| 【発明の名称】 |
車両用灯具およびそのマーキング方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】相川 信治
【氏名】中村 浩一
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| 【要約】 |
【課題】合成樹脂製の前面レンズの内面にマークが形成されてなる車両用灯具において、灯具の見映えを損うことなくマークを形成可能とする。
【解決手段】前面レンズ12の内面に、4つのマークM1、M2、M3、M4を、該マークの形状に沿ってレーザ光を照射することにより、凹溝28として形成する。これにより灯具認証マークM1のように灯具の向先に応じて前面レンズ12の同一位置に表示内容の異なるマークの形成が必要な場合にもレーザ光の照射制御を適当に行うことにより容易に対応可能とする。また、このようにすることにより、入れ子でマーク表示内容の変更に対応している従来例のように前面レンズの内面に入れ子の輪郭形状が現れてしまうのを防止する。さらに、灯具認証マークM1以外のマークM2、M3、M4についてもレーザ光照射により形成することにより、各マークをいずれも同様の見え方で見えるようにする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 合成樹脂製の前面レンズを有し、該前面レンズの表面に所定のマークが形成されてなる車両用灯具において、上記マークが、上記前面レンズの表面に該マークの形状に沿ってレーザ光を照射することにより形成された凹溝からなる、ことを特徴とする車両用灯具。 【請求項2】 上記マークが、上記前面レンズの内面に形状されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。 【請求項3】 上記凹溝が、所定の微小間隔をおいて平行に複数本形状されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。 【請求項4】 上記マークが交点を有しており、該交点の位置では上記凹溝が途切れている、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の車両用灯具。 【請求項5】 請求項2〜4いずれか記載の車両用灯具の上記マークを形成するマーキング方法であって、上記前面レンズが、外面にハードコートが形成されたレンズである場合において、上記ハードコート処理を施した後に上記レーザ光の照射を行う、ことを特徴とするマーキング方法。 【請求項6】 請求項2〜4いずれか記載の車両用灯具の上記マークを形成するマーキング方法であって、上記前面レンズがポリカーボネート樹脂製レンズである場合において、上記前面レンズを該前面レンズの内面が下向きになるように配置した状態で上記レーザ光の照射を行う、ことを特徴とするマーキング方法。 【請求項7】 上記前面レンズの内面に防曇塗装膜が形状されている、ことを特徴とする請求項2記載の車両用灯具。 【請求項8】 請求項7記載の車両用灯具の上記マークを形成するマーキング方法であって、上記防曇塗装膜を形成した後に上記レーザ光の照射を行う、ことを特徴とするマーキング方法。 【請求項9】 上記前面レンズの外面にハードコート処理を施した後に上記防曇塗装膜の形成を行う、ことを特徴とする請求項8記載のマーキング方法。
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【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】本願発明は、合成樹脂製の前面レンズの内面にマークが形成されてなる車両用灯具およびそのマーキング方法に関するものである。 【従来の技術】近年、多くの車両用灯具において合成樹脂製の前面レンズが採用されているが、図10に示すように、前面レンズ2の内面には、灯具認証マークM1、灯具センタ表示マークM2、トレードマークM3、灯具識別マークM4等の各種マークが形成されることが多い。従来これらマークの形成は、前面レンズ2を成形する金型に刻印を施しておくことにより行われているが、マークの種類によっては同一形状の前面レンズであってもその表示内容の変更を必要とする場合がある。例えば灯具認証マークM1は、灯具の向先(すなわち該灯具が装着された車両の輸出相手国)に応じてマークの表示内容を変更する必要がある。このため従来、表示内容を変更する必要があるマークに関しては、そのバリエーション毎に入れ子を設定しておくことにより(例えば灯具認証マークM1に関しては向先毎に入れ子を設定しておくことにより)、共通の金型で表示内容の異なるマークを有する前面レンズを成形するようにしている。 