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【発明の名称】 車両用灯具
【発明者】 【氏名】飯野 正規

【氏名】中田 祥弘

【氏名】梅山 辰也

【氏名】山田 秀夫

【要約】 【課題】従来の車両用灯具では鏡面部と金属色装飾部砥の形成に有機溶剤を使用する塗装工程は不可欠であり、環境面での問題を生じていた。

【解決手段】本発明により、PET樹脂の20〜50重量%、または、PC樹脂の20〜40重量%と、平均粒径を10μm以下とした無機フィラー31bの5〜30重量%とを添加したPBT系樹脂で鏡面とする部分を形成し、直接に金属蒸着膜32を形成し鏡面部3を形成した車両用灯具1、および、上記PBT系樹脂に平均粒径5〜60μmとした金属色発色用粉末の5重量%以下を添加することで金属色装飾部5が形成されている車両用灯具1としたことで、車両用灯具における製造工程から塗装工程を排除し、有機溶剤を使用しないものとして課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリエチレンテレフタレート樹脂の20〜50重量%、または、ポリカーボネート樹脂の20〜40重量%と、平均粒径を10μm以下とした無機フィラーの5〜30重量%とを添加したポリブチレンテレフタレート系樹脂で少なくとも灯具の鏡面とする部分を形成し、該鏡面とする部分に直接に金属蒸着膜を形成することで鏡面部が形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】 ポリエチレンテレフタレート樹脂の20〜50重量%、または、ポリカーボネート樹脂の20〜40重量%を添加したポリブチレンテレフタレート系樹脂に平均粒径5〜60μmとした金属色発色用粉末の5重量%以下を添加することで金属色装飾部が形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】 ポリエチレンテレフタレート樹脂の20〜50重量%、または、ポリカーボネート樹脂の20〜40重量%と、平均粒径を10μm以下とした無機フィラーの5〜30重量%とを添加したポリブチレンテレフタレート系樹脂に平均粒径5〜60μmとした金属色発色用粉末の5重量%以下を添加することで金属色装飾部が形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】 請求項1記載の鏡面部と、請求項2記載の金属色装飾部とを具備することを特徴とする車両用灯具。
【請求項5】 請求項1記載の鏡面部と、請求項3記載の金属色装飾部とを具備することを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はヘッドランプ、テールランプなど車両用灯具に関するものであり、詳細には光を照射方向に効率良く投射するための鏡面部、或いは、この鏡面部の周囲に、鏡面部と調和する色彩として配置される金属色装飾部を備える車両用灯具に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来の車両用灯具90の構成の例を示すものが図4であり、光源91の周囲には鏡面部92が配置され、前記光源91の光を照射方向に反射し照明効率を向上するように図られている。また、近年においてはレンズ93が素通し状とされるものが多いので、前記鏡面部92を取り囲み同様な金属色として、エクステンションなどと称されている金属色装飾部94が設けられ、前記鏡面部92とハウジング95とに生じる隙間を覆い隠すものとされている。
【0003】図5は前記鏡面部92の構成を示すものであり、耐熱性を向上させるためにタルクなどの無機フィラー92bを混和したポリブチレンテレフタレート樹脂で基体92aを形成し、この基体92aの表面にアンダーコート膜92cが樹脂塗料の塗装手段により形成されて表面の平滑化が行われている。
【0004】そして、前記アンダーコート膜92cの表面にはアルミニウムの蒸着が行われて鏡面となる金属蒸着膜92dが形成され、更に前記金属蒸着膜92dを覆っては、保護膜92eが形成され金属蒸着膜92dを酸化などから保護するものとされている。尚、前記保護膜92eの形成に当たっては、塗装法の他に蒸着法、CVD法などが採用可能である。また、エクステンションなど金属色装飾部94においては、図6に示すように、例えばアルミニウム粉末が添加された金属色の塗料を塗装して塗膜94aを形成することで成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、近年においては環境保護などの立場から有機溶剤を使用する塗装工程は避けられる傾向にある。しかしながら、アンダーコート膜92bを廃止し基体92表面に直接に金属蒸着膜92cを形成した場合、基体92aには無機フィラーが添加されていることから表面に微細な凹凸を生じており、乱反射を生じるなどして鏡面部92が成立しない問題点を生じてしまう。
