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【発明の名称】 燃焼装置
【発明者】 【氏名】永井 逸夫

【氏名】若田 武志

【氏名】城出 浩作

【氏名】亀山 修司

【氏名】忽那 良治

【氏名】畑 秀典

【要約】 【課題】対向燃焼の利点を生かしつつ、鍋等を効率よく加熱することができ、家庭用・業務用のコンロとして好適な燃焼装置の開発を課題とする。

【解決手段】コンロ1は、ハウジング2と、バーナ(燃焼装置)3によって構成されている。バーナ3は、燃焼部10、絞り板11,多孔質体12及び熱線透過体13を備える。燃焼部10には炎孔部材20が配されている。炎孔部材20には、十字形状に交差した溝32が設けられており、溝32の内側には、多数の噴射孔33が設けられている。噴射孔33は、溝32を構成する両側の壁面に設けられ、溝32を介して対向しているので、発生した火炎は互いに衝突する。また燃料ガスが噴射する噴射孔33が十字状に配置されているので、火炎は、平面的な広がりを持って分布する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の燃料ガス噴射孔又は空気噴射孔を有し、これらの噴射孔が対向して配された燃焼装置において、交差した溝を有し、当該溝内に向かって前記噴射孔が開口し、溝を挟んで両側の噴射孔が対向していることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】 複数の燃料ガス噴射孔又は空気噴射孔を有し、これらの噴射孔が対向して配された燃焼装置において、環状の溝を有し、当該溝内に向かって前記噴射孔が開口し、溝を挟んで両側の噴射孔が対向していることを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】 複数の燃料ガス噴射孔又は空気噴射孔を有し、これらの噴射孔が対向して配された燃焼装置において、平面視が凹凸状の空隙部を有し、空隙部の側壁に噴射孔が設けられていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項4】 複数の燃料ガス噴射孔又は空気噴射孔を有し、これらの噴射孔が対向して配された燃焼装置において、外周壁部と、当該外周壁部に囲まれるとともに外周壁部から空隙部を有して配された島状部を有し、外周壁部及び島状部に噴射孔が設けられ、当該噴射孔は空隙部に向かって開口し、外周壁部に設けられた噴射孔と島状部に設けられた噴射孔が対向していることを特徴とする燃焼装置。
【請求項5】 外周壁部は円形状又は多角形状に配され、島状部の形状も円形状又は多角形状であることを特徴とする請求項4に記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼装置に関するものである。本発明の燃焼装置は、家庭用や業務用のコンロとして好適である。
【0002】
【従来の技術】大気汚染は地球規模で発生し、我々の生活環境を破壊しようとしている。そのため各分野で規制がなされ、大気汚染防止の努力がなされているものの、環境改善にはほど遠い状態であると言える。大気汚染の要因の一つであるNOX に関して、わが国の年間総排出量は130万トンであり、そのうちコンロ等の家庭用消費機器からの排出量は、3万トンと推定される。これらの小規模燃焼機器では、ユーザ側の燃焼管理技術によってNOX の排出抑制を行うことは困難であるから、機器の設計・製造段階において低NOX 化を図る必要がある。
【0003】この目的を達成するため方策の一つとして、いわゆる希薄燃焼の採用が挙げられる。ここで希薄燃焼とは、燃料ガスと空気を希薄状態に混合して燃焼させる燃焼方式であり、火炎の温度が比較的低いのでNOX の発生が少ない。しかしながら、希薄燃焼は、火炎が不安定であり、火飛びが発生しやすい。そのため、燃料燃焼量の可変範囲(TDR)が狭いという問題もある。
