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【発明の名称】 焼却炉および該焼却炉の焼却方法
【発明者】 【氏名】高林 房司

【要約】 【課題】廃棄物の種類によらず最適な燃焼状態を維持する。

【解決手段】外部筐体12の内部に、廃棄物Wの燃焼に必要な1次空気を取入れる1次空気孔60を前面に備える1次燃焼部32が画成される。1次燃焼部32に、下部空間35を画成するよう火格子36が配設され、該火格子36上に廃棄物Wが貯留保持される。1次燃焼部32に対し、下部空間35側で集塵煙突が連通するよう配設される。1次燃焼部32の上方に連通するようガス化貯留室20が設けられ、廃棄物Wから発生する乾留ガスを貯留する。ガス化貯留室20内の乾留ガスは、集塵煙突の吸引作用により1次空気孔60の近傍で1次空気と混合して燃焼され、該乾留ガスの燃焼により酸素が消費された1次空気が廃棄物Wの燃焼に供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部筐体(12)の内部に画成され、投入された廃棄物(W)の燃焼に必要な1次空気(FA)を取入れる1次空気孔(60)を前面に備える1次燃焼部(32)と、前記1次燃焼部(32)に配設されて下方に所要の下部空間(35)を画成し、前記廃棄物(W)を上部に貯留保持すると共に、前記1次空気孔(60)からの1次空気(FA)を下部空間(35)に流通可能な火格子(36)と、前記1次燃焼部(32)に下部空間(35)側で連通するよう配設され、煤塵の回収を行なう集塵部(42)および1次燃焼部(32)内を所定の負圧状態に維持し、前記廃棄物(W)の燃焼炎を前記火格子(36)から下方に向って延ばして燃焼範囲が上方へ広がるのを抑える吸引力を発生させる所定高さを有する煙突(48)を備える集塵煙突(40)と、前記1次燃焼部(32)の上方に連通するよう設けられ、前記廃棄物(W)の燃焼熱により乾留された該廃棄物(W)から発生する乾留ガス(KG)を貯留するガス化貯留室(20)とからなり、前記ガス化貯留室(20)内の乾留ガス(KG)を、前記集塵煙突(40)の吸引作用により前記1次空気孔(60)の近傍で1次空気(FA)と混合して燃焼させ、該乾留ガス(KG)の燃焼により酸素が消費された1次空気(FA)を前記廃棄物(W)の燃焼に供するよう構成したことを特徴とする焼却炉。
【請求項2】 前記下部空間(35)と集塵煙突(40)との間に2次燃焼部(34)が設けられると共に、該2次燃焼部(34)には2次空気供給孔(64)を介して2次燃焼に使用される2次空気(SA)が取入れられるようになっている請求項1記載の焼却炉。
【請求項3】 前記2次空気供給孔(64)は、前記1次燃焼部(32)の両側に設けられる空気流路(66,66)を介して外部筐体(12)の前面に設けられた2次空気孔(62)に連通している請求項2記載の焼却炉。
【請求項4】 前記集塵部(42)内に設けられる集塵機構(44)として、サイクロン形式を採用している請求項1〜3の何れかに記載の焼却炉。
【請求項5】 前記集塵機構(44)は、前記1次燃焼部(32)または2次燃焼部(34)から引込んだ排ガス(WG)から煤塵を分離する複数の斜流板(46a)を備える斜流部(46)と、この斜流部(46)で分離される煤塵を灰溜室(47)に導くと共に、前記集塵煙突(40)内の断面積を変化させることで前記排ガス(WG)の流速を最適化する流速調整部(45)とを備える請求項4記載の焼却炉。
【請求項6】 焼却炉(10)に投入された廃棄物(W)を焼却するに際し、前記焼却炉(10)の内部に画成された1次燃焼部(32)に配設した火格子(36)上に貯留保持されている廃棄物(W)の下部に着火し、前記火格子(36)の下方に画成される下部空間(35)側で前記1次燃焼部(32)に連通する集塵煙突(40)により得られる吸引力によって、前記廃棄物(W)の燃焼炎を火格子(36)から下方に向って延ばして燃焼範囲が上方へ広がるのを抑えると共に、1次燃焼部(32)の前面に設けられた1次空気孔(60)から1次空気(FA)を内部に吸引し、前記廃棄物(W)の燃焼熱により該廃棄物(W)の上部を乾留して発生させた乾留ガス(KG)を、前記1次燃焼部(32)の上部に連通するよう画成したガス化貯留室(20)内に充満させ、前記ガス化貯留室(20)に充満する乾留ガス(KG)を、前記集塵煙突(40)により得られる吸引力により前記1次空気孔(60)近傍で1次空気(FA)と混合して燃焼させ、この乾留ガス(KG)の燃焼により酸素が消費された1次空気(FA)を前記廃棄物(W)の燃焼に供するようにしたことを特徴とする焼却炉の焼却方法。
