| 【発明の名称】 |
粉体排出量制御装置と加圧流動層ボイラ |
| 【発明者】 |
【氏名】伊丹 哲郎
|
| 【要約】 |
【課題】実際に制御に使える程度の速さで、精度良く粉体排出制御ができる制御装置と方法または流動媒体の種々の流動状態に対して、実際に制御に使える程度の速さと精度で、流動層高を所定の設定値に適切に保持し、層高が設定値より低く保持されてしまい熱的バランス条件を崩すような状態を発生させないようにした流動層燃焼ボイラを提供すること。
【解決手段】モデル予測値を使い、かつそのモデルが極めて多くの(数兆個以上)粒子の運動のモデルとして高精度であると同時に連続体近似モデルと同程度の計算時間で計算できるようなシミュレーションモデルを備えた制御系により解決することができる。前記シミュレーションモデルが、現時点の第1貯留部及び第2貯留部のそれぞれの圧力と現時点の第1貯留部の流動層高値とを入力し、前記流動層高と第1貯留部及び第2貯留部の間の差圧のn秒後予測値、及び気流搬送制御量と前記差圧制御手段の差圧制御量を出力するものである粉体排出量制御装置。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 粉体を貯留する第1貯留部と、該第1貯留部の粉体を排出する排出流路を設けた粉体排出手段と、該粉体排出手段で排出された粉体を貯留する第2貯留部と、該第2貯留部に貯留された粉体を前記第1貯留部に供給する粉体供給手段と、前記第1貯留部と第2貯留部との差圧を計測し、予め設定された差圧設定値と比較し、差圧計測値が前記差圧設定値を超えると前記第2貯留部に接続する圧力開放手段を開放する差圧制御手段と、前記第1貯留部に負荷される所定負荷に応じて第1貯留部の粉体を排出する前記粉体排出手段の排出流路の第1の所定区間の粉体入口部近傍と粉体出口部近傍に気流を吹き込んで前記第1貯留部の粉体を排出するための気流搬送制御をする粉体排出制御手段を有する粉体排出制御装置において、粉体排出制御手段は、オペレータ連続体理論に基づくシミュレーションモデルにより、火炉圧力、流動媒体タンク圧力、流動層高を入力し、これを用いて粒子ひとつひとつの経路を追跡し、得られる粒子密度、圧力分布から第1貯留部の流動層高のn秒後予測値及び第1貯留部及び第2貯留部の間の差圧のn秒後予測値がそれぞれ設定値に追従するように前記第1貯留部の粉体を排出するための気流搬送制御をすることを特徴とする粉体排出量制御装置。 【請求項2】 前記シミュレーションモデルが、現時点の第1貯留部及び第2貯留部のそれぞれの圧力と現時点の第1貯留部の流動層高値とを入力し、前記流動層高と第1貯留部及び第2貯留部の間の差圧のn秒後予測値、及び気流搬送制御量と前記差圧制御手段の差圧制御量を出力するものであることを特徴とする請求項1記載の粉体排出量制御装置。 【請求項3】 前記シミュレーションモデルにおける粉体がN個存在する状態が粉体を表現する演算子のN個の積を粉体が一つも存在しない状態に作用させて得られる量であることを特徴とする請求項1記載の粉体排出量制御装置。 【請求項4】 請求項1記載の粉体排出制御装置における第1貯留部が粉体である流動媒体が流動する火炉であり、第2貯留部が該火炉が媒体粒子を排出し、あるいは戻す流路を備えた媒体容器であり、媒体粒子の抜き出し流路は下降方向に媒体粒子を抜き出す抜出管と、水平又は水平に近い傾斜を有する配管である抜出管水平部と媒体粒子を媒体容器に戻す、鉛直方向に向けられた戻し管であることを特徴とする流動層ボイラ。 【請求項5】 粉体の流動層を形成する第1貯留部と該第1貯留部内の粉体流動層の層高を制御するために、粉体の気流搬送による抜き出し流路と、戻し流路を介して設けられる第2貯留部と、前記第1貯留部と第2貯留部との差圧を計測し、予め設定された差圧設定値と比較し、前記第2貯留部に接続する圧力開放手段を開放し、前記第1貯留部に負荷される所定負荷に応じて第1貯留部の粉体を抜き出す、少なくとも水平または水平に近い傾斜状の流路を有する前記抜き出し流路の所定区間の粉体入口部近傍と粉体出口部近傍に気流を吹き込んで前記第1貯留部の粉体を排出するための気流搬送制御をする粉体排出制御を行う第1貯留部の流動層の層高制御方法において、オペレータ連続理論に基づくシミュレーションモデルにより、火炉圧力、流動媒体タンク圧力、流動層高を入力し、これを用いて粒子ひとつひとつの経路を追跡し、得られる粒子密度、圧力分布から現時点の第1貯留部及び第2貯留部のそれぞれの圧力と現時点の第1貯留部の流動層高値とに基づき、前記流動層高と第1貯留部及び第2貯留部の間の差圧のn秒後予測をして前記抜き出し流路の所定区間の気流搬送制御量と前記差圧制御手段の差圧制御を制御することを特徴とする流動層の層高制御方法。 