| 【発明の名称】 |
ボイラのリパワリング装置とリパワリング方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】馬場 彰
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| 【要約】 |
【課題】石炭ガス化システムが持つ高い経済性を備え、さらに燃焼ガス中のNOxの生成量が少ない、老朽化した石炭焚きボイラのリパワリングシステムを確立すること。
【解決手段】既設の石炭焚きボイラ6に石炭ガス化装置9を付加し、石炭ガス化装置9で発生した乾留ガスとチャーをチャー捕集器11で捕集した後、分離して乾留ガスの一部をガスタービン12の燃料として使用し、残りの乾留ガスとチャーを既設の石炭焚きボイラ6の燃料として使用して燃焼させる。このようなシステムであれば、起動時にはオイルやガス燃料が必要になるが、通常運転時には石炭のみを燃料とする運転が可能になる。また乾留ガスの一部を既設の石炭焚きボイラの燃料として使用できることから、ボイラ火炉内で強い還元領域を形成できるようになり、通常の石炭焚きボイラで問題になるボイラ火炉内でのNOx生成の問題も乾留ガスによる炉内脱硝による効果で大幅に低減が可能になる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 石炭などの固体化石燃料を主燃料として燃焼するバーナを有するボイラと、石炭を量論比以下の酸素を含む気体でガス化反応させる石炭ガス化装置と、該石炭ガス化装置で生成される乾留ガスと石炭中の揮発分の一部もしくは全部が熱分解して放出された後に生成されるチャーとを分離する分離装置と、前記乾留ガスと前記チャーとをそれぞれ前記バーナに供給する流路を設けたことを特徴とするボイラのリパワリング装置。 【請求項2】 前記バーナには前記乾留ガスおよびチャーを同時にまたは個別に供給するバーナを用いることを特徴とする請求項1記載のボイラのリパワリング装置。 【請求項3】 前記バーナにはチャーと搬送用空気との混合流体を供給する1次空気流路と、該流路の外周部に設けられる2次空気流路と、該2次空気流路内に設けられた乾留ガス供給ノズルとを備えていることを特徴とする請求項2記載のボイラのリパワリング装置。 【請求項4】 前記バーナにはチャーと搬送用空気との混合流体を供給する1次空気流路と、該1次空気流路内に設けられた乾留ガス供給ノズルと、該1次流路の外周部に設けられる2次空気流路とを備えていることを特徴とする請求項2記載のボイラのリパワリング装置。 【請求項5】 該ガスタービンからの排ガスをボイラのバーナ部に供給する排ガス流路とを備えたことを特徴とする請求項1記載のボイラのリパワリング装置。 【請求項6】 乾留ガスとチャーとを分離する前記分離装置で分離された乾留ガスの供給流路に接続した乾留ガスを燃料とするガスタービンと、該ガスタービンの上流側の乾留ガスの供給流路に設けた開閉弁を備えた分岐流路と、該分岐流路からの乾留ガスをボイラのバーナ部に供給する乾留ガス流路とを備えたことを特徴とする請求項1記載のボイラのリパワリング装置。 【請求項7】 石炭などの固体化石燃料を主燃料として燃焼するバーナを有するボイラと、石炭を量論比以下の酸素を含む気体でガス化反応させる石炭ガス化装置と、該石炭ガス化装置で生成される乾留ガスと石炭中の揮発分の一部もしくは全部が熱分解して放出された後に生成されるチャーとを分離する分離装置と、該分離装置で分離されたチャーを前記バーナに供給する燃料供給流路と、前記分離装置で分離された乾留ガスを燃料とするガスタービンと、該ガスタービンからの排ガスを前記バーナに供給する排ガス流路を設けたことを特徴とするボイラのリパワリング装置。 【請求項8】 石炭などの固体化石燃料を主燃料として燃焼するバーナを有するボイラと、石炭を量論比以下の酸素を含む気体でガス化反応させる石炭ガス化装置と、該石炭ガス化装置で生成される乾留ガスと石炭中の揮発分の一部もしくは全部が熱分解して放出された後に生成されるチャーとを分離する分離装置と、該分離装置で分離されたチャーを石炭ガス化装置に戻す流路と、前記分離装置で分離された乾留ガスを燃料とするガスタービンと、該ガスタービンからの排ガスを前記バーナに供給する排ガス流路を設けたことを特徴とするボイラのリパワリング装置。 