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【発明の名称】 燃焼脱臭炉
【発明者】 【氏名】梶浦 靖博

【氏名】野入 一二夫

【要約】 【課題】ランニングコスト及び設備コストが安く、メンテナンスも容易であるうえ、臭気ガスの発生源である焼成炉の炉圧変動を招くこともない燃焼脱臭炉を提供する。

【解決手段】燃焼室10に畜熱燃焼式バーナー11を少なくとも1対配置し、臭気ガスの発生源1からの排気ガスを燃焼脱臭させる。好ましくは、畜熱燃焼式バーナー11を2対以上配置し、各対の燃焼・排気の切替時間を対間でずらすことにより、排ガス処理量の変動を抑制し、焼成炉等の炉圧変動を抑制する。なお燃焼室10内に燃焼触媒を設置すれば、燃焼室10内の温度を下げることができる。また発生源1からのガスの一部を直接燃焼室10に導入してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 臭気を含んだガスを燃焼させる畜熱燃焼式バーナーを燃焼室に少なくとも1対配置し、対をなす畜熱燃焼式バーナーを短い周期で切り替えて交互に燃焼・排気させることを特徴とする燃焼脱臭炉。
【請求項2】 畜熱燃焼式バーナーを燃焼室に少なくとも2対配置し、1対の畜熱燃焼式バーナーの切替時間を他の対の畜熱燃焼式バーナーの切替時間とずらせた請求項1記載の燃焼脱臭炉。
【請求項3】 臭気を含んだガスの導入流路として、畜熱燃焼式バーナーの燃焼空気配管以外に、燃焼室に直接導入する配管を有し、両流路への臭気を含んだガスの流量比率を、0〜100%の間で可変とした請求項1または2記載の燃焼脱臭炉。
【請求項4】 燃焼室内の温度を650℃以上、ガスの滞留時間を0.5秒以上とした請求項1〜3の何れかに記載の燃焼脱臭炉。
【請求項5】 燃焼室内に燃焼触媒を設置した請求項1〜4の何れかに記載の燃焼脱臭炉。
【請求項6】 燃焼室内の温度を250〜400℃、SV値を3000H-1以上とした請求項5記載の燃焼脱臭炉。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PDP(プラズマディスプレイパネル)や電子部品を焼成する焼成炉等から発生する臭気を含むガスを燃焼させて脱臭するための燃焼脱臭炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PDPの製造工程においては、表示セルを形成するために基板上に厚肉印刷を繰り返して高い隔壁を形成する必要がある。従ってその焼成工程では印刷されたペースト中から多量の有機バインダーガスが発生する。また電子部品の製造工程においても、同様の問題が発生することがある。この有機バインダーガスは無害であるが、臭気を持つために燃焼させて脱臭したうえ放出することが好ましい。
【0003】従来の燃焼脱臭炉としては、図5に示すように発生源1から導入されたバインダーガス等の臭気ガスを通常のバーナー2を備えた燃焼室3内で直接燃焼させる直接燃焼脱臭炉が普通である。この場合、臭気ガスを650℃以上の燃焼室3内で0.5〜2秒間滞留させれば脱臭することができる。しかし燃焼室3内を650℃以上の高温に維持するために多量の燃料が必要となり、ランニングコストが嵩むという問題がある。また排気ガスダクトが高温となるために空気希釈を行うと、排ガス量が増加するという問題がある。
【0004】そこで図6に示すように熱交換器4を設置し、燃焼室3からの高温の排気ガスを熱交換器4で臭気ガスと熱交換させることにより、ランニングコストを低減させるとともに、排気ガスの温度を下げる工夫もなされている。しかしこの場合には熱交換器4のための大きい設置スペースが必要となり、設備コストが高くなるという問題がある。
【0005】また図7に示すように、燃焼室3と触媒室5とを組み合わせ、250〜400℃で触媒燃焼させることにより脱臭させる触媒脱臭方式も知られている。この方式は大きい設置スペースを要することなく排気ガスの温度を下げることができる利点があるが、定期的に触媒を交換しなければならず、そのためのメンテナンスコストが発生するという問題がある。
