| 【発明の名称】 |
触媒燃焼装置およびその制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】樋口 保定
【氏名】鈴木 美博
【氏名】村岡 正一
【氏名】大沢 敏
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| 【要約】 |
【課題】予熱から触媒燃焼を安定して行うことができる触媒燃焼方法および制御方法を提供する。
【解決手段】気化された燃料を触媒燃焼する触媒層20と、触媒層20の輻射熱74で燃料を加熱気化する気化室12と、気化室12内に触媒層20に面して配置された多孔性の輻射板30を有する触媒燃焼装置5において、輻射板30の温度を検出する温度センサー41を設け、輻射板30が所定の温度に達するまで予備燃焼を行う。輻射板30は液体燃料の気化を促進するために設けられており、この温度を上げておくことが、予備燃焼から触媒燃焼に移行するために重要なファクタである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 気化した液体燃料を触媒層で燃焼する方法であって、前記触媒層の輻射熱により液体燃料を加熱気化する気化室、および該気化室内に、前記触媒層に面して配置された多孔性の輻射板を通して気化した燃料を前記触媒層に供給して触媒燃焼を行う燃焼工程と、この燃焼工程に先立って、前記輻射板を所定の温度まで予熱する予熱工程とを有する触媒燃焼方法。 【請求項2】 液体燃料を気化して触媒層に供給し触媒燃焼する際に、前記触媒層の輻射熱により液体燃料を加熱気化する気化室、および該気化室内に前記触媒層に面して配置された多孔性の輻射板を通して気化した燃料を前記触媒層に供給して触媒燃焼を行う触媒燃焼装置の制御方法であって、前記輻射板の温度を検出可能な温度センサーを設け、前記触媒燃焼を開始する前に、前記輻射板を所定の温度まで予熱する予熱工程を有する触媒燃焼装置の制御方法。 【請求項3】 請求項2において、前記予熱工程では、前記気化室内で火炎を形成すると共に、その火炎が火炎センサーにより検出されることを正常とし、前記触媒燃焼中は、前記火炎センサーにより火炎が検出されることを異常とする触媒燃焼装置の制御方法。 【請求項4】 請求項2において、前記触媒燃焼を開始した後、所定の時間内に前記触媒層の温度が所定値に達しないときは異常とする触媒燃焼装置の制御方法。 【請求項5】 気化された液体燃料を触媒燃焼する触媒層と、前記触媒層の輻射熱により液体燃料を加熱気化する気化室と、この気化室内に前記触媒層に面して配置された多孔性の輻射板と、前記気化室および輻射板を予熱する予熱手段と、この輻射板の温度を検出する温度センサーと、この輻射板の温度センサーが所定の温度を検出するまで前記予熱手段を稼動する制御手段とを有する触媒燃焼装置。 【請求項6】 請求項5において、前記予熱手段は、前記気化室内に火炎を形成するために設置されたバーナーであり、このバーナーが触媒燃焼中に液体燃料を気化するために噴霧する噴霧手段となり、さらに、前記気化室内の火炎を検出する火炎センサーを有し、前記制御手段は、予熱中は火炎が検出されることを正常とし、触媒燃焼中は火炎が検出されることを異常とする触媒燃焼装置。 【請求項7】 請求項5において、前記触媒層の温度を検出する温度センサーをさらに有し、前記制御手段は、触媒燃焼開始後、所定の時間内に前記触媒層の温度センサーの値が所定値に達しないときは異常とする触媒燃焼装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、気化した液体燃料を触媒燃焼する触媒燃焼装置およびその制御方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】火炎燃焼に比べて燃焼温度が低く無炎で燃焼する触媒燃焼が知られている。触媒燃焼は、NOxなどの燃焼排ガスの排出が少なく、また、希薄混合気の燃焼が可能で、燃焼量の調整範囲が広く、放射熱量が大きい等の様々なメリットを有している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】この触媒燃焼を温風あるいは赤外線を照射する暖房装置などに用いることが検討されているが、幾つかの解決すべき問題がある。