【請求項9】 微粉炭を主燃料として燃焼するバーナを複数有するボイラにおいて、石炭を量論比以下の酸素を含む気体でガス化反応させる石炭ガス化装置と、該石炭ガス化装置で生成される乾留ガスと石炭中の揮発分の一部もしくは全部が熱分解して放出された後に生成されるチャーとを分離する分離装置と、前記バーナの一部を置換して設けた乾留ガスおよびチャーを同時にまたは個別に供給するバーナと、該バーナに前記乾留ガスと前記チャーとをそれぞれ供給する流路を設けたことを特徴とするボイラのリパワリング装置。 【請求項10】 石炭を量論比以下の酸素を含む気体でガス化反応させる石炭ガス化装置で生成される乾留ガスと石炭中の揮発分の一部もしくは全部が熱分解して放出された後に生成されるチャーをボイラの石炭などの固体化石燃料を主燃料として燃焼するバーナに供給して燃焼させることを特徴とするボイラのリパワリング燃焼方法。 【請求項11】 チャーをボイラに設けられた多段バーナの中の下段側のバーナから供給して燃焼させ、乾留ガスをボイラに設けられた多段バーナの中の上段側のバーナから供給して燃焼させることを特徴とした請求項10記載のボイラのリパワリング燃焼方法。 【請求項12】 ボイラのチャーを燃焼させるバーナの局所空気比を1.0以下にすることを特徴とした請求項10記載のボイラのリパワリング燃焼方法。 【請求項13】 チャー及び乾留ガスの一部もしくは全量をボイラの同軸バーナから供給することを特徴とした請求項10記載のボイラのリパワリング燃焼方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はボイラに係わり、特に石炭を燃料とする老朽化したボイラのリパワリング(出力の向上対策)に好適な部分ガス化装置を付加したボイラの燃焼システムと燃焼ガス中の窒素酸化物(NOx)の生成量が少ない石炭燃焼方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】事業用及び産業用ボイラにおいては老朽化したボイラのリパワリング対策としてガスタービンを付加したシステムが多くみられる。通常の事業用及び産業用ボイラのリパワリングシステムはガスタービンを使用することから、ガス焚きボイラに適用されることが多い。すなわち、前記リパワリングシステムはガス燃料をガスタービンに供給して発電して、高温の燃焼排ガスを既設のボイラ用燃焼空気として利用し、さらにガス燃料を既設ボイラで燃焼させるシステムである。 【0003】このリパワリングシステムの特徴は、ガスタービンと排熱回収ボイラの組み合わせによるシステムと比較すると熱効率は若干劣るが、ガスタービンを付加することで老朽ボイラの出力アップを比較的簡単に図ることができることである。さらに、このリパワリングシステムはガスタービンがボイラと比較してコンパクトであることから設置面積が少なくてすむことや、工事期間が短い等の特徴を有する。 【0004】通常の化石燃料を主燃料とする火力発電所用のボイラにおいては、複数の燃料を使用しないのが通例である。たとえば、石炭焚きボイラにはバックアップとしてオイルの供給設備はあるがガス供給設備は設けられていない。またオイル焚きボイラにもガス供給設備が無い。さらにガス焚きボイラの場合、石炭やオイルの供給設備は設けられていない。 【0005】近年、大型の石炭火力発電所の建設が続いており、これに伴って大型の石炭焚きボイラの老朽化対策が急務である。石炭焚きボイラにガスタービンを付加した排気再燃機構を考えると、前述した燃料の供給条件、すなわちガス焚きボイラの場合、石炭の供給設備は設けられていないので、ガスと石炭の組み合わせは実現性に乏しいといえる。 【0006】石炭焚きボイラは、図8に示すように、まず、石炭を30mm程度の塊炭の状態で石炭バンカ1へ貯蔵しておき、必要な量を石炭フィーダ2で切り出してミル3に供給する。ミル3では平均粒子径が50ミクロン以下になるように石炭を微粉砕することで粒子の比表面積を多くし、着火燃焼しやすい微粉炭にする。 