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【発明の名称】 無酸化還元燃焼方法並びにバーナ
【発明者】 【氏名】須藤 淳

【氏名】長谷川 敏明

【要約】 【課題】炉長が短くても、炉長が長いときと変わらない平坦な分布の火炎温度を形成してなおかつ完全燃焼させる。また、蓄熱バーナ技術を短い炉長でも適用可能とする。

【解決手段】理論空気量未満の燃焼用空気を真円のスロートから同一流量だけ供給する場合と比べて比表面積が大きな噴流断面を形成するように炉内へ噴射すると共にこの空気噴流に向けて燃料を噴射させ、燃料がその速度エネルギーを失う前に空気噴流に強い乱れを以て急速に混合されるようにしている。具体的には、エアスロート13の開口部13aの相当直径deとエアスロート13の中心から燃料ノズル11の中心までの間隔1/2Dpcdとの比de/Dpcdが0.1〜0.5の範囲であり、かつ燃料噴流軸とエアスロート13の長手方向の中心軸上平面との交点とエアスロートの出口面までの距離Laに対するエアスロートの相当直径deの比La/deが1.0〜5.0の範囲で燃料を噴射するようにエアスローと13と燃料ノズル11とを配置し、より好ましくはエアスロート13が扁平な矩形状の開口13aを有するようにしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 理論空気量未満の燃焼用空気で無酸化雰囲気あるいは還元雰囲気を形成する無酸化還元燃焼方法において、前記燃焼用空気を同一流量を真円のスロートから供給する場合に比べて比表面積が大きな噴流断面にして炉温が800℃以上の炉内へ噴射すると共にこの空気噴流に向けて燃料を噴射させ、前記燃料噴流がその速度エネルギーを失う前に前記空気噴流に強い乱れを以て急速に混合されることを特徴とする無酸化還元燃焼方法。
【請求項2】 前記燃焼用空気は蓄熱メディアを介して排気される燃焼排ガスの熱を回収して前記燃焼排ガスの温度に近い高温に予熱されてから供給されるものであることを特徴とする請求項1記載の無酸化還元燃焼方法。
【請求項3】 前記燃焼用空気は、全体として扁平で肉厚の薄い噴流に形成されることを特徴とする請求項1または2記載の無酸化還元燃焼方法。
【請求項4】 前記燃料は、少なくとも2つ以上の噴射口から分けて噴射され、比表面積を大きくした空気噴流に対して広い面積で衝突させられて当該燃料が強い乱れを以て前記空気噴流と急速に混合されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無酸化還元燃焼方法。
【請求項5】 前記燃料噴流が複数本形成され、前記空気噴流と衝突する前に前記燃料噴流同士が衝突することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の無酸化還元燃焼方法。
【請求項6】 前記空気噴流が複数本形成され、前記燃料噴流と衝突する前に前記空気噴流同士が衝突することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の無酸化還元燃焼方法。
【請求項7】 前記燃料噴流並びに空気噴流が複数本形成され、かつ前記燃料噴流と前記空気噴流とが衝突する前に前記空気噴流同士並びに前記燃料噴流同士が衝突することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の無酸化還元燃焼方法。
【請求項8】 炉内で衝突する前記燃焼噴流と空気噴流との組を複数組形成して大型燃焼場を形成することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の無酸化還元燃焼方法。
【請求項9】 理論空気量未満の燃焼用空気で無酸化あるいは還元燃焼させるバーナにおいて、同一流量の前記燃焼用空気を真円のスロートから供給する場合に比べて比表面積が大きな噴流断面を形成して全量の前記燃焼用空気を炉温が800℃以上の炉内へ噴出するエアスロートと、前記エアスロートの噴射口からある距離を隔てた位置で尚かつ前記空気噴流と速度エネルギーを失う前に燃料噴流を衝突させるべく燃料を炉内へ噴射する燃料ノズルとを備えることを特徴とする無酸化還元燃焼用バーナ。
【請求項10】 前記エアスロートの開口の相当直径deと前記エアスロートの中心から前記燃料ノズルの中心までの間隔1/2Dpcdとの比de/Dpcdが0.1〜0.5の範囲であり、かつ燃料噴流軸と前記エアスロートの長手方向の中心軸上平面との交点と前記エアスロートの出口面までの距離Laに対する前記エアスロートの相当直径deの比La/deが1.0〜5.0の範囲で燃料を噴射することを特徴とする請求項9記載の無酸化還元燃焼用バーナ。
【請求項11】 前記エアスロートは、扁平な矩形状の開口を有することを特徴とする請求項9または10記載の無酸化還元燃焼用バーナ。
【請求項12】 前記エアスロートは複数の小孔に分割することによって、比表面積を増加できたことを特徴とする請求項9または10記載の無酸化還元燃焼用バーナ。
【請求項13】 前記エアスロートは、複数の小孔に分割されて各噴流が独立せずに連なるように列状に配置され全体として扁平な断面形状の噴流を形成することを特徴とする請求項9または10記載の無酸化還元燃焼用バーナ。
【請求項14】 前記複数の小孔は、前記燃料噴流と衝突する前に前記空気噴流同士が衝突する噴流を形成するものであることを特徴とする請求項12または13記載の無酸化還元燃焼用バーナ。
【請求項15】 前記燃料ノズルは、少なくとも2つの噴射口を有し、比表面積が大きくなった空気噴流に対して広い面積で燃料を衝突させることを特徴とする請求項9から14のいずれかに記載の無酸化還元燃焼用バーナ。
【請求項16】 前記燃料ノズルは少なくとも2つの噴口を有し、各噴口から噴出される燃料噴流同士が前記空気噴流と衝突する前に衝突する噴流を形成するものであることを特徴とする請求項9から14のいずれかに記載の無酸化還元燃焼用バーナ。
【請求項17】 前記燃料ノズルは、空気噴流を囲むように複数配置されていることを特徴とする請求項9から16のいずれかに記載の無酸化還元燃焼用バーナ。
【請求項18】 前記複数本の燃料ノズルは、空気噴流と衝突する前に燃料噴流同士が衝突する噴流を形成するものであることを特徴とする請求項17記載の無酸化還元燃焼用バーナ。
【請求項19】 空気噴流並びに燃料噴流が複数本形成され、かつ前記空気噴流と前記燃料噴流とが衝突する前にそれぞれ前記空気噴流同士並びに前記燃料噴流同士が衝突する噴流を形成することを特徴とする請求項9から18のいずれかに記載の無酸化還元燃焼用バーナ。
【請求項20】 前記エアスロートには蓄熱メディアと該蓄熱メディアに対し燃焼排ガスと燃焼用空気とを交互に導く流路切替手段とを備え、前記蓄熱体を通して燃焼排ガス温度に近い高温に予熱された前記燃焼用空気を炉内へ向けて噴射させることを特徴とする請求項9から19のいずれかに記載の無酸化還元燃焼用バーナ。
【請求項21】 セラミックハニカムを前記蓄熱メディアとして内蔵したことを特徴とする請求項20記載の無酸化還元燃焼用バーナ。
【請求項22】 前記蓄熱メディアは前記エアスロートに内蔵されると共に、前記流路切替手段は前記エアスロートを構成するバーナ本体に直結し、前記蓄熱メディアの直近で燃焼用空気と排ガスとの切替えを行うことを特徴とする請求項20または21記載の無酸化還元燃焼用バーナ。
【請求項23】 複数組の前記エアスロートと前記燃料ノズルとを設置して大型燃焼機を構成することを特徴とする請求項9から22のいずれかに記載の無酸化還元燃焼用バーナ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はバーナ装置及びその燃焼方法の改良に関する。更に詳述すると、本発明は、無酸化燃焼あるいは還元燃焼を行うバーナ装置並びにその燃焼方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、鉄鋼、非鉄金属、セラミックス等の各分野では、材料の熱処理工程において、酸化や発生スケールの減少化や材料品質向上や改質のために、空気比0.5〜0.95(各対象炉によって運転空気比は異なる)の無酸化還元燃焼が行われる。例えば、従来の無酸化燃焼炉の代表的な例として図16に示されるセラミック焼成炉102の場合は、複数の還元型バーナ(理論空気比以下の燃焼が可能)101が設置され、ワーク103がこの無酸化雰囲気の中で加熱され(例えば常温→1,250℃)、抽出されて次の加工工程に搬送されるように設けられている。燃焼ガス中のすす発生はバーナ101の工夫された混合機構により極力抑制されるがCOの発生は当然避けることは出来ない。そこで、通常、COは、炉の出口近傍に設置されたアフターバーナ104にて燃焼されたあと、排ガスを1ヶ所のレキュぺレータ105を通過させ、ここで燃焼用空気と熱交換され、通常300〜400℃にして煙突108から排出される。レキュペレータ105をもたない設備も数多く存在する。尚、図中の符号106は送風機、107は排風機である。
