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【発明の名称】 液体燃料気化装置
【発明者】 【氏名】伊藤 彰

【氏名】上原 昌徳

【要約】 【課題】燃焼が停止すると、中心電極管29内の燃料が燃料吸収体29b、30aに吸われ、中心電極管29内の燃料が蒸発筒30内に流出し、次回の燃焼開始時に燃料の供給遅れが生じて着火遅れの要因になる。

【解決手段】中心電極管29の先端部にボール弁101と、このボール弁101を中心電極管29の端面に押しつける圧縮コイルスプリング102とからなるチェック弁100を配置することにより、燃焼が停止して燃料の供給が停止された場合に、燃料の供給圧がなくなり、チェック弁100が閉じ、中心電極管29内の燃料が蒸発筒30内に流出する不具合が防がれる。これによって、次回の燃焼開始時に燃料が素早く中心電極管29から蒸発筒30内に供給でき、着火遅れが生じない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】内部で液体燃料を気化させるための容器と、この容器の内部に液体燃料を供給する燃料供給管と、前記容器内に配置されて通電により発熱する通電発熱体と、を備えた液体燃料気化装置であって、前記燃料供給管の下流側端部には、前記燃料供給管の下流側先端部に配置された弁体と、この弁体を前記燃料供給管に付勢する付勢手段とからなるチェック弁が配置されたことを特徴とする液体燃料気化装置。
【請求項2】請求項1の液体燃料気化装置において、前記弁体は、球状を呈したボール弁であることを特徴とする液体燃料気化装置。
【請求項3】請求項1の液体燃料気化装置において、前記弁体は、断面が台形の栓形状を呈した蓋弁であることを特徴とする液体燃料気化装置。
【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれかの液体燃料気化装置において、前記付勢手段は、前記弁体を前記燃料供給管に押し付けるバネ材であることを特徴とする液体燃料気化装置。
【請求項5】請求項1ないし請求項3のいずれかの液体燃料気化装置において、前記付勢手段は、前記弁体を前記燃料供給管に引き付けるバネ材であることを特徴とする液体燃料気化装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体燃料気化装置に関するものであり、例えば触媒燃焼装置等の燃焼装置に用いて好適な技術である。
【0002】
【発明の背景】本願出願人は、液体燃料気化装置を搭載した触媒燃焼装置を出願した(特願平11−80594号、この技術は周知技術ではない)。この出願明細書に開示される液体燃料気化装置は、図10に示すように、内部で液体燃料を気化させるための容器200(蒸発筒)と、この容器200の内部に液体燃料を供給する電力供給電極を兼ねた燃料供給管201(中心電極管)と、容器200内に配置されて通電により発熱する通電発熱体202(蒸発用ヒータ)とから構成される。燃料供給管201から容器200内に供給された液体燃料は、例えば容器200の内部に配置された燃料吸収体203によって拡散され、通電発熱体202の熱によって蒸発するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】例えば、燃焼装置が停止すると、燃料供給管201の内部に供給されていた燃料が、燃料吸収体203に吸われ、燃料供給管201の内部の燃料が容器200の内部に流出し、予熱等によって気化する場合がある。このような場合、燃焼を開始すると、始動開始初期は燃料供給管201の内部の燃料が抜けているため、燃料の供給遅れが生じ、着火遅れの要因となってしまう。また、容器200内の燃料吸収体203に多量の燃料が吸われた状態で燃焼を開始すると、燃焼開始時に多量の液体燃料が気化することになり、エミッションの要因となってしまう。
