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【発明の名称】 赤外線発生装置
【発明者】 【氏名】樋口 保定

【氏名】鈴木 美博

【氏名】村岡 正一

【氏名】大沢 敏

【要約】 【課題】赤外線を効率良く放出する赤外線発生装置を提供する。

【解決手段】気化した液体燃料71を触媒燃焼する触媒層20を赤外線発生源とし、触媒層20の表面が赤外線発生面21として外部に表れるようにする。赤外線発生源である触媒層20で燃焼が行われるので、効率良く発生源を加熱でき、さらに、触媒燃焼は無炎なので加熱効率も高い。そして、触媒層20から外部に直に赤外線を照射できる。したがって、赤外線の発生効率の高い赤外線発生装置5を実現できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 気化した液体燃料を触媒燃焼可能な触媒層を有し、その前面が赤外線を放射する赤外線放射面となるように外に表れており、さらに、この触媒層の後方に、前記触媒層の輻射熱により液体燃料を気化する気化室を有し、この気化室で気化した液体燃料が前記触媒層で一次燃焼される赤外線発生装置。
【請求項2】 請求項1において、前記触媒層の開口率は50から70%程度であり、厚みが5から20mm程度であることを特徴とする赤外線発生装置。
【請求項3】 請求項1において、前記気化室に、前記触媒層の輻射熱により加熱される多孔性の輻射板が前記触媒層に面して配置されている赤外線発生装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】赤外線を対象物に放射する赤外線発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】赤外線を人や壁などの対象物に放射する赤外線発生装置として、液体燃料を火炎燃焼し、赤外線を発生させる装置が知られている。例えば、特公昭51−41781号に、赤外線を熱源とする赤外線発生装置として、耐火材からなる燃焼室と、この燃焼室の内部の側端部に装着された液体燃料を火炎燃焼させるノズル(ノズル装置)と、この燃焼室を実質的に閉じるように、燃焼室の外側端部を横切るように配設された穿孔金属板を備えた装置が開示されている。この装置においては、穿孔金属板が燃焼室における火炎燃焼により白熱化し、その表面の熱が外側に輻射される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この赤外線発生装置では、燃焼室内で灯油などの燃料が1次燃焼し、その熱により穿孔金属板が加熱され、加熱された金属板から照射される赤外線を利用している。すなわち、燃料がノズルから噴霧されると、その直後に火炎燃焼が開始され、燃焼室内を全体的に加熱する。そして、加熱された燃焼室の一部である放熱面から照射される赤外線だけが利用される。したがって、火炎燃焼により発生したエネルギーの一部が放熱面から前方に赤外線として放出されるだけであり、燃焼により発生するエネルギーを充分有効に活用しているとは言い切れない。
【0004】そこで、本発明においては、燃焼により発生するエネルギーをさらに有効に活用し、赤外線をさらに効率良く発生することができる赤外線発生装置を提供することを目的としている。そして、暖房器具として用いた場合に、効率が良く、暖房能力の高い赤外線発生装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述したように、放熱面を備えたほぼ密閉型の燃焼室内で燃焼させると、放熱面を介して外部に提供される赤外線を利用できるだけである。放熱面などを設けていない開放型の燃焼室内で燃焼させることも可能であり、この場合は、火炎から発生する熱、光などのエネルギーをほぼ外界に放出させることができる。しかしながら、炎が直に外に出るのでは、危険である。また、燃焼室内の条件が安定しないので効率良く安定した燃焼を継続させることはできない。さらに、火炎からエネルギーが外界に発散されるので、可視光などの赤外線以外の成分も多く、赤外線の放射効率はそれほど高くない。
【0006】そこで、本願の発明者らは、無炎燃焼である触媒燃焼に着目し、触媒燃焼を行う触媒層を表面に配置することにより、触媒層を赤外線発生源にすると共に、その赤外線発生源から直に赤外線が外部に照射されるようにしている。すなわち、本発明の赤外線発生装置は、気化した液体燃料を触媒燃焼可能な触媒層を有し、その前面が赤外線を放射する赤外線放射面となるように外に表れていることを特徴としている。さらに、この触媒層の後方に、触媒層の輻射熱により液体燃料を気化可能な気化室を設け、触媒層の輻射熱により液体燃料を気化し、その気化された液体燃料が触媒層で一次燃焼されるようにしている。