その1つは、触媒燃焼を安定して継続させることである。すなわち、触媒燃焼では、燃焼を継続するために触媒層の温度を少なくとも300〜400℃程度以上の活性化温度に維持する必要がある。さらに、灯油などの液体燃料を気化して触媒燃焼するためには、触媒層に燃料を供給するために予め液体燃料を気化する気化室が必要となり、その温度も上げておく必要がある。このため、触媒燃焼に先立って触媒層および気化室を予熱する工程が行われる。予熱する手段としては、電気ヒータが用いられることもあり、あるいは、バーナーによる火炎燃焼によって予熱することも行われる。 【0004】触媒燃焼が始まると、上述したように、燃焼を安定して維持するために触媒層自身を加熱する必要があると共に、その熱(輻射熱)により気化室内の温度も適当に維持する必要がある。その一方、触媒燃焼中に、触媒層の温度が高くなりすぎると、気化された燃料が有炎燃焼する、いわゆる逆火燃焼に移行し、炎が発生すると上述した触媒燃焼の効果が得られない。 【0005】このように触媒燃焼を暖房器具などにおいて一般的に使用するためには、予熱する工程と、触媒燃焼する工程において、それぞれの条件に適合するように、触媒層あるいは気化室の状態を適切に維持することが重要である。本願の発明者らは、液体燃料を効率的に、また、安定して気化させて触媒燃焼を維持する触媒燃焼装置として、気化室内に多孔性の輻射板を設置することを提案している。そこで、本発明においては、この輻射板を用いた触媒燃焼装置において、予熱工程および触媒燃焼工程の各状態を安定して維持することができる燃焼方法、制御方法および触媒燃焼装置を提供することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】このため、まず、本発明においては、予熱工程において、輻射板の温度が一定温度以上になるまで気化室内を加熱するようにしている。すなわち、本発明の、気化した液体燃料を触媒層で燃焼する方法は、触媒層の輻射熱により液体燃料を加熱気化する気化室、およびその気化室内に触媒層に面して配置された多孔性の輻射板を通して気化した燃料を触媒層に供給して触媒燃焼を行う燃焼工程と、この燃焼工程に先立って、輻射板を所定の温度まで予熱する予熱工程とを有している。 【0007】気化室内の輻射板は触媒層の輻射熱により高温となり、それに霧化、あるいは気化の進んだ液体燃料を接触させることにより、液体燃料の気化をいっそう促進するものである。したがって、触媒燃焼されやすい状態で液体燃料を触媒層に供給するためには、輻射板の温度を上げておくことが重要である。このため、本発明においては、予熱するときに輻射板の温度を上げることを目的として行うようにしている。また、輻射板は、燃焼中に触媒層からの輻射熱を受けて高温になるように配置されているので、逆に、輻射板の温度を上げることが触媒層の温度も適当な温度まで上昇させることに繋がる。また、輻射板は気化室内に配置されている。このため、輻射板の温度を上げることが気化室および触媒層を十分に予熱することに繋がる。したがって、予熱工程において輻射板の温度を上げることにより、その後の触媒燃焼を安定して進めることができる。 【0008】このような燃焼方法は、手動操作によっても実現できるが、輻射板の温度を検出する温度センサーを設け、輻射板の温度が所定の温度に達するまで予熱する工程を有する制御方法を採用することが望ましい。したがって、触媒燃焼装置としては、気化された液体燃料を触媒燃焼する触媒層と、触媒層の輻射熱により液体燃料を加熱気化する気化室と、この気化室内に触媒層に面して配置された多孔性の輻射板と、気化室および輻射板を予熱する予熱手段と、この輻射板の温度を検出する温度センサーと、この輻射板の温度センサーが所定の温度を検出するまで予熱手段を稼動する制御手段とを有していることが望ましい。 【0009】このような制御方法および触媒燃焼装置においては、輻射板の温度を温度センサーで検出することにより、予熱工程から触媒燃焼に自動的に切替えることが可能であり、安定した触媒燃焼を自動的に開始することができる。 【0010】輻射板を予熱する手段としては、電気ヒータを熱源として用いても良いが、気化室内にバーナーを設置し火炎燃焼により予熱することも可能である。バーナーは、液体燃料を噴霧する機能を備えているので、触媒燃焼中は、液体燃料を気化するために噴霧する(霧化する)手段として用いることができる。 