【0004】そこでこの問題を解決するために、対向燃焼また衝突燃焼と称される燃焼方法が提案されている。対向燃焼は、例えば特開昭62−242762号、特開昭63−14007号、特開昭63−161308号他に開示された技術である。従来技術の対向燃焼を活用したコンロ100は、概ね図11,図12の通りであり、直線的な溝101を有していてその溝101の側壁に多数の炎孔102が設けられたものである。すなわち一方の側壁に設けられた炎孔102と他方の側壁に設けられた炎孔102は、直線的な溝101を介して互いに対向している。従来技術のコンロ100では、空気と燃料ガスとの混合ガスが、炎孔102から溝101内に噴射され、溝101内で火炎を発生させるが、炎孔102が対向し、火炎同士が衝突するので、火飛びが発生しにくく、火炎は安定する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術の燃焼装置は、希薄燃焼であるためNOX の発生が少ない上に、火炎が安定しており火飛びが少なく、TDRも広い。しかしながら、従来技術の燃焼装置は、直線的な溝101を介して炎孔102を対向させるものであるから、全体形状が長細いものとならざるを得ない。これに対して、家庭やレストランで使用される鍋ややかんは、一般的に底が丸い。そのため従来技術の燃焼装置は、鍋等を載せたときに火炎が鍋からはみ出して熱が無駄になったり、鍋の底全体に火炎が行き渡らないといった問題点があった。そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、対向燃焼の利点を生かしつつ、鍋等を効率よく加熱することができ、家庭用・業務用のコンロとして好適な燃焼装置の開発を課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そして上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、複数の燃料ガス噴射孔又は空気噴射孔を有し、これらの噴射孔が対向して配された燃焼装置において、交差した溝を有し、当該溝内に向かって前記噴射孔が開口し、溝を挟んで両側の噴射孔が対向していることを特徴とする燃焼装置である。
【0007】本発明の燃焼装置では、交差した溝を有し、当該溝に向かって前記噴射孔が開口している。そのため従来、直線的であった溝の配置が平面的な広がりを持つものとなり、鍋の底の形状に合致する。また本発明の燃焼装置は、同一の熱量を発生させる従来技術の燃焼装置に比べて、外形が小さい。また本発明の燃焼装置は、従来技術と同様に噴射孔が対向し、火炎が衝突するので、発生する火炎は安定し、かつTDRも広い。
【0008】また同様の課題を解決するための請求項2に記載の発明は、複数の燃料ガス噴射孔又は空気噴射孔を有し、これらの噴射孔が対向して配された燃焼装置において、環状の溝を有し、当該溝内に向かって前記噴射孔が開口し、溝を挟んで両側の噴射孔が対向していることを特徴とする燃焼装置である。
【0009】本発明の燃焼装置では、環状の溝を有し、当該溝に向かって前記噴射孔が開口している。そのため従来、直線的であった溝の配置が平面なものとなり、鍋の底の形状に合致し、外形も小さい。また火炎が安定しTDRも広い。
【0010】さらに請求項3に記載の発明は、複数の燃料ガス噴射孔又は空気噴射孔を有し、これらの噴射孔が対向して配された燃焼装置において、平面視が凹凸状の空隙部を有し、空隙部の側壁に噴射孔が設けられていることを特徴とする燃焼装置である。
【0011】本発明の燃焼装置では、平面視が凹凸状の空隙部を有し、空隙部の側壁に噴射孔が設けられている。そのため火炎は平面的な広がりをもって発生し、鍋の底の形状に合致し、外形も小さい。また火炎が安定しTDRも広い。
【0012】さらに請求項4に記載の発明は、複数の燃料ガス噴射孔又は空気噴射孔を有し、これらの噴射孔が対向して配された燃焼装置において、外周壁部と、当該外周壁部に囲まれるとともに外周壁部から空隙部を有して配された島状部を有し、外周壁部及び島状部に噴射孔が設けられ、当該噴射孔は空隙部に向かって開口し、外周壁部に設けられた噴射孔と島状部に設けられた噴射孔が対向していることを特徴とする燃焼装置である。
【0013】本発明の燃焼装置は、外周壁部から空隙部を有して配された島状部を有し、外周壁部及び島状部に噴射孔が設けられている。そのため噴射孔の配置は平面的な広がりを持ち、鍋の底の形状に合致する。また本発明の燃焼装置は、同一の熱量を発生させる従来技術の燃焼装置に比べて外形が小さい。また本発明の燃焼装置は、従来技術と同様に噴射孔が対向し、火炎が衝突するので発生する火炎は安定し、かつTDRも広い。
