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【発明の名称】 ボイラー装置
【発明者】 【氏名】長野 茂

【要約】 【課題】二酸化炭素や硫黄酸化物を排出するおそれがないボイラー装置を提供する。

【解決手段】ボイラー水12を収容したボイラー本体11内には、伝熱隔壁15により区画された真空室16が少なくとも一つ設けられている。各真空室16内にはそれぞれ赤外線放射体としての加熱コイル20が配設されている。また、ボイラー本体11にはボイラー水12の水面12aの位置を計測してボイラー水12の供給量を調整するための水位計23が設けられている。さらに、ボイラー本体11は蒸気利用設備27に接続され、ボイラー本体11内で生成する水蒸気は蒸気利用設備27に供給されるようになっている。そして、蒸気利用設備27で使用された後、水蒸気は復水装置28に回収されて復水され、再びボイラー水12としてボイラー本体11内に供給されるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ボイラー水を収容したボイラー本体内に伝熱隔壁により区画された真空室を設け、その真空室内に赤外線放射体を配設し、その赤外線放射体から放射される赤外線により伝熱隔壁を介してボイラー水を加熱するように構成したことを特徴とするボイラー装置。
【請求項2】 前記ボイラー本体に、ボイラー水の水位を計測してボイラー水の供給量を調整するための水位計を設けたことを特徴とする請求項1に記載のボイラー装置。
【請求項3】 前記ボイラー水を加熱して生成する水蒸気又は温水をボイラー本体外の蒸気又は温水利用設備へ供給した後回収し、復水して再びボイラー水としてボイラー本体内に供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のボイラー装置。
【請求項4】 前記ボイラー本体内に真空室を複数設け、各真空室内にそれぞれ赤外線放射体を配設したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のボイラー装置。
【請求項5】 前記ボイラー本体に、その内部に供給されるボイラー水を軟水化するための軟水器を接続したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のボイラー装置。
【請求項6】 前記真空室内の真空度を10-8〜100mmHgの範囲に設定したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のボイラー装置。
【請求項7】 前記ボイラー本体に、その内部の水蒸気の圧力を計測するための圧力計を設け、その圧力計により計測された水蒸気の圧力に応じて赤外線放射体からの赤外線放射量を調整するように構成したことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のボイラー装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種の蒸気又は温水利用設備で利用される水蒸気又は温水を生成するためのボイラー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のボイラー装置では、ボイラー本体の内部が伝熱隔壁によって水部と燃焼室とに区画され、水部には所定量のボイラー水が充填されている。そして、燃焼室において重油等の燃料を燃焼させると、そのときに発生する熱が伝熱隔壁を介してボイラー水に伝わり、ボイラー水が加熱されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、燃料を燃焼させたときに生成する二酸化炭素は、地球温暖化を招くため近年国際的に排出量の削減が図られている。
【0004】また、ボイラー用液体燃料として広く使用されている重油を燃料として使用した場合、燃焼させたときに生成する硫黄酸化物が大気汚染の原因となるとともに、ボイラーの腐食の原因ともなるという問題があった。そこで、排出される硫黄酸化物の量を抑えるために、硫黄分の少ないA重油を使用したり、重油を脱硫したり、排出ガス中の硫黄酸化物を除去したりする試みがなされている。しかし、A重油は高価なため、特に大規模なボイラー装置の場合には燃料コストが非常に大きくなるという問題があった。また、重油を脱硫したり、排出ガス中の硫黄酸化物を除去するには、そのための装置が必要であり、設備費が嵩むという問題があった。
