| 【発明の名称】 |
過熱蒸気発生装置及び加熱蒸気処理装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】平松 博好
【氏名】増田 尚人
【氏名】柘植 眞三
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| 【要約】 |
【課題】装置構成の小型化,温度制御の高精度化,効率の向上を図るとともに、水に含まれる各種の障害成分の影響を低減する。
【解決手段】油水分離槽14で油成分が除去された水は、加熱室32の細管36中において、ガスバーナ34及びヒータ39で加熱され、過熱蒸気となる。過熱蒸気は、処理室42に送られ、ここで処理対象43の過熱,乾燥,殺菌,冷却,洗浄などの各種の処理が行われる。処理後の蒸気は回収され、油水分離槽14の送水室20で水と熱交換が行われ、ここで余熱が再利用される。また、水は分離室18に送られ、ここで油成分が分離される。スケール除去点滴15によってスケール除去剤が注入され、水中のスケールは除去される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱伝導性の管をつずら折り状に折り曲げて形成した加熱管に水を供給するとともに、加熱手段によって前記加熱管を加熱して過熱蒸気を生成することを特徴とする過熱蒸気発生装置。 【請求項2】 前記加熱管の管径を、水の供給側から過熱蒸気の排出側に行くに従って拡大したことを特徴とする請求項1記載の過熱蒸気発生装置。 【請求項3】 前記加熱管に供給する水にスケール除去剤を注入するスケール除去手段;前記加熱管からスケールを排出するためのスケール排出手段;を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の過熱蒸気発生装置。 【請求項4】 前記加熱管が熱伝導板を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の過熱蒸気発生装置。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の過熱蒸気発生装置を備えており、前記過熱蒸気発生装置に水を供給する給水手段;前記過熱蒸気発生装置によって生成された過熱蒸気によって、処理対象に必要な処理を行う処理手段;この処理手段によって処理を行った蒸気を再利用する再利用手段;を備えたことを特徴とする過熱蒸気処理装置。 【請求項6】 油と水を分離する油水分離手段を備えたことを特徴とする請求項5記載の過熱蒸気処理装置。 【請求項7】 前記処理手段は、処理対象に、加熱,乾燥,冷却,洗浄,焼結,解凍,除湿,蒸煮,炊飯,殺菌,防錆,焼なましのいずれかの処理を行うことを特徴とする請求項5又は6記載の過熱蒸気処理装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、飽和蒸気を更に加熱した過熱蒸気を得る過熱蒸気発生装置及び過熱蒸気を利用して必要な処理を行う過熱蒸気処理装置に関し、更に具体的には、高温低圧の過熱蒸気の生成及び利用に好適な過熱蒸気発生装置及び過熱蒸気処理装置に関するものである。 【0002】 【背景技術】過熱蒸気は、空気を汚さないために環境に好ましく、対流のみならず放射によっても熱を伝達する作用があるために熱容量が大きいという特徴があり、従来にない加熱媒体として各方面から注目されている。従来の過熱蒸気発生装置としては、予め水を沸騰させて100℃(1気圧の場合)の水蒸気を生成した後、これを電気ヒータなどの熱媒体の間を強制的に送風することによって再加熱させる方法が知られている。 【0003】図5を参照しながら説明すると、まず高温・高圧蒸気発生装置,いわゆるボイラ100において、水を沸騰させ、約100℃の水蒸気を発生する。次に、この水蒸気はヒータ加熱部102に送られ、更に例えば300℃程度に加熱される。このヒータ加熱によって過熱蒸気が得られる。次に、生成された過熱蒸気は加熱処理部104に送られ、ここで処理対象105に吹き付けられてその加熱処理が行なわれる。加熱処理によって温度が低下した蒸気は、排気口106から外部に排出される。例えば、特開平3−262445号では、過熱蒸気を利用して食品のフライ加工を行っている。特開平4−13820号では、金属の溶解を行っている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上のような背景技術では、水を約100℃に加熱沸騰させるボイラ100と、これによって生成された蒸気を加熱するヒータ加熱部102の2つの加熱手段を必要とするため、装置が大掛かりとなるとともに、コスト的にも満足し得るものではない。