【0014】上記した請求項4に記載の発明を改良した請求項5に記載の発明は、外周壁部は円形状又は多角形状に配され、島状部の形状も円形状又は多角形状でることを特徴とする請求項4に記載の燃焼装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下さらに本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の燃焼装置を採用したコンロの断面図である。図2は、図1の、コンロの燃焼部の斜視図である。図3は、図1のコンロで使用する炎孔部材の斜視図である。図4は、本発明の他の実施形態におけるコンロの燃焼部の斜視図である。図5,6は、炎孔部材の変形例を示す平面図である。図7は、本発明の他の実施形態におけるコンロの燃焼部の斜視図である。図8は、図7の燃焼部に使用する炎孔部材の斜視図である。図9、図10は、本発明のさらに他の実施形態におけるコンロの燃焼部の斜視図である。図1において、1は、本発明の実施形態のコンロを示す。コンロ1は、主として家庭で使用されることを意図したものであり、大きくハウジング2と、バーナ(燃焼装置)3によって構成されている。
【0016】順次説明すると、ハウジング2は、亜鉛引き鉄板やブリキ、あるいはステンレススチール等によって作られた四角形状をした箱であり、天面に開口4が設けられている。当該開口4は、燃焼ガスが排出される孔であり、開口4の周囲には、五徳5が設けられている。またハウジング2の側面には、空気導入用の開口6が設けられている。開口6には、図示しないファンが接続される。さらにハウジング2の底面には、ノズル7が取り付けられている。ノズル7は、燃料ガスを噴射するものであり、図示しないプロパンガスボンベに接続されている。
【0017】ハウジング2の内部は、二重構造となっており、空隙8をおいて仕切り9が設けられている。仕切り9は、底面と側面を持つものであり、前記したノズル7は、仕切り9の底面を貫通し、仕切り9の内部に開口している。
【0018】バーナ3は、図2の様に、大きく燃焼部10、絞り板11,多孔質体12及び熱線透過体13によって構成されている。燃焼部10は、下部材14,中間部材15及び蓋部材16によって構成されたケース17を持ち、その内部に炎孔部材20が配されたものである。すなわちケース17の下部材14は、筒状であり、一端側(図面 上側)が開放され、他端側(図面 下側)は中心部分に設けられた開口21を除いて閉塞している。また開放側にはフランジ23が設けられている。
【0019】中間部材15は、一端(図面 下側)にフランジ25を持ち、他端側が開放された部材である。また蓋部材16は、中央部分に開口27が設けられた部材である。蓋部材16の開口周辺は、垂直方向に折り返されている。ケース17は、上記した下部材14,中間部材15及び蓋部材16の三者が重ねられたものであり、その内部は、仕切り板28によって二室に仕切られている。そしてこの内の下側の一室が混合室30として機能し、上側は燃焼室31として機能する。ただし仕切り板28は、通気性を持つので、混合室30と燃焼室31の間でガスは自由に行き来する。
【0020】炎孔部材20は、プレスした薄い鋼板を多数重ねたものであり、全体形状は図3の様に高さの低い円柱状をしている。そして中央には、十字形状に交差した溝32が設けられている。すなわち炎孔部材20を平面視すると、凹凸状をした空隙が設けられており、当該空隙は十字形状をしている。
【0021】炎孔部材20の溝32の内側には、多数の噴射孔33が設けられている。当該噴射孔33は、溝32を構成する両側の壁面に設けられており、溝32を介して対向している。炎孔部材20は外周面に多数の導入孔35があり、前記した溝32内の噴射孔33は、外部の導入孔35と連通している。炎孔部材20の底は封鎖されており、炎孔部材20の底部から溝32側へのガスの流入はない。
【0022】炎孔部材20は、ケース17の燃焼室31の中央に配置されているが、炎孔部材20の外径は、燃焼室31の内径よりも小さい。そのため炎孔部材20と燃焼室31の内壁との間には図2の様に空隙36がある。炎孔部材20の溝32は、前記したケース17の蓋部材16の開口27と面しており、溝32は開口27を介して外部に露出している。一方、炎孔部材20の頂面の外周寄りに部位は、図示しないパッキングを介して蓋部材16の内面と接している。従って空隙36と外部とは、炎孔部材20の導入孔35及び噴射孔33を経由してのみ連通する。