【請求項7】 前記下部空間(35)と集塵煙突(40)との間に画成された2次燃焼部(34)で、前記1次燃焼部(32)からの排ガス(WG)と2次空気供給孔(64)から取入れた2次空気(SA)とを混合して2次燃焼させる請求項6記載の焼却炉の焼却方法。
【請求項8】 前記1次燃焼部(32)の両側に設けた空気流路(66,66)を通過させて該1次燃焼部(32)からの燃焼熱で暖めた2次空気(SA)を、前記2次空気供給孔(64)から2次燃焼部(34)に取入れるようにした請求項7記載の焼却炉の焼却方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種廃棄物を焼却処理する焼却炉および該焼却炉の焼却方法に関し、更に詳細には、焼却処理する廃棄物の種類に拘らず、最適な燃焼状態を維持し得る焼却炉および該焼却炉の焼却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、生活水準の向上に伴い、廃棄物の種類および量が増大の一途を辿っている。現状では、家庭等から排出される廃棄物を地方自治体等が回収して一括して処理する方法が採られている。この一括処理による廃棄物処理は、充分な付帯設備を有する大型焼却炉を用いることが可能であるので、夫々に特性の異なる異種廃棄物が混合状態であっても、廃棄物の異常燃焼等を回避し、燃焼状態の最適化をなし得る。すなわち、廃棄物の焼却処理に伴う前記焼却炉からの排ガスを無害化することが可能となっている。しかし、各種廃棄物の排出量が増大している現状では、回収による対応が難しくなりつつある。他の方法として、前記廃棄物の埋立処理等も考えられるが、昨今の環境問題にある通り、国土が狭い我国においては限界があり、かつ埋立地周辺の水質および土壌汚染という新たな環境破壊につながるため現実的でない。このような廃棄物増加に対応する方法の一つとして、各家庭や小規模事業所等で夫々排出される廃棄物を、独自で焼却処理する方法が考えられる。
【0003】一般に、燃焼によって廃棄物を処理する場合、その燃焼が安定的な定常状態になければ、黒煙等の所謂有害な排ガスを発生させることになる。これは廃棄物を焼却処理する焼却炉内における該廃棄物の異常燃焼がその主たる原因である。すなわち、可燃物たる廃棄物を燃焼させれば、空気が存在する限りその燃焼範囲は拡大され、空気不足等の要因により前述した定常状態での燃焼は非常に困難となってしまう。また廃棄物の燃焼についても、該廃棄物を構成する水素・炭素成分の内、容易な燃焼が可能である水素のみの選択的燃焼によっても燃焼範囲の拡大が引き起こされて前述の定常燃焼が阻害され、更に完全燃焼が困難な炭素成分の残留が原因となって黒煙が発生してしまう。この黒煙発生を回避するために送風機等の付帯設備を設置して、水素だけでなく炭素をも完全燃焼させるに足る空気を供給し続けるようにしている。そして前記送風機に炉内への空気強制供給による炉内正圧化に起因するバックファイヤー等の弊害を回避すべく、排風機等の他の付帯設備も補完的に必要となってくるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】家庭や小規模事業所等から排出される廃棄物には、紙等の雑芥、生ゴミ等の厨芥およびプラスチック等の高発熱廃棄物と云った多種類の廃棄物が含まれ、かつ選別が困難な状態となっているため、家庭や小規模事業所等では異種廃棄物の混合状態での焼却処理が行なわれる。この場合において、各家庭や小規模事業所等で使用される焼却炉は、一般的にその焼却処理量が100〜200kg/hr以下と小さく、排ガス等に課せられる法規制も厳しいものではないため、前述したような一定の燃焼条件を維持するための送風機、排風機およびバーナー等の付帯設備を有しないものが使用される。従って、異種廃棄物の混合状態では燃焼状態を最適に維持して適正に焼却処理するのは非常に困難であり、また法規制も緩やかであるので有害な排ガスの放出による環境汚染を招いているのが現状である。しかも、大型焼却炉と同様の燃焼制御を期待することは、前記付帯設備によるコストの上昇および設置スペースの増大により実質的に不可能であり、これまで有効な対策が採られていなかった。
