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【発明の名称】 水噴霧式サイレンサ装置
【発明者】 【氏名】宮本 暢彦

【要約】 【課題】小さな設置スペース内に設置することができ、さらに、電気的な制御を不要にして、簡単な構造で作動する水噴霧式サイレンサ装置を提供する。

【解決手段】蒸気放出管2内に、注水管9から供給された水Wを噴霧する噴射孔10を備えた噴射筒3が設けられ、噴射筒3の下方に、蒸気放出管2内に流れ込んだ蒸気Sの推力を受けて押し上げられる推力受け体22が配置され、噴射筒3内に、注水管9から各噴射孔10に至る供給流路12を上下動によって開閉する弁13が設けられ、推力受け体22と弁13とが開閉方向にスライド自在な弁軸17で連結され、弁13は、注水管9から供給された水Wの圧力および弁13と弁軸17と推力受け体22との各自重とにより閉方向に付勢され、推力受け体22に作用する蒸気Sの推力により上記付勢力に抗して開方向へ押し上げられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蒸気を放出する際、蒸気中に散水して蒸気を凝縮させて騒音を低減させる水噴霧式サイレンサ装置であって、蒸気放出管内に、注水管に接続されかつ注水管から供給された水を噴霧する複数の噴射孔を備えた噴射筒が設けられ、上記噴射筒に、蒸気放出管内の流れ方向に対向しかつ蒸気放出管内を流れる蒸気の推力を受けて出退する推力受け体がスライド自在な軸を介して設けられ、上記噴射筒内において上記軸に、注水管から各噴射孔に至る供給流路を開閉する弁が設けられ、上記弁は、注水管から供給された水の圧力を受けて閉方向に付勢され、推力受け体に作用する蒸気の推力により上記付勢力に抗して開方向へ押圧されることを特徴とする水噴霧式サイレンサ装置。
【請求項2】 軸は噴射筒内に設けられた軸受により上下方向にスライド自在に保持され、上記弁の閉方向を下向きとするとともに開方向を上向きとし、上記弁は、注水管から供給された水の圧力および弁と軸と推力受け体との各自重とにより閉方向に付勢されていることを特徴とする請求項1記載の水噴霧式サイレンサ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、ボイラープラントの緊急時に、蒸気放出管から蒸気を放出する際、蒸気中に散水して蒸気を凝縮させて騒音を低減させる水噴霧式サイレンサ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、ボイラープラントでは、緊急時(例えば蒸気消費先のプラントがシャットダウンしたような場合)に、生産された蒸気を蒸気放出管から大気放出している。この場合、放出される蒸気はマッハ5を超える高速流になるため、非常に大きな騒音が発生する。
【0003】そこで従来、上記のような大気放出時の騒音を低減させるために、膨張式のサイレンサ装置や水噴霧式のサイレンサ装置が用いられる。図8に示すように、上記膨張式のサイレンサ装置35は蒸気放出管36の流路断面を急拡大したものであり、内部には、蒸気Sの流れを減速して運動エネルギーを減少させるディフューザ37が複数設けられている。尚、ディフューザ37は多数の孔38を有する筒体の構造物である。
【0004】また、図9に示すように、上記水噴霧式のサイレンサ装置40は、蒸気放出管41内に多数の水噴射ノズル42を備えたものであり、上記各水噴射ノズル42に水Wを供給する注水管43と、注水管43を開閉する電磁弁44とが設けられている。また、蒸気放出管41内には、放出される蒸気Sを検出する検出装置45が設けられており、さらに、上記検出装置45の検出信号に基づいて上記電磁弁44を開閉する制御装置46が備えられている。
【0005】これによると、蒸気放出管41から蒸気Sが放出された場合、検出装置45が放出される蒸気Sを検出し、これに基づいて、制御装置46が電磁弁44を開放する。これにより、水Wが注水管43から供給されて各水噴射ノズル42から蒸気放出管41内に噴射され、その結果、蒸気Sが凝縮して騒音が低減される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら図8に示した上記膨張式のサイレンサ装置35では、内部に、流路断面を急拡大した大型の膨張用空間39が必要とされるため、設置スペースが大きくなってしまうといった問題やコストがアップしてしまうといった問題がある。