【0003】このような無酸化還元燃焼は、もっぱらガスを主とする燃料が用いられるが、通常のバーナでは低空気比燃焼および理論空気比以下の燃焼の場合には燃焼ガス中にCOの他、多量のすすが発生し易く、燃焼を安定に維持することが困難となる。
【0004】そこで、無酸化雰囲気用バーナでは、フリーO(残存O)の発生を抑制するために燃料と空気の初期混合を促進させたり、安定性を増すために一部空気を燃料に予混合するような特別な工夫が成されている。例えば、図17に示すバーナ101のように、エアインテーク114から導入した燃焼用空気をバーナタイル110の入口部分の燃料噴射ノズル113の周りに環状配置した何十という小さな孔の空気ノズル111から強い旋回をかけて噴射させるミキシング構造を備え、バーナタイル110の空間112で燃料ガスと燃焼用空気との初期混合が急速に行わせるように設けられている。このミキシング構造を有するバーナ101の場合、空気比0.6位まで発煙しない。尚、図中の符号115はパイロットバーナである。
【0005】一方、省エネルギーや低NOx性、均一温度分布特性に優れた蓄熱バーナ技術をこれら空気比0.5〜0.95の無酸化還元雰囲気燃焼に適用しようという試みも為されているが、現在未だ実用化に至っていない段階である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図17のミキシング機構を有する従来の無酸化バーナ101では、省エネルギーにならないばかりか、それ以上のすすの発生を抑えることもできない。即ち、発煙が無いと言っても、バカラック指数で3程度であり、発煙としては認められないという程度である。また、図10のような無酸化バーナ101は混合性を確保するためには複雑なミキシング機構とバーナタイル110とを必要とすることから、大きさに限界があり、スケールアップ(燃焼量の増大)が必要な場合にはバーナ数を増やさざるを得ず、何台ものバーナを集合させようとしても収まりきらない問題がある。しかも、空気と燃料とを噴射直後に急速に混合(乱流拡散混合)して予混合燃焼化させるため、保炎機構が十分でないと安定燃焼条件範囲が狭まりかつ混合比が空気比1.0付近となるため火炎最高温度を高くしてNOxの発生を急激に増大させる。
【0007】他方、蓄熱バーナは、燃焼用空気を1,000℃またはこれ以上に予熱するためNOxが増加し易い。このため燃料と空気の噴出ノズルを一定距離以上に離し、燃料を空気噴流に平行に噴出させて初期混合を遅らせると同時に高速の空気噴流を用いて炉内のガス循環効果を最大限に生かすことによって、高温空気を排ガスで希釈し、低酸素状態で燃焼反応を行わせて火炎中に局所的高温領域を形成させないことでNOxを下げるようにしている。
【0008】しかも、蓄熱バーナの場合、通常の無酸化バーナに比べて予熱空気温度が高く(700〜1,000℃)、一般のハイドロカーボン系燃料のすす生成温度領域に近いことから、通常バーナよりすすの発生を促進する傾向がある。
【0009】このため、理論空気比未満での無酸化還元燃焼では初期混合が極めて遅れた緩慢な燃焼となるためどうしてもすすの発生を伴う。本発明者の実験によれば、バカラック指数で8〜9であり、NOxの発生も多かった。
【0010】そして、このすすの発生は、蓄熱体の閉塞を招き、蓄熱体の性能低下、圧損の増大、メンテナンスの頻度増大が懸念される。
【0011】また、短い周期で高温ガス(1,000℃以上)がバーナ内に逆流するため(エアスロート即ち空気通路が排ガス通路にもなる)、熱的及び圧力損失の制限から、図17に示す無酸化バーナのような燃料と空気の複雑な初期混合機構をもつことが困難であるし、また金属の使用も制限される。このため、未だ実用化に至っていないのが現状である。
【0012】本発明は、すすの発生が少なく、残存酸素の極小化が可能な無酸化還元燃焼方法及びバーナ装置を提供することを目的とする。また、本発明は、省エネルギーや低NOx性、均一温度分布特性に優れた蓄熱バーナ技術を理論空気比未満特に空気比mが0.5<m<1.0の無酸化還元雰囲気燃焼に適用可能とする無酸化還元燃焼方法及びバーナ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するため、本発明者等が種々研究・開発した結果、空気と燃料とを噴射直後に急速に混合(乱流拡散混合)させることは、NOxの発生を急激に増大させると従来思われていたが、空気噴流の比表面積を増大させ尚かつ所定範囲で衝突させる場合にはフリーOの極小化を達成してすすの発生を抑制しつつNOxの発生をも抑制できることを知見するに至った。
【0014】即ち、従来は燃焼用空気と燃料とが高強度の乱流の状態で混合を起こすに十分な速度エネルギーを有する間であれば、どこで衝突させても火炎最高温度を高くしてNOxの発生を急激に増大させるものと思われていた。特に、燃焼用空気を燃焼排ガス温度近くの高温に予熱して供給する場合にはそれが顕著になると考えられていた。しかし、本発明者等は、空気噴流の断面形状を変え所定の範囲で衝突させることにより、十分な乱れ強さをもった範囲内で尚かつ酸素濃度が低い状態での燃焼のさせ方が可能となることを知見するに至った。
【0015】本発明はかかる知見に基づくものであって、請求項1記載の無酸化還元燃焼方法は、理論空気量未満の燃焼用空気(例えば0.5<m<1.0)で燃焼させる方法において、燃焼用空気を同一流量を真円のスロートから供給する場合に比べて比表面積が大きな噴流断面にして炉温が800℃以上の炉内へ噴射すると共にこの空気噴流に向けて燃料を噴射させ、燃料がその速度エネルギーを失う前に空気噴流に強い乱れを以て急速に混合されるようにしている。
【0016】この場合、空気噴流の比表面積が大きく広い面積で周りの燃焼ガスと接触しかつ取り込んで行くため、噴射直後から急速に酸素濃度が下がって行き、噴出後もまだ強い乱れを伴う乱流拡散混合に必要かつ十分な速度エネルギーを有する燃料と衝突する頃には酸素濃度が十分低くなっている。そして、炉内温度が800℃以上という条件では、空気噴流が短い距離で炉内ガスと混合して希釈とともに予熱され空気温度を上げる。そのため、供給空気温度が、保炎機構がない系で安定に燃焼するために必要とされる少なくとも自己着火温度以上の温度よりもはるかに低くても、例えば空気温度400℃であっても、燃料噴流と接触する以前に容易に高温空気燃焼が必要とされる温度即ち、800℃に達する。依って高温空気燃焼で必要条件とされている約800℃以上という空気温度に対しても、供給空気温度が200ないし300℃以上あれば良い。空気噴流の乱流攪拌効果を高めたことにより、従来の空気温度範囲よりも広い温度範囲で燃焼が可能となる。
【0017】したがって、燃料と空気噴流とが強い乱れを以て急速に混合されても、燃焼用空気の噴流には酸素濃度の高い部分がないことから局所的な高温域の発生を伴わずに平坦な温度分布の火炎が安定に形成される。即ち、燃焼用空気の酸素濃度が低減した状態で尚かつ燃料噴流と空気噴流とが強い乱れを伴って急速に初期混合されることによって、フリーOを極めて少なくして未燃のすすの発生とNOxの発生を同時に抑制することができる。
【0018】また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の無酸化還元燃焼方法において、燃焼用空気が蓄熱メディアを介して排気される燃焼排ガスの熱を回収して燃焼排ガスの温度に近い高温に予熱されてから供給されるようにしている。
【0019】この場合、蓄熱体を介して炉内へ高速で噴出される燃焼用空気は排気ガス温度に近い高温に予熱され炉内へ噴射されたときには既に混合気の自己着火温度以上となっているため、炉内へ噴出された直後から周りの燃焼ガスと広い面積で接触して急速に酸素濃度が下がった燃焼用空気と燃料とが強い乱れを伴う乱流拡散混合に必要かつ十分な速度エネルギーを失わないうちに急速に混合されると同時に燃焼を開始する。しかも、燃焼用空気と燃料の双方が強い乱れを伴う乱流拡散に必要かつ十分な速度エネルギーを有するうちに急速に混合されても、燃焼用空気の酸素濃度が十分に低下しているため局所的な高温域が発生しない。更に、高温に予熱された燃焼用空気は高速の流れとなって燃焼室あるいは炉内での燃焼ガスの挙動・循環を活発にし、燃焼室内温度分布を平坦化(局所的高温域のない平坦な温度分布の燃焼場を形成)する。即ち、燃焼用空気の酸素濃度が低減した状態で尚かつ燃料噴流と空気噴流とが強い乱れを伴って急速に初期混合されると共に炉内排ガスの循環効果が促進され、フリーOを極めて少なくして未燃のすすの発生を極小化すると共にNOxの発生をも抑制することができる。
【0020】また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の無酸化還元燃焼方法において、燃焼用空気が、全体として扁平で肉厚の薄い噴流に形成されるようにしている。この場合、空気噴流の比表面積の大幅な増加により、燃焼ガスによる希釈効果を一層高めて、燃料と衝突する頃には酸素濃度の高い部分・芯のない噴流を形成する。したがって、十分な乱れ強さをもった範囲内で尚かつ酸素濃度の高い部分を持たずに全体に低い状態で急速に初期混合を行って燃焼させることができるので、すす発生をより極小化すると共にNOxの発生をも抑制することができる。
