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【発明の名称】 射出用組成物、射出成形品、照明器具用反射板、及び、照明器具
【発明者】 【氏名】渡辺 加津己

【氏名】山本 耕司

【要約】 【課題】耐光性が良く、光反射性能に優れた成形品を得ることのできる射出用組成物、及び、耐光性が良く、光反射性能に優れた射出成形品、照明器具用反射板、及び、照明器具を提供する。

【解決手段】反射板1等の成形品を得ることができる射出用組成物は、メルトフローレイトが1〜9g/10min.であるアクリル系樹脂と、射出成形の際に上記アクリル系樹脂との界面で剥離を生じさせる界面活性剤を含有したシリコーンゴムの粒子とからなる。上記反射板1は、アクリル系樹脂層3と、このアクリル系樹脂層3内にシリコ−ンゴム4の粒子と、このシリコ−ンゴム4の粒子との界面に1〜20μm程度の微細な空隙5を有するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 メルトフローレイトが1〜9g/10min.であるアクリル系樹脂と、射出成形の際に上記アクリル系樹脂との界面で剥離を生じさせる界面活性剤を含有したシリコーンゴムの粒子とからなることを特徴とする射出用組成物。
【請求項2】 請求項1記載の射出用組成物を成形し、成形体の内部に微細な空隙を含むことを特徴とする射出成形品。
【請求項3】 請求項2記載の成形体が反射板であることを特徴とする照明器具用反射板。
【請求項4】 請求項3記載の照明器具用反射板を具備してなることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は射出用組成物、射出成形品、照明器具用反射板、及び、照明器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、照明の高効率化やコンパクト化を目指した照明器具の開発が進められている。そして反射板を用いた照明器具において、照明の効率向上を達成するためには反射板の反射率を上げることが望まれている。
【0003】従来、照明器具の反射板の塗装に、ポリエステル、ポリウレタン等の樹脂成分中にシリカ、二酸化チタン等の白色顔料を配合した塗料を用い、白色反射板を作製することが行われているが、上記のような照明の効率向上の要請に応じるには不十分である。
【0004】一方、液晶デスプレイ等に用いる光反射シートとして、特開平4−239540号に示されるようなポリエステルフイルム内部に微細な気泡を含有させたものが提供されている。しかし、シートであるため複雑な形状の成形体に用いるには限界があると共に、ポリエステル樹脂は高温で長期間用いると耐光性が劣る欠点がある。また、特開平4−113835号に、プラスチック構造体を、強溶媒に浸漬した後、貧溶媒に浸漬することで微細な亀裂を生じさせたプラスチック構造体が開示されている。しかし、工程が複雑なうえ、多種の溶媒を用いており環境面で悪影響をおよぼす恐れがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、耐光性が良く、光反射性能に優れた成形品を得ることのできる射出用組成物を提供することにある。また、その目的とするところは、耐光性が良く、光反射性能に優れた射出成形品、照明器具用反射板、及び、照明器具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る射出用組成物は、メルトフローレイトが1〜9g/10min.であるアクリル系樹脂と、射出成形の際に上記アクリル系樹脂との界面で剥離を生じさせる界面活性剤を含有したシリコーンゴムの粒子とからなることを特徴とする。
【0007】本発明の請求項2に係る射出成形品は、請求項1記載の射出用組成物を成形し、成形体の内部に微細な空隙を含むことを特徴とする。
【0008】本発明の請求項3に係る照明器具用反射板は、請求項2記載の成形体が反射板であることを特徴とする。
【0009】本発明の請求項4に係る照明器具は、請求項3記載の照明器具用反射板を具備してなることを特徴とする。
【0010】上記射出用組成物の構成により、アクリル系樹脂の溶融粘度が高いため、混練した上記組成物を射出成形すると、シリコーンゴムの粒子が変形し、この変形が極限に達すると、界面活性剤の作用で、上記シリコーンゴムの粒子とアクリル系樹脂との界面で剥離を生じる。この剥離したシリコーンゴムの粒子は弾性体であるため球状になると共に、成形品は上記界面に空気を残存する。この残存した空気は、成形体内に空隙を形成する。上記射出用組成物で成形された成形品は、成形体内に1〜20μm程度の微細な空隙を有することとなる。アクリル系樹脂と空気との屈折率の差が大きいため、上記成形品に入射した光は、この空隙で散乱を起こす。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】図1(a)は本発明の照明器具の実施の形態の一例を示した概略図であり、(b)はその照明器具用反射板の断面を摸式的に示した拡大断面図であり、図2はその照明器具の斜視図である。
【0013】本発明の射出用組成物は、照明器具に用いられる反射板1等の成形品を得ることができる組成物である。上記反射板1は、アクリル系樹脂層3と、このアクリル系樹脂層3内にシリコ−ンゴム4の粒子と、このシリコ−ンゴム4の粒子との界面に1〜20μm程度の微細な空隙5を有するものである。
【0014】このような成形品が得られる射出用組成物は、アクリル系樹脂と界面活性剤を含有したシリコーンゴムの粒子とからなる。上記アクリル系樹脂としては、アクリル酸もしくはメタクリル酸が挙げられ、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。
【0015】上記アクリル系樹脂は、高い溶融粘度を有することが必須であり、上記樹脂のメルトフローレイトは、1〜9g/10min.である。このメルトフローレイトは、ASTM規格のD1238に規定されたものであり、230℃、10kgfの条件で測定する。上記メルトフローレイトが9g/10min.を超えると、樹脂の流動性が高くなるため、射出成形の際にシリコーンゴムの粒子の周囲に空隙ができ難くなる。また、上記メルトフローレイトが1g/10min.未満であると、樹脂の流動性が低くなるため、金型内に樹脂が流れにくく射出成形が難しくなる。