【0004】本発明の目的は、燃料供給管からの燃料の供給が停止している状態において、燃料供給管の内部の燃料が容器の内部に流出するのを防ぎ、燃料供給開始時における燃料の供給遅れを回避するとともに、始動開始初期において燃料供給管から容器内に流出した多量の液体燃料が急激に気化する不具合を回避できる液体燃料気化装置の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔請求項1の手段〕燃料供給管の下流側端部に配置されたチェック弁は、弁体を付勢手段によって燃料供給管に付勢するものであるため、燃料供給管から容器内に燃料を供給する際は、供給される燃料の供給圧によって弁体が開き、燃料が容器内に供給され、通電発熱体の熱により気化して容器の外部へ排出される。
【0006】燃料供給管から容器への燃料の供給が停止すると、供給される燃料の供給圧がなくなるため、付勢手段の付勢力によって弁体が燃料供給管の端部を閉じる。これによって、燃料供給管の内部の燃料が予熱や燃料吸収体によって容器内に流出する不具合が防がれる。このため、燃料供給開始時における燃料の供給遅れを回避することができる。また、始動開始初期において燃料供給管から容器内に流出した多量の液体燃料が急激に気化する不具合が回避できる。
【0007】〔請求項2の手段〕弁体は球状を呈したボール弁であり、そのボール弁によって燃料供給管の端部を開閉できる。
【0008】〔請求項3の手段〕弁体は断面が台形の栓形状を呈した蓋弁であり、その蓋弁によって燃料供給管の端部を開閉できる。
【0009】〔請求項4の手段〕付勢手段は弁体を燃料供給管に押し付けるバネ材であるため、そのバネ材の付勢力によって弁体を燃料供給管に着座させることができる。
【0010】〔請求項5の手段〕付勢手段は弁体を燃料供給管に引き付けるバネ材であるため、そのバネ材の付勢力によって弁体を燃料供給管に着座させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、複数の実施形態および変形例を用いて説明する。
〔第1実施形態〕図1〜図4は第1実施形態を示すもので、まず、図2を参照して液体燃料気化装置を適用する触媒燃焼装置を用いた温水加熱装置を説明する。なお、実施形態中に示す上側は図2における上側を示し、下側は図2における下側を示すものとする。
【0012】この実施形態に示す温水加熱装置は、多重管構造を採用するもので、内側より燃焼筒1、排気筒2、温水筒3を備える。なお、燃焼筒1は内部で燃料の燃焼を行う筒であり、排気筒2は燃焼筒1および後述する外側空気案内筒9との間に環状の燃焼ガス通路4を形成する筒であり、温水筒3は排気筒2との間に環状の温水通路5を形成する筒である。
【0013】燃焼筒1は、下側(燃料供給側)の小径筒1aと、上側(燃焼ガス排出側)の大径筒1bとからなる耐熱性金属(ステンレス等)よりなる筒体であり、小径筒1aと大径筒1bは段差部1cを介して径が変化する。小径筒1aの下側の内部には、触媒燃焼部6および液体燃料気化装置7が配置されており、触媒燃焼部6および液体燃料気化装置7よりやや上側の小径筒1aの周囲には、燃焼筒1の内部に2次空気を流入させるための2次空気流出口8が複数形成されている。
【0014】また、小径筒1aの周囲には、大径筒1bと同径の外側空気案内筒9(燃焼ガス通路4と外側空気供給通路10とを区画する隔壁)と、小径筒1aよりやや大径な内側空気案内筒11とによる2重筒が配置されている。外側空気案内筒9と内側空気案内筒11との間の外側空気供給通路10は、下側より供給される空気を燃焼ガスと熱交換しながら段差部1cの下側のターン部12まで導くものである。また、内側空気案内筒11と小径筒1aとの間の内側空気供給通路13は、ターン部12でターンした空気を下側に導くものである。
【0015】なお、内側空気供給通路13における2次空気流出口8より下側の1次空気供給通路15が予混合室14に空気を導く1次空気の供給手段であり、1次空気供給通路15から予混合室14に供給される空気量は、予混合室14に供給される燃料供給量に対して燃料供給過剰となる空燃比(理論空燃比よりも低空燃比)となるように調節されている。
【0016】一方、2次空気流出口8は、触媒燃焼部6の下流側の燃焼完結室16に未燃焼燃料を完全燃焼させるのに必要な2次空気を供給する手段であり、2次空気流出口8から燃焼筒1内に供給される空気量は、燃焼完結室16内の未燃焼燃料を完全燃焼するのに必要な空燃比(理論空燃比よりも高空燃比)となるように調節されている。なお、この実施形態では、予混合室14に供給される1次空気と、2次空気流出口8から燃焼筒1内に供給される2次空気との割合は、例えば約1:2に設定されている。
