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【発明の名称】 車両用灯具
【発明者】 【氏名】中川 幸生

【氏名】山田 秀夫

【要約】 【課題】ユーザーがレンズを破損した場合、交換作業に多くの工数がかかるとともにサービスパーツとしての弾性シール材が高価なものとなっていた。

【解決手段】車両用灯具のレンズ周縁にシール溝を設け、ランプボディの前面開口部の周縁にシール脚を設けるシール構造とし、レンズのサービスパーツの形態をシール材を一体化するようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ランプボディの前面開口部の周縁に形成された係合部とレンズの周縁に形成された係合部が弾性シール材を介して機械的に押圧することで両係合部がシールされるようにした車両用灯具において、前記レンズの係合部に溝を形成し、前記ランプボディの係合部に脚を形成したことを特徴とする車両用灯具【請求項2】 レンズの周縁に設けた溝にシール材を装填し、レンズとシール材を一体化したレンズ部品とランプボディ部品の2部品で構成するようにした1項記載の車両用灯具【請求項3】 レンズの周縁に設けた溝にシール材を装填する方法として液体状のシール材を固化させて弾性シール材とするかレンズを成形する時に弾性シール材を一体成形するかいずれかを実施した1、2項記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用灯具のレンズとランプボディのシール構造に関し、特にサービスパーツに有効なシール構造に関する。
【0002】
【従来技術】近年、地球環境を考慮した地球にやさしい製品設計が世の中から要求されている。車両用灯具にあっても同様にリサイクルを考慮した製品が検討されている。発明者らは車両用灯具のリサイクルを考えた場合、構成部品の中でレンズの破損や劣化の発生が多いため、レンズに着目し、レンズが例えば破損した場合にどのような構造が有効か検討を進めた。
【0003】従来から、レンズ、ランプボディ、弾性シール材で構成されている車両用灯具のシール構造に関していろいろな方法が提案されている。第1の例として弾性シール材にホットメルトを使った方法であり、図3を用いて説明する。
【0004】図3は車両用前照灯の断面図を示している。91はレンズ(樹脂製)、92はランプボディ、93はランプボディ内側に配置されるリフレクター、94はバルブ、95はランプボディの周縁に設けられている溝、96はレンズの周縁に設けられている脚そして97はシール材である。
【0005】このような車両用前照灯90におけるレンズ91とランプボディ92との接合方法として、ランプボディに設けた溝95にシール材97としてホットメルトを装填するとともに、レンズの脚96をシール溝95に係合して、レンズ脚とランプボディ溝間をホットメルトを固化させてシールするというものである。
【0006】このようなシール構造では固化したホットメルトの接着力が強いため、ユーザーがレンズを破損し、レンズを交換しようとした場合でも、レンズとランプボディとが分離できないため、灯具全体を交換せざるをえなかった。
【0007】このため、シール溝からレンズを分離し交換できるようにした方法も提案されている。第2の例として弾性シール材を使った方法を説明する。第3図で示したランプボディの周縁に形成されたシール溝にホットメルトでなく液体状の弾性ホットメルト型シール材または発泡性シール材を供給して、シール材が固化または硬化により固形化した弾性シール材に、レンズ側のシール脚をシール溝内に挿入して、弾性シール材に圧接するとともに凹凸ランス固定やネジ止めあるいはクリップ等を利用して機械的に係止するというものである。
【0008】このような方法ではユーザーがレンズを破損した場合に、レンズ、ランプボディ、弾性シール材とに分離でき、レンズのみ交換できる方法であり、リサイクルに有効な接合方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,第1の例ではユーザーがレンズを破損し、レンズ交換しようとしても、シール材の接着力が強いためレンズの分離ができず、レンズ交換ができなかった。第2の例では各部品が分離でき、レンズの交換はできるが、交換作業に多くの作業時間がかかっていた。その交換作業の作業手順を示すと、【0010】