【0005】
【発明の目的】本発明は、前述した従来の技術に内在している前記欠点に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、廃棄物の種類によらず最適な燃焼状態を維持し得る焼却炉および該焼却炉の焼却方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係る焼却炉は、外部筐体の内部に画成され、投入された廃棄物の燃焼に必要な1次空気を取入れる1次空気孔を前面に備える1次燃焼部と、前記1次燃焼部に配設されて下方に所要の下部空間を画成し、前記廃棄物を上部に貯留保持すると共に、前記1次空気孔からの1次空気を下部空間に流通可能な火格子と、前記1次燃焼部に下部空間側で連通するよう配設され、煤塵の回収を行なう集塵部および1次燃焼部内を所定の負圧状態に維持し、前記廃棄物の燃焼炎を前記火格子から下方に向って延ばして燃焼範囲が上方へ広がるのを抑える吸引力を発生させる所定高さを有する煙突を備える集塵煙突と、前記1次燃焼部の上方に連通するよう設けられ、前記廃棄物の燃焼熱により乾留された該廃棄物から発生する乾留ガスを貯留するガス化貯留室とからなり、前記ガス化貯留室内の乾留ガスを、前記集塵煙突の吸引作用により前記1次空気孔の近傍で1次空気と混合して燃焼させ、該乾留ガスの燃焼により酸素が消費された1次空気を前記廃棄物の燃焼に供するよう構成したことを特徴とする。
【0007】前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の別の発明に係る焼却炉の焼却方法は、焼却炉に投入された廃棄物を焼却するに際し、前記焼却炉の内部に画成された1次燃焼部に配設した火格子上に貯留保持されている廃棄物の下部に着火し、前記火格子の下方に画成される下部空間側で前記1次燃焼部に連通する集塵煙突により得られる吸引力によって、前記廃棄物の燃焼炎を火格子から下方に向って延ばして燃焼範囲が上方へ広がるのを抑えると共に、1次燃焼部の前面に設けられた1次空気孔から1次空気を内部に吸引し、前記廃棄物の燃焼熱により該廃棄物の上部を乾留して発生させた乾留ガスを、前記1次燃焼部の上部に連通するよう画成したガス化貯留室内に充満させ、前記ガス化貯留室に充満する乾留ガスを、前記集塵煙突により得られる吸引力により前記1次空気孔近傍で1次空気と混合して燃焼させ、この乾留ガスの燃焼により酸素が消費された1次空気を前記廃棄物の燃焼に供するようにしたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る焼却炉および該焼却炉の焼却方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下説明する。図1および図2に示す実施例に係る焼却炉10は、投入扉22を備えると共に、焼却対象物である廃棄物Wを投入・貯留し、該廃棄物Wの加熱により乾留ガスKGを発生させるガス化貯留室20と、該廃棄物Wおよび乾留ガスKGを1次燃焼処理する1次燃焼部32および2次燃焼処理する2次燃焼部34からなる燃焼処理室30と、両燃焼処理により発生した排ガス中の微細な燃焼カスおよびフライアッシュ等を効果的に回収・捕集すると共に、該焼却炉10(1次燃焼部32)内を負圧状態に維持する吸引力(ドラフト)を発生させる所定高さの集塵煙突40とから基本的に構成される。
【0009】前記焼却炉10の側面形状は、図1に示す如く、上方に開口した略コ字形状であり、その前部分(図の左側の部分)における内部に、その上部から底部に亘りガス化貯留室20が画成されている。また前記ガス化貯留室20の下方、すなわち焼却炉10の内底部全部および後部分(図の右側の部分)における内部の途中に亘って前記燃焼処理室30が画成される(図4参照)。そして、該燃焼処理室30の2次燃焼部34の上方に、前記集塵煙突40が設けられている。
