロールプロパン/エチレンオキシド付加重合体、トリメチロールプロパン/エチレンオキシド/プロピレンオキシド付加重合体等の(ポリ)アルキロールアルカンアルキレンオキシド付加体;グリセリン/エチレンオキシド付加重合体、グリセリン/エチレンオキシド/プロピレンオキシド付加重合体、ポリグリセリン/エチレンオキシド付加重合体、ポリグリセリン/エチレンオキシド/プロピレンオキシド付加重合体等の(ポリ)グリセリンアルキレンオキシド付加体;エチレンジアミン/エチレンオキシド付加重合体、エチレンジアミン/エチレンオキシド/プロピレンオキシド付加重合体等の(ポリ)アルキレン(ポリ)アミンアルキレンオキシド付加体;ポリアルキレングリコール誘導体等が挙げられる。
【0014】上記流動化剤は1種又は2種以上を混合して用いることができる。上記流動化剤の中でも、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体の塩、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エーテル共重合体の塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩が好ましい。
【0015】本発明において、上記流動化剤とともに、特定の無機化合物、有機化合物を流動化剤として併用することもできる。流動化剤として併用することのできる無機化合物としては、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩化物;亜硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等の亜硝酸塩;硝酸カルシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等の硝酸塩;硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩;チオシアン酸ナトリウム等のチオシアン酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩;水ガラス;水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等のアルミナ系化合物;ケイフッ化マグネシウム等のケイフッ化物;ホウ酸、ホウ酸塩等のホウ酸類;酸化亜鉛等の亜鉛化合物;酸化鉛等の鉛化合物;酸化銅等の銅化合物が挙げられる。
【0016】また、流動化剤として併用することのできる有機化合物としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類;蟻酸、酢酸、アクリル酸等の有機酸やその塩;無水マレイン酸;グルコン酸、グルコヘプトン酸、クエン酸、酒石酸等のオキシカルボン酸やその塩;ケト酸やその塩;アミノカルボン酸やその塩、糖類や糖アルコール類;リグニンスルホン酸、フミン酸、タンニン酸等の高分子有機酸やその塩等が挙げられる。
【0017】流動化剤は灰ピット3内で焼却灰と飛灰とを混合する際に添加しても、焼却灰を灰ピット3に移送する前や移送する工程等において焼却灰に添加しても、飛灰を灰ピット3に移送する前や移送する工程、或いは中間処理工程11等において飛灰中に添加しても良い。予め焼却灰や飛灰に流動化剤を添加する場合、焼却灰、飛灰のいずれか一方に添加しても両方に添加しても良い。流動化剤を灰ピット3において添加する場合、焼却灰と飛灰とを混合する直前に、焼却灰又は飛灰のいずれかに添加しても、焼却灰と飛灰とを混合しながら添加しても、両者を混合した後に添加しても良い。流動化剤の添加量は灰の重量に対し、0.1〜10重量%が好ましい。
【0018】本発明方法において、焼却灰や飛灰中の有害金属を捕集して固定化するために、焼却灰や飛灰に金属捕集剤を添加することができる。金属捕集剤は焼却灰、飛灰のいずれか一方に添加しても、両方に添加しても良い。金属捕集剤としては、従来公知の化合物を用いることができる。例えばポリアミン類の骨格にジチオカルバミン酸基、リン酸基、カルボン酸基等の官能基を有する化合物のような公知の金属捕集剤を用いることができる。
【0019】金属捕集剤は灰処理工程中の任意の工程において焼却灰や飛灰に添加することができる。金属捕集剤を焼却灰に添加する場合には、焼却炉1から焼却灰を焼却灰搬出装置2によって搬出する工程等で添加しても、灰ピット3に焼却灰を移送した後に添加しても良い。また飛灰に添加する場合には、バグフィルター6において廃ガスから分離された飛灰に添加しても、バグフィルター6から飛灰搬出装置10によって飛灰を搬出する工程や、飛灰中間処理工程11等において添加しても良い。また金属捕集剤は、灰ピット3において焼却灰と飛灰とを混合する際または混合した後に添加しても良い。
【0020】灰ピット3において混合された焼却灰と飛灰の混合物は、図示しない灰クレーンによって移送用トラックに移され、最終処分場に移送される。尚、上記したように焼却灰と飛灰とを混合せずに別々に処理する場合、水酸化カルシウムや酸化カルシウムを含有する灰が、吸湿や水和反応によって固着を生じる前の工程で、上記した流動化剤を添加すればよい。
【0021】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0022】実施例1〜8、比較例1図1に示すゴミ焼却フローに従って、都市ゴミを焼却処理した際に焼却炉内に残留した焼却灰10tを、焼却灰搬送装置によって灰ピットに移送した。一方、ゴミ焼却によって生成した廃ガスは、水酸化カルシウムを噴霧して乾式処理した後、バグフィルターにおいて飛灰を分離回収した。この飛灰2tを中間処理工程に送り、ジチオカルバミン酸基を有する金属捕集剤を飛灰重量の3重量%、セメントを飛灰重量の10重量%添加して中間処理を施した後、飛灰搬送装置によって灰ピットに移送し、焼却灰搬送装置によって灰ピットに送られてくる前記焼却灰と順次混合した。尚、廃ガスの乾式処理工程における水酸化カルシウムの噴霧量は200kgであった。焼却灰と飛灰とを混合後、灰ピット内にて表1に示す流動化剤を灰混合物重量の0.1重量%添加し、更に良く混練した(但し、比較例1は流動化剤を添加混練せず。)。灰ピット内の灰混合物を、灰クレーンによってダンプカー2台に分けて乗せて最終処分場に移送し、最終処分場にて灰混合物を荷下ろした後、ダンプカーの荷台に付着残留している灰混合物の重量を測定した。結果を表1にあわせて示す。尚、ダンプカーの荷台に付着残留していた灰混合物の重量は、灰混合物の移送に使用した2台のダンプカーに付着残留していた灰混合物の合計重量で示した。
【0023】
【表1】

【0024】
【発明の効果】以上説明したように本発明方法によれば、水酸化カルシウムや酸化カルシウムが含まれる飛灰や焼却灰が吸湿したり、水と接触した際に、灰の流動化が低下して灰が、灰の処理・移送手段に付着し易くなる等の問題を生じる虞れがない。特に、廃ガス中の酸性ガスを中和するために用いられている水酸化カルシウムが多量に残存する飛灰を焼却灰と混合して処理する場合のように、灰の流動性低下が著しく、灰の強固な固着が生じやすい場合であっても、灰の流動性が低下せず、灰ピットや灰クレーン或いは移送用トラックの荷台等に灰が多量に固着することがないため、固着した灰を頻繁に除去する等の煩雑な手間が不要となり、ゴミ焼却の際に生じる焼却灰や飛灰の後処理を効率良く行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000114318
【氏名又は名称】ミヨシ油脂株式会社
【出願日】 平成11年6月22日(1999.6.22)
【代理人】 【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
【公開番号】 特開2001−4121(P2001−4121A)
【公開日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【出願番号】 特願平11−175712