トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F21 照明




【発明の名称】 車両用前照灯
【発明者】 【氏名】堀場 健

【要約】 【課題】水平カットオフラインおよび斜めカットオフラインを有する配光パターンでロービーム照射を行うように構成された車両用前照灯において、たとえそのリフレクタの左右幅が小さい場合であってもロービーム配光パターンにおけるカットオフライン近傍部分の光量を十分に確保して遠方視認性を高める。

【解決手段】反射面20aの下端縁近傍領域20a1により、光源18aからの光をロービーム配光パターンPのエルボ点E近傍部分へ向けて反射させてカットオフラインCL1、CL2を形成する。その際、灯具光軸Axの位置を反射面20aの上下方向中心位置よりも上方に変位した位置に設定することにより、光源18aから反射面20aの下端縁近傍領域20a1までの距離を長くする。これにより下端縁近傍領域20a1からの反射光により形成される光源18aの像のサイズを小さなものとし、ロービーム配光パターンPにおけるカットオフライン近傍部分の光量を十分に確保する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両前後方向に延びる灯具光軸と略同軸で配置された光源と、この光源からの光を前方へ反射させる反射面を有するリフレクタとを備えてなり、所定のカットオフラインを有する配光パターンでロービーム照射を行うように構成された車両用前照灯において、上記灯具光軸の位置が、上記反射面の上下方向中心位置よりも上方に変位した位置に設定されており、上記反射面の下端縁近傍領域が、上記光源からの光を上記ロービーム配光パターンにおけるカットオフライン近傍部分へ向けて反射させるように構成されている、ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】 上記下端縁近傍領域からの反射光により上記カットオフラインを形成するように構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
【請求項3】 上記下端縁近傍領域が、該下端縁近傍領域の各点と上記光源の前後方向両端位置とのなす角度が3°以下となる位置に形成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用前照灯。
【請求項4】 車両前後方向に延びる灯具光軸と略同軸で配置された光源と、この光源からの光を前方へ反射させる反射面を有するリフレクタとを備えてなり、所定のカットオフラインを有する配光パターンでロービーム照射を行うように構成された車両用前照灯において、上記反射面の下端縁近傍領域からの反射光により上記カットオフラインを形成するように構成されており、上記光源の下方に、該光源から上記下端縁近傍領域への光入射を部分的に規制するように後端縁の位置設定がなされた遮光手段が設けられており、上記下端縁近傍領域が、上記光源の各点から上記遮光手段の後端縁近傍を通って該下端縁近傍領域の各点に入射した光を上下方向に関して互いに略同じ方向へ反射させるように構成されている、ことを特徴とする車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、所定のカットオフラインを有する配光パターンでロービーム照射を行うように構成された車両用前照灯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用前照灯のロービーム用の配光パターンとしては、図12に示すように、水平カットオフラインCL1および斜めカットオフラインCL2を有する配光パターンPが多く採用されている。このロービーム配光パターンPにおいては、水平カットオフラインCL1を対向車線側に配置するとともにこの水平カットオフラインCL1から斜めに立ち上がる斜めカットオフラインCL2を自車線側に配置することにより、対向車ドライバへのグレア防止を図りつつ自車ドライバの前方視認性を確保するようになっている。
