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【発明の名称】 台数制御装置を設けているボイラの多缶設置システム
【発明者】 【氏名】田渕 靖

【氏名】宮武 文夫

【要約】 【課題】ボイラの多缶設置システムにおいて、蒸気圧力の安定性が悪化することを防止し、また発振を防止する。

【解決手段】ボイラ1を複数台設置し、各ボイラで発生させた蒸気は集合させた後で蒸気使用機器2へ供給しており、蒸気圧力の制御圧力幅を分割して複数の圧力制御区分を設定し、集合させた蒸気の圧力値によってボイラの燃焼台数を定め、必要台数のボイラを燃焼させる台数制御を行う台数制御装置3を設けているボイラの多缶設置システムであって、台数制御を行っているボイラ1の中で、運転することができなくなったボイラ1が発生した場合、運転を行えなくなったボイラを台数制御から切り離して圧力制御区分を設定し直し、設定し直した圧力制御区分に基づいて台数制御を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ボイラを複数台設置し、各ボイラに共通のスチームヘッダを設け、各ボイラで発生させた蒸気は集合させた後で蒸気使用機器へ供給しており、蒸気圧力の制御圧力幅を分割して複数の圧力制御区分を設定し、集合させた蒸気の圧力値がどの圧力制御区分に該当するかによってボイラの燃焼台数を定め、必要台数のボイラを燃焼させる台数制御を行う台数制御装置を設けているボイラの多缶設置システムであって、台数制御を行っているボイラの中で、運転することができなくなったボイラが発生した場合、運転を行えなくなったボイラを台数制御から切り離して圧力制御区分を設定し直し、設定し直した圧力制御区分に基づいて台数制御を行う台数制御装置を設けているボイラの多缶設置システム。
【請求項2】 ボイラを複数台設置し、各ボイラに共通のスチームヘッダを設け、各ボイラで発生させた蒸気は集合させた後で蒸気使用機器へ供給しており、蒸気圧力の制御圧力幅を分割して複数の圧力制御区分を設定し、集合させた蒸気の圧力値がどの圧力制御区分に該当するかによってボイラの燃焼台数を定め、必要台数のボイラを燃焼させる台数制御を行う台数制御装置を設けているボイラの多缶設置システムであって、蒸気使用機器にて使用する蒸気量が台数制御装置へ入力されるようにしておき、台数制御装置では、蒸気使用機器にて使用する蒸気使用量と、台数制御を行っているボイラで供給することのできる蒸気供給可能量を比較し、蒸気供給可能量に対する蒸気使用量が所定の割合を下回っている場合、台数制御を行うボイラの台数を減少させて圧力制御区分を設定し直し、設定し直した圧力制御区分に基づいて台数制御を行う台数制御装置を設けているボイラの多缶設置システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ボイラの多缶設置システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ボイラを複数台設置し、負荷に応じてボイラの燃焼台数を調節するボイラの多缶設置システムが知られている。蒸気ボイラの多缶設置システムの場合、それぞれが単独でも燃焼を行うことができるボイラを複数台設け、各ボイラで発生した蒸気はスチームヘッダに集合させて蒸気使用機器へ供給しており、台数制御装置がスチームヘッダに設けた圧力検出装置にて検出される蒸気圧力値に基づいて台数制御を行う。また、多缶設置の場合、個々のボイラは、高燃焼・低燃焼・停止の3位置で燃焼制御し、低燃焼は高燃焼の約半分の燃焼量とされるボイラを使用するのが一般的である。
【0003】台数制御では、蒸気圧力の制御圧力幅を複数の圧力制御区分に分割し、各圧力制御区分ごとにボイラの燃焼台数を定めておき、スチームヘッダで検出される蒸気圧力値がどの圧力制御区分に該当するかによってボイラの燃焼台数を求め、必要台数分のボイラを燃焼させる。圧力制御区分は一定の間隔で定めておき、蒸気圧力値が高圧側の圧力制御区分に移るほどボイラの燃焼台数を少なくし、蒸気圧力値が低圧側の圧力制御区分に移るほどボイラの燃焼台数を多くすることで、蒸気圧力値が制御圧力幅内に保たれるように制御する。
