トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F21 照明




【発明の名称】 車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法
【発明者】 【氏名】夏目 和典

【氏名】前田 正弘

【要約】 【課題】複数の反射面素子からなる反射面において、灯具の点灯時に生じる光の面内分布不均一性が低減されるとともに、その設計効率が向上される車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法を提供する。

【解決手段】形状制約条件等を満たす自由曲面20を基本形状とし、自由曲面20をアレイ状に区分したセグメントに反射面素子を割り付けた構成とした反射鏡1の反射面10aの形状決定方法において、自由曲面20を作成した段階での光入射角度による評価及び選別と、複数の反射面素子からなる反射面を作成した段階での光反射領域による評価及び選別との2段階で面形状の評価及び選別を行う。これによって、得られる反射面において発生する光不均一性が低減されるとともに、設計効率が向上される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両用灯具に用いられる反射鏡の反射面決定方法であって、光源が配置されるべき光源位置と、前記光源位置を通り前記光源からの光が反射鏡によって反射されるべき方向を指定する光軸と、を設定する条件設定ステップと、所定の形状制約条件を満たす自由曲面を作成する自由曲面作成ステップと、所定の機能条件を満たす前記自由曲面を反射面の作成に使用する自由曲面として選別する自由曲面選別ステップと、選別された前記自由曲面を複数のセグメントに区分し、それぞれの前記セグメントに、前記光源位置に配置される前記光源からの光を前記光軸に沿った方向に反射させる反射面素子を割り付けて、複数の前記反射面素子を含む反射面を作成する反射面作成ステップと、前記反射面の光反射特性を評価するための評価用軸を設定するととともに、前記光源位置に配置される前記光源からの光が入射されて前記評価用軸方向に反射される反射領域を前記反射面の各部位に対して求めて光反射領域分布を作成し、前記光反射領域分布が所定の領域分布条件を満たす前記反射面を反射鏡に使用する反射面として選別する反射面選別ステップとを有することを特徴とする車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法。
【請求項2】 前記自由曲面選別ステップにおいて、前記光源位置に配置される前記光源からの光が入射される入射角度を前記自由曲面の各部位に対して求めて光入射角度分布を作成し、前記光入射角度分布が所定の前記機能条件である角度分布条件を満たす前記自由曲面を反射面の作成に使用する自由曲面として選別することを特徴とする請求項1記載の車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法。
【請求項3】 前記反射面選別ステップは、前記反射面に対向する平面として評価面を規定する評価面規定ステップと、前記評価面上において複数の評価点を設定する評価点設定ステップと、前記評価面上のそれぞれの前記評価点から、前記反射面に向かって前記評価用軸方向に仮想的に光線を伸ばし、その入射光線を前記反射面上の反射点で反射させたときの前記光源位置への反射光線の到達の有無を前記反射面の各部位での前記評価用軸方向への光反射の有無として前記反射領域を求める光反射領域導出ステップと、求められた前記反射領域によって前記光反射領域分布を作成して、前記反射面の評価を行う光反射領域分布評価ステップとを有することを特徴とする請求項1記載の車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法。
【請求項4】 前記評価点設定ステップにおいて、前記評価面上を区分して複数の評価用セグメントを作成し、それぞれの前記評価用セグメント内において少なくとも1つの前記評価点を設定するとともに、前記光反射領域導出ステップにおいて、それぞれの前記評価用セグメント内で設定された前記評価点に対して求められた光反射の有無を前記評価用セグメント内での光反射の有無とすることを特徴とする請求項3記載の車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法。
【請求項5】 前記評価点設定ステップにおいて、前記反射面素子が割り付けられている前記セグメントよりも小さいピッチで区分されて、前記評価用セグメントが作成されることを特徴とする請求項4記載の車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法。
【請求項6】 前記反射面作成ステップにおいて、複数の前記反射面素子のそれぞれの面形状は、前記光源位置に配置される前記光源からの光を前記光軸方向に反射させる形状とされるとともに、前記反射面選別ステップにおいて、前記光軸を前記評価用軸に設定して、求められた前記光反射領域分布によって前記反射面の選別を行うことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法。
【請求項7】 前記反射面作成ステップにおいて、複数の前記反射面素子のそれぞれの面形状は、前記光源位置に配置される前記光源からの光を前記光軸方向から所定範囲で拡散された方向に拡散反射させる拡散反射領域を有する形状とされるとともに、前記反射面選別ステップにおいて、複数の前記評価用軸を設定して、それぞれについて求められた前記光反射領域分布によって前記反射面の選別を行うことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両に用いられる車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用灯具においては、ランプとしての(1)機能に関する側面からの条件に加えて、自動車などの車両に取り付けた状態で使用されることから、(2)形状に関する側面からの条件(形状制約条件)、及び(3)外観に関する側面からの条件(外観制約条件)が課せられる。したがって、与えられた形状面及び外観面からの制約条件を満たした上で、機能面からの条件が最適化された灯具を実現することが求められる。