【0010】前記焼却炉10は、その外側がアロマ加工(アルミニウム金属の表面溶着加工)されたSS41鋼板またはSUS304等のステンレスを溶接等の手段により隙間がないように製缶された箱形形状の外部筐体12で構成され、その内部に必要な断熱機能を有する所定厚さ(部位によって異なる)のレンガ等の耐火物14が断熱および蓄熱のために施されている。前記焼却炉10は、外部に対して隙間ができないように構成されているので、意図的に空気を供給するようにした空気孔60,62(後述)以外からは余分な空気を吸引することがない。すなわち、前記空気孔60,62の開度調整のみで、焼却炉10内への空気量を制御可能となっている。
【0011】前記ガス化貯留室20は、図3(a),(b)に示す如く、燃焼処理する廃棄物Wを予め貯留することが可能となっており、燃焼処理の途中で必要となる廃棄物Wの投入に係る手間を低減させると共に、該廃棄物Wの1次燃焼による燃焼熱を利用して、まだ焼却処理されていない廃棄物Wを乾留して乾留ガスKGを発生させて貯留し得るようになっている。前記外部筐体12の前方に、ガス化貯留室20を開放する開口部20aが設けられると共に、該開口部20aを閉成する投入扉22が開閉可能に配設される。この投入扉22は、前記開口部20aの下部所定位置に設けられた枢支軸24により枢支され、前方側(図3において左側)に引下ろして該開口部20aを開放するよう構成される。
【0012】前記投入扉22の幅方向両端部には、該投入扉22の開放時に投入される廃棄物Wが外部にこぼれるのを防止するためのガイド部22a,22aが設けられ(図3(a)参照)、また該ガイド部22a,22aは、前記開口部20aを閉成する際には、前記ガス化貯留室20内に摺動状態を維持して収納されるようになっている(図3(b)参照)。前記投入扉22の前面には、該扉22の開閉操作を容易に行なう取手22bおよび該投入扉22の閉成時のロックを行なうロックノブ22dが設けられると共に、取手22bの配設位置の近傍における幅方向両側に、投入扉22の開放限界を位置決めするスライドガイド22c,22cが枢支されている。すわわち、ガス化貯留室20の各スライドガイド22cの配設位置に対応する各側面に、該ガイド22cを摺動案内すると共に係合可能な固定部20bが夫々配設され、投入扉22の開放限界位置で固定部20bにスライドイド22cを係合することで該投入扉22を位置決めし得るようになっている。
【0013】前記投入扉22は、前記開口部20aを閉成する際には、前記両ガイド部22a,22aが該ガス化貯留室20内側に摺動的に接するように構成されているので、密閉性が高く、焼却炉10内部で発生している排ガスWG等が漏れることがない。また前記投入扉22は、開放時には前方側に引下ろすことで開放する構造であるので、作業者が開放作業により前記開口部20aに対して下方側に離れた位置に体を自然に移動させることになり、かつ該投入扉22の開口方向が上方に向くので、廃棄物Wの投入等の際に作業者の不測の行動等により開放した開口部20aから吹出した乾留ガスKGで火傷等を負うことを防止し得るようになっている。
【0014】前記燃焼処理室30は、図4に示す如く、1次燃焼部32および2次燃焼部34からなり、該1次燃焼部32で発生する排ガスWGの流れ方向下流側となる下方には、火格子36(後述)が設けられている。そして前記火格子36上に保持されている廃棄物Wを焼却処理することにより発生する排ガスWGは、前記集塵煙突40による吸引力により煙突48から外部に排出されるよう構成される。この1次燃焼部32の前方側には、焼却処理する様々な種類の廃棄物Wに対応すると共に、該1次燃焼部32へ1次空気FAを取入れる複数の1次空気孔60が設けられており、この1次空気孔60は対応する1次空気孔蓋61で夫々密閉的に閉成されるよう構成されている。
【0015】前記火格子36(所謂ロストル)は、前記ガス化貯留室20内に投入・貯留された廃棄物Wを保持するよう、前記燃焼処理室30の1次燃焼部32に設置されると共に、該火格子36の下方に前記2次燃焼部34に連通する下部空間35を画成するべく機能する。この火格子36は、図5に示す如く、幅方向に所定間隔離間して配置した複数の火格子部材36aから構成され、廃棄物Wの燃焼部位に配設される火格子部材36aは、高い耐熱性および耐食性を有するSUS306等が好適に採用される。また火格子部材36aは、交換の頻度を考慮して、例えばローマ数字のIまたはIIといった単純な形状としてある。更に本実施例においては、前記燃焼処理室30内の空気の流れを促進するために、前記火格子部材36aの後方部分が上方に傾斜した所謂逆ヘ字形状となっている。なお、火格子部材36aの配設位置に対応する前部側および後部側に配設される耐火物14には、夫々取付部材36bが取付けられており、上方から前記火格子部材36aを順次載置していくことで、火格子36を容易に形成し得るよう構成される。