【0007】さらに、得られた微粉炭は1次空気で気流搬送され、風箱5から供給される主燃焼用空気100とともに石炭焚きボイラ6のバーナ21(一部のみ図示)へ噴出供給され、ボイラ内で燃焼する。 【0008】石炭が固体燃料であることから、その取扱いのための貯蔵設備及び粉砕設備等に大がかりな設備を必要としており、ボイラのリパワリングの際にも、できるだけこれらの設備の有効利用を図ることが望ましい。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】前記従来技術に述べたように、ボイラにおけるリパワリングはガス焚きボイラの適用例があるだけで、石炭焚きボイラ6のリパワリングは無く、石炭焚きボイラ6のリパワリング用にガス燃料を用いることは不向きである。なぜならば、石炭焚きボイラ6とガス焚きボイラの立地条件は異なり、少なくとも、現在までは、ガス燃料の供給基地が石炭焚きボイラ6の近くに存在しない等の理由から石炭焚きボイラにガス燃料を供給することができなかったからである。 【0010】今後立地条件等の改良から、これら石炭焚きボイラ6にガス燃料が供給可能になった場合においても、石炭焚きボイラ6のリパワリングとしてガス燃料を用いることは効率が悪い。その理由は、石炭焚きボイラ6が難燃性の固体燃料の燃焼に適するように設計されており、ガス燃料の燃焼には火炉容積が大きすぎるからである。そのため、石炭焚ボイラ6には石炭を利用したリパワリングが望ましい。 【0011】石炭を主燃料としたコンバインドサイクルとしては石炭ガス化システム(IGCC)が考えられる。図9には石炭ガス化システムの基本構成を示した。主燃料である微粉炭はミル(図示せず)で粉砕して粒度調整した後に微粉炭ビン7に貯蔵しておく。そしてフィーダ8で定量切り出して石炭ガス化装置9に供給する。この石炭ガス化装置9の内部において、石炭は燃焼し、その反応熱で石炭は乾留されてガス化する。得られた可燃性ガスはCOとH2を多く含み、また可燃性ガスの燃焼で発生したCO2は高温の酸素不足の雰囲気においてCOに還元される。 【0012】これらの可燃性の乾留ガスは揮発分の放出したチャーと共に石炭ガス化装置9の外に放出される。そして、チャーは固体であり、ガスタービン用燃料としては不適であるので、チャー捕集器11で捕集分離された後、再度石炭ガス化装置9へ戻される。一方、チャー捕集器11で分離された乾留ガスはガスタービン12へ供給される。 【0013】乾留ガスはガスタービン12の内部で空気圧縮機13から供給される加圧空気と共に燃焼され、発電器15を回転させる発電に利用される。ガスタービン12で得られた燃焼ガスは500〜600℃の高温であることから、排熱回収ボイラ16に送られ、蒸気生成に利用される。そして排熱回収ボイラ16で得られた蒸気は図示しない蒸気タービンを回して発電に利用される。 【0014】このような図9に示す石炭ガス化システムは、従来の石炭焚きボイラに比較して、高効率運転が可能となり、新設の火力発電設備で用いられる設備であり、既設の石炭焚きボイラのリパワリングという概念から外れてしまう。 【0015】老朽石炭焚きボイラのリパワリングを考えた場合、石炭を主燃料として考える必要があることから、石炭ガス化システムが持つ高い経済的優位性を付加させることが望まれる。さらに、その燃焼方式は低NOx燃焼であることが必須である。 【0016】本発明の課題は、石炭ガス化システムが持つ高い経済性を備え、さらに燃焼ガス中のNOxの生成量が少ない老朽化した石炭焚きボイラのリパワリングシステムを確立することである。 【0017】 【課題を解決するための手段】石炭焚きボイラのリパワリングに関する上記本発明の課題は既設の石炭焚きボイラに石炭ガス化装置を付加し、石炭ガス化装置で発生した乾留ガスとチャーを既設石炭焚きボイラとガスタービンで燃焼することで解決することができる。 【0018】すなわち石炭燃料をガス化して乾留ガスとチャーを生成させ、乾留ガスの全部または一部をガスタービン用燃料として使用し、チャーまたはチャーと一部の乾留ガスを既設の石炭焚きボイラの燃料として供給するシステムが適している。 【0019】このようなシステムであれば、起動時にはオイルなどの補助燃料が必要になるが、通常運転時には石炭のみを燃料とする運転が可能になる。