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【発明の名称】 液体燃料バーナー
【発明者】 【氏名】山本 康之

【氏名】小林 伸明

【氏名】五十嵐 弘

【氏名】中林 宏行

【要約】 【課題】火炎の軸方向の速度が高く、しかも、高温の火炎を得ることができ、対流伝熱効率に優れた液体燃料バーナーを提供する。

【解決手段】有底円筒状燃焼室11の中心に、液体燃料を霧化して噴出する燃料霧化器14を備え、該燃料霧化器14の外周に一次支燃性ガスを旋回流として噴出する一次支燃性ガスノズル15を備えた液体燃料バーナーにおいて、燃焼室11の基部側に円錐部12、先端側に円筒部13を形成するとともに、円錐部12の周壁部分に、二次支燃性ガスをバーナー中心軸方向に噴出するマルチホール又はスリットからなる二次支燃性ガスノズル16を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有底円筒状燃焼室の中心に、液体燃料を霧化して噴出する燃料霧化器を備えるとともに、該燃料霧化器の外周に、燃料霧化器から噴出した燃料を包み込むように一次支燃性ガスを旋回流として噴出する一次支燃性ガスノズルを備えた液体燃料バーナーにおいて、前記燃焼室の基部側周壁を、先端側が拡開した円錐状に形成し、先端側周壁を円筒状に形成するとともに、前記円錐状の周壁部分に、二次支燃性ガスをバーナー中心軸方向に噴出する二次支燃性ガスノズルを設けたことを特徴とする液体燃料バーナー。
【請求項2】 前記円錐状の周壁に囲まれた部分の容積[mm]が、液体燃料の投入熱量Q[Mcal/hr]に対して、0.5〜3×10×(Q/1000)1/2[mm]の範囲であることを特徴とする請求項1記載の液体燃料バーナー。
【請求項3】 前記円筒状の周壁の長さ[mm]が、液体燃料の投入熱量Q[Mcal/hr]に対して、0〜100×(Q/1000)1/2[mm]の範囲であることを特徴とする請求項1記載の液体燃料バーナー。
【請求項4】 前記円錐状の周壁の円錐角度が20度以下であることを特徴とする請求項1記載の液体燃料バーナー。
【請求項5】 前記一次支燃性ガスは、流量が全支燃性ガス合計流量の10〜30%の範囲であり、噴出速度が毎秒100〜300mの範囲であることを特徴とする請求項1記載の液体燃料バーナー。
【請求項6】 前記二次支燃性ガスは、流量が全支燃性ガス合計流量の70〜90%の範囲であり、噴出速度が毎秒50〜200mの範囲であることを特徴とする請求項1記載の液体燃料バーナー。
【請求項7】 前記二次支燃性ガスの噴出方向が、バーナー中心軸に対して20〜50度の範囲であることを特徴とする請求項1記載の液体燃料バーナー。
【請求項8】 前記一次支燃性ガスノズルと前記二次支燃性ガスノズルとの間に、三次支燃性ガスをバーナー中心軸延長線上に向けて噴出する三次支燃性ガスノズルを設けたことを特徴とする請求項1記載の液体燃料バーナー。
【請求項9】 前記二次支燃性ガスは、流量が全支燃性ガス合計流量の40〜70%の範囲であり、噴出速度が毎秒50〜200mの範囲であることを特徴とする請求項8記載の液体燃料バーナー。
【請求項10】 前記三次支燃性ガスは、流量が全支燃性ガス合計流量の30〜60%の範囲であり、噴出速度が毎秒100〜200mの範囲であることを特徴とする請求項8記載の液体燃料バーナー。
【請求項11】 前記三次支燃性ガスの噴出方向は、バーナー中心軸に対して0〜10度の範囲であることを特徴とする請求項8記載の液体燃料バーナー。
【請求項12】 前記二次支燃性ガスと三次支燃性ガスとが一つの供給系から供給されてノズル部で分岐したものであることを特徴とする請求項8記載の液体燃料バーナー。
【請求項13】 前記二次支燃性ガスノズルと三次支燃性ガスノズルとの間に、四次支燃性ガスを旋回流として燃焼室内に噴出する四次支燃性ガスノズルを設けたことを特徴とする請求項8記載の液体燃料バーナー。
【請求項14】 前記四次支燃性ガスは、流量が全支燃性ガス合計流量の0〜30%の範囲であり、噴出速度が毎秒50〜200mの範囲であることを特徴とする請求項13記載の液体燃料バーナー。
