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【発明の名称】 ラジアントチューブバーナ
【発明者】 【氏名】雫石 伸

【要約】 【課題】ラジアントチューブでは、炉壁内に位置する部分、即ち炉壁内対応部分を加熱する必要はなく、この部分をバーナ火炎で加熱すると、その過熱が生じ、燃焼効率の悪化、チューブ変形等の問題が生じる。そこで、このような問題が生じるのを防止するために、従来は、バーナの保炎部を炉の加熱室に近い部分に設置したり、保炎部を炉の外側に設置する場合には、ラジアントチューブの炉壁内対応部分の内面に耐火断熱材を設置する等の工夫が行われているが、前者のものでは、着火装置の変形や絶縁性の劣化等の問題が生じること、メンテナンス作業が困難であること、大きなスペースが必要であること等の課題があり、後者では耐火断熱材が過熱されることによるNOxの増加や圧力損失の悪化等の課題がある。

【解決手段】そこで本発明では、ラジアントチューブ1の炉壁内対応部分8の内壁に沿って、多数の耐火性部材の小径チューブ11を設置する等の構成により、筒状の軸方向流路9を構成したラジアントチューブバーナを提案するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ラジアントチューブの炉壁内対応部分の内壁に沿って、耐火性部材による筒状の軸方向流路を構成したことを特徴とするラジアントチューブバーナ【請求項2】 筒状の軸方向流路は、ラジアントチューブの内径よりも僅かに小径の耐火性部材のチューブを、ラジアントチューブと同軸に設置して構成したことを特徴とする請求項1に記載のラジアントチューブバーナ【請求項3】 筒状の軸方向流路は、多数の耐火性部材の小径チューブを内壁に沿って環状に設置して構成したことを特徴とする請求項1に記載のラジアントチューブバーナ【請求項4】 多数の耐火性部材の小径チューブのうちの適数を、炉壁内対応部分よりも長く構成して、それらの先端側を炉壁内対応部分を越えて奥側に位置させることを特徴とする請求項3に記載のラジアントチューブバーナ【請求項5】 多数の耐火性部材の小径チューブのうちの適数は、複数段階で炉壁内対応部分よりも長く構成したことを特徴とする請求項4に記載のラジアントチューブバーナ【請求項6】 筒状の軸方向流路の内側に内側軸方向流路を構成し、内側軸方向流路は、先端側の端部を外側の軸方向流路よりも内側に構成したことを特徴とする請求項1〜5までのいずれか1項に記載のラジアントチューブバーナ【請求項7】 内側軸方向流路は、外側の筒状の軸方向流路の内径よりも僅かに小径の耐火性部材のチューブを同軸に設置して構成したことを特徴とする請求項6に記載のラジアントチューブバーナ【請求項8】 内側軸方向流路は、多数の耐火性部材の小径チューブを外側の筒状の軸方向流路の内側に環状に設置して筒状に構成したことを特徴とする請求項6に記載のラジアントチューブバーナ【請求項9】 内側軸方向流路は、外側の筒状の軸方向流路の内側に適数の耐火性部材の小径チューブを設置して構成したことを特徴とする請求項6に記載のラジアントチューブバーナ
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はラジアントチューブバーナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ラジアントチューブバーナは、断熱材等から成る炉壁を通して加熱室内に設置した細い管内で燃焼を行い、その管からの放射によって炉内の被加熱物を間接加熱するものであり、図8は従来の通常のラジアントチューブバーナの一例を示すものである。図8に示すように、ラジアントチューブでは、炉壁内に位置する部分、即ち炉壁内対応部分を加熱する必要はなく、この部分をバーナ火炎で加熱すると、チューブの過熱が生じ、燃焼効率の悪化、チューブ変形等の問題が生じる。そこで、このような問題が生じるのを防止するために、従来は、次のような工夫が行われている。
【0003】a.図8に示すように、バーナの保炎部を炉の加熱室に近い部分、即ち炉の外側から見て奥側に設置して、火炎が上記炉壁内対応部分を加熱することを防止する。b.図9に示すように、バーナの保炎部をaとは異なり、奥側ではなく炉の外側に設置する場合、ラジアントチューブの炉壁内対応部分の内面に耐火断熱材を設置する。c.チューブ両端にリジェネレイティブバーナを設置する場合、図10に示すように、aと同様にバーナの保炎部を炉の加熱室に近い部分に設置し、ラジアントチューブの炉壁内対応部分に蓄熱体を設置する。尚、図8〜図10に示すラジアントチューブバーナの構成及び動作は、図中の要素の説明により自明であるので、それらの説明は省略する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上にあげた従来技術では、次のような課題がある。