【0011】予熱する際に、気化室内の火炎を形成する場合は、予熱工程が安定していることを確認するために火炎を検出する火炎センサーを設けることが望ましい。そして、触媒燃焼中は、この火炎センサーにより逆火現象を捉えることが可能となる。すなわち、予熱中は火炎センサーにより火炎が検出されることを正常とし、触媒燃焼中は火炎が検出されることを異常とすることにより、1つの火炎センサーにより予備燃焼が安定して行われていることと、触媒燃焼が安定して行われていることを監視することができる。 【0012】本発明においては、予熱工程では、輻射板の温度を主に監視している。もちろん、輻射板の温度と共に触媒層の温度を監視することも可能である。予熱工程が終わると、その後、触媒燃焼が開始されたか否かの判断を行うことが重要となる。触媒燃焼が開始すると、触媒層の温度は、予熱中よりも上昇する。したがって、触媒層の温度を検出する温度センサーを設け、触媒燃焼開始後、所定の時間内に触媒層の温度センサーの値が所定値に達したか否かで触媒燃焼が無事に開始されたか否かを判断することが望ましい。また、触媒燃焼中は、燃焼が安定して行われているか否かを、この触媒層の温度センサーにより監視できる。すなわち、触媒層の温度センサーで、触媒層の温度が上限あるいは下限の温度に達したか否かを判断し、安定した触媒燃焼が行われていることを監視できる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1に、本発明に係る触媒燃焼装置を用いた暖房装置の概要を斜視図で示してある。本例の暖房装置1は、灯油などの液体燃料70を表面に現れた触媒層で一次燃焼させ、その触媒燃焼で発生した赤外線73を直に外に出力することにより、より効率的な暖房が行えるようにしたものである。本例の暖房装置1は、キャスター付きのフレーム60に搭載された、移動可能なタイプである。このフレーム60に触媒燃焼装置5と燃料タンク2が上下に配置されており、燃料配管8および燃料ポンプ(電磁ポンプ)7により、下方の燃料タンク2から上方の触媒燃焼装置5に液体燃料70が供給され、触媒燃焼装置5で燃焼される。 【0014】本例の触媒燃焼装置5は、全体が水平方向に若干長い方形のハウジング10を備えており、このハウジング10がフレーム60の上方に延びたアーム62に対し上下方向に旋回できるように取りつけられている。このハウジング10の前方10aが、赤外線73を出力する赤外線放射面21となっている。さらに、赤外線放射面21の前方に、安全のためにガード69が取付けられている。 【0015】図2に、図1に示す触媒燃焼装置の構成を断面図により模式的に示してある。まず、触媒燃焼装置5の前方10aには、気化された液体燃料を触媒燃焼する触媒層20が、その表面が外界に面して配置され、赤外線放射面21を形成している。触媒層20は、開口率が50〜70%、厚さ5〜20mmのポーラスあるいはハニカム型のセラミック製の部材であり、例えば、アルミン酸石灰−溶解シリカ−酸化チタンなどが用いられる。そして、このセラミックが白金などの燃焼用の触媒の担体となり、所定の温度で気化された燃料が酸素(空気)と共に供給される触媒燃焼が行われる。 【0016】触媒層20の後方には、触媒層20の輻射熱74により液体燃料70を加熱気化する気化室12が設けられている。気化室12は、SUS430およびアルミ含有のフェライト系などの耐熱性の材料により外殻11が形成された中空のスペースであり、後方には、液体燃料70を噴霧する燃料噴霧部13、燃焼用空気を供給するブロワ15、およびブロワ15を駆動するブロワモータ15aが配置されている。本例の燃料噴霧部13は、バーナーであり、後述するように、予熱するときはこのバーナー13から噴霧された液体燃料にイグナイター14で点火し火炎を形成する。一方、触媒燃焼中は、バーナー13から液体燃料を噴霧するだけにして気化室12でガス化する。 【0017】気化室12には、さらに、触媒層20に面し、これとほぼ平行に対峙するように多孔性の輻射板30が配置されている。輻射板30は、多孔性のセラミック板、あるいはパンチングメタルにセラミックが溶射された材料などにより形成される。この輻射板30は、触媒層20の後方の面22に面して配置されているために、触媒層20の輻射熱74を直に受けるようになっている。