【0003】機能面からの条件としては、灯具の種類によって、灯具全体が均一に光る光均一性や、光が適切に拡散されて様々な方向から見ても光る光拡散性、などが要求される。
【0004】また、車両・車体側からの制約条件については、形状制約条件としては、車体の灯具収納部の容積及び形状や、灯具外面(レンズ外面)の他の車体部分との連続した形状、などによる条件がある。また、外観制約条件としては、他の車体部分の外観との調和や、車体のデザイン面からの要求などによる条件がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、車体構成上における灯具収納部に対する制限や、車両のデザイン性の高まり等により、灯具のさらなる薄型化などの厳しい形状制約条件が要求されている。この場合、例えば単一焦点放物面を反射面の基本形状とした反射鏡を用いると、灯具の厚さを充分に低減させることができず、上記した灯具の薄型化などの形状制約条件に適合させることが困難である。
【0006】これに対して、反射面の基本形状を形状制約条件等に適合させて作成した自由曲面とする反射鏡が提案されている。自由曲面を用いた場合には、その設計上の自由度から灯具の薄型化など形状制約条件への対応が比較的容易である(例えば、特開平9−33708号公報参照)。ただし、反射面の各部位での反射面形状については、与えられた光軸に沿って光源からの光を反射する機能面からの条件を満たす必要があるので、通常は回転放物面形状、またはそれに近似して光拡散機能を有する形状とされる。そのため、上記した自由曲面を複数のセグメントに区分し、その各セグメントに回転放物面等をそれぞれの反射面形状とする反射面素子を割り付けることによって反射面を形成することが行われる。
【0007】上記したように、最初に基本形状として自由曲面を決定し、その後に自由曲面上をセグメントに区分し反射面素子を割り付けて全体の反射面形状を決定すると、各反射面素子内の反射面において光源からみて他の反射面素子の影となって灯具の点灯時においても光らない領域が発生するなど、光源からの光の反射において面内での分布不均一性を生じる場合がある。このような光らない領域の発生については、それぞれの反射面素子において占める割合があまり大きくなく、また、各反射面素子でほぼ一様な割合で生じている場合には、灯具の点灯時においてもその光不均一性は顕著にはならない。
【0008】しかしながら、自由曲面を基本形状とする反射面の作成においては、与えられる形状制約条件等によって、通常その形状が個々の灯具で大きく異なり、また、非対称な自由曲面形状となることが多い。特に、灯具の薄型化の条件によって、反射面の各部位に対する光源からの光の入射及び光軸方向への反射に対して、厳しい条件が課せられることとなる。そのため、各灯具において、与えられた形状制約条件を満たした上で、光が入射・反射されて明るい部分と、それ以外の暗い部分との分布不均一性が目立たない反射面を得ることが難しくなり、また、その設計工程において何度も反射面形状を作成し直すなど、設計効率が低下してしまうという問題を生じる。
【0009】本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、複数の反射面素子からなる反射面において、灯具の点灯時に生じる光の面内分布不均一性が低減されるとともに、その設計効率が向上される車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明による車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法は、(1)光源が配置されるべき光源位置と、光源位置を通り光源からの光が反射鏡によって反射されるべき方向を指定する光軸と、を設定する条件設定ステップと、(2)所定の形状制約条件を満たす自由曲面を作成する自由曲面作成ステップと、(3)所定の機能条件を満たす自由曲面を反射面の作成に使用する自由曲面として選別する自由曲面選別ステップと、(4)選別された自由曲面を複数のセグメントに区分し、それぞれのセグメントに、光源位置に配置される光源からの光を光軸に沿った方向に反射させる反射面素子を割り付けて、複数の反射面素子を含む反射面を作成する反射面作成ステップと、(5)反射面の光反射特性を評価するための評価用軸を設定するととともに、光源位置に配置される光源からの光が入射されて評価用軸方向に反射される反射領域を反射面の各部位に対して求めて光反射領域分布を作成し、光反射領域分布が所定の領域分布条件を満たす反射面を反射鏡に使用する反射面として選別する反射面選別ステップとを有することを特徴とする。
【0011】上記した車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法においては、反射面決定時(設計時)に得られる反射面形状について、その設計時の評価及び選別を、基本形状である自由曲面を作成した段階、及び複数の反射面素子を割り付けた反射面を作成した段階の2つの段階でそれぞれ行っている。これによって、薄型化などの形状制約条件を満たすと同時に、灯具の機能面において点灯時の好適な光均一性が実現される車両用灯具の反射鏡が効率的に得られる反射面決定方法とすることができる。
【0012】ここで、自由曲面の段階での評価及び選別は、灯具に用いられる反射鏡の反射面としての機能面からの条件(機能条件)によって行っている。自由曲面が作成された段階においても、反射面としたときの光均一性の条件などに対してある程度の検討が可能である。また、この自由曲面の形状は、反射面素子を作成した後の影の出来方についても影響を与える。自由曲面段階においては、これらの問題に対して評価を行って、自由曲面の選別を行う。
【0013】また、複数の反射面素子からなる反射面の段階での評価及び選別は、設定された評価用軸方向への反射領域によって行っている。反射面上での光反射領域は、点灯時に評価用軸方向から灯具を見たときの見え方(光り方)を示すものであり、これに関しては、上述したように、各反射面素子内の反射面において光源からみて他の反射面素子の影となって灯具の点灯時においても光らない領域が発生するなどの問題がある。反射面段階においては、これらの問題に対して光反射領域分布を作成して評価を行って、反射面の選別を行う。