また、ボイラ100からヒータ加熱部102に蒸気を送る途中で温度の変動が生ずるため、温度の管理を十分に行うことができず、高精度で温度を制御することができない。蒸気を送る途中で熱損失が生ずるとともに、使用した蒸気をそのまま排出しており、無駄が大きい。 【0005】一方、水には、各種のスケール(残滓ないし障害成分)が含まれている。従って、特に細管を使用するような個所では、かかる成分に対する対策を怠ると、熱効率の低下,管の損傷,蒸気純度の低下などの不都合が生ずる恐れがある。 【0006】本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、装置構成の小型化,低コスト化を図ることである。他の目的は、温度の制御を精度よく行うとともに、無駄を低減して効率の向上を図ることである。更に他の目的は、水に含まれる各種の障害成分の影響を低減することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明の過熱蒸気発生装置は、熱伝導性の管をつずら折り状に折り曲げて形成した加熱管に水を供給するとともに、加熱手段によって前記加熱管を加熱して過熱蒸気を生成することを特徴とする。主要な形態の一つは、前記加熱管の管径が、水の供給側から過熱蒸気の排出側に行くに従って拡大する。他の形態は、前記加熱管に供給する水にスケール除去剤を注入するスケール除去手段;前記加熱管からスケールを排出するためのスケール排出手段;を備える。更に他の形態は、前記加熱管が熱伝導板を備える。 【0008】本発明の過熱蒸気処理装置は、前記いずれかに記載の過熱蒸気発生装置を備えており、前記過熱蒸気発生装置に水を供給する給水手段;前記過熱蒸気発生装置によって生成された過熱蒸気によって、処理対象に必要な処理を行う処理手段;この処理手段によって処理を行った蒸気を再利用する再利用手段;を備えたことを特徴とする。主要な形態の一つは、油と水を分離する油水分離手段を備える。他の形態は、前記処理手段が、処理対象に、加熱,乾燥,冷却,洗浄,焼結,解凍,除湿,蒸煮,炊飯,殺菌,防錆,焼なましのいずれかの処理を行う。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になる。 【0009】 【発明の実施の形態】<基本的な前提>……まず、本発明の理解を容易にするため、基本的な前提について説明する。一般に、空気中には、飽和蒸気圧を限度とする水蒸気が浮遊することが可能であるが、逆に、その限度以上に水蒸気を蒸発させることは困難である。これは、雨天のときに洗濯物が乾きにくいことなどからも、容易に理解できる。一方、水を沸騰させて水蒸気を発生させ、この水蒸気を更に加熱すると、温度とともに蒸発速度が直線的に大きくなる。これは、洗濯物の現象とは相反する現象である。 【0010】通常であれば、空気中の水蒸気が増加すると水の蒸発速度は低下し飽和状態を呈するのであるが、100℃を越えた逆転点と呼ばれる温度以上になると、蒸発速度が直線的に増加し、いわゆる飽和状態を呈することなく、容器内に充満するようになる。その結果、容器内の気体においては、全体として高い熱容量と熱伝導性を有する水蒸気の性質が、熱容量が低く断熱性を有する空気を凌駕する性質を帯びるようになる。この過熱蒸気は、多量の熱を蓄積しており、これが対流のみならず放射によっても伝達されるようになる。本発明は、このような過熱蒸気がもつ熱容量が非常に大きいという特徴を巧みに利用したものである。 【0011】本発明では、後述する実施形態に示すように、細管を利用して過熱蒸気を生成するが、この場合に特に問題となるのが水に含まれているスケールなどの障害成分である。これについて説明すると、水には、よく知られているように軟水と硬水があり、スケールが発生するのは後者の方である。硬水には、例えば、硫酸カルシウム,塩化カルシウム,硝酸カルシウム,硫酸マグネシウム,塩化マグネシウム,硝酸マグネシウムなどが溶解している。これらのうち、特に硫酸カルシウム及び硫酸マグネシウムは、150〜200℃になると水に溶けなくなり、陶器のように固くなって通路の管壁に付着し、除去することは殆ど不可能である。このように、スケールの主成分はカルシウムやマグネシウムである。 【0012】従来のスケールの除去方法としては、装置を使用する前に除去する方法と、装置の使用中に随時除去する方法の2つがある。前者はコストなどの点で難点があり、実用に供されていない。