また乾留ガスの一部を既設の石炭焚きボイラの燃料として使用できることから、そのようにしたときにはボイラ火炉内で強い還元領域を形成できるようになり、通常の石炭焚きボイラで問題になるボイラ火炉内でのNOx生成の問題も乾留ガスによる炉内脱硝による効果で大幅に低減が可能になる。 【0020】 【作用】本発明を用いると石炭焚きボイラにガスタービンが追加設置できるようになることから既設の老朽化した石炭焚きボイラにおけるリパワリングが可能となる。また石炭ガス化装置からの乾留ガスの一部を既設の石炭焚きボイラの燃焼用に使用できることから、そのようにした場合にはチャーの燃焼で発生したボイラ火炉内のNOxを乾留ガスと直接接触させて窒素ガスに還元できるようになり、NOxの発生量を抑制することができる。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる石炭焚きボイラのリパワリングシステムの系統図を示す。本システムの燃料となる石炭は30mm程度に粒度調整された後、図示していないミルに供給されて、所定の粒度(たとえば200メッシュ通過重量が80〜90wt%)にまで粉砕され、粒度調整された後に微粉炭貯蔵ビン7に一時貯蔵される。 【0022】微粉炭は石炭フィーダ8で所定量を切り出され、酸素や空気、窒素等の搬送ガスによって気流搬送され、石炭ガス化炉9の内部に供給される。そして石炭ガス化炉9内で微粉炭を燃焼させて熱を発生させ、さらには還元雰囲気でガス化させる。 【0023】石炭ガス化炉9の内部へ酸素又は空気などの酸化剤を投入するが、その投入量は微粉炭がガス化反応するために必要な量論空気流量に満たない量とすることになる。さらに炉内圧力と温度は例えば、3MPa、1800℃程度であるが、1000℃以上の条件であれば、微粉炭のガス化は進行する。圧力は後述するガスタービン12を起動するために3MPa以上であることが必須である。 【0024】乾留ガスとチャーが石炭ガス化炉9で生成された後に、チャー捕集器11で捕集された後、チャーと乾留ガスに分離される。チャーはチャー搬送ガス、例えば圧縮空気、酸素または窒素のいずれかとともに石炭焚きボイラ6のバーナ21に供給される。 【0025】一方、乾留ガスは定常運転時、すなわち乾留ガスに十分な発熱量が確保できる場合には、そのほとんどをガスタービン12のコンバスタ(燃焼器)に供給して燃焼させる。ここで、乾留ガスはガスタービン12の内部で空気圧縮機13から供給される加圧空気と共に燃焼され、発電器15を回転させる発電に利用される。ガスタービン12の排ガスは、酸素濃度が約15%と十分に高く、約500〜600℃ と高温であることから、石炭焚きボイラ6のバーナ21での燃焼用空気として利用でき、通常運転時には流路41からボイラ6の風箱5へ供給する。また、図1に示すように、流路22から分岐させて流路43から乾留ガスの一部を石炭焚きボイラ6の補助燃料としてバーナ21へ供給し、ボイラ6内で燃焼することもできる。流路22の流路43への分岐点にはダンパ等の流量調整装置42を設ける。また、図1には(後述の図4、図5も同様)燃焼用空気100を供給するようにしているが、ガスバーナ21からの排ガスとの間で必要流量、温度、酸素濃度となるように適宜調整する。 【0026】通常の石炭ガス化炉9は雰囲気温度が低い場合や、炭種によっては部分ガス化になり、ガス化効率が低下して、具体的には発生ガスの発熱量が低下したり(冷ガス効率低)、炭素の有効利用率が低下したり(炭素転換率低)する。その対策として、図1に示すシステムの場合、乾留ガスをガスタービン12へ供給する流路22に切替装置24を設け、ガスタービン12へ供給する乾留ガス流路をボイラ側への瞬時切り替えることがができるようになっており、ガスタービン12の失火の事前回避が可能であり、安全面と発電の信頼性が高くなる。 【0027】なお、図1においては、ボイラ6のバーナ21への乾留ガス流路を通常用と非常時用とで別々に設けているが、切替装置を両方に対応するようにすることで1つのもので兼用しても良い。 【0028】図10(図10(a)はバーナ断面図、図10(b)は火炉側からみたバーナ正面図)には、従来型の石炭焚きボイラの微粉炭バーナ211の構造を示す。