【0005】この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、二酸化炭素や硫黄酸化物を排出するおそれがないボイラー装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のボイラー装置は、ボイラー水を収容したボイラー本体内に伝熱隔壁により区画された真空室を設け、その真空室内に赤外線放射体を配設し、その赤外線放射体から放射される赤外線により伝熱隔壁を介してボイラー水を加熱するように構成したことを要旨とする。
【0007】請求項2に記載の発明のボイラー装置は、請求項1に記載の発明において、前記ボイラー本体に、ボイラー水の水位を計測してボイラー水の供給量を調整するための水位計を設けたことを要旨とする。
【0008】請求項3に記載の発明のボイラー装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記ボイラー水を加熱して生成する水蒸気又は温水をボイラー本体外の蒸気又は温水利用設備へ供給した後回収し、復水して再びボイラー水としてボイラー本体内に供給することを要旨とする。
【0009】請求項4に記載の発明のボイラー装置は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記ボイラー本体内に真空室を複数設け、各真空室内にそれぞれ赤外線放射体を配設したことを要旨とする。
【0010】請求項5に記載の発明のボイラー装置は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記ボイラー本体に、その内部に供給されるボイラー水を軟水化するための軟水器を接続したことを要旨とする。
【0011】請求項6に記載の発明のボイラー装置は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記真空室内の真空度を10-8〜100mmHgの範囲に設定したことを要旨とする。
【0012】請求項7に記載の発明のボイラー装置は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記ボイラー本体に、その内部の水蒸気の圧力を計測するための圧力計を設け、その圧力計により計測された水蒸気の圧力に応じて赤外線放射体からの赤外線放射量を調整するように構成したことを要旨とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明を蒸気ボイラー装置に具体化した一実施形態について図面に従って説明する。
【0014】図1及び図2に示すように、ボイラー本体11は両端が端壁11aにより密閉された円筒状に形成され、その軸線が水平方向に沿うようにして配置されている。このボイラー本体11は、例えばアルミニウム等の赤外線反射率の高い材料によって形成されている。また、ボイラー本体11の周囲には図示しない保温材が配設され、ボイラー本体11からの放出熱量を抑えることができるようになっている。この保温材は熱伝導率の低い材料によって形成され、例えば石綿や耐火煉瓦等が使用される。
【0015】ボイラー本体11には、容積の2/3〜4/5程度の量のボイラー水12が収容されている。そして、ボイラー本体11の内部のうちボイラー水12の水面12a上の空間部が水蒸気で満たされる蒸気室13となり、水面12a下の水の部分が水部14となる。
【0016】水部14には、伝熱隔壁15により区画された真空室16が少なくとも一つ(本実施形態では5つ)設けられている。これら真空室16は、円筒状の伝熱隔壁15をその軸線がボイラー本体11の軸線方向に沿うようにして配置することによって構成されている。また、これら真空室16は、図2に示すように、側断面において水部14にほぼ均等に配設されている。
【0017】前記伝熱隔壁15は、赤外線吸収率及び熱伝導率の高い材料によって形成されている。この伝熱隔壁15を形成する材料としては、例えば、アルミニウム合金や銅、アルマイト等の単層体、あるいはアルミニウム合金の両面をアルマイトで被覆した積層体等が使用される。
【0018】各真空室16には連通配管17を介して真空ポンプ18が接続されており、この真空ポンプ18によって真空室16内の空気を吸引して真空室16内を減圧することができるようになっている。また、各真空室16にはその真空度を計測するための真空計19がそれぞれ設けられている。そして、各真空室16の真空度を真空計19でモニタして、例えばある真空室16の真空度が低下した場合には真空ポンプ18でその真空室16内の空気を吸引して所定の真空度に調節するなど、真空室16ごとに真空度の異常に対応できるようになっている。真空室16内の真空度は、好ましくは10-8〜100mmHgの範囲に設定されている。
【0019】なお、各真空室16には、伝熱隔壁15の損傷等で真空室16の真空度を維持できないときに警報を発する図示しない警報手段が設けられ、緊急停止等の処置を施すことができるようになっている。この警報手段は、真空計19の数値が許容範囲外となった場合や、真空ポンプ18が所定時間以上連続運転の状態となった場合等に、それを検知して警報を発するようになっている。