【0003】そしてこのようなロービーム配光パターンPを得るため、従来の車両用前照灯においては、車両前後方向に延びる灯具光軸Axと略同軸で光源2を配置するとともに該光源2からの光をリフレクタ4の反射面4aに入射させ、該反射面4aにおける灯具光軸Axの左右両側の反射領域4a1、4a2で反射した光により、両カットオフラインCL1、CL2を形成するように構成されている。なお、同図において2点鎖線で示す配光パターンPoは、反射面4aが灯具光軸Axを中心軸とする回転放物面で構成されていると仮定した場合に照射される基本配光パターンである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の車両用前照灯においては、両カットオフラインCL1、CL2の形成が左右両側の反射領域4a1、4a2からの反射光により行われるので、図13に示すようにリフレクタ4の左右幅が小さくなるとその反射面4aにおける左右両側の反射領域4a1、4a2の面積も小さくなり、基本配光パターンPoの中心部分が欠落してしまうこととなる。このため、ロービーム配光パターンPの中心部におけるカットオフライン近傍部分の光量が不十分となり、遠方視認性を十分に確保することができなくなってしまう、という問題がある。
【0005】本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、所定のカットオフラインを有する配光パターンでロービーム照射を行うように構成された車両用前照灯において、たとえそのリフレクタの左右幅が小さい場合であってもロービーム配光パターンにおけるカットオフライン近傍部分の光量を十分に確保して遠方視認性を高めることができる車両用前照灯を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明は、灯具光軸の位置設定およびリフレクタの反射面の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0007】すなわち、本願発明に係る車両用前照灯は、車両前後方向に延びる灯具光軸と略同軸で配置された光源と、この光源からの光を前方へ反射させる反射面を有するリフレクタとを備えてなり、所定のカットオフラインを有する配光パターンでロービーム照射を行うように構成された車両用前照灯において、上記灯具光軸の位置が、上記反射面の上下方向中心位置よりも上方に変位した位置に設定されており、上記反射面の下端縁近傍領域が、上記光源からの光を上記ロービーム配光パターンにおけるカットオフライン近傍部分へ向けて反射させるように構成されている、ことを特徴とするものである。
【0008】上記「光源」は、灯具光軸と略同軸で配置されたものであれば特定の光源に限定されるものではなく、例えば、ハロゲンバルブ等のフィラメントや放電バルブの放電発光部等が採用可能である。
【0009】上記「所定のカットオフライン」は、ロービーム配光パターンとその上部空間との明暗境界線となるものであれば、特定形状のカットオフラインに限定されるものではなく、例えば、水平カットオフラインおよび斜めカットオフライン、左右段違いの2つの水平カットオフライン、単一の水平カットオフライン等が採用可能である。
【0010】上記「反射面の上下方向中心位置よりも上方に変位した位置」とは、灯具光軸を含む鉛直面において灯具光軸から反射面の上端縁までの長さよりも下端縁までの長さの方が大きい値となるような位置を意味するものである。
【0011】上記「下端縁近傍領域」は、光源からの光をロービーム配光パターンにおけるカットオフライン近傍部分へ向けて反射させるように構成されたものであれば、その具体的構成は特に限定されるものではなく、単一曲面で構成されたものであってもよいし、複数の反射素子により構成されたものであってもよい。
【0012】
【発明の作用効果】上記構成に示すように、本願発明に係る車両用前照灯は、所定のカットオフラインを有する配光パターンでロービーム照射を行うように構成されているが、灯具光軸の位置が反射面の上下方向中心位置よりも上方に変位した位置に設定されるとともに、反射面の下端縁近傍領域が光源からの光をロービーム配光パターンにおけるカットオフライン近傍部分へ向けて反射させる構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0013】すなわち、このように灯具光軸の位置設定を行うことにより、光源から反射面の下端縁近傍領域までの距離を長くすることができるので、この下端縁近傍領域からの反射光により形成される光源の像のサイズを小さなものとすることができる。そしてこの下端縁近傍領域において光源からの光をロービーム配光パターンにおけるカットオフライン近傍部分へ向けて反射させることにより、ロービーム配光パターンにおけるカットオフライン近傍部分の光量を十分に確保することができる。