【0014】反射面形状の評価を、例えば複数の反射面素子からなる反射面の段階のみで行うのではなく、上記のように2つの段階においてそれぞれ異なる方法で評価及び選別を行うことによって、最終的に得られる反射面での点灯時の面内光分布における不均一性の発生を低減することができる。また、好適な光均一性を有する反射面を得るための設計工程を簡単化して、設計効率を向上させることができる。
【0015】なお、反射面選別ステップにおける反射面の評価は、例えば、計算による光線追跡などの手法によって点灯時における反射面内の各部位における光り方について調べることによって行うことができる。
【0016】また、自由曲面選別ステップにおいて、光源位置に配置される光源からの光が入射される入射角度を自由曲面の各部位に対して求めて光入射角度分布を作成し、光入射角度分布が所定の機能条件である角度分布条件を満たす自由曲面を反射面の作成に使用する自由曲面として選別することを特徴とする。
【0017】自由曲面上での光入射角度に関しては、自由曲面上の部位に対する光の入射角度が小さすぎる領域があると、その領域に入射される光量が領域面積に対して小さくなるため、反射面としたときにその領域で反射されて灯具から出射される光強度が低下してしまうなどの問題がある。また、この入射角度は、反射面素子を作成した後の影の出来方や光の入射の有無にも影響する。したがって、自由曲面の段階での機能条件の評価に光入射角度を用いることによって、光分布の不均一性の発生を低減させることができる。
【0018】また、反射面選別ステップは、(5a)反射面に対向する平面として評価面を規定する評価面規定ステップと、(5b)評価面上において複数の評価点を設定する評価点設定ステップと、(5c)評価面上のそれぞれの評価点から、反射面に向かって評価用軸方向に仮想的に光線を伸ばし、その入射光線を反射面上の反射点で反射させたときの光源位置への反射光線の到達の有無を反射面の各部位での評価用軸方向への光反射の有無として反射領域を求める光反射領域導出ステップと、(5d)求められた反射領域によって光反射領域分布を作成して、反射面の評価を行う光反射領域分布評価ステップとを有することを特徴とする。
【0019】評価面上に所定の個数及び配置によって複数の評価点を設定し、それらの評価点を利用して光反射領域の評価を行うことによって、反射面内において実際に光反射の評価を行う部位及びその配置を好適に設定することができるなど、評価及び選別を確実かつ効率的に行うことができる。
【0020】また、灯具の点灯時における実際の光線に相当する光源からの光線追跡を行うのではなく、あらかじめ評価用軸及び評価点が与えられることに対応して、評価面側から評価用軸方向に逆に光線追跡を行っている。これによって、それぞれの評価用軸及び評価点についての光反射の評価をより確実に行うことができる。
【0021】さらに、評価点設定ステップにおいて、評価面上を区分して複数の評価用セグメントを作成し、それぞれの評価用セグメント内において少なくとも1つの評価点を設定するとともに、光反射領域導出ステップにおいて、それぞれの評価用セグメント内で設定された評価点に対して求められた光反射の有無を評価用セグメント内での光反射の有無とすることを特徴としても良い。
【0022】このように評価用セグメントに区分した上で、評価点の設定と光反射評価を行うことによって、反射面素子が割り付けられている反射面上のセグメント構造や、求められている灯具の性能等を考慮して、評価点の個数及び配置を好適に設定することができる。また、このような評価用セグメントは、光反射領域分布の作成にも利用することができる。
【0023】このとき、評価点設定ステップにおいて、反射面素子が割り付けられているセグメントよりも小さいピッチで区分されて、評価用セグメントが作成されることが好ましい。これによって、各反射面素子内での光反射領域分布を評価することができる。
【0024】上述したような評価用軸方向からの光反射評価は、評価しようとする反射面形状によって、1回または複数回行うことができる。
【0025】例えば、反射面作成ステップにおいて、複数の反射面素子のそれぞれの面形状は、光源位置に配置される光源からの光を光軸方向に反射させる形状とされるとともに、反射面選別ステップにおいて、光軸を評価用軸に設定して、求められた光反射領域分布によって反射面の選別を行うことを特徴としても良い。この場合、反射面によって反射された光源からの光は、すべて光軸方向に出射されるので、光軸を評価用軸として設定して1回の光反射評価を行うことによって、その光均一性を好適に設定することができる。
【0026】あるいは、反射面作成ステップにおいて、複数の反射面素子のそれぞれの面形状は、光源位置に配置される光源からの光を光軸方向から所定範囲で拡散された方向に拡散反射させる拡散反射領域を有する形状とされるとともに、反射面選別ステップにおいて、複数の評価用軸を設定して、それぞれについて求められた光反射領域分布によって反射面の選別を行うことを特徴としても良い。この場合、反射面によって反射された光源からの光は、光軸を含む所定の角度範囲に出射されるので、その角度範囲内で複数の評価用軸(光軸を含んでも良い)を設定して複数回の光反射評価を行うことによって、その光均一性を好適に設定することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面とともに本発明による車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0028】図1は、本発明による車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法によって得られた反射面を有する反射鏡について、その反射鏡を備える車両用灯具の一実施形態の構成を一部破断して示す分解斜視図である。また、図2は、図1に示した車両用灯具の反射鏡の構成を示す平面図である。なお、図1においては、反射鏡及びレンズの固定・位置決め部分の構造等について図示を省略している。また、以下においては、図1及び図2にX、Y、Zの座標軸を示すように、灯具の左右方向をX軸、上下方向をY軸、灯具の光軸Axの方向である前後方向をZ軸とする。
【0029】本実施形態による車両用灯具は、例えば自動車のテールランプなどの標識灯に適用されるものであり、この灯具は図1に示すように反射鏡1と、レンズ3とを有して構成されている。
