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【発明の名称】 車両用灯具
【発明者】 【氏名】谷内 均

【要約】 【課題】従来の1つの光源で、光学部品を移動し配光切換を行う車両用灯具においては、消費電力が大きく大型化、コストアップし、また、オーバーランによる不具合を生じて信頼性が低下する問題点を生じていた。

【解決手段】本発明により、光学部品2の基準位置sから切換位置mへの移動はモータ42で行い、切換位置に至ったときにはモータを切り離し、電磁石43で位置保持を行うものとしたことで、従来のソレノイド、モータの何れか1つで移動と位置保持との双方を行わせる方式に比較し小型化と信頼性の向上とを共に可能として課題を解決するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光学部品を基準位置と切換位置の2位置に移動させる駆動装置が設けられて成る車両用灯具において、前記駆動装置はラック歯車が設けられてモータとピニオン歯車で直線運動を行う基板に設けたカムで前記光学部品を軸止する回動軸に設けられたアームを押すことで基準位置から切換位置への移動を行わせるものとし、前記切換位置には電磁石とリミットスイッチとが設けられていて前記アームの切換位置への確保は前記電磁石により行われると共に、前記モータへの通電は前記リミットスイッチにより切断され且つ前記切換位置の近傍で前記カムとアームとの係合を解かれた前記基板を基板リターンスプリングで前記基準位置に復帰させるものとされ、前記アームの基準位置への復帰は前記電磁石の通電の切断と、このアームに設けられたアームリターンスプリングにより行われる駆動装置とされていることを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用灯具に関するものであり、1つのバルブ内に近接して、すれ違い用光源と走行用光源とを設けることが困難な例えばメタルハライド放電灯などが光源として採用された場合、光源、反射鏡、遮光板、或いは、レンズなど光学部品に可動部分を設け、該可動部分の移動により配光切換を行う構成とした車両用灯具に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の車両用灯具90の構成の例を示すものが図8であり、配光特性を切換える際には、回動自在に回転軸91で軸止された補助レンズまたは遮光板などの光学部品92を、基準位置sから切換位置mに移動させて行うものとされている。上記移動を行わせるために、前記回動軸91にはアーム93が設けられると共に、該アーム93には連結シャフト94を介して電磁ソレノイド95が取付けられ、該電磁ソレノイド95への通電により光学部品92を基準位置sから切換位置mに回転移動させるものである。
【0003】また、切換位置mから基準位置sに復帰を行わせるために、前記アーム93には電磁ソレノイド95にたいして逆向きの応力を生じるリターンスプリング96が設けられ、前記電磁ソレノイド95への通電が遮断されたときには基準位置sへの復帰を行わせるものとしている。また、特開平11−240379号公報に見られるように前記アーム93を略扇型歯車状に形成し、モータに接続されたウオーム歯車で直接に光学部品92を移動させるものとした構成もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記した従来の構成において、先ず、電磁ソレノイド95でアーム93の駆動を行うものでは、電磁ソレノイド95は吸引開始時(プランジャーが引き出された状態)には、発生できる力が弱い傾向があるので、起動を確実のものとするためには、最終的に切換位置mに保持する以上の電流を印加しなければ成らず、消費電力が増加すると共に、電磁ソレノイド95自体も大型のものが必要となり車両用灯具90全体が大型化する問題点を生じている。
【0005】また、モータで駆動を行うものでは、電源を遮断したときにモータ自体がオーバーランをするものであるので、切換位置mへの正確な停止を行わせるためには、例えばステッピングモータの採用など、前記したオーバーランに対する対策が必要となり、車両用灯具90全体がコストアップする問題点を生じ、これらの点の解決が課題とされるものとなっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した従来の課題を解決するための具体的手段として、光学部品を基準位置と切換位置の2位置に移動させる駆動装置が設けられて成る車両用灯具において、前記駆動装置はラック歯車が設けられてモータとピニオン歯車で直線運動を行う基板に設けたカムで前記光学部品を軸止する回動軸に設けられたアームを押すことで基準位置から切換位置への移動を行わせるものとし、前記切換位置には電磁石とリミットスイッチとが設けられていて前記アームの切換位置への確保は前記電磁石により行われると共に