【0014】このように本願発明によれば、所定のカットオフラインを有する配光パターンでロービーム照射を行うように構成された車両用前照灯において、たとえそのリフレクタの左右幅が小さい場合であっても、ロービーム配光パターンにおけるカットオフライン近傍部分の光量を十分に確保して遠方視認性を高めることができる。また、リフレクタの左右幅が大きい車両用前照灯においては、ロービーム配光パターンにおけるカットオフライン近傍部分の光量を増大させることができるので、遠方視認性をより一層高めることができる。
【0015】しかも本願発明においては、灯具光軸の位置が反射面の上下方向中心位置よりも上方に変位した位置に設定されていることにより、リフレクタの上端縁の前方突出量を小さくするとともに下端縁の前方突出量を大きくすることができ、これにより車体前端部の後傾角度が大きい場合においても、灯具意匠を車体前端部の意匠に無理なく調和させることができる。
【0016】上記構成のように反射面の下端縁近傍領域からの反射光をロービーム配光パターンにおけるカットオフライン近傍部分の光量補強用として利用するだけでなく、この下端縁近傍領域からの反射光によりカットオフラインを形成するようにしてもよい。このようにすることにより、例えば、リフレクタの左右幅が極端に小さく灯具光軸の左右両側の反射領域からの反射光によるカットオフラインの形成が困難な場合等においても、カットオフラインを有する配光パターンでロービーム照射を行うことが可能となる。
【0017】上記「下端縁近傍領域」は、反射面の下端縁近傍に位置する反射領域であれば、その具体的な形成位置は特に限定されるものではないが、該下端縁近傍領域の各点と光源の前後方向両端位置とのなす角度が3°以下(より好ましくは2°以下)となるような位置に形成すれば、該下端縁近傍領域からの反射光により形成される光源の像のサイズをかなり小さなものとすることができる。そしてこれによりロービーム配光パターンにおけるカットオフラインの極近傍部分の光量を増大させることができるので、遠方視認性をより一層高めることができる。
【0018】ところで、リフレクタの反射面における下端縁近傍領域からの反射光によりカットオフラインを形成するようにした場合において、光源の下方に、該光源から下端縁近傍領域への光入射を部分的に規制するように後端縁の位置設定がなされた遮光手段を設けるとともに、光源の各点からこの遮光手段の後端縁近傍を通って下端縁近傍領域の各点に入射した光を上下方向に関して互いに略同じ方向へ反射させるように下端縁近傍領域を構成すれば、該下端縁近傍領域の各点からの反射光により形成される光源の像の上端縁の上下方向の位置を揃えることができるので、下端縁近傍領域からの反射光により明暗比の高いカットオフラインを形成することができる。
【0019】このような灯具構成を採用した場合には、光源の像のサイズがある程度大きくても明暗比の高いカットオフラインを形成することができるので、上記構成のように灯具光軸の位置を反射面の上下方向中心位置よりも上方に変位した位置に設定することは必ずしも必要ではない。もっとも、このような灯具構成とした場合においても、灯具光軸の位置を反射面の上下方向中心位置よりも上方に変位した位置に設定して、光源から反射面の下端縁近傍領域までの距離を長くすることにより、該下端縁近傍領域からの反射光により形成される光源の像のサイズをできるだけ小さくすることが、さらに明暗比の高いカットオフラインの形成する上で好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0021】図1および2は、本願発明の一実施形態に係る車両用前照灯10を示す正面図および側断面図である。
【0022】これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用前照灯10は、正面視において縦長矩形状の輪郭形状を有する灯具であって、前面レンズ12とランプボディ14とで形成される灯室内に、リフレクタユニット16が、図示しないエイミング機構により車両前後方向に延びる灯具光軸Axを中心にして上下および左右方向に傾動可能に設けられてなっている。また、灯室内における前面レンズ12の後方近傍には、リフレクタユニット16を囲むようにしてエクステンションパネル22が設けられている。