【0023】絞り板11は、厚さが3mm〜10mm程度の円板であり、中央に燃焼ガス通過開口34が設けられている。
【0024】多孔質体12は、具体的にはセラミック製のポーラス体である。多孔質体12の材質は、チタン酸アルミニウム、ムライト、コージライト或いはこれらの混合材料が使用可能であるが、耐熱性が優れるという点で、チタン酸アルミニウムが最も適切である。多孔質体12の厚さは3mm〜20mm程度、より好ましくは3mm〜10mm程度である。また多孔質体12の気孔率は、75%〜85%である。
【0025】多孔質体12の形状は、円板状である。多孔質体12の裏面(上流側)の中心には、円形の閉塞部材37(図1)が設けられており、当該部分は通気性が無い。閉塞部材37には、円形の金属板や、円形の耐熱製セラミック、あるいはアルミナやシリカ等の耐熱性の無機粉末を適当なバインダーで固めて成形した成形物が活用できる。
【0026】熱線透過体13は、液体は通過しえないが、赤外線等の熱線は透過するものであり、透明な耐熱部材が採用され、具体的には石英ガラスが使用されている。熱線透過体13は円板状であり、中央に開口38が設けられている。なお熱線透過体13は、鍋からのふきこぼれが、バーナ3内に落ち込むことを防止する機能を果たすものである。
【0027】バーナ3は、前記した燃焼部10の上に絞り板11が載せられ、さらにその上に多孔質体12が配され、最も上部に熱線透過体13が配されたものである。そしてそれぞれの間には、パッキンが配され、隙間からガスが漏れない様に工夫されている。
【0028】またバーナ3は、図1の様にハウジング2の仕切り9内に配され、バーナ3のケース17の開口21は、ノズル7の近傍に位置する。一方、熱線透過体13は、ハウジング2の頂面に設けられた開口4から外部に露出している。また炎孔部材20の溝32内には、点火部材40が配されている。
【0029】次に、本実施形態のコンロ1の作用について説明する。コンロ1は、図示しない送風機からの送風を受け、開口6からハウジング2内に通風され、同時に図示しないプロパンガスボンベからノズル7を経てハウジング2内に燃料ガスが導入されて使用される。すなわち開口6からハウジング2内に入った送風は、図1の矢印の様に仕切り9の上部と、バーナ3との間を通って、バーナ3の下部(図面の位置関係を基準とする)と仕切り9の底部との間の隙間に入る。一方、燃料ガスは、ノズル7から噴射され、同じく仕切り9とバーナ3の下部との間の隙間に入る。そして燃料ガスと空気は、共にバーナ3の開口21からバーナ3の混合室30に入り、両者は混合される。ここで、本実施形態のコンロ1では、混合室30内において、燃料ガスと空気が希薄状態(空気過剰率1.4〜1.7)に予混合される。
【0030】そしてこの予混合されたガスは、仕切り板28を通過し、燃焼室31に流れる。ここで燃焼室31に設けられた炎孔部材20は、底部が閉塞されているので、ガスは、炎孔部材20の周囲とケース17の内面との間の空隙部36に流れ込むこととなる。そしてガスは、炎孔部材20の外周部にある導入孔35から炎孔部材20の内部に入り、溝32の内壁に設けられた噴射孔33から溝32内に噴射される。そして点火部材40により、ガスに点火され、火炎が発生する。ここで本実施形態のコンロ1では、燃料ガスを噴射する噴射孔33は、溝32の内壁に設けられ、噴射孔33は溝32を挟んで対向しているので、発生した火炎は互いに衝突する。そのため本実施形態のコンロ1は、安定した状態で燃焼する。加えて本実施形態では、燃料ガスが噴射する噴射孔33が十字状に配置されているので、噴射孔33は、平面的な広がりを持って分布する。そのため火炎は、平面的広がりをもって発生する。
【0031】そして本実施形態のコンロ1では、火炎および燃焼ガスは、絞り板11によって絞られ、図1の様に絞り板11の燃焼ガス通過開口34を経て空洞部39内に入る。ここで、燃焼ガスは、燃焼ガス通過開口34を通過する際に多孔質体12に対して垂直方向に方向づけられ、さらに中央部分から多孔質体12に当たる。しかしながら、本実施形態では、多孔質体12の中央部分には閉塞部材37が設けられているので、燃焼ガスは閉塞部材37が邪魔板的に作用して空洞部39の全体に広がる。そのため、多孔質体12は、その裏面(上流側)が均一に加熱される。そして燃焼ガスは、多孔質体12の中を抜け、五徳5側に至る。多孔質体12を抜けた燃焼ガスは、熱線透過体13の開口38から外部に噴射し、五徳5に載置された鍋(図示せず)の底に当たって鍋を加熱する。