後者は、通路の細管に徐々にカルシウム分やグネシウム分が付着し、これを事後的に除去することは不可能である。このため、細管のみならず関連部分一式を交換することとなり、技術的困難やコスト高などを引き起こす。 【0013】そこで本発明では、障害成分を化学的に処理してその析出除去を行う。例えば、硫酸カルシウムの化学的処理・析出には炭酸ナトリウムを使用する。これにより、次のような化学反応を生じさせ、析出した炭酸カルシウムを排出する。炭酸ナトリウムの使用量は、予め使用予定の水を分析して、炭酸カルシウムなどの含有量を把握する。そして、下記化学反応式から必要量VAを計算する。 CaSO4+NaCO3→CaCO3+Na2SO4【0014】なお、水や蒸気の通路のみならず、装置内全体で発錆を抑制するため、水のpHを10程度に安定的維持すると好都合である。そこで、例えば100リットルの水に5.3g相当の割合で炭酸ナトリウムを加える。このときの必要量をVBとする。一方、水中には重炭酸ナトリウムが溶存しているが、これらのうち炭酸ナトリウムになるものがある。この量をVCとすると、水に加える炭酸ナトリウムの総量Wは、W=VA+VB−VCとなる。 【0015】<実施形態1>……次に、本発明の実施形態について説明する。最初に図1を参照しながら、実施形態1の概略を説明する。図1において、外部から水が供給される給水管10は、給水バルブ12を介して油水分離槽14に接続している。この油水分離槽14には、スケール除去点滴15がバルブ17を介して接続されている。油水分離槽14は、隔壁16によって分離されている分離室18,送水室20を備えている。各室18,20は、その底部で連通しており、水位がフロースイッチ22で検出されている。このフロースイッチ22の検出状況に応じて前記給水バルブ12の開閉が制御され、油水分離槽14内の水位レベルが所定に保たれるようになっている。分離室18は、油成分を比重により分離するためのもので、上層の油成分は排出管24から排出される。 【0016】送水室20の出口には、モータ26によって駆動される送水ポンプ28が設けられており、その吐出側には逆止弁30を介して加熱室32が設けられている。加熱室32の底部には、熱源としてガスバーナ34が設けられている。また、加熱室32内には、熱伝導性の管(以下「細管」という)36がつずら折り状に設けられている。細管36は、例えばU字管を接続することによって得られる。細管36の一部には、管内のスケールを排出してその堆積を防止するためのドレーン38が設けられている。加熱室32の上部には、ヒータ39が細管36に沿って設けられている。このヒータ39は、細管中の蒸気を更に加熱するためのもので、ガスバーナ部分とヒータ部分の間には、過熱蒸気の温度制御を良好に行うための仕切板33が設けられている。 【0017】加熱室32の細管出口には、バイパス弁40が設けられている。このバイパス弁40は、処理室42及びバイパス44に接続している。過熱,乾燥などの処理を行うときは、バイパス弁40によって、加熱室32で生成した過熱蒸気を処理室42に送る。しかし、処理対象43の交換など一時的に過熱蒸気の処理室42への供給を停止したいときは、バイパス弁40によって、加熱室32で生成した過熱蒸気をバイパス44に送る。なお、処理室42の処理対象43を出し入れするドアないし扉(図示せず)の開閉状態を検出し、これに応じてバイパス弁40を駆動するようにしてもよい。すなわち、処理室42のドアが「閉」のときは細管出口が処理室側に接続するように、処理室42のドアが「開」のときは細管出口がバイパス側となるように、バイパス弁40を制御する。 【0018】処理室42の蒸気排出側には、モータ46によって駆動される排気ポンプ48が設けられており、その排出側は熱交換器50を介して油水分離槽14に接続している。熱交換器50は、送水室20内に収納されており、送水室20内の水を予備過熱するためのものである。バイパス44は、逆止弁54,熱交換器56を介して油水分離槽14に接続している。熱交換器56には、クーリングタワー58が設けられている。また、バイパス44は、循環パイプ52によって加熱室32の細管36にも接続されており、これによって過熱蒸気の一部が循環するようになっている。 【0019】次に、以上のように構成された実施形態1の作用を説明する。油水分離槽14の分離室18には、給水管10側から水が供給される。また、スケール除去点滴15から必要量のスケール除去剤が注入される。油水分離槽14の水位はフロースイッチ22で検出されており、その検出結果に基づいて給水バルブ12を開閉することで、適量の水が供給される。