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【発明の名称】 車両用灯具
【発明者】 【氏名】茂村 浩二

【要約】 【課題】グレア光の防止。見栄えの向上。

【解決手段】レンズ2には、青色の光を反射させ、かつ、赤色及び緑色の光を透過させる多層膜が設けられており、ランプハウジングの内面、すなわち、筒部材60の内面には、反射率がマンセル色票系の明度1〜5である表面処理部6が、施されている。この結果、光源バルブ4の点灯時において、光が筒部材60の表面処理部6で反射された反射光の光量は小であるから、その反射光がレンズ2を経て外部に照射されたとしても、その反射光はグレア光となる虞がなく、グレア光を防止できる。素通しレンズ2の多層膜と、反射率がマンセル色票系の明度1〜5である表面処理部6との相乗作用により、光源バルブ4の非点灯時において、金属光沢が得られるので、筒部材60の内面にアルミ蒸着や銀塗装等が施されていないのにも拘わらず、視覚的には上述の金属光沢が得られることとなり、見栄えが向上される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ランプハウジング及び素通しのレンズにより灯室が画成され、前記灯室内には光源バルブと前記光源バルブからの光を前記レンズ側に反射させて配光パターンを制御する反射面を有するリフレクタが配置されている車両用灯具において、前記レンズには、所定波長の光を反射させ、かつ、その他の波長の光を透過させる多層膜が設けられており、前記ランプハウジングの内面には、反射率がマンセル色票系の明度1〜5である表面処理部が施されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】 前記表面処理部は、前記ランプハウジングの内面に配置された前記ランプハウジングと別個の筒部材の内面に施されている、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】 前記筒部材は、プレート形状のものを筒形状に形成してなる、ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】 前記筒部材と前記ランプハウジングとには、前記筒部材が前記ランプハウジングに位置決めされた状態で取り付けられるための位置決め手段が、それぞれ設けられている、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用灯具。
【請求項5】 前記表面処理部には、文字やマークが施されている、ことを特徴とする請求項1又は2又は3又は4に記載の車両用灯具。
【請求項6】 前記多層膜は、青色の光を反射させ、かつ、その他の光を透過させる多層膜であり、前記リフレクタの反射面は、アルミ蒸着若しくは銀塗装されており、前記表面処理部は、シルク印刷された黒色をなす、ことを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5に記載の車両用灯具。
【請求項7】 前記レンズから前記リフレクタまでの奥行き寸法が前記光源バルブの光軸方向の長さ寸法よりも若干大である、ことを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レンズが素通しであるフォグランプやヘッドランプ等の車両用灯具に係り、特に、点灯時におけるグレア光を防止でき、かつ、非点灯時における見栄えが向上された車両用灯具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用灯具、例えば、フォグランプは、一般に、ランプハウジング及び素通しのレンズ(前面レンズ、前面カバー)により灯室が画成されており、その灯室内に光源バルブとその光源バルブからの光をレンズ側に反射させて配光パターンを制御する反射面を有するリフレクタとがそれぞれ配置されている。そして、光源バルブを点灯すると、光源バルブからの光がリフレクタの反射面でレンズ側に反射され、その反射光がレンズを透過して、所定の色の光、フォグランプの場合には、黄色の光として外部に所定の配光パターンで照射される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の従来の車両用灯具は、素通しのレンズを使用するので、光源バルブの非点灯時においては、外部から素通しのレンズを経て灯室内がよく見える。このために、ランプハウジングの内面がランプハウジングの材料の地の場合、見栄え上問題があるので、そのランプハウジングの内面には、リフレクタの反射面とほぼ同様に、アルミ蒸着や銀塗装等が施されていて、見栄えが向上されている。一方、ランプハウジングの内面にリフレクタの反射面とほぼ同様のアルミ蒸着や銀塗装等を施すことにより、光源バルブ点灯時においては、光がランプハウジングの内面のアルミ蒸着や銀塗装等で反射してグレア光が発生する場合がある。