したがって、触媒燃焼が開始すると、その熱を受けて高温となり、気化室12の後方から供給される液体燃料70と接触し、その気化を促進する役割を担っている。 【0018】本例の触媒燃焼装置5は、制御用のセンサーをいくつか備えている。先ず、気化室12の後方の燃料噴霧部13の近傍に、気化室内の火炎72を検出する火炎センサー40が設置されている。火炎センサー40としては火炎の発する波長の光を検出する光センサーを用いることができ、本例ではCdS(カドミウムセル)を採用している。 【0019】さらに、2つの温度センサーを備えており、その1つ温度センサー41は輻射板30の温度を検出可能なように設置されている。他の1つのセンサー42は、触媒層20の温度を検出可能なように設置されている。これらの温度センサー41および42として、本例では、赤外線センサーが採用されており、輻射板30および触媒層20からの赤外線を直に受ける位置に設置されている。もちろん、これらの温度センサーとしては、熱電対あるいはサーミスタなどの接触型の温度センサーを採用することも可能であるが、非接触型の赤外線センサーの方が配置あるいはメンテナンスなどの点で好ましい。 【0020】これらセンサー40、41および42は、図2に破線で示すように、それぞれのセンサーの出力は制御パネル50に引き込まれており、予熱および燃焼状態を監視するために用いられる。 【0021】制御パネル50には、さらに、燃焼制御のためのオンオフスイッチ9、安全装置となる、振動を感知する感震器59、および燃焼装置5のオーバーヒート(過熱)を検出するバイメタルスイッチ(スナッピ、過熱防止サーモ機構)58が接続されている。また、ブロワモータ15aの回転数も、ホールICセンサー15bにより監視されており、この出力も制御パネル50に入力されている。 【0022】図3に、本例の触媒燃焼装置5において触媒燃焼を行う過程(燃焼方法)を示してある。本例の触媒燃焼装置5は、オンオフスイッチ9がオンになると、先ず、ST1で予熱するための予備燃焼を行う(予備燃焼工程あるいは予熱工程)。予備燃焼においては、気化室12でバーナ13から燃料を噴出して火炎燃焼させる。そして、輻射板30の温度を温度センサー41により監視し、輻射板30が所定の温度X(本例では400℃)に達したところで予備燃焼を停止する。 【0023】次に、ST2で、バーナ13から燃料を噴霧し、気化室12および輻射板30を通して気化した燃料71を触媒層20で触媒燃焼する(触媒燃焼工程)。これにより、触媒層20の前面(赤外線放射面)21から赤外線73が出力され、本例の暖房装置1においては通常運転となる。 【0024】オンオフスイッチ9がオフになると、ST3でバーナ13からの燃料噴出が停止して触媒燃焼を停止する(停止工程、冷却工程)。ST3では、ブロワ15により気化室12内を冷却する冷却運転が行われる。 【0025】図4に示したタイムチャート、図5および図6に示すフローチャートに基づき、これらの工程、(予備燃焼工程(ST1)、触媒燃焼工程(ST2)および冷却運転(ST3))をさらに詳しく説明する。これらの制御は、各種のセンサーあるいはスイッチの状態に基づき制御パネル50に組み込まれたシーケンサあるいはプログラマブルな制御機構などにより実現される。 【0026】本例の燃焼装置5は、ST9においてスイッチ9がオンになると、先ず、プレパージを行う。このため、ST10において、火炎センサー40により、気化室12の炎の有無を判断する。火炎が検出されるときは異常なので、ST11で警報を出力し以降の過程を行わない。炎がない場合には、時刻t1に、ST12でブロワモータ15aをオンしてブロワー15を駆動し、同時に、イグナイター14をオンする。そして、時間T1(本例では7秒)後の時刻t2までプレパージを行う。 【0027】プレパージが終了すると、ST13で時刻t2に燃料ポンプ7をオンし、予備燃焼工程ST2をスタートする。燃料ポンプ7がスタートすると、燃焼タンク2から灯油などの液体燃料70がバーナー13から噴霧される。噴霧された液体燃料はイグナイター14によって着火し、火炎燃焼がスタートする。 【0028】予備燃焼中は、ST14で、火炎センサー40により気化室12に火炎72が形成されているか否を判断する。時刻t2に燃料ポンプ7をオンすると、若干の時間遅れがある時刻t3には火炎センサー40により火炎が検出され、予備燃焼が始まったことが確認できる。