【0021】また、請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の無酸化還元燃焼方法において、燃料が、少なくとも2つ以上の噴射口から分けて噴射され、比表面積を大きくした空気噴流に対して広い面積で衝突させられて当該燃料が強い乱れを以て空気噴流と急速に混合されるようにしている。この場合、空気と燃料との接触面積も広がり、混合がより急速なものとなる。
【0022】また、請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の無酸化還元燃焼方法において、燃料噴流が複数本形成され、空気噴流と衝突する前に燃料噴流同士が衝突するようにしている。この場合、空気噴流と衝突する前に燃料噴流同士が衝突することによって扁平に広がる平面状噴流が得られることから、燃料と炉内高温ガスとの接触表面積が増大する結果、真円状噴流の場合に比して燃料噴出部からごく短い距離で燃料噴流が希釈・予熱され(炉温800℃以上の条件)る。したがって、燃料が高温でかつ発熱量が充分に低下していると共に燃焼用空気も高温でかつ酸素濃度の高い部分がないため、強い乱れを伴って急速な初期混合を行っても供給空気温度の広い範囲で着火源の安定性が保たれかつ燃焼反応が促進されてフリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化が実現される。
【0023】また、請求項6記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の無酸化還元燃焼方法において、空気噴流が複数本形成され、燃料噴流と衝突する前に空気噴流同士が衝突するようにされている。この場合、燃料噴流と衝突する前に空気噴流同士が衝突することによって扁平に広がる平面状噴流が得られることから、炉内高温ガスとの接触表面積が増大する結果、真円状噴流の場合に比して空気噴出部からごく短い距離で燃焼用空気が燃焼ガスで希釈・予熱され(炉温800℃以上の条件)る。このとき、燃焼用空気が高温でかつ酸素濃度が全体に充分に低下して高い部分がないため、その状態で燃料と混合しても供給空気温度の広い範囲で着火源の安定性および局所的な高温域が発生しない燃焼形成が図られると同時に燃焼反応が促進されてフリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化が実現される。
【0024】また、請求項7記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の無酸化還元燃焼方法において、燃料噴流並びに空気噴流が複数本形成され、かつ燃料噴流と空気噴流とが衝突する前に空気噴流同士並びに燃料噴流同士が衝突するように設けられている。この場合、空気噴流と衝突する前に燃料噴流同士が衝突することによって扁平に広がる平面状噴流が得られることから、燃料と炉内高温ガスとの接触表面積が増大する結果、真円状噴流の場合に比して燃料噴出部からごく短い距離で燃料噴流が希釈・予熱され(炉温800℃以上の条件)る。同時に、空気噴流も、燃料噴流と衝突する前の空気噴流同士の衝突によって扁平に広がる平面状噴流とされるため、高温でかつ酸素濃度が充分に低下している。したがって、燃料が高温でかつ発熱量が充分に低下していると共に燃焼用空気も高温でかつ酸素濃度の高い部分がないため、強い乱れを伴って急速な初期混合を行っても供給空気温度の広い範囲で着火源の安定性が保たれかつ局所的な高温域が発生しない燃焼状態が形成されると同時に燃焼反応が促進されてフリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化が実現される。
【0025】更に、請求項8記載の発明は、請求項1から7のいずれかに記載の無酸化還元燃焼方法において、炉内で衝突する前記燃焼噴流と空気噴流との組を複数組形成して大型燃焼場を形成するようにしている。
【0026】また、請求項9記載の発明は、理論空気量未満の燃焼用空気で燃焼させる無酸化還元燃焼用バーナにおいて、同一流量の燃焼用空気を真円のスロートから供給する場合に比べて比表面積が大きな噴流断面を形成して全量の燃焼用空気を炉内へ噴出するエアスロートと、エアスロートの噴射口からある距離を隔てた位置で尚かつ空気噴流と速度エネルギーを失う前に燃料を衝突させるべく燃料を炉内へ噴射する燃料ノズルとを備えるようにしている。この場合、比表面積が大きな形状の空気噴流が形成されるため、広い面積で周りの燃焼ガスと接触しかつ取り込んで噴射直後から急速に酸素濃度が下がって行く。そして、燃料と衝突する頃には、酸素濃度が十分低くなっていると共に燃料噴流も噴出後まだ強い乱れを伴う乱流拡散混合に必要かつ十分な速度エネルギーを有することから、燃料噴流と空気噴流との衝突によって両者は急速に混合される。依って、燃焼用空気の噴流には酸素濃度の高い部分がないことから局所的な高温域の発生を伴わずに平坦な温度分布の火炎が安定に形成される。即ち、燃焼用空気の酸素濃度が低減した状態で尚かつ燃料噴流と空気噴流とが強い乱れを伴って急速に初期混合されることによって、フリーOを極めて少なくして未燃のすすの発生とNOxの発生を同時に抑制することができる。
【0027】また、請求項10記載の発明は、請求項9記載の無酸化還元燃焼用バーナにおいて、エアスロートの開口の相当直径deとエアスロートの中心から燃料ノズルの中心までの間隔1/2Dpcdとの比de/Dpcdが0.1〜0.5の範囲であり、かつ燃料噴流軸とエアスロートの長手方向の中心軸上平面との交点とエアスロートの出口面までの距離Laに対するエアスロートの相当直径deの比La/deが1.0〜5.0の範囲で燃料を噴射するようにしている。この範囲内にエアスロートと燃料ノズルとが配置される場合、強い乱れを伴う乱流拡散混合に必要かつ十分な速度エネルギーを燃料が有しながら尚かつ燃焼用空気の酸素濃度が十分に低い状態となって燃料噴流と空気噴流とが衝突させられる。
【0028】また、請求項11記載の発明は、請求項9または10記載の無酸化還元燃焼用バーナにおいて、エアスロートが、扁平な矩形状の開口を有するようにしている。この場合に形成される空気噴流は真円エアスロートから噴出されるものと比べて扁平で比表面積が飛躍的に増加するため、燃焼ガスとの接触が活発で希釈効果を一層高めることから、強い乱れをもって燃料と衝突する頃には酸素濃度の高い部分・芯のない噴流を形成する。したがって、フリーOを極めて少なくして急速な初期混合が強い乱れを伴って行われ、すすの発生を極小化することが可能となるとともにNOxの発生が更に抑制される。
【0029】また、請求項12記載の発明は、請求項9または10記載の無酸化還元燃焼用バーナにおいて、エアスロートを複数の小孔に分割することによって、比表面積を増加できた。この場合、単一の真円から成るエアスロートに比べて容易に比表面積が大幅に増えると共に火炎の散在による温度の平坦化が可能となる。
【0030】また、請求項13記載の発明は、請求項9または10記載の無酸化還元燃焼用バーナにおいて、エアスロートが、複数の小孔に分割されて各噴流が独立せずに連なるように列状に配置され全体として扁平な断面形状の噴流を形成するようにしている。この場合、扁平な矩形スロートの場合と同様に、真円のエアスロートで形成される噴流と比べて比表面積が増大し、酸素濃度の低下がより急速なものとなる。
【0031】また、請求項14記載の発明は、請求項12または13記載の無酸化還元燃焼用バーナにおいて、複数の小孔は、燃料噴流と衝突する前に空気噴流同士が衝突する噴流を形成するものであるようにしている。この場合、複数の小孔は燃料噴流と衝突する前に空気噴流同士が衝突することによって扁平に広がる複数の平面状噴流が得られることから、炉内高温ガスとの接触表面積が単一の平面状噴流の場合に比べて大幅に増大する結果、空気噴出部から真円状噴流の場合に比して極めて短い距離で燃焼用空気が希釈・予熱され(炉温800℃以上の条件)る。このとき、扁平エアスロートを用いずとも、空気噴流同士の衝突によって扁平断面を有する噴流を形成することができ、扁平エアスロートの噴流がもたらすものと同じ効果を得ることができる。即ち、燃焼用空気が高温でかつ酸素濃度が充分に低下し酸素濃度が高い部分がないため、その状態で燃料と混合しても供給空気温度の広い範囲で着火源の安定性および局所的な高温域が発生しない燃焼形成が図られると同時に燃焼反応が一層促進されてフリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化が実現される。
【0032】また、請求項15記載の発明は、請求項9から14のいずれかに記載の無酸化還元燃焼用バーナにおいて、燃料ノズルが、少なくとも2つの噴射口を有し、比表面積が大きくなった空気噴流に対して広い面積で燃料を衝突させるようにしている。この場合、燃料との接触面積が広がり、乱流拡散による初期混合がより広範囲で急速に行われる。