【0020】各真空室16内には、それぞれ赤外線放射体としての加熱コイル20が配設されている。この加熱コイル20には、加熱コイル20に対して通電を行うとともに、その通電量を制御するための赤外線発生装置21が接続されている。そして、加熱コイル20は通電されると、水の赤外線吸収強度がピークとなる2.5〜3.3μmの波長を含む範囲の赤外線を放射するようになっている。
【0021】ボイラー本体11には、圧力計22と水位計23が設けられている。圧力計22はボイラー本体11内の水蒸気の圧力を計測するために、また水位計23はボイラー水12の水面12aの位置(水位)を計測するために設けられている。
【0022】また、ボイラー本体11にはドレン管24が接続され、このドレン管24にはドレン弁25が設けられている。そして、ボイラー水12の一部やボイラー水12中の沈殿物をドレン管24から外に排出することができるようになっている。これは、ボイラー水12の蒸発に伴って浮遊物や溶解塩類の濃度が次第に増すのを抑え、スケールの生成やキャリオーバ(気水共発)が起こりやすくなるのを防ぐために行われる。
【0023】さらに、ボイラー本体11は、主蒸気管26を介して蒸気利用設備27に接続されている。そして、蒸気室13の水蒸気は、主蒸気管26を経由して蒸気利用設備27に供給されるようになっている。
【0024】前記蒸気利用設備27には、水蒸気を水に戻すための復水装置28が回収配管29を介して接続されている。そして、ボイラー本体11から導出された水蒸気は蒸気利用設備27で使用された後、その少なくとも一部が回収配管29を経由して復水装置28に回収されるようになっている。
【0025】前記復水装置28には、復水配管30を介して給水タンク31が接続されている。そして、復水装置28で復水された水は、復水配管30を経由して給水タンク31に導入されて貯留されるようになっている。
【0026】また、ボイラー本体11の外部には、軟水器32が配設されている。この軟水器32には給水配管33が接続され、この給水配管33を経由して水道水、井戸水、工業用水、純水等が給水として軟水器32に導入されるようになっている。軟水器32には陽イオン交換樹脂34が充填されており、給水配管33から導入された給水は陽イオン交換樹脂34に接触しながら軟水器32中を通過し、その過程で給水中に含まれる硬度成分であるカルシウム、マグネシウムが除去されて給水が軟水化されるようになっている。なお、軟水器32で除去できないシリカは、ボイラー水12に薬剤を添加することによって不溶化され、前記ドレン管24から排出される。
【0027】また、軟水器32には、軟水器32内に食塩水を導入及び排出するための導入口35及び排出口36が設けられている。そして、使用に伴って次第に低下する陽イオン交換樹脂34の交換能力を、食塩水で逆洗することによって復元(再生)することができるようになっている。
【0028】前記軟水器32には、第1接続配管37を介して前記給水タンク31が接続されている。また、第1接続配管37の中間部には給水弁38が設けられている。そして、軟水器32で軟水化された給水は、第1接続配管37を経由して給水タンク31に導入されるようになっている。
【0029】前記給水タンク31には、給水中に溶存する酸素を除去するための脱気器39が第2接続配管40を介して接続されている。また、第2接続配管40の中間部には第1給水ポンプ41が設けられている。そして、給水タンク31に貯留された給水は、第2接続配管40を経由して脱気器39に導入されるようになっている。この脱気器39としては、例えば、給水を加熱して溶存酸素を除去する加熱脱気方式のものや、器内を真空にして給水中の溶存酸素を除去する真空脱気方式のもの等が使用される。
【0030】前記脱気器39は、ボイラー水供給配管42を介してボイラー本体11に接続されている。また、ボイラー水供給配管42の中間部には、第2給水ポンプ43が設けられている。そして、脱気器39で溶存酸素が除去された給水は、ボイラー水12としてボイラー水供給配管42を経由してボイラー本体11内に供給されるようになっている。
【0031】次に、前記のように構成されたボイラー装置の作用を説明する。このボイラー装置を使用する場合には、まず赤外線発生装置21によって加熱コイル20に通電し、加熱コイル20から赤外線を放射させる。加熱コイル20から放射された赤外線は伝熱隔壁15に吸収されると熱エネルギーに変換され、伝熱隔壁15の内周面を加熱する。この熱は伝熱隔壁15の内周面から外周面へと伝導され、さらに伝熱隔壁15の外周面からそこに接するボイラー水12へと伝熱されてボイラー水12を加熱する。伝熱隔壁15によって加熱されたボイラー水12は対流によって水部14内を拡散し、その結果ボイラー水12全体が加熱される。そして、ボイラー水12の温度が沸点を超えると水蒸気が発生する。