【0017】排気筒2は、燃焼筒1の上側(排気下流側)が閉塞した有底の円筒体であり、内面に燃焼ガスの熱を排気筒2に伝えるガス伝熱フィン17が形成されており、外面に温水通路5を螺旋状に導く水側伝熱フィン18が形成されている。また、排気筒2の上流端部には、燃焼ガス通路4によって下側に導かれた燃焼ガスを外部に排出するための排気筒排気穴19が形成されている。
【0018】温水筒3は、排気筒2同様、燃焼筒1の上側が閉塞した有底の円筒体であり、排気筒2の排気筒排気穴19に連通する温水筒排気穴20が形成されている。また、温水筒3の上側には、温水を温水通路5に導く温水入口21が形成され、温水筒3の下側には、温水を外部へ導く温水出口22が形成されている。
【0019】予混合室14、排気筒2、温水筒3の下側は、端板23によって閉塞されている。この端板23の外側には、エアポンプ24から空気流入口25を介して燃焼用の空気が内部に供給される空気流入筒26が装着されており、この空気流入筒26内に供給された空気は、端板23に形成された空気供給孔27を介して外側空気供給通路10に導かれる。
【0020】一方、端板23の内部には、燃焼筒1の小径筒1a内に延びる液体燃料気化装置7が取り付けられている。この液体燃料気化装置7は、液体燃料を熱で気化させてから触媒燃焼部6の上流の予混合室14へ導くためのもので、端板23に対して複数の絶縁材28a、28bを介して取り付けられる中心電極管29(燃料供給管に相当する)と、この中心電極管29から液体燃料の供給を受け、絶縁材28cを介して中心電極管29に絶縁保持される蒸発筒30(容器に相当する)と、この蒸発筒30内に配置され、中心電極管29からの通電によって発熱する蒸発用ヒータ31(通電発熱体に相当する)とを備える。なお、中心電極管29は、上述のように燃料供給管に相当するものであり、その中心に液体燃料を通す流路29aが形成されている。
【0021】蒸発筒30の上側の底は、燃焼筒1内に臨む閉端面30aであり、その内部には流路29aを介して供給された液体燃料を毛細管現象や重力によって底全域に拡散させるための底用燃料吸収体29bが配置されている。この底用燃料吸収体29bはセラミック繊維等の耐熱性絶縁材によるものであっても良いし、金属製多孔質材料(例えば、ステンレスなど耐熱性と熱伝達性に優れた金属製の発泡金属や金網を積層したもの)と絶縁材料を組み合わせたものであっても良い。蒸発筒30の下側の側面には、内部で気化した燃料を予混合室14へ導く燃料流出孔32が設けられている。なお、蒸発筒30は、触媒燃焼部6、燃焼筒1等を介してアース接地されるもので、中心電極管29に電圧が印加されると蒸発用ヒータ31が触媒燃焼部6とともに通電される。
【0022】中心電極管29の流路29aの下側の開口端には、燃料タンク33内に蓄えられた液体燃料(例えば軽油等)が燃料ポンプ34によって供給されるように設けられている。一方、中心電極管29は、電源端子35を介して電圧の印加を受けるように設けられている。電源端子35は、絶縁材36を介して空気流入筒26を貫通配置されるもので、複数の固定ナット37a、37bに挟持されて中心電極管29に固定されている。
【0023】蒸発用ヒータ31は、多数の貫流孔を備える略ハニカム状に設けられたものであり、例えばFe−Cr−Alフェライト系ステンレス製の通電抵抗により発熱する平板(例えば厚さ50μm)と波板(例えば厚さ50μm)とを溶接にて接合した帯状発熱体の表面に、アルミナ等の薄い絶縁層を設け、これの一端側を中心電極管29に溶接し、全体をこの中心電極管29の周囲に巻き付けたものである。なお、帯状発熱体の他端側は蒸発筒30に溶接にて接続されている。
【0024】この蒸発用ヒータ31は、その内部に液体燃料を吸収する内部拡散用燃料吸収体31aが配置されている。この内部拡散用燃料吸収体31aは、中心電極管29の流路29aから底用燃料吸収体29bを介して供給される液体燃料を毛細管現象や重力等によって吸収し、蒸発用ヒータ31の内部の広い範囲に拡散させるものである。この実施形態の内部拡散用燃料吸収体31aはセラミック繊維等の耐熱性絶縁材を帯状に設け、上述の帯状発熱体と一緒に中心電極管29の周囲に巻き付けたものである。なお、内部拡散用燃料吸収体31aの下端は、底用燃料吸収体29bに接した状態で蒸発筒30内に組み付けられ、底用燃料吸収体29bの吸収した液体燃料が蒸発用ヒータ31内の内部拡散用燃料吸収体31aに吸収されるように配置される。