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このように入れ子を用いてマーク表示内容の変更に対応するようにした場合には、前面レンズの内面に入れ子の輪郭形状が不可避的に現れてしまうという問題がある。特に、前面レンズが素通しレンズあるいはこれに近いレンズであるときには、図10に示すように、前面レンズ2の内面に入れ子の輪郭形状4が目立つ形で現れてしまうので、灯具の見映えが損なわれてしまうという問題がある。このような問題は、前面レンズの外面にマークが形成されている場合においても同様に生じる問題である。本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、合成樹脂製の前面レンズの表面にマークが形成されてなる車両用灯具において、灯具の見映えを損うことなくマークを形成することができる車両用灯具およびそのマーキング方法を提供することを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】本願発明は、レーザ光照射により形成された凹溝でマークを構成することにより入れ子の設定を不要とし、もって上記目的達成を図るようにしたものである。すなわち本願発明は、合成樹脂製の前面レンズを有し、該前面レンズの表面に所定のマークが形成されてなる車両用灯具において、上記マークが、上記前面レンズの表面に該マークの形状に沿ってレーザ光を照射することにより形成された凹溝からなる、ことを特徴とするものである。上記「車両用灯具」は、前照灯であってもよいし標識灯であってもよい。上記「前面レンズ」は、合成樹脂製で透光性を有するものであれば、その材質、色等は特に限定されるものではなく、また、その内面にレンズ素子が形成されたレンズであってもよいし素通しレンズであってもよい。上記「所定のマーク」は、レーザ光の照射により形成可能なものであれば、特定種類のマークに限定されるものではない。上記「マークの形状に沿ってレーザ光を照射する」具体的方法としては、レーザ光を走査等により移動させることにより行うようにしてもよいし、前面レンズを移動させることにより行うようにしてもよいし、両者の組合せにより行うようにしてもよい。上記「レーザ光」の照射に用いられるレーザは、前面レンズの表面に凹溝を形成可能なものであればその種類は特に限定されるものではなく、例えば炭酸ガスレーザ等が採用可能である。上記「凹溝」は、該凹溝の形成によりマークとしての存在を認識させることができるものであれば、その断面の大きさや形状等は特に限定されるものではない。 【発明の作用効果】上記構成に示すように、本願発明に係る車両用灯具は、その合成樹脂製の前面レンズの表面にマークが形成されているが、このマークは前面レンズの表面に該マークの形状に沿ってレーザ光を照射することにより形成された凹溝からなっているので、次のような作用効果を得ることができる。すなわち、例えば灯具認証マーク等のように前面レンズの同一位置に表示内容の異なるマークを形成する必要がある場合であっても、レーザ光の照射制御を適当に行うことにより容易にこれに対応することができる。また、このようにすることにより、入れ子でマーク表示内容の変更に対応している従来例のように前面レンズの表面に入れ子の輪郭形状が現れてしまうのを防止することができる。したがって本願発明によれば、合成樹脂製の前面レンズの表面にマークが形成されてなる車両用灯具において、灯具の見映えを損うことなくマークを形成することができる。上記「マーク」は、上記前面レンズの内面・外面いずれに形成してもよいが、内面に形成すれば、外面に形成した場合のように凹溝内にホコリやワックス等が入り込んでしまうのを未然に防止することができる。上記凹溝は単一であってよいことはもちろんであるが、該凹溝を所定の微小間隔をおいて平行に複数本形状するようにすれば、次のような作用効果を得ることができる。すなわち、レーザ光の照射エネルギをある程度大きい値に設定すれば、1本の凹溝であってもマークとしての存在を認識させることが十分可能であるが、このようにした場合には、凹溝形成の際にレーザ光照射エネルギにより煙が発生するおそれがある。そしてこのような煙が発生すると、煙粒子が前面レンズの表面に付着して前面レンズに曇りを発生させる原因となる。そこで、上記凹溝を1本ではなく所定の微小間隔をおいて平行に複数本形状するようにすれば、煙が発生しない程度の小さい照射エネルギでレーザ光を照射した場合であってもマークとしての存在を認識させることが可能となり、これにより前面レンズの表面に煙粒子が付着してしまうのを未然に防止することができる。