【0030】反射鏡1は、灯具が取り付けられる車両の前後方向や灯具の投光方向等からあらかじめ設定される光軸Axに対して略垂直方向に広がって形成され、その光軸Ax前方側のレンズ3と対向する面が光を反射する反射面10aとされている反射鏡部10と、反射面10aを囲うように設けられてレンズ3との位置決めや固定等を行う外枠部12と、を有してZ軸方向から見て略矩形状に形成されている。また、反射鏡部10の略中心の位置に形成されている光源挿入孔11から光源バルブBが挿入され、その光源点Fが光軸Ax上の所定の位置(光源位置)となるように反射鏡1に対して配置されて固定されている。また、レンズ3は光軸Axに対して略垂直に設置されている。
【0031】ここで、反射鏡1の略矩形状の外周形状(外枠部12の外形形状等)や、光軸Axに対するレンズ3の設置角度、光源バルブBの配置位置等の諸条件については、本実施形態はその一例を示すものであって、一般にはそれらの条件は車体での灯具収納部の容積及び形状や、灯具外面(レンズ外面)の他の車体部分との連続した形状など、車体側から与えられる形状制約条件を考慮して適宜設定される。また、反射鏡1の反射面10aについては、その具体的な作製方法については特に限定されるものではなく、様々の作製方法による反射鏡を有する灯具に対して後述する反射面決定方法が適用可能である。
【0032】図1においては、車両用灯具を構成する反射鏡1及びレンズ3を分解して示すともに、反射鏡1の外枠部12について(図中での)上側及び右側部分を一部破断して、反射面10aの形状を示している。ただし、この図1では、アレイ状に配列されて反射面10aを構成する複数の反射面素子40(図2参照)を図示せず、反射面10aの基本形状となる自由曲面20によって概略的にその面形状を示している。
【0033】自由曲面20は、反射面10aの基本形状を指定するものとしてその面形状決定に用いられる曲面であり、基本形状として単一回転放物面を用いずに、形状制約条件を満たすなど一定の条件を満たす曲面が自由曲面として選別される。
【0034】反射面10aは、その基本形状である自由曲面20を図2に示すようにアレイ状に区分した各セグメント41に、複数の反射面素子40(図2中に示した矩形状の個々の区画部分)をそれぞれ割り付けることによって構成される。図2においては、そのうちの1つのセグメント41に割り付けられた反射面素子40について、その範囲を明示するために斜線を付して示してある。
【0035】本実施形態における反射面10aの構成は、それぞれの反射面素子40に対応する各セグメント41の形状がZ軸方向から見て同形の矩形状となるように、互いに垂直なX軸方向及びY軸方向についてそれぞれ一定のピッチでセグメントに分割した構造とされている。また、各反射面素子40は、光軸Axに沿って光源バルブBからの光を反射させる反射面形状によって形成されている。
【0036】上記した構成の車両用灯具を例として、車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法について説明する。図3は、本発明による車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法の一実施形態を示すフローチャートである。本実施形態による反射面決定方法は、条件設定ステップ100、自由曲面作成ステップ101、自由曲面選別ステップ102、反射面作成ステップ103、反射面選別ステップ104の各ステップを有し、最終的に反射面決定ステップ105において反射面形状が決定される。さらに、自由曲面選別ステップ102は、光入射角度導出ステップ102a、及び光入射角度分布評価ステップ102bを有する。また、反射面選別ステップ104は、評価面規定ステップ104a、評価点設定ステップ104b、光反射領域導出ステップ104c、及び光反射領域分布評価ステップ104dを有する。
【0037】条件設定ステップ(ステップ100)
【0038】車両用灯具に用いる反射鏡の反射面形状の決定においては、最初に、形状決定に必要な諸条件を設定する。
【0039】設定される条件としては、光源バルブBが設置される位置とその光源点Fの位置(光源位置)、その光源位置を通る軸であって反射面によって光源からの光が反射されて灯具から出射される方向を指定する光軸Ax、などがある。その他の条件についても、必要があれば設定しても良い。また、設定する各条件とは別に、車体側からの形状制約条件などが灯具または反射鏡に対してあらかじめ与えられている。
【0040】自由曲面作成ステップ(ステップ101)
【0041】次に、反射面10aの基本形状となる自由曲面20を作成する。
【0042】自由曲面20は、灯具の機能面からの条件、及び車体側からの形状制約条件などを考慮して作成される。自由曲面20に求められる機能面からの条件としては反射面10aの光反射特性に関する光均一性などがあるが、灯具の種類などによって必要とされる性能は異なる。これらの条件、及び条件設定ステップ100において設定された光源位置(光源バルブB及び光源点F)及び光軸Axなどの条件を参照しつつ、自由曲面20を作成する。
【0043】自由曲面選別ステップ(ステップ102)
【0044】次に、自由曲面作成ステップ101において作成された自由曲面20から、反射面10aの作成に使用する自由曲面を選別する。
【0045】本実施形態においては、自由曲面選別ステップ102は、以下に述べる光入射角度導出ステップ102a、及び光入射角度分布評価ステップ102bからなる。
【0046】光入射角度導出ステップ(ステップ102a)
【0047】まず、自由曲面20の各部位に対する光源位置に配置される光源からの光の入射角度を求める。
【0048】図4は、自由曲面20を仮に反射鏡1の反射面形状としたときの灯具形状(したがって、実際に作製される灯具形状とは異なる)の、光軸Axに平行な平面による側面断面図である。
【0049】自由曲面20の評価に用いる光入射角度θは、図4に示すように、条件設定ステップ100において設定された光源位置(光源点F)に光源(光源バルブB)が配置されたものとして、その光源からの光の自由曲面20への入射光線と自由曲面20とのなす角によって与えられる。この光入射角度θを、自由曲面20上の各部位についてそれぞれ求める。また、光源からの光が自由曲面20の他の部位に遮られて入射できない部位があれば、それについても調べる。
【0050】光入射角度分布評価ステップ(ステップ102b)