、前記モータへの通電は前記リミットスイッチにより切断され且つ前記切換位置の近傍で前記カムとアームとの係合を解かれた前記基板を基板リターンスプリングで前記基準位置に復帰させるものとされ、前記アームの基準位置への復帰は前記電磁石の通電の切断と、このアームに設けられたアームリターンスプリングにより行われる駆動装置とされていることを特徴とする車両用灯具を提供することで課題を解決するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明を図に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る車両用灯具1の要部である光学部品を補助レンズ2としたときの例で示すものであり、この補助レンズ2は基準位置sでは反射鏡3からの光の一部を覆うように設けられ、下向きに光を屈折させるプリズムカット2aが設けられていて、反射鏡3からの光を適宜な下向き光に変換して、すれ違い配光が得られるものとしている。
【0008】そして、この補助レンズ2には回動軸2bが設けられ、上記基準位置sと切換位置mとに後に説明する駆動装置4により回動自在とされている。従って、基準位置mに設定された時点では、補助レンズ2は反射鏡3からの反射光と略平行の状態となり、実質的に反射光を遮ることがなくなるので、反射光は水平方向に向かい直進し、車両用灯具1に走行配光が得られるものとなる。
【0009】図2は、上記回動軸2bを駆動するための、本発明に係る駆動装置4を示すものであり、この駆動装置4には基板41が設けられ、該基板41はガイドピン41aに支持されて直線運動が可能なものとされている。また、前記基板41にはラック歯車41bが設けられ、このラック歯車41bはモータ42により回転を行うピニオン歯車42aに噛み合わされていて、前記モータ42を作動させることで、基板41は図示の状態で向かって右に移動するものとされている。
【0010】尚、図中に符号42bで示すものは減速器であり、この減速器42bは前記モータ42とピニオン歯車42aの間に挿入されていて、モータ42が回転したときの基板41の移動速度を適宜なものとすると共に、減速により前記モータ42の出力を増幅し、比較的に小型のモータ42であっても、補助レンズ2の駆動を可能としている。加えて、本発明では上記減速器42bも平歯車の組合せなどとされて、入力側(モータ42側)からでも出力側からでも力が加わることで応動が可能なものとされている。
【0011】また、前記基板41には基板リターンスプリング41cと基準側ストッパ41dとが設けられ、モータ42への電源の供給が行われていない状態では、前記基板リターンスプリング41cによる偏寄力で基板41は基準側ストッパ41dに当接し所定の位置を保つものとされている。また、図示の状態で基板41の右側となる適宜位置にはオーバーラン側ストッパ46が設けられている。
【0012】また、前記基板41には、この基板41が基準側ストッパ41dに当接している状態で、前記補助レンズ2の回動軸2bに設けられるアーム2cに当接して前記補助レンズ2に初期位置mを与えるカム41eが設けられ、加えて、前記アーム2bにもアームリターンスプリング2cが設けられてカム41eに当接する方向の偏寄力が与えられているので、これによりモータ42の駆動が行われない限りは、補助レンズ2は基準位置sを保つものとされている。
【0013】また、本発明の駆動装置4においては、前記補助レンズ2を切換位置mとするアーム2の位置に対応しては電磁石43と、ノーマルクローズとされたリミットスイッチ44とが設けられている。そして、図3に示すように前記モータ42と前記リミットスイッチ44とは直列に接続されて配光切換スイッチ45を介する電源Eに接続され、前記電磁石43は配光切換スイッチ45を介する電源Eに接続されている。
【0014】図4〜図7は前記駆動装置4の作動状態を説明するものであり、図4はモータ42の駆動が行われていない状態であり、即ち、図3において配光切換スイッチ45が解放されている状態である。このときには、基板41は基板リターンスプリング41cにより基準側ストッパ41dに当接させたれ、アーム2bはアームリターンスプリング2cによりカム41eに当接させられているので、上記にも説明したように補助レンズ2は基準位置sを保つ。
【0015】図5は、前記配光切換スイッチ45が投入された状態を示すもので、このときにはモータ42と電磁石43とに電圧が印加されるものとなるので、モータ42は回転して基板41を右方向に移動させ、カム41eによりアーム2bを電磁石43に近づけ、ついにはアーム2bを電磁石43に吸着させる。
【0016】本発明においては、前記したアーム2bの電磁石43への吸着が行われる時点に前後してリミットスイッチ44が動作するものとされているので、モータ42への電源の供給は遮断される。また、同時に本発明においては前記アーム2bが電磁石43へ吸着が行われる時点でカム41eとアーム2bとの係合が解かれるものとされている。