通常、微粉炭ボイラ6では石炭だけを用いて当該バーナ211で燃焼させることは不可能であり、火炉23内部が十分に予熱できるまではバーナ中心軸に設けられる油バーナ25で負荷を上げる。石炭はミルで粉砕された後に、搬送用空気と微粉炭との混合流体となる1次空気で微粉炭バーナ211の一次流路26まで供給されて、火炉23内に約20m/sの流速で噴出する。 【0029】1次空気の流量は、燃焼用空気全流量の約20%であり、この空気のみでは微粉炭を完全に燃焼させることができないので、さらに2次空気、3次空気を一次流路26の周囲の2次空気流路27と3次空気流路28から旋回させて火炉23内に投入する。通常、2次空気流量は全体の空気の10〜15%程度、3次空気流量は60%程度になるように流量配分する。バーナ211から投入される空気量の全量は、理論空気量の約90%であり、残りの25%程度(空気過剰率を考慮して決定される)は、微粉炭バーナ211の後流側に設けられるアフターエアポート(図示せず)から投入される。なお、火炉23の全体に供給される燃焼用空気量は炭種等に応じて、空気過剰率を考慮して決定されるが、理論空気量の115%が基準である。 【0030】3次空気は、通常鎧戸構造の空気旋回器30で強い旋回がかけられ、火炉内に投入される。これは微粉炭の燃焼によって得られる火炎が安定に燃焼するために最も重要な空気といえる。3次空気は火炉23内でのバーナ211近傍における高温ガスの内部再循環領域の形成に寄与することから、その旋回強度と質量流量がバーナ近傍の高温ガスの還元領域の形状を決定し、従ってNOxの生成とその還元に係わる重要な要素となっている。 【0031】NOxは、石炭中に含まれるベンゼン環にピリジンやピロールなどが結合したものが加熱され、その熱分解過程においてシアンが得られ、該シアンがアンモニアを経て生成されると言われている。しかし、酸素が存在しない高温の領域では、一度生成したNOxはN2に還元されるため、微粉炭バーナ211の後領域(バーナ211からの燃料噴出直後の燃料燃焼領域)に高温で酸素の少ない還元領域を大きく形成させることが重要になる。 【0032】石炭中の燃焼成分が熱分解するには高温の温度場が必要であり、もしも高温の温度場が形成されないと還元領域が形成されないばかりでなく、チャーの内部の窒素が離脱されにくくなり、このチャーが火炉23内の後流側の燃焼ガスの酸化領域において酸化して窒素成分がNOxになりやすくなってしまう。 【0033】このような現象を阻止するためにも、微粉炭バーナ211からの燃料噴出直後に燃料を急速着火させ、さらに着火した燃料の保炎が安定に行えるようにする必要がある。 【0034】微粉炭噴流は、高濃度な固体と気体の2相流であるが、バーナ出口部分における微粉炭粒子の加熱は主に火炎からのRadiation(放射)に支配されるので、微粉炭噴流をいかに薄く、また強い乱れを発生させるかが微粉炭の着火にとって重要である。 【0035】図10の従来の微粉炭バーナ211は微粉炭と空気の混合流体流路である1次流路26の出口部分に保炎器33と乱流促進器34を取り付けている。保炎器33は、その後流で燃焼ガスの循環域を形成させて、粒子の滞留時間を増加させることで着火を図る。また、乱流促進器34は微粉炭噴流の外部表面を切り込むことで乱れの促進と、噴流が火炎からの放射(Radiation)を受けやすい構成としている。 【0036】2次空気流路27の外周部の出口部分には半径方向に拡がる折り曲げられたガイドスリーブ35を設けているので、このガイドスリーブ35により、さらに着火した燃焼ガスの流れの循環領域の拡大が図れる。 【0037】本発明では、石炭焚きボイラ6のリパワリングを意図しており、全く新しいバーナと入れ替えるよりも、図10に示す既設の微粉炭バーナ211をできるだけ使用することが、建設コストの低減にもつながり、システムの実現性の向上にも寄与すると考えて完成させたものである。 【0038】図2(a)に示すバーナ21はチャーと乾留ガスを個別にまたは同時に燃焼可能な本発明の実施の形態のバーナ21の断面図であり、図2(b)は火炉側からみた当該バーナ21の正面図(火炉からの視図)であり、バーナ21の基本構成は図10に示した微粉炭焚きバーナ211と変わらない。