1.ランプボディとレンズを分離する。
2.ランプボディのシール溝に残った弾性シール材を除去する。
3.発泡性紐状シール材を溝に装着する。
4.シール材合わせ目にブチル等でシールする5.レンズを接合する。
【0011】このような手順で実施されていた。これら作業の中で2項の弾性シール材の残材を除去する作業であるが溝が狭いため作業性が悪く作業時間が多くかかっていた。ここに、シール材は防水性を考慮して、溝に密着して装着されるので、シール材を溝から分離した場合に、シール材の一部がちぎれて残材として残ってしまうので、この除去作業が必要である。また3項の発泡性紐状シール材の装着では溝の延設方向に沿って均一な封止圧をえるために、シール材を溝に平らに装着する必要があるが、シール材は弾性があるため、その作業が難しく作業時間が多くかかっていた。
【0012】また、灯具を工場で生産する場合に弾性シール材は溝に液体状の弾性ホットメルト型シール材または発泡性シール材を供給して、シール材が固化または硬化により固形化した弾性シール材にしているので、シール材を個別部品として生産する必要がないが、ユーザーがレンズを破損した場合にはレンズの交換作業が行われる。即ち、レンズとランプボディが分離され、レンズが交換される。
【0013】この時に弾性シール材は表面にほこりが付着していたり、弾性特性が低下(劣化)していたり、破損レンズになじんでいてシール特性を保持していたものが、交換する新しいレンズではどうしても密着度が低下しシール特性に問題がある等の理由から、レンズが破損し、交換する場合は通常シール材も一緒に交換されている。そのために発泡性紐状シール材もサービスパーツ(個別部品)として用意されなければならない。
【0014】車両用灯具が工場で生産される場合に、レンズがシールされる工程は最初にランプボディの周縁に形成されたシール溝に液体状の弾性ホットメルト型シール材または発泡性シール材を供給して、シール材が固化または硬化により固形化した弾性シール材となったところで、レンズ側のシール脚をシール溝内に挿入して、弾性シール材に圧接するとともに凹凸ランス固定やネジ止めあるいはクリップ等を利用して機械的に係止してシールしている。
【0015】このため車両用灯具が工場で生産される場合には、個別部品としての発泡性紐状シール材は必要でなく、サービスパーツとして特別に発泡性紐状シール材を設計するとともに、生産するための押出成型金型を含む生産設備が必要であり、発泡性紐状シール材が高価なものとなっていた。
【0016】発泡性紐状シール材をサービスパーツとして用意する必要がなければ灯具生産に必用な生産設備のみでよいわけで、このようなサービスパーツを生産する設備は不要となる。また、発泡性紐状シール材をサービスパーツとして用意することになれば工場、販売店等の関係部署で在庫管理もする必要があり、そのための管理工数が増えることになる。
【0017】本発明では上記課題を解決するためのレンズのシール構造を提案し、その構造を使うことによりサービスパーツとしての発泡性紐状シール材を必要としない、レンズのサービスパーツに適した形態を提供しようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した従来の課題を解決するために次のように構成したものである。
【0019】(1)ランプボディの前面開口部の周縁に形成された係合部とレンズの周縁に形成された係合部が弾性シール材を介して機械的に押圧することで両係合部がシールされるようにした車両用灯具において、前記レンズの係合部に溝を形成し、前記ランプボディの係合部に脚を形成した【0020】(2)1項記載の車両用灯具においてレンズの周縁に設けた溝にシール材を装填し、レンズとシール材を一体化したレンズ部品とランプボディ部品の2部品で構成するようにした【0021】(3)1、2項記載の車両用灯具においてレンズの周縁に設けた溝にシール材を装填する方法として液体状のシール材を固化させて弾性シール材とするかレンズを成形する時に弾性シール材を一体成形するかいずれかを実施した。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明を車両用前照灯のレンズとランプボディの係合部に適用した実施例を図1、図2を用いて説明する。
