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【発明の名称】 ボイラの脱硝装置
【発明者】 【氏名】若狭 暁

【氏名】田窪 昇

【氏名】一色 幸博

【氏名】増田 幸一

【氏名】石▲崎▼ 信行

【要約】 【課題】さらなる低NOx化を実現するためのボイラの脱硝装置を提供する。

【解決手段】缶体1のガス通路10の出口部に還元剤の投入手段13を設け、この投入手段13の下流側に脱硝触媒18を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 缶体1のガス通路10の出口部に還元剤の投入手段13を設け、この投入手段13の下流側に脱硝触媒18を設けたことを特徴とするボイラの脱硝装置。
【請求項2】 前記還元剤が、アンモニアであることを特徴とする請求項1に記載のボイラの脱硝装置。
【請求項3】 前記還元剤が、尿素水そのものあるいは尿素水を分解してアンモニアとしたものであることを特徴とする請求項1に記載のボイラの脱硝装置。
【請求項4】 前記投入手段13が、上流側へ向かって還元剤を投入するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のボイラの脱硝装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、NOxを低減するためのボイラの脱硝装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ボイラにおける低NOx化対策としては、二段燃焼や排ガス再循環等が実施されている。前記二段燃焼は、バーナにおいて燃焼用空気を二段に分けて供給し、第一段では完全燃焼に必要な空気量よりも少ない空気量で燃料を燃焼させ、第二段で完全燃焼に必要な残りの空気量を供給するようにしている。また、前記排ガス再循環は、燃焼により生じた排ガスを循環させて再び燃料に混合するようにしている。しかしながら、近年は、環境問題に対する関心が高まり、より一層の低NOx化が要望されている【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明が解決しようとする課題は、さらなる低NOx化を実現するためのボイラの脱硝装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、缶体のガス通路の出口部に還元剤の投入手段を設け、この投入手段の下流側に脱硝触媒を設けたことを特徴としている。
【0005】請求項2に記載の発明は、前記還元剤が、アンモニアであることを特徴としている。
【0006】請求項3に記載の発明は、前記還元剤が、尿素水そのものあるいは尿素水を分解してアンモニアとしたものであることを特徴としている。
【0007】さらに、請求項4に記載の発明は、前記投入手段が、上流側へ向かって還元剤を投入するように構成されていることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明は、ボイラ,たとえば多管式ボイラの脱硝装置として好適に実施される。前記ボイラの缶体は、ガス通路に複数本の伝熱管が配置され、前記ガス通路の一端にバーナが設けられているとともに、他端に排ガス出口が設けられた構成になっている。そして、前記ガス通路の出口部に、燃焼ガス中のNOxを還元するための還元剤の投入手段が設けられている。この投入手段としては、たとえばタンク内の還元剤をポンプによって噴出ノズルへ供給し、この噴出ノズルから還元剤を噴出する構成とする。また、還元剤の供給量は、NOxの発生量に応じて調整される。
【0009】また、前記投入手段の下流側,すなわち前記排ガス出口に、脱硝触媒が設けられている。この脱硝触媒は、NOxの還元反応を促進させる作用をなす。したがって、前記ガス通路の出口部で混合された還元剤と燃焼ガスは、前記脱硝触媒に至り、前記脱硝触媒により、NOxと還元剤との反応が促進され、燃焼ガス中のNOxが還元されて大幅に減少する。
【0010】ここにおいて、前記還元剤としては、アンモニアや尿素水などが用いられる。アンモニアは、水溶液の状態またはガスの状態で用いられる。また、尿素水は、そのまま用いることもできるし、尿素水を分解してアンモニアとしてから用いることもできる。尿素水をそのまま用いる場合は、前記ガス通路の出口部における燃焼ガス温度が約450℃以上であることが好ましい。これは、尿素水が、約450℃以上でアンモニアとCO2とに完全に分解されるためである。一方、尿素水を分解してアンモニアとしてから用いる場合は、前記投入手段に、尿素水からアンモニアへの分解手段が設けられる。この分解手段は、たとえば尿素水を加熱することによってアンモニアを発生させる構成とする。さらに、前記還元剤としては、そのほかに、加熱などによって分解し、アンモニアを発生するような化合物,たとえばシアヌル酸,メラミン,ビウレットなどを用いることもできる。
【0011】また、前記投入手段から還元剤を投入する際、その投入方向,すなわち前記噴出ノズルからの噴出方向は、上流側方向,下流側方向および燃焼ガスの流れと交差する方向のうちから、1つまたは複数選択される。これらのうち、上流側へ向かって還元剤を投入すると、還元剤が燃焼ガスと対向する方向へ投入されるので、還元剤と燃焼ガスとの混合促進に効果的である。特に、隣接する前記各伝熱管間の隙間へ向かって還元剤を投入すると、ガス流速が大きい箇所へ投入することになり、還元剤と燃焼ガスとの混合がより促進される。