なぜならば、チャーは固体であり、微粉炭と同様に燃焼速度が低いことから着火性が悪いからである。また、このバーナ21はチャー燃焼用のみに限らず従来通り微粉炭燃焼用にも用いることもできる。 【0039】図2(a)、図2(b)に示すバーナ21を構成する各部材で図10に示す部材と同一機能を奏する部材は同一番号を付してその説明は省略する。 【0040】図2(a)、図2(b)に示すバーナ21の特徴は2次空気流路27に石炭ガス化炉9(図1)から供給される乾留ガス用の乾留ガスノズル37(図2(c)参照)を設けている。 【0041】この乾留ガスノズル37は、保炎器33を貫通してバーナ21の火炉23側の出口に伸びており、ノズル37先端部に乾留ガスを噴射する噴射口37aを備えている。乾留ガスノズル37から高温ガス循環領域に向けて可燃性ガスを噴射することで、さらに燃焼ガスの高温化が図れ、燃焼ガスの低NOx濃度化に効果的な結果をもたらす。 【0042】乾留ガスノズル37先端部の詳細斜視図を図2(c)に示す。乾留ガスはバーナ軸に対して(90−θ)の角度で噴射口37aから噴射することになる。バーナ主軸に沿って噴射しないのは、燃焼用空気との混合が必要であるからである。 【0043】また、このバーナ21では運用面で、チャーのみまたは乾留ガスのみを供給して燃焼させることもできる。 【0044】図3(a)((図3(a)はバーナ断面図、図3(b)は火炉側からみたバーナ正面図))には、本発明の他の実施の形態のバーナ21を示した。このバーナ21も基本的には、図10に示す微粉炭バーナ211と同じである。しかし通常の1次流路26に乾留ガスノズル37を挿入した構造とした。この例では、乾留ガスノズル37が4本設けられているが、8本まで用いることができる。乾留ガスノズル37の噴射口37aからのガスの噴射方向は、図2(c)に示したものと同じく、バーナ主軸に対して角度をもたせた構成とした。 【0045】すなわち、乾留ガスを1次流路26の内部で噴射して、チャーと予混合とした後、ボイラ6の火炉23内に噴出する。予混合の対象ガスは、空気や酸素、窒素ガスとの希釈ガスであり、乾留ガスの発熱量により前記予混合ガスを使い分ける。このような構成によって乾留ガスは、バーナ21の出口部分の初速度を抑制できることから、安定着火が可能となる。 【0046】また、このバーナ21もチャーにかえて微粉炭での運用も可能であり、さらにチャーまたは乾留ガスのみでの運用も可能である。 【0047】これら図2、図3に示すバーナの組み合わせで、石炭焚きボイラ6の火炉23内で発生するNOx量の低減ができる理由について説明する。 【0048】図6にはチャーのみを供給するようにしたチャー燃焼用バーナと、乾留ガスのみを供給するようにした乾留ガス燃焼バーナを組み合わせてボイラ6の火炉23内の脱硝システムを構築した場合のバーナレイアウトと火炉23内部での反応の概要を示している。 【0049】チャー燃焼用バーナ21aを乾留ガス燃焼バーナ21bよりボイラ火炉23の下部に配置し、燃焼用バーナ21aから噴出したチャーを火炉23内で燃焼させるが、通常固体燃料の方がガス燃料に比べて燃焼速度が遅いことから、火炉23内を上昇するチャー未燃分を燃焼性の良い乾留ガス、アフタエアーなどと共に燃焼させて、火炉23内での完全燃焼領域を大きくすることで燃焼効率を増加させる手段として好適である。したがって、図6に示すシステムではバーナ21を2段、アフターエアポート40を1段設け、合計3段からなる燃焼装置である。通常の石炭焚きボイラ6では、バーナ21は2段から4段の構成が通常であるが、ここでは簡略な構成で説明する。 【0050】最下段バーナはチャー燃焼バーナ21a、その上には乾留ガスバーナ21b、さらに、その上段にはアフターエアポート40を配置する構成とした。チャー燃焼バーナ21aの空気比は0.7〜1.0、乾留ガスバーナ21bのそれは0.5〜0.8、アフターエアポート40は空気のみで0.25〜0.55である。全体で1.15になるようにする。 【0051】ここで、火炉23内の燃焼状態であるが、チャー燃焼域の後流側に乾留ガスを空気不足状態で投入することから、燃焼ガスの強い脱硝効果がある。 