それ以降においては、火炎センサー40により火炎が検出されることを正常として、予熱(予備燃焼)が継続される。火炎センサー40で火炎が検出されないときは、ST15で警報処理が取られ、触媒燃焼装置5の起動を停止する。 【0029】予備燃焼中は、さらに、ST16で、燃料ポンプ7をスタートしてから、すなわち、予備燃焼を介してしてからの経過時間T0と、輻射板30の温度を監視する。予備燃焼を開始してから所定の時間T0が経過しても輻射板30の温度が上がらない場合は、何らかの異常があるとしてST17で警報を発し、燃焼装置5の起動を停止する。 【0030】一方、ST18で、時刻t4に輻射板の温度センサー41により輻射板30の温度がX(本例では、400℃)に達したことが検出されると、ST19で時間T2(本例では、2秒)が経過するのを待つ。時間T2が経過すると、時刻t5に、ST20で燃料ポンプ7およびイグナイター14をオフし、予備燃焼を停止する。そして、触媒燃焼(ST2)に移行する。 【0031】触媒燃焼においては、まず、図6に示すように、ST21で、燃料ポンプ7を停止した状態で時間T3(本例では1秒)が経過するのを待つ。時間T3が経過した時刻t6に、ST22で、燃料ポンプ7を再稼動する。これにより、液体燃料70がバーナー13に供給され、気化室12に噴霧される。気化室12および輻射板30は、予備燃焼により加熱されているので、噴霧された液体燃料70は加熱気化され、ブロワ15により送られた空気と混合される。輻射板30の温度が所定の値Xに達するまで予備燃焼される過程で、燃焼ガスおよび輻射板30を通した火炎の輻射熱、さらには、輻射板30からの輻射熱により、触媒層20も輻射板30と共に加熱される。したがって、これらが触媒層20に達すると、触媒の作用によって触媒燃焼が始まる。 【0032】触媒層20で触媒燃焼が開始すると、その燃焼によって発生した主なエネルギーは、外界に面した赤外線放射面21から赤外線73として出力される。同時に、触媒層20は、気化室12および輻射板30にも面しているので、触媒層20からの輻射熱74により気化室12および輻射板30が加熱される。特に、本例の触媒燃焼装置5においては、気化室12に設けられている多孔性の輻射板30が触媒燃焼により生じる輻射熱74により加熱され、この輻射板30を通って液体燃料70が触媒層20に供給される。したがって、輻射板30に到達するまでにガス化しておらず、霧化あるいは滴化状態の液体燃料は輻射板30に衝突あるいは接触し、あるいは輻射板30からの輻射熱を受けることにより蒸発が促進される。そして、多孔性の輻射板30を通過することにより燃焼空気との混合も促進される。さらに、燃焼空気も輻射板30を通過することにより加熱されると考えられるので、そのような空気と混合されることにより液体燃焼のガス化はさらに促進される。このため、本例の触媒燃焼装置5においては、触媒層20に十分にガス化して空気と混合された燃料が供給されるので、安定した触媒燃焼が継続して行われる。 【0033】本例の燃焼装置5においては、触媒燃焼中も、ST23で、火炎センサー40により気化室12に火炎72が形成されているか否か判断される。触媒燃焼は無炎燃焼であるが、触媒の温度が上がりすぎたり、あるいは、輻射板30、さらには気化室12の温度が上がりすぎると火炎燃焼に移行する可能性がある。火炎センサー40を触媒燃焼中も動かすことにより、このような逆火現象をキャッチすることが可能である。したがって、触媒燃焼中は、火炎センサー40により火炎が検出されないことを正常とし、火炎が検出されると異常状態なので、ステップ24で警報処理を行い、燃焼を緊急停止する。 【0034】さらに、ST25およびST28で、触媒層20の温度を温度センサー42により監視し、正常な燃焼が行われているか否かを判断する。ステップ25では、触媒層20の温度が下限Y1を下回っているか否かを判断する。触媒層20において、何らかの原因により触媒燃焼が停止すると触媒層20の温度は徐々に低下するからである。予備燃焼から触媒燃焼に切替えた当初は触媒燃焼が始まっていても触媒層20が所定の温度に達するまでに時間がかかる。このため、ステップ26で経過時間T5を待つ。したがって、触媒燃焼を開始した後、すなわち、時刻t6から時間T5を経過した後に触媒層20の温度が下限温度Y1に達していないときは異常があったものと判断し、ステップ27で警報および燃焼停止などの処理を行う。 