【0016】本実施例において前記1次空気孔60は、図6に示す如く、焼却処理する廃棄物Wの種類に合わせて適宜選択的に使用し得るように、焼却炉10の前面下部に、上下に離間して4ヶの1次空気孔60a,60b,60cおよび60dが設けられている。例えば、一般雑芥や通常燃焼時には中央部に位置する1次空気孔60bまたは60cを、熱可塑性樹脂等を多く含む廃棄物や燃焼終期には最も下部に配設されている1次空気孔60dを選択的に開口させることで、より効率的な焼却処理をし得るようにしてある。なお、通常燃焼に多用される前記1次空気孔60bおよび60cに対応した前記1次燃焼部32の所定部位には、耐火物14を施さずに空間38を画成している(図4参照)。すなわち、この空間38を画成することで、前記火格子36上で1次燃焼中の廃棄物Wへの1次空気FAの供給がスムーズとなり、廃棄物Wの1次燃焼が容易に行なわれる。また前記1次空気FAの充分な流入に伴って前記空間38付近の温度は低い状態に維持されるので、前記耐火物14が無いことにより懸念される外部筐体12の対応位置の熱腐食は考慮せずともよい。更に前記空間38により、焼却炉10前面側から容易に前記火格子36上を確認・清掃可能となり、該火格子36上に残留する燃えカス等を処理する際の利便性の向上も期待できる。
【0017】前記各1次空気孔蓋61は、図7に示す如く、対応する1次空気孔60(60a,60b,60c,60d)の閉成時には密閉状態になると共に、開放時には開口面積を容易に調整し得るようになっている。そして前記1次空気孔蓋61は、その傾斜角度(開口角度)を変更可能とするために、1次空気孔60の下部に配設される枢支軸61aに枢支されて手前側に引き倒して開口可能になっており、開口角度を調整することで対応する夫々の1次空気孔60からの1次空気量を容易に変更し得るよう構成される。また1次空気孔蓋61には、1次空気孔60を閉成した際に該1次空気孔60からの空気漏れがないよう、その1次空気孔60側を指向する内面に耐熱および耐火性に優れたパッキン61bが配設されている。このパッキン61bとしては、無機材質の繊維材であるヤーン等が好適に使用される。なお、通常燃焼に多用される前記1次空気孔60bおよび60cは、外部筐体12に対して開閉可能に配設した扉体58に設けられており、該扉体58を開放することで前記空間38に対応する部分の略全面を開口して、前記火格子36上の確認・清掃を容易に行ない得るよう構成してある。
【0018】前記各1次空気孔60の開口面積は上下高さが小さく設定されて、該空気孔60から1次空気FAが高速で引込まれるよう構成される。また1次空気孔60は、1次燃焼部32の幅方向に略均等に1次空気FAを供給し得るように、実施例では横長の長方形状に形成されている。
【0019】前記2次燃焼部34は、前記1次燃焼部32の後方、すなわち燃焼により発生する排ガスWGの下流方向に位置し、該1次燃焼部32において不完全燃焼状態である排ガスWGに再び空気(2次空気SA)を混合して完全燃焼させるようになっている。1次燃焼部32と2次燃焼部34との境界付近上部に、2次燃焼部34に2次空気SAを供給するための複数の2次空気供給孔64が、該2次燃焼部34の全幅に亘って均一に2次空気SAを供給し得るように設けられている(図4参照)。また、前記2次燃焼部34における排ガスWGの流れ方向下流側上部には、集塵煙突40を載置・固定する第1フランジ部80が設けられている。
【0020】前記2次空気供給孔64は、前記1次燃焼部32の幅方向両側面部の外部筐体12と耐火物14との間に画成された空気流路66,66およびチャンバー67を介して、該1次燃焼部32の前面側の所定位置に設けられた2次空気孔62,62に連通している(図4および図5参照)。前記チャンバー67は、焼却炉10の両側面部に位置する前記空気流路66,66から供給される2次空気SAを、2次燃焼部34の全幅に亘って均一に供給するための空気だめとして機能する。また前記2次空気孔62には、図8に示す如く、内部の負圧状態によって開閉自在となっているダンパー62aが設けられており、前記2次燃焼部34が必要とする2次空気SAを調節の必要なしに制御し得るよう構成されている。そして、このダンパー62aは、前記2次燃焼部34からの可燃ガス等の逆流を防止する機能も有している。更に、前記2次空気供給孔64の出口における排ガスWGの流れ方向下流側面には、前記2次空気SAの供給を容易になし得るために、所定角度の切欠64aが設けてある。