【0051】次に、光入射角度導出ステップ102aにおいて求められた自由曲面20の各部位での光入射角度θに基づいて光入射角度分布を作成し評価して、反射面10aの作成に使用する自由曲面を選別する。
【0052】自由曲面20上での光入射角度θについては、光入射角度θが小さすぎる部位があると、その部位に入射される光量が小さくなるなどの問題を生じる。例えば、反射面全体の形状が矩形である場合には、その4隅近傍の自由曲面20上の部位は光源からの距離が遠くなる(図1及び図2参照)。このとき、4隅に向かう矩形形状の対角線方向において、4隅の部位まで光源からの光を入射させるために自由曲面20の形状が遠方で他の部分と比べて平坦となり、そのために光源からの光入射角度θが小さくなる場合がある(図4に示す領域20a)。また、車体への取り付け時に灯具近傍に位置する他の部材との位置関係によって、自由曲面20上に局所的な凸状領域を生じる場合もある。
【0053】このような問題に対して、あらかじめ許容される角度分布条件を設定しておき、この条件にしたがって、自由曲面20に対して得られた光入射角度分布を評価して、好適な自由曲面20を選別する。
【0054】光入射角度分布については、光入射角度導出ステップ102aで自由曲面20の各部位に対して得られた光入射角度θのデータをコンピュータ等によってデータ処理して、光入射角度分布を作成するとともに、その光入射角度分布を示す2次元画像データを作成することが好ましい。このような2次元画像データを表示装置(コンピュータのディスプレイなど)に表示させることによって、設計者が、表示された光入射角度分布データが角度分布条件に適合しているかどうかを判断することが可能となる。この場合、2次元画像データの構成方法としては、光入射角度に基づいて自由曲面20の各部位に対応するピクセルの色を設定し、その色分布によって角度分布を見る方法や、等高線状の等入射角度曲線を用いて角度分布を表す方法などがある。
【0055】また、光入射角度分布に対して適用する角度分布条件を数値化し、その角度分布数値条件を得られた光入射角度分布が満たしているかどうかをコンピュータ等による演算処理で自動判別するようにしても良い。
【0056】一方、光入射角度θの評価及び自由曲面20の選別に用いる角度分布条件については、灯具の種類や要求される機能等に対応して各灯具に対して適宜設定することが可能である。一般的には、上記したように光源からの光入射角度θが小さくなり過ぎないようにする条件が挙げられる。この場合、許容される光入射角度θの最小値を角度分布条件として設定しておき、光入射角度分布の全体で光入射角度θが設定された最小値以上となる自由曲面20を選別することが可能である。
【0057】あるいは、角度分布における光入射角度θの変化率(自由曲面20の面内での位置変化に対する入射角度変化)が大きくなり過ぎないようにする条件が挙げられる。この場合、許容される入射角度変化率の最大値を角度分布条件として設定しておき、光入射角度分布の全体で入射角度変化率が設定された最大値以下となる(急激に入射角度が変化する部位がない)自由曲面20を選別することが可能である。
【0058】これらの角度分布条件については、必ずしも条件が数値化されている必要はなく、光入射角度分布を示す画像データを見て設計者が判断するための判断基準などのように条件が設定されても良い。
【0059】反射面作成ステップ(ステップ103)
【0060】次に、自由曲面選別ステップ102において選別された自由曲面20を使用して、複数の反射面素子40を含む反射面10aを作成する。
【0061】ここでは、自由曲面20上を複数のセグメントに区分し、各セグメントに反射面素子を割り付けて反射面10aを作成する。例として、図2に示した反射鏡1では、互いに直交するX軸方向及びY軸方向を2つの区分方向とし、Z軸方向から見たときに、それぞれの方向に沿って一定のピッチとなる矩形状に自由曲面20を区分して、アレイ状に配列された複数のセグメント41を生成している。そして、それらのセグメント41のそれぞれに対して所定の面形状を有する反射面素子40を割り付けることによって、反射面10aの全体を構成する。自由曲面20の複数のセグメントへの区分については、自由曲面20上を直接分割していく方法や、別に設計用の仮想平面を設けて分割を行う方法など、様々な方法を用いることができる。
【0062】各セグメント41に割り付けられる反射面素子40の反射面形状については、図5に示すように、光源点Fに配置される光源からの光を光軸Ax(Z軸)の方向に反射させる面形状とすることが好ましい。このとき、それぞれの反射面素子40での反射面40aの具体的な面形状としては、光源点Fを焦点、光軸Axを中心軸として、自由曲面20上の各セグメント41の位置に対応して設定された焦点距離(各反射面素子40で異なる)で生成された回転放物面を用いることができる。図5に示した反射面素子40では、その反射面40aの全体が回転放物面からなる放物面部45から構成されている。また、セグメント41の大きさや実際の反射鏡作製精度等によっては、回転放物面を近似した平面などを面形状として用いても良い。
【0063】また、反射面素子40の反射面形状について、図6に示すように、光源点Fに配置される光源からの光を光軸Ax(Z軸)を含む所定の角度範囲で拡散された方向に拡散反射させる面形状とすることも可能である。このとき、それぞれの反射面素子40での反射面40aの具体的な面形状としては、上記した回転放物面形状に所定の光拡散機能を有するように変形を加えた形状を用いることができる。図6に示した反射面素子40では、その反射面40aは、回転放物面形状に形成されている放物面部45と、光拡散機能を有するように回転放物面形状に対して凸状形状に形成(変形)されている拡散反射部46とを有して構成されている。
【0064】ここで、放物面部45は隣接する反射面素子40の影となる部分であり、実際に光源バルブBからの光が入射される部分は、図6の例においては拡散反射部46として構成されている。また、この拡散反射部46はX軸方向のみについて光拡散機能を有するようにシリンドリカルな形状に形成されており、Y軸方向については略平行光の状態で光が反射される。このとき、車両用灯具のレンズ3としては、図1に示したY軸方向についての光拡散機能を有するレンズステップ3aなどが用いられる。