(1) 保炎部を奥側に設置するa,cでは、図8,図10に示されるように、パイロットバーナやスパークロッド等の着火装置を保炎部に応じて奥側まで挿入する必要があり、このためラジアントチューブ内での熱放射の影響による変形、絶縁性の劣化等の問題が生じやすい。またこのような問題が発生した場合に、着火装置を取り出し、そして再度装着する等のメンテナンス作業が難しくなると同時に、着火装置を引き出すために、バーナの後方に大きなスペースが必要となる。
(2) バーナを炉の外側に設置し、ラジアントチューブの炉壁内対応部分に耐火断熱材を施工するbでは、着火装置のメンテナンスや過熱による問題は回避できるが、ラジアントチューブ内面に施工した耐火断熱材が火炎に炙られ、高温になることによって窒素酸化物(NOx)の排出濃度が増加すると共に、ラジアントチューブの口径、即ち流路が狭められて圧力損失が増加し、燃焼用空気及び燃料ガスの供給圧力が高めとなる。
本発明はこのような課題を解決することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために本発明では、ラジアントチューブの炉壁内対応部分の内壁に沿って、耐火性部材による筒状の軸方向流路を構成したラジアントチューブバーナを提案する。
【0006】本発明では、上記の構成において、筒状の軸方向流路は、ラジアントチューブの内径よりも僅かに小径の耐火性部材のチューブを、ラジアントチューブと同軸に設置して構成すること、又は多数の耐火性部材の小径チューブを内壁に沿って環状に設置して構成することを提案する。
【0007】そして本発明では、多数の耐火性部材の小径チューブを内壁に沿って設置して構成するものにおいて、多数の小径チューブのうちの適数を、炉壁内対応部分よりも長く構成して、それらの先端側を炉壁内対応部分を越えて奥側に位置させることを提案する。そしてこの場合、適数は複数の段階で炉壁内対応部分よりも長く構成することを提案する。
【0008】また本発明では、以上の構成において、筒状の軸方向流路の内側に内側軸方向流路を構成し、内側軸方向流路は、先端側の端部を外側の軸方向流路よりも内側に構成することを提案する。
【0009】そして、本発明では、上記の構成において、内側軸方向流路は、外側の筒状の軸方向流路の内径よりも僅かに小径の耐火性部材のチューブを同軸に設置して構成することを提案する。
【0010】また本発明では、上記の構成において、内側軸方向流路は、多数の耐火性部材の小径チューブを外側の筒状の軸方向流路の内側に環状に設置して筒状に構成すること、又は内側軸方向流路は、外側の筒状の軸方向流路の内側に適数の耐火性部材の小径チューブを設置して構成することを提案する。
【0011】以上の本発明によれば、端部からラジアントチューブ内に流入した燃焼用空気の一部は筒状の軸方向流路を流れるので、バーナの保炎部を炉の外側に設置することによりラジアントチューブの炉壁内対応部分の位置に火炎が形成されても、筒状の軸方向流路を流れる燃焼用空気が熱を奪って伝熱を遮断するためラジアントチューブの炉壁内対応部分は過熱されない。また、軸方向流路を流れる燃焼用空気により、流路を構成する耐火性部材自体の過熱も抑制される。そして、このようにラジアントチューブの炉壁内対応部分への伝熱を遮断するための部材がラジアントチューブ内に設置されていても、この部材は軸方向流路を構成するものであるから、従来の耐火断熱材のように圧力損失が増加することは少ない。
【0012】多数の耐火性部材の小径チューブを内壁に沿って配置することにより軸方向流路を構成する場合には、それらのうちの適数を炉壁対応部分よりも長く構成して、それらの先端側を炉壁対応部分を越えて奥側に位置させることにより、これらの小径チューブからの空気の流出位置を異ならせることができ、こうして容易に三段階以上の多段燃焼が可能となる。