【請求項6】 請求項5記載の流動層の層高制御方法における粉体が媒体粒子であり、第1貯留部が粉体である流動媒体が流動する流動層火炉であり、第2貯留部が媒体容器であり、媒体粒子の抜き出し流路は下降方向に媒体粒子を抜き出す抜出管と、水平又は水平に近い傾斜を有する配管である抜出管水平部と媒体粒子を媒体容器に戻す、鉛直方向に向けられた戻し管であることを特徴とする流動層ボイラの流動層の層高制御方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、粉体排出量制御装置及びこれを備えた流動層ボイラプラントに係わり、特に排出量路の水平部において粉体の流動状況が事前には判明していない場合に好適な粉体排出量制御装置に係わる。 【0002】 【従来の技術】図6は従来技術になる粉体循環システムの系統図であり、特に加圧流動層ボイラの流動層高制御系の流動層高下げをする場合の流動媒体排出制御装置を説明するものである。 【0003】圧力容器25の内部に設けられた火炉18の流動層20は、流動媒体(ベッド・マテリアル:以下、BMと言うことがある)が充填率ε=0.5程度で充填され流動化されたものである。火炉18の炉底24から下降管28、ほぼ水平管及び水平管(以下水平管と言う)29及び上昇管34を通じて流動媒体BMが抜き出され、別置きのBMタンク37に戻される。 【0004】火炉18内のBM中には伝熱管19が浸漬され、BMの抜き出し操作はボイラ負荷を低下させるときに実施される。すなわち、火炉18の温度はエミッション抑制の観点から865℃程度に保持する必要があり、このためにはボイラ負荷低下の際は燃料量と流動化空気量を低下させると共に流動層高Hを下げ、水系への熱吸収を抑制するものである。 【0005】更に、BMを抜き出すに際し、下降管28と水平管29の取り合い点である水平管29の入口30近傍において抜き出し空気55を、水平管29と上昇管34の取り合い点である水平管29の出口31近傍で戻し空気56を吹き込む。 【0006】また、BMタンク37の後流側ダクトにはクーラ46、サイクロン47が設けられ、火炉18とBMタンク37との差圧である差圧計測器43での計測値により開閉するサイクロン47上流位置のダクトに配置される遮断弁50及びサイクロン47下流位置のダクトに配置される大気開放の減圧遮断弁49が設けられる。また、サイクロン47下流位置のダクトから分岐するバイパスライン48が設けられている。 【0007】図7は図6の差圧系を示し、図7(a)は火炉内の流動層20の層高設定値22と計測値23に対する抜き出し空気の時間変化を示す線図、図7(b)は図7(a)の抜き出し空気55の時間変化に対する戻し空気56の時間変化を示す線図である。図7(a)に見るように従来技術においては、流動層高設定値22への追従が悪く対応してGcntの開閉もアンバランスであり、微妙な層高調整ができていない。 【0008】また、図8は同じく図6の差圧系を示し、図8(a)が遮断弁50の開閉の時間変化、図8(b)が減圧遮断弁49の開閉の時間変化に対するそれぞれの火炉18とBMタンク37間の差圧計測値43及び差圧設定値44の時間的変化を示す線図である。ここで、図7の層高設定値22はボイラ負荷下降時に流動層温、蒸気温度の変化が最適になるようにボイラ側の指令により決まる設定値である。また図8の差圧設定値44は、設計計画段階の検討をベースとして試運転経験を通じて設定され、いったん設定されると運転中は時間的に変化しない一定値である。図8(b)に示すように図7(a)の層高変化のアンバランスに応じて差圧計測値43の変動も大きく、これは減圧遮断弁49のアンバランスな開閉となって現れている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術にあっては、差圧設定値44が運転中一定であることにより、以下の問題が生じる。すなわち、流動媒(BM)の配管内での流動状態が変化し、圧力損失バランスが設計計画時点のものとは異なってくると、BMが流動し過ぎるか、または逆に流動しにくくなる。