【0032】こうして発生した水蒸気は、蒸気室13から主蒸気管26を経由して蒸気利用設備27へと供給され、蒸気利用設備27において所定の目的に使用される。その後、水蒸気は回収配管29を経由して復水装置28に回収され、復水装置28において復水される。そして、復水配管30を経由して給水タンク31に導入され、さらに脱気器39を介して再びボイラー水12としてボイラー本体11内に供給される。
【0033】以上のように、この実施形態によれば次のような効果が発揮される。
・ 本実施形態では、通電したときに加熱コイル20から放射される赤外線によってボイラー水12が加熱されるようになっている。このため、重油等の燃料を燃焼してボイラー水12を加熱する従来のボイラー装置のように地球温暖化を招く二酸化炭素や、大気汚染の原因となる硫黄酸化物を排出するおそれがない。
【0034】・ ボイラー本体11には水位計23が設けられているため、ボイラー水12の水位を計測してボイラー水12の供給量を調整することができる。即ち、例えばボイラー水12の蒸発に伴ってボイラー水12が減少したときにはボイラー水12の供給量を増すなどして、ボイラー水12を所望の水位に調整することができる。
【0035】・ ボイラー本体11から導出されて蒸気利用設備27で使用された水蒸気のうち少なくとも一部は、復水装置28で復水され、再びボイラー水12としてボイラー本体11内に供給されるようになっている。このため、水資源の節約を図ることができる。
【0036】・ 水部14には真空室16が5つ設けられ、各真空室16内にそれぞれ加熱コイル20が配設されている。このため、各加熱コイル20ごとにその赤外線放射量を調節することができ、ボイラー水12の温度制御を容易に行うことができる。
【0037】・ ボイラー本体11には軟水器32が接続され、この軟水器32により軟水化された給水がボイラー水12としてボイラー本体11内に供給されるようになっている。このため、ボイラー本体11内でのスケールやスラッジの生成を抑えることができ、これらを原因とする熱効率の低下、過熱、腐食、管類の閉塞等の障害の発生を抑えることができる。
【0038】・ ボイラー本体11には圧力計22が設けられているため、ボイラー本体11内の水蒸気の圧力に応じて加熱コイル20からの赤外線放射量を調整することにより、加熱強度を制御することができる。即ち、ボイラー本体11内の水蒸気の圧力が所望以上の場合には加熱コイル20への通電量を減らして加熱強度を低下させ、所望以下の場合には加熱コイル20への通電量を増やして加熱強度を上昇させることができる。
【0039】・ 赤外線発生装置21で加熱コイル20への通電量を制御することによって加熱強度を容易に制御することができるため、水蒸気の発生量の調節を容易に行えるほか、連続運転や間欠運転、一時停止等、ボイラー装置の運転操作を容易に切替えることができる。
【0040】・ 赤外線発生装置21で加熱コイル20への通電をオン又はオフすることによって赤外線放射の供給、停止を瞬時に切替えることができるため、加熱の前後のエネルギーの損失が少ない。従って、立ち上げ時や、一時停止からの再立ち上げ時のエネルギーの損失を少なくすることができる。
【0041】・ 赤外線は伝熱隔壁15やボイラー水12に吸収されると、直ちに熱エネルギーに変換される。このため、赤外線照射の開始とほぼ同時に加熱を開始することができ、即応性が高い。
【0042】・ 伝熱隔壁15が赤外線吸収率及び熱伝導率の高い材料によって形成されているため、加熱コイル20から赤外線として放射された熱エネルギーを確実かつ速やかにボイラー水12へ伝熱することができる。
【0043】・ ボイラー本体11の内周面は、赤外線反射率の高い材料によって形成されている。このため、伝熱隔壁15やボイラー水12に吸収されずに透過した赤外線がボイラー本体11の外部に放出されるおそれがなく、ボイラー本体11の内周面において反射させて再びボイラー水12に対して照射することができる。
【0044】・ ボイラー本体11の周囲には保温材が配設されているため、ボイラー水12からボイラー本体11に伝熱した熱エネルギーが外気に放出されるのを抑えることができるとともに、ボイラー水12の温度が外気温の影響を受けるおそれを少なくすることができる。
【0045】・ 各真空室16は、真空ポンプ18により内部の空気が吸引されて減圧されている。このため、赤外線が加熱コイル20から伝熱隔壁15へ放射される過程で空気に吸収されて減衰されるのを抑えることができる。また、加熱コイル20や伝熱隔壁15が酸化されて腐食するおそれを少なくすることができる。さらに、加熱コイル20の温度がボイラー水12の温度によって影響されるのを真空により抑制することができる。