【0023】前面レンズ12は、その下端部から上端部へ向けて後方へ大きく傾斜するように形成された素通しレンズで構成されている。
【0024】リフレクタユニット16は、光源バルブ18とリフレクタ20とを備えてなっている。光源バルブ18は、単一のフィラメントを光源18aとして有するハロゲンバルブであって、光源18aが灯具光軸Axと同軸で配置されるようにしてリフレクタ20の後頂部に取り付けられている。
【0025】図3および4は、リフレクタユニット16を単品で示す正面図および側断面図である。
【0026】これらの図に示すように、本実施形態においては灯具正面形状が縦長矩形状であることから、リフレクタ20も左右幅の狭い縦長矩形状の輪郭形状を有している。
【0027】このリフレクタ20は、灯具光軸Axを中心軸としかつ光源18aの前端位置を焦点Fとする回転放物面P上に複数の反射素子20sが形成されてなる反射面20aを有している。そして、この反射面20aを構成する各反射素子20sにより光源18aからの光を前方へ拡散偏向反射させるようになっている。
【0028】灯具光軸Axの位置は、反射面20aの上下方向中心位置よりもかなり上方に変位した位置に設定されている。すなわち、灯具光軸Axから反射面20aの上端縁までの距離h1はh1=35mm、灯具光軸Axから反射面20aの下端縁までの距離h2はh2=114mmに設定されている。これに伴いリフレクタ20は、その上端縁の前方突出量が小さく下端縁の前方突出量が大きくなっている。そしてこれにより、大きく後傾した前面レンズ12の意匠にリフレクタ20の意匠を調和させるとともに、本実施形態のようにリフレクタ20の左右幅が狭い灯具においても遠方視認性に優れたロービーム配光パターンを得ることができるようにしている。
【0029】図4に示すように、反射面20aの各点での反射光により形成される光源18aの像Ifのサイズは、反射点の位置によって異なったものとなる。すなわち、光源18aに近い反射点では、該反射点と光源18aの前後方向両端位置とのなす角度θが大きいため、光源18aの像Ifのサイズも大きいものとなる。そして、反射点が光源18aから離れるに従って角度θが小さくなり、光源18aの像Ifのサイズも徐々に小さくなる。
【0030】本実施形態においては、灯具光軸Axから反射面20aの下端縁までの距離h2が、反射面20aの基準面を構成する回転放物面Pの焦点距離f(f=20mm)に比してかなり大きいので、反射面20aの下端縁近傍領域20a1(図3において斜線で示す反射領域)の各点においては、上記角度θが約2°以下というように非常に小さい値となる。このため下端縁近傍領域20a1の各点での反射光により形成される光源18aの像Ifのサイズも非常に小さいものとなる。
【0031】図6は、本実施形態に係る車両用前照灯10により灯具前方25mの位置に配置された鉛直スクリーン上に形成されるロービーム配光パターンPを、リフレクタユニット16と共に該リフレクタユニット16の背面側から透視的に示す図である。
【0032】図示のように、このロービーム配光パターンPは、左配光用のロービーム配光パターンであって、V−V線(灯具光軸Axを通る鉛直線)の右側に水平カットオフラインCL1を有し、V−V線の左側に水平カットオフラインCL1から15°で立ち上がる斜めカットオフラインCL2を有している。そして、水平カットオフラインCL1と斜めカットオフラインCL2との交点(エルボ点)Eの位置は、H−V(すなわちH−H線(灯具光軸Axを通る水平線)とV−V線との交点)から微小角度α(例えばα=0.5〜0.6°)だけ下向きの位置に設定されている。
【0033】このロービーム配光パターンPにおいて水平カットオフラインCL1および斜めカットオフラインCL2の広拡散部分は、反射面20aにおいて灯具光軸Axの左右両側に位置する反射領域20a3、20a4からの反射光により形成され、ロービーム配光パターンPにおける下部の最大拡散部分は、反射面20aにおいて上記反射領域20a3、20a4の上下に隣接する反射領域20a5、20a6からの反射光により形成されるようになっている。