また、このように小さい照射エネルギでレーザ光照射を行うことが可能となるので、凹溝が黄色に変色したり凹溝内に発泡が生じてしまうおそれがなく、これにより灯具の見映えを一層高めることができる。ところで、前面レンズの表面に形成されるマークは交点(すなわち角の点や交差する点)を有する場合が多いが、該交点には他の部分よりもレーザ光の照射エネルギが集中するため、該交点から煙が発生しやすくなる。そこで、上記交点の位置では凹溝が途切れる構成とすれば、レーザ光照射による該交点からの煙発生を防止することができ、これにより前面レンズの表面に煙粒子が付着してしまうのを未然に防止することができる。また、前面レンズの外面には、該前面レンズに傷が付きにくくするためのハードコートが形成される場合が多いが、このようなレンズに対してその内面にマークを形成する場合には、ハードコート処理を施した後にレーザ光の照射を行うようにすれば、レーザ光照射の際に、前面レンズを支持する治具がハードコート未形成の前面レンズの外面に当接して該前面レンズに傷を付けてしまうのを未然に防止することができる。さらに、前面レンズがポリカーボネート樹脂製レンズである場合において、その内面にマークを形成する場合には、該前面レンズをその内面が下向きになるように配置した状態でレーザ光の照射を行うようにすれば、レーザ光照射エネルギにより煙が発生するようなことがあったとしても、ポリカーボネート樹脂から生じる煙粒子は空気よりも重いため煙粒子はそのまま降下し、これにより煙粒子が前面レンズの内面に付着してしまうのを未然に防止することができる。上記マークが前面レンズの内面に形状される場合には、該内面に防曇塗装膜が形状された構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。すなわち、前面レンズの内面に防曇塗装膜が形状されていれば、レーザ光照射の際に煙が発生するようなことがあっても、前面レンズの内面に煙粒子が付着してしまうのを防曇塗装膜の存在により未然に防止することができる。したがってレーザ光の照射エネルギを大きい値に設定することが可能となり、これにより1本の凹溝であってもマークとしての存在を認識させることが十分可能となる。この場合には、前面レンズの内面に防曇塗装膜を形成した後にレーザ光の照射を行うこととなるが、その際、前面レンズの外面にハードコート処理を施した後に防曇塗装膜の形成を行うようにすれば、防曇塗装およびレーザ光照射の際に、前面レンズを支持する治具がハードコート未形成の前面レンズの外面に当接して該前面レンズに傷を付けてしまうのを未然に防止することができる。なお、防曇塗装膜を形成した後にレーザ光の照射を行うようにした場合には、レーザ光が照射された部分は防曇塗装膜が除去されてしまうこととなるが、レーザ光照射部分はマークを構成する部分であるので、たとえ煙粒子が付着しても、これにより灯具の見映えが損なわれてしまうおそれはない。 【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。まず、本願発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る車両用灯具を示す正面図であり、図2は、図1のII-II 線断面図である。これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は前照灯であって、前面レンズ12とランプボディ14とで形成される灯室内に、リフレクタユニット16が上下方向および左右方向に傾動可能に設けられるとともに、該リフレクタユニット16の前方側にエクステンション24が設けられてなっている。リフレクタユニット16は、光源バルブ18と、リフレクタ20と、シェード22とを備えている。そして、このリフレクタユニット16により前照灯としての配光パターンを形成するようになっており、このため前面レンズ12は素通しレンズで構成されている。前面レンズ12は、ポリカーボネート樹脂製レンズであって、その外面12aにはハードコート26が形成されており、その内面12bには4つのマークM1、M2、M3、M4が形成されている。マークM1は、灯具認証マークであって前面レンズ12の左下部に形成されており、マークM2は、灯具センタ表示マークであって前面レンズ12の中心位置に形成されており、マークM3は、トレードマークであって前面レンズ12の中央下部に形成されており、マークM4は、灯具識別マークであって前面レンズ12の右下部に形成されている。なお、マークM1の一部およびマークM3、M4に関しては、図1にマーキング位置のみが矩形枠で示されている。これら4つのマークM1、M2、M3、M4は、前面レンズ12の内面12bに該マークの形状に沿ってレーザ光を照射することにより形成された凹溝28からなっている。