【0007】また、図9に示した上記水噴霧式のサイレンサ装置40では、放出される蒸気Sを検出する検出装置45や電磁弁44を制御する制御装置46といった機器を用いて電気的に制御しているため、構造が複雑になるといった問題がある。本発明は、小さな設置スペース内に設置することができ、さらに、電気的な制御を不要にして、簡単な構造で作動する水噴霧式サイレンサ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するために、本第1発明は、蒸気を放出する際、蒸気中に散水して蒸気を凝縮させて騒音を低減させる水噴霧式サイレンサ装置であって、蒸気放出管内に、注水管に接続されかつ注水管から供給された水を噴霧する複数の噴射孔を備えた噴射筒が設けられ、上記噴射筒に、蒸気放出管内の流れ方向に対向しかつ蒸気放出管内を流れる蒸気の推力を受けて出退する推力受け体がスライド自在な軸を介して設けられ、上記噴射筒内において上記軸に、注水管から各噴射孔に至る供給流路を開閉する弁が設けられ、上記弁は、注水管から供給された水の圧力を受けて閉方向に付勢され、推力受け体に作用する蒸気の推力により上記付勢力に抗して開方向へ押圧されるものである。
【0009】これによると、蒸気放出管から蒸気が放出されない状態では、推力受け体に蒸気の推力が作用せず、これにより、弁は、注水管から供給された水の圧力を受けて閉方向に付勢されて、供給流路を閉じている。これにより、注水管から各噴射孔への水の供給は弁によって遮断されるため、噴射孔から水が噴霧されることはない。
【0010】また、緊急時などで、蒸気放出管から蒸気が放出される場合、推力受け体には、蒸気放出管内を流れる蒸気の推力が作用するため、弁は、上記閉方向への付勢力に抗して開方向へ押圧され、供給流路を開く。これにより、注水管から各噴射孔へ水が供給されて各噴射孔から蒸気放出管内に噴霧され、蒸気放出管内の蒸気が冷却されて凝縮し、以って、騒音が低減される。
【0011】また、本第2発明は、軸は噴射筒内に設けられた軸受により上下方向にスライド自在に保持され、上記弁の閉方向を下向きとするとともに開方向を上向きとし、上記弁は、注水管から供給された水の圧力および弁と軸と推力受け体との各自重とにより閉方向に付勢されているものである。
【0012】これによると、弁の閉動作は注水管から供給された水の圧力および弁と軸と推力受け体との各自重とによる付勢力によって行われ、さらに、弁の開動作は推力受け体に作用する蒸気の推力によって行われる。したがって、従来のような電気的な制御は不要となり、さらには弁を開閉させるためのばね等の特別な付勢装置を設ける必要もなく、非常に簡単な構造でサイレンサ装置の作動および作動停止が行える。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。図3に示すように、1は蒸気Sを放出する際、蒸気中に散水して蒸気を凝縮させて騒音を低減させる水噴霧式サイレンサ装置であり、蒸気放出管2の内部に噴射筒3を設けた構成になっている。
【0014】上記蒸気放出管2は、鉛直方向の直管部2aと、この直管部2aの上部から横方向へ曲げられた曲管部2bとで構成されている。上記直管部2aの下端には入口ノズル4が形成され、この入口ノズル4に蒸気出口管5が接続されている。尚、蒸気放出管2の内径は蒸気出口管5の内径よりも大きく形成されている。上記噴射筒3は、直管部2aの軸心23上に位置しており、径方向へ放射状に並ベられた4本の取付板6によって、直管部2aに取付け固定されている。また、図1,図2に示すように、噴射筒3は、円筒状の胴体部3aと、胴体部3aの下端部を閉塞する底板部3bと、胴体部3aの上端部を閉塞する上蓋部3cとで構成されている。尚、上蓋部3cはボルト,ナット8を介して胴体部3aに締結されている。また、上記上蓋部3cには、噴射筒3内へ水W(0.5〜1kg/cm2Gの圧力水)を供給する注水管9が接続されている。さらに、上記胴体部3aには、注水管9から供給された水Wを直管部2a内へ噴霧する噴射孔10が多数形成されている。尚、図6に示すように、各噴射孔10は外側ほど径の大きなテーパー形状に形成されている。
【0015】上記噴射筒3内には、注水管9から各噴射孔10に至る供給流路12を開閉する弁13が設けられている。すなわち、胴体部3a内の上部には弁座14が設けられ、この弁座14の上方に上部供給室15が形成され、下方に下部供給室16が形成されている。そして、図2に示すように、上記弁13が下動して閉じることにより、上部供給室15と下部供給室16とが遮断され、また、図1に示すように、弁13が上動して開くことにより、上部供給室15と下部供給室16とが連通する。尚、上記噴射孔10は下部供給室16の範囲にわたり形成されている。また、上記弁13には、上部供給室15内に満たされた水Wの圧力を受ける受圧面13aが形成されている。
【0016】上記胴体部3a内には弁軸17が上下方向に挿入されて直管部2aの軸心23上に位置しており、弁軸17の上端部が弁13に連結されている。また、弁軸17の下部は、底板部3bに形成された貫通孔18から下方へ突出している。この弁軸17は、上下一対の第1軸受19と第2軸受20とで、弁13の開閉方向(上下方向)にスライド自在に保持されている。上記第1軸受19は、円筒状のものであり、径方向へ放射状に並ベられた複数本の支え板21によって、胴体部3aに取付け固定されている。また、上記第2軸受20として、弁軸17と底板部3bとのシールを行うためのO−リングが用いられ、第2軸受20は貫通孔18の内周面に設けられている。