【0006】従って、鏡面部92を形成するためにはアンダーコート膜92bの形成は避けられず、塗装工程において例えば有機溶剤の回収など、環境保護のための手段を講じなければならないものと成り、車両用灯具90がコストアップする問題点を生じている。そして、この問題点は同じく塗装で形成する金属色装飾部94においても同様に生じるものと成っている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した従来の課題を解決するための具体的手段として、ポリエチレンテレフタレート樹脂の20〜50重量%、または、ポリカーボネート樹脂の20〜40重量%と、平均粒径を10μm以下とした無機フィラーの5〜30重量%とを添加したポリブチレンテレフタレート系樹脂で少なくとも灯具の鏡面とする部分を形成し、該鏡面とする部分に直接に金属蒸着膜を形成することで鏡面部が形成されていることを特徴とする車両用灯具。および、ポリエチレンテレフタレート樹脂の20〜50重量%、または、ポリカーボネート樹脂の20〜40重量%と、平均粒径を10μm以下とした無機フィラーの5〜30重量%とを添加したポリブチレンテレフタレート系樹脂に平均粒径5〜60μmとした金属色発色用粉末の5重量%以下を添加することで金属色装飾部が形成されていることを特徴とする車両用灯具を提供することで課題を解決するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1に符号1で示すものは本発明に係る車両用灯具1であり、この車両用灯具1には、例えばハロゲン電球とした光源2と、この光源2からの光を照射方向に向けて反射する鏡面部3とが設けられているものである。
【0009】また、この実施形態においては、前記鏡面部3とハウジング4との間に生じる隙間を遮蔽するための、エクステンションなどと通称されている金属色装飾部5も設けられ、この金属色装飾部5はレンズ6を透視して前記車両用灯具1内を覗き込んだときの統一感を取るために、前記鏡面部3と類似する銀色など、金属色に着色されいる。
【0010】図2は本発明に係る鏡面部3の構成を詳細に示すものであり、例えば回転放物面とする鏡面部3の基本形状が樹脂部材により基体31として形成されている。このときには、前記した基体31を形成するための樹脂部材としては耐熱性などを考慮してポリブチレンテレフタレート樹脂(以下にPBT樹脂と略称する)には、例えばタルク、ガラス繊維など無機フィラー31bの適量が添加されるものと成っている。
【0011】ここで、本発明では前記基体31にアンダーコート膜を形成することなく、直接に金属蒸着膜32を設けようとするものであり、そこで発明者は、無機フィラー31bが基体31の表面に露出し微細な凹凸を形成することのない樹脂の特性、成形条件などを検討し、樹脂を高流動化し、且つ、金型中での固化速度を遅延させること、加えて、前記無機フィラー31bの粒径を管理することで、その目的が達成できることを見いだした。
【0012】前記基体31を形成するときの具体的な構成としては、前記PBT樹脂中にポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET樹脂と略称)の20〜50重量%、または、ポリカーボネート樹脂(以下、PC樹脂と略称)の20〜40重量%を加え、アロイ化したポリブチレンテレフタレート系樹脂31a(以下、PBT系樹脂と略称)とすることで、上記の高流動化と固化速度の遅延化が達成できるものである。
【0013】そして、上記の状態としたPBT系樹脂31aを用い、前記無機フィラー31bの平均粒径を10μm以下とし、前記PBT系樹脂31aに対し5〜30重量%として添加するときには、金属蒸着膜32を直接に形成するときにも、性能的にも外観的にも支障を生じない程度の平滑面が前記基体31の表面に得られるものであることが発明者により確認された。
【0014】尚、前記無機フィラー31bとして具体的には、タルク、ケイ酸アルミニウム(クレー)、シリカ、炭酸カルシウム、ケイ藻土、ガラス繊維などがあるが、本発明はこれらの何れでも良いものであり、例えばコストを優先する場合には、タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ藻土などを選択すれば良いものと成る。