【0006】このほか、図8に示すように臭気ガスを冷却器6で40〜50℃に冷却することによりバインダーを凝縮させ、ガスから臭気成分を分離する冷却脱臭方式も提案されている。しかしこの方式はバインダーの除去効率が低く十分な脱臭効果が得られないうえ、回収液の処分費用を要するという別の問題があるため、実用的ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来の問題点を解決し、排気ガスの温度を下げることができ、ランニングコスト及び設備コストが安く、メンテナンスも容易であるうえ、臭気ガスの発生源である焼成炉の炉圧変動を招くこともない燃焼脱臭炉を提供するためになされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するためになされた本発明は、臭気を含んだガスを燃焼させる畜熱燃焼式バーナーを燃焼室に少なくとも1対配置し、対をなす畜熱燃焼式バーナーを短い周期で切り替えて交互に燃焼・排気させることを特徴とするものである。なお、畜熱燃焼式バーナーを燃焼室に少なくとも2対配置し、1対の畜熱燃焼式バーナーの切替時間を他の対の畜熱燃焼式バーナーの切替時間とずらせることが好ましい。また、臭気を含んだガスの導入流路として、畜熱燃焼式バーナーの燃焼空気配管以外に、燃焼室に直接導入する配管を有し、両流路への臭気を含んだガスの流量比率を、0〜100%の間で可変とすることもできる。これらの場合、燃焼室内の温度を650℃以上、ガスの滞留時間を0.5秒以上とすることが好ましい。またこの燃焼室内に燃焼触媒を設置し、触媒燃焼を行わせることもできる。この場合には、燃焼室内の温度を250〜400℃、SV値を3000H-1以上とすることができる。
【0009】本発明の燃焼脱臭炉によれば、廃熱回収用の畜熱体を空気流路内に備えた畜熱燃焼式バーナーにより臭気ガスを燃焼させるので、排気ガスは畜熱体を通過することにより冷却されるとともに、排熱の回収が行われる。従ってランニングコスト及び設備コストが安くなる。また畜熱燃焼式バーナーは対をなす畜熱燃焼式バーナーの空気流路を短い周期で切り替えて交互に燃焼・排気させるため、切替時に一瞬燃焼が停止して排ガス処理量がゼロとなるが、請求項2の発明では畜熱燃焼式バーナーを少なくとも2対配置し、それぞれの対の切替時期をずらせたので、燃焼切替時における排ガス処理量の変動が小さくなり、臭気ガスの発生源である焼成炉の炉圧変動を招くこともない。更に請求項3の発明のように臭気を含んだガスの導入流路として、畜熱燃焼式バーナーの燃焼空気配管以外に燃焼室に直接導入する配管を設けておけば、畜熱燃焼式バーナーの燃焼切替時における排ガス処理量の変動を緩和することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1は請求項1の発明の実施形態を示す図であり、10は本発明の燃焼脱臭炉の燃焼室である。この燃焼室10の壁面には、少なくとも一対の畜熱燃焼式バーナー11が対向配置されている。各畜熱燃焼式バーナー11は、空気流路内に廃熱回収用のセラミックハニカム等よりなる畜熱体12を備えたものである。これらの畜熱燃焼式バーナー11の燃焼空気流路には切替え弁13が設けられており、例えば図1のように畜熱燃焼式バーナー11Aが燃焼中は、対の他方の畜熱燃焼式バーナー11Bは排気を行い、燃焼室10内の高温の排ガスを畜熱体12に通すことにより排熱を回収する。発生源1から排出される臭気を含むガスは、切替え弁13を経由して燃焼中の畜熱燃焼式バーナー11Aに供給され、好ましくは650℃以上で燃焼されることにより脱臭される。なお燃焼室10内におけるガスの滞留時間は0.5秒以上とすることが好ましい。
【0011】切替え弁13は30秒程度の短い周期で反転し、それまで排気を行っていた側の畜熱燃焼式バーナー11Bが次には燃焼側となる。このとき燃焼用空気及び臭気を含むガスは畜熱体12を通る間に加熱されるので、通常のバーナーよりも燃料使用量が少なくて済み、ランニングコストを引き下げることができる。また畜熱体12は畜熱燃焼式バーナー11の内部に収納されているため、図6に示したような熱交換器4を設置した場合に比較して、設備コストが安価となる。なお脱臭後の排気ガスは、切替え弁13及び排気ブロワ14を介して大気中に放出される。
【0012】図2は請求項2の発明の実施形態を示す図であり、燃焼室10の壁面には、少なくとも2対の畜熱燃焼式バーナー11が対向配置されている。図2では単一の燃焼室10に2対の畜熱燃焼式バーナー11を配置したが、図4のように燃焼室10を区画してそれぞれ1対の畜熱燃焼式バーナー11を配置してもよい。各畜熱燃焼式バーナー11は、空気流路内に廃熱回収用のセラミックハニカム等よりなる畜熱体12を備えたものである。