下降管28のBMは充填度合いが高く、BMの静定状態でも流動状態でも、いずれの状態においても、ガス相とBM粒子相の内でガス相の空隙が占める空隙率は小さく、約0.46ないし0.5程度である。 【0010】一方、上昇管34の空隙率は静定状態ではほぼ1.0、流動状態でも0.8程度である。このような特性から下降管28と上昇管34の圧損特性の予想は容易である。しかし、水平管29については圧損の予想がきわめて難しい。すなわち、水平管29での初期静定状態に応じて、様々な流動状況となり、下降管28のように空隙の殆ど無い場合から、上昇管34のような殆ど空気だけが存在する状態までばらつきが大きい。 【0011】そのため、差圧設定値44を時間変化しない一定値とすると水平管29での上述した様々な流動状況に適応できず、流動媒体輸送が計画通り行えなくなるおそれがある。 【0012】そこで、BM(粉体)排出手段の流路の所定区間の入口と出口の差圧計測値に基づき、差圧設定値を時々刻々適応的に修正する考え方もあり得る(特開平102511号)。すなわち、水平管29の差圧計測値が設計差圧値より大きいと水平管29でのBM充填度合いが高いと判断して、火炉18とBMタンク37との差圧設定値44を高めに設定し、より多くの流体流速を確保して流動媒体粒子の流れを促進する。 【0013】逆に、水平管29の抜き出し空気と戻し空気の各入口間の差圧計測値6が設計圧損値8より低いときは、水平管29での充填度合いが低いと判断して、火炉18とBMタンク37との差圧設定値44も低め設定として流動媒体粒子の流れ過ぎを防ぐ。すなわち、流動状態の変動にもっとも強く影響される水平管29の圧損を圧損比率計画値13と水平管29部分での希薄流圧損値16を加味して予測し、この予測値の基づ前記差圧設定値44を時々刻々変動させる。 【0014】しかし、このような場合であっても水平管29部分の設計圧損値8自体の確立された計算評価方法が無いため、設計圧損値8をレファランスとして使用する上記手法は必ずしも適切で無い場合がある。 【0015】これは要するに水平管29での圧損、あるいはBMの流動状況(BM流速、BM搬出量)の把握の難しさに起因する問題であり、従って、またこれら圧損、流動状況をモデルにより予想する方法も考えられている。 【0016】しかし、このようなモデルによる従来方法のBMの流動状態の予想には次の問題があった。すなわち、本発明の対象とする粉体循環系統は流動媒体粒子(固体)を空気により搬送するシステムであり、これをシミュレーションするには「固気2相」のモデリングが必要となる。 【0017】前記モデル技術では次のようなジレンマがある。すなわち、本発明の対象とする制御系統のような制御へのフィードバックをモデル結果から出力するのであれば、ほぼリアルタイムあるいはそれ以上の速度での計算を要求される。流動媒体粒子は当該系統にほぼ「兆」の個数のオーダー存在するから、これに対応できるとすれば、この流動媒体粒子を「連続体」として近似しなければならなくなる。この場合、連続流体としての流動媒体の「粘性率」等がシミュレーション計算で必要になる(例えば、「Multiphase Flow and Fluidization」, D.Gidaspow(1994))が、そのような連続体としての物性値として確立されたものはない。このため、精度を重視するならば、流動媒体粒子の一つづつの運動を解く「DEM(Direct Element Method」と呼ばれる方法が適用可能となる。しかし、この場合「兆」のオーダーの個数のニュートン運動方程式を解く事になり、計算時間の上から全く非現実的である。 【0018】このような、計算時間と計算精度のジレンマを解決する一つの手法として、「DEM」の一種ではあるが、数「兆」個の粒子そのものを対象とするのではなく、粒子の「クラスター」に対して、このクラスターのニュートンの運動方程式を解く方法が提案されている。 【0019】しかし、このようなクラスターDEMにおいても計算時間を低減させようとするなら、なるべく多くの流動媒体粒子をクラスターひとまとめにする事になり、この場合には計算精度は低下する。すなわち、このクラスターDEMでも計算精度と計算時間とのジレンマから逃れ得ないのである。