分離室18の水は、隔壁16を介して送水室20に送られ、更に送水ポンプ28によって加熱室32の細管36に送られる。 【0020】加熱室32では、ガスバーナ34によって細管36が加熱される。これにより、細管36内の水は温度が上昇し、やがて水蒸気になる。なお、細管36内の泥などは、ドレーン38から排出される。更に、蒸発して細管36内を上昇する水蒸気は、ヒータ39によって更に加熱され、例えば数100℃の高温,低圧の過熱蒸気となる。 【0021】加熱室32で得られた過熱蒸気は、処理時は、バイパス弁40を介して処理室42に供給される。処理室42では、充満した過熱蒸気によって、処理対象43の加熱,乾燥,殺菌などの所望の処理が行われる。処理後の蒸気は、排気ポンプ48によって排気され、熱交換器50に送られる。熱交換器50では、蒸気と、送水室20に滞留している水との間で熱交換が行われ、蒸気の液化と周囲の水の予備加熱が行われる。これによって液化した水は、油水分離槽14の分離室18に送られる。油水分離槽14では、上層部の油成分が排出管24から排出される。油成分が除去された水は、再び送水室20から加熱室32に送られ、循環使用される。このような油水分離により、再利用による水質の劣化が低減される。 【0022】一方、処理対象43の交換などのときは、バイパス弁40によって過熱蒸気がバイパス44側に送られる。バイパスされた蒸気の一部は、逆止弁54を介して循環パイプ52により細管36に戻され、ここで循環することとなる。このように、生成した過熱蒸気の一部を細管36に還流することによって、過熱蒸気の供給が安定化する。他の蒸気は、逆止弁54を介して熱交換器56に供給され、ここでクーリングタワー58によって冷却される。 【0023】更に、以上のような水や蒸気の循環において、水には、スケール除去点滴15から適量のスケール除去剤,例えば炭酸ナトリウムが必要量注入される。これによって、管壁などに対するスケールの付着が良好に低減される。本形態の場合、過熱蒸気の生成に細管36を使用しているが、スケールが良好に除去されるため、長期間に亘って良好に過熱蒸気を生成することができる。 【0024】このように、本形態によれば、全体が給水部,加熱部,処理部,再利用部によって構成されている。そして、給水部では、スケール除去剤の注入,油成分の除去が行われる。加熱部では、ガスバーナ及びヒータによって過熱蒸気が生成される。処理部では、過熱蒸気によって所望の処理が行われる。再利用部では、使用済みの蒸気が回収され、水と熱の両方がいずれも再利用される。 【0025】<実施形態2>……次に、図2を参照しながら実施形態2を説明する。なお、上述した実施形態と対応する構成要素には同一の符号を用いる。この実施例は、加熱室の改良である。図2に示すように、本形態では、細管60の管内径が、水の流入側から過熱蒸気の流出側に行くに従って大きくなっている。このように、管径を徐々に太くすることで、加熱による気化に伴う体積膨張に基づく水蒸気の圧力上昇を抑制することができる。過熱蒸気の圧力を抑制することで、処理室42内に過熱蒸気が一気に噴出すといった不都合を防止することができる。 【0026】なお、管径の拡大は、段階的に行ってもよいし、連続的に行ってもよい。図示の例では、水の流入側の細管60Aが最も管径が小さく、これに管径を大きくした細管60Bが接続されている。そして、この細管60Bに、更に管径を大きくした細管60Cが接続されており、これが過熱蒸気の流出側となっている。すなわち、管径は、3段階で拡大している。 【0027】<実施形態3>……次に、図3を参照しながら実施形態3について説明する。この実施形態は、上述した処理室の具体例である。まず、図3(A)に示す例では、食品などの殺菌対象物61Aが収納された容器61Bが、コンベア66によって矢印FA方向に移動し、処理室68に運ばれる。容器61Bとしては、例えば樹脂やアルミホイールなどを用いる。処理室68は密閉構造となっており、容器61Bの搬入,搬出時にのみドア(図示せず)が開閉するようになっている。処理室68内には、上述した過熱蒸気が矢印FBで示すように供給されており、これが容器61Bに吹き付けられる。 【0028】すると、容器61B及びその内容物61Aは、過熱蒸気によって加熱され、温度が上昇する。この過熱蒸気による加熱によって内容物61Aの殺菌が行われた容器61Bは、コンベア66によって処理室68から搬出される。また、加熱後の蒸気は、矢印FCで示すように処理室68から排出され、図1に示したように回収再利用される。