【0012】以上のように、前記構成によれば、還元剤の投入により、NOxの発生を大幅に低減することができる。しかも、前記投入手段を前記ガス通路の出口部に設けているので、前記バーナにおける燃焼や前記各伝熱管における伝熱に対して悪影響を及ぼさないで、低NOx化を達成することができる。また、前記投入手段の取付空間として、前記ガス通路の出口部の空間を有効に利用することができ、余分な空間を必要とせず、既設のボイラに対しても、容易に追加して設けることができる。
【0013】ところで、この発明は、環状伝熱管列の内側に燃焼室を形成し、前記環状伝熱管列の外側に環状のガス通路を設けた缶体構成のボイラにおいても実施することできる。たとえば、同軸状に設けられた2つの環状伝熱管列間に、前記ガス通路が形成され、内側の環状伝熱管列の一部に設けられた第一開口部により、前記燃焼室と前記ガス通路とが連通し、外側の環状伝熱管列の一部に設けられた第二開口部(前記第一開口部と180度反対側に位置する。)により、前記ガス通路と排ガス出口とが連通している。この缶体を備えたボイラにおいては、前記投入手段が、前記ガス通路の出口部,すなわち前記第二開口部付近に設けられる。
【0014】
【実施例】以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。まず、図1および図2に示す第一実施例について説明する。図1および図2において、ボイラの缶体1は、上部管寄せ2および下部管寄せ3を備えている。これら両管寄せ2,3間には、複数の伝熱管4,4,…が千鳥状配列で5列に配列されている。これらの各伝熱管4によって、伝熱管群5が構成されている。前記各伝熱管4の上端および下端は、前記上部管寄せ2および前記下部管寄せ3にそれぞれ接続してある。そして、前記伝熱管群5のうち両外側の列における各伝熱管4は、第一縦ヒレ部材6,6,…により隣り合うもの同士を連結することによって、伝熱管壁7,7を構成している。
【0015】前記各伝熱管壁7間の一端側には、バーナ8が設けられており、また他端側には、排ガス出口9が設けられている。したがって、前記各伝熱管壁7間には、前記バーナ8から前記排ガス出口9へ至るガス通路10が形成されている。また、前記ボイラにおいては、前記バーナ8が前記伝熱管群5に近接させて配置されている。
【0016】前記バーナ8は、この第一実施例においては、予混合式の面燃焼バーナとしてある。したがって、前記バーナ8は、多数の予混合気の噴出孔(図示省略)を有する保炎体11を備えている。また、前記バーナ8は、ウインドボックス12を備えている。このウインドボックス12は、前記保炎体11へ予混合気を供給する。
【0017】前記ガス通路10の出口部には、還元剤の投入手段13が設けられている。この投入手段13は、還元剤として、尿素水を分解してアンモニアを発生させ、このアンモニアを投入する構成になっており、上流側から順に、尿素水を貯留するタンク14,尿素水を供給するポンプ15,尿素水を分解してアンモニアを発生させる分解手段16および所定個数のアンモニアの噴出ノズル17,17,…を備えている。前記分解手段16は、たとえば電気ヒータなどの適宜の加熱手段(図示省略)を設けた構成とする。
【0018】ここにおいて、前記各噴出ノズル17は、アンモニアを前記ガス通路10における燃焼ガスの流通方向と対向する方向へ噴出するように配置してある。そして、前記各噴出ノズル17は、前記ガス通路10における最下流位置の3本の前記各伝熱管4間へ向かって、前記各伝熱管4の軸方向に沿ってそれぞれ3個ずつ,計6個配置してある。
【0019】また、脱硝触媒18が、前記排ガス出口9に設けられている。したがって、前記脱硝触媒18により、NOxとアンモニアとの反応が促進されるようになっている。
【0020】以上の構成において、前記バーナ8を作動させると、前記保炎体11からの予混合気は燃焼を開始し、燃焼反応中のガス,すなわち火炎状態の燃焼ガスとなる。そして、この火炎状態の燃焼ガスは、前記伝熱管群5内において燃焼反応を継続しながら、前記排ガス出口9へ向けて流れ、前記排ガス出口9から排ガスとして排出される。
【0021】そして、前記バーナ8の作動中において、前記投入手段13を作動させる。すると、前記ポンプ15によって、前記タンク14内の尿素水が前記分解手段16へ供給され、前記分解手段16では、尿素水が加熱,分解されてアンモニアが発生し、このアンモニアが前記各噴出ノズル17へ供給される。ここで、前記ポンプ15は、前記ボイラにおけるNOxの発生量に応じた量の尿素水を供給するようになっている。前記各噴出ノズル17から噴出したアンモニアは、前記ガス通路10の出口部において、燃焼ガスと混合される。このとき、アンモニアは、燃焼ガスの流通方向と対向する方向へ噴出するので、アンモニアと燃焼ガスとの混合が促進される。そして、混合されたアンモニアと燃焼ガスは、前記脱硝触媒18に至り、前記脱硝触媒18により、NOxとアンモニアとの反応が促進され、燃焼ガス中のNOxが還元されて大幅に減少する。
