| 【発明の名称】 |
ボイラの炉壁の接合構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】車地 隆治
【氏名】福本 富美男
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| 【要約】 |
【課題】缶の前後の炉壁と左右の炉壁との間に熱膨張率の違いや温度差による伸縮差が生じた時に、それらの接合部に熱応力による亀裂等の損傷が生じず、施工性の優れたボイラの炉壁の接合構造を提供する。
【解決手段】ボイラの後壁傾斜部2aの右端の炉壁管21とこれに隣接する2番目の炉壁管21とを連結する鋼板から成るメンブレンバー22に、断面が撓み部となる略W字形状を成し、端部が肉厚の長尺の鋼板から成る接合部材23の短手側の一端部を溶接し、他端部を右炉壁4の各炉壁管41の外縁とそれらの間を部分的に埋める各埋込板43とに溶接することにより、後の炉壁2と右の炉壁4とを接合した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 箱状のボイラの燃焼室を成す鋼板から成る前後の炉壁と側方の炉壁とを接合するボイラの炉壁の接合構造において、短手方向の中間部に撓みが形成された長尺の鋼板から成る接合部材をその短手方向の両端部で前記前後の炉壁と側方の炉壁とに溶接接合したことを特徴とするボイラの炉壁の接合構造。 【請求項2】 請求項1の記載において、接合部材の撓みが形成された中間部は両端部に較べて厚さが薄くなっていることを特徴とするボイラの炉壁の接合構造。 【請求項3】 請求項1の記載において、ボイラの炉壁は多数の炉壁管と該炉壁管を連結する帯状鋼板で構成されたメンブレン構造を成したものであることを特徴とするボイラの炉壁の接合構造。 【請求項4】 請求項1の記載において、接合部材はその短手方向の両端部に肉盛溶接を施すことにより、その厚さを中間部より厚くしたことを特徴とするボイラの炉壁の接合構造。 【請求項5】 請求項1の記載において、接合部材はその短手方向の両端部に折り曲げ加工を施すことにより、その厚さを中間部より厚くしたことを特徴とするボイラの炉壁の接合構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は石炭燃料を使用する発電用ボイラ等の箱状のボイラの燃焼室を成す前後の炉壁と側方の炉壁とを接合するボイラの炉壁の接合構造に関する。 【0002】 【従来の技術】一般的なボイラでは、伝熱管と伝熱管とを帯状鋼板(メンブレンバー)で接続したメンブレン構造の火炉壁と側壁等の垂直壁と、水平な天井壁とで構成された箱状容器内で燃料を燃焼させるものが知られている。このようなボイラでは、上記容器の壁面の内部側には水等の冷却流体が流されているため、壁面は耐熱性を保持する等のためにその温度は定常運転時には場所により100°〜400°C程度に保たれている。従って、起動時または停止時には、その前後で部位の温度が大きく変化して熱伸縮差が生じるため、壁面を構成するメンブレン構造部材を全ての端部で溶接により連結して一体化した箱状容器として形成するのは、上述の温度変化時に溶接部が受ける熱応力により使用劣化が著しいため実用的ではない。そこで、石炭等の燃料を使用する発電用ボイラでは、缶(燃焼炉)の下部に燃焼灰を受けるためのホッパーが設けられているが、このホッパーに切れ目を入れる等の方法で缶の下部における熱応力の吸収を図る等の対策が採られている。 【0003】図6は油やオイルコークス、残渣油等の燃料を焚く強圧通風ボイラの炉底部を側面から見た概略構造を示す構成図である。同図では左右方向が缶の前後方向、紙面の上下方向が缶の左右方向に対応している。缶の前後の炉壁1,2は発生する燃焼灰の回収を考慮して、それらの下部は内側にそれぞれ傾斜した前および後壁傾斜部1a,2aとなっており、それらの最下端の対向部が燃焼灰を収集するための、缶の左右方向に長いホッパースロート部5となっている。そして、ホッパースロート部5から先の炉壁管の延長部はそれぞれ外側(前後側)に屈曲されて水平面に接するように形成され、それぞれ前および後壁炉底管寄7,8に接続されている。また、缶の左右の炉壁3,4は下部まで垂直方向に延びていて、最下端部でやはり、外側に屈曲されて水平面に接するように形成され、それぞれ左および右壁炉底管寄9,10に接続されている。 