【0004】本発明は、上述の従来の車両用灯具の改良に係り、その目的とするところは、光源バルブ点灯時におけるグレア光を防止でき、かつ、光源バルブ非点灯時における見栄えが向上された車両用灯具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明は、レンズに、所定波長の光を反射させ、かつ、その他の波長の光を透過させる多層膜が設けられており、ランプハウジングの内面に、反射率がマンセル色票系の明度1〜5である表面処理部が施されている、ことを特徴とする。
【0006】この結果、本発明の車両用灯具は、反射率がマンセル色票系の明度1〜5(すなわち、おおよその反射率が0〜約20%)である表面処理部により、光源バルブの点灯時において、光がランプハウジングの内面の表面処理部で反射された反射光の光量は小であるから、その反射光がレンズを経て外部に照射されたとしても、その反射光はグレア光となる虞がなく、グレア光を防止できる。また、素通しレンズの多層膜と、反射率がマンセル色票系の明度1〜5である表面処理部との相乗作用により、光源バルブの非点灯時において、金属光沢(所謂、きらきら感)が得られるので、ランプハウジングの内面にはリフレクタの反射面とほぼ同様のアルミ蒸着や銀塗装等が施されていないのにも拘わらず、視覚的には上述の金属光沢が得られることとなり、見栄えが向上される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の車両用灯具の一実施形態を添付図面を参照して説明する。この例は、フォグランプに使用した例について説明する。
【0008】図1においては、1は例えば、樹脂製のランプハウジングである。2は素通しの例えば、光透過性のガラス製のレンズである。このランプハウジング1と素通しのレンズ2とにより、灯室3が画成される。この灯室3内には、光源バルブ4と、その光源バルブ4からの光をレンズ2側に反射させて配光パターンを制御する反射面50を有するリフレクタ5とがそれぞれ配置されている。
【0009】前記ランプハウジング1は、例えば、中空状の円筒形状をなす。このランプハウジング1の前面10は、開口されており、その前面開口部10の周縁には、段部11を介して凹部12が設けられている。一方、ランプハウジング1の後部は、閉塞されており、その後部の中央には、透孔13が設けられている。この透孔13には、Oリング14を介してキャップ15が着脱可能に、かつ、水密に取り付けられている。さらに、ランプハウジング1の内面の下方中央には、位置決め手段としての凸条100が一体に突設されている。
【0010】前記レンズ2は、例えば、正面から見て円板形状をなし、中心が外側に突出した曲率半径が大の曲面、若しくは、フラット面をなし、しかも、肉厚が薄い。このレンズ2の内面(若しくは、外面、内外両面)には、多層膜(図示せず)が設けられている。この多層膜は、所定波長の光、この例では、約496〜520nm以下の青色の光を反射させ、かつ、その他の波長の光、この例では、約496〜520nm以上の赤色の光及び緑色の光を透過させるものである。また、この多層膜は、所定の光学的多層膜厚の高屈折率の反射層、例えば、TiO2 と、所定の光学的多層膜厚の低屈折率の反射層、例えば、SiO2 又はAl2 3 とを交互に多層、例えば、24層に、スパッタリング法や真空蒸着法等により形成されるものである。この多層膜としては、例えば、特開平5−3022号公報、特開平10−994号公報等に記載されている。このレンズ2の周縁が前記ランプハウジング1の凹部12にシール材16を介してリム17により着脱可能に取り付けられている。この結果、前記ランプハウジング1と素通しのレンズ2とにより灯室3が画成される。また、この素通しのレンズ2は、光軸Z−Zに対してほぼ垂直に位置する。