【0015】尚、本発明の鏡面部3においても、前記金属蒸着膜32を覆っては保護膜33が形成されるものであるが、上記の説明でも明らかなように本発明の主たる目的は環境問題への対応であるので、この保護膜33の形成に当たっても、蒸着膜、CVD膜など有機溶剤を使用しない成膜方法とすることが好ましい。
【0016】図3は本発明に係る金属色装飾部5を詳細に示すものであり、この金属色装飾部5においても、本発明は塗装工程をなくすることを目的としている。そして、具体的には装飾部基体51を形成する樹脂部材に金属色発色用粉末51bを添加し成型することで行うものとしている。
【0017】このときに、前記金属色発色用粉末51bは適宜な粒径を有する粉末状であるので、金属色発色用粉末51bが添加された金属色装飾部5の表面を平滑化するためには、上記に説明した鏡面部3の基体31の場合と同じ手段でよいものと成り、即ち、金属色発色用粉末51bを無機フィラー31bに置き換えて考えればよいものと成る。
【0018】よって、本発明においては、鏡面部3の基体31の場合と同じように、装飾部基体51も、前記PBT樹脂中にPET樹脂の20〜50重量%、または、PC樹脂の20〜40重量%を加え、アロイ化したPBT系樹脂51aをもって形成するものであり、このようにすることで金属面状の色彩を持つ金属色装飾部5が得られるものと成る。
【0019】そして、上記のアロイ化したPBT系樹脂51aの使用の効果を一層に確実なものとするために、金属色装飾部5においても金属色発色用粉末51bの混合比と平均粒径とを管理するものであり、前記した混合比はPBT系樹脂51aに対して5重量%以下であり、そして、平均粒径は5〜60μmである。
【0020】尚、金属色装飾部5においては鏡面部3よりも光源2から遠い距離にあるのが通常であるので、耐熱上の問題点を生じなければ前記無機フィラーの添加を省略しても良く、また耐熱上の問題点を生じるようであれば、上記に記載したのと同様に平均粒径を10μm以下としたものを5〜30重量%の範囲として添加しても良いものである。
【0021】また、前記金属色発色用粉末51bとして具体的には、アルミニウム粉、銀粉、金属蒸着したガラスファイバ、金属蒸着したガラスビーズ、TiOを成膜したガラスファイバまたはガラスビーズがあり、金属色装飾部5に求める色彩に応じて適宜なものを選択すればよいものである。
【0022】次いで、上記の構成とした本発明の車両用灯具1の作用、効果について説明する。先ず第一には、本発明により鏡面部3の形成工程および金属色装飾部5の形成工程から、有機溶剤を使用する塗装工程をなくすることができるので、環境問題に対する対応、例えば蒸発した有機溶剤の回収などが不要となり、設備投資が低減され、総合的には車両用灯具1のコストダウンを可能とする。
【0023】また、第二には本発明が提供するPBT系樹脂51aは成形収縮率が、10〜20/1000であるので、この種の用途に在来使用されていた樹脂とほとんど同じレベルであるので、今まで使用してきた金型を改造することなくそのまま使用することが可能であり、この面でもコスト負担が低減し、しかも、迅速な転換を可能とする。
【0024】
【発明の効果】以上に説明したように本発明により、ポリエチレンテレフタレート樹脂の20〜50重量%、または、ポリカーボネート樹脂の20〜40重量%と、平均粒径を10μm以下とした無機フィラーの5〜30重量%とを添加したポリブチレンテレフタレート系樹脂で少なくとも灯具の鏡面とする部分を形成し、該鏡面とする部分に直接に金属蒸着膜を形成することで鏡面部が形成されている車両用灯具、および、ポリエチレンテレフタレート樹脂の20〜50重量%、ポリカーボネート樹脂の20〜40重量%を添加したポリブチレンテレフタレート系樹脂に平均粒径5〜60μmとした金属色発色用粉末の5重量%以下を添加することで金属色装飾部が形成されている車両用灯具、および、上記鏡面部と金属色装飾部とが備えられる車両用灯具としたことで、車両用灯具における製造工程から塗装工程を排除し、有機溶剤を使用しないものとして環境問題に対応可能とする極めて優れた効果を奏するものである。
【出願人】 【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
【出願日】 平成12年4月26日(2000.4.26)
【代理人】 【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
【公開番号】 特開2001−312904(P2001−312904A)
【公開日】 平成13年11月9日(2001.11.9)
【出願番号】 特願2000−126366(P2000−126366)