【0004】図7はホッパースロート部5の右後角部を拡大して示す斜視図である。缶の後炉壁2の後壁傾斜部2aの右端のメンブレンバー22が右炉壁4に接する部位には、各炉壁管41の間を埋めて各炉壁管41の包絡線と接する埋込板43が設けられている。従って、上記右端のメンブレンバー22はこれらの各埋込板43と各炉壁管41の外縁とに接して溶接されている。一般的には、このメンブレンバー22には炉壁管41と同等の剛性を有した厚さ6〜9mmの鋼板が用いられる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、ボイラの運転時と停止時とでは缶の内部に著しい温度差が生じるため、起動・停止時にはボイラを構成する部材がそれぞれ伸縮する。缶の前後の炉壁1,2と左右の炉壁3,4の長さは一般に異なっており、また、缶を構成する部位毎に温度差が生じたり、定常状態に至る過程で温度差が生じたりするため、前後の炉壁1,2と左右の炉壁3,4との間にその都度、熱応力が生じて歪みが発生する。即ち、これらの温度差による部材の伸縮に伴う応力が各部材の接合部、例えば、図7に示す後壁傾斜部2aの右端のメンブレンバー22、特に、その端部22aに集中的に作用する。この熱応力がボイラの起動・停止毎にメンブレンバー22の端部22a等に作用するため、当該部位に金属疲労による亀裂が発生することがある。そして、この亀裂が成長して、やがて後壁傾斜部2aの炉壁管21にまで到り、内部を流れる冷却流体の流出事故に発展する虞もある。 【0006】本発明は従来技術におけるかかる問題点を解消すべく為されたものであり、缶の前後の炉壁と左右の炉壁との間に熱膨張率の違いや温度差による伸縮差が生じた時に、それらの接合部に熱応力による亀裂等の損傷が生じず、施工性の優れたボイラの炉壁の接合構造を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するために、短手方向の中間部に撓みが形成された長尺の接合部材をその短手方向の両端部で、ボイラの燃焼室を成す前後の炉壁と側方の炉壁とに溶接接合したものであり、好ましくは、接合部材の撓みが形成された中間部は両端部に較べて厚さが薄くなっており、ボイラの炉壁は多数の炉壁管と該炉壁管を連結する帯状鋼板で構成されたメンブレン構造としたものである。接合部材はその短手方向の両端部に肉盛溶接を施したり、折り曲げ加工を施すことにより、その厚さを中間部より厚くすることができる。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係るボイラのホッパースロート部5の右後角部を拡大して示す斜視図、図2は図1の切断線A−Aに沿った右炉壁4の断面図である。これらの図において、23は断面が略W字形状で端部が肉厚の長尺の鋼板から成り、ボイラの後壁傾斜部2aと右炉壁4とを連結する接合部材である。従来例と同一または同一と見做せる個所には同一の符号を付し、その重複する説明を省略する。 【0009】図1に示すように、接合部材23の短手側の一端部は後壁傾斜部2aの右端の炉壁管21とこれに隣接する2番目の炉壁管21とを連結するメンブレンバー22に溶接され、他端部は右炉壁4の各炉壁管41の外縁とそれらの間を部分的に埋める各埋込板43とに溶接されている。なお、図示していないが、前後の炉壁1,2の前、後壁傾斜部1a,2aと左右の炉壁3,4とが接合する他の3箇所の角部も図1、図2に示した接合構造と同一の構造となっている。 【0010】このように、本実施形態では接合部材23の他端側の肉厚部は右炉壁4の各炉壁管41の外縁とそれらの包絡面に一致する埋込板43の表面とに溶接されているから、強固に溶接されると共に完全な封止性を確保できる。また、接合部材23の形成については後に詳述するが、その中央の肉薄部の厚さをメンブレンバー22の厚さ5〜6mmの約1/5〜1/2の1〜3mmに設定すると共に、断面形状を略W字形状にして撓みを持たせることより、後壁傾斜部2aと右炉壁4との間に熱伸縮差が生じた時に、接合部材23の上記撓み部が撓み変形することにより両者の熱伸縮差を吸収できるから、接合部材23に亀裂が生じたり、破断したりするのを防止できる。