【0007】触媒燃焼は、触媒反応であり、無炎であると共に触媒層内で酸化、すなわち燃焼が進む。したがって、触媒層を表面に配置しても危険は少なく、また、燃焼反応を安定して行わせることができる。さらに、無炎燃焼であるので、燃焼により発生したエネルギーのほとんどが触媒層を加熱することに費やされ、高温となった触媒層から赤外線として放出される。したがって、燃焼により発生したエネルギーが可視光などの赤外線以外の形態のエネルギーとして放出される比率は小さくなり、赤外線発生効率は高くなる。
【0008】さらに、本発明の赤外線発生装置においては、触媒燃焼により直に加温されるのは赤外線の発生源である触媒層のみであり、その触媒層から放出される赤外線が利用される。したがって、燃焼により発生したエネルギーのうち、赤外線として放出可能な比率は大きい。加えて、触媒層が表面に表れているので、触媒層から発生した赤外線が直に外界に放出される。したがって、外界で利用できる赤外線の発生効率は高くなり、暖房装置として利用すると、効果的な暖房が行える。
【0009】さらに、触媒燃焼による赤外線発生装置では、窒素酸化物あるいは一酸化炭素といった燃焼排ガス中の有害あるいは臭いの元となる成分の排出を低減でき、騒音も軽減できる。したがって、暖房装置などとして利用される赤外線発生装置に適している。さらに、希薄混合気の燃焼が可能で、燃焼量の調整範囲が広いので、赤外線の発生量の制御もし易いなど多くのメリットを備えている。
【0010】良好な触媒燃焼状態を維持するためには、触媒と燃料との接触頻度を充分に高くすることが望ましい。その一方で、触媒層からの放熱が減少して触媒層の温度自体が高くなると逆火現象の原因になる。したがって、触媒層の開口率は、50〜70%程度、厚みは、5〜20mm程度が望ましい。
【0011】また、触媒層に供給する液体燃料は充分に気化されたものであることが望ましく、気化を促進するには、気化室に、触媒層の輻射熱により加熱される多孔性の輻射板を触媒層に面して設けることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1に、本発明に係る暖房装置の概要を斜視図で示してある。本例は、本発明に係る赤外線発生装置を暖房装置1として用いたものである。
【0013】本例の暖房装置1は、移動可能なキャスター付きのフレーム60の上部に赤外線発生装置5が取付けられ、下部に燃料タンク2が取付けられており、これらを一体で動かすことができる。したがって、適当な場所に自由に移動できると共に、その場所で赤外線発生装置5を働かせて赤外線を放射することができる。そして、フレーム60の向きを変えることにより赤外線の照射方向を調整できる。
【0014】本例の赤外線発生装置5は、水平方向に若干長いほぼ方形のハウジング10を備え、このハウジング10がアーム62に上下方向に旋回できるように取付けられ、フレーム60から支持されている。そして、ハウジング10の前方10aが、赤外線73を出力する赤外線放射面21となっており、前方に安全のためにガード69が取付けられている。したがって、ハウジング10を旋回することによっても赤外線の発生照射方向を変えることができる。
【0015】図2に、本例の赤外線発生装置5の概略構成を示してある。本例の赤外線発生装置5においては、外界に面して触媒層20が設けられ、その外に表れた面21が赤外線放射面となっている。触媒層20としては、白金などの触媒を担体(例えば、アルミン酸石灰−溶解シリカ−酸化チタン等のセラミック)に担持させたものが使用できる。セラミックは高温強度が高く、ポーラスな構造にし易いので触媒と燃料との接触面積を広くすることができる。さらに、赤外線、特に、遠赤外線の放射効率が高い。したがって、触媒燃焼を行う触媒層としても、赤外線発生源としても好適な素材である。本例の触媒層20は、ハニカム形状になっており、上述したように、触媒燃焼を効率良く安定して行うと共に、逆火現象を防止するためには、開口率が50〜70%、厚さdが5〜20mmのものが適している。