図3は、前面レンズ12に対するハードコート処理およびマーキング処理の様子を示す断面図である。同図(a)に示すように、ハードコート処理は、前面レンズ12をその外面12aが上向きになるように受け治具102に載置して位置決めした状態で、塗布ノズル104を前面レンズ12の外面12aに沿って移動させながら、該塗布ノズル104からハードコート用塗料を吹き付けることにより行われるようになっている。また、同図(b)に示すように、マーキング処理は、上記ハードコート処理によりハードコート26が形成された前面レンズ12を、その外面12aが上向きになるように(すなわち内面12bが下向きになるように)受け治具106に載置するとともに、押さえ治具108で前面レンズ12の外面12aの外周部を押さえて位置決めした状態で、前面レンズ12の内面12bにおけるマーク形成予定位置に下方からレーザ光を照射することにより行われるようになっている。このレーザ光の照射は、レーザ光学系の集光レンズ(fθレンズ)110を各マークに正対する位置へ移動させた状態で該マークの形状に沿ってレーザ光を走査することにより行われるようになっている。このレーザ光の走査は、図示しないマーキング制御手段により各マーク毎に設定された走査プログラムに従って行われるようになっている。また、上記レーザ光学系は、その集光レンズ110により前面レンズ12の内面12bに形成されるレーザ光のビームスポット径が約0.15mmとなるようにアライメントの調整がなされている。なお、各マークを構成する凹溝28を形成するのに必要なレーザ光照射時間は、最も複雑な灯具認証マークM1を構成する凹溝28であっても数秒以内の短い時間である。上記レーザ光照射に用いられるレーザは、発振波長10.6μmの炭酸ガスレーザであって、その最大出力は約12Wであるが、照射エネルギが過大にならないようにするため7.2W程度の出力でレーザ光照射が行われるようになっている。図4は、灯具認証マークM1の一部を拡大して示す図であり、図5は、図4のV部を内面側から見て示す拡大斜視図である。これらの図に示すように、灯具認証マークM1を構成する凹溝28は、所定の微小間隔をおいて平行に2本形状されている。具体的には、両凹溝28は、その中心間距離が約0.15mmになるように形成されている。これら各凹溝28の幅は、レーザ光のビームスポット径が約0.15mmであることから約0.15mmとなり、そして両凹溝28の中心間距離が約0.15mmであることから、両凹溝28は互いに接するようにして形成され、その全幅は約0.3mmとなる。なお両凹溝28の両側には、レーザ光照射により幾分盛り上がった隆起部30が形成される。灯具認証マークM1は、複数の交点(すなわち角の点Pcや交差する点Pj)を有しているが、これら各交点の位置では凹溝28が途切れている。すなわち、角の点Pcにおいては、該交点に向かう各直線の端部が途切れるように形成されており、また、T字状や十字に交差する点Pjにおいては、交差する一方の直線はそのままにして他方の直線を上記一方の直線の近くで途切れるように形成されている。このように各交点の位置で凹溝28が途切れる構成としたのは、仮に各交点の位置で凹溝28が途切れていないとすれば、角の点Pcではレーザ光の走査速度が遅くなり、また交差する点Pjではレーザ光が短時間のうちに重複して走査され、これにより各交点では他の部分よりもレーザ光の照射エネルギが集中して該交点から煙が発生しやすくなるので、これを未然に防止するためである。ところで上記各交点の位置で凹溝28が途切れる構成としても、その途切れた部分の隙間は極僅かであり、これにより灯具認証マークM1の見え方が不自然なものとなってしまうことはない。特に本実施形態においては、角の点Pcに関して、2本の凹溝28が同じ位置で途切れるようには形成されておらず、外側の凹溝28が内側の凹溝28よりも長めに形成されているので、途切れた部分の隙間は全体的に略均一なものとなり、灯具認証マークM1の見え方をより自然なものとすることができる。しかも、2本の凹溝28の両側には隆起部30が形成されるので、肉眼視では角の点Pcにおいて両凹溝28が互いにつながって見えるようにすることができる。なお、灯具認証マークM1の図4で示した以外の部分および他のマークM2、M3、M4についても、レーザ光照射により2本の凹溝28が形成されるようになっている。以上詳述したように、本実施形態に係る車両用灯具10は、その合成樹脂製の前面レンズ12の内面12bに4つのマークM1、M2、M3、M4が形成されているが、これらのマークは前面レンズ12の内面12bに該マークの形状に沿ってレーザ光を照射することにより形成された凹溝28からなっているので、次のような作用効果を得ることができる。