【0033】また、請求項16記載の発明は、請求項9から14のいずれかに記載の無酸化還元燃焼用バーナにおいて、燃料ノズルが少なくとも2つの噴口を有し、各噴口から噴出される燃料噴流同士が空気噴流と衝突する前に衝突する噴流を形成するようにしている。この場合、空気噴流と衝突する前に燃料噴流同士が衝突することによって扁平に広がる平面状噴流が得られることから、燃料と炉内高温ガスとの接触表面積が増大する結果、真円状噴流の場合に比して燃料噴出部からごく短い距離で燃料噴流が希釈・予熱され(炉温800℃以上の条件)る。したがって、燃料が高温でかつ発熱量が充分に低下していると共に燃焼用空気も高温でかつ酸素濃度の高い部分がないため、強い乱れを伴って急速な初期混合を行っても供給空気温度の広い範囲で着火源の安定性が保たれかつ燃焼反応が促進されてフリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化が実現される。
【0034】また、請求項17記載の発明は、請求項9から16のいずれかに記載の無酸化還元燃焼用バーナにおいて、燃料ノズルが、空気噴流を囲むように複数配置されるようにしている。この場合、燃料との接触面積が広がり、乱流拡散による初期混合がより広範囲で急速に行われる。
【0035】また、請求項18記載の発明は、請求項17記載の無酸化還元燃焼用バーナにおいて、複数本の燃料ノズルは、空気噴流と衝突する前に燃料噴流同士が衝突する噴流を形成するようにしている。この場合、空気噴流と衝突する前に燃料噴流同士が衝突することによって扁平に広がる平面状噴流が得られることから、燃料と炉内高温ガスとの接触表面積が増大する結果、真円状噴流の場合に比して燃料噴出部からごく短い距離で燃料噴流が希釈・予熱され(炉温800℃以上の条件)る。したがって、燃料が高温でかつ発熱量が充分に低下していると共に燃焼用空気も高温でかつ酸素濃度の高い部分がないため、強い乱れを伴って急速な初期混合を行っても供給空気温度の広い範囲で着火源の安定性が保たれかつ燃焼反応が促進されてフリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化が実現される。
【0036】また、請求項19記載の発明は、請求項9から18のいずれかに記載の無酸化還元燃焼用バーナにおいて、空気噴流並びに燃料噴流が複数本形成され、かつ空気噴流と燃料噴流とが衝突する前にそれぞれ空気噴流同士並びに燃料噴流同士が衝突する噴流を形成するようにされている。この場合、空気噴流と燃料噴流とが衝突する前にそれぞれ空気噴流同士並びに燃料噴流同士で衝突して扁平に広がる平面状の燃料並びに燃焼用空気の噴流が得られることから、燃料と炉内高温ガス並びに燃焼用空気と炉内ガスとの接触表面積がそれぞれ真円状噴流の場合に比べて飛躍的に増大する結果、燃料及び燃焼用空気が各噴出部から極めて短い距離で希釈・予熱され(炉温800℃以上の条件)る。したがって、燃料が高温でかつ発熱量が充分に低下していると共に燃焼用空気も高温でかつ酸素濃度が充分に低下し高い部分がないため、強い乱れを伴って燃料と燃焼用空気が初期混合されても供給空気温度の広い範囲で着火源の安定が保たれかつ局所的な高温域が発生しない燃焼形成が得られると同時に燃焼反応が促進されてフリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化が実現される。
【0037】また、請求項20記載の発明は、請求項9から19のいずれかに記載の無酸化還元燃焼用バーナにおいて、エアスロートに蓄熱メディアと該蓄熱メディアに対し燃焼排ガスと燃焼用空気とを交互に導く流路切替手段とを備え、蓄熱体を通して燃焼排ガス温度に近い高温に予熱された燃焼用空気を炉内へ向けて噴射させるようにしている。この場合、燃料噴流が衝突する際の燃焼用空気は燃焼排ガス温度に近い高温で混合気の自己着火温度以上となっていることから燃料と混合されると同時に燃焼を開始するが、燃料と混合される時には既に酸素濃度が極めて低くなっているため燃焼域が通常の乱流拡散燃焼時よりも広がり、通常乱流拡散燃焼時よりも局所的な高温域が発生しない。
【0038】また、請求項21記載の発明は、請求項20記載の無酸化還元燃焼用バーナにおいて、セラミックハニカムを蓄熱メディアとして内蔵するようにしている。ここで、ハニカムのセル数は10〜200セル/inであることが好ましい。この場合、ナゲットやブロックなどを充填した蓄熱体に比べて遙かに低圧損のため、すすなどが発生してもそれらによる閉塞や汚れによる性能低下が極めて起りにくい。また、圧損が少ない分だけ低供給動力で燃焼用空気を高速にして炉内へ噴射することができるため、炉内ガスを活発に撹拌し炉内温度分布の均一化を一層助けてNOxの発生を抑制すると共に、蓄熱メディア内を乱れなく高速で流れる空気あるいは排ガスと蓄熱体との間の対流伝熱を良好にすると共に薄いセル厚さによりナゲット等の蓄熱体の場合に比べて極めて短時間で温度変化に追従することから、蓄熱体としての能力を十分に利用した状態での高速切換を可能にして熱交換の温度効率を高め、炉内温度の昇温あるいは降下を短時間で実現を可能とすると共により高温の予熱空気を供給させて省エネルギー効果を上げる。
【0039】また、請求項22記載の発明は、請求項20または21記載の無酸化還元燃焼用バーナにおいて、バーナ本体のエアスロートに蓄熱メディアを内蔵すると共に、該バーナ本体に流路切替手段を直結し、バーナ本体の直近で燃焼用空気と排ガスとの切替えを行うようにしている。この場合、バーナ切換時の給気・排気の送気遅れ時間を最少化し、CO濃度を安定化させると同時に切換時のフリーOを極小化する。即ち、蓄熱メディアと流路切替手段との間のダクト分のパージ容積が不要となる分だけそこに残留する排ガス量も少なくなり、切替時のパージ用空気の量が極微量となるため、切替時に酸素濃度が高くなることを防いで、このような事態を絶対に避けたい熱処理などにおいてフリーOの悪影響を与えないようにすることができる。
【0040】更に、請求項23記載の発明は、請求項9から22のいずれかに記載の無酸化還元燃焼用バーナにおいて、エアスロートと燃料ノズルとを複数組設置して大型燃焼機を構成するようにしている。この場合、エアスロートと燃料ノズルを収容するスロートとを必要に応じて複数組、例えば環状に配置したり、縦あるいは横に一直線上に配置したり若しくは放射状に配置するだけで必要に応じて大型の燃焼機を構成できる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0042】図1に本発明の無酸化還元燃焼方法を実施する無酸化燃焼バーナの一例を示す。この実施形態の無酸化燃焼バーナ1は、蓄熱メディアを介して空気の供給と燃焼ガスの排気とを交互に行う蓄熱型バーナとして構成したものであり、2基で一対を成し、燃焼と排気を数十秒間のインターバルで交互に繰返すように燃焼が燃焼制御装置(図示省略)で制御されている。燃焼排ガスは休止中のバーナ内を通過し、バーナに内蔵されたハニカム構造の蓄熱メディア(以下単に蓄熱メディアと呼ぶ)2に熱を与えることにより冷却されて流路切替手段たる切換弁(三方弁)3を経由して、排風機(図示省略)を通って煙突等に至る。燃焼排ガスは、一方、蓄熱バーナ1では各々内蔵した蓄熱メディア2で排ガスから回収した熱によって燃焼空気を予熱する。ここで、COを含む燃焼排ガスは、図示していないが煙突の入口に設けられたアフターバーナ等の後処理設備において再燃焼され、煙突より排出される。一方、蓄熱バーナ1では各々内蔵した蓄熱メディア2で排ガスから回収した熱によって燃焼空気を予熱する。そして、この高温予熱空気を使って無酸化還元燃焼を行う。
【0043】各蓄熱バーナ1は、例えば図1及び図2に示すように、蓄熱メディア2と、第2の燃料ノズル11と、流路切替手段たるフラッパ式三方弁(スイッチバルブ)3及びこれらを支持するバーナ本体10並びに必要に応じて第1の燃料ノズル12とから構成され、耐火耐熱物から成るバーナ本体10に蓄熱メディア2と第2の燃料ノズル11及び第1の燃料ノズル12とを内蔵している。そして、バーナ本体10の後端にはフラッパ式三方弁3が直結され、バーナ本体によって形成されるエアスロート13に収容されている蓄熱メディア2との間にできるだけ空間を開けないように三方弁3を配置して蓄熱メディア2の直近で燃焼用空気と排ガスとの切替えを行うように設けられている。
【0044】ここで、フラッパ式三方弁は、図1に示すように、バーナ本体10に直結されるハウジング17と、このハウジング17内に設置されてバーナ本体10に連結されたポート14を除く2つのポート15,16を開閉するフラッパ19とこれを2つのポート15,16の間で揺動させる切替シャフト18と、該切替シャフト18をハウジング17の外で駆動するアクチュエータ(図示省略)とから構成されている。ハウジング17は、バーナ本体10に直結される座を含む3つの座を有し、各座部分にポート14,15,16が形成され、一方のポート15には燃焼用空気の供給系統のダクト20が、他方のポート16には排気系統のダクト21がそれぞれ連結されている。