【0016】この触媒層20の後方に、触媒層20の輻射熱74により液体燃料70を加熱気化する気化室12が設けられている。気化室12は、SUS430あるいはアルミ含有のフェライト系などの耐熱性の外殻11を備えた中空のスペースである。気化室2の後方には、燃料タンク2から燃料配管8および燃料ポンプ(不図示)により供給された液体燃料70を噴霧する燃料噴霧部13、気化室12に燃焼用の空気を送るブロワ15が配置されている。この燃料噴霧部13は、気化室12および触媒層20を予熱するとき(予備燃焼)は、バーナー13として機能し、噴霧された液体燃料にイグナイター(不図示)により着火できるようにしている。
【0017】本例の赤外線発生装置5においては、気化室12に、触媒層20の後面22に面し、触媒層20とほぼ平行に対峙するように多孔性の輻射板30が配置されている。この多孔性の輻射板30は、多孔性の形状、たとえばハニカム形状などに成形されたセラミック、あるいはパンチングメタルにセラミックが溶射された材料を使用することができる。輻射板30は、触媒層20の輻射熱74を直に受けるように配置されており、触媒燃焼により温度が上昇あるいは維持される。このため、気化室12を送られてきた燃料、特に、気化が進んでおらず、ガス化の充分でない燃料が輻射板30に接触すると、輻射板30の熱により気化が促進される。また、この輻射板30は、気化した燃料と燃焼用空気との混合が進み、また、燃焼用空気も加熱するなどの効果を備えていると考えられており、本例の赤外線発生装置5において触媒燃焼を安定して維持するためには重要な構成部分となっている。
【0018】本例の赤外線発生装置5は、次のように制御される。触媒層において触媒燃焼を行うには、その温度を300〜400℃程度の活性化温度にする必要がある。また、触媒層には気化された燃料を供給する必要があるので、気化室12を気化する温度まで加熱する必要がある。このため、触媒燃焼に先立って、燃料噴霧部13をバーナとして用いて予備燃焼を行い、気化室12、輻射板30さらに触媒層20を加熱(予熱)する。本例の赤外線発生装置5では、予備燃焼で気化室12に火炎を形成するようにしているが、電気ヒータを設けて温風を発生することにより、気化室、輻射板および触媒層を適当な温度まで予熱するようにしても良い。
【0019】予備燃焼によって、気化室12の温度が上がると、いったん燃料の供給をストップして燃焼を止める。その後、再び燃料噴霧部13に燃料を供給し加熱された気化室12に霧状の液体燃料を噴出する。これにより触媒燃焼がスタートする。
【0020】気化室12は予熱されていると共に、触媒燃焼が始まると触媒層20の後面22からの輻射熱により温度が維持されるので、気化室12に噴霧された液体燃料70は徐々に気化する。また、気化室12でブロワ15から供給された燃焼用空気と混合する。さらに、本例では、気化室12に輻射板30を設けてあるので、上述したように気化および混合が促進され、ガス化した燃料と空気が混合され、温度も上昇した燃焼用の気体71が触媒層20に供給される。そして、この混合気体71が触媒層20の触媒の作用によって酸化(触媒燃焼)される。
【0021】したがって、本例の赤外線発生装置5は、触媒燃焼装置として捉えることも可能であり、触媒燃焼が始まると、気化室出口の触媒層20で一次燃焼が行われる。そして、この触媒燃焼(一次燃焼)により発生した熱は、触媒層20、すなわち、主に担体であるセラミックを加熱し、高温となった触媒層20から赤外線が照射される。本例の赤外線発生装置5は、触媒層20の一方の面21が外側に出ているので、その面(赤外線放射面)21から直に外界に対し赤外線73が照射される。触媒層20の後面22からも赤外線74が照射され、それにより、輻射板30および気化室12が加熱され、液体燃料を気化するエネルギーとして用いられる。
【0022】触媒燃焼を安定して維持するためには、上述したように、幾つかの条件を満足することが望ましい。まず、触媒層20は、開口率が大きすぎると触媒の幾何学的な表面積が小さくなるため、触媒燃焼の特性が劣化し、さらに、強度的な問題が生じる。一方、開口率が小さすぎると圧力損失が増えて燃焼効率が低下する。また、触媒層20に供給される気化された燃料等の通過速度が遅くなるので、赤外線放射面21の温度が低下してしまう。
【0023】触媒層20の厚みdは、小さくすると気化された燃料の接触面積が小さくなるので、触媒燃焼の効率が低く、所望の熱量を得ることができない。一方、厚みdを大きくすると、触媒燃焼の特性は高くなるが、触媒層20がオーバーヒート(過熱)され、逆火現象が生じることもある。