本形態によれば、内容物61Aが容器61Bに収納されているので、内容物61Aの殺菌状態は処理後も良好に維持される。 【0029】次に、図3(B)に示す例は、例えば水分を多量に含んだ廃液の乾燥に好適な例である。同図に示すように、処理室70は、縦型であって、かつ円筒釜状の形状となっている。そして、矢印FDで示すように、処理室70の上方から液滴状もしくは霧状に廃液62Aを落下する。一方、過熱蒸気は、矢印FEで示すように、側方から処理室内に吹き込む。すると、廃液62Aは、過熱蒸気によって水分が蒸発し、固形分が廃紛62Bとなって落下する。落下した廃紛62Bは、矢印FFで示すように処理室70の底から排出回収され、過熱後の蒸気は、矢印FGで示すように処理室70から排出される。なお、過熱蒸気自体の温度が100℃(1気圧の場合)まで低下しない限り、廃液62A中の水分量が増加するなどの不都合は生じない。 【0030】このように、本形態は、過熱蒸気を直接廃液に吹き付けることによって、廃液中の水分を除去するようにしたものである。固形分に対して水分を多く含むような廃液の場合には、水分を除去することで廃液の重量や体積が大幅に減少し、その運送や廃棄にかかる手数を大幅に低減することができる。廃液中の固形分を固化して処理する際にも好都合である。 【0031】<実施形態4>……次に、図4を参照しながら実施形態4について説明する。上述した図3の実施形態では、過熱蒸気が直接廃液に接するため、回収した蒸気中に油成分などの不純物が含まれる可能性がある。もちろん、そのような成分は、前記図1に示したように、油水分離槽14で分離されるのであるが、廃液によっては分離できない成分が含まれている可能性がある。そこで、本形態では、過熱蒸気が直接廃液に触れないようにして、蒸気が汚染されないようにしたものである。 【0032】図4において、処理室72は、略中央部分に加熱用パイプ74を備えており、これに矢印FHで示すように過熱蒸気が導入される。この加熱用パイプ74の周囲の処理室72には、下側がテーパ形状となっており、これによって乾燥した廃紛が回収されるようになっている。 【0033】加熱用パイプ74に加熱蒸気を導入すると、加熱用パイプ74が過熱され、高温となる。一方、廃液62Aは、矢印FJで示すように、処理室72内に注入される。すると、高温の加熱用パイプ74の熱によって水分が蒸発し、乾燥して廃紛62Bとなる。この廃紛62Bは、処理室72の底に集められ、矢印FKで示すように排出される。また、使用済みの蒸気は、矢印FLで示すように回収される。この例では、加熱蒸気が直接廃液に接触しないため、加熱蒸気自体の汚れが防止され、その再利用に好都合である。 【0034】<具体例>……次に、本発明に関して試作した装置による具体的な処理例について説明する。 (1)鉄の加熱……重量4kgの鉄を、オーブンと過熱蒸気によってそれぞれ過熱した。加熱対象である鉄の中心温度が120℃になるまでの時間を測定したところ、オーブンによる加熱の場合は約4.8時間かかったのに対し、本形態の過熱蒸気による加熱では、わずか0.2時間であった。 【0035】(2)自動車用塗装前処理のためのプライマの乾燥……自動車塗装の前処理において得られる廃液であるプライマは、重量割合で約85%の水分を含んでいる(水分率=水分の重量/(固形分+水分の重量)=85%)。そこで、これを約300℃の過熱蒸気と、プレス及び乾燥機を併用する方法で、水分率10%まで乾燥した。過熱蒸気によればわずか30分程度で所定の水分率となったのに対し、プレス及び乾燥機を併用する方法の場合は、8時間を要した。 【0036】(3)鋳物用砂型の乾燥……例えば、重量にして水分を20%含む砂型を水分2%に乾燥する。処理対象の砂型をマイクロ波によって予備加熱した後、真空乾燥を行った場合は、40分を要した。しかし、本形態の過熱蒸気を利用したときは、わずか11分で所望の水分率となった。 【0037】(4)鉄の冷却……過熱水蒸気は、加熱や乾燥のみならず、対象物によっては冷却も可能である。温度700℃,重量4kgの鉄を、温度10℃の冷却空気と、120℃の過熱蒸気によってそれぞれ冷却した。冷却対象である鉄の中心温度が150℃になるまでの時間を測定したところ、冷却空気による冷却の場合は約120分要したのに対し、本形態の過熱蒸気による冷却では、わずか12分であった。 【0038】<他の実施形態>……本発明には数多くの実施形態があり、以上の開示に基づいて多様に改変することが可能である。例えば、次のようなものも含まれる。 ■処理対象としては、上述した鉄や廃液などの他、例えば、工業製品,それらの部品,食品,衣料品,薬品,各種原材料,廃棄物など、各種のものが適用可能である。