【0021】前記燃焼処理室30の下部は、焼却処理した廃棄物Wの燃えカスである焼却灰が溜められる焼却灰貯留部68となっており、前記1次燃焼部32前面の下部に設けられると共に、灰出扉72で密閉的に閉成可能な灰出口70から容易に焼却灰が除去できるように構成されている(図4および図6参照)。前記灰出扉72の外端部には、全周に亘って前述の1次空気孔蓋61に配設したと同様の耐熱および耐火性に優れたパッキン(図示しない)が配設されている。本実施例においては、大部分の焼却灰は前記1次燃焼部32の下部に貯まるので、前記灰出口70は前記1次燃焼部32前面下部にのみ設けられているが、必要に応じて前記燃焼処理室30の側面部または後面部に設けてもよい。
【0022】前記集塵煙突40は、図9に示す如く、下部を構成する集塵部42および該集塵部42の上方に延出し、所望の吸引力を発揮し得る高さを有する煙突48から構成される。前記煙突48の高さは、前記燃焼処理室30に空気を供給する空気孔60,62から充分な量の空気を吸引できる吸引力が得られる程度に設定されるが、焼却炉10の設置場所等の諸要因を考慮して決定される。前記集塵部42は、その外部が集塵部筐体54によって覆われており、集塵機構44(後述)で集塵したフライアッシュ等の煤塵を該集塵部44外部に出さないようになっている。またその内部構造は、前記燃焼処理室30からの排ガスWGを前記集塵部42に案内する円筒形状の内部煙道50によって区分された2重構造となっており、その内側には集塵機構44が、そして外側(内部煙道50と集塵部筐体54との間に画成される空間)には該集塵機構44で集塵・捕集された煤塵を溜める灰溜室47が備えられている。
【0023】前記集塵機構44は、内部煙道50の略中央に配置されて該内部煙道50内のガス流速を調整する流速調整部45と、該流速調整部45の下方に配置される上下2段の斜流部46,46とから構成される。前記流速調整部45は、内部煙道50内に収納された小径筒部45aと、内部煙道50から上方に突出する大径筒部45bとから構成され、該大径筒部45bは小径筒部45aに連なる部分および上部側が略円錐状に形成されている。また前記斜流部46は、前記小径筒部45aの外周において周方向に所定角度毎に設けられ、所定角度傾斜されて内部煙道50の内周面に向かって延出する所謂プロペラ状に配置される複数(本実施例では5枚)の斜流板46aから構成される。この斜流部46は、本実施例においては上下に2段配置されており、排ガスWGの流速に拘わらず高い集塵効率が期待できる。そして前記集塵部42の底部、すなわち内部煙道50および集塵部筐体54の底部には、前記第1フランジ部80に対応して夫々第2フランジ部82および第3フランジ部84が設けられており、第1フランジ部80上に内部煙道50、集塵部筐体54の順で載置され、図示しないボルト・ナット等の締結手段で相互に固定することで集塵部42を形成するようになっている。
【0024】
【実施例の作用】次に、実施例に係る焼却炉の作用につき、焼却方法との関係で説明する。先ず、前記ガス化貯留室20内に、焼却処理対象である廃棄物Wが所定量投入されているものとする。ガス化貯留室20に貯留された廃棄物Wは、前記火格子36を下端としてその上に順次溜められ、該火格子36付近の廃棄物Wの下部に着火することで焼却処理が開始される。
【0025】燃焼が開始されると前記集塵煙突40がもたらす吸引力により、図10(a)に示す如く、その燃焼炎は前記火格子36から下方(下部空間35側)に向って延びることになる。そしてこの燃焼で発生した熱により前記集塵煙突40の吸引力が更に高まり、予め開放状態に設定されている複数の1次空気孔60から火格子36上の廃棄物Wおよび1次燃焼部32内に1次空気FAが供給される。この1次空気FAは、供給部である前記1次空気孔60の大きさが限定的であるため、その流速はかなり早いものである。従って廃棄物Wに対して、燃焼の3要素の1つである空気を供給するだけでなく、前記火格子36付近の雰囲気を攪拌して燃焼効率を向上させ得る。
