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【発明の名称】 ボイラにおける排ガス中NOx調整方法
【発明者】 【氏名】氣駕 尚志

【氏名】渡辺 真次

【要約】 【課題】操作員の経験等に頼ることなく、還元反応を充分に生かした低NOx運転を行い得るボイラにおける排ガス中NOx調整方法を提供する。

【解決手段】計測されたNOx中における窒素Nの同位体としての15Nの割合δ15Nを各計測箇所において分析し、δ15Nが最大となる計測箇所以外の各計測箇所に対応する火炉のバーナ及び二段燃焼用ポートによる燃焼調整を行うことにより、各δ15Nが最大値に近づくようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ボイラ出口におけるダクト断面の複数所要箇所でNOxを計測し、各計測結果に基づき、各計測箇所に対応する火炉のバーナ及び二段燃焼用ポートによる燃焼調整を行うボイラにおける排ガス中NOx調整方法において、計測されたNOx中における窒素Nの同位体としての15Nの割合δ15Nを各計測箇所において分析し、δ15Nが最大となる計測箇所以外の各計測箇所に対応する火炉のバーナ及び二段燃焼用ポートによる燃焼調整を行うことにより、各δ15Nが最大値に近づくようにすることを特徴とするボイラにおける排ガス中NOx調整方法。
【請求項2】 計測されたNOx中における窒素Nの同位体としての14Nに対する15Nの比率を(15N/14N)sampleとし、大気中における窒素Nの同位体としての14Nに対する15Nの比率を(15N/14N)standardとした場合に、δ15Nを【数1】δ15N=(((15N/14N)sample/(15N/14N)standard)−1)×103とした請求項1記載のボイラにおける排ガス中NOx調整方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボイラにおける排ガス中NOx調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、図2及び図3に示される如く、火力発電所等に設けられるボイラ1は、火炉2の前面側と後面側とにそれぞれバーナ3を炉幅方向へ複数列ずつ且つ上下方向へ複数段ずつ配設すると共に、各列のバーナ3と対応させてそれぞれの上方所要位置に二段燃焼用ポート4(いわゆる、Over Air Port)を配設し、火炉2の後部に、図示していない過熱器、再熱器、節炭器等が設けられた後部伝熱部5を接続してなる構成を有しており、火炉2内において、バーナ3から噴射される微粉炭等の燃料と燃焼用空気とを混合させて燃焼させ、且つ二段燃焼用ポート4から吹き出される二段燃焼用空気によって二段燃焼を行わせ、高温の燃焼ガスを火炉2から後部伝熱部5へ導き、該後部伝熱部5内の過熱器、再熱器、節炭器等と熱交換させた後、排ガスとしてダクト6を介し下流側へ流し、脱硝、脱塵、脱硫等の排煙処理を行い、煙突(図示せず)から大気中へ放出するようになっている。
【0003】前述の如きボイラ1においては、特に、微粉炭等のように窒素を含む燃料を燃焼させる場合、NOxの発生が問題となるため、図2及び図4に示される如く、ボイラ1出口におけるダクト6断面の複数所要箇所で分析計7によりNOxを計測し、各計測結果に基づき、その値の大小関係からどの部分の燃焼を調整するかを決定し、対応する火炉2のバーナ3及び二段燃焼用ポート4による燃焼調整を行い、NOxを低減させるようになっている。
【0004】ここで、火炉2内で発生した燃焼ガスの流れは、概略、図2中、破線で示されるようになっており、火炉2の前面側に配設されたバーナ3及び二段燃焼用ポート4による燃焼で発生した燃焼ガスは主にダクト6内の上部に流れ込み、火炉2の後面側に配設されたバーナ3及び二段燃焼用ポート4による燃焼で発生した燃焼ガスは主にダクト6内の下部に流れ込む傾向を示し、又、炉幅方向に関しては燃焼ガスの流れにほとんど変動はないため、例えば、図4中、仮想線で囲まれた計測箇所におけるNOxの値が他の部分より高かったような場合には、この計測箇所に対応する火炉2のバーナ3及び二段燃焼用ポート4は、図3中、仮想線で囲まれた火炉2の前面側の右から二列目に配設されたバーナ3及び二段燃焼用ポート4となり、このバーナ3及び二段燃焼用ポート4による燃焼調整が行われる形となる。
【0005】尚、前記火炉2のバーナ3及び二段燃焼用ポート4による燃焼調整としては、主に、バーナ3から火炉2内へ噴射される燃焼用空気の流量の調整、並びに二段燃焼用ポート4から火炉2内へ吹き出される二段燃焼用空気の流量の調整が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の如く、ボイラ1出口におけるダクト6断面の複数所要箇所で分析計7によりNOxを計測し、そのNOx計測値の大小関係を見るだけでは、NOxの生成量そのものが多いのか、或いは還元反応が少なくてNOxの計測値が大きい値を示しており燃焼改善の余地が残されているのか、いずれであるかの判断が難しく、運転データを元に操作員の経験によって燃焼調整をせざるを得ないのが現状であった。
【0007】本発明は、斯かる実情に鑑み、操作員の経験等に頼ることなく、還元反応を充分に生かした低NOx運転を行い得るボイラにおける排ガス中NOx調整方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ボイラ出口におけるダクト断面の複数所要箇所でNOxを計測し、各計測結果に基づき、各計測箇所に対応する火炉のバーナ及び二段燃焼用ポートによる燃焼調整を行うボイラにおける排ガス中NOx調整方法において、計測されたNOx中における窒素Nの同位体としての15Nの割合δ15Nを各計測箇所において分析し、δ15Nが最大となる計測箇所以外の各計測箇所に対応する火炉のバーナ及び二段燃焼用ポートによる燃焼調整を行うことにより、各δ15Nが最大値に近づくようにすることを特徴とするボイラにおける排ガス中NOx調整方法にかかるものである。