また、処理対象は固体や液体の他、粉末などでもよい。処理の形態としては、上述した加熱,乾燥,冷却の他、洗浄,焼結,解凍,除湿,蒸煮,炊飯,殺菌,暖房など、各種の態様が可能である。特に、過熱蒸気は、温度が高いために加熱処理が主要であると考えられてきたが、過熱蒸気よりも高温のものに対しては冷却処理も可能である。例えば、冷却に水を使用すると錆が生じたり、油を使用すると冷却後に脱脂作業が必要となるといった不都合がある。また、冷却対象に部位による温度差が生ずると、変形や破損の原因となる。しかし、過熱蒸気を利用すると、冷却対象をまんべんなく冷却でき、変形・破損や錆の発生もなく、脱脂作業も必要とされないなどの利点がある。 【0039】■前記形態では、つずら折り状の細管の下側にガスバーナ34を設け、上側にヒータ39を設けたが、例えば上下左右にガスバーナやヒータを設けるなど、加熱手段を更に多数設けるようにしてよい。 ■上述した細管を、ラジエータのように、金属あるいはセラミック製蓄熱板などに貫通させるようにしてもよい。このように、細管に熱伝導板を設けることにより、細管全体が熱的に安定し、水蒸気の急加熱や急冷が防止され、ひいては過熱蒸気の温度の安定化を図ることができる。 ■上述した油水分離槽を、例えば魔法瓶のような二重構造とするとともに、その容器の中に蒸気をめぐらすようにすれば、再利用する蒸気の熱が油水分離槽に蓄えれらている水に効率的に伝達される。 【0040】■前記形態では、回収した蒸気中に含まれる油成分を除去するために油水の分離室を設けたが、図4に示した例のように蒸気が汚損するおそれがないときは、かならずしも分離室は必要ではなく、送水室のみを設ければよい。この場合、回収した蒸気が、送水室に蓄積されている水中で直接吐出するようにしてよい。 ■図3(B)あるいは図4の実施形態において、処理室の一部を回転して処理対象の乾燥や回収を行うようにしてもよい。 ■前記形態では、スケール除去剤として炭酸ナトリウムを用いたが、どのような薬剤をどの程度用いるかは、水質に応じて決定すればよい。 【0041】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、次のような効果がある。 ■熱伝導性の管を利用して過熱蒸気を生成することとしたので、装置構成が簡略化でき、その小型化,低コスト化を図ることができる。また、スケール除去を行うこととしたのでその影響が低減され、管を利用しても長期間に亘って良好に過熱蒸気を生成することができる。過熱蒸気の温度の制御も、良好に精度よく行うことができる。 ■処理に使用した蒸気及びその余熱を再利用することとしたので、全体として省資源,省エネルギに寄与する。また、再利用の際に、油水分離を行うこととしたので、再利用による水質の劣化が低減される。 【0042】■管径を、水の供給側から過熱蒸気の流出側に向かうにつれて大きくすることとしたので、内部圧力の急増が抑制され、安全に過熱蒸気を利用することができる。 ■生成した過熱蒸気の一部を加熱部に還流することとしたので、安定した過熱蒸気の供給が可能となる。 ■細管に熱伝導板を設けることとしたので、細管全体が熱的に安定し、ひいては過熱蒸気の温度の安定化を図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】599093340 【氏名又は名称】平松 博好 【識別番号】591275403 【氏名又は名称】サーモ・エレクトロン株式会社 【識別番号】599093351 【氏名又は名称】柘植 眞三
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| 【出願日】 |
平成11年7月2日(1999.7.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090413 【弁理士】 【氏名又は名称】梶原 康稔
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| 【公開番号】 |
特開2001−21108(P2001−21108A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月26日(2001.1.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−189562 |
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