【請求項15】 前記四次支燃性ガスの噴出方向は、バーナー中心軸に対して60〜90度の範囲であり、バーナー中心軸を中心とする円の法線に対して30〜90度の範囲であることを特徴とする請求項13記載の液体燃料バーナー。
【請求項16】 前記二次支燃性ガスと三次支燃性ガスと四次支燃性ガスとが一つの供給系から供給されてノズル部で分岐したものであることを特徴とする請求項13記載の液体燃料バーナー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体燃料バーナーに関し、詳しくは、液体燃料と支燃性ガスとをそれぞれのノズルから燃焼室に噴出させ、両者を混合させて燃焼させる液体燃料バーナーであって、特に、対流伝熱によって被加熱物を加熱するのに適した液体燃料バーナーに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】液体燃料を燃焼させるためのバーナーとして、実公昭63−6568号公報や特公平3−3122号公報に記載された構造のものが知られている。これらの液体燃料バーナーは、ノズルの中心に、液体燃料を霧化して噴出する燃料霧化器を設けるとともに、該燃料霧化器の外周に、燃料霧化器から噴出した燃料を包み込むように一次支燃性ガスを旋回流として噴出する一次支燃性ガスノズルを設け、さらに、二次支燃性ガスを直進流あるいは旋回流として噴出する二次支燃性ガスノズルを外周部に設けている。このような構造の液体燃料バーナーは、燃料の霧化や、霧化した燃料と一次支燃性ガスとの混合を効果的に行うことができるので、安定した燃焼状態が得られ、しかも、燃焼効率が高いという利点を有している。
【0003】一方、金属溶解炉や窯業用加熱溶解炉においては、主として対流伝熱により被加熱物を加熱するようにしているので、火炎の軸方向の速度が高いこと、火炎温度が高いことが要求されている。しかし、上述の従来のバーナーでは、流速の減衰が早く、バーナーから離れたところでの対流伝熱効率が低いという問題があった。
【0004】そこで本発明は、燃焼効率を損なうことなく、火炎の軸方向の速度が高く、しかも、高温の火炎を得ることができ、対流伝熱効率に優れた液体燃料バーナーを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の液体燃料バーナーは、有底円筒状燃焼室の中心に、液体燃料を霧化して噴出する燃料霧化器を備えるとともに、該燃料霧化器の外周に、燃料霧化器から噴出した燃料を包み込むように一次支燃性ガスを旋回流として噴出する一次支燃性ガスノズルを備えた液体燃料バーナーにおいて、前記燃焼室の基部側周壁を、先端側が拡開した円錐状に形成し、先端側周壁を円筒状に形成するとともに、前記円錐状の周壁部分に、二次支燃性ガスをバーナー中心軸方向に噴出する一列以上のマルチホール又はスリットからなる二次支燃性ガスノズルを設けたことを特徴としている。
【0006】前記燃焼室の形状としては、前記円錐状の周壁の円錐角度が20度以下であること、前記円錐状の周壁に囲まれた部分の容積[mm]が、液体燃料の投入熱量Q[Mcal/hr]に対して、0.5〜3×10×(Q/1000)1/[mm]の範囲であること、前記円筒状の周壁の長さ[mm]が、液体燃料の投入熱量Q[Mcal/hr]に対して、0〜100×(Q/1000)1/[mm]の範囲であることが好ましい。
【0007】また、前記一次支燃性ガスは、その流量を全支燃性ガス合計流量の10〜30%の範囲とし、その噴出速度を毎秒100〜300mの範囲とすることが好ましい。一方、前記二次支燃性ガスは、その流量を全支燃性ガス合計流量の70〜90%の範囲、噴出速度を毎秒50〜200mの範囲とし、その噴出方向をバーナー中心軸に対して20〜50度の範囲とすることが好ましい。
【0008】さらに、本発明の液体燃料バーナーは、前記一次支燃性ガスノズルと前記二次支燃性ガスノズルとの間に、三次支燃性ガスをバーナー中心軸延長線上に向けて噴出するマルチホール又はスリットからなる三次支燃性ガスノズルを設けたことを特徴としている。