【0046】・ 各真空室16内の真空度は、10-8〜100mmHgの範囲に設定されている。このため、加熱コイル20から伝熱隔壁15へ放射される過程で赤外線が減衰されるのを抑えることができるとともに、その真空度を維持するのに必要以上にエネルギーがかからず経済的である。
【0047】・ 加熱コイル20は通電されると、水の赤外線吸収強度がピークとなる2.5〜3.3μmの波長を含む範囲の赤外線を放射するようになっている。このため、ボイラー水12を効率的に加熱することができる。
【0048】・ ボイラー本体11には脱気器39が接続され、この脱気器39により溶存酸素を除去された給水がボイラー水12としてボイラー本体11内に供給されるようになっている。このため、ボイラー本体11や伝熱隔壁15等が酸化されて腐食するのを防ぐことができる。
【0049】・ 従来の伝熱隔壁15は燃料を加熱したときに発生する高温高圧の燃焼ガスに耐えるために所定の厚みが必要であったが、本実施形態では燃焼ガスが発生しないため、伝熱隔壁15を従来より薄くすることができる。このため、伝熱隔壁15を伝わる過程で減衰される熱エネルギーの量を少なくすることができる。
【0050】・ 本実施形態では燃料を燃焼する工程がないため、燃料タンク等の従来の燃焼工程に必要であった装置が全て不要であり、特に煙突が不要なため設置場所が限定されることがない。また、燃焼に伴う騒音がないため、低騒音のボイラーとすることができる。
【0051】なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ 実施形態の真空室16は全て側断面円形状をなし、その大きさも同一であるが、それぞれ異なる側断面形状であってもよい。例えば図3に示すように、側断面円形状をなす真空室16を三つ設け、そのうちの一つを他の二つよりその断面積が大きくなるように形成してもよい。このように構成した場合、下部のボイラー水12の温度を速く上昇させることができる。
【0052】・ 実施形態の真空室16には加熱コイル20が一本だけ配設されているが、一つの真空室16に複数本の加熱コイル20を配設してもよい。例えば、図4に示すように、側断面円形状をなす一つの真空室16に3本の加熱コイル20を均等に配設してもよい。このように構成した場合、真空室16を3つ設けてそれぞれに加熱コイル20を配設する場合に比べて構成を簡単にすることができる。
【0053】・ 真空室16の側断面形状は円形に限定されるものではなく、例えば図5に示すように長円形状に変更したり、その他所望の形状に変更してもよい。このように構成した場合、上方のボイラー水12と下方のボイラー水12を同時に速く加熱することができる。
【0054】・ 図6に示すように、円筒状の伝熱隔壁15をその軸線が鉛直方向に沿うようにして配置するとともに、その内部に加熱コイル20を同じく鉛直方向に沿うようにして配設することによって真空室16を構成してもよい。
【0055】・ 例えばタンニン、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン等の脱酸素剤をボイラー水12に添加してもよい。このように構成した場合、脱気器39では除去しきれなかった酸素を除去することができ、ボイラー本体11や伝熱隔壁15等が酸化されて腐食するのを一層防ぐことができる。
【0056】・ 実施形態の加熱コイル20は、具体的には例えばニクロム、タングステン、炭素、酸化ジルコニウムと酸化イットリウムと酸化ナトリウムの混合物あるいは炭化珪素等を材料として形成される。また、赤外線放射体はコイル状に限定されるものではなく、ステンレスや銅等の金属管の内部にコイル状の抵抗発熱体を配設したシーズヒータや、シーズヒータの表面に各種セラミックス層を形成した遠赤外ヒータ等でもよい。このように構成した場合、目的に合わせて適切な赤外線放射体を選択して使用することができる。
【0057】・ 赤外線の被照射体となるボイラー水12や伝熱隔壁15の赤外線吸収特性に応じて、放射する赤外線の波長を任意に変更すること。このように構成した場合、被照射体の赤外線吸収強度がピークとなる波長を含む範囲の赤外線を放射させることにより、エネルギーロスの少ない効率の良い加熱を行うことができる。
【0058】・ 給水として純水を使用する場合には、軟水化、脱気等の前処理をすることなく直接ボイラー本体11内に供給してもよい。
・ 復水装置28で復水された水が軟水器32に導入されるように変更してもよい。