【0009】前記ボイラにおける排ガス中NOx調整方法においては、計測されたNOx中における窒素Nの同位体としての14Nに対する15Nの比率を(15N/14N)sampleとし、大気中における窒素Nの同位体としての14Nに対する15Nの比率を(15N/14N)standardとした場合に、δ15Nを【数2】δ15N=(((15N/14N)sample/(15N/14N)standard)−1)×103とすることができる。
【0010】上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0011】一般に、ボイラの火炉での二段燃焼における還元域でのNOの還元反応は、【化1】NO+N→N2+Oという化学反応式で表わされるが、窒素Nには安定同位体として14Nと15Nとがあり、前記NOの還元反応の反応速度は、14Nの方が15Nより大きいため、ボイラ出口でのNOx中の15Nの割合が多いほど、還元反応が進んだことになる。
【0012】従って、前述の如く、計測されたNOx中における窒素Nの同位体としての15Nの割合δ15Nを各計測箇所において分析し、それらの値が均一でない場合、δ15Nの小さい箇所は、δ15Nの最大値付近まで燃焼調整により改善できる可能性がある。
【0013】即ち、δ15Nが最大となる計測箇所以外の各計測箇所に対応する火炉のバーナ及び二段燃焼用ポートによる燃焼調整を行ってやれば、還元域でのNOの還元反応が促進され、各δ15Nが最大値に近づけられて均一化され、NOxが低減されることとなる。
【0014】この結果、従来のように、ボイラ出口におけるダクト断面の複数所要箇所でNOxを計測し、そのNOx計測値の大小関係を単に見るだけであるのと異なり、還元反応の促進により燃焼改善の余地が残されているか否かの判断を確実に行うことが可能となり、運転データを元に操作員の経験によって燃焼調整をしなくて済む。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0016】図1は本発明を実施する形態の一例であって、ボイラ1出口におけるダクト6断面の複数所要箇所でNOxを計測し、各計測結果に基づき、各計測箇所に対応する火炉2のバーナ3及び二段燃焼用ポート4による燃焼調整を行う、という基本的な構成は図2〜図4に示す従来のものと同様であるが、本図示例の特徴とするところは、図1に示す如く、計測されたNOx中における窒素Nの同位体としての15Nの割合δ15Nを各計測箇所において分析し、δ15Nが最大となる計測箇所以外の各計測箇所に対応する火炉2のバーナ3及び二段燃焼用ポート4による燃焼調整を行うことにより、各δ15Nが最大値に近づくようにした点にある。
【0017】前記計測されたNOx中における窒素Nの同位体としての15Nの割合δ15Nは、【数3】δ15N=(((15N/14N)sample/(15N/14N)standard)−1)×103としてある。
【0018】但し、上記数式中における(15N/14N)sampleは、計測されたNOx中における窒素Nの同位体としての14Nに対する15Nの比率を表わし、又、(15N/14N)standardは、大気中における窒素Nの同位体としての14Nに対する15Nの比率を表わしている。
【0019】一般に、ボイラ1の火炉2での二段燃焼における還元域でのNOの還元反応は、【化2】NO+N→N2+Oという化学反応式で表わされるが、窒素Nには安定同位体として14Nと15Nとがあり、前記NOの還元反応の反応速度は、14Nの方が15Nより大きいため、ボイラ1出口でのNOx中の15Nの割合が多いほど、還元反応が進んだことになる。
【0020】従って、前述の如く、計測されたNOx中における窒素Nの同位体としての15Nの割合δ15Nを各計測箇所において分析し、それらの値が均一でない場合、δ15Nの小さい箇所は、δ15Nの最大値付近まで燃焼調整により改善できる可能性がある。
【0021】即ち、δ15Nが最大となる計測箇所以外の各計測箇所に対応する火炉2のバーナ3及び二段燃焼用ポート4による燃焼調整を行ってやれば、還元域でのNOの還元反応が促進され、各δ15Nが最大値に近づけられて均一化され、NOxが低減されることとなる。
【0022】この結果、従来のように、ボイラ1出口におけるダクト6断面の複数所要箇所で分析計7によりNOxを計測し、そのNOx計測値の大小関係を単に見るだけであるのと異なり、還元反応の促進により燃焼改善の余地が残されているか否かの判断を確実に行うことが可能となり、運転データを元に操作員の経験によって燃焼調整をしなくて済む。
【0023】こうして、操作員の経験等に頼ることなく、還元反応を充分に生かした低NOx運転を行い得る。
【0024】尚、本発明のボイラにおける排ガス中NOx調整方法は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0025】
【発明の効果】以上、説明したように本発明のボイラにおける排ガス中NOx調整方法によれば、操作員の経験等に頼ることなく、還元反応を充分に生かした低NOx運転を行い得るという優れた効果を奏し得る。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年8月25日(1999.8.25)
【代理人】 【識別番号】100062236
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 恒光 (外1名)
【公開番号】 特開2001−65808(P2001−65808A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−238563