【0011】前記光源バルブ4は、前記リフレクタ5に、取付機構(図示せず)により着脱可能に取り付けられている。このリフレクタ5は、前記ランプハウジング1と別個のものであって、そのランプハウジング1に、光軸調整機構のピボット18及びアジャストスクリュウ19を介して光軸調整可能に取り付けられている。このリフレクタ5の表面のうち、少なくとも、レンズ2と対向する側の面には、アルミ蒸着や銀塗装等により前記反射面50が設けられている。この反射面50の反射率は、例えば、約90%である。
【0012】この例のフォグランプにおいては、前記レンズ2から前記リフレクタ5までの奥行き寸法Aが前記光源バルブ4の光軸方向Z−Zの長さ寸法Bよりも若干大である。また、この例のフォグランプにおいては、前記レンズ2は素通しであり、配光パターンの制御は前記リフレクタ5の反射面50で行うものである。
【0013】そして、前記ランプハウジング1の内面には、反射率がマンセル色票系の明度1〜5、すなわち、おおよその反射率が0〜約20%である表面処理部6が施されている。なお、この反射率0%とは、製造上、限りなく反射率0%に近いことを言う。この表面処理部6の反射率は、0〜約20%であり、これに対して、前記リフレクタ5の反射面50の反射率は、約90%であり、表面処理部6の反射率と、リフレクタ5の反射面50の反射率との間には、約4倍以上の差がある。この表面処理部6は、前記ランプハウジング1の内面のうち、レンズ2からリフレクタ5間での部分に配置された筒部材60の内面に施されている(図3中の点々にて示す部分を参照)。また、この表面処理部6は、シルク印刷された黒色(カーボンブラック)をなす。なお、シルク印刷以外の手段、例えば、クリア樹脂につや消しやマット済等を施して、明度を下げる手段等がある。
【0014】前記筒部材60は、前記ランプハウジング1と別個のものからなり、例えば、弾性を有するアルミ薄板からなり、図2及び図3に示すように、プレート形状のものを筒形状に形成してなるものである。この筒部材60の一端には、鍔部61が一体に設けられている。この筒部材60の鍔部61が前記ランプハウジング1の段部11と前記レンズ2の周縁との間において挟持される。また、この筒部材60の他端中央には、位置決め手段としての凹部63が設けられている。この筒部材60の凹部63がランプハウジング1の凸条100に嵌合する。この結果、この筒部材60は、位置決めされた状態、すなわち、筒部材60の継ぎ目62がきれいに継ぎ合わされた状態で、ランプハウジング1の内面に着脱可能に取り付けられることとなる。この筒部材60は、レンズ2をランプハウジング1の前面開口部10から外すことにより、交換可能である。
【0015】この実施形態における本発明の車両用灯具は、反射率がマンセル色票系の明度1〜5(すなわち、おおよその反射率が0〜約20%)である表面処理部6により、光源バルブ4の点灯時において、光がランプハウジング1の内面であって、筒部材60の内面の表面処理部6で反射してレンズ2を経て外部に照射されたとしても、筒部材60の表面処理部6の反射率がマンセル色票系の明度1〜5と小さいので、筒部材60の表面処理部6で反射した反射光の光量は小である。この結果、レンズ2を経て外部に照射された反射光はグレア光となる虞がないので、グレア光を防止できる。特に、この例のように、表面処理部6が黒に限りなく近くであって、反射率が0%に限りなく近い場合には、グレア光は0に限りなく近くなる。
【0016】また、この実施形態における本発明の車両用灯具は、素通しレンズ2の多層膜と、反射率がマンセル色票系の明度1〜5である筒部材60の表面処理部6との相乗作用により、光源バルブ4の非点灯時において、金属光沢(所謂、きらきら感)が得られるので、ランプハウジング1の内面、すなわち、筒部材60の内面にはリフレクタ5の反射面50とほぼ同様のアルミ蒸着や銀塗装等が施されていないのにも拘わらず、視覚的には上述の金属光沢が得られることとなり、見栄えが向上される。
【0017】特に、この実施形態にておいては、リフレクタ5の反射面50の反射率(約90%の反射率)と、筒部材60の表面処理部6の反射率(おおよそ0%の反射率、若しくは、約20%以下の反射率)との間には、約4倍以上の差がある。このために、外部からレンズ2を経て灯室3内を見た際に、リフレクタ5の反射面50と筒部材60の表面処理部6との間には明暗差が出て、リフレクタ5の反射面50の部分の色、この例では、黄色の光とアルミ蒸着や銀塗装との混合による高輝度かつ金属光沢(所謂、きらきら感)の金色と、筒部材60の表面処理部6の部分の色、この例では、金属光沢の青色との間には、変化が生じて、見栄えが向上される。しかも、この例のように、リフレクタ5が金色に輝くので、高級感が得られる。