【0045】このように構成されたフラッパ式三方弁3の内部空間Sは、フラッパ19が揺動し得る最小の空間から成り、給気と排気との切替時にパージする容積を極めて小さして残留する排ガスを空気に入れ換えるための時間を短くし、パージのための時間が燃焼の切替時間に占める割合を小さくする。加えて、三方弁3と蓄熱メディア2とは近接して設けられており、排ガスから燃焼用空気への切替時に三方弁3から蓄熱メディア2にかけて残存する排ガスの量が極微量であり、バーナ本体10と三方弁3とを繋ぐべきダクト分のパージ容積が不要となる分だけパージ時間とパージガス量を少なくできる。しかして、内部空間Sから蓄熱メディア2にかけて残留する排ガスを空気と入れ替える時間を短くした高速切替を可能としてフリーOを少なくすることができる。また、一方の蓄熱バーナを消火するのとほぼ同時に他方の蓄熱バーナを着火することができ、温度効率を上げてより高温の予熱空気での燃焼を実現でき省エネルギー効果を高めることができる。
【0046】また、第2の燃料ノズル11は、図示していないが必要に応じてパイロットバーナ等を備え、取り外すことができるようにバーナ本体10に装着されている。この燃料ガンの後端には図示していないが燃料遮断用電磁弁などを含む燃料ガンアッセンブリが備えられる。
【0047】この第2の燃料ノズル11は、エアスロート13の出口13aからある距離を隔てた位置に所定の傾きを以て配置され、空気噴流と燃料噴流とが噴射口から離れた所定範囲で衝突させられるように設置されている。
【0048】ここで、衝突位置を定める所定範囲とは、燃料噴流が空気噴流と強い乱れを以て混合可能でかつ空気噴流並びに好ましくは燃料噴流に炉内ガスを十分に巻き込んでそれらの酸素濃度あるいは発熱量を低減させ得る位置、即ち噴射・速度エネルギを失わないで尚かつ空気噴流が十分に排ガスを巻き込んで酸素濃度を低くした位置を意味する。
【0049】具体的には空気噴射口及び燃料噴射口に近い所で空気噴流と衝突させるべく燃料を噴射するように設けられている。例えば本実施形態の場合、図3に示すように、定格運転時に主に燃料を噴射するノズル即ち第2の燃料ノズル11は、エアスロート13の相当直径(面積を円に換算したときの直径)deとエアスロート13の中心から燃料ノズルの中心までの間隔1/2Dpcdとの比de/Dpcdが0.1〜0.5の範囲で、かつ燃料噴流軸とエアスロートの長手方向の中心軸上平面との交点とエアスロート13の出口面までの距離Laに対するエアスロートの相当直径deの比が1.0〜5.0の範囲で設定されることが好ましい。この場合、強い乱れを伴う乱流拡散に必要かつ十分な速度エネルギーを燃料が有しながら尚かつ燃焼用空気の酸素濃度が十分に低い状態となって燃料噴流と空気噴流とが衝突させられる。尚、図中の符号αは第2の燃料ノズルから噴射される燃料の衝突噴射角度である。
【0050】この第2の燃料ノズル11から噴射される燃料の噴流はその速度エネルギーを失う前即ち噴射エネルギーが大きく衰えない乱れ強さの強い乱流であるうちに空気噴流と衝突して十分な乱れ強さをもった状態で速やかに空気噴流と混合される。
【0051】また、燃焼用空気は、同一流量を真円のスロートから供給する場合に比べて比表面積が大きな噴流断面を形成するように噴出される。例えば、エアスロートの噴射口の形状を非円形にして円形よりも比表面積を大きくしたり、噴流同士を衝突させて流体干渉によって扁平状断面を有する噴流を形成する。より好ましくは、全体として肉厚の薄い・芯(酸素濃度の高い部分・流れ)のない空気噴流を形成して比表面積をより大きくすることである。具体的には図2に示すような矩形、図5に示すような扁平な楕円、多数の小孔に分割されて散在する円形あるいは図4に示すような小孔が一直線上に配置されることによって全体として扁平な矩形、楕円などの噴流断面が形成される。この場合、炉内ガスを短い時間で巻き込み、酸素濃度が速く下がって行くので、噴射エネルギー・速度エネルギーの強い状態の燃料と衝突する頃には酸素濃度が十分低くなっている。
【0052】燃料ノズルは2つあるいはそれ以上設けられることが好ましい。燃料ノズルから噴射される燃料は所有するエネルギが小さい。このことから噴射された後に直ぐにエネルギを失う。したがって、噴射ノズル数を多くして広い範囲に広がるように噴射させれば、比表面積が大きくなった空気噴流に対して広い面積で燃料が衝突することによって、バーナからより短い距離において強い乱れを伴う乱流拡散混合を起こせる。即ち、比表面積を広くした空気噴流のできるだけ全域に燃料が強い乱れを以て噴きつけられるようにすることが好ましい。この観点から、燃料ノズルも2本以上設けられることが好ましく、より好ましくは空気噴流を囲むように配置されることである。
【0053】ここで、空気噴流の噴流直後からの速度低下は、その開口形状にも左右される。例えば、扁平な矩形状エアスロート13を例にとると、矩形の短い辺の長さをa、長い辺をb、相当直径deとしたとき、aはdeの1/2ないし1/5程度に設計すると、La/de=2とはLa/aでは4ないし10となる。初期速度が同じであれば速度減衰はLa/aで表されることから、本混合形式はその値が大きいことがわかる。即ち、速度減衰の値が大きいということは、噴出後同一距離で比較すると、炉内ガスの巻き込みを促進させたことを意味する。したがって、ノズル近傍で、高温排ガスによる空気流の希釈は所定の条件(例えば、高温空気燃焼を成立させるのに必要な空気中酸素濃度の値例えば10%以下)に達するので、その領域に燃料を噴出させることが出来る。
【0054】同様に、燃料も燃料噴流径dfと燃料噴流が空気噴流と接触するまでの距離Lfとにより速度低下が定まる。したがって、燃料噴流がその衝突エネルギを失う前とは、例えば空気噴出後短い距離で高温空気燃焼を成立させる場合には、Lf/dfがおおよそ100ないし200以内で空気流に接触衝突することを表す。ここで、速度減衰を大きくすることは、高温空気燃焼を成立させる上で好ましいことは公知であるが、そのようなノズルは一般に火炎が浮力の影響を受けやすく加熱炉にはあまり適さないと見られていた。しかし、今般、見出した範囲であれば、火炎が浮力の影響を受けることなく、混合は効果的に促進された。その結果、単一の円形ノズルの場合よりも、よりバーナから近い位置で燃料と空気を混合させるようにしても、従来であれば顕著に生じていた急激なNOx発生もなく、しかも火炎の長さは効果的に短炎化された。これは、燃料と空気の接触位置が従前よりもバーナ寄り即ち噴口寄りとなったので、衝突混合時の燃料噴流の乱流乱れ強さが大きい状態で混合が開始するようになったことが主因であろうと思われる【0055】また、バーナ本体10は、先端開口13aが蓄熱メディア2を収容する部分よりも絞られて扁平な矩形状に形成されたエアスロート13を有している。そして、このエアスロート13からは、定格運転(炉温800℃以上)時に通常燃焼時の流速またはこれよりも高流速で理論空気量未満(対象となる炉の種類によって運転空気比は若干異なるが、例えば空気比m=0.5〜0.95)程度の燃焼用空気が炉内へ向けて噴射される。ここで、空気比の制御は難しいので1に設定しても実際には1以上となることもあるので、1ぎりぎりで確実に理論空気量未満とするには0.95程度に設定されることが一般的である。燃焼用空気はエアスロート13の開口13aの形状に倣って扁平な矩形状に整形されてから炉内へ噴射される。このため、燃料噴流に対して広い面積で衝突することとなる。同時に、このスロート形状によれば、バーナ本体10を構成する耐火耐熱物によって蓄熱メディア2が覆われることから、炉内からの輻射熱に対して蓄熱メディア2を保護することができる。
【0056】エアスロート13の開口(噴射口)13aの形状は、最も好ましくは、図2に示すような細長いスリット状の矩形に形成されることである。しかし、エアスロート13の開口13aの形状は、図示の扁平な矩形状に特に限定されず、図5に示すような楕円形や、図4に示すような小孔に分割された円形あるいは図示していないその他の比表面積が増大する形状例えば星形、繭形、正方形、三角形などの形状が必要に応じて適宜採用される。また、噴射口の形状そのものは場合によっては円形でも良いが、この場合には図4に示すように噴射口を多数の小さな円孔に分割して一列状に並べることによって、実質的にスリット形状のスロートから噴射されるのとほぼ同様の矩形状の空気噴流を形成するように設けることが好ましい。これらの場合、比表面積の大きな噴流が形成されれば、排ガスの巻き込みが活発となり短い距離で燃料と混合されても混合直前の位置での酸素濃度は充分に低くなっている。
【0057】この所定の空気流速は、図示していない送風機、排風機並びにエアスロート13の大きさ等を適切に設計することによって得られる。このエアスロート13の先端の開口13aの大きさを変えることで、燃焼用空気の噴射速度(運動量)を自由にコントロールすることができ、火炎の形状及び性状を変えることができる。