【0016】上記シリコーンゴムの粒子は、平均粒子径が1〜10μmが好ましく、平均粒子径が2〜5μmがより好ましい。上記平均粒子径がこの範囲より大きいと、成形体に形成される空隙のサイズが大きくなり過ぎ光の反射率が低下する傾向がある。また、上記平均粒子径がこの範囲より小さいと、射出成形の際に粒子が二次凝集を起こし、光の反射が不均一となる傾向がある。
【0017】また、上記シリコーンゴムの硬さは、JIS A硬さが70〜95の範囲が好ましく、この硬さが80〜90の範囲がより好ましい。
【0018】さらに、上記シリコーンゴムは、界面活性剤を含有する。上記界面活性剤は、射出成形の際に上記アクリル系樹脂とシリコーンゴムの粒子との界面に剥離を生じさせ、得られる成形品の内部に空隙を形成する。上記界面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系、アニオン系の界面活性剤を用いることができるが、なかでも、ノニオン系界面活性剤が望ましい。
【0019】本発明の射出用組成物におけるシリコーンゴムの配合割合は、2〜40重量%が適当である。この配合割合が、40重量%を超えると、機械的強度が低下する。また、この配合割合が、2重量%未満であると、光の反射率が低下し易く、厚さの薄い成形品の場合は透けやすくなる傾向がある。
【0020】次に射出成形品について図1(b)に基づいて説明する。本発明の射出成形品は、上記射出用組成物を成形して得られたものであり、アクリル系樹脂層3をベースとし、このアクリル系樹脂層3内にシリコ−ンゴム4の粒子と、微細な空隙5を含むものである。上記射出成形品は、次のような経緯を経て構成される。上記射出用組成物をスクリューで混練し、金型内に射出すると、アクリル系樹脂の溶融粘度が高いため、シリコーンゴム4の粒子が変形し、この変形が極限に達すると、界面活性剤の作用で、上記シリコーンゴム4の粒子とアクリル系樹脂層3の界面で剥離を生じる。この剥離したシリコーンゴム4の粒子は、弾性体であるため球状になり、上記界面に空気を残存する。この残存した空気は、成形体内に空隙を形成する。上記射出用組成物で成形された成形品は、成形体内に1〜20μm程度の微細な空隙5を有することとなる。
【0021】本発明の成形品は、アクリル系樹脂層3と空気との屈折率の差が大きいため、この成形品に入射した光は、この空隙5によって散乱を起こし、良好な光反射性能を示す。また、ベース樹脂がアクリル系樹脂であるので、耐光性に優れる。
【0022】本発明の成形品は、各種の反射板として採用されるが、なかでも、照明器具の白色反射板に適する。図1(a)、及び、図2に示す如く、本発明の反射板1は、蛍光ランプ2の光を効率良く反射するので、照明の高効率化が達成できる。また、射出成形できるため、複雑な形状の反射板でも、容易に得ることができる。
【0023】
【実施例】以下本発明の実施例と比較例を挙げる。
【0024】(実施例1)アクリル系樹脂としてメルトフローレイトが8.2g/10min.のポリメタクリル酸メチル(三菱レイヨン株式会社製、VH)、界面活性剤を含有した平均粒子径が2.3μmのシリコーンゴム(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を用いた。上記シリコーンゴムをアクリル系樹脂中に15重量%の割合で配合した組成物を、210℃で溶融、混練りした後、射出成形して、サイズ50×70mm、厚さ2mmの評価用の反射板を得た。
【0025】(実施例2)アクリル系樹脂としてメルトフローレイトが2.0g/10min.のポリメタクリル酸メチル(三菱レイヨン株式会社製、WF720)、界面活性剤を含有した平均粒子径が2.4μmのシリコーンゴム(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を用いた。上記シリコーンゴムをアクリル系樹脂中に10重量%の割合で配合した組成物を、210℃で溶融、混練りした後、射出成形して、サイズ50×70mm、厚さ2mmの評価用の反射板を得た。
【0026】(比較例1)内部に気泡を含有した厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートの光反射シートを用いた。
【0027】(比較例2)内部に気泡を含有し、さらに、蛍光増白剤を0.03重量%含有した厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートの光反射シートを用いた。
【0028】(評価)反射率、及び、耐光性を測定した。反射率は、自記分光光度計(日立製作所製U4000)を用い、波長380〜780nmの範囲で測定し、その平均値を計算した。
【0029】耐光性は、90℃に保持した恒温槽のなかで400W水銀灯を照射し、15日後に初期値に対する色差(ΔE* )を測定した。測定法は、カラーコンピューター(スガ試験機SM−7)、C光2゜、反射法で行った。
【0030】
【表1】

【0031】結果は、表1に示すとおり、実施例1、及び、実施例2は、反射率が良く、耐光性に優れることが、認められた。
【0032】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る射出用組成物は、耐光性が良く、光反射性能に優れた成形品を得ることができる。
【0033】本発明の請求項2に係る射出成形品は、上記射出用組成物を用いて成形するため、成形体の内部に微細な空隙を含むので、耐光性が良く、光反射性能に優れる。
【0034】本発明の請求項3に係る照明器具用反射板は、上記射出用組成物を用いて成形するため、成形体の内部に微細な空隙を含むので、耐光性が良く、光反射性能に優れる。
【0035】本発明の請求項4に係る照明器具用反射板は、上記反射板を用いるので、耐光性が良く、光反射性能に優れるため、照明の高効率化が達成できる。
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成11年6月24日(1999.6.24)
【代理人】 【識別番号】100111556
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 淳二 (外1名)
【公開番号】 特開2001−6414(P2001−6414A)
【公開日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【出願番号】 特願平11−178713