【0034】そして、このロービーム配光パターンPにおける水平カットオフラインCL1および斜めカットオフラインCL2のエルボ点近傍部分は、下端縁近傍領域20a1からの反射光により形成されるようになっている。
【0035】すなわち、図7に示すように、下端縁近傍領域20a1を構成する6本の反射素子20sのうち中央の2本の反射素子A1、A2により水平カットオフラインCL1のエルボ点近傍部分の配光パターンP(A)が形成され、中央の2本の反射素子A1、A2の左側(灯具正面視では右側)に位置する2本の反射素子B1、B2により斜めカットオフラインCL2のエルボ点近傍部分の配光パターンP(B)が形成され、中央の2本の反射素子A1、A2の右側(灯具正面視においては左側)に位置する2本の反射素子C1、C2によりエルボ点Eのやや下方のホットゾーン部分の配光パターンP(C)が形成されるようになっている。
【0036】また、ロービーム配光パターンPにおけるこれら3つの配光パターンP(A)、P(B)、P(C)の周辺部分の配光パターンP(D)は、反射面20aにおける下端縁近傍領域20a1と反射領域20a6との間の反射領域20a2からの反射光により形成されるようになっている。
【0037】図8は、配光パターンP(A)を詳細に示す図である。
【0038】同図において、H−V近傍に示す基本配光パターンP(Ao)は、反射面20aが回転放物面Pであると仮定した場合において反射素子A1、A2が位置する反射領域からの反射光により形成される配光パターンであり、該反射領域の各点からの反射光により形成される光源の像を重畳したものとなる。そして配光パターンP(A)は、反射素子A1、A2を回転放物面Pとは異なる所定の曲面で構成し、基本配光パターンP(Ao)を下方へ偏向させるとともに左右方向に拡散させることにより形成されるようになっている。
【0039】同図に示すように、基本配光パターンP(Ao)自体は、その上端縁の明暗比が高いものとはなっていないが、反射素子A1、A2を形成する際に以下のような工夫を施すことにより、配光パターンP(A)については、その上端縁の明暗比を高めるようにしている。
【0040】すなわち、図5に示すように、光源バルブ18はその円筒ガラス管18bの先端部にブラックトップ18c(遮光手段)が塗布されており、これにより光源18aから前方へ向かう直射光を遮蔽するようになっている。このブラックトップ18cは、光源18aから下端縁近傍領域20a1への光入射を部分的に規制するようにその後端縁18c1の位置設定がなされており、これにより光源18aの前端位置からの光が下端縁近傍領域20a1における上端近傍位置aよりも下方領域へ入射するのを阻止するようにしている。
【0041】このようにした場合には、光源18a上における他の各位置とブラックトップ18cの後端縁18c1とを結ぶ直線が下端縁近傍領域20a1と交差する位置b、c、・・・は、光源18aの前端位置が下端縁近傍領域20a1と交差する位置すなわち上端近傍位置aよりも下方に位置することとなる。そして、光源18a上の各位置から下端縁近傍領域20a1へ入射する光は、各々下端縁近傍領域20a1と交差する位置a、b、c、・・・よりも上方領域のみとなる。本実施形態においては、各位置a、b、c、・・・での反射光がいずれも灯具光軸Axに対して微小角度αだけ下向きとなるように下端縁近傍領域20a1における2本の反射素子A1、A2の表面形状が設定されている。そしてこれにより、各反射素子A1、A2の各点からの反射光により形成される光源18aの像の上端縁の上下方向の位置を揃え、配光パターンP(A)の上端縁の明暗比を高めるようにしている。
【0042】図9は、配光パターンP(B)を詳細に示す図である。
【0043】同図において、H−V近傍に示す基本配光パターンP(Bo)は、反射面20aが回転放物面Pであると仮定した場合において反射素子B1、B2が位置する反射領域からの反射光により形成される配光パターンであり、該反射領域の各点からの反射光により形成される光源の像を重畳したものとなる。そして配光パターンP(B)は、反射素子B1、B2を回転放物面Pとは異なる所定の曲面で構成し、基本配光パターンP(Bo)を下方へ偏向させるとともに水平方向に対して15°傾斜した方向に拡散させることにより形成されるようになっている。