【0065】反射面素子40の反射面40aが有する光拡散機能については、灯具に要求されている外観制約条件、機能条件、及び用いられるレンズ3の形状などから設定される。例えば、X軸方向及びY軸方向の2方向について光拡散機能を有する拡散反射部46の形状とすることも可能である。
【0066】反射面選別ステップ(ステップ104)
【0067】次に、反射面作成ステップ103において作成された反射面10aから、反射鏡1に使用する反射面を選別する。
【0068】本実施形態においては、反射面選別ステップ104は、以下に述べる評価面規定ステップ104a、評価点設定ステップ104b、光反射領域導出ステップ104c、及び光反射領域分布評価ステップ104dからなる。
【0069】評価面規定ステップ(ステップ104a)
【0070】まず、反射面作成ステップ103において作成された反射面10aに対して、評価に用いる評価用軸Lx及び対応する評価面50を規定する。
【0071】図7は、反射面10aに対する評価用軸Lx及び評価面50の設定について示す斜視図である。なお、図7においては、反射面素子40が割り付けられるセグメント41と評価面50上の評価用セグメント51との対応を示すため、複数の反射面素子40からなる反射面10aにかわって、複数のセグメント41に区分された自由曲面20を示している。
【0072】まず、反射面10a(図7には自由曲面20で示されている)を評価する評価用軸Lxを設定する。評価用軸Lxは、この評価用軸Lxの方向に反射面10aから反射されてくる光の有無によって、灯具の点灯時における反射領域(灯具の光り方)を評価するためのものであり、光軸Ax、または光軸Axに対して所定の角度をなす軸に設定される。図7に示す例においては、評価用軸Lxを光軸Axと一致させて設定している。
【0073】この評価用軸Lxに対応して、反射面10aに対向する評価用の仮想平面である評価面50が規定される。評価面50は、反射面10a、あるいは反射鏡1を含む灯具、を評価用軸Lxの方向から見たときの視野平面に相当するものであり、例えば評価用軸Lxに直交する平面として、光軸Axが通る自由曲面20上の点Pに対応する点P’を含んで設定される。ここで、評価面50上で反射面10aに対応する領域(図7においては矩形の領域)を示す区画領域を、反射面外形50aとする。
【0074】評価点設定ステップ(ステップ104b)
【0075】次に、評価面規定ステップ104aにおいて規定された評価面50において、評価に用いる複数の評価点52を設定する。
【0076】評価点52は光反射を評価するための光線追跡の基点となる点であり、評価面50上の反射面外形50a内に、光反射の評価及び反射面10aの選別に必要な個数や配置などの所定の条件で分布するように設定される。図7においては、そのように複数の評価点52を設定する方法の例として、評価面50上に複数の評価用セグメント51を生成して評価点52を設定する方法が示されている。
【0077】図7に示した例においては、まず、評価面50上の反射面外形50a内の領域を、X軸方向及びY軸方向を2つの区分方向として一定のピッチで区分して、複数の評価用セグメント51を生成する。この評価用セグメント51は、基本的には反射面10aでのセグメント41とは独立に設定される。
【0078】このとき、反射面10aの各反射面素子40(セグメント41)内での光反射の分布を評価するため、評価用セグメント51を生成する区分ピッチをセグメント41の区分ピッチよりも小さくすることが好ましい。図7では、評価用セグメント51のピッチをセグメント41のピッチの1/2(1/整数)として作図してある。ただし、この評価用セグメント51のピッチは、必ずしもセグメント41のピッチの1/整数とする必要はない。
【0079】続いて、それぞれの評価用セグメント51内に少なくとも1つの評価点52を設定する。図7においては、反射面外形50a内の評価用セグメント51のうち右端から3番目、上端から8番目に位置する評価用セグメント51、及びその周辺の評価用セグメント51について、設定された評価点52を図示している。それ以外の評価点については図示を省略しているが、これらの評価点52は、反射面外形50a内のすべての評価用セグメント51に対して、同様にその中心点の1点に設定されている。なお、図中においては、上記した評価用セグメント51内の評価点52から反射面10a(自由曲面20)の方向に向かう矢印によって、評価用軸Lxを示してある。
【0080】光反射領域導出ステップ(ステップ104c)
【0081】次に、評価点設定ステップ104bにおいて設定された複数の評価点52から光線追跡を行って、反射面10aの各部位における光反射の有無による光の反射領域を求める。
【0082】図8は、複数の反射面素子40からなる反射面10aを反射鏡1の反射面形状としたときの灯具形状の光軸Axに平行な平面による側面断面図である。この図8においては、光反射の評価のための光線追跡の例として、評価面50上の2つの評価点521及び522からの光線追跡について示してある。
【0083】評価点52からの光線追跡は、評価面50上の各評価点52から反射面10aの方向に評価用軸Lx方向に沿って光線を伸ばし、その光線と反射面10a(各反射面素子40の反射面40a)との交点である反射点42によって光線を反射させる。そして、その反射光線が光源位置(光源点F)に到達するかどうかによって、反射面10a上の各部位における評価用軸Lx方向への光反射(灯具からの光出射)の有無を求める。
【0084】図8に示した例では、評価点521からの光線L1は、反射面素子401の反射面上の反射点421によって反射されて、光軸Ax上の光源点Fに到達している。したがって、この評価点521においては、反射面10aによる光反射、すなわち点灯時における灯具からの光の出射、が有ると評価される。
【0085】一方、評価点522からの光線L2は、反射面素子402の反射面上の反射点422によって反射されるが、その反射光路上に光源側に隣接する他の反射面素子が存在するため、反射光線は光源点Fに到達することができない。したがって、この評価点522においては、反射面10aによる光反射が無いと評価される。
【0086】このような光線追跡による光反射の評価を、評価面50上に設定されたすべての評価点52について順次行い、灯具の点灯時に光源位置に配置される光源からの光が評価用軸Lx方向に反射される反射領域を求める。