また、接合部材23を介して後壁傾斜部2aと右炉壁4とを溶接したので、現地での溶接施工を容易に行うことができる。 【0011】図3は接合部材23の加工方法を説明するための工程図である。始めに、(a)に示すように、1〜3mm厚さの長尺の鋼板を用意し、(b)に示すように、幅方向の両端に長手方向に沿って肉盛溶接を施して肉厚部23a,23bを形成する。このように、接合部材23の幅方向の両端に肉厚部23a,23bを形成するのは、厚さ5〜6mmのメンブレンバー22に対して接合部材23を平板の状態で溶接しようとすると、両者の熱容量差が大き過ぎて溶接できないので、接合部材23の溶接箇所の厚みを増すことにより当該箇所の熱容量を大きくして溶接できるようしたものである。 【0012】次に、図(c)と、(b)の工程で肉厚部23a,23bが形成された接合部材23の断面図(b′)と、(c)の工程で曲げ加工された接合部材23の断面図(c′)とに示すように、鋼板の幅方向の略中央部と両端から略1/4ずつの距離の箇所でそれぞれ逆方向に曲率半径r1 ,r2 で曲げ加工して断面形状が略W字形状となるようにする。(c)の工程での曲げ加工は、接合部材23の肉薄部の幅をL1 、曲げ加工後の肉薄部の両端間の水平距離をL2 とした時に、δ=L1 −L2 で定義される弛み代δが後壁傾斜部2aと右炉壁4との間に熱伸縮差(本実施形態では10〜20mm)以上となるように設定する。なお、熱伸縮差の吸収性の観点からは、曲率半径r1 ,r2 は可能な限り大きい方が望ましい。 【0013】図4および図5はそれぞれ本発明の他の実施形態を示すボイラのホッパースロート部5の右後角部を拡大して示す斜視図および接合部材23の斜視図である。図4に示す実施形態では、接合部材23の短手側の一端部は後壁傾斜部2aの右端の炉壁管21の外方(右方)に延設されたメンブレンバー22に取り付けられている。この場合には右端の炉壁管21がメンブレンバー22に覆われることがないので、図1に示す実施形態に較べて熱交換効率が向上する。 【0014】また、図5に示す実施形態では、接合部材23′の幅方向の両端の長手方向に沿って形成される肉厚部23a′,23b′は肉盛溶接ではなく、幅方向の両端部の折り曲げ加工により形成される。図5では接合部材23′の幅方向の両端をそれぞれ一度折り曲げて肉厚部23a′,23b′を形成したが、肉厚部23a′,23b′の厚さをもっと厚くしたい場合は、両端を二度、三度折り曲げることにより、2倍、3倍の厚さにすることができる。この態様では肉厚部23a′,23b′の厚みを調整する場合は接合部材23′の厚さの整数倍の値しか選択できないが、肉厚部23a′,23b′の加工を極めて容易に行うことができるという利点がある。 【0015】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、短手方向の中間部に撓みが形成された長尺の接合部材をその短手方向の両端部で前後の炉壁と側方の炉壁とに溶接接合したので、缶の前後の炉壁と左右の炉壁との間に熱膨張率の違いや温度差による伸縮差が生じる場合であっても、それらの接合部に熱応力による亀裂等の損傷の発生を防止でき、施工性を向上させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005441 【氏名又は名称】バブコック日立株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月1日(2000.3.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078134 【弁理士】 【氏名又は名称】武 顕次郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−241605(P2001−241605A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月7日(2001.9.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−56343(P2000−56343) |
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