【0032】一方、燃焼ガスが多孔質体12を通過する際に、多孔質体12が加熱され、多孔質体12が赤熱する。その結果、多孔質体12から熱線が放射され、当該熱線は、熱線透過体13を透過して五徳5に載置された鍋(図示せず)の底に照射される。そのため鍋は、多孔質体12から放射される熱線によっても加熱される。そのため本実施形態のコンロ1は、燃焼ガスによる対流加熱と、熱線による輻射加熱の双方によって鍋等を加熱することができ、熱効率が高いという効果がある。また前記した様に、本実施形態のコンロ1では、燃焼部10において火炎が平面的な広がりをもって発生するので、鍋等の底を無駄なく加熱することができる。さらに本実施形態のコンロ1は、燃料ガスを希薄な状態で燃焼させるので、NOX の発生が少ない。
【0033】以上説明した実施形態のコンロ1を、燃焼ガスと空気との混合時期の観点から観察すると、予混合方式と称される形式に分類される。すなわち上記したコンロでは、混合室30を持ち、当該混合室で、燃焼ガスと空気とを所定の割合に混合した後、噴射孔から混合ガスを噴射させ、火炎を発生させる。この方式は、燃焼ガスと空気との混合が十分に行われるので、火炎が安定するという利点がある反面、逆火が発生しやすいという欠点を持つ。これに対して拡散方式と称される形式が知られており、この方式は、火炎の安定性は劣るものの逆火が少ないという利点がある。
【0034】すなわち拡散方式は、燃料ガスそのもの又は、高濃度の燃料ガスと、空気又は非常に希薄な燃料ガスとを別々の噴射孔から噴射させ、燃焼の直前で両者を混合するものである。この拡散方式を採用するコンロについても、本発明は適用可能であり、以下その例について説明する。
【0035】図4は、拡散方式を採用するコンロを示すものである。図4に示す部位は、燃焼部50だけであるが、バーナの他の構成、例えば絞り板11,多孔質体12及び熱線透過体13等は、先の例と同一であるから省略する。また図示した部材の中で、先の実施形態と同一の機能を果たす部材には、同一の番号を付している。コンロのハウジング2についても先の例と略同一であるので詳細な説明を省略する。
【0036】本実施形態で採用する炎孔部材51は、先の構成に比べて底部分の構造だけが異なる。すなわち先に例示した炎孔部材20では、底面が閉塞されていたのに対し、本実施形態で採用する炎孔部材は、溝部32の底の部位に多数の小孔52が設けられている。炎孔部材51の他の構成は、先に説明した例と同一であり、プレスした薄い鋼板を多数重ねたものであり、全体形状は高さの低い円柱状をし、中央には、十字形状に交差した溝32が設けられている。そして炎孔部材51の溝32の内側には、多数の噴射孔33が設けられている。当該噴射孔33は、溝32を構成する両側の壁面に設けられており、溝32を介して対向している。また炎孔部材51の外観は、前記した炎孔部材20(図3)と同一であり、外周面に多数の導入孔35がある。そして前記した溝32の噴射孔33は、外部の導入孔と連通している。
【0037】また炎孔部材51の上流側、すなわち底面(図面の姿勢を基準)には、燃料ガス室53が設けられており、当該燃料ガス室53には2本のガス導入管55が接続されている。ガス導入管55は、図示しないプロパンガスボンベに接続されている。従って、燃料ガス室53内は、燃料ガスたるプロパンガスで満たされ、炎孔部材51の溝32の底部分の小孔52から、燃焼ガスが噴射される。
【0038】また本実施形態で採用するケース56では、底面に空気導入管57が接続されている。空気導入管57は、図示しない送風機と接続されており、ケース56の内部に空気を導入するものである。ケース56の内部を見ると、ケース56は、内部に仕切り板に相当する部材を持たない。そのため本実施形態では、図示しない送風機からの送風は、空気導入管57を経てケース56の内部に入り、直接的に炎孔部材の導入孔35に入る。そして溝32の内壁に設けられた噴射孔33から溝32内に噴射される。そしてさらに溝32内で底の小孔52から噴射された燃焼ガスと衝突し、燃焼ガスと空気が希薄状態(空気過剰率1.4〜1.7)に混合される。また噴射孔33は、溝32の内壁の両側に設けられているので、混合されたガス同士がただちに衝突する。そのため発生した火炎は互いに衝突することとなり、安定した状態で燃焼する。火炎及び燃焼ガスの、その後の流れは、先の実施形態と全く同一である。