【0009】このように三次支燃性ガスのノズルを設けた場合、二次支燃性ガスは、流量を全支燃性ガス合計流量の40〜70%の範囲とし、噴出速度を毎秒50〜200mの範囲とすることが好ましい。また、三次支燃性ガスは、流量を全支燃性ガス合計流量の30〜60%の範囲、噴出速度を毎秒100〜200mの範囲とし、その噴出方向を、バーナー中心軸に対して0〜10度の範囲とすることが好ましい。このとき、二次支燃性ガスと三次支燃性ガスとは、それぞれ独立した供給系から供給することもできるが、一つの供給系から供給してノズル部で分岐させることもできる。
【0010】加えて、本発明では、前記二次支燃性ガスノズルと三次支燃性ガスノズルとの間に、四次支燃性ガスをマルチホールから旋回流として燃焼室内に噴出する四次支燃性ガスノズルを設けたことを特徴としている。
【0011】このときの四次支燃性ガスは、流量を全支燃性ガス合計流量の0〜30%の範囲、噴出速度を毎秒50〜200mの範囲とし、その噴出方向を、バーナー中心軸に対して60〜90度の範囲、バーナー中心軸を中心とする円の法線に対して30〜90度の範囲とすることが好ましい。さらに、二次支燃性ガスと三次支燃性ガスと四次支燃性ガスとは、それぞれ独立した供給系から供給することもできるが、一つの供給系から供給されてノズル部でそれぞれに分岐させることもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1及び図2は、本発明の液体燃料バーナーの第1形態例を示すもので、図1は断面側面図、図2は二次支燃性ガスノズルの形状を説明するための断面正面図である。
【0013】この液体燃料バーナーは、有底円筒状の燃焼室11の基部側周壁を、先端側が拡開した円錐状の円錐部12とし、先端側周壁を円筒状の円筒部13としたものであって、燃焼室11の基部中心(円筒底面部中心)に、液体燃料を霧化して噴出する燃料霧化器14を設けるとともに、該燃料霧化器14の外周に、燃料霧化器14から噴出した燃料を包み込むように一次支燃性ガスを旋回流として噴出する一次支燃性ガスノズル15を設け、さらに、前記円錐部12に、二次支燃性ガスを噴出する二次支燃性ガスノズル16を設けたものである。なお、バーナー外周には、水冷ジャケット17が設けられている。
【0014】前記燃料霧化器14は、液体燃料流路24から供給される液体燃料を霧状に噴出するものであって、例えば、前記公報に記載されてスワラー等を使用することができる。また、一次支燃性ガスノズル15は、燃料霧化器14の外周に隣接して設けられており、一次支燃性ガス流路25から供給される一次支燃性ガスを高速の旋回流として噴出する。
【0015】このように、燃料霧化器14で霧化して噴出した液体燃料を、一次支燃性ガスノズル15から旋回流となって噴出した高速の一次支燃性ガスで包み込むことにより、液体燃料の霧化・微粒子化を促進できるとともに、燃料と一次支燃性ガスとを急速に混合させることができ、燃焼効率を向上させて火炎温度を高めることができる。
【0016】なお、燃料霧化器14と一次支燃性ガスノズル15とは、液体燃料を十分に霧化することができ、十分な初期燃焼が得られればよく、前記公報記載のものと同様に形成することもできる。
【0017】二次支燃性ガスノズル16は、マルチホール又はスリットからなるものであって、二次支燃性ガス流路26から供給される二次支燃性ガスを、バーナー中心軸CL方向に向けて噴出する。これにより、火炎の広がりを抑えて軸方向速度を速くすることができる。
【0018】このような液体燃料バーナーは、燃焼室11の形状、すなわち、円錐部12の円錐角度αやその部分の容積、円筒部13の長さなどと、一次及び二次支燃性ガスの流量比や流速、二次支燃性ガスの噴出角度β等を調節することにより、火炎の軸方向の速度や火炎の広がり、火炎温度分布等を制御することができ、まず、前記円錐部12における円錐状の周壁の円錐角度αは、20度以下にすることが好ましい。この円錐角度αが大きくなると、火炎が拡がって軸方向の速度が低下してしまう。また、円錐部12の円錐状の周壁に囲まれた部分の容積は、液体燃料の投入熱量Q[Mcal/hr]に対して、0.5〜3×10×(Q/1000)1/2[mm]の範囲に形成することが好ましい。この容積が小さすぎると、燃焼室11内での燃料の燃焼率が低下し、燃焼室出口での火炎の温度を十分に高くすることができなくなり、噴出速度も低下する。容積が大きすぎると、燃焼室11内から水冷ジャケット17への水冷抜熱量が多くなってしまう。また、燃焼室11の径を拡大して容積を大きくすると、火炎の噴出速度が低下してしまう。