【0024】したがって、本例の触媒層20では、上述したように、開口率を50〜70%程度、厚みdを5〜20mm程度にすることにより、効率の良い触媒燃焼を安定して行い、発熱量が高く、有害な成分の放出率が小さい燃焼を実現している。其れと共に、逆火現象などのトラブルを回避できるようにしている。
【0025】触媒燃焼を安定して維持するには、これらの条件に加え、幾つかの燃焼条件を満足することが望ましい。例えば、触媒層内において空気が不足すると触媒反応が停止してしまい燃焼ムラが生じてしまう。したがって、空気過剰率λは、1.2以上にすることが望ましい。一方、空気過剰率λが2.0以上になると、気化室12の温度(ガス温度)によっては、逆火を引起こす恐れがある。したがって、空気過剰率λは1.2〜2.0の範囲にすることが望ましい。このためには、気化室12の空間内圧が2〜3mmAqとなるようにブロワ15の出力を調整することが望ましい。
【0026】このように、本例の赤外線発生装置5では、赤外線73を発生させるために、赤外線の発生源となる触媒層自体で燃料を無炎燃焼している。従来の火炎燃焼型の赤外線発生装置においては、赤外線の発生源が火炎の輻射熱により間接的に加熱されたり、あるいは、火炎により加熱される領域の一部にすぎないのに対し、本発明の赤外線発生装置においては、赤外線の発生源が燃焼体であるので、直に加熱され、さらに燃焼により発生するエネルギーのほとんどが赤外線の発生源に提供される。加えて、火炎燃焼では、発生するエネルギーが可視光などにも変換されて放散するのに対し、触媒燃焼は無炎燃焼なので、そのような放散も少ない。したがって、燃焼により発生するエネルギーが非常に効率良く赤外線発生源である触媒層に供給され、効率良く赤外線が放出される。そして、赤外線発生源である触媒層が表面に表れているので、赤外線発生源から直に赤外線が外部に照射される。この点でも赤外線の照射効率の高い赤外線発生装置を実現できる。したがって、コンパクトで高出力な赤外線発生装置を提供できる。
【0027】さらに、触媒層20の担体にセラミック等を用いることで、赤外線のなかでも、保温効果の高いとされている遠赤外線領域の放射率が高く、暖房装置として、あるいは治療用などの赤外線発生装置として優れている。
【0028】また、触媒燃焼を採用しているので、それに伴う効果も得ることができる。例えば、火炎燃焼に比べて燃焼温度を低下させ、安全性の高い赤外線発生装置5またはそれを用いた暖房装置1を提供できる。さらに、本例の触媒燃焼による赤外線発生装置5では、NOxなど有害な燃焼排ガスの排出を低減でき、さらに、希薄混合気の燃焼が可能なので燃焼量の調整範囲が広い。また、騒音も小さくできる。
【0029】なお、上記では、赤外線発生装置5を暖房装置1として用いた例を示しているが、これに限らず、赤外線を利用する医療機器などに用いることももちろん可能である。また、触媒層20は、ハニカム状のものに限らず、海綿状などであってももちろん良い。
【0030】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の赤外線発生装置は、赤外線発生源として触媒燃焼を行う触媒層を採用し、その触媒層で一次燃焼させると共に、その触媒層の表面が赤外線発生面として外に表れるようにしている。したがって、赤外線発生源が直に加熱され、さらに、無炎燃焼なので加熱効率も良い。このため、外部に放出される赤外線の発生効率の高い赤外線発生装置を提供することができる。また、無炎燃焼なので、燃焼部分を表面に出しても安全である。
【0031】したがって、コンパクトで高出力、さらに安全性の高い赤外線発生装置を実現できる。このため、本発明の赤外線発生装置を暖房装置として用いれば、コンパクトで暖房効率の良い暖房装置を提供することができる。特に、赤外線発生源がセラミック製の触媒層となるので、遠赤外線の発生効率が高く、効果的な暖房を行うことができる暖房装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
【出願日】 平成11年6月30日(1999.6.30)
【代理人】 【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎 (外1名)
【公開番号】 特開2001−12706(P2001−12706A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−184627