【0026】充分な空気量および該1次空気FAの攪拌作用により、前記火格子36上の廃棄物Wの燃焼温度は一気に安定的な燃焼温度(例えば1000度以上)まで上昇する。このとき、前記廃棄物Wの燃焼炎は前記集塵煙突40の吸引作用により火格子36から下方に向って延びて燃焼範囲が上方へ広がるのを抑えられているから、燃焼している下部側の廃棄物Wの燃焼熱は、その上部に投入されて燃焼していない廃棄物Wに伝わり、該廃棄物Wが乾留されて可燃成分である乾留ガスKGが発生する。通常であれば、このような乾留ガスKGは燃焼炎により瞬時に燃焼してしまうが、実施例に係る焼却炉10においては、該燃焼炎が吸引力により前記火格子36の下方に延びているので、乾留ガスKGは燃焼されることなく前記ガス化貯留室20内に充満することになる(図10(b)参照)。
【0027】前記ガス化貯留室20内に充満した乾留ガスKGは、前記1次空気孔60からの1次空気FAの流入によって発生する対流(集塵煙突40の吸引作用)により該空気FAと1次空気孔60近傍で混合することになる。するとこの1次空気FAおよび乾留ガスKGの混合部位は、廃棄物Wが燃焼状態になる火格子36付近であり、燃焼の3要素たる可燃物、熱および空気が揃い、瞬時の燃焼によりクリーンな排ガスWGになる(図10(c)参照)。この乾留ガスKGの燃焼により、前記1次空気孔60から取込まれた1次空気FAは酸素分が消費されてしまい、以後に接触する廃棄物Wの燃焼を収める方向に作用する(図10(d)参照)。
【0028】前述のように燃焼炎に対して供給される空気中の酸素が減少すると、それに伴い廃棄物Wの燃焼も収まることになる。すなわち、直接燃焼に関わらず貯留状態にある廃棄物Wに加えられる熱が減少することになり、この結果可燃性の乾留ガスKGの発生も同時に抑えられる。すると、前記1次空気孔60から炉内に取入れられる1次空気FA中の酸素が消費されずに燃焼炎に至るようになるので、再び燃焼炎の勢いが強くなると共に発生熱量も大きくなり、乾留ガスKGの発生量も増大する。
【0029】乾留ガスKGを発生させて炭素分のみとなった廃棄物Wは、供給される1次空気FAにより完全に焼却処理される。詳細に述べると、前記乾留ガスKGの燃焼に使用されずに残留した1次空気FA中の酸素分が、前記炭素化した廃棄物Wの燃焼を徐々に行なうことにより、異常燃焼を引き起こすことなく完全燃焼状態で処理されるに至る。この際に完全燃焼によって発生するクリーンな排ガスWGは、前記集塵煙突40の吸引力により2次燃焼部34に引力される。そして前記排ガスWGは、図11に示す如く、前記2次燃焼部34の手前側に配設されている2次空気供給孔64から供給される2次空気SAにより更に完全燃焼される。例えば、一時的な燃焼バランスの崩れにより黒煙や一酸化炭素等の可燃分が発生しても充分に完全燃焼されることになる。しかも、2次燃焼部34に供給される2次空気SAは、前記1次燃焼部32の両側方に隣接して画成される空気流路66,66を通過することで、該1次燃焼部32の燃焼熱を吸収して加熱されているので、2次燃焼部34で温度を下げて2次燃焼を阻害することはない。
【0030】前記2次燃焼部34で2次燃焼された排ガスWGが、前記集塵機構44を通過することで該ガスWGに付随する煤塵が捕集され、煙突48からは有害物を含まない綺麗なガスのみが排出される。すなわち、上下2段の斜流部46,46を下方から通過する排ガスWGは、螺旋状に回転されつつ流速調整部45における大径筒部45bの下部側の円錐状部によって外径方向に向けられることで、比重の大きい煤塵が確実に分離されて、前記灰溜室47に回収される。また流速調整部45の前記大径筒部45bにおける上部側が略円錐状に形成されているから、煤塵が分離された排ガスWGはその流速を低下させることなく煙突48(上方)に流れ、その吸引力が低下することはない。