【0039】以上説明した実施形態では、炎孔部材20,51に十字形状の溝が設けられたものを例示し、十字の溝は、溝幅が等しいものを図示した。しかしながら、本発明は、この様な溝幅が等しいものに限定されるものではなく、例えば図5に示す様に、中央部分に向かって溝幅が広がったものであってもよい。また図6の様に星型に近いものであってもよい。すなわち平面視したとき、炎孔部材が凹状に凹んだ部位58と、凸状にとびだした部位59を持つ空隙64が設けられ、この空隙の凹凸形状をした内壁に噴射孔が設けられたものであればよい。
【0040】また溝の平面形状は、十字状のものに限定されるものではなく、「T」字状や「Y」字状、或いは「米」字状であってもよい。さらに溝の形状は直線状である必要はなく、曲線状であってもよい。溝の形状に曲線を採用する場合には、環状のものを採用することが望ましい。次に、環状の溝を有する例について説明する。
【0041】図7は、環状の溝を有する炎孔部材を使用したコンロの燃焼部を示すものである。本実施形態で採用する燃焼部60は、炎孔部材61の構成を除いて図2で説明した燃焼部10と同一であるから、説明は、炎孔部材61の構成に重点を置き、他の部分については図面に先と同一の番号を付することによって重複した説明を省略する。
【0042】本実施形態で採用する炎孔部材61は、図8の様に、外周壁部62と島状部63によって構成される。すなわち外周壁部62は、高さの低い円筒状をしており、外周壁部62の内側には、多数の噴射孔33が設けられている。また外周壁部62の外周面には多数の導入孔35があり、前記した内部の噴射孔33は、外部の導入孔35と連通している。外周壁部62で囲まれた空間の中心には、島状部63が設けられている。島状部63の形状は円柱状であり、外周壁部62と島状部63との間には、一定間隔の空隙があり、当該空隙が環状の溝65を構成している。島状部63の外周部、すなわ溝65側であって外周壁部62の噴射孔33に対向する部位にも噴射孔66が設けられている。また島部材63の内部には図7の様に空洞部67が設けられており、その内面に多数の導入孔78があり、前記した島部材63の噴射孔66は、外部の導入孔78と連通している。本実施形態で採用する炎孔部材61では、底面は、島状部63の部位に開口68を持ち、他の部位は閉塞している。そのため島状部63の空洞部67には、底部からガスが導入されるが、溝65には、底部からのガスの流入はない。
【0043】本実施形態で採用する燃焼部60は、図1,2で説明した構成と同様に、ノズル7から噴射された燃料ガスと、図示しない送風機によって作られた送風が、開口21からバーナ3の混合室30に入り、両者は混合される。本実施形態のコンロ1においても、混合室30内で、燃料ガスと空気が希薄状態(空気過剰率1.4〜1.7)に予混合される。
【0044】そしてこの予混合されたガスは、仕切り板28を通過し、燃焼室31に流れる。ここで燃焼室31に設けられた炎孔部材61は、島状部63を除いて底部が閉塞されているので、ガスは、炎孔部材61の周囲とケース17の内面との間の空隙部36と、島状部63の内部の空洞部67に流れ込むこととなる。そして外周壁部62においては、ガスは、炎孔部材61の外周部にある導入孔35から炎孔部材61の内部に入り、外周壁部62の内面に設けられた噴射孔33から溝65内に噴射される。
【0045】一方、島状部63の空洞部67に入ったガスは、内部の導入孔78から島状部63の中に入り、噴射孔66から噴射される。ここで島状部63の噴射孔66は、環状の溝67を挟んで外周壁部62の噴射孔33と対向しているから、噴射孔33及び噴射孔66から噴射されたガスは衝突する。そしてこの状態で点火されると、発生する火炎は、互いに衝突する。また燃料ガスが噴射する噴射孔33,66が環状に配置されているので、火炎は平面的広がりをもって発生する。