【0035】一方、触媒層20の温度が上限Y2を上回ると、逆火が発生する可能性がある。また、触媒層20が割れるなどの耐久性の問題も生ずる。このため、ステップ28で触媒層20の温度が上限温度Y2を上回ると、ステップ29で警報および緊急停止の処理を行う。このような制御により、本例では、触媒層20の温度を700℃〜800℃の範囲に保つようにしている。触媒層20で触媒燃焼が行われているか否かだけを判断するのであれば、触媒層20の下限温度は300℃程度で良い。しかしながら、本例の触媒燃焼装置5においては、上述したように、触媒層20の輻射熱により輻射板30および気化室12を加温し、液体燃料を気化している。したがって、触媒層20の温度は、輻射板30および気化室12をガス化可能な状態まで加熱できる値以上に保持する必要がある。このため、本例の触媒燃焼装置5においては、上記の温度範囲を設定している。 【0036】ステップ30で、オンオフスイッチ9により燃焼をストップする指示があるまで、触媒燃焼中は、上記のステップにより温度センサー42および火炎センサー40により触媒層20の温度および火炎の有無を継続して監視する。説明のために、図6のフローチャートでは、これらを監視するステップを順番に記載しているが、この順番は特定されたものではなく、平行して処理されてももちろん良い。 【0037】時刻t7に、オンオフスイッチ9がオフされると、ステップ30でそれを判断し、ST3の冷却運転に移行する。冷却運転は、先ず、ST31で、燃料ポンプ7をオフし、燃料の供給を停止する。これにより、触媒燃焼は停止する。さらに、ブロワ15はポストパージのために稼動を続け、時間T4(本例では200秒)後の時刻t8に停止する。 【0038】さらに、本例の触媒燃焼装置5は、感震器59、過熱防止サーモ機構57、ホールICセンサー15bが設けられているので、それらの検出結果に基づく制御を組み込むことにより、より安全な燃焼装置および暖房装置が提供できるようにしている。各々のセンサーによる制御の概略を説明すると、まず、触媒燃焼装置5が稼動している間に、感震器59が作動すると燃焼が停止する。また、気化室12の外殻11が高温になり、過熱防止サーモ機構58が作動すると燃焼が停止する。なお、ブロワ15は継続して稼動させ、冷却およびポストパージを行う。また、ホールICセンサー15bによりブロワモータ15aの回転数が過回転Zになると、安全にため燃焼を停止する。 【0039】このように、本例の触媒燃焼装置5は、稼動中に何らかの異常が発生すると、常に燃焼を停止できるようになっており、安全な状態で良好な触媒燃焼を行うことができる。 【0040】以上に説明したように、本例の触媒燃焼装置5は、気化室12に輻射板30を設け、液体燃料70の気化を促進し、安定した触媒燃焼が行われるようにしたものである。したがって、本例の触媒燃焼装置5を採用することにより、暖房装置などに触媒燃焼を実際に応用することができる。そして、上記のような燃焼方法および制御方法を採用することにより、予熱から触媒燃焼に至る燃焼を開始するプロセスを安全に、そして確実に行うことができる。また、触媒燃焼がスタートした後も、それを安全に維持することができる。 【0041】このため、まず、予備燃焼(予熱)する際は、液体燃焼を気化するプロセスにおいて重要な役割を持つ輻射板30の温度が所定の値に達するまで予熱している。これにより、気化側のコンディションを触媒燃焼を開始できる状態にすることができる。そして、この輻射板30は触媒層20に面しているので、輻射板30の温度を所定の値まで加熱する条件で、触媒層20の温度も燃焼開始温度に達していると判断することができる。したがって、輻射板30の温度により、気化側と触媒側のコンディションが燃焼開始可能な状態になったことを判断できる。そこで、上記の制御では輻射板30の温度をセンサー41で監視し、予備燃焼工程から触媒燃焼工程に切替えるもっとも重要なファクターとしてセンサー41により得られるデータを採用している。もちろん、触媒層20の温度もあわせて監視しても良いことは上述した通りである。 【0042】本例では、バーナ13から噴霧した液体燃料に着火して予熱する方法を採用しているが、気化室に電気ヒータなどを設置して予熱することももちろん可能である。