【0044】同図に示すように、基本配光パターンP(Bo)自体は、その上端縁の明暗比が高いものとはなっていないが、反射素子B1、B2を形成する際、上記反射素子A1、A2を形成する場合と同様の工夫を施すことにより、配光パターンP(B)についてはその上端縁の明暗比を高めるようにしている。
【0045】この場合において、下端縁近傍領域20a1における左側領域(灯具正面視では右側領域)からの反射光により形成される基本配光パターンP(Bo)は、これを構成する光源の像の上端縁が斜めカットオフラインCL2の15°傾斜に近いものとなるので、この左側領域に反射素子B1、B2を形成することにより、配光パターンP(B)の上端縁の明暗比を十分に高めることができる。
【0046】図10は、配光パターンP(C)を詳細に示す図である。
【0047】同図において、H−V近傍に示す基本配光パターンP(Co)は、反射面20aが回転放物面Pであると仮定した場合において反射素子C1、C2が位置する反射領域からの反射光により形成される配光パターンであり、該反射領域の各点からの反射光により形成される光源の像を重畳したものとなる。そして配光パターンP(C)は、反射素子C1、C2を回転放物面Pとは異なる所定の曲率の曲面で構成し、基本配光パターンP(Co)を下方へ偏向させるとともに水平方向に対して所定角度傾斜した方向に拡散させることにより、配光パターンP(C1)、P(C2)の合成パターンとして形成されるようになっている。その際、下向き偏向角度は、内側の反射素子C1が微小角度αよりもやや大きい角度、外側の反射素子C2はそれよりもやや大きい角度に設定されており、左右拡散の水平方向に対する傾斜角度は、内側の反射素子C1が約5°、外側の反射素子C2が約10°に設定されている。
【0048】同図に示すように、基本配光パターンP(Co)自体は、その上端縁の明暗比が高いものとはなっていないが、反射素子C1、C2を形成する際に上記反射素子A1、A2を形成する場合と同様の工夫を施すことにより配光パターンP(C)の上端縁の明暗比をある程度高めるようにしている。
【0049】この場合において、下端縁近傍領域20a1の右側領域(灯具正面視においては左側領域)からの反射光により形成される基本配光パターンP(Co)は、これを構成する光源の像の上端縁が斜めカットオフラインCL2とは左右逆向きの傾斜となっているので、これを斜めカットオフラインCL2と同じ向きの傾斜で拡散させた場合には、上記配光パターンP(B)の上端縁のように明暗比を十分に高めることができないが、配光パターンP(C)は、カットオフライン形成用ではなくホットゾーンを形成するためのものであるので、その上端縁の明暗比を高めることはさほど重要ではない。
【0050】以上詳述したように、本実施形態に係る車両用前照灯10は、水平カットオフラインCL1および斜めカットオフラインCL2を有する配光パターンPでロービーム照射を行うように構成されているが、灯具光軸Axの位置が反射面20aの上下方向中心位置よりも上方に変位した位置に設定されるとともに、反射面20aの下端縁近傍領域20a1が光源18aからの光をロービーム配光パターンPにおけるカットオフライン近傍部分へ向けて反射させる構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0051】すなわち、このように灯具光軸Axの位置設定を行うことにより、光源18aから反射面20aの下端縁近傍領域20a1までの距離を長くすることができるので、この下端縁近傍領域20a1からの反射光により形成される光源の像Ifのサイズを小さなものとすることができる。そしてこの下端縁近傍領域20a1において光源18aからの光をロービーム配光パターンPにおけるカットオフライン近傍部分へ向けて反射させることにより、ロービーム配光パターンPにおけるカットオフライン近傍部分の光量を十分に確保することができる。
【0052】また本実施形態においては、灯具光軸Axの位置が反射面20aの上下方向中心位置よりも上方に変位した位置に設定されていることにより、リフレクタ20の上端縁の前方突出量を小さくするとともに下端縁の前方突出量を大きくすることができるので、大きく後傾した前面レンズ12の意匠にリフレクタ20の意匠を調和させることができる。そしてこれにより、車体前端部の後傾角度が大きい場合においても灯具意匠を車体前端部の意匠に無理なく調和させることができる。
