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【発明の名称】 光反射性、加工性に優れた白色塗装金属板
【発明者】 【氏名】坂本 佳子

【氏名】小浦 節子

【氏名】中村 浩茂

【要約】 【課題】金属板の表面に防錆顔料を含有する下塗り塗膜が形成され、その上に白色顔料のTiO2粉末を含有するポリエステル系樹脂を主成分とする上塗り塗膜が形成された塗装金属板において、反射率を高めたものを提供する。

【解決手段】下塗り塗膜に白色顔料のTiO2粉末を添加するとともに、上塗り塗膜の塗膜比重Nを1.75<N<2.3、JIS Z 8722による色調測定でのL値を90超、60度鏡面光沢法による光沢を80超にした。上塗り塗膜はメラミンを主成分とする硬化剤をポリエステル樹脂100重量部に対して20〜35重量部含有しているものが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属板の表面に防錆顔料を含有する下塗り塗膜が形成され、その上に白色顔料のTiO2粉末を含有するポリエステル系樹脂を主成分とする上塗り塗膜が形成された塗装金属板において、下塗り塗膜に白色顔料のTiO2粉末を添加するとともに、上塗り塗膜の塗膜比重Nを1.75<N<2.3、JIS Z 8722による色調測定でのL値を90超、60度鏡面光沢法による光沢を80超にしたことを特徴とする光反射性、加工性に優れた白色塗装金属板。
【請求項2】 上塗り塗膜がメラミンを主成分とする硬化剤をポリエステル樹脂100重量部に対して20〜35重量部含有していることを特徴とする請求項1に記載の光反射性、加工性に優れた白色塗装金属板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、使用面の塗膜が2層構造である白色塗装金属板において、反射率を高めたものに関する。
【0002】
【従来技術】近年、電気製品には、省エネルギ−製品の要求が高まっているが、その一環として、少ない消費電力で同じ明るさの得られる照明器具の開発が進められている。この照明器具の開発は反射板を有するものの場合、節電型電球の開発とともに高反射率の反射板開発も重要である。この反射板は塗装金属板の成形加工によるものが比較的反射率が高く、安価であるとの理由で一部採用されてきている。
【0003】この塗装金属板のうち、従来多く使用されているものは、金属板の表面にクロム系の防錆顔料を含有する下塗り塗膜が形成され、その上に白色顔料としてシリカ、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタンなどの粉末を1種または2種以上配合したポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系などの樹脂塗料からなる上塗り塗膜が形成された塗装金属板である。この白色塗装金属板で上塗り塗料の白色顔料にTiO2粉末を使用する場合は樹脂100重量部に対して80〜100重量部、塗膜比重1.7〜1.75であり、光沢は88であるが、JIS Z 8722による色調測定でのL値が86と不十分であり、蛍光灯光線の主波長である波長450nm、550nmの反射率は76〜80%と81%以上にするのは困難であった。また、上記塗装金属板の下塗り塗膜中にクロム系の防錆顔料とTiO2粉末を含有する塗膜で形成された場合でも、防錆顔料とTiO2粉末との含有割合はTiO2/防錆顔料=0.2〜1.0であるため、光沢は88であるが、JIS Z 8722による色調測定でのL値が87と不十分で、蛍光灯光線の主波長である波長450nm、550nmの反射率は78〜81%であり、82%以上にするのは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、白色度、光沢を高めることにより反射率を改善した塗装金属板を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属板の表面に防錆顔料を含有する下塗り塗膜が形成され、その上に白色顔料のTiO2粉末を含有するポリエステル系樹脂を主成分とする上塗り塗膜が形成された塗装金属板において、下塗り塗膜に白色顔料のTiO2粉末を添加するとともに、上塗り塗膜の塗膜比重Nを1.75<N<2.3、JIS Z8722による色調測定でのL値を90超、60度鏡面光沢法による光沢を80超にした。
【0006】