さらに、これは精度に関係することであるが、流動媒体粒子をクラスタライズしたとき、クラスターを以てニュートンの方程式の対象とする一つの「粒子」とみなすわけであるから、そのクラスターの物性値が必要となり、これは、流動媒体粒子をどのようにクラスタリングするかに依存して場合、場合に応じて実験により物性値を決定しなければならなくなる。 【0020】以上述べたように、流動状況が事前に予測できない流動層ボイラのBM抜き出し用の配管の一部である水平管内での流動媒体の流動制御については、モデルはシミュレーションモデルによるモデル予測制御を考えることになるが、その場合、連続体近似モデルの場合は計算速度は実際に制御に使える程度の速さで粉体排出制御はできるが、予測制御の精度が落ちてしまう。 【0021】一方、前記モデルとして流動媒体粒子の一つづつの運動を解く立場では予測制御の精度が高められられたとしても、定常状態の事前設計計算でも天文学的計算時間を必要とするものであって、とうてい制御にフィードバックできる速度での計算は望めない。また、前述のジレンマを解消するために提案されているクラスタDEMでも計算時間は大幅には低減できず、なおかつ精度上もクラスタの物性値に応じて必ずしも確立されたものになっていない。 【0022】本発明の課題は、実際に制御に使える程度の速さで、精度良く粉体排出制御ができる制御装置と方法を提供することである。また、本発明の課題は、流動媒体の種々の流動状態に対して、実際に制御に使える程度の速さと精度で、流動層高を所定の設定値に適切に保持し、層高が設定値より低く保持されてしまい熱的バランス条件を崩すような状態を発生させないようにした流動層燃焼ボイラを提供することである。 【0023】 【課題を解決するための手段】上記本発明の課題は、モデル予測値を使い、かつそのモデルが極めて多くの(数兆個以上)粒子の運動のモデルとして高精度であると同時に連続体近似モデルと同程度の計算時間で計算できるようなシミュレーションモデルを備えた制御系により解決することができる。 【0024】本発明は粉体を貯留する第1貯留部と、該第1貯留部の粉体を排出する排出流路を設けた粉体排出手段と、該粉体排出手段で排出された粉体を貯留する第2貯留部と、該第2貯留部に貯留された粉体を前記第1貯留部に供給する粉体供給手段と、前記第1貯留部と第2貯留部との差圧を計測し、予め設定された差圧設定値と比較し、差圧計測値が前記差圧設定値を超えると前記第2貯留部に接続する圧力開放手段を開放する差圧制御手段と、前記第1貯留部に負荷される所定負荷に応じて第1貯留部の粉体を排出する前記粉体排出手段の排出流路の第1の所定区間の粉体入口部近傍と粉体出口部近傍に気流を吹き込んで前記第1貯留部の粉体を排出するための気流搬送制御をする粉体排出制御手段を有する粉体排出制御装置において、粉体排出制御手段は、オペレータ連続体理論に基づくシミュレーションモデルにより、火炉圧力、流動媒体タンク圧力、流動層高を入力し、これを用いて粒子ひとつひとつの経路を追跡し、得られる粒子密度、圧力分布から第1貯留部の流動層高のn秒後予測値及び第1貯留部及び第2貯留部の間の差圧のn秒後予測値がそれぞれ設定値に追従するように前記第1貯留部の粉体を排出するための気流搬送制御をする粉体排出量制御装置である。 【0025】 【作用】先ず始めに連続体モデルと同程度の計算量であって、且つ流動媒体粒子の一つづつのニュートン運動方程式をも同時に表現するモデルである本発明で提案する粒子流動の計算モデルを説明する。なお、このモデルを「オペレータ連続体モデル」と称し、明細書中ではこの名称を使うものとする。このオペレータ連続体モデルを図面を使って説明する。 【0026】1.概要a.オペレータ連続体モデルは、ア)莫大な個数(〜例えば100兆個)の粒子群を気体や流体のような連続体として扱い、イ)且つその連続体を「オペレータ表現」する事により粒子一つ一つの運動を追跡できるようにした、計算方法である。 b.すなわちオペレータ連続体理論ではア)粒子群を連続体表現することでその計算容量を大幅に減少し、イ)その上で、粒子ひとつづつの運動方程式を近似的に計算する、ものである。 c.従って、連続体理論と粒子一つづつに対する運動方程式計算法、それぞれの長所を合わせ持っている。すなわち、ア)連続体理論のように、個別的に粒子を扱う方法に比べ計算量が大幅に小さくてよい、イ)尚かつ、個別的理論のように粒子運動を追跡する場合の精度が高い、との大きく2つの長所を有する。 