【0017】ここで、モータ42は電源の供給が遮断されるときにも、直ちに回転を停止するものではなく、ある程度の時間は惰性により回転を続けるものであるので、図6に示すように基板41にはオーバーランを生じるものとなり、例えば、ラック歯車41bとピニオン歯車42aの離脱などを生じるなど、駆動装置4が不具合となる要因をを生じさせる。
【0018】よって、本発明では前記基板41の右側にはオーバーラン側ストッパ46を設けるものであって、このオーバーラン側ストッパ46により上記の不具合を生じる時点以前で基板41のオーバーランを抑制する。但し、前記モータ42に充分な惰性が残っている状態でオーバーランの抑制を行うと、ラック歯車41bとピニオン歯車42aとに破損の可能性を生じるので、適度のオーバーランは必要である。
【0019】以上のようにして基板41が停止させられると、それ以後には基板41に加えられる力は基板リターンスプリング41cによるもののみとなる。よって、基板リターンスプリング41cからの力は、ラック歯車41b、ピニオン歯車42a、減速器42bを介してモータ42を逆転させ、図7に示すように基板41を左側に移動させて基準側ストッパ41dに当接させる。但し、この場合においても配光切換スイッチ45が投入されていれば、電磁石43はアーム2bを吸着し続け、これにより前記補助レンズ2は切換位置mを保つものとされる。
【0020】そして、配光切換スイッチ45の解放が行われると、アーム2bはアームリターンスプリング2cによりカム41eに当接する位置まで回転させられ、これにより補助レンズ2は基準位置sに復帰して、すれ違い配光などに切り換えが行われる。即ち、駆動装置4および補助レンズ2は図4に示す状態に復帰するものとなる。
【0021】次いで、上記の構成とした本発明の作用および効果について説明を行えば、先ず第一には、基準位置sから切換位置mへの移動をモータ42で行うものとすると共に、切換位置mに達した後には電磁石43により保持するものとして、モータ42への電源の供給を停止するものとしたことで、電磁石43は当初は離れた位置にあるアーム2bを引き寄せる必要はなく、切換位置mを保持すれば良いものとなり、切換位置mにおける消費電力を大幅に低減させるものとなる。このことは、電磁石43における発熱なども低減し小型化が可能となるので、車両用灯具1全体の小型化も可能とする。
【0022】また第二には、本発明により切換位置mの近傍でカム41eとアーム2bとの係合が解かれる構成としたことで、モータ42は位置決めの機能は要求されないものとなり、例えばステッピングモータの採用、これに伴う駆動用電源の煩雑化などが避けられるものとなる。また、モータ42にオーバーランを許容することで、急速な停止などを行わなくて良く、各歯車の破損、乗り上げなども回避され、駆動装置の信頼性も向上する。
【0023】
【発明の効果】以上に説明したように本発明により、駆動装置は、ラック歯車が設けられてモータとピニオン歯車で直線運動を行う基板に設けたカムで前記光学部品を軸止する回動軸に設けられたアームを押すことで基準位置から切換位置への移動を行わせるものとし、切換位置には電磁石とリミットスイッチとが設けられていてアームの切換位置への確保は電磁石により行われると共に、モータへの通電はリミットスイッチにより切断され且つ切換位置の近傍でカムとアームとの係合を解かれた基板を基板リターンスプリングで基準位置に復帰させるものとされ、アームの基準位置への復帰は電磁石の通電の切断と、このアームに設けられたアームリターンスプリングにより行われる駆動装置とされている車両用灯具としたことで、第一には、従来例の光学部品の移動から保持までを電磁ソレノイドで行うものと比較して、特に長時間にわたる保持を行っているときの消費電力を格段に低減し、これにより車両用灯具の小型化に極めて優れた効果を奏するものである。
【0024】また第二には、光学部品の移動にモータを使用するものとするときにも、保持は電磁石で行わせ、モータを切換位置への位置決めに関与しないものとしたことで、モータに所定位置での停止を行わせるためにステッピングモータの採用、それに伴うモータ駆動回路の煩雑化を避け、車両用灯具のコストダウンにも極めて優れた効果を奏するものである。
【出願人】 【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
【出願日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【代理人】 【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
【公開番号】 特開2001−195906(P2001−195906A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−6811(P2000−6811)