【作用】本発明者らは、白色度、光沢の高い塗装金属板を開発すべく種々検討した結果、下塗り塗膜にTiO2粉末を含有させれば、上塗り塗膜の白色度、光沢を向上させることが可能であることを見いだした。下塗り塗膜に使用する防錆顔料としては防食性能上、ストロンチウムクロメ−ト、ジンククロメ−トなどのようなクロム系のものにせざるを得ないため、下塗り塗膜色調は黄色になっている。この上に形成する上塗り塗膜が隠蔽力の大きいものであれば、下塗り塗膜色調は上塗り塗膜の色調に影響を与えないが、白色塗膜の場合、隠蔽力が劣るため、上塗り塗膜に影響が現れ、色調が黄味を帯びるようになっていたのである。しかし、下塗り塗膜にTiO2粉末を含有させれば、色調が白色に近くなるため、上塗り塗膜の色調は白くなる。また、TiO2粉末の添加により隠蔽力も向上するため、光沢も大きくなり、それにつれて上塗り塗膜の光沢も大きくなる。
【0007】下塗り塗膜の防錆顔料とTiO2粉末との含有割合は、TiO2粉末/防錆顔料=3〜8にすると、耐食性とJIS Z 8722による色調測定でのL値が調和する。好ましくはTiO2粉末/防錆顔料=4〜6とするのがよい。塗膜樹脂としては公知のものでよく、例えば、ポリエステル系、エポキシ系、あるいはこれらの混合物でよい。塗膜厚は3〜15μm、好ましくは6〜9μmにする。
【0008】本発明では、上塗り塗膜の白色度をTiO2粉末の含有量ではなく、塗膜比重で規定する。これはTiO2粉末を塗料に分散させる場合に空気を巻き込んで空隙が発生し、顔料含有量が大きくても空隙率が高ければ、顔料密度は小さいことになるからである。これに対して、塗膜比重で規定すれば、その大小に顔料密度が比例する。そこで、上塗り塗膜はTiO2粉末の含有量を調整して、塗膜比重Nを1.75より大きく、2.3より小さくする。塗膜比重Nが1.75より小さいと、隠蔽力が劣るため、一部の光線の吸収が起こり、JIS Z 8722による色調測定でのL値を90より大きくできない場合がある。一方、塗膜比重Nが2.3より大きいと、L値は大きくなるが、塗膜の加工性が低下してしまう。なお、塗膜比重Nを1.75<N<2.3にするにはTiO2粉末含有量を樹脂100重量部に対して100〜160重量部、好ましくは130〜150重量部にすればよい。TiO2粉末は樹脂に対する分散性を良好にするため、Al23、SiO2、ZrO2などで表面処理したものを用いるのが好ましい。
【0009】L値を90より大きくする場合、JIS Z 8722による色調測定でのb値(黄味と青味との指標)が−1より大きく、1より小さい範囲にするのが好ましい。−1以下であると、青味が強くなり、1以上であると、黄味が強くなる。b値を前記範囲にするには、TiO2粉末として、平均粒径が0.2〜0.3μmのものを使用するのが好ましい。平均粒径が小さすぎると、短波長の青色光をよく吸収するため、青味がかって見え、平均粒径が大きすぎると、逆に黄〜赤色光を散乱して黄味がかって見える。また、ベンガラと紺青のように補色関係にある色調の顔料を添加して調整してもよい。60度鏡面光沢法による光沢は80以下であると、色調の鮮映性が不足して、くすみ感が出て、反射率が低くなる。光沢を80超にするには、主樹脂であるポリエステル樹脂と相溶性の乏しいメラミン樹脂を用いて、メラミン樹脂の自己縮合反応を塗膜表面に起こさせるとよい。ここで、主樹脂であるポリエステル樹脂と相溶性の乏しいメラミン樹脂を用いるのは、主樹脂であるポリエステル樹脂と相溶性の優れたメラミン樹脂を用いると、主樹脂であるポリエステル樹脂の官能基とメラミン樹脂の官能基の反応確率が高くなり、メラミン樹脂が塗膜表面に出にくく、塗膜表面で自己縮合反応が起きにくくなるためである。自己縮合により塗膜表面に濃化したメラミン樹脂は塗膜表層にクリア層として存在するため、塗膜表面に濃化していない場合に比べ光沢が高くなる。
【0010】上塗り塗膜の樹脂は、ポリエステル系樹脂を主成分とするものであるが、この上塗り塗膜はポリエステル系樹脂100重量部に対してメラミン樹脂を主成分とする硬化剤を20〜35重量部、好ましくは25〜30重量部添加した塗料により形成するのが好ましい。メラミン樹脂を添加すると、上記のように、メラミン樹脂が塗膜表面に濃化し、光沢を向上させる。メラミン樹脂は20重量部より少ないと、塗膜表面に濃化する量が少ないため、光沢が低下し、35重量部より多いと、塗膜加工性が低下してしまう。メラミン樹脂としては、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂などが好適である。
【0011】ポリエステル系樹脂は多塩基酸と多価アルコ−ルとを重縮合させることにより得られるもので、多塩基酸は二価以上の芳香族系、脂肪族系あるいはそれらの酸無水物であり、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、イソフタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸などに代表されるものであり、多価アルコ−ルはC2〜C6の二価以上のアルコ−ルであり、例えば、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、グリセリン、トリメチロ−ルエタンなどに代表されるものである。塗膜の加工性、TiO2顔料の分散性などを考慮すると、二塩基酸と二価のアルコ−ルとの重縮合物が好ましい。塗膜厚は10〜25μm、好ましくは15〜18μmにする。
【0012】金属板としては、特に制限はなく、例えば、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、銅めっき鋼板、アルミニウム板などでよい。
【0013】本発明の塗装金属板は、従来の塗装金属板と同要領で製造すればよい。例えば、金属板に反応型もしくは塗布型クロメ−ト処理を施した後、ロ−ルコ−ト法、カ−テンコ−ト法、スプレ−法などで下塗り塗料を塗装して、焼き付け乾燥することにより下塗り塗膜を形成し、その後、下塗り塗膜の上に上塗り塗料を同方法で塗装して、焼き付け乾燥することにより上塗り塗膜を形成すればよい。
【0014】
【実施例】板厚0.6mmの溶融亜鉛めっき鋼板[めっき付着量45g/m2(片面)]に塗布型クロメ−ト処理を施した後、ポリエステル系樹脂を主成分とし、その樹脂100重量部に対してAl23で表面処理を施した平均粒径0.25μmのTiO2粉末を81.8重量部、ストロンチウムクロメ−ト系の防錆顔料を18.2重量部添加したポリエステル系樹脂の下塗り塗料を乾燥塗膜厚で7μmになるように塗装して、215℃で40秒間焼き付け乾燥した。その後、二塩基酸であるイソフタル酸と二価のアルコ−ルであるネオペンチルグリコ−ルからなるポリエステル系樹脂を主成分とし、このポリエステル系樹脂100重量部に対してAl23で表面処理を施した平均粒径0.25μmのTiO2粉末を130重量部、メラミン樹脂(重量比でブチル化メラミン樹脂/メチル化メラミン樹脂=3/7の混合物)を種々の割合で添加した表1に示す上塗り塗料A〜Kをすべてが乾燥塗膜厚で17μmになるように塗装して、230℃で50秒間焼き付け乾燥した。そして、得られた塗装鋼板に次のような試験を実施した。この結果を表2に示す。
【0015】(1)塗膜比重測定試験ヨウ化カリウム溶液を用いて、JIS K 7112に規定する浮沈法により測定した。
(2)L値測定試験JIS Z 8722に規定する物体色の測定方法を採用した機構の分光測色計[ミノルタ(株)製CM−3700d、光源;C]で上塗り塗膜のL値を測定した。
(3)光沢測定試験分光光度計[スガ試験機(株)製]を用いて上塗り塗膜の60度鏡面光沢を測定した。
【0016】(4)反射率測定試験L値測定試験で使用した分光測色計で波長450nm、550nmにおける反射率を測定し、両波長における反射率が82%以上のものを記号○、82%未満のものを記号×で評価した。
(5)塗膜加工性試験温度20℃の恒温室に放置しておいた試験片の上塗り塗膜との反対側に同じ厚さの板2枚を同室で挟んで180°折り曲げ試験(2T)を行った後、折り曲げ部にクラックの発生しないものを記号○、クラックの発生したものを記号×で評価した。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
【発明の効果】以上のように、金属板の表面に防錆顔料を含有する下塗り塗膜が形成され、その上に白色顔料のTiO2粉末を含有するポリエステル系樹脂を主成分とする上塗り塗膜が形成された塗装金属板において、下塗り塗膜に白色顔料のTiO2粉末を添加するとともに、上塗り塗膜の塗膜比重Nを1.75<N<2.3、JISZ 8722による色調測定でのL値を90超、60度鏡面光沢法による光沢を80超にすると、上塗り塗膜の反射率が82%以上になる。また、上塗り塗膜がメラミンを主成分とする硬化剤をポリエステル樹脂100重量部に対して20〜35重量部含有していると、L値が90超、光沢が80超になり易い。
【出願人】 【識別番号】000004581
【氏名又は名称】日新製鋼株式会社
【出願日】 平成12年2月28日(2000.2.28)
【代理人】 【識別番号】100080713
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 満
【公開番号】 特開2001−243819(P2001−243819A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−50708(P2000−50708)