【0087】なお、必要があれば、光源位置に配置される光源が点光源でなく有限の大きさ及び形状(例えばフィラメント形状)を有することによる効果をも考慮して、光反射領域を求めても良い。この場合、設定された光源位置の範囲内に光が到達した場合に光反射ありとするなどの方法がある。
【0088】光反射領域分布評価ステップ(ステップ104d)
【0089】次に、光反射領域導出ステップ104cにおいて求められた反射面10aの各部位での光反射領域(各部位での光反射の有無)に基づいて光反射領域分布を作成し評価して、反射鏡1の作製に使用する反射面を選別する。
【0090】反射面10a上での光反射領域については、各反射面素子40において生じる他の反射面素子の影などの光反射のない部分(以下、暗部という)の、光反射のある部分(以下、明部という)に対する割合が大きくなったり、反射面10a全体において、暗部が多い部分や、明部が多い部分などの明暗部分の分布偏りがあると、点灯時に灯具から出射される光不均一性が大きくなるという問題を生じる。例えば、図4に示す領域20bのように光源からみて凹状、あるいはそれに近い形状になっている自由曲面20上の領域や、自由曲面20で面形状の変化が大きい領域において反射面素子40の割り付けを行うと、このような明暗が大きくなり、光不均一性が顕著になる場合がある。
【0091】このような問題に対して、あらかじめ許容される領域分布条件を設定しておき、この条件にしたがって、反射面10aに対して得られた光反射領域分布を評価して、好適な反射面10aを選別する。
【0092】光反射領域分布については、光反射領域導出ステップ104cで反射面10aの各部位に対して得られた光反射領域のデータ(光反射の有無のデータ)をコンピュータ等によってデータ処理して、光反射領域分布を作成するとともに、その光反射領域分布を示す2次元画像データを作成することが好ましい。このような2次元画像データを表示させることによって、自由曲面20の選別時と同様に、設計者が、表示された光反射領域分布が領域分布条件に適合しているかどうかを判断することが可能となる。この場合、2次元画像データの構成方法としては、光反射の有無(点灯時の明暗)に基づいて反射面10aの各部位に対応するピクセルを白(明)または黒(暗)に設定し、その白黒パターンによって領域分布を見る方法などがある。
【0093】また、光反射領域分布に対して適用する領域分布条件を数値化し、その領域分布数値条件を得られた光反射領域分布が満たしているかどうかをコンピュータ等による演算処理で自動判別するようにしても良い。
【0094】図7に示したように評価面50上の反射面外形50a内を評価用セグメント51に区分し、それぞれに評価点52を設定して光反射評価を行った例では、評価点52に対して得られた光反射の有無を対応する評価用セグメント51における光反射の有無として、光反射領域分布を作成することができる。
【0095】図9は、このようにして得られる光反射領域分布について、反射面10aの一部を拡大して示す平面図である。図9においては、それぞれのセグメント形状が略正方形として配列された複数のセグメント41について、2×2で4個のセグメント41及びそれらに割り付けられた反射面素子40を示している(実線で示した4個の正方形)。一方、評価用セグメント51については、そのピッチを、X軸方向及びY軸方向ともにセグメント41のピッチの1/4に設定して、上記した反射面素子40に対応している8×8で64個の評価用セグメント51を示している(点線で示した64個の正方形)。
【0096】また、4つの反射面素子40のうち、図中の左下側に位置する反射面素子40内に位置する16個の評価用セグメント51に対して、それぞれの評価用セグメント51の中心点として設定された評価点52を図示してある。図示しない他の評価点52も同様である。これらの評価点52は、評価用軸Lxを光軸Axと一致させている場合には、反射面10a上の反射点42と平面図上において一致している。
【0097】図9に示した光反射領域分布における明部40c及び暗部40dによる明暗パターンは、それぞれの評価用セグメント51での明(光反射あり)または暗(光反射なし)を、その評価用セグメント51の中心点である評価点52での光反射の有無によって評価して作成されている。図示した明暗パターンは、光源に対してほぼ左上方向に位置する(図2参照)反射面素子40において生じるパターンの1例を示すものであるが、このような明暗パターンを反射面10a全体に対して作成して、全体の光反射領域分布とする。
【0098】光反射領域の評価及び反射面10aの選別に用いる領域分布条件については、自由曲面20に対する角度分布条件と同様に、灯具の種類や要求される機能等に対応して各灯具に対して適宜設定することが可能である。一般的には、一定の領域範囲での暗部の割合が他の領域に比べて多すぎる部分を生じないようにする条件が挙げられる。この場合、例えば、評価用セグメント51及びセグメント41よりもやや広い領域に反射面10a内を区分して各領域について平均的な明るさを求め、それらの明るさの最大値と最小値、あるいはそれらの比の上限を領域分布条件として設定して明暗分布の不均一性を評価し、明暗分布がその許容範囲内にある反射面10aを選別することが可能である。
【0099】あるいは、領域分布における明暗の変化(反射面10aの面内での位置変化に対する明暗変化)が大きくなり過ぎないようにする条件が挙げられる。この場合、上記したような明暗分布の評価において、許容される明暗変化率の最大値を領域分布条件として設定しておき、光反射領域分布の全体で明暗変化率が設定された最大値以下となる(急激に明暗が変化する部位がない)反射面10aを選別することが可能である。
【0100】なお、これらの領域分布条件については、必ずしも条件が数値化されている必要はなく、光反射領域分布を示す画像データを見て設計者が判断するための判断基準であっても良い。
【0101】反射面決定ステップ(ステップ105)
【0102】以上の各ステップを経て得られた反射面10aに基づいて、反射鏡1に用いられる反射面10aの形状を決定する。
【0103】ここでは、基本的には反射面選別ステップ104で選別された反射面10aがそのまま面形状として採用されるが、実際の反射鏡の作製方法からの制限条件などによって形状の補正または調整等を行っても良い。調整が行われる部分としては、例えば、隣接する反射面素子40の境界にある段差部分のテーパ形状や、角部分の丸みなどがある。