【0059】・ この発明を温水ボイラー装置に具体化すること。即ち、実施形態の主蒸気管26に代えて、ボイラー水12を加熱してできる温水を温水利用設備へ供給するための温水管を設けること。このように構成した場合、温水ボイラー装置において実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0060】次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記赤外線放射体は加熱コイルである請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のボイラー装置。このように構成した場合、加熱コイルへの通電量を制御することによって赤外線放射量を制御することができるため、ボイラー水の加熱強度を容易に制御することができる。従って、連続運転や間欠運転、一時停止等、ボイラー装置の運転操作を容易に切替えることができる。また、加熱コイルへの通電をオン又はオフすることによって赤外線放射の供給、停止を瞬時に切替えることができるため、加熱の前後のエネルギーの損失を少なくすることができる。
【0061】・ 前記ボイラー本体に、給水中の溶存酸素を除去するための脱気器を接続したことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のボイラー装置。このように構成した場合、ボイラー本体や伝熱隔壁等が酸化されて腐食するのを防ぐことができる。
【0062】・ 前記赤外線放射体は、2.5〜3.3μmの波長を含む範囲の赤外線を放射するものである請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のボイラー装置。このように構成した場合、ボイラー水を効率的に加熱することができる。
【0063】・ ボイラー水を収容したボイラー本体内に伝熱隔壁により区画された真空室を設け、その真空室内に赤外線放射体を配設し、その赤外線放射体から放射される赤外線により伝熱隔壁を介してボイラー水を加熱する蒸気発生方法。このように構成した場合、二酸化炭素や硫黄酸化物を排出することなく水蒸気を発生させることができる。
【0064】・ ボイラー水を収容したボイラー本体内に伝熱隔壁により区画された真空室を設け、その真空室内に赤外線放射体を配設し、その赤外線放射体から放射される赤外線により伝熱隔壁を介してボイラー水を加熱する温水生成方法。このように構成した場合、二酸化炭素や硫黄酸化物を排出することなく温水を生成することができる。
【0065】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明のボイラー装置によれば、二酸化炭素や硫黄酸化物を排出するおそれがない。
【0066】請求項2に記載の発明のボイラー装置によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、ボイラー水の水位を計測してボイラー水の供給量を調整することができる。
【0067】請求項3に記載の発明のボイラー装置によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、水資源の節約を図ることができる。請求項4に記載の発明のボイラー装置によれば、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、ボイラー水の温度制御を容易に行うことができる。
【0068】請求項5に記載の発明のボイラー装置によれば、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、ボイラー本体内でのスケールやスラッジの生成を抑えることができ、これらを原因とする熱効率の低下、過熱、腐食、管類の閉塞等の障害の発生を抑えることができる。
【0069】請求項6に記載の発明のボイラー装置によれば、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、赤外線放射体から放射された赤外線が伝熱隔壁へ到達するまでに減衰されるのを抑えることができるとともに、その真空度を維持するのに必要以上にエネルギーがかからず経済的である。
【0070】請求項7に記載の発明のボイラー装置によれば、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、ボイラー本体内の水蒸気の圧力を計測し、それに応じて赤外線放射体からの赤外線放射量を調整することができる。
【出願人】 【識別番号】396021427
【氏名又は名称】長野 茂
【出願日】 平成11年8月25日(1999.8.25)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
【公開番号】 特開2001−65802(P2001−65802A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−238718