【0058】尚、本実施形態の場合、蓄熱メディア2を装填した1本のエアスロート13に対し2本の第2の燃料ノズル11を対称に配置して1ユニットのバーナを構成しているがこれに特に限定されず、1本のエアスロート13に対し1本の燃料ノズル11を、あるいは1本のエアスロート13に対し3本以上の燃料ノズル11を配置して1ユニットのバーナを構成するようにしても良い。例えば、バーナが大型でエアスロート13が細長い矩形の場合には、燃料を空気噴流に均等に衝突させるため、図2に示すようにエアスロート13を挟んで2本の第2の燃料ノズル11を対称に配置して空気噴流を挟むように燃料を噴射するようにしているが、更には片側に2本ずつ配置して計4本配置することもある。燃料ノズルの数及び噴射口の数は多くすることが好ましく、例えば空気噴流を囲むように複数配置されたり、少なくとも2つの噴射口を有し、比表面積が大きくなった空気噴流に対して広い面積で燃料を衝突させるように設けられる。
【0059】また、蓄熱メディア2は、その材質、構造については特に限定を受けるものではないが、比較的圧力損失が低い割に熱容量が大きく形成できるハニカム形状、特に耐久性の高い材料、例えばセラミックスで成形されたハニカム形状のセル孔を多数有する筒体の使用が好ましい。この場合、蓄熱容量の割に圧損が低いため、送風機及び排風機の能力を特別に上げずとも給気と排気とが実施可能である。例えば100mmAq以下の低圧損で実現できる。また、蓄熱メディア2としては、例えば、排ガスのように1000℃前後の高温流体と燃焼用空気のように20℃前後の低温流体との熱交換には、コージライトやムライト、アルミナ等のセラミックスを材料として押し出し成形によって製造されるハニカム形状のものの使用が好ましい。また、ハニカム形状の蓄熱メディア2は、その他のセラミックスやセラミックス以外の素材例えば耐熱鋼等の金属あるいはセラミックスと金属の複合体例えばポーラスな骨格を有するセラミックスの気孔中に溶融した金属を自発浸透させ、その金属の一部を酸化あるいは窒化させてセラミックス化し、気孔を完全に埋め尽くしたAl−Al複合体、SiC−Al−Al複合体などを用いて製作しても良い。尚、ハニカム形状とは、本来六角形のセル(穴)を意味しているが、本明細書では本来の六角形のみならず四角形や三角形のセルを無数にあけたものを含む。また、一体成形せずに管などを束ねることによってハニカム形状の蓄熱メディアを得るようにしても良い。尚、ハニカム形状とは、本来六角形のセル(穴)を意味しているが、本明細書では本来の六角形のみならず四角形や三角形のセルを無数にあけたものを含む。また、一体成形せずに管などを束ねることによってハニカム形状の蓄熱メディアを得るようにしても良い。
【0060】また、蓄熱メディア2の形状も特に図示のハニカム形状に限定されず、図示していないが筒状のメディアケースに平板形状や波板形状の蓄熱材料を放射状にあるいは環状に配置したり、パイプ形状の蓄熱材料を軸方向に流体が通過するように充填したり、ボール状やナゲット状の蓄熱材を充填したり、更にはパンチングメタルのような多数の孔を穿孔した板材・耐熱鋼板等を単独であるいは積層するように収納したものであっても良い。
【0061】尚、本実施形態の蓄熱バーナ1に用いられる蓄熱メディア2は、ハニカム状のセラミック(セル数10〜200セル/in)であり、この小ブロック(50mm□〜200mm□×50mmh)が通常4〜10段垂直に重ねられて用いられる。ハニカム状の通路の中を排ガスと空気が短時間例えば約30秒毎に交互に逆方向に流れる。このようにハニカム内の流れに、局所的な乱流域や低流速がない往復動のため、すすなどが発生してもそれらが付着したり堆積することは少ない。このため長期使用においても蓄熱体の清掃や交換の必要はなく、メンテナンスが不要であることも特長である。
【0062】以上のように構成された無酸化還元燃焼バーナによれば例えば次のように操業される。
【0063】まず、炉内温度が常温から決められた温度(高温燃焼が実施可能な温度で、例えば800℃程度以上)にまで昇温する間は、立ち上げ用の第1の燃料ノズル12及び必要あれば定格運転用の第2の燃料ノズル11から燃料を噴射してバーナを運転する。所定温度へ達した後は、定格運転用の第2の燃料ノズル11だけからの燃料噴射に切り替えて第1の燃料ノズル12からの燃料噴射を停止する。勿論、場合によっては第1及び第2の双方の燃料ノズル11,12から燃料を噴射することもある。そして、フラッパ式三方弁3を動作させて交互燃焼運転を行う。
【0064】交互燃焼は、例えば2セットの隣接するバーナ同士でペア(AバーナおよびBバーナ)を組み、一方のバーナが燃焼モードの時、他方のバーナは排気モード(炉内の燃焼ガスを吸引し炉外へ排出する)となる。排気はバーナ本体10のエアスロート13から蓄熱メディア2を経て、排ガスの顕熱を蓄熱メディア2で回収して低温にしてから行われる。そして燃焼時に、蓄熱メディア2に燃焼空気を通すことで、炉内燃焼ガス温度に近い高温の予熱空気が得られる。第2の燃料ノズル11は燃焼空気の供給とほぼ同一タイミングで燃料を供給する。通常、定格運転時に炉内へ直接燃料を噴射する第2の燃料ノズル11にはパイロットバーナが組み込まれず一次空気を使用しないが、第1の燃料ノズル12などで冷却のため空気を流す場合にはこの冷却用空気を含めて全体に理論空気比未満の空気比となるように供給空気量と燃料量とが調整されている。また、フラッパ式三方弁3と同期して一対のバーナの各ガス電磁弁は開閉する。
【0065】ここで、蓄熱メディアに対する排ガス及び燃焼用空気の流れを相対的に切り替えて該蓄熱メディアを通して燃焼排ガスの排気と燃焼用空気の給気とが交互に行なわれることによって、燃焼用空気が排ガスの温度に近い高温に予熱されてから供給され燃焼に供される。燃焼用空気は定格運転時において通常燃焼時の流速またはこれよりも高流速で噴射させられると共にこの空気噴流に向けて燃料を噴射させ、空気噴流の出口からある距離を隔てた位置で燃焼用空気と燃料を高速で衝突させて急速に混合させられる。ここで、定格運転時とは、例えば炉内温度が800℃以上に達した状態における燃焼時などの、設計前提条件を満たしている運転を意味する。
【0066】このとき、第2の燃料ノズル11から高速度で噴射される燃料と、エアスロート13から高速度で噴射される燃焼用空気とは、それらの間の相似則を保ちながらエアスロート13の出口13aからある距離Laを隔てた位置で衝突し、乱流拡散により急速に初期混合を起こして理論空気量未満での無酸化還元燃焼を起こす。ここで、蓄熱メディア2を介して炉内へ高速で噴出される燃焼用空気は排気ガス温度に近い高温に予熱され炉内へ噴射されたときには既に混合気の自己着火温度以上となっているため、炉内へ噴出された直後から周りの燃焼ガスと広い面積で接触して急速に酸素濃度が下がった燃焼用空気と燃料とが強い乱れを伴う乱流拡散混合に必要かつ十分な速度エネルギーを失わないうちに急速に混合されると同時に燃焼を開始する。しかも、燃焼用空気と燃料の双方が強い乱れを伴う乱流拡散に必要かつ十分な速度エネルギーを有するうちに急速に混合されても、燃焼用空気の酸素濃度が十分に低下しているため燃焼域が乱流拡散混合の場合よりも広がり局所的な高温域が発生しない。更に、高温に予熱された燃焼用空気は高速の流れとなって炉内での燃焼ガスの挙動・循環を活発にし、局所的高温域のない平坦な温度分布の燃焼場を形成する。即ち、フリーOを極めて少なくして未燃のすすの発生を極小化すると共にNOxの発生をも抑制することができる。
【0067】そして、一対の蓄熱バーナ1の燃焼モードと排気モードの切替は、所定の切替時間例えば約30秒毎に行われる。燃焼するバーナの切替は、各ペア間でタイミングをずらし、順次行うことにより、炉内圧力の変動を最小限にすることが好ましい。いずれの場合にも、Aバーナ燃焼とBバーナ燃焼の間には休止時間と呼べるほどのものは設けられておらず、切替運転用燃料弁はAバーナの閉止とほぼ同時にBバーナが開放される。即ち、バーナ本体10とフラッパ式三方弁3とが直結された本実施形態の場合、切替時間にはパージ時間が極めて短時間(例えば消火して反対側のバーナに着火するまでが0.3秒以内のパージ時間)しか採られず、消すと同時に対となる相手側のバーナが着火するように設けられている。これによって、炉圧変動をほぼ1/4程度に小さく抑えることができると共に、フリーOを極小化できる。
【0068】ここで、三方弁3の切替は、予め決められた切替時間に基づいて行っても良いが、熱電対で測定される排ガス温度によって切替られることもある。排気温度は常温付近から例えば200℃ないし300℃の間で管理されることが好ましい。