【0104】最終的な反射面10aの面形状が決定されたら、それに基づいて反射鏡1の全体の形状を決定し、その形状データに基づいて反射鏡の作製が行われる。
【0105】なお、自由曲面選別ステップ102または反射面選別ステップ104において、自由曲面20または反射面10aが与えられた条件を満たさない場合には、自由曲面作成ステップ101または反射面作成ステップ103に戻って作成を再度行い、それらについて評価及び選別を繰り返す。
【0106】以上のべたように、本実施形態による車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法では、反射面形状の設計時において、基本形状である自由曲面20が作成された段階、及び複数の反射面素子40を割り付けた後の反射面10aが作成された段階の2つの段階で、それぞれ異なる方法で面形状の評価及び選別を行っている。これによって、形状制約条件と機能条件との両立を実現して、点灯時における光不均一性の発生が低減された反射面を得ることができる。また、そのような反射面を得るための面形状の設計効率が向上され、より短時間で反射面形状を決定することが可能となる。
【0107】また、上記した実施形態においては、反射面段階での光反射領域の評価について、評価用軸に対応した評価面を規定し、この評価面上に複数の評価点を設定して光線追跡による評価を行っている。このような方法によれば、評価点の配置等を好適に設定でき、さらに、評価用軸方向からみた光反射領域分布データの作成も容易となる。特に、評価面上を区分した評価用セグメントを利用することによって、評価工程が効率化される。
【0108】また、このとき、評価点側から反射面に向かって光線追跡を行えば、必要最小限の光線追跡計算で光反射領域の評価を行うことができ、評価及び選別の工程が簡単化される。
【0109】本発明による車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法は、上記した実施形態に限られるものではなく、個々の灯具に課せられた具体的な制約条件等によって様々な変形や構成の変更が可能である。
【0110】例えば、図9に示した光反射領域分布の例においては、明部40c及び暗部40dの白黒パターンを用いているが、さらに、明部40c内の各部位における光量(明るさ)の違いについても評価及び選別を行っても良い。この場合、光反射領域分布を示す画像データは、多段階のグレイスケールや色分けによって作成することができる。
【0111】また、反射面選別ステップ104における光反射評価は、1回のみに限らず、複数の異なる評価用軸Lxによって複数回行っても良い。
【0112】例えば、図5に示した例のように、反射面素子40の反射面40aが光軸Axの方向に光源からの光を反射する放物面部45からなる場合には、光源からの光はすべて光軸Axの方向へと反射されるので、光軸Axを評価用軸Lxに設定して1回の光反射評価を行えば良い。
【0113】一方、図6に示した例のように、反射面素子40の反射面40aが光源からの光を光軸Axに対して拡散反射させる拡散反射部46を有する場合には、複数の評価用軸Lxを設定してそれぞれについて光反射評価を行い、それらの結果を総合して反射面10aの選別を行っても良い。
【0114】また、最終的な反射面10aにおいて拡散反射部を設ける場合でも、反射面作成ステップ103では回転放物面形状のみによって反射面素子40の面形状を作成し、反射面選別ステップ104において光軸Axを評価用軸Lxとして光反射評価を行って反射面10aを選別しても良い。この場合、選別された反射面10aに拡散反射部を設ける変形をさらに行って、最終的な反射面形状を決定することができる。
【0115】また、反射面10aを区分するセグメント形状についても、上記した実施形態で示した矩形のものに限らない。図10は、車両用灯具の反射鏡の他の構成を示す平面図である。この例では、光軸Axを中心とした放射状の動径方向と、光軸Axを中心とした同心円状の円周方向とに沿って反射面10aを区分して、それぞれ反射面素子40が割り付けられる複数のセグメント41を作成している。このとき、それぞれのセグメント41は図10に示すように扇形状となる。
【0116】このようなセグメント形状を有する反射面10aの光反射評価においては、評価面50上での評価用セグメント51は、上記した実施形態と同様にX軸方向及びY軸方向を区分方向としたアレイ状としても良いが(図7参照)、反射面10aの構造と対応させて扇形状に評価用セグメント51を生成させても良い。
【0117】これ以外の様々なセグメント形状に区分した場合においても、同様に上記した反射面決定方法が適用可能である。また、灯具の種類についても、標識灯に限らず様々な種類の車両用灯具に用いられる反射鏡に対して上記方法を用いることができる。
【0118】
【発明の効果】本発明による車両用灯具の反射鏡の反射面決定方法は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、反射面形状の決定時(設計時)における面形状の評価を、反射面形状が得られてから行うのではなく、基本形状である自由曲面段階での光入射角度などの機能条件による評価と、複数の反射面素子が割り付けられた反射面段階での光反射領域による評価との2段階の異なる方法で行って、面形状選別を行う。これによって、得られる反射面形状を用いた反射鏡を備える車両用灯具において、灯具の点灯時に生じる面内光分布の不均一性が低減される。また、そのような反射面形状を得るための設計工程が簡単化されて、設計効率が向上される。
【0119】特に、車体側からの条件によって要求される灯具の薄型化など、厳しい形状制約条件が課せられている場合に、このような方法が有効であり、様々な制約条件を満たすと同時に灯具としての機能的な好適条件が充分に達成される反射鏡を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成12年1月7日(2000.1.7)
【代理人】 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外3名)
【公開番号】 特開2001−195909(P2001−195909A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−1677(P2000−1677)