【0052】一般に通常の石炭焚きボイラ6であると、活性が低い微粉炭で空気比にバイアスをかけて、すなわち脱硝用のバーナの空気比を下げて運転するが、十分な脱硝効果が期待できないのが現状である。 【0053】これと比較すると、図6に示すシステムにおいては、乾留ガスによってチャー燃焼で発生したNOxをN2に還元できる。媒体としては、HCN、NH3もしくはそのラジカルである。 【0054】また、図7には乾留ガスとチャーとを同時に供給するようにしたバーナ21をボイラシステムに適用した例を示している。この図7で示した例は、2段バーナの場合であり、いずれも同じ仕様のバーナ21を適用した。同軸バーナ21であることから乾留ガスとチャーが混合して火炉23内に投入されることになる。しかし、図7で示すバーナ21は図6に示すバーナ21と比較して、燃料の着火性に優れるガス燃料を同伴することで、バーナ21の近傍に強還元領域が形成可能であり、バーナ21単体でNOxの低減が図れる。この図7ではアフターエアポートを設けない例を示したが、通常の2段燃焼と同じく、図6に示すように、アフターエアポートを投入しても、更なる燃焼ガスの低NOx濃度化が図れる。図7に示すバーナ21には、2段のバーナ21間で空気比のバイアスをかけないで、チャー及び乾留ガスを燃焼する同軸燃焼バーナ21の局所空気比は微粉炭燃焼における実績から0.95以下にする。 【0055】また、図4と図5には本発明のその他の実施の形態のシステムの系統図を示して説明する。図4と図5のシステムでは図1に示した装置と同一の装置は同一番号を付してその説明は省略する。 【0056】図4と図5のシステムでは石炭ガス化装置9で得られた乾留ガスをチャー捕集器11でチャーから分離して、その全量をガスタービン12に送る構成からなる場合であり、図5に示すシステムでは、さらにチャー捕集器11で分離されたチャーを全量を石炭ガス化装置9へ戻す構成からなる場合である。 【0057】図4、図5に示すシステムでは共に可燃性ガスを石炭焚きボイラ6へ送り込まないシステムとなることが特徴である。図5は、完全な石炭ガス化装置9を付加したことになるために、石炭焚きボイラ6はそもそも微粉炭を燃焼させることができるバーナを有しているが、石炭焚きボイラ6のリパワリング時には微粉炭燃料を用いるが、その他に油燃料を用いることができる。 【0058】また図4に示すシステムでは、石炭焚きボイラ6では燃料としてはチャーのみの使用になるので、チャーの着火性が悪いことから自燃はできない。したがって、少量の油燃料が常時必要になる。しかしいずれも系統は簡素化できるメリットはある。 【0059】また、図示していないが、バーナ21が多段の場合などにおいて部分的に石炭ガス化と組み合わせたリパワリングを実施する場合に、従来の微粉炭バーナ211を一部残した運用も行える。 【0060】 【発明の効果】本発明によれば、高い経済性を備えた石炭ガス化システムを付加することで、燃焼ガス中のNOxの生成量が少ない、老朽化した石炭焚きボイラのリパワリングシステムが達成できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005441 【氏名又は名称】バブコック日立株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年8月24日(1999.8.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096541 【弁理士】 【氏名又は名称】松永 孝義
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| 【公開番号】 |
特開2001−65804(P2001−65804A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月16日(2001.3.16) |
| 【出願番号】 |
特願平11−237192 |
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