【0069】尚、交互燃焼は上述したように対を成すバーナが固定される場合に限られず、順次ペアを組む相手バーナを変更するようにしても良い。例えば、図示していないが、図1のバーナを単位ユニットとして3ユニット以上で燃焼システムを構成すると共に燃焼させるバーナの台数と燃焼を停止させて排気に利用するバーナの台数との比率を可変とし、ユニットが固定的な対を組まないで順次全ユニットが交互燃焼を繰り返すように燃焼するバーナの数よりも排気に利用するバーナの数を多くさせても良い。この場合、全てのユニットのバーナが時間をずらして尚かつ切替の際のパージ時間をできるだけなくして燃焼するため、広い範囲で非定在火炎を形成しながら交互燃焼を成立させることができる。したがって、図1に示す実施形態の交互燃焼バーナシステムよりも火炎の非定在化が進み、炉内温度分布がより均一化される。また、燃焼量を小さくしても燃焼バーナの数を減らすことによってエアスロートから噴出される燃焼用空気の速度を高速に維持でき、初期混合を良好な状態に維持すると共に炉内ガスの流動を活発に保持して、すす、フリーO、NOxの抑制を図りつつ局所的な高温域の発生を抑制した平坦な炉内温度分布を形成可能とする。ここで、燃焼バーナと排気バーナの数が異なっても、供給空気量と排気量との関係は変わらない。即ち、燃焼バーナと排気バーナとの台数比率が1:1であっても1:2であっても、1行程内でみれば、空気の流れる量も排気量も変わらない。ただし、燃焼バーナの比率が減ればその分だけ空気時間の比率が減ることとなり、蓄熱体の中を流れる流体速度は空気のときは速く、排気のときは遅くなり、冷却の伝熱の方が良好となるため、蓄熱体の効率は良くなる傾向となる。即ち、加熱空気の温度が上がり、排気温度が下がる傾向となる。
【0070】図6〜図8に他の実施形態を示す。この実施形態は、例えば、本構成条件を大型装置に適用した代表的な例(高温熱風発生設備)を示すものである。このバーナ装置には、エアスロート13と定格運転時に使用する第2の燃料ノズル11とが環状に交互に配置され、全体で1つの大型燃焼機が構成されている。本実施形態の場合、6箇所の矩形状(扁平な小判型)のエアスロート13と6本の第2の燃料ノズル11とが交互に環状に相互に接近させて設置されることによって1つの大型燃焼機を構成するようにしている。尚、図中の符号12は立ち上げ用のパイロットバーナ付き第1の燃料ノズル、31はウィンドボックス、32は炉内である。
【0071】このバーナ装置においても、第2の燃料ノズル11は、エアスロート13の相当直径deとエアスロート13を挟む2つの燃料ノズル間隔Dpcdとの比de/Dpcdが0.1〜0.5の範囲で、かつ燃料噴流軸とエアスロートの長手方向の中心軸上平面との交点とエアスロート出口面までの距離Laに対するエアスロートの相当直径deの比La/deが1.0〜5.0の範囲で設定される。
【0072】そして、燃焼用空気はウィンドボックス31に導入され、各蓄熱メディア2を経て各々のエアスロート13の出口13aから炉内へ通常燃焼時の流速またはこれよりも高流速で噴射され、周辺の第2の燃料ノズル11から噴射される燃料がエアスロート13の出口からある間隔を隔てた近い位置例えば上述の各範囲を満たす位置で高速に衝突させられ、急速に混合される。
【0073】また、図11〜図13に他の実施形態を示す。この実施形態は、燃料ノズルに複数の燃料噴射口(小孔)あるいは複数の燃料ノズルが、噴射される燃料噴流同士が空気噴流と衝突する前に衝突するように配置されて設けられたものである。この場合、燃料噴流同士が空気噴流と衝突する前に衝突することによって扁平に広がる噴流が得られることから、空気噴流との接触表面積が増大する結果、燃焼用空気の低温から高温までの広い範囲で着火源の安定化がはかられると同時に初期混合が急速に行われることにより燃焼反応が促進されてフリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化が実現される。
【0074】燃料ノズルは、例えば図12の(A)及び(B)に示すように、少なくとも2箇所の噴射口が、エアスロート開口13aから等距離に開口されると共に互いの燃料噴流同士が空気噴流と衝突する前に衝突するように形成されている。このような燃料ノズル11が少なくとも1本、好ましくは2本以上で例えば矩形状の開口13aのエアスロート13の周りに配置されている。図12の実施形態の場合、2本の燃料ノズル11がエアスロート13を挟むように対向配置されているが、図12に示すように4本を対向配置させても良いしそれ以上の本数を配置しても良い。また、燃料ノズルの少なくとも2箇所の噴射口は、例えば図13に示すように、エアスロート開口13aから異なる距離に開口され、互いの燃料噴流同士が衝突してから空気噴流と衝突するように形成されることも可能である。この場合、燃料噴流同士の衝突によって燃料噴流が空気噴流と平行に膜状に拡がり、その後に空気噴流と衝突するため、空気噴流との接触表面積がより一層増大して燃焼用空気の低温から高温までの広い範囲で着火源の安定化がはかられると同時に燃焼反応が促進されてフリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化が実現される。
【0075】また、図14〜図15に他の実施形態を示す。この実施形態は、空気噴流が複数本形成され、燃料噴流と衝突する前に空気噴流同士が衝突するようにされたものである。この場合、空気噴流と燃料噴流とが衝突する前にそれぞれ空気噴流同士並びに燃料噴流同士が衝突する噴流を形成することによって扁平に広がる複数の燃料及び燃焼用空気平面状噴流が得られることから、炉内高温ガスとの接触表面積が単一の燃料及び燃焼用空気平面状噴流の場合に比べて飛躍的に増大する結果、燃料及び燃焼用空気噴出部それぞれから極めて短い距離で燃料及び燃焼用空気が希釈・予熱され(炉温800℃以上の条件)る。このとき、燃料が高温で、かつ発熱量が充分に低下し、かつ燃焼用空気が高温で酸素濃度が充分に低下しているため、その状態で燃料と燃焼用空気が混合しても供給空気温度の広い範囲で着火源の安定性および局所的な高温域が発生しない燃焼形成が図られると同時に燃焼反応が飛躍的に促進されてフリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化が実現される。
【0076】エアスロート13は、例えば図14の(A)〜(C)に示すように、噴射口13aが6箇所の小さな円孔に分割し尚かつ各噴流が独立せずに連なるように接近させて一列に並べられることによって、実質的に矩形状のスロート開口から噴射されるのとほぼ同様の扁平な矩形状の空気噴流を形成するように設けられている。さらに、各円孔13aは斜めでかつ1つおきに逆方向となるように形成され、隣同士の空気噴流が衝突しその後に燃料噴流と衝突するように形成されている。ここで燃料噴流は、図示のように空気噴流に対して離れた箇所で分けられて衝突するように形成されても良いし、図11〜図13に示すように燃料噴流同士が衝突してから空気噴流と衝突するように形成して燃料噴流と空気噴流とが衝突する前に空気噴流同士並びに燃料噴流同士が衝突するように設けるようにしても良い。さらに、燃料ノズル11の数は特に限定されず、図15に示すように本数が多くなるほどに燃料分散効果が顕著となり、着火源の安定化がはかられると同時に燃焼反応が促進されてフリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化が実現される。
【0077】なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、一対のバーナを交互に燃焼させる燃焼方法について主に説明したが、これに特に限定されるものではなく、同一バーナを連続的に燃焼させる方式の蓄熱バーナ構造とすることも可能である。即ち、別々に独立したエアスロート13と排気通路とを設け、排気通路から連続して炉内ガスを排出する。一方、エアスロートから高温予熱された燃焼用空気を連続供給して連続燃焼させることも可能である。この場合、蓄熱メディアに対して排ガスと燃焼用空気とを連続的に途切れることなく通過させることが必要となるので、例えば蓄熱メディアをエアスロート13の外に配置して回転させ、あるいは蓄熱メディアに対して排ガス流路と空気流路とを回転させるかあるいは切り替え、燃焼排ガスと燃焼用空気とを相対移動する蓄熱メディアに対して異なる領域・位置で同時に通過させるようにしている。これによって、蓄熱メディアの加熱された部分に空気が流されて高温に予熱されることとなる。
【0078】また、本実施形態では、バーナ本体10内に蓄熱メディアを内装した蓄熱式バーナを例に挙げて主に説明したがこれに特に限定されるものではなく、蓄熱メディアをバーナ本体の外に設置したり、あるいは蓄熱メディアを介さずに燃焼用空気の供給と燃焼ガスの排気を行う非蓄熱型のバーナであっても良い。この非蓄熱型バーナの場合には、炉温が800℃以上の炉内へ燃料と燃焼用空気が噴射されることによって、燃料噴流と空気噴流とが衝突する前に炉内ガスと混合して希釈されると共に予熱され空気温度を上げる。そのため、供給空気温度が例えば200ないし300℃であっても、燃料噴流と接触する以前に高温空気燃焼が必要とされる温度即ち800℃に容易に達する。