【0027】2.連続体のオペレータ表現a.3粒子系での例示図4に概念説明のための3個の粒子の相互作用系を図示している。ここでx1、x2、x3はそれぞれ粒子1、2、3の空間的な位置座標ベクトルである。これら粒子1、2、3はお互いに実線で表現される力を及ぼしあっている、とする。このような力を「相互作用力」と呼ぶものとする。この相互作用力としては、例えば、付着力、電気的力、表面を介しての圧密力、がある。更に図示していないが、これら3個の粒子それぞれには例えば重力や空気流れによるドラッグ力が作用しており、これらは「外力」と呼ぶことにする。さて、仮想的に、ある実数の定数Hgなる量の2乗に比例した大きさを有する力、を考えこの仮想的な力が、1、2、3の粒子相互の間で作用している、とする。この様な仮想的な力を「交換力」と呼ぶものとする。このとき3個の粒子の間には、実際に作用している圧密力等に加えて交換力が作用していることになるが、Hgを十分に小さくとれば交換力がゼロになり、相互作用力は通常のものに帰着する。これを数式で表すと、 粒子間の相互作用力(圧密力等) ={圧密力等+交換力}−交換力 (1) となる。そして、 交換力は(Hgの2乗)に比例 (2) であるから、両式から、 相互作用力={相互作用力+交換力}−O(Hg2) (3) と表現できる。ここで右辺第2項は「だいたいの大きさがHg2に比例する量である」ことを表現している。 【0028】オペレータ連続体理論では右辺第1項が「連続体を表す波動関数のオペレータ表現」によって計算される。ここで、■ 先ず、「連続体を表す波動関数」とは、通常前記概要1のa、b、cのアの連続体モデルと同様の波の量である。すなわち、ある点xを考えて、その点近傍の単位体積あたりで見た粒子密度あるいは粒子群の存在頻度、の値である。点xを選ぶごとにこれらの存在頻度値は変化・分布するので、この「波動関数」は空間中に分布する波の量である。 ■ 次に、その「オペレータ表現」とは、■で定義した各点xでの波の値を、「無限次元の行列に置き直すこと」、を意味する。すなわち粒子3個の図4の状態は、粒子3個の状態=オペレータ表現された波動関数の3個の積をゼロ粒子状態に演算した結果 (4) であって、この様な粒子3個の状態では式(3)の相互作用力+交換力が作用している。 【0029】b.多粒子系上記の3粒子の場合を4粒子、5粒子、6粒子・・・粒子系に拡張すると、図5のようになる。そして、オペレータ連続体理論の特徴は、図5のような多粒子系を統一的に表現できること、である。すなわち、 粒子3個の状態=オペレータ表現された波動関数の3個の積 をゼロ粒子状態に演算した結果 (4) 粒子4個の状態=オペレータ表現された波動関数の4個の積 をゼロ粒子状態に演算した結果 (5) 粒子5個の状態=オペレータ表現された波動関数の5個の積 をゼロ粒子状態に演算した結果 (6) 粒子6個の状態=オペレータ表現された波動関数の6個の積 をゼロ粒子状態に演算した結果 (7) ・・・・・・ 粒子N個の状態=オペレータ表現された波動関数のN個の積 をゼロ粒子状態に演算した結果 (8) のように表現できる。ここで「ゼロ粒子状態」とは、単に考える系の中に一つの粒子も存在しない状態を意味し、記号Vac.と示す。 【0030】ここで式(3)を考慮して、 粒子N個の状態での相互作用力= {粒子N個の状態での相互作用力+交換力}−O(Hg2) (9) である。従って、Vac.に波動関数をN回乗算するだけで、相互作用力がHgの平方だけの近似誤差で計算できる。 【0031】3.オペレータ連続体モデルによるシミュレーション以上のオペレータ連続体モデルを使えば、次のように計算量を大幅に低減できる。すなわち、N個の粒子がある場合の相互作用力は2個のペアに対して働くので、その組み合わせは、 〜N! (10) だけである。一方、交換力が仮想的に作用していると、その組み合わせの数は 〜N (11) であって、これら組み合わせの数に計算量はほぼ比例するから、計算量の比率は オペレータ連続体理論の計算量 /粒子一つづつの計算の場合の計算量 〜N/N! (12) となって、これはNが大きくなるとほぼゼロになる。つまり、オペレータ連続体の計算量はほとんどネグリジブルな量になる。 