【0004】図3は3位置燃焼制御のボイラを4台設置し、制御圧力幅を0.700MPaから0.840MPaとした場合のものであり、圧力制御区分ごとのボイラの燃焼状態を示している。4台のボイラにはそれぞれに優先順位が定められ、優先順位の高いものから順に燃焼が行われる。ボイラの燃焼状態は、高燃焼の場合を「H」、低燃焼の場合を「L」、停止の場合を「−」で示しており、低燃焼は高燃焼の約半分の燃焼量とするため、低燃焼を行っているボイラ1台の燃焼台数は0.5台とカウントする。
【0005】図3の左側は通常の燃焼状態の場合である。蒸気圧力値が0.840MPaよりも高い圧力制御区分にあれば、すべてのボイラは停止(−−−−)とされ、燃焼台数は0台、蒸気圧力値が0.820MPa〜0.840MPaの圧力制御区分にある場合には、優先順位第1位のボイラのみが低燃焼(L−−−)とされ、燃焼台数は0.5台、蒸気圧力値が0.800MPa〜0.820MPaの圧力制御区分にある場合には、優先順位が第1位と第2位のボイラが低燃焼(LL−−)とされ、燃焼台数は0.5+0.5の1台としており、蒸気圧力値が0.700MPa未満の圧力制御区分となり、すべてのボイラを高燃焼(HHHH)とし、燃焼台数が4台となるまでの燃焼状態を定めている。
【0006】多缶設置の場合、ボイラの異常発生時や整備時には特定のボイラのみを停止させ、ほかのボイラは運転させるということで、蒸気の供給を続けることができるという利点がある。しかし、特定のボイラの運転を停止させ、残りのボイラによって蒸気の供給を行う場合、運転を停止させたボイラによって行われていた分の圧力制御が行われなくなる。図3の右側は優先順位が第2位のボイラが運転を停止した場合であり、燃焼を行えなくなったボイラは「□」で示している。
【0007】4台のボイラにて台数制御を行っていた場合、0.02MPaの一定間隔で燃焼台数の増加または減少が行われていたために、蒸気圧力を安定させることができていたが、優先順位第2位が欠番となった場合、蒸気圧力値が0.820MPa及び0.760MPaをまたいでも、燃焼台数の増減は行われなくなる。ほかの部分では0.02MPaごとに燃焼台数の増減が行われるが、0.820MPa及び0.760MPa部分の圧力制御区分では、蒸気圧力値が0.04MPa分変化しなければ燃焼台数の増減が行われないために、蒸気圧力の安定性が悪化するという問題が生じる。
【0008】また、多缶設置の場合、台数制御を行うボイラの台数が多くなるほど、圧力制御区分の圧力幅が小さくなるため、台数制御を行うボイラの台数が多い場合には、わずかの圧力変動で燃焼台数の変更が行われ、燃焼台数の変更が頻繁に行われることとなる。さらに、燃焼台数変更の出力と実際の蒸気発生量の増減には時間差があるため、圧力制御区分の圧力幅が小さい場合には、必要以上に燃焼台数変更の出力を行って蒸気発生量を大きく変化させてしまい、その後に燃焼台数を逆の方向に変更する出力を行わなければならなくなり、再び蒸気発生量を大きく変化させることを繰り返す発振を引き起こすことがある。このような場合には、蒸気の安定性が悪化することとなり、さらに機器の発停回数が多くなるために寿命が短くなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、ボイラの多缶設置システムにおいて、蒸気圧力の安定性が悪化することを防止し、また発振を防止することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】ボイラを複数台設置し、各ボイラに共通のスチームヘッダを設け、各ボイラで発生させた蒸気は集合させた後で蒸気使用機器へ供給しており、蒸気圧力の制御圧力幅を分割して複数の圧力制御区分を設定し、集合させた蒸気の圧力値がどの圧力制御区分に該当するかによってボイラの燃焼台数を定め、必要台数のボイラを燃焼させる台数制御を行う台数制御装置を設けているボイラの多缶設置システムであって、台数制御を行っているボイラの中で、運転することができなくなったボイラが発生した場合、運転を行えなくなったボイラを台数制御から切り離して圧力制御区分を設定し直し、設定し直した圧力制御区分に基づいて台数制御を行う。