【0019】また、円筒部13の長さは、液体燃料の投入熱量Q[Mcal/hr]に対して、0〜100×(Q/1000)1/2[mm]の範囲に形成することが好ましく、投入熱量や円錐部12の円錐角度α等によっては、この円筒部13をほとんど無くすことも可能である。この円筒部13を長くしすぎると、水冷抜熱量が多くなるとともに燃焼状態が悪化する。
【0020】一次及び二次支燃性ガスの流量比及び流速は、各支燃性ガスの噴出方向等によっても異なるが、一次支燃性ガスは、支燃性ガスの全流量の10〜30%の範囲が適当であり、少なすぎると燃料との混合が不十分となり、多すぎると二次支燃性ガスの噴出量が減少して上記効果を十分に得られなくなることがある。また、一次支燃性ガスの流速は毎秒100〜300mの範囲が適当であり、特に、毎秒200m程度が最適である。この一次支燃性ガスの流速が遅すぎると燃料の霧化や燃料との混合が十分に行えなくなることがある。また、これ以上流速を速くしても、伝熱性能に変化はなく、燃焼音が大きくなったり、一次支燃性ガスの供給圧力を高くしなければならないなどの問題が生じる。
【0021】二次支燃性ガスの流量比は、支燃性ガス合計流量の70〜90%の範囲が適当であり、少なすぎると十分な効果が得られず、多すぎると一次支燃性ガスの噴出量が減少することになる。また、流速は毎秒100〜200mの範囲、特に毎秒100m以上が適当であり、遅すぎると十分な効果が得られず、速すぎると火炎の乱れが大きくなり、軸方向の速度の減衰が大きくなったり、火炎温度の低下が早くなったりする。
【0022】さらに、二次支燃性ガスの噴出方向は、バーナー中心軸CLに対する角度βを20〜50度の範囲にすることが適当であり、角度βが小さすぎると、火炎が拡がるようになり、角度βが大きすぎると、火炎の軸方向の速度が低下してしまう。
【0023】図3及び図4は、本発明の液体燃料バーナーの第2形態例を示すもので、図3は断面側面図、図4は三次支燃性ガスノズルの位置を説明するための正面図である。なお、以下の説明において、前記第1形態例の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0024】本形態例に示す液体燃料バーナーは、前記第1形態例のバーナーにおける前記一次支燃性ガスノズル15と前記二次支燃性ガスノズル16との間に、三次支燃性ガスを噴出する三次支燃性ガスノズル18を設けたものである。この三次支燃性ガスノズル18は、マルチホール又はスリットからなるなるものであり、三次支燃性ガス流路28から供給される三次支燃性ガスをバーナー中心軸CLの延長線上に向けて噴出するように形成されている。
【0025】この三次支燃性ガスは、主に、火炎の軸方向の速度を向上させる作用を有している。したがって、この三次支燃性ガスの噴出方向は、バーナー中心軸CLに対する角度γを0〜10度の範囲にすることが適当であり、流量や流速によっては平行に設定することもできる。この角度γが大きくなると、火炎の軸方向の速度が低下してしまう。
【0026】また、この三次支燃性ガスの流量割合は、支燃性ガス合計流量の30〜60%の範囲が適当であり、少なすぎると十分な効果が得られず、多すぎると他のノズルからの支燃性ガス噴出量が減少してしまう。また、流速は毎秒100〜200mの範囲が適当であり、遅すぎると十分な効果が得られず、速すぎると火炎が吹き飛んでしまうおそれがある。
【0027】このように、バーナー中心軸CLに平行に近い方向に三次支燃性ガスを噴出する三次支燃性ガスノズル18を設けることにより、火炎の軸方向速度をさらに向上させることができ、バーナーから離れた位置での伝熱性能を更に向上させることができる。