すなわち、灯具認証マークM1については灯具の向先に応じて前面レンズ12の同一位置に表示内容の異なるマークを形成する必要があるが、レーザ光の照射制御を適当に行うことにより容易にこれに対応することができる。また、このようにすることにより、入れ子でマーク表示内容の変更に対応している従来例のように前面レンズの内面に入れ子の輪郭形状が現れてしまうのを防止することができる。また、灯具認証マークM1以外のマークM2、M3、M4についてもレーザ光照射により形成されるようになっているので、各マークをいずれも同様の見え方で見えるようにすることができる。したがって本実施形態によれば、合成樹脂製の前面レンズの内面にマークが形成されてなる車両用灯具において、灯具の見映えを損うことなくマークを形成することができる。しかも本実施形態においては、上記凹溝28が所定の微小間隔をおいて平行に2本形状されているので、煙が発生しない程度の小さい照射エネルギでレーザ光を照射しても、マークとしての存在を認識させることが可能となる。そしてこれにより、前面レンズ12の内面12bに煙粒子が付着して前面レンズ12に曇りを発生させてしまうのを未然に防止することができる。また、このように小さい照射エネルギでレーザ光照射を行うことが可能となるので、凹溝28が黄色に変色したり凹溝28内に発泡が生じてしまうおそれがなく、これにより灯具の見映えを一層高めることができる。なお、上記凹溝28を所定の微小間隔をおいて平行に3本以上形状するようにしてもよく、このようにした場合には、マーキング処理の所要時間は長くなるが、より小さい照射エネルギでレーザ光照射を行うことが可能となる。さらに本実施形態においては、レーザ光照射エネルギの集中により煙が発生しやすいマークの交点の位置では凹溝28が途切れているので、この点においても前面レンズ12の内面12bへの煙粒子の付着防止を図ることができる。なお、以上の作用効果は、4つのマークM1、M2、M3、M4を前面レンズ12の外面12aに形状するようにした場合においても同様に得ることができるが、本実施形態においては、4つのマークM1、M2、M3、M4が前面レンズ12の内面12bに形成されているので、その凹溝28内にホコリやワックス等が入り込んでしまうのを未然に防止することができる。ところで本実施形態に係る車両用灯具10は前面レンズ12の外面12aにハードコート26が形成されているが、本実施形態においてはハードコート処理を施した後にマーキング処理(レーザ光照射)が行われるようになっているので、マーキング処理の際に、前面レンズ12を支持する押さえ治具108がハードコート未形成の前面レンズ12の外面12aに当接して前面レンズ12に傷を付けてしまうのを未然に防止することができる。また本実施形態に係る車両用灯具10の前面レンズ12はポリカーボネート樹脂製レンズであるが、本実施形態においては前面レンズ12をその内面12bが下向きになるように配置した状態でレーザ光の照射が行われるようになっているので、レーザ光照射エネルギにより万一煙が発生するようなことがあったとしても、ポリカーボネート樹脂から生じる煙粒子は空気よりも重いために煙粒子はそのまま降下し、これにより煙粒子が前面レンズ12の内面12bに付着してしまうのを未然に防止することができる。次に、本願発明の第2実施形態について説明する。図6は、本実施形態に係る車両用灯具を示す、図2と同様の図である。本実施形態に係る車両用灯具10´は、前面レンズ12以外の構成に関しては上記第1実施形態と全く同様である。また、前面レンズ12に関しても、ポリカーボネート樹脂製レンズであって、その外面12aにハードコート26が形成されている点、また、その内面12bに4つのマークM1、M2、M3、M4(M1、M4は図示せず)が形成されている点は、上記第1実施形態と全く同様である。しかしながら、本実施形態においては、前面レンズ12の内面12bに防曇塗装膜32が形状されている点で、上記第1実施形態とは異なっている。図7は、前面レンズ12に対するハードコート処理、防曇塗装処理およびマーキング処理の様子を示す断面図である。同図(a)に示すように、ハードコート処理は、上記第1実施形態と同様、前面レンズ12をその外面12aが上向きになるように受け治具102に載置して位置決めした状態で、塗布ノズル104を前面レンズ12の外面12aに沿って移動させながら、該塗布ノズル104からハードコート用塗料を吹き付けることにより行われるようになっている。