【0011】また、蒸気使用機器にて使用する蒸気量が台数制御装置へ入力されるようにしておき、台数制御装置では、蒸気使用機器にて使用する蒸気使用量と、台数制御を行っているボイラで供給することのできる蒸気供給可能量を比較し、蒸気供給可能量に対する蒸気使用量が所定の割合を下回っている場合、台数制御を行うボイラの台数を減少させて圧力制御区分を設定し直し、設定し直した圧力制御区分に基づいて台数制御を行う。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施する多缶設置ボイラの設置例、図2は本発明での圧力制御区分とボイラの燃焼状態の説明図である。4台のボイラ1を設置しており、各ボイラ1で発生させた蒸気を集合させるスチームヘッダ4を設ける。発生させた蒸気はスチームヘッダ4に集合させた後で蒸気使用機器2へ送っており、スチームヘッダ4には、蒸気圧力を検出する圧力検出器6を設ける。各ボイラには、それぞれに運転制御装置7を設けており、運転制御装置7は台数制御装置3からの燃焼要求信号を受けてボイラの燃焼制御を行う。
【0013】台数制御装置3にて行われるボイラの台数制御は、スチームヘッダ4に設けた圧力検出器6にて検出される蒸気圧力値と、台数制御装置3に設定されている燃焼状態に基づいて行われ、圧力検出器6で検出された蒸気圧力値が低いほど多くのボイラを燃焼させ、蒸気圧力値が高いほど燃焼台数を少なくさせる。また、台数制御装置3は、各ボイラの運転制御装置7や蒸気使用機器2と接続しておき、あるボイラに異常が発生して運転が行えなくなったなどの情報や、蒸気使用機器2で使用する蒸気量の情報が入力されるようにしておく。
【0014】ボイラの燃焼は、高燃焼、低燃焼、停止の3位置で制御するものであり、低燃焼での蒸気発生量は高燃焼での蒸気発生量の半分とする。図2では高燃焼の状態を「H」、低燃焼の状態を「L」、停止の状態を「−」で表しており、燃焼台数は低燃焼の場合には0.5台、高燃焼の場合には1台としてカウントしている。
【0015】本実施例での蒸気圧力の制御圧力幅は0.700MPaから0.840MPaであり、蒸気圧力値が0.700MPaを下回った場合には蒸気発生量を最大とし、蒸気圧力値が0.840MPaを上回った場合にはすべてのボイラを停止するものである。図2左側は通常時の燃焼状態であり、高燃焼・低燃焼・停止の3位置で燃焼を行う4台のボイラにおける燃焼台数のパターンは、0台から4台までの9通りある。蒸気圧力値が0.700MPaを下回った場合には、すべてのボイラを高燃焼とし、蒸気圧力値が0.840MPaを上回った場合には、すべてのボイラを停止するため、0.700MPaから0.840MPaの間は7等分して合計で9つの圧力制御区分を設け、蒸気圧力値が0.02MPa変化するごとに燃焼台数の増減を行うように設定する。
【0016】蒸気圧力値が0.840MPaよりも高い圧力制御区分にあればすべてのボイラは停止(−−−−)とされ、燃焼台数は0台、蒸気圧力値が0.820MPa〜0.840MPaの圧力制御区分にある場合には、優先順位第1位のボイラのみが低燃焼(L−−−)とされ、燃焼台数は0.5台、蒸気圧力値が0.800MPa〜0.820MPaの圧力制御区分にある場合には、優先順位が第1位と第2位のボイラが低燃焼(LL−−)とされ、燃焼台数は1台としており、蒸気圧力値が0.700MPaよりも低い圧力制御区分となりすべてのボイラを高燃焼(HHHH)とし、燃焼台数が4台となるまでの燃焼状態をそれぞれ定める。
【0017】台数制御装置3は、圧力検出器6によって検出されるスチームヘッダ4内の蒸気圧力値が、どの圧力制御区分に該当するかによって、ボイラの燃焼台数のパターンを求める。例えば蒸気圧力値が0.790MPaであった場合、燃焼台数が1.5台の圧力制御区分に該当するため、台数制御装置3は優先順位第1位のボイラに対して高燃焼の燃焼要求信号を出力し、第2位のボイラに対して低燃焼の燃焼要求進号を出力する。燃焼要求信号を受けているボイラでは、燃焼要求信号通りの高燃焼と低燃焼を行い、それぞれのボイラから発生した蒸気はスチームヘッダ4へ送られる。ボイラからの蒸気供給量と、蒸気使用機器2での蒸気使用量の関係から、スチームヘッダ4内の蒸気圧力値は上昇または下降し、別の圧力制御区分となると、台数制御装置3は該当する燃焼要求信号を出力する。
【0018】4台のボイラの内の1台について、異常が発生したり、保守作業を行うなどのために運転を行うことができなくなった場合、運転停止の情報は運転制御装置7から台数制御装置3へ送られる。運転停止の情報が入力された台数制御装置3では、運転を停止したボイラを台数制御から切り離し、残りの3台のみでの台数制御に切り換える。