【0028】図5及び図6は、本発明の液体燃料バーナーの第3形態例を示すもので、図5は断面側面図、図6は四次支燃性ガスノズルの形状を説明するための断面正面図である。
【0029】本形態例に示す液体燃料バーナーは、前記第2形態例のバーナーにおける前記三次支燃性ガスノズル18と前記二次支燃性ガスノズル16との間に、四次支燃性ガスを噴出する四次支燃性ガスノズル19を設けたものである。この四次支燃性ガスノズル19は、マルチホールからなるなるものであり、四次支燃性ガス流路29から供給される四次支燃性ガスを旋回流として燃焼室11内に噴出するように形成されている。
【0030】この四次支燃性ガスは、燃焼室11内に旋回流を形成して火炎の吹き飛びを抑える作用を有している。このため、この四次支燃性ガスの噴出方向は、バーナー中心軸CLに対する角度δを60〜90度の範囲とし、かつ、バーナー中心軸を中心とする円の法線NLに対する角度εを30〜90度の範囲とすることが好ましい。前記角度δが小さいと推進力が強くなりすぎて十分な保炎効果が得られないことがあり、前記角度εが小さいと十分な旋回力が得られず、同様に、十分な保炎効果が得られないことがある。
【0031】また、四次支燃性ガスの流量は、全支燃性ガス合計流量の30%以下が適当であり、場合によっては零としてもよい。この流量が多すぎると火炎の軸方向の速度が低下してしまうことがある。また、流速は毎秒50〜200mの範囲が適当であり、遅すぎると十分な効果が得られず、速すぎると火炎が拡がってしまうおそれがある。
【0032】このように、燃焼室11内に旋回流を形成する四次支燃性ガスを噴出する四次支燃性ガスノズル19を設けることにより、火炎の吹き飛びを抑えて安定した火炎を形成することができ、バーナーに近い部分での伝熱性能を向上させることができる。
【0033】すなわち、前記二次支燃性ガスは火炎の広がりを抑える作用を、三次支燃性ガスは火炎の軸方向の速度を向上させる作用を、四次支燃性ガスは火炎の吹き飛びを抑える作用を、それぞれ有しており、これらの相互作用により、燃焼効率の向上、火炎の軸方向の速度の向上及び減衰の抑制、火炎の広がりの抑制等を図ることができ、バーナーから離れた位置における対流伝熱効率を大幅に向上させることができる。
【0034】このように形成した液体燃料バーナーは、各支燃性ガスの流量比及び流速、燃焼室11における円錐部12の円錐角度α、二次支燃性ガスの噴出角度β、三次支燃性ガスの噴出角度γ、四次支燃性ガスの噴出角度δ,εを調節することにより、火炎の軸方向の速度や火炎の広がり、火炎温度分布等を制御することができる。
【0035】いずれにしても、この液体燃料バーナーを設置する燃焼室(炉)における最適な火炎を得るためには、各支燃性ガスノズルの配置、各支燃性ガスの流量比や流速、燃焼室11の形状、各支燃性ガスの噴出角度を適切な範囲に設定する必要があるが、上述のような構造に形成することにより、前記公報記載のバーナーに比べて、軸方向の速度が高く、広がりを抑えた火炎を形成することができ、バーナーから離れた位置での伝熱効率を向上させることができる。
【0036】したがって、バーナー火炎の対流伝熱によって被加熱物を加熱溶解する用途に適したものであり、各種金属の溶解炉等に使用するバーナーとして最適である。
【0037】なお、各支燃性ガスは、それぞれ独立した供給系から供給することもできるが、例えば、図7に示すように、二次支燃性ガスと三次支燃性ガスとを一つの供給系から共通の支燃性ガス流路31に供給してノズル部32で二次支燃性ガスノズル16と三次支燃性ガスノズル18とに分岐させることもできる。さらに、図8に示すように、四次支燃性ガスも含めた3系統の支燃性ガスを共通の支燃性ガス流路33に供給し、これをノズル部34で、二次支燃性ガスノズル16、三次支燃性ガスノズル18及び四次支燃性ガスノズル19の三方向に分岐させることもできる。このように共通の流路31,33を使用する場合の各ノズルからの噴出量は、各ノズルの開口面積を調節することにより設定することができる。