また、同図(b)に示すように、防曇塗装処理は、上記ハードコート処理によりハードコート26が形成された前面レンズ12を、その内面12bが上向きになるように受け治具112に載置して位置決めするとともに、そのシール脚部12cをマスキング治具114で覆った状態で、塗布ノズル116を前面レンズ12の内面12bに沿って移動させながら、該塗布ノズル116から防曇塗装用塗料を吹き付けることにより行われるようになっている。上記防曇塗装用の塗料は、主剤、硬化剤および希釈剤からなり、その配合比は例えば10:1:6〜9に設定されている。主剤は親水性アクリル樹脂と界面活性剤とからなり、親水性アクリル樹脂は親水性部分と前面レンズ12の内面12bに付着する疎水性部分との化合物からなっている。さらに、同図(c)に示すように、マーキング処理は、上記防曇塗装処理により防曇塗装膜32が形状され、そして加熱乾燥された前面レンズ12を、その内面12bが上向きになるように受け治具118に載置して位置決めした状態で、前面レンズ12の内面12bにおけるマーク形成予定位置に上方からレーザ光を照射することにより行われるようになっている。このレーザ光の照射は、レーザ光学系の集光レンズ(fθレンズ)110を各マークに正対する位置へ移動させた状態で該マークの形状に沿ってレーザ光を走査することにより、上記第1実施形態と同様にして行われるようになっている。図8は、本実施形態に係る車両用灯具10´における前面レンズ12の内面12bに形成された灯具認証マークM1の一部を拡大して示す図であり、図9は、図8のIX部を内面側から見て示す拡大斜視図である。これらの図に示すように、本実施形態の灯具認証マークM1は、1本の凹溝34で構成されており、該凹溝34は交点の位置でも途切れていない。なお、この凹溝34の両側には、レーザ光照射により幾分盛り上がった隆起部36が形成される。なお、灯具認証マークM1以外のマークM2、M3、M4についても、レーザ光照射により形成された1本の凹溝34で構成されている。以上詳述したように、本実施形態に係る車両用灯具10´は、4つのマークM1、M2、M3、M4が形成された前面レンズ12の内面12bに、防曇塗装膜32が形状されているので、次のような作用効果を得ることができる。すなわち、前面レンズ12の内面12bに防曇塗装処理を施した後にマーキング処理のためのレーザ光照射を行うようにすれば、レーザ光照射の際に煙が発生するようなことがあっても、前面レンズ12の内面12bに煙粒子が付着してしまうのを防曇塗装膜32の存在により阻止することができる。したがってレーザ光の照射エネルギを大きい値に設定することが可能となり、これにより1本の凹溝34であってもマークM1、M2、M3、M4としての存在を認識させることが十分可能となる。なお、防曇塗装処理を施した後にレーザ光照射を行うようにした場合には、レーザ光が照射された部分は防曇塗装膜32が除去されてしまうこととなるが、レーザ光が照射される部分はマークM1、M2、M3、M4を構成する凹溝34の部分であるので、たとえ該凹溝34に煙粒子が付着しても、これにより灯具の見映えが損なわれてしまうおそれはない。本実施形態においては、防曇塗装処理に先立ち、前面レンズ12の外面12aにハードコート処理が施されるようになっているので、防曇塗装およびレーザ光照射の際に、前面レンズ12を支持する受け治具112、118がハードコート未形成の前面レンズ12の外面12aに当接して前面レンズ12に傷を付けてしまうのを未然に防止することができる。なお上記各実施形態においては、車両用灯具10、10´が前照灯である場合について説明したが、他の種類の車両用灯具においても上記各実施形態と同様の構成を採用することによりこれらと同様の作用効果を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001133 【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
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| 【出願日】 |
平成12年8月22日(2000.8.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099999 【弁理士】 【氏名又は名称】森山 隆
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| 【公開番号】 |
特開2001−176311(P2001−176311A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月29日(2001.6.29) |
| 【出願番号】 |
特願2000−250833(P2000−250833) |
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