【0018】また、この実施形態においては、灯室3内の奥のリフレクタ5の反射面50の反射率は大であり、一方、手前の筒部材60の表面処理部6の反射率は小であるから、斜め上方から灯室3内を見た場合には、視覚的に奥行き感が得られる。特に、この例のように、前記レンズ2から前記リフレクタ5までの奥行き寸法Aが小さいフォグランプの場合得策である。
【0019】さらに、この実施形態においては、レンズ2が曲率半径が大の曲面、若しくは、フラット面をなすので、光源バルブ4の非消灯時において、外部から灯室3内を見ると、金属光沢の青色の光の発散(分散)度合いが小であるから、金属光沢の青色の光がむらなく均一に見え、見栄えがさらに良くなる。
【0020】さらにまた、この実施形態においては、樹脂製のランプハウジング1と別個のアルミ製の筒部材60を使用したので、このアルミ製の筒部材60により、樹脂製のランプハウジング1を光源バルブ4の熱から保護することができる。
【0021】なお、この実施形態において、表面処理部6の色は黒色であるが、その他の色であっても良い。例えば、表面処理部6の色を赤色とした場合、視覚的には金属光沢を有する赤紫色に見える。また、青色にした場合、視覚的には金属光沢を有する緑色に見え、水色にした場合、視覚的には金属光沢を有する黄緑色に見え、茶色にした場合、視覚的には金属光沢を有する赤色に見え、等々。この場合であっても、表面処理部6の反射率は、マンセル色票系の明度1〜5とする。このように、表面処理部6の色を変えることにより、レンズ2の多層膜の反射、透過する光の色との混合により、任意所望の色が視覚的に見える。
【0022】また、この筒部材60の表面処理部6に、文字やマーク(図示せず)を施しても良い。この場合、文字やマーク等の反射率を約50〜約80%とすれば、反射率がマンセル色票系の明度1〜5の表面処理部6に対して、文字やマーク等が浮いて立体的に見える。
【0023】さらに、筒部材60を使用せずに、ランプハウジング1の内面に表面処理部6を直接施しても良い。
【0024】なお、上述の実施形態においては、フォグランプについて説明したが、本発明の車両用灯具は、フォグランプ以外のランプ、例えば、ヘッドランプ等にも適用できる。また、上述の実施形態において、レンズ2の多層膜は、青色の光を反射させて赤色の光及び緑色の光を透過させたものであるが、本発明の車両用灯具は、所定の色の光を反射させて残りの色の光を透過させるものであっても良い。さらに、上述の実施形態において、リフレクタ5は、ランプハウジング1と別個のものであるが、本発明の車両用灯具は、リフレクタとランプハウジングとが一体のものにも適用できる。
【0025】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明の車両用灯具は、反射率がマンセル色票系の明度1〜5(おおよその反射率が0〜約20%)である表面処理部により、光源バルブの点灯時において、光がランプハウジングの内面の表面処理部で反射された反射光の光量は小であるから、その反射光がレンズを経て外部に照射されたとしても、その反射光はグレア光となる虞がなく、グレア光を防止できる。また、素通しレンズの多層膜と、反射率がマンセル色票系の明度1〜5である表面処理部との相乗作用により、光源バルブの非点灯時において、金属光沢(所謂、きらきら感)が得られるので、ランプハウジングの内面にはリフレクタの反射面とほぼ同様のアルミ蒸着や銀塗装等が施されていないのにも拘わらず、視覚的には上述の金属光沢が得られることとなり、見栄えが向上される。
【出願人】 【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
【出願日】 平成12年1月12日(2000.1.12)
【代理人】 【識別番号】100059269
【弁理士】
【氏名又は名称】秋本 正実
【公開番号】 特開2001−195911(P2001−195911A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−6345(P2000−6345)