【0017】上記噴射筒3の下方には、入口ノズル4から直管部2a内へ流れ込む蒸気Sの推力を受ける推力受け体22が設けられている。この推力受け体22は、円板状に形成され、直管部2aの軸心23に対して直交しており、上記弁軸17の下端部に連結されている。これにより、上記推力受け体22と弁13とは弁軸17を介して連動連結され、弁13の開閉にともなって推力受け体22も開閉方向(上下方向)へ出退移動する。
【0018】尚、上記弁13は、受圧面13aに作用する水圧ならびに弁13と弁軸17と推力受け体22との各自重とによって閉方向(下向き)に付勢されており、また、推力受け体22に作用する下から上向きの蒸気Sの推力により上記付勢力に抗して開方向(上向き)へ押し上げられるように構成されている。以下、上記構成における作用を説明する。
【0019】図2に示すように、蒸気放出管2から蒸気Sが放出されない状態では、蒸気Sが入口ノズル4から蒸気放出管2へ流れ込んでいないため、推力受け体22に蒸気Sの推力が作用しない。この際、弁13の受圧面13aには、注水管9から供給されて上部供給室15内を満たす水Wの圧力が作用する。これにより、弁13は、上記受圧面13aに作用する水圧および弁13と弁軸17と推力受け体22との各自重とによって閉方向(下向き)に付勢され、閉じられる。したがって、上部供給室15と下部供給室16とが弁13で遮断され、上部供給室15内の水Wは下部供給室16へ供給されず、各噴射孔10から水Wが噴霧されることはない。
【0020】また、緊急時などで、図3に示すように蒸気放出管2から蒸気Sが放出される場合、図1に示すように、入口ノズル4から蒸気放出管2へ流れ込んだ蒸気Sが推力受け体22に衝突し、この推力受け体22に下から上向きの蒸気Sの推力が作用し、この推力によって推力受け体22が上記付勢力(すなわち、受圧面13aに作用する水圧および弁13と弁軸17と推力受け体22との各自重)に抗して上向きへ押し上げられる。
【0021】これにより、上記推力受け体22と共に弁軸17が上方へスライドし、弁13が開き、上部供給室15と下部供給室16とが連通するため、注水管9から上部供給室15内に供給された水Wは、さらに上部供給室15内から下部供給室16内へ供給され、各噴射孔10から蒸気放出管2内に噴霧される。これにより、蒸気放出管2内の蒸気Sが冷却されて凝縮し、以って、騒音が低減される。
【0022】その後、蒸気放出管2からの蒸気Sの放出が停止すると、推力受け体22に作用していた蒸気Sの推力が無くなるため、図2に示すように、弁13は、受圧面13aに作用する水圧および弁13と弁軸17と推力受け体22との各自重とによって閉方向に付勢され、閉じられる。これにより、水Wが下部供給室16へ供給されず、各噴射孔10からの水Wの噴霧が停止する。
【0023】上記のように、弁13の閉動作は受圧面13aに作用する水圧および弁13と弁軸17と推力受け体22との各自重とによる付勢力によって行われ、さらに、弁13の開動作は推力受け体22に作用する蒸気Sの推力によって行われる。したがって、従来の水噴霧式のサイレンサ装置ような電気的な制御は不要となり、さらには弁13を開閉させるためのばね等の特別な付勢装置を設ける必要もなく、また、特別な操作も不要であり、非常に簡単な構造でサイレンサ装置1の作動および作動停止が行える。さらに従来の膨張式のサイレンサ装置に比べて設置スペースを小型化でき、コストも安価になる。
【0024】上記実施の形態では、図4に示すように、噴射筒3を4本の取付板6によって直管部2aに取付け固定しているが、4本以外の複数本または単数本の取付板6を用いて固定してもよい。また、上記実施の形態では図1に示すように推力受け体22を噴射筒3の下方に配置し、推力受け体22と弁13とを弁軸17を介して連結しているが、他の実施の形態として、図7に示すように、推力受け体22を噴射筒3の上方に配置し、推力受け体22と弁13とを弁軸17を介して連結した構成であってもよい。
【0025】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、従来の水噴霧式のサイレンサ装置ような電気的な制御は不要となり、また、特別な操作も不要であり、非常に簡単な構造でサイレンサ装置の作動および作動停止が行える。さらに従来の膨張式のサイレンサ装置に比べて設置スペースを小型化でき、コストも安価になる。
【出願人】 【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
【出願日】 平成11年6月29日(1999.6.29)
【代理人】 【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開2001−12701(P2001−12701A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−182615