【0023】図1は前照灯の断面図で1は樹脂レンズ(以後レンズとする)、2はランプボディ、3はリフレクター、4はバルブ、5はレンズのシール溝部、6はランプボディの脚部そして7は弾性シール材である。図2はレンズのシール溝部とランプボディ脚部の接合部で図1のA部拡大図である。
【0024】図1で示した前照灯の構成は従来例として示した図3と類似しているが、係合部の構造が異なっている。本図では係合部の溝がランプボディ側でなく、レンズ側に設けていて、係合部の脚がレンズ側でなく、ランプボディ側に設けている。即ち従来と反対に溝と脚を設けている。
【0025】このようなレンズとランプボディを接合するにはレンズ側に設けたシール溝に液体状の弾性ホットメルト型シール材または発泡性シール材を供給して、シール材が固化または硬化により固形化した弾性シール材となったところで、ランプボディ側のシール脚をシール溝内に挿入して、弾性シール材に圧接するとともに凹凸ランス固定やネジ止めあるいはクリップ等を利用して機械的に係止する。
【0026】このようにして接合される。ここに機械的に係止する係止部はレンズ周縁に数箇所程度設けられている。これらについては公知であるので省略する。
【0027】ここまでの説明では発明の方法が弾性シール材をレンズ側に設けられた溝に装填しているのに対して、従来例ではランプボディ側に設けられた溝に装填している。いづれも弾性シール材を溝に装填していることは同じである。
【0028】しかし、車両用灯具のサービスパーツとして生産する部品が異なる。従来はサービスパーツとしてレンズ、ランプボディ、シール材を用意していたが、本発明ではレンズとランプボディを用意することとし、シール材はレンズに装填し一体化したものとしている。
【0029】シール材を装填する溝をレンズ側に設けたので、レンズとシール材を一体化することができ、従来サービスパーツとして3部品用意されていたが、本発明の構造によれば2部品を用意すればよい。
【0030】本発明の場合、レンズ破損によるレンズ交換作業が従来に比べて簡単に実施できる。即ち、従来は5工程で作業していたが、本発明の構造を用いれば次のように3工程で行うことができる。
■ レンズ1、ランプボディ2を分離する。
■ ランプボディのシール脚6に残った弾性シール材を除去する。
■ 弾性シール材を装填したレンズを接合する。
ここで、2項の弾性シール材を除去する作業は従来溝部で狭いため作業性が悪かったが、脚であるので作業性が格段によくなっている。
【0031】尚 上記説明ではシール材をつくる方法として液体状の弾性ホットメルト型シール材または発泡性シール材を供給して、シール材が固化または硬化により固形化した弾性シール材としてきたが、他の方法としてはレンズを成型する時に弾性材料を溝に一体成型する方法でも可能である。これらの方法に限られるものではない。
【0032】また、シール材を溝部に一体化する方法として、従来の構造でランプボディの溝部に同じようにシール材を装填したランプボディをサービスパーツとして用意することも考えられるがこの方法ではレンズの破損に対してランプボディも同時に交換する必要があり、結局灯具全体を交換することになってメリットはない。
【0033】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、本発明の車両用灯具にあっては1.ユーザーが灯具のレンズを破損し、レンズ交換する場合に、従来溝内部に残っているシール材除去作業に多くの時間がかかっていたが、脚に残っているシール材を除去する作業であるので、格段に作業性が良い。
2.また、弾性シール材を溝に装着するという工数のかかる作業も不要となる。
3.そして、発泡性紐状シール材が独立した部品でないので、発泡性紐状シール材を生産するための押出成型金型を含む生産設備が不要となり、さらに部品として在庫管理する必要もない。
4.このようなことから結果として安価な車両用灯具を提供できる等の効果がある。
【出願人】 【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
【出願日】 平成11年11月9日(1999.11.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−135108(P2001−135108A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−318236