【0025】ここで、中心電極管29の先端には、図1に示すようにチェック弁100が装着されている。このチェック弁100は、中心電極管29の先端を開閉する弁体と、この弁体を中心電極管29に付勢する付勢手段とから構成されるものである。この実施形態における弁体は、球状を呈した金属などの耐熱性材料よりなるボール弁101である。また、この実施形態における付勢手段は、ボール弁101を中心電極管29に押し付ける圧縮コイルスプリング102(バネ材に相当する)である。この圧縮コイルスプリング102の一端は、バネ保持具102aに装着されたものであり、そのバネ保持具102aは蒸発筒30の閉端面30aに形成された突起102bにより、中心電極管29の端面に対向した位置に保持されている。
【0026】なお、圧縮コイルスプリング102のバネ圧は、燃料ポンプ34が作動して中心電極管29内に燃料の供給圧が加わると、その燃料供給圧が圧縮コイルスプリング102のバネ圧に打ち勝ってボール弁101を開弁させるものであり、燃料ポンプ34が停止して中心電極管29内に燃料の供給圧が停止すると、その圧縮コイルスプリング102のバネ圧によってボール弁101を中心電極管29の端面に着座させて閉弁させるものである。つまり、燃料の供給が停止した時点でボール弁101が中心電極管29の端面に着座して、中心電極管29の流路29aの燃料が蒸発筒30内に流出するのを防止するものである。
【0027】蒸発筒30の周囲には、触媒燃焼部6が配置されている。この触媒燃焼部6は多数の貫流孔を備える略ハニカム状に設けられた通電によって発熱する通電発熱体の表面に、着火燃焼と部分酸化反応を促進させる触媒(Pt、Pd、Rn等の貴金属、Ni、Cu等の金属、アルミナ、ジルコニア等の酸化物)を担持したものである。なお、絶縁層を形成するアルミナ等の酸化物層をそのまま利用しても部分酸化反応は可能である。
【0028】具体的な触媒燃焼部6の構成は、上記の蒸発用ヒータ31と同様、例えばFe−Cr−Alフェライト系ステンレス製の通電抵抗により発熱する平板と波板とを溶接にて接合した帯状発熱体の表面にアルミナ等の薄い絶縁層を設け、さらにPt、Pd等の触媒を担持したものを複数、蒸発筒30の周囲に巻き付けたものである。なお、帯状発熱体の隣り合う間は溶接されていない。この触媒燃焼部6を構成する複数の帯状発熱体の一端側は蒸発筒30に溶接にて接続され、他端側は外側電極39を介して燃焼筒1に接続されており、中心電極管29が電圧の印加を受けると、蒸発用ヒータ31とともに通電されて発熱するように設けられている。
【0029】蒸発用ヒータ31および触媒燃焼部6の通電制御、エアポンプ24および燃料ポンプ34の通電制御は、図3に示す制御装置40によって行われる。制御装置40は、手動操作される運転スイッチ41の他に、温水通路5内の温水温度を検出する水温センサ42、燃焼ガス通路4内の燃焼ガス温度を検出する排気温センサ43を備え、運転スイッチ41がONされた状態で水温センサ42の検出温度が運転開始温度より低い場合に燃料の燃焼を開始させ、運転スイッチ41がOFF された場合や水温センサ42の検出温度が運転停止温度より高い場合に燃料の燃焼を停止させるものである。また、制御装置40は、水温センサ42の検出温度に基づいて燃焼量を増減するように設けられている。
【0030】〔実施形態の作動〕実施形態の作動を図4のタイムチャートに基づき説明する。運転スイッチ41がONされ、水温センサ42の検出温度が運転開始温度より低い場合は、燃焼を開始する。まず、エアポンプ24および燃料ポンプ34を着火に適した低速で運転させるとともに、蒸発用ヒータ31および触媒燃焼部6を通電する。
【0031】燃料ポンプ34が作動することにより、中心電極管29から蒸発筒30内に供給される燃料の供給圧によってボール弁101が開き、中心電極管29内の流路29aの内部に蓄えられていた液体燃料が瞬時に底用燃料吸収体29bに供給され、この底用燃料吸収体29bによって拡散した液体燃料が蒸発用ヒータ31内に巻き込まれた内部拡散用燃料吸収体31aに吸収される。