【0079】また、本実施形態ではフラッパ式三方弁3を流路切替手段として用いた場合について主に説明したが、この三方弁に特に限定されるものではなく、その他の構造の三方弁や、複数の電磁弁の組み合わせや四方弁などの使用が可能である。また燃料についても、ガス燃料に限らず、オイル燃料あるいはオイル・ガス燃料を併用することも可能である。
【0080】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、請求項1並びに9記載の発明の無酸化還元燃焼方法及びバーナによると、同一流量を真円のスロートから供給する場合に比べて比表面積が大きな噴流断面を形成するため、周りの燃焼ガスの空気噴流への拡散が活発となり、噴射直後から急速に酸素濃度が下がって行き、燃料と衝突する頃には酸素濃度が十分低くなっていることから、燃料と空気とが強い乱れを以て急速に混合されても、燃焼用空気の噴流には酸素濃度の高い部分がなく燃焼域が広がり局所的な高温域の発生しない平坦な温度分布の火炎が形成される。しかも、強い乱れを伴う乱流拡散混合により速やかに混合するため、フリーOの発生を極めて少なくしてすすの発生及びNOxの発生を抑えることができる。
【0081】具体的には、図1及び図2に示す蓄熱バーナを用いて、例えば13A都市ガスを燃焼させた場合、空気比0.8(理論CO発生湿りガス濃度約3.6%)炉内温度1,000℃にて、すすの発生量は0.06g/Nm(バッカラッカスモーク指数1)以下に抑えられた。同一条件で通常の蓄熱バーナを燃焼させた時のすすの発生量は0.13g/Nm(バカラック指数9)以上となることから、約54%低減できた。
【0082】また、本発明によると、従来適用不能であった蓄熱バーナを無酸化還元燃焼に適用可能となったので、炉出口の排ガス温度を排ガスの酸露点近い温度まで下げることができ、従来バーナに比べ30%以上の省エネルギー化が可能となる。また高温空気燃焼によって発生NOx量の低減率も従来型に比べ50%以下にすることができ、燃焼場での温度分布が非常に平坦化され、品質を向上させることに加え火炎長も10〜30%の短炎化が可能となる。
【0083】また、この無酸化還元燃焼バーナ装置によると、大型で、蓄熱バーナ方式に比べ排熱回収率の低いレキュペレータが不要となり、設備的にも簡素化される。全体の設備費としては従来型と同等か若干割高となるが、排熱回収率が高いため、ランニングコストを考慮すると蓄熱バーナ型式が明らかに有利となる。
【0084】更に、本発明によると、空気と燃料を高速に混合しつつ、なおかつ火炎中に局所的高温領域が形成されることのない燃焼が実現される。よって非常に高温熱風を耐火物許容最高限界近くで効果的に発生させることが出来る。
【0085】この燃料と空気との混合は、請求項10記載のバーナによって容易に実現される。この範囲内にエアスロートと燃料ノズルとが配置される場合、強い乱れを伴う乱流拡散混合に必要かつ十分な速度エネルギーを燃料が有しながら尚かつ燃焼用空気の酸素濃度が十分に低い状態となって燃料噴流と空気噴流とが衝突させられる。また、請求項10記載の発明によると、空気と燃料との混合不良を招かずに空気噴流の出口から近い距離で燃料と空気とを衝突させる燃料ノズル位置が設定できる。
【0086】また、請求項9記載の発明によると、空気噴流表面積が増加して空気希釈効果をより高めるので、すす発生を極小化することが可能となる。
【0087】また、請求項2及び20記載の無酸化還元燃焼方法並びにバーナの場合、蓄熱メディアを介して混合気の自己着火温度以上の高温(排気ガス温度に近い高温)に予熱された燃焼用空気の酸素濃度を十分に低くして強い乱れを伴う乱流拡散混合に必要かつ十分な速度エネルギーを有する燃料と衝突させるようにしているので、NOxの発生を抑えつつ同じ発熱量を少ない燃料量で得ることができる省エネルギー効果を奏する。即ち、省エネルギー効果の高い蓄熱バーナを乱流拡散燃焼に適用することができる。これによって、火炎長を10〜30%程度短くすることが可能となると共に、炉出口の排ガス温度を排ガスの酸露点近い温度まで下げることができ、従来バーナに比べ30%以上の省エネルギー化が可能となる。また高温空気燃焼によって発生NOx量の低減率も従来型に比べ50%以下にすることができ、燃焼場での温度分布が非常に平坦化される。
【0088】また、この無酸化還元燃焼用バーナによると、大型のレキュペレータを使用する場合に比べて設備的にも簡素化される。
【0089】更に、本発明によると、空気と燃料を高速に混合しつつ、なおかつ火炎中に局所的高温領域が形成されることのない燃焼が実現される。よって非常に高温熱風を耐火物許容最高限界近くで効果的に発生させることが出来る。
【0090】また、請求項3および11記載の発明の無酸化還元燃焼方法及びバーナによると、空気噴流の比表面積が真円の場合に比べて飛躍的に増加して希釈効果を一層高めるため、フリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化を実現すると共にNOxの発生を更に抑制できる。
【0091】また、請求項12及び13記載の発明の無酸化還元燃焼用バーナによると、扁平な矩形スロートの場合と同様に空気噴流の比表面積が真円の場合に比べて飛躍的に増加して炉内ガスによる希釈効果を一層高めるため、強い乱れを伴う初期混合によるフリーOの極めて少ない燃焼を可能としながらもNOxの発生が更に抑制される。
【0092】また、請求項4及び15並びに17記載の発明の無酸化還元燃焼方法並びにバーナによると、燃料噴流と空気噴流との接触面積が増大して空気と燃料との混合を良好なものとし、フリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化を実現する。
【0093】また、請求項5および16並びに18記載の発明の無酸化還元燃焼方法及びバーナによると、燃料噴流同士が空気噴流と衝突する前に衝突することによって扁平に広がる噴流が得られることから、空気噴流との接触表面積が増大する結果、燃焼用空気の低温から高温までの広い範囲で着火源の安定化がはかられると同時に燃焼反応が促進されてフリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化を実現する。
【0094】また、請求項6および14記載の発明の無酸化還元燃焼方法及びバーナによると、扁平状の空気噴流が短い時間・距離で効果的に形成される。このため、炉内ガスとの接触面積が効果的に増え、炉内ガスで希釈・予熱され、燃料と混合されると同時に局所高温域を発生させずに安定して燃焼すると共にフリーOを極めて少なくしてすすの発生の極小化を実現する。
【0095】また、請求項7および19記載の発明の無酸化還元燃焼方法及びバーナによると、燃料自体も短い時間・距離で炉内ガスとの接触面積が効果的に増え、希釈されて実効発熱量が落ちるため、局所的高温域の発生を防いでNOxの発生を抑えることできる。
【0096】また、請求項22記載の発明の無酸化還元燃焼用バーナによると、バーナ切換時の給気・排気の送気遅れ時間及びパージ量を最少化して高速切換を可能としているので、燃料噴射のタイムラグをほとんど無くし消火と同時に対を成す他方のバーナを着火することができる。このため、切換時のフリーOを極小化できる。したがって、切替時に酸素濃度が高くなることを防いでこのような事態を絶対に避けたい熱処理においてフリーOの悪影響を少なくすることが可能となる。
【0097】また、請求項21の発明によると、ナゲットやブロックなどを充填した蓄熱体に比べて遙かに低圧損のため、蓄熱体としての能力を十分に利用した状態での高速切換を可能にして熱交換の温度効率を高め、炉内温度の昇温あるいは降下を短時間で実現を可能とすると共により高温の予熱空気を供給させて省エネルギー効果を上げる。しかも、ハニカム構造の蓄熱メディア内を空気と排ガスとが交互に流れるときに、局所的な乱流域や低流速がない往復動のため、すすが付着したり堆積することがない。このため長期使用においても蓄熱体の清掃や交換の必要はなく、メンテナンスが不要である。また、この発明によると、すすの発生に伴う蓄熱メディアの閉塞や汚れによる性能低下が極めて起り難くい。したがって、高温空気燃焼の特性を生かしたバーナの構造によるすすの発生の極小化、火炎中の局所高温部形成を抑えることによるNOx値の抑制及びフリーO(残存O)の極小化を可能とする。
【0098】更に、請求項8並びに23記載の発明の場合、空間をより効率的に活用した配置を採ることにより燃焼装置の大型化の要請に容易に応えることができる。
【出願人】 【識別番号】000229748
【氏名又は名称】日本ファーネス工業株式会社
【出願日】 平成12年8月17日(2000.8.17)
【代理人】 【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
【公開番号】 特開2001−124307(P2001−124307A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願2000−247873(P2000−247873)