【0038】
【実施例】実施例1第1形態例に示す構造の液体燃料バーナーと、前記実公昭63−6568号公報に記載の液体燃料バーナーとを略同条件で燃焼させ、火炎を水冷式伝熱面に衝突させてバーナーから伝熱面までの距離に対する伝熱効率を測定し、従来バーナーの伝熱効率を1.0として相対伝熱効率を計算した。
【0039】各バーナーには、液体燃料としてA重油を毎時100リットルで供給するとともに、支燃性ガスとして純酸素を合計量で毎時200Nm供給して燃焼させた。
【0040】本形態例バーナーにおける燃焼室11は、円錐部12の円錐角度αを4度、円筒部13の径を60mm、長さを30mmとし、二次支燃性ガスの噴出角度βは30度とした。また、一次支燃性ガスは、流量を毎時40Nm、流速を毎秒200mとし、二次支燃性ガスは、流量を毎時160Nm、流速を毎秒100mとした。
【0041】結果を図9に示す。この図9から明らかなように、従来バーナーに比べて伝熱効率が高く、特に、距離200mm以上で2倍以上の伝熱効率が得られている。また、従来バーナーは、距離が300mm程度までの間で伝熱効率が急激に低下したのに対し、本形態例バーナーでは、500mm程度までにおける伝熱効率の低下を緩やかにすることができた。
【0042】実施例2第2形態例に示す構造の液体燃料バーナー(バーナー■)と、第3形態例に示す構造の液体燃料バーナー(バーナー■)とを次の条件で燃焼させ、実施例1と同様にして従来バーナーに対する相対伝熱効率を計算した。
【0043】バーナー■における三次支燃性ガスノズル18の角度γは0度とした。二次支燃性ガスは、流量を毎時100Nm、流速を毎秒100mとし、三次支燃性ガスは、流量を毎時60Nm、流速を毎秒200mとした。その他の条件は、実施例1の液体燃料バーナー(バーナー■)と同じにした。
【0044】また、バーナー■における四次支燃性ガスノズル18の角度δは80度、角度εは50度とした。二次支燃性ガスは、流量を毎時80Nm、流速を毎秒200mとし、三次支燃性ガスは、流量を毎時60Nm、流速を毎秒100mとし、四次支燃性ガスは、流量を毎時20Nm、流速を毎秒100mとした。その他の条件は、バーナー■と同じにした。
【0045】結果を図10に示す。この結果から、バーナー■は、バーナー■に比べて距離が300mm以下では伝熱効率が若干低いものの、これ以上の距離ではバーナー■よりも高い伝熱効率が得られることがわかる。これは、火炎の軸方向速度を速くするための三次支燃性ガスノズルの作用によるものである。
【0046】また、バーナー■は、バーナー■に比べて400mm以下での伝熱効率が高くなっている。これは、燃焼室周面に旋回流を形成し、バーナーに近い領域での燃焼を促進するための四次支燃性ガスノズルの作用によるものである。さらに、火炎の目視観察によれば、このバーナー■の火炎は、バーナー■の火炎に比べて安定した状態であった。
【0047】実施例3金属溶解炉に実施例1の両バーナーをそれぞれ設置し、鉄スクラップを溶解して伝熱効率を測定した。その結果、第1形態例のバーナーは、従来バーナーに比べて1.3〜1.4倍の伝熱効率が得られた。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の液体燃料バーナーによれば、燃焼効率を損なうことなく、軸方向の速度が高く、広がりを抑えた火炎を形成することができ、バーナーから離れた位置での伝熱効率を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000231235
【氏名又は名称】日本酸素株式会社
【出願日】 平成11年7月7日(1999.7.7)
【代理人】 【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦 (外1名)
【公開番号】 特開2001−21113(P2001−21113A)
【公開日】 平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願番号】 特願平11−193390