【0032】内部拡散用燃料吸収体31aは、蒸発用ヒータ31内に巻き込まれているため、広い面積に亘って蒸発用ヒータ31に接する。蒸発用ヒータ31が通電されることにより、内部拡散用燃料吸収体31aによって蒸発用ヒータ31の内部の広い範囲に拡散した液体燃料が、蒸発用ヒータ31によって加熱され、効率良く蒸発する。蒸発した気化燃料は、蒸発筒30から予混合室14に噴出される。予混合室14には気化燃料の他に、エアポンプ24の作動によって1次空気が供給されており、予混合室14で混合された混合気は触媒燃焼部6へ導かれる。
【0033】触媒燃焼部6も通電されて発熱しており、触媒が活性化するとともに、予混合室14から供給された混合気を貫流孔に通過させ、触媒の作用にて混合気を低温で触媒燃焼させる。触媒燃焼部6での燃焼は、1次空気が不足しているため、その未燃焼燃料は2次空気流出口8から燃焼筒1内に供給される2次空気によって完全燃焼される。この運転開始初期であっても、未燃焼ガスは、活性化されて触媒の作用で部分酸化反応が促進されているため、始動時においても排気エミッションを低減できる。
【0034】排気温センサ43の検出値によって着火が確認されると(t1 )、エアポンプ24および燃料ポンプ34を徐々に定常運転に移行させる。その後、排気温センサ43の検出値が所定温度に達すると(t2 )、蒸発用ヒータ31および触媒燃焼部6の通電を停止する。なお、この実施形態では、排気温センサ43の検出値によって、着火確認と、蒸発用ヒータ31および触媒燃焼部6の通電停止を行ったが、タイマー制御によって実施しても良い。
【0035】蒸発用ヒータ31および触媒燃焼部6の通電を停止するころまでに、燃焼によって発生した熱の伝達により蒸発用ヒータ31および触媒燃焼部6が通電を受けなくても高温になっているため、蒸発筒30内に供給した液体燃料が蒸発して気化するとともに、触媒燃焼部6を通過する混合気が触媒燃焼する。
【0036】定常運転に移行しても、予混合室14から触媒燃焼部6に供給される混合気は、理論空燃比よりも燃料過剰であり、触媒燃焼部6での燃焼温度が低温(例えば600℃ほど)に抑えられる。この温度は、触媒の耐熱温度(例えば900℃)より低いため、触媒燃焼部6に担持された触媒の劣化が防がれる。また、触媒燃焼部6を通過する燃料過剰の混合気は、触媒燃焼部6による触媒燃焼による部分酸化反応によって活性化ガスに変性する。
【0037】触媒燃焼部6を通過した活性化ガスには、2次空気流出口8から2次空気が供給され、未燃焼燃料の燃焼が行われる。燃焼筒1に供給される燃料供給量に対する1次空気と2次空気の供給量は、総空燃比が17.5〜29.2(空気過剰率1.2≦2)に設けられており、2次空気流出口8の下流の燃焼筒1内(燃焼完結室16内)において、燃料が完全燃焼する。
【0038】燃焼筒1内で発生した高温の燃焼ガスは、排気筒2の底でターンして排気筒2の内面に沿って流れ、ガス伝熱フィン17を介して温水通路5を流れる温水を加熱し、排気筒排気穴19および温水筒排気穴20を介して外部に排出される。一方、温水は、温水入口21から温水通路5に導かれ水側伝熱フィン18を介して燃焼ガスと熱交換されて加熱され、温水出口22から外部に流出する。この加熱された温水は、図示しない温水ポンプによって、空調装置のヒータコアに送られ、ヒータコアを通過する空気と熱交換されて、車室内を暖房するようになっている。
【0039】運転スイッチ41がOFF されると、燃料ポンプ34がただちに停止され、燃料の供給を停止する。すると、中心電極管29の流路29a内に供給される燃料の供給圧がなくなるため、圧縮コイルスプリング102の付勢力によってボール弁101が中心電極管29の端部を閉じる。これによって、中心電極管29の流路29a内に供給された燃料が、底用燃料吸収体29bおよび内部拡散用燃料吸収体31aによる毛細管現象等によって蒸発筒30内に流出する不具合が防がれる。
【0040】一方、エアポンプ24は、所定時間t4 に亘って運転が継続され、残存燃料を燃焼させるとともに、燃焼筒1の内部の冷却運転(ポストパージ運転)を行う。そして、所定時間t4 後にエアポンプ24も停止し、全機能が停止する。