この場合も、輻射板30が電気ヒータにより加熱されると、その輻射熱、および/あるいは、ブロワ15により供給される空気が熱風となって触媒層20に到達するので、触媒層20も加熱され触媒燃焼を開始する条件が整う。 【0043】触媒燃焼が始まると、逆火現象を捉えることが重要となるが、本例の触媒燃焼装置は、予熱のために予備燃焼を行っているので、その予備燃焼を監視するための火炎センサー(フレームアイ)を逆火現象を捉えるために用いている。すなわち、予備燃焼中は、火炎センサーが炎を検出するのを正常とし、触媒燃焼中は火炎センサーが炎を検出することを異常とすることにより、1つの火炎センサーで予備燃焼と触媒燃焼の状態を監視できるようにしている。したがって、センサーの数量を減らすことができ、コストを低減できると共に、部品点数が削減されるのでメンテナンスも簡単となり、信頼性も向上する。 【0044】また、本例の触媒燃焼装置5においては、触媒燃焼中は、触媒層の温度を監視して触媒燃焼が順調に開始されたことを判断すると共に、その後の触媒燃焼が正常に行われていることを判断している。そして、監視する触媒層の温度範囲を、単に、触媒燃焼が行われているか否かだけを判断する温度範囲ではなく、気化室および輻射板の温度条件をガス化可能な状態に維持できる温度範囲にしている。したがって、上記の制御では燃焼中は、触媒層20の温度をセンサー42で監視し、もっとも重要なファクターとして制御に利用している。もちろん、輻射板30の温度もあわせて監視するなどの制御方法も採用可能である。 【0045】このように、本例の触媒燃焼装置5は、上記の燃焼方法および制御方法を採用できるものであり、そのために、温度センサー41および42、また火炎センサー40、さらに、上記の制御を実現可能な制御パネル50を備えている。したがって、予備燃焼から触媒燃焼を安定して行うことができ、無炎で、窒素酸化物などの有害物質の生成割合が低く、さらに匂いや騒音も少ないという数多くのメリットを備えた触媒燃焼で発生した熱を暖房などで活用することができる。本例の暖房装置1は、触媒層20で発生した赤外線を積極的に外部に照射して暖房を行う装置であるが、これに限らず、暖房用の空気を加熱して放出する温風発生装置にも本発明の触媒燃焼装置を用いることができる。また、暖房装置に限らず、乾燥機あるいは赤外線治療器などの分野にも本発明の触媒燃焼装置は有効である。 【0046】なお、上記では、輻射板の温度センサー41および触媒層の温度センサー42として、赤外線センサーを用いた例を説明しているが、これに限らず、熱電対、サーミスタなどであってももちろん良い。また、上記では、気化室の炎の形成を検知するCdS(カドミウムセル)を用いた火炎センサー40を例に説明しているが、これに限らず、炎検出センサー、フレームアイ等の安全装置に用いられているものであってももちろん良い。 【0047】 【発明の効果】以上に説明したように、本発明においては、気化室に輻射板を設け、液体燃料の気化の促進を図る触媒燃焼装置に適した触媒燃焼方法およびその制御方法を開示している。したがって、本発明の燃焼方法および制御方法を採用することにより、予熱から触媒燃焼に至るプロセスを確実に行うことができ、また、安定した触媒燃焼を維持することができる。したがって、触媒燃焼を暖房あるいはその他の目的のために実用化する上で非常に有用な燃焼方法および制御方法である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000103921 【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年6月30日(1999.6.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090170 【弁理士】 【氏名又は名称】横沢 志郎 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−12704(P2001−12704A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月19日(2001.1.19) |
| 【出願番号】 |
特願平11−184629 |
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