【0046】上記した実施形態は、炎孔部材の外周壁部の内外形状を円形とし、さらに島状部材の外形も円形のものを採用したが、これらの形状は、円形に限らず、楕円形や多角形であってもよい。図9は、炎孔部材の形状に多角形を採用した例を示すものである。すなわち図9に示す燃焼部80では、外周壁部81の外形が八角形であり、内側の形状も八角形である。また島部材82の外形形状についても、八角柱状である。
【0047】さらに上記した環状の溝を有する構成においても、勿論拡散方式の採用が可能である。図10は、環状の溝を有する炎孔部材91を採用する拡散方式の燃焼部90を示すものである。図10に示した燃焼部90では、炎孔部材91は、溝67の底部に小孔92が多数設けられている。またケース56については、前記した図4の構成と略同一である。すなわち炎孔部材91の上流側には、燃料ガス室53が設けられており、当該燃料ガス室53には2本のガス導入管55が接続されている。ガス導入管55は、図示しないプロパンガスボンベに接続されている。従って、燃料ガス室53内は、燃料ガスたるプロパンガスで満たされ、炎孔部材91の溝32の底部分の小孔92から、燃焼ガスが噴射される。ただし、燃料ガス室53は、ドーナツ状であって中心部分に孔93が設けられている。そのため炎孔部材91の島状部の空洞部67には、空気が導入される。
【0048】本実施形態においては、図示しない送風機からの送風は、ケース56の内部に入り、直接的に炎孔部材91の外周壁部の導入孔35及び島部材の導入孔78に入る。そして外周壁部62の内側に設けられた噴射孔33と、島部材の噴射孔66から溝内に空気が噴射される。そして溝32内で、底の小孔92から噴射された燃焼ガスと空気とが衝突し、燃焼ガスと空気が希薄状態に混合される。そして点火部材40により、ガスに点火され、火炎が発生する。火炎及び燃焼ガスの流れは、先の実施形態と全く同一である。
【0049】上記した実施形態では、燃料ガスとして、プロパンガスを例示したが、ガスの種類についてはこれに限定されるものではなく、他のあらゆる燃料ガスを使用することができる。
【0050】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の燃焼装置は、従来技術と同様に噴射孔が対向し、火炎が衝突するので発生する火炎は安定し、かつTDRも広い。そのため燃料が希薄状態で燃焼させることが可能であり、コンロ等の低NOX 化に寄与することができる効果がある。特に請求項1に記載の燃焼装置は、交差した溝を持ち、当該溝に向かって前記噴射孔が開口しているので、噴射孔の配置が平面的な広がりを持つ。また請求項2に記載の燃焼装置は、環状の溝を有し、当該溝に向かって前記噴射孔が開口しているので、噴射孔の配置が平面的な広がりを持つ。さらに請求項3に記載の燃焼装置は、平面視が凹凸状の空隙部を有し、空隙部の側壁に噴射孔が設けられているので、噴射孔の配置が平面的な広がりを持つ。そのため請求項1乃至3に記載の燃焼装置は、火炎の分布を鍋の底の形状に合致させやすいという効果がある。また本発明の燃焼装置は、同一の発熱量を発生させる従来技術の燃焼装置に比べて外形が小さいという効果がある。
【0051】また請求項4の燃焼装置は、外周壁部から空隙部を有して配された島状部を有し、外周壁部及び島状部に噴射孔が設けられている。そのため噴射孔の配置は平面的な広がりを持ち、火炎の分布を鍋の底の形状に合致させやすいという効果がある。また本発明の燃焼装置は、同一の発熱量を発生させる従来技術の燃焼装置に比べて外形が小さいという効果がある。
【0052】請求項5に記載の発明は、外周壁部と島状部が円形状又は多角形状であるため、火炎は平面的に広がり、熱効率をさらに高めることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000001144
【氏名又は名称】工業技術院長
【出願日】 平成11年8月30日(1999.8.30)
【代理人】 【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
【公開番号】 特開2001−65819(P2001−65819A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−243274