【0022】また、前記各噴出ノズル17は、前記ガス通路10の出口部に設けられているので、前記各噴出ノズル17からアンモニアを噴出させても、前記バーナ8における燃焼や前記各伝熱管4における伝熱を阻害しない。また、前記各噴出ノズル17の取付空間として、前記ガス通路10の出口部の空間を有効に利用することができるので、余分な空間を必要とせず、既設のボイラに対しても、容易に追加して設けることができる。
【0023】さらに、前記ボイラにおいては、前記バーナ8からの火炎状態の燃焼ガスが前記伝熱管群5によって急激に冷却されるため、サーマルNOxが発生するような高温の領域がほとんど生じない。そのため、前記ボイラは、もともとNOxの排出量が少ないが、前記投入手段13を設けることにより、一層の低NOx化を達成することができる。
【0024】つぎに、図3および図4に示す第二実施例について説明する。図3および図4において、ボイラの缶体1は、上部管寄せ2および下部管寄せ3を備え、これら両管寄せ2,3間には、複数の伝熱管4,4,…が環状に配置されている。これらの各伝熱管4は、内外二重の環状伝熱管列,すなわち内側の第一伝熱管列19および外側の第二伝熱管列20を形成している。また、前記各伝熱管4の上端および下端は、前記上部管寄せ2および前記下部管寄せ3にそれぞれ接続してある。そして、前記上部管寄せ2にバーナ8を取り付け、前記第一伝熱管列19の内側を燃焼室21としている。
【0025】前記第一伝熱管列19には、その一部に第一開口部22が設けられている。そして、前記第一伝熱管列19における前記各伝熱管4は、前記第一開口部22を除いて第二縦ヒレ部材23,23,…によってそれぞれ連結してある。また、前記第二伝熱管列20には、その一部に第二開口部24が設けられている。そして、前記第二伝熱管列20における前記各伝熱管4は、前記第二開口部24を除いて第三縦ヒレ部材25,25,…によってそれぞれ連結してある。ここで、前記第二開口部24は、前記第一開口部22に対して約180度反対側の位置に設けてある。
【0026】前記第一伝熱管列19と前記第二伝熱管列20との間には、前記第一開口部22から前記第二開口部24へ至るガス通路10,10が形成されている。これらの各ガス通路10は、前記第一開口部22を介して前記燃焼室21と連通し、前記第二開口部24を介して排ガス出口9と連通している。この排ガス出口9には、脱硝触媒18が設けられている。
【0027】前記各ガス通路10の出口部,すなわち前記第二開口部24には、還元剤の投入手段13が設けられている。この投入手段13は、前記第一実施例と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。この第二実施例においては、前記投入手段13の各噴出ノズル17は、前記各ガス通路10の出口部へ向かって、前記各伝熱管4の軸方向に沿ってそれぞれ3個ずつ,計6個配置してある。すなわち、前記各噴出ノズル17は、還元剤としてのアンモニアを前記各ガス通路10における燃焼ガスの流通方向と対向する方向へ噴出するように配置してある。
【0028】以上の構成において、前記バーナ8を作動させると、前記燃焼室21内には、燃焼反応中のガス,すなわち火炎状態の燃焼ガスが発生する。この火炎状態の燃焼ガスは、前記燃焼室21内で燃焼反応がほぼ完了し、前記第一開口部22から前記各ガス通路10へそれぞれ流入する。そして、この燃焼ガスは、前記各ガス通路10をそれぞれ流れた後、前記第二開口部24において合流し、前記排ガス出口9から排ガスとして排出される。
【0029】そして、前記バーナ8の作動中において、前記投入手段13を作動させると、還元剤としてのアンモニアが、前記各噴出ノズル17から噴出する。前記各噴出ノズル17から噴出したアンモニアは、前記各ガス通路10の出口部において、燃焼ガスと混合される。このとき、アンモニアは、燃焼ガスの流通方向と対向する方向へ噴出するので、アンモニアと燃焼ガスとの混合が促進される。そして、混合されたアンモニアと燃焼ガスは、前記脱硝触媒18に至り、前記脱硝触媒18により、NOxとアンモニアとの反応が促進され、燃焼ガス中のNOxが還元されて大幅に減少する。
【0030】また、前記各噴出ノズル17は、前記各ガス通路10の出口部に設けられているので、前記各噴出ノズル17からアンモニアを噴出させても、前記バーナ8における燃焼や前記各伝熱管4における伝熱を阻害しない。また、前記各噴出ノズル17の取付空間として、前記各ガス通路10の出口部の空間を有効に利用することができるので、余分な空間を必要とせず、既設のボイラに対しても、容易に追加して設けることができる。
【0031】
【発明の効果】この発明によれば、NOxの発生を大幅に低減することができる。しかも、投入手段をガス通路の出口部に設けているので、バーナにおける燃焼や伝熱管における伝熱に対して悪影響を及ぼさないで、低NOx化を達成することができる。また、既設のボイラに対しても、容易に追加して設けることができる。
【出願人】 【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
【識別番号】391010219
【氏名又は名称】株式会社三浦研究所
【出願日】 平成12年2月28日(2000.2.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−241603(P2001−241603A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−50851(P2000−50851)