【0013】またラジアントチューブの炉壁内対応部分の内壁に沿って構成した筒状の軸方向流路の内側にも軸方向流路を構成することができ、この内側軸方向流路は炉壁内対応部分よりも短く構成することができるので、先端側の端部を外側の軸方向流路よりも内側に構成することにより、空気の流出位置を異ならせて多段燃焼を行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は本発明に係るラジアントチューブバーナの第1の実施の形態を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−AA線断面図である。図1において、符号1はラジアントチューブ、2は断熱材等から成る炉壁であり、炉壁2の図中右側が炉内の加熱室、左側が炉の外側である。炉の外側に位置するラジアントチューブ1の端部には、燃焼用空気供給管3と燃料ガス供給管4を設けており、燃料ガス供給管4の先端側にはカップ状保炎器5を設けている。そしてパイロットバーナ又はスパークロッド等の着火装置6の着火部をカップ状保炎器5の内側に位置させており、またカップ状保炎器5の後壁には連通口7を形成している。符号8はラジアントチューブ1の炉壁内対応部分を示すもので、この炉壁内対応部分8の内壁に沿って、セラミック、セラミック多孔質体等の耐火性部材により形成した筒状の軸方向流路9を構成している。この実施の形態では、軸方向流路9は、多数の耐火性部材の小径チューブ11を炉壁内対応部分8の内壁に沿って設置して構成している。
【0015】以上の構成においては、燃料ガス供給管4からカップ状保炎器5を経てラジアントチューブ1の軸方向中央側に供給された燃料ガスと、燃焼用空気供給管3からラジアントチューブ1の端部に供給されて中央側に至った燃焼用空気とが、カップ状保炎器5の下流側において混合して燃焼が行われる。この際、燃焼用空気の一部は連通口7を経てカップ状保炎器5内に流入して保炎が行われる。一方、ラジアントチューブ1の端部に供給された燃焼用空気の一部は、軸方向流路9を構成する小径チューブ11の上流側端部から流入して流れ、下流側端部から流出して燃焼に供される。従って、以上の構成においては、カップ状保炎器5の下流側において燃料ガスと混合する燃焼用空気を一次空気、そして軸方向流路9の下流側端部から流出して燃焼に供される燃焼用空気を二次空気とする二段燃焼が行われる。
【0016】以上の燃焼状態において、火炎10は(a)の2点鎖線で示すように、炉の外側に位置するカップ状保炎器5からラジアントチューブ1の炉壁内対応部分8の中央を経て炉内方向に形成されるため、筒状の軸方向流路9を構成する小径チューブ11が加熱されるが、軸方向流路9を流れている燃焼用空気が熱を奪うため、伝熱が遮断され、従ってラジアントチューブ1の炉壁内対応部分8は過熱されない。このため炉壁内対応部分8の過熱に起因する燃焼効率の悪化やチューブ変形等の問題の発生が防止される。軸方向流路9は、このように炉壁内対応部分8の過熱に起因する問題の発生を防止するものであるから、その長さは、炉壁内対応部分8の長さよりも適宜短く(例えば数cm程度)構成することもできるし、また後述するように適宜長く構成することもできる。このように炉壁内対応部分8の過熱を防止するための耐火断熱材として作用する多数の小径チューブ11は軸方向流路9を構成するものであるから、従来の耐火断熱材のように圧力損失が増加することは少ない。一方、軸方向流路9を流れる燃焼用空気は、同時に軸方向流路9を構成する耐火性部材である小径チューブ11自体の過熱も抑制するので、この過熱に起因する窒素酸化物(NOx)の増加を抑制することができる。加えて、軸方向流路9を設けたことにより、上述したとおり二段燃焼が行われるため、その効果によりNOxが低減される。
【0017】次に図2は本発明に係るラジアントチューブバーナの第2の実施の形態を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は図1のA−AA線に相当する個所の断面図であるが、(a)は(b)のB−BB線で切断した縦断面図である。この第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、軸方向流路9は、多数の耐火性部材の小径チューブ11を炉壁内対応部分8の内壁に沿って配置して構成している。しかしながら、この第2の実施の形態では、多数の小径チューブ11は、適数を炉壁内対応部分8よりも長く構成して、それらの先端側を炉壁内対応部分8を越えて奥側に位置させている。(b)に示す例は、多数の小径チューブ11の一つ置きに長く構成したものであるが、二つ置きに長くしたり、又は規則的ではなく適宜の個所を長くしたりと適宜に設計することができる。