【0019】図2の右側は、運転台数を1台減少した場合の圧力制御区分と燃焼状態である。台数制御を行うボイラの台数が変化しても、蒸気圧力の制御圧力幅が0.700MPaから0.840MPaであることには変わりなく、蒸気圧力値が0.700MPaを下回った場合には蒸気発生量を最大とし、蒸気圧力値が0.840MPaを上回った場合には蒸気発生を停止する。3台のボイラによる燃焼台数のパターンは、4台で台数制御を行う場合よりも2通り少ない7通りとなる。蒸気圧力値が0.700MPaを下回った場合には、すべてのボイラを高燃焼とし、蒸気圧力値が0.840MPaを上回った場合には、すべてのボイラを停止するため、0.700MPaから0.840MPaの間は5等分し、7つの圧力制御区分に7通りのパターンをそれぞれ当てはめて、圧力制御区分を設定し直す。なお、台数制御を行うボイラは3台となったため、優先順位も台数制御を行うボイラで設定し直し、ボイラの優先順位は第1位から第3位とされる。
【0020】台数制御は設定し直した圧力制御区分と、その燃焼パターンに基づいて行う。7つの圧力制御区分は、蒸気圧力値が0.028MPa変化するごとに燃焼台数の増減が行われるものであり、一定の間隔で燃焼台数の増減を行うものであるために、蒸気の安定性が悪化することはない。
【0021】ボイラを台数制御から切り離し、圧力制御区分を設定し直すのは、ボイラが運転を行えなくなった場合に限らない。多缶設置の場合、全体のボイラの能力は蒸気使用量が最大となった場合でも対応することができるだけの容量のものを選定し、さらにボイラの異常時用に予備缶を設けることもある。そのため、蒸気使用機器の蒸気使用状況や季節変動等により、ボイラの蒸気供給可能量が蒸気使用量に比べて大幅に大きくなることがある。そこで、台数制御に使用するボイラの台数は、蒸気供給可能量に対する蒸気使用量が所定の割合を上回るように調節する設定を行っておく。
【0022】各ボイラは1台で1時間当たり2.0tの蒸気を発生し、蒸気使用機器2は1時間当たり3.6tの蒸気を使用するものであり、所定の割合として50%を設定しておいたとする。台数制御装置3では、蒸気使用機器2から蒸気使用量の情報を入手し、ボイラの能力と台数から定まる蒸気供給可能量と蒸気使用量の比較を行う。2.0t/hのボイラを4台用いて台数制御を行っている場合の蒸気供給可能量は8.0t/hであり、蒸気供給可能量に対する蒸気使用量の割合は45%となる。この場合、蒸気使用量に対して蒸気供給可能量が大きくなりすぎているため、台数制御装置3は、1台のボイラを台数制御から切り離し、残りの3台のみでの台数制御に切り換える。2.0t/hのボイラが3台である場合の蒸気供給可能量は6.0t/hとなり、6.0t/hに対する蒸気使用量3.6t/hの割合は60%となるため、3台のボイラで台数制御を行う。
【0023】台数制御は、1台のボイラが運転を行うことができなくなって3台のボイラで台数制御を行う場合と同様に、0.028MPaごとに圧力制御区分を設け、蒸気圧力値が0.028MPa変化するごとに燃焼台数の増減が行われる。蒸気圧力幅が広くなるほど、わずかの圧力変動では燃焼台数の変更が行われなくなり、頻繁な燃焼台数の変更が抑えられ、発振も発生しにくくなる。そのため部品の発停回数は少なくなり、部品の寿命を長期化することができ、蒸気圧力の安定性が悪化することを防止できる。
【0024】
【発明の効果】本発明を実施することで、ボイラに異常が発生するなどして、運転を行うことができなくなったボイラが発生しても、蒸気圧力の安定性を悪化させることを防止でき、状況に応じて台数制御を行うボイラの台数を少なくすることで、頻繁な燃焼台数の変更や発振が抑えられ、寿命の長期化と蒸気圧力の安定を行える。
【出願人】 【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
【出願日】 平成11年11月9日(1999.11.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−132902(P2001−132902A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−318743