【0013】図2の場合には、畜熱燃焼式バーナー11Aと11Bとが対をなしており、また畜熱燃焼式バーナー11Cと11Dとが対をなしている。各対毎に1個の切替え弁13が設けられており、例えば図2のように畜熱燃焼式バーナー11A、11Cが燃焼中は、対の他方の畜熱燃焼式バーナー11B、11Dは排気を行い、燃焼室10内の高温の排ガスを畜熱体12に通すことにより排熱を回収する。発生源1から排出される臭気を含むガスは、切替え弁13を経由して燃焼中の畜熱燃焼式バーナー11A、11cに供給され、好ましくは650℃以上、750℃以下で燃焼されることにより脱臭される。
【0014】前記したように、畜熱燃焼式バーナー11を用いれば効率よく燃焼脱臭ができるが、畜熱燃焼式バーナー11は切替え弁13を切り替える瞬間に燃焼が停止し、発生源1から排出される臭気を含むガスの流れが一瞬ゼロとなるという避けがたい問題がある。従って畜熱燃焼式バーナー11を用いた燃焼脱臭炉を焼成炉等に接続すると、燃焼脱臭炉の排ガス処理量の変動により焼成炉等の炉圧が大きく変動し、焼成不良を招くおそれがある。
【0015】そこで請求項2の発明では、少なくとも2対の畜熱燃焼式バーナー11を配置するとともに、1対の畜熱燃焼式バーナ11A、11Bの燃焼・排気の切替時間を、他の対の畜熱燃焼式バーナー11C、11Dの燃焼・排気の切替時間とずらせた。これにより、畜熱燃焼式バーナ11A、11Bの切替え弁13が切り替わる瞬間には他の対の畜熱燃焼式バーナー11C、11Dが必ず燃焼中であるため、発生源1から排出される臭気を含むガスの流れが途絶えることがなくなり、上記のような焼成炉等の炉圧変動を抑制することができる。畜熱燃焼式バーナ11の対の数を増加させれば、この炉圧変動は更に小さくすることができる。
【0016】図3は請求項3の発明の実施形態を示す図であり、臭気を含んだガスの導入流路として、畜熱燃焼式バーナー11の燃焼空気配管以外に、燃焼室10に直接導入する配管16を設けてある。また発生源1から発生する臭気を含んだガスの両流路への流量比率を調節する流量制御弁17が設けられており、各流路への流量比率を0〜100%の間で可変としてある。
【0017】この請求項3の発明によれば、臭気を含んだガスの一部を燃焼室10に直接導入して燃焼させることができるため、図1、図2のように臭気を含んだガスの全量を畜熱燃焼式バーナー11で燃焼させる場合に比較して、切替え弁13を切り替える際の排ガス処理量の変動を抑制することができる。また切替え弁13を切り替える際には流量制御弁17を操作して配管16への臭気を含んだガスの流量を増加させ、切り替え時の排ガス処理量の変動をより小さくすることもできる。
【0018】図4は請求項4の発明の実施形態を示す図であり、燃焼室10内に燃焼触媒15が設置されている。この実施形態の場合にも、少なくとも2対の畜熱燃焼式バーナー11を、切替えのタイミングをずらせて運転することにより焼成炉等の炉圧変動を抑制することは第2の実施形態と同様である。しかし燃焼触媒15を設置したことにより、燃焼室10内の温度を他の実施形態よりも低い250〜400℃とすることができる。なお、SV値は3000H-1以上とすることが好ましい。
【0019】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の燃焼脱臭炉は畜熱燃焼式バーナーを利用し、臭気を含むガスを燃焼させて脱臭することができる。また排気ガスの温度を下げることができるとともに、燃料使用量の削減によるランニングコストの低減を図ることができる。しかも設備コストが安く、メンテナンスも容易である。更に本発明の燃焼脱臭炉は、畜熱燃焼式バーナーに特有の切替え時の問題を、切替えのタイミングをずらせたり、臭気を含むガスの一部を直接燃焼室の導入することにより回避し、臭気ガスの発生源である焼成炉等の炉圧変動を防止することができる利点がある。従って本発明の燃焼脱臭炉は、炉圧変動により焼成品質が低下するおそれのあるPDPや電子部品の焼成炉等と組み合わせて使用するに適したものである。
【出願人】 【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
【出願日】 平成11年6月30日(1999.6.30)
【代理人】 【識別番号】100059096
【弁理士】
【氏名又は名称】名嶋 明郎 (外2名)
【公開番号】 特開2001−12717(P2001−12717A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−185683