【0031】実施例の焼却炉10では、前述した燃焼状態が繰り返され、廃棄物Wの異常燃焼を回避しつつ燃焼状態を最適に保持しながら、該廃棄物Wの燃焼処理を続ける。前述したように、廃棄物Wを構成する可燃物である水素分および炭素分のうち、燃焼が容易である水素分が選択的に燃焼し尽す段階で酸素が消費されてしまい、炭素分に対して使用され得る酸素が充分でないことから黒煙(炭素分)が発生するものであるが、本実施例の場合には、燃焼が容易な水素分等の可燃分を乾留ガスKGとして廃棄物W中より取出すことで、乾留ガスKGおよび炭素分を分離し、かつ完全燃焼が容易である乾留ガスKGを利用することで1次空気FAに含まれる酸素量を調節し、該1次空気FAにより炭素分(所謂炭)を還元雰囲気的な状況で燃焼させることで完全燃焼せしめ、黒煙等の発生を効果的に回避し得るものである。すなわち、廃棄物Wの燃焼状態に伴い該廃棄物Wからの乾留ガスKGの発生量が比例的に調整され、この乾留ガスKGの発生量により該乾留ガスKGを発生させる廃棄物Wの燃焼状態が反比例的に調整されて燃焼バランスを取るので、廃棄物Wの種類に拘わらず定常燃焼状態を維持した焼却処理が可能となる。また廃棄物Wの燃焼状態が定常的に維持されることで異常燃焼の発生が抑えられ、廃棄物Wおよび該廃棄物Wから発生する排ガスの安定的な完全燃焼が可能となり、黒煙等の有害な排ガスを低減し得る。
【0032】ちなみに、実施例に係る焼却炉10の煙突48から排出される排ガス中におけるダイオキシンおよびCOの濃度を、4時間に亘って測定した結果、何れの濃度も極めて低い値を示した。しかも、CO濃度は低い値で安定しており、廃棄物Wが完全燃焼していることが判明した。
【0033】
【変更例】前述の実施例において集塵機構44を構成する流速調整部45および斜流部46は、内部煙道50と一体的に形成されているが、図12に示す如く、該流速調整部45および斜流部46を内部煙道50から分離可能としてもよい。この場合、前記流速調整部45は、内部煙道50の上端部50aの上部に、該内部煙道50と同様の大きさであって所定の高さを有する取付部54に1段目(上部)の斜流部46を介して取付けられており、また2段目(下部)の斜流部46は該流速調整部45にのみ取付けられるように構成してある。また前記内部煙道50の上端部50aには、前記取付部54を容易に位置決めして取付けできるように受部56が設けられている。
【0034】このような構成とすることで、前記集塵機構44(内部煙道50)から一体化された流速調整部45および斜流部46を取外すことが可能となる。前記流速調整部45および斜流部46は、焼却炉10の運転中には高温かつ場合によっては腐食性のガスに晒される過酷な状況下で使用されるので、使用状態によっては劣化が激しいことが予想される。しかしながら変更例の場合、前記流速調整部45および斜流部46を一度にかつ容易に取外し可能であるので、その補修・交換に要する手間等を大きく低減し得る効果が期待できる。
【0035】
【発明の効果】以上に説明した如く、本発明に係る焼却炉および該焼却炉の焼却方法によれば、燃焼が容易な可燃分を乾留ガスとして廃棄物中より取出し、該乾留ガスの燃焼により酸素量を調節した1次空気を廃棄物の燃焼に供するよう構成したので、乾留ガスの発生量と廃棄物の燃焼状態とのバランスが取られ、廃棄物の種類に拘わらず定常燃焼状態を維持した焼却処理が可能となる。また、燃焼状態が定常的に維持されることで異常燃焼の発生が抑えられるので、廃棄物および該廃棄物から発生する排ガスの安定的な完全燃焼が可能となり、黒煙等の有害な排ガスを低減し得る。しかも、一定の燃焼条件を維持するための送風機、排風機およびバーナー等の付帯設備を必要としないので、コストを低廉に抑えることができると共に、小型化を図って設置スペースを小さくし得る利点を有する。
【0036】更に、前記1次燃焼部で発生した排ガスを、2次燃焼部で2次空気と混合して燃焼させることで完全燃焼することができる。すなわち、一時的な燃焼バランスの崩れにより黒煙や一酸化炭素等の可燃分が発生しても充分に完全燃焼することができ、外部に有害なガスが放出されるのを防止し得る。しかも、2次燃焼部に供給される2次空気は、1次燃焼部の両側方に隣接して画成した空気流路を通過して1次燃焼部の燃焼熱により暖められているので、2次燃焼部で温度を下げて2次燃焼を阻害することはない。
【出願人】 【識別番号】591218145
【氏名又は名称】株式会社高林工業所
【出願日】 平成11年6月21日(1999.6.21)
【代理人】 【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
【公開番号】 特開2001−4112(P2001−4112A)
【公開日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【出願番号】 特願平11−174151