【0041】〔実施形態の効果〕上記で示したように、中心電極管29の下流側端部に配置されたチェック弁100は、ボール弁101を圧縮コイルスプリング102によって中心電極管29の端部に押し付けるものであるため、燃焼開始時に中心電極管29から蒸発筒30内に燃料を供給する際は、供給される燃料の供給圧によってボール弁101が開き、燃料が瞬時に蒸発筒30内に供給される。
【0042】また、燃焼停止時、中心電極管29から蒸発筒30への燃料の供給が停止すると、供給される燃料の供給圧がなくなるため、圧縮コイルスプリング102の押し付け力によってボール弁101が中心電極管29の端部を閉じる。これによって、中心電極管29の内部の燃料が底用燃料吸収体29bおよび内部拡散用燃料吸収体31aによる毛細管現象等によって蒸発筒30内に流出する不具合が防がれる。
【0043】このように、燃焼開始時において、蒸発筒30内への燃料の供給遅れを回避することができ、燃料の供給遅れによる着火遅れを回避できる。また、燃焼開始初期において中心電極管29から蒸発筒30内に流出した多量の液体燃料が蒸発筒30内で急激に気化する不具合が回避できたため、燃焼開始時において大量の気化燃料が発生することによるエミッションの発生を防止できる。
【0044】〔第2実施形態〕図5に第2実施形態を示す。この第2実施形態は、付勢手段としてボール弁101を中心電極管29に引き付ける引張コイルスプリング103を用いたものであり、中心電極管29の先端内部に引張コイルスプリング103を装着し、その引張コイルスプリング103の引張力によってボール弁101を中心電極管29に引き付け、燃料の供給停止時に中心電極管29の先端を閉塞するものである。なお、引張コイルスプリング103は、スナップリング103aによって中心電極管29の先端内部に装着されるものである。
【0045】〔第3実施形態〕図6に第3実施形態を示す。この第3実施形態は、弁体として断面が台形の栓形状を呈した蓋弁104を用いたものである。この蓋弁104は、3本以上の振止用ガイド104aを備えるものであり、この振止用ガイド104aが中心電極管29の流路29a内に挿入されて、蓋弁104が中心電極管29の端部に確実に着座するように支持される。なおこの実施形態における付勢手段は、第1実施形態と同様、圧縮コイルスプリング102を用いたものである。
【0046】〔第4実施形態〕図7に第4実施形態を示す。この第4実施形態は、第3実施形態と同様、弁体として断面が台形の栓形状を呈した蓋弁104を用いたものである。また、この実施形態における付勢手段は、第2実施形態と同様、引張コイルスプリング103を用いたものである。
【0047】〔第5実施形態〕図8に第5実施形態を示す。この第5実施形態は、蓋弁104を用いたものであるが、第3、第4実施形態で示した振止用ガイド104aを廃止したものである。また、この実施形態における付勢手段は、第1実施形態と同様、圧縮コイルスプリング102を用いたものである。
【0048】〔第6実施形態〕図9に第6実施形態を示す。この第6実施形態は、蓋弁104を用いたものであるが、第5実施形態と同様、第3、第4実施形態で示した振止用ガイド104aを廃止したものである。また、この実施形態における付勢手段は、第2実施形態と同様、引張コイルスプリング103を用いたものである。
【0049】〔変形例〕上記の実施形態では、蒸発筒30の内部に燃料吸収体(底用燃料吸収体29bおよび内部拡散用燃料吸収体31a)を配置した例を示したが、燃料吸収体を使用しない液体燃料気化装置に本発明を適用しても良い。上記の実施形態では、触媒燃焼装置を自動車の温水加熱装置に適用した例を示したが、ファンヒータなど、他の用途の燃焼装置に適用しても良い。上記の実施形態では、触媒燃焼装置の液体燃料気化装置7に適用した例を示したが、触媒燃焼部を搭載しない他の燃焼装置の液体燃料気化装置に本発明を適用しても良い。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成11年8月31日(1999.8.31)
【代理人】 【識別番号】100080045
【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 健二
【公開番号】 特開2001−74203(P2001−74203A)
【公開日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願番号】 特願平11−246150