【0053】しかも本実施形態においては、下端縁近傍領域20a1からの反射光をロービーム配光パターンPにおけるカットオフライン近傍部分の光量補強用として利用するだけでなく、この下端縁近傍領域20a1からの反射光により水平カットオフラインCL1および斜めカットオフラインCL2を形成するようになっているので、本実施形態のようにリフレクタ20の左右幅が小さく灯具光軸Axの左右両側の反射領域20a3、20a4からの反射光ではカットオフライン形成が困難な場合においても、カットオフラインCL1、CL2を有する配光パターンPでロービーム照射を行うことが可能となる。
【0054】また本実施形態においては、下端縁近傍領域20a1が、該下端縁近傍領域20a1の各点と光源18aの前後方向両端位置とのなす角度が2°以下となる位置に形成されているので、下端縁近傍領域20a1からの反射光により形成される光源18aの像Ifのサイズをかなり小さなものとすることができる。そしてこれによりロービーム配光パターンPにおけるカットオフラインCL1、CL2の極近傍部分の光量を増大させることができるので、遠方視認性をより一層高めることができる。なお、下端縁近傍領域20a1を該下端縁近傍領域20a1の各点と光源18aの前後方向両端位置とのなす角度が3°以下となる位置に形成するようにした場合においても、下端縁近傍領域20a1からの反射光により形成される光源18aの像Ifのサイズを比較的小さなものとすることができるので、ロービーム配光パターンPにおけるカットオフラインCL1、CL2の極近傍部分の光量を増大させて遠方視認性をより高めることが可能である。
【0055】さらに本実施形態においては、光源バルブ18の円筒ガラス管18bの先端部に塗布されたブラックトップ18cにより光源18aから下端縁近傍領域20a1への光入射を部分的に規制するように構成されており、また下端縁近傍領域20a1が、光源18aの各点からブラックトップ18cの後端縁18c1近傍を通って該下端縁近傍領域18cの各点に入射した光を上下方向に関して互いに略同じ方向へ反射させるように構成されているので、下端縁近傍領域18cの各点からの反射光により形成される光源の像Ifの上端縁の上下方向の位置を揃えることができ、これにより下端縁近傍領域18cからの反射光により明暗比の高いカットオフラインを形成することができる。
【0056】上記実施形態においては、光源18aから下端縁近傍領域20a1への光入射を部分的に規制するための遮光手段としてブラックトップ18cを利用したが、これ以外の遮光手段を採用することも可能である。
【0057】例えば、図11に示すように、ブラックトップが形成されていない光源バルブ18の前方近傍にシェード24を設け、その後端縁24aを光源18aから下端縁近傍領域20a1への光入射を部分的に規制するように位置設定することも可能である。このようにした場合、光源18aの各点からシェード24の後端縁24a近傍を通って下端縁近傍領域18cに入射する位置が、上記実施形態の場合とは異なったものでなるので、これに合わせて下端縁近傍領域20a1の表面形状設定を行うようにすればよい。
【0058】なお、図11と図5との比較により明らかなように、遮光手段の位置が光源18aに近い方が、光源18aの各点から遮光手段の後端縁近傍を通って下端縁近傍領域18cに入射する角度範囲が広くなるので、下端縁近傍領域18cの精度が多少ラフであっても該下端縁近傍領域18cからの反射光により明暗比の高いカットオフラインを形成することが可能となる。
【0059】上記実施形態においては、左配光用のロービーム配光パターンPを得るための灯具構成について説明したが、上記実施形態の灯具構成を左右反転させることにより、上記ロービーム配光パターンPと左右対称な右配光用のロービーム配光パターンを得ることができる。このようにした場合においても上記各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成11年12月22日(1999.12.22)
【代理人】 【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
【公開番号】 特開2001−176310(P2001−176310A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−363718