【0032】従って、オペレータ連続体理論に基づくシミュレーションであれば、連続体近似の場合と同様の計算容量で、且つ粒子一つ一つの運動を追跡しているのと同程度に高精度な計算ができる。なお、この高精度の計算結果を得るには実数の定数Hgを十分に小さく選んでおく必要がある。 【0033】4.オペレータ連続体理論に基づくシミュレーションの粉体排出制御への適用以上の低計算容量・高精度のオペレータ連続体を使ったシミュレーションを粉体排出制御に使うには、境界条件として、火炉圧力、流動媒体タンク圧力、流動層高、を入力し、これを用いて粒子ひとつひとつの経路を追跡し、得られる粒子密度、圧力分布からn秒後の差圧と流動層高の予測計算を行う。この予測値が設定値になるように制御空気量を操作する。 【0034】 【発明の実施の形態】本発明に係わる粉体の循環系統の粉体排出量制御装置の実施の形態について、以下図面と共に説明する。図1に流動層火炉のBM媒体の排出量制御のために、オペレータ連続体理論に基づくシミュレーションモデルを備えたモデル予測制御装置と粉体排出系統を示す。なお、図6で示した装置及び部材と同一機能を有するものは同一番号を付して、その説明は省略する。 【0035】シミュレーションモデル100には、現時点の火炉圧力101、BMタンク圧力102及び流動層高103の境界条件(運転条件)を入力して現時点からn秒後の流動層高予測値123及び火炉18とBMタンク37の差圧予測値143を出力し、これが後述する流動層高設定値あるいは火炉18とBMタンク37の差圧設定値にそれぞれに追従するように、制御空気用オンオフ信号151及び流量調節弁49、制御信号152を出力する。 【0036】図2には、図1に示す火炉18内の流動層層高系を示し、図2(a)は層高設定値22と、シミュレーションモデル100の出力である層高予測値123に対する抜き出し空気の時間変化を示す線図、図3は、図1の火炉18とBMタンク37の差圧系を示し、図3(a)がサイクロン前遮断弁50の開閉の時間変化、図3(b)が減圧遮断弁49の開閉に対する火炉18とBMタンク37間の、シミュレーションモデル100による差圧予測値143及び差圧設定値44の時間的変化を示す線図である。 【0037】ここで、図2の流動層20の層高設定値22はボイラ負荷下降時に流動層温、蒸気温度の変化が最適になるようにボイラ側の指令により決まる設定値である。また図3の差圧設定値44は、設計計画段階の検討をベースとして試運転経験を通じて設定され、いったん設定されると運転中は時間的に変化しない一定値であるが、従来技術の特願平08−153788号に記載されているように設計基準値からの大小に応じて変動させても良い。図2、図3では流動層高が図7、図8の場合に比べてスムーズ化されており、ボイラ負荷変化もなめらかになっている。 【0038】 【発明の効果】本発明によれば、粉体排出流量を高い精度にて制御できるので、加圧流動層ボイラに適用した場合であれば流動層の設定層高への追従性が良く、このため、流動層高設定値に速やかに追従できる流動層高トレンドを得ることができ、負荷変化時のボイラ蒸気温度、流動層温の変化を抑制でき、特に再熱スプレ等の効率低下要因を回避してボイラ効率を保持できる、との効果がある。 【0039】また、本発明にて適用のシミュレーションモデルにおいては、流動媒体粒子群の連続体近似によるシミュレーションモデルと同程度の計算負荷によって数兆個を超える個数の粒子ひとつひとつの運動を正確に追跡していることになるので、Direct Element Method 程度あるいはそれ以上の計算精度を確保することができている、との効果がある。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005441 【氏名又は名称】バブコック日立株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年8月27日(1999.8.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096541 【弁理士】 【氏名又は名称】松永 孝義
|
| 【公開番号】 |
特開2001−65806(P2001−65806A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月16日(2001.3.16) |
| 【出願番号】 |
特願平11−241528 |
|