尚、図2においては、炉壁内対応部分8に対応させた長さの小径チューブは11a、それよりも長くした小径チューブは11bとして符号を付している。第2の実施の形態のその他の構成要素と作用は、第1の実施の形態と同様であるので、対応する要素に同一の符号を付し、重複する説明は省略する。この第2の実施の形態では、カップ状保炎器5の下流側において燃料ガスと混合する燃焼用空気を一次空気、そして軸方向流路9を構成する小径チューブ11aを流れ、その下流側端部から流出して燃焼に供される燃焼用空気を二次空気、小径チューブ11bを流れ、その下流側端部から流出して燃焼に供される燃焼用空気を三次空気とする三段燃焼が行われる。以上の例では、多数の小径チューブ11は2段階で長さを異ならせているが、それ以上の段階で長さを異ならせることもでき、それに応じて四段階以上の多段燃焼とすることが容易である。このように燃焼の段階を変えることにより、異なるNOx低減の効果とラジアントチューブ1の表面温度分布の調整を計ることができる。
【0018】次に図3、図4は筒状の軸方向流路9の構成の他の実施の形態を示すものである。まず図3では、筒状の軸方向流路9は、上述したように、ラジアントチューブ1の内径よりも僅かに小径の耐火性部材のチューブ12を、ラジアントチューブ1と同軸に設置して、ラジアントチューブ1とチューブ12間を流路として構成したものである。また図4では、図3により構成した流路を仕切13により複数の流路に区画したものである。
【0019】次に図5〜図7は本発明に係るラジアントチューブバーナの第3の実施の形態を示すもので、図5は縦断面図、図6、図7は図1のA−AA線に相当する個所の断面図である。この第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、軸方向流路9は、多数の耐火性部材の小径チューブ11を炉壁内対応部分8の内壁に沿って配置して構成している。そして、この第3の実施の形態では、軸方向流路9の内側に、更に内側軸方向流路14を構成し、この内側軸方向流路14は、先端側の端部を外側の軸方向流路9よりも内側に構成している。図6に示す実施の形態では、この内側軸方向流路14は、軸方向流路9と同様に、多数の耐火性部材の小径チューブ15を軸方向流路9の内側に環状に設置して筒状に構成している。この実施の形態では、カップ状保炎器5の下流側において燃料ガスと混合する燃焼用空気を一次空気、そして小径チューブ15により構成される軸方向流路12を流れ、その下流側端部から流出して燃焼に供される燃焼用空気を二次空気、小径チューブ11により構成される軸方向流路9を流れ、その下流側端部から流出して燃焼に供される燃焼用空気を三次空気とする三段燃焼が行われる。図6の実施の形態では、内側軸方向流路14は多数の小径チューブ15を環状に配置して筒状に構成しているが、図7に示す実施の形態では、内側軸方向流路14は、軸方向流路9の内側に適数、この場合4個の耐火性部材の小径チューブ15を設置して構成している。以上の実施の形態の他、内側軸方向流路14は、軸方向流路9につき図3、図4を示して説明したと同様に、軸方向流路9の内径よりも僅かに小径の耐火性部材のチューブを軸方向流路9と同軸に設置して構成することができる。
【0020】
【発明の効果】本発明は以上のとおり、ラジアントチューブの炉壁内対応部分の過熱を筒状のの軸方向流路により防止する構成であるので、次のような効果がある。
a.バーナ保炎部を炉壁内でなく、炉の外側に設置することが可能であるため、着火装置の変形や絶縁性の劣化等の問題が生じないことに加えて、着火装置の取り出し、再装着等のメンテナンス作業も容易となり、バーナ後方の大きなスペースも必要でなくなる。
b.軸方向流路を構成する耐火性部材自体の過熱も防止されるので、過熱によるNOxの増加を抑制することができる。
c.圧力損失を悪化することがない。
d.二段燃焼又はそれ以上の多段燃焼とすることが容易であり、このことによりNOxの多様な低減効果とラジアントチューブの表面温度の調整を計ることができる。
【出願人】 【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
【出願日】 平成11年7月9日(1999.7.9)
【代理人】 【識別番号】100071102
【弁理士】
【氏名又は名称】三